(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5914622
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 13/18 20060101AFI20160422BHJP
B01J 13/22 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
B01J13/18
B01J13/22
【請求項の数】15
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-239604(P2014-239604)
(22)【出願日】2014年11月27日
【審査請求日】2014年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石燕鳳
(72)【発明者】
【氏名】尤逸玄
(72)【発明者】
【氏名】曾彦霖
(72)【発明者】
【氏名】謝侯安
【審査官】
森井 隆信
(56)【参考文献】
【文献】
特表2004−517971(JP,A)
【文献】
特表2002−521186(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3092220(JP,U)
【文献】
特開2003−131201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/18
B01J 13/22
JSTPlus/JJST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法であって、前記方法が、
(A)ビニルシランを用意する工程と、
(B)前記ビニルシラン中にアクリルモノマーを加え、開始剤として微量の過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱下で撹拌してプレ重合反応を行い、第一溶液を形成する工程と、
(C)相変化材料をポリビニルアルコール水溶液に加え、相変化材料の融点を超えるまで温度を上昇させて液化を行い、均一に撹拌して第二溶液を形成する工程と、
(D)前記第二溶液を前記第一溶液に加え、均一に撹拌する工程と、
(E)エチレングリコールジメタクリレート及び高伝熱性ナノ無機粉体を加え、さらに開始剤として過酸化ベンゾイルを加え、撹拌して油浴加熱し、マイクロカプセルの重合被覆を完了し、伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルを得る工程と、
を含むことを特徴とする、伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項2】
前記ビニルシランが、トリメトキシビニルシラン(trimethoxyvinylsilane)またはトリエトキシビニルシラン(triethoxyvinyl silane)であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項3】
前記アクリルモノマーが、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、またはメタクリル酸ヒドロキシエチルであることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項4】
前記高伝熱性ナノ無機粉体が、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素のうちのいずれかまたは組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項5】
前記アクリルモノマーと前記ビニルシランの当量比が10:1〜10:3であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項6】
前記相変化マイクロカプセルが芯骨格材料であり、そのうち、芯材が有機相変化材料であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項7】
前記相変化材料が有機相変化材料であり、前記有機相変化材料が、脂肪族高級炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸の塩、高級脂肪族アルコール、芳香族炭化水素、芳香族ケトン、芳香族アミドのいずれかまたはその混合物で構成される群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項8】
前記相変化マイクロカプセルが芯骨格材料であり、そのうち骨格材がビニルシランとアクリルモノマーの共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項9】
前記撹拌が磁力撹拌機、モーター式撹拌器またはホモジナイザーで行われることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項10】
前記相変化材料の添加比率が10wt%〜40wt%であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項11】
前記高伝熱性ナノ無機粉体の添加比率が10wt%〜40wt%であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項12】
さらに、(F)前記伝熱骨格層相変化マイクロカプセルの氷浴、遠心、濾過、乾燥を行う工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項13】
工程(B)において前記加熱範囲が50℃〜120℃であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項14】
工程(C)において前記加熱範囲が40℃〜80℃であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【請求項15】
工程(E)において前記加熱範囲が50℃〜120℃であることを特徴とする、請求項1に記載の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は相変化マイクロカプセルの膜材中にナノ伝熱材料を加える製造方法に関し、特に、相変化マイクロカプセルの膜材中に高伝熱性のナノ伝熱材料を加える製造方法に関する。まずビニルシランとアクリルモノマーを採用した重合で共重合体を生成した後、無機伝熱材料を加え、相変化材料を芯とし、伝熱材料を含む共重合体を骨格とした相変化マイクロカプセルを製造して、これにより伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造という目的を達する。
【背景技術】
【0002】
既知の通り、相変化材料(Phase change materials、PCM)は固相から液相に、または液相から固相に変化可能な物質であり、かつ相変化の発生時に大量の潜熱の吸収または放出を伴い、相変化材料の最大の特徴は、それが大量の潜熱を吸収または放出するとき、システムの温度を変化なく、または小さい変化範囲で維持できることにある。一般に相変化材料を応用するときは、その相変化時により多くの熱を吸収または放出できる潜熱値が比較的大きい相変化材料を選択することで、よりよい効果が得られる。しかし、相変化材料を直接応用すると、相変化の過程で溶融のために材料の漏洩及び損失が発生し、材料の使用寿命が短縮される。マイクロカプセルは微量の物質を骨格層とする方式で別の材料の表面を包み込む技術であり、マイクロカプセル技術を利用することで、相変化材料の溶融時に生じる体積変化と材料漏洩の問題を回避することができる。このほか、マイクロカプセル化後の材料は粒径が小さく、比表面積が大きいため、より大きな伝熱面積を提供する。
【0003】
しかしながら、マイクロカプセル膜材は多くが有機高分子材料であり、その熱伝達係数が非常に低いため、膜材は相変化材料の漏洩を防止することはできるものの、熱の伝達速度を低下させてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のマイクロカプセル膜材の熱伝達係数が非常に低く、熱の伝達速度が低下する問題を解決するため、本発明の目的は、伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的及びその他の目的を達するため、本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法は、膜材中にナノ伝熱材料を加えることでその熱伝達係数を高め、相変化材料の熱の放出または吸収を加速し、効果的な伝熱、放熱、エネルギー貯蔵等の効果を達するとともに、まずビニルシランとアクリルモノマーを重合して共重合体を生成した後、ナノ伝熱材を加えると、ナノ伝熱材表面の極性官能基がビニルシランと縮合して化学結合を形成するため、ナノ伝熱材料と共重合体の相容性が大幅に向上され、同時にマイクロカプセルで相変化複合材料を被覆する二段階プロセス(塊状重合と乳化重合)でナノ伝熱材料を安定的に分散させることができ、伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルを製造することができる。
【0006】
本発明の製造の流れは次の通りである。
【0007】
一、アクリルモノマーの改質
ビニルシラン(vinylsilane、VS)とアクリルモノマー(acrylic
monomer、AM)を反応モノマーとし、有機溶剤を使用しない環境下で過酸化物により重合反応を開始させ、共重合体(VS−AM copolymer)を生成した。反応式を式(1)に示す。そのうち、ビニルシランはトリメトキシビニルシラン(trimethoxyvinylsilane)、またはトリエトキシビニルシラン(triethoxyvinyl silane)を採用する。アクリルモノマーはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、またはメタクリル酸ヒドロキシエチルである。
【0008】
【化1】
【0009】
二、ナノ伝熱材を添加して改質アクリルモノマー上に接合させる
有機材料中に、高伝熱性質を持つナノ無機粉体を加える。前記ナノ無機粉体は、アルミナ(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、または炭化ケイ素(SiC)を含み、有機材料の伝熱性を効果的に高め、高伝熱複合材料を製造することができる。本研究で合成した共重合体とナノ伝熱材は化学結合を形成することができ、その反応式を式(2)に示す。高伝熱性質の無機粉体と有機基材の相容性を効果的に増進することができる。
【0010】
【化2】
【0011】
三、伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造
伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルは、相変化材料を芯、共重合体を骨格とし、その製造の流れは次の通りである。
(1)
図1に示すように、工程S110では、アクリルモノマーとビニルシランを用意する。
(2)
図1に示すように、工程S120では、アクリルモノマーとビニルシランを撹拌して混合し、第一溶液を形成する。そのうち、ビニルシランはトリメトキシビニルシラン(trimethoxyvinylsilane)またはトリエトキシビニルシラン(triethoxyvinyl silane)等である。
(3)
図1に示すように、工程S130では、工程S120で混合された混合物に、開始剤として微量の過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱下でプレ重合を行う。
(4)
図1に示すように、工程S140では、相変化材料を用意する。
(5)
図1に示すように、工程S150では、水溶液を加熱してポリビニルアルコールを溶解させ、ポリビニルアルコール水溶液を形成する。
(6)
図1に示すように、工程S160では、相変化材料を工程S150で調製を完了したポリビニルアルコール水溶液に加え、温度を上昇させて相変化材料の融点を超過させ、液化動作を行い、その後液化した溶液を均一に撹拌する。
(7)
図1に示すように、工程S170では、工程S130の反応を経た後のPMMAプレポリマーと工程S160の反応後の溶液を混合し、エチレングリコールジメタクリレートと伝熱材料(例えば窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナまたは炭化ケイ素)を加え、撹拌して分散させ、伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセル溶液を形成する。
(8)
図1に示すように、工程S180では、工程S170で形成された伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセル溶液に開始剤として過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱でマイクロカプセルの重合被覆を完了する。
(9)
図1に示すように、工程S190では、工程S180の処理を経た後のマイクロカプセルを氷浴、遠心、濾過後、下層のマイクロカプセルを乾燥させ、伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルを得る。
【0012】
本発明の相変化材料は有機相変化材料であり、前記有機相変化材料は主に脂肪族高級炭化水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸の塩、高級脂肪族アルコール、芳香族炭化水素、芳香族ケトン、芳香族アミド、及びその混合物から構成される群であるが、上述の有機相変化材料に限定されない。
【0013】
脂肪族高級炭化水素は通常6個以上の炭素原子を含む脂肪炭化水素であり、6〜36個の炭素原子が好ましい。高級脂肪族アルコールは通常6個以上の炭素原子を含む脂肪炭化水素であり、6〜36個の炭素原子が好ましい。
【0014】
上述の製造方法のうち、アクリルモノマーとビニルシランの当量比は、10:1〜10:3が好ましい。
【0015】
上述の製造方法のうち、前記相変化マイクロカプセルは芯骨格材料であり、そのうち芯材は有機相変化材料である。
【0016】
上述の製造方法のうち、前記相変化マイクロカプセルは芯骨格材料であり、そのうち骨格材はビニルシランとアクリルモノマーの共重合体である。
【0017】
上述の製造方法のうち、撹拌は磁力撹拌機、モーター式撹拌器またはホモジナイザーを採用することが好ましい。
【0018】
上述の製造方法のうち、前記相変化材料の添加比率は10wt%〜40wt%である。
【0019】
上述の製造方法のうち、前記高伝熱性ナノ無機粉体(アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素)の添加比率は10wt%〜40wt%である。
【0020】
上述の製造方法のうち、工程S130中の前記加熱範囲は50℃〜120℃が好ましい。
【0021】
上述の製造方法のうち、工程S160中の前記加熱範囲は40℃〜80℃が好ましい。
【0022】
上述の製造方法のうち、工程S180中の前記加熱範囲は50℃〜120℃が好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法は、従来のマイクロカプセル膜材の熱伝達係数が非常に低く、熱伝達の速度が低下する問題を効果的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の製造方法を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの構造図である。
【
図3】本発明の実施例の走査式電子顕微鏡の分析図である。
【
図4】本発明の実施例の走査式電子顕微鏡の分析図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、特定の具体的な実施例に基づいて、本発明の実施方法を説明し、当業者が本明細書の開示内容に基づいて本発明のその他の利点と効果を容易に理解できるようにする。
【0026】
本
比較例は、メタクリル酸メチルに過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱下で重合し、プレポリマー溶液を得る。別にメタクリル酸メチルと重量比1:1の石蝋(有機相変化材料)をポリビニルアルコール水溶液中に加え、石蝋の融点を超過するまで温度を上昇させて均一に撹拌する。プレポリマー溶液を入れ、均一に撹拌する。エチレングリコールジメタクリレートを加え、油浴加熱下で均一に撹拌する。氷浴、遠心、濾過プロセスを経て、上層のマイクロカプセルを乾燥させ、相変化マイクロカプセルを得る。このマイクロカプセルの熱伝達係数は0.2000W/mkと測定された。
【0027】
本
比較例はメタクリル酸メチル及びビニルシランのトリメトキシビニルシラン(trimethoxyvinylsilane)を当量比5:1で60℃の油浴加熱下で混合する。過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱下で重合し、プレポリマー溶液を得る。別にメタクリル酸メチルを重量比3:1の石蝋(有機相変化材料)をポリビニルアルコール水溶液中に加え、石蝋の融点を超過するまで温度を上昇させて均一に撹拌する。プレポリマー溶液を入れ、均一に撹拌する。エチレングリコールジメタクリレートを加え、油浴加熱下で均一に撹拌する。氷浴、遠心、濾過を経て、上層のマイクロカプセルを乾燥させ、相変化マイクロカプセルを得る。このマイクロカプセルの熱伝達係数は0.1988W/mkと測定された。かつ、その30℃から80℃までの温度上昇に必要な時間は325秒であり、80℃から30℃までの温度低下に必要な時間は365秒と測定された。
【0028】
本
比較例はメタクリル酸メチルとビニルシランのトリメトキシビニルシラン(triethoxyvinylsilane)を当量比5:1で60℃の油浴加熱下で混合する。過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱下で重合してプレポリマー溶液を得る。別にメタクリル酸メチルと重量比1:1の石蝋(有機相変化材料)をポリビニルアルコール水溶液中に加え、石蝋の融点を超過するまで温度を上昇させて均一に撹拌する。プレポリマー溶液を入れ、均一に撹拌する。エチレングリコールジメタクリレートを加え、油浴加熱下で均一に撹拌する。氷浴、遠心、濾過を経て、上層のマイクロカプセルを乾燥させ、相変化マイクロカプセルを得る。このマイクロカプセルの熱伝達係数は0.1996W/mkと測定された。かつ、その30℃から80℃までの温度上昇に必要な時間は303秒であり、80℃から30℃までの温度低下に必要な時間は348秒と測定された。
【実施例1】
【0029】
本実施例係はメタクリル酸メチル及びビニルシランのトリメトキシビニルシラン(triethoxyvinylsilane)を当量比5:1で60℃の油浴加熱下で混合する。過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱下で重合してプレポリマー溶液を得る。別にメタクリル酸メチルと重量比1:1の石蝋(有機相変化材料)をポリビニルアルコール水溶液中に加え、石蝋の融点を超過するまで温度を上昇させて均一に撹拌する。プレポリマー溶液を入れ、均一に撹拌する。エチレングリコールジメタクリレート及びアルミナを加え、油浴加熱下で均一に撹拌する。そのうちアルミナの添加比率はメタクリル酸メチルとの重量比が1:2である。氷浴、遠心、濾過後、下層のマイクロカプセルを乾燥させ、本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルを得る。このマイクロカプセルの熱伝達係数は0.3535W/mkと測定された。かつ、80℃から30℃までの温度低下に必要な時間は267秒と測定された。
【実施例2】
【0030】
本実施例はメタクリル酸メチルとビニルシランのトリメトキシビニルシラン(triethoxyvinylsilane)を当量比5:1で60℃の油浴加熱下で混合する。過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱下で重合し、プレポリマー溶液を得る。別にメタクリル酸メチルと重量比1:1の石蝋(有機相変化材料)をポリビニルアルコール水溶液中に加え、石蝋の融点を超過するまで温度を上昇させて均一に撹拌する。プレポリマー溶液を入れ、均一に撹拌する。エチレングリコールジメタクリレートと窒化アルミニウムを加え、油浴加熱下で均一に撹拌する。そのうち、窒化アルミニウムの添加比率はメタクリル酸メチルとの重量比が1:2である。氷浴、遠心、濾過後、下層のマイクロカプセルを乾燥させ、本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルを得る。このマイクロカプセルの熱伝達係数は0.4317W/mkと測定された。かつ、30℃から80℃までの温度上昇に必要な時間はわずか159秒であり、80℃から30℃までの温度低下に必要な時間はわずか201秒と測定された。
【実施例3】
【0031】
本実施例はメタクリル酸メチルとビニルシランのトリメトキシビニルシラン(triethoxyvinylsilane)を当量比5:1で60℃の油浴加熱下で混合する。過酸化ベンゾイルを加え、油浴加熱下で重合し、プレポリマー溶液を得る。別にメタクリル酸メチルと重量比1:1の石蝋(有機相変化材料)をポリビニルアルコール水溶液中に加え、石蝋の融点を超過するまで温度を上昇させて均一に撹拌する。プレポリマー溶液を入れ、均一に撹拌する。エチレングリコールジメタクリレートと窒化ホウ素を加え、油浴加熱下で均一に撹拌する。そのうち、酸化ホウ素の添加比率はメタクリル酸メチルとの重量比が1:2である。氷浴、遠心、濾過後、下層のマイクロカプセルを乾燥させ、本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルを得る。このマイクロカプセルの熱伝達係数は0.4258W/mkと測定された。かつ、30℃から80℃までの温度上昇に必要な時間はわずか175秒であり、80℃から30℃までの温度低下に必要な時間はわずか226秒と測定された。
【0032】
上述の実施例1〜
3で得た伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルを、
図2から図
4に示す。そのうち
図2は本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの構造図であり、
図3は本発明の実施例の走査式電子顕微鏡分析図であり、
図4は実施例の走査式電子顕微鏡分析図である。
【0033】
図2に示すように、本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルは相変化材料210と、前記相変化材料210を被覆する伝熱骨格層220を含み、そのうち、前記伝熱骨格層220はビニルシランとアクリルモノマー共重合体230、及び伝熱材240を含む。
【符号の説明】
【0034】
S110〜S190 工程
210 相変化材料
220 伝熱骨格層
230 ビニルシランとアクリルモノマー共重合体
240 伝熱材
【要約】
【課題】伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法の提供。
【解決手段】一般的な相変化マイクロカプセル膜材の多くが有機高分子材料で、その熱伝達係数が非常に低いため、膜材は相変化材料の漏洩を防止できるものの、熱の伝達速度が劣る問題があり、本発明の伝熱骨格層を備えた相変化マイクロカプセルの製造方法は、相変化マイクロカプセルの膜材中にナノ伝熱材料を加え、その熱伝達係数を高めるものであり、まずビニルシランとアクリルモノマーの重合で共重合体を生成した後、無機伝熱材料を加え、相変化材料を芯、伝熱材料を含む共重合体を骨格とした相変化マイクロカプセルを製造し、前記無機伝熱材料表面の極性官能基がビニルシランと縮合して化学結合を形成し、その共重合体との相容性が大幅に向上されるため、マイクロカプセル被覆過程で伝熱材を安定的に分散させることができる。
【選択図】
図1