特許第5914627号(P5914627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5914627
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】ラチェットレンチ
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/46 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
   B25B13/46 C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-262419(P2014-262419)
(22)【出願日】2014年12月25日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】515000546
【氏名又は名称】陳 家佑
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】陳 家佑
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3154122(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0145075(US,A1)
【文献】 実開平02−047180(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチ本体、ラチェット環、ラチェット体、および、制御装置を備え、
前記レンチ本体はヘッド部を有し、
前記ヘッド部は、縦方向に収納孔および制御穴を有し、前記ヘッド部の前記収納孔に横向きの制動穴が形成されることで、前記収納孔と前記制御穴とが相互に連通されており、
前記収納孔内に前記ラチェット環が枢設されており、前記制動穴に前記ラチェット体が設けられており、
前記ラチェット体は、前記制御穴に対向する側に接触面が形成されており、前記制御穴内に前記制御装置が設けられており、
前記制御装置は、前記ラチェット体と前記ラチェット環との間の噛合関係を選択してコントロールすることが可能であり、制御部材を有し、
前記制御部材は、前記制動穴に対向する側に縦向きの矩形位置制限穴が形成されており、
前記矩形位置制限穴には矩形バネが挿入されており、
前記矩形バネは、前記矩形位置制限穴に収容されており、断面が矩形であり、押圧部を弾力的に押圧し、
前記押圧部は、一端が前記矩形位置制限穴内に挿入されており、他端が前記矩形位置制限穴の外に露出しており、矩形長板状であり
前記押圧部が縦向きに前記ラチェット体の接触面を押圧することで、前記ラチェット体の前記接触面は、上下方向に、前記押圧部の押圧を受けることを特徴とするラチェットレンチ。
【請求項2】
前記制動穴は、互いに対向する第一ホールド面と第二ホールド面とを有し、
前記第一ホールド面及び前記第二ホールド面は、いずれも前記ヘッド部の上面から前記ヘッド部の底面までに延長しており、
前記ラチェット体は、
前記第一ホールド面に対向する側に第一押圧面が形成されており、前記第一押圧面が前記第一ホールド面と密着可能であり、
前記第二ホールド面に対向する側に第二押圧面が形成されており、前記第二押圧面が前記第二ホールド面と密着可能であることを特徴とする請求項1に記載のラチェットレンチ。
【請求項3】
前記ラチェット体は、前記接触面が内側に窪んだ形状を有し、前記接触面の中間箇所にフランジが突設されていることを特徴とする請求項1に記載のラチェットレンチ。
【請求項4】
前記制御部材は、上端に切替部材が設けられており、
前記切替部材は前記制御穴から露出していることを特徴とする請求項1に記載のラチェットレンチ。
【請求項5】
前記接触面に対応する前記押圧部の一方は突出円弧状であることを特徴とする請求項1に記載のラチェットレンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラチェットレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のラチェットレンチを開示したものであり、ラチェットレンチは、ラチェット体1が収容穴4の内壁面上を押圧し、ラチェット体1とラチェット環2とは相互に噛み合っている。その後、ラチェット体1は一方で弾性体3の押圧を受けるため、ラチェット体1の背部はくり貫き状でありいかなる支持点もない。
よって、ラチェット体1が力を受けて一定値に達する時、くり貫いた背部は抵抗を受けず、いかなる反作用力が生じることもない。ラチェット体1はその一方の支持点を支点として偏る動作をし、ラチェット体1のもう一端のラチェットは若干その噛合状態から離脱してシーソー効果を生じる。このシーソー効果によって、ラチェット体1が前の少数のラチェットに噛み合って受ける力が引き起こされるため、ラチェット体1のラチェットにはひびが入り易く、ラチェットレンチの破損が生じるおそれがある。
【0003】
これに関し、市場には二つの剛性支点を有するラチェットレンチが現れた。これは図2に示すとおりであり、ラチェットレンチのラチェット体1は弾性体3の弾力によりラチェット体1一端の円弧面が収容穴4の内壁面上に係止され、ラチェット体1の他端は上部片5が凹部6の上面を押圧するのを受けて、ラチェット体1の両端が剛性支点の押圧を受けるため、ラチェット体1のラチェットを動かす時にラチェット環2のラチェットと密着し、力は平均的に力を受ける歯面上の各歯にかかる。
よって、従来のように、ラチェット体の力が少数のラチェットに集中して全てのラチェットが噛み合った状態、即ち、各ラチェットすべてが力を受けることがなくなる。これにより、受ける力を分散させる目的を達成し、確実に噛み合うラチェット数が、従来ラチェット体が実際に力を受けるラチェット数よりも多くなり、各ラチェットが噛み合って受ける力が更に安定して確実なものとなり、ラチェットレンチは更に高いねじり力に耐えることができる。
【0004】
しかし、ラチェットレンチのラチェット体1が弾性体3の押圧により、ラチェット体1一端は収容穴4の内壁面に係止され、他端はちょうど上部片5から押され、ラチェット体1左右両端の剛性支点が形成される。ただ、弾性体3はラチェット体1の上側が押圧され、ラチェット体1の上下が受ける力が不均等となるおそれがあり、ラチェット体1の受ける力が一定値に達すると、押される力を受けておらず、いかなる支持点もない下側に、噛み合っている状態が離脱するおそれがあるため、ラチェット環2との噛合を確実に行うのは難しい。
【0005】
図3乃至図5に示したのは、別の従来のラチェットレンチである。ラチェットレンチは弾性体3でラチェット体1を押してそれに接触することで、ラチェット体1はラチェット環2の外側周囲に噛み合う。しかし、ラチェット体1がただ一方で押圧を受けるため、ラチェット体1のもう一方はくり貫き状となり、いかなる支持点もない。
これにより、ラチェット体1は力を受けて一定値に達した時、そのくり貫きのある側は係止されることなく、いかなる反作用力も生じないため、ラチェット体1はその一方の支持点を支点として偏る動作をし、ラチェット体1のもう一端のラチェットは噛合状態から若干離脱し、シーソー効果を生じる。このシーソー効果がラチェット体1のラチェットを支える力の不均衡をまねくため、ラチェットが噛合状態で力を受ける時、割れるおそれがあり、さらにラチェットレンチの損傷でねじり力が不足することもある。
【0006】
前述に鑑み、市場では別の一種のラチェットレンチが現れた。これは図6に示すとおりであり、ラチェットレンチの制御部材7のラチェット体1方向の一方に二つの位置制限穴8があけられ、それらの位置制限穴8にはそれぞれ弾性体3を収納し、位置制限穴8は制御部材7の上下に配列する。これらの弾性体3は、それぞれ、ラチェット体1の上方位置と下方位置に押圧される。
これにより、ラチェット体1の上方と下方が同時にラチェット環2に噛み合う。実際に使用される場合、ラチェット体1とラチェット環2の間に油の汚れがありその噛合状態を阻止し影響を及ぼすなら、弾性体3は阻止を克服することができ、ラチェット体1の上方と下方は同時にラチェット環2と噛み合う状態となるため、シーソー効果の発生による局部の噛合という欠点を防ぐことができる。
【0007】
しかし、ラチェットレンチによって加工された各孔、穴等の空間について、その相互間の垂直度や平行度は極めて精密な公差内でのコントロールが難しいため、ラチェットレンチの精密加工では、コスト高、生産速度への深刻な影響、生産エネルギーの大幅な低下が引き起こされる。ラチェットレンチによって加工される各孔、穴間の垂直度或いは平行度が一般の公差範囲内である時、ラチェット体1とラチェット環2の噛合度が良好でないか完全噛合がなされない状況となり、応力集中によって歯が欠ける問題が発生する。
これに鑑み、本発明者は、前述の欠点を観察した後、従来のラチェットレンチにさらなる改良の必要性があることを考え、本発明の誕生に至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−44090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ラチェットの位置決め効果を高めるラチェットレンチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるラチェットレンチは、レンチ本体、ラチェット環、ラチェット体、および制御装置を備える。
レンチ本体は、ボディを有する。ボディの一端にはヘッド部を有する。ヘッド部は縦方向に形成される収納孔を有する。且つ、ヘッド部は、ボディの近接箇所に制御穴が縦方向に形成されている。ヘッド部は、収納孔に横向きの制動穴が形成されており、収納孔と制御穴が繋がっている。
ラチェット環は、収納孔に枢設されており、ラチェット環の外周には複数の駆動歯が繞設されている。ラチェット環の中央には制動部材が設けられている。制動部材は対応する作業対象物を動かすのに用いられる。
ラチェット体は、制動穴内に設けられている。ラチェット体は収納孔の一方に複数のラチェットが設けられている。ラチェットはラチェット環の駆動歯の噛合を選択可能である。また、制御穴側のラチェット体の一方には接触面が形成されている。
制御装置は制御穴に設けられている。制御装置は制御部材を有する。制動穴側の制御部材の一方には縦向きの矩形位置制限穴が形成されている。矩形位置制限穴は矩形バネを挿入するのに用いられる。矩形バネは押圧部を弾力的に押圧する。押圧部は矩形位置制限穴に対応してほぼ矩形長板状である。押圧部は縦向きにラチェット体の接触面を押圧する。また、制御部材には切替部材が設けられており、切替部材はヘッド部に露出する。
【0011】
本発明によるラチェットレンチは、押圧部が縦向きにラチェット体の接触面を押圧するもので、押圧する力を受ける面積を拡大させる他、ラチェット体の上下を同時にラチェット環に噛み合せることで、局部噛合による応力集中で歯が折れる状況を防ぎ、ラチェット位置決め効果と噛合の安定性を高め、従来ラチェットレンチが多くの弾性位置決め部材を用いてラチェット体を押圧する際に生じる平行度や垂直度の公差問題を克服することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来ラチェットレンチの断面図である。
図2】従来ラチェットレンチの断面図である。
図3】従来ラチェットレンチの断面図である。
図4】従来ラチェットレンチの断面図である。
図5】従来ラチェットレンチの模式図である。
図6】従来ラチェットレンチの断面図である。
図7】本発明の一実施形態によるラチェットレンチを示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態によるラチェットレンチを示す分解図である。
図9】本発明の一実施形態によるラチェットレンチを示す断面図である。
図10】本発明の一実施形態によるラチェットレンチを示す要部拡大図である。
図11】本発明の横断面図である。
図12】本発明の一実施形態によるラチェットレンチの使用状態を示す模式図であり、ラチェット体とラチェット環の噛合状態を示す。
図13】本発明の一実施形態によるラチェットレンチの使用状態を示す模式図であり、ラチェット体がバネと押圧部によって押された後の状態を示す。
図14】本発明の一実施形態によるラチェットレンチの使用状態を示す模式図であり、ラチェット体がバネと押圧部によって押された後の状態を示す。
図15】本発明の一実施形態によるラチェットレンチの使用状態を示す模式図であり、方向変換をコントロールした後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(一実施形態)
図7図11に、本発明の一実施形態によるラチェットレンチを示す。ラチェットレンチの構造には以下のものが含まれる。
【0014】
レンチ本体10は、ボディ11を有する。ボディ11の一端にはヘッド部12を有し、ヘッド部12は相対する上面121と底面122を有し、ヘッド部12には上面121と底面122を貫通する収納孔13が形成されている。収納孔13は円形をなし、収納孔13の中心軸は上面121と底面122に対して垂直であり、ヘッド部12の上面121のボディ11近接箇所には制御穴14が形成されている。制御穴14はほぼ円形をなし、制御穴14の中心軸は収納孔13の中心軸に平行する。
ヘッド部12には収納孔13のボディ11に近接する箇所にさらに制御穴14に繋がる制動穴15が形成されており、制動穴15には相対する第一ホールド面151と第二ホールド面152が形成されている。第一ホールド面151と第二ホールド面152はいずれもヘッド部12の上面121からヘッド部12の底面122に延長され、制動穴15は収納孔13から制御穴14に向かって徐々に収縮する。
【0015】
ラチェット環20は、ヘッド部12の収納孔13に枢設され、ラチェット環20の外周には複数の駆動歯21が設けられ、ラチェット環20の中央には制動部材22が設けられている。制動部材22は対応する作業対象物を動かすのに用いられ、本発明における制動部材22はスリーブに対応する方形頭凸部を選択する。
【0016】
ラチェット体30は、制動穴15内に設けられている。ラチェット体30はラチェット環20を選択して噛合する。ラチェット体30は収納孔13の一方に複数のラチェット31が設けられ、ラチェット31はラチェット環20の駆動歯21に噛合する。また、制御穴14方向のラチェット体30の一方には接触面32が形成されている。接触面32は内側に窪んだ円弧状をなし、接触面32の中間箇所には制御穴14の中心軸の縦向きの突出に対応させるフランジ33が設けられ、接触面32はフランジ33によって、それぞれその両側に第一接触面321と第二接触面322が形成される。
ラチェット体30は第一ホールド面151方向の一方には、対応する第一押圧面341がさらに形成され、第一押圧面341は第一ホールド面151との密着を選択でき、ラチェット体30の第二ホールド面152方向の一方には、対応する第二押圧面342がさらに形成され、第二押圧面342は第二ホールド面152との密着を選択できる。
【0017】
制御装置40は、制御穴14に設けられ、ラチェット体30とラチェット環20の噛合を選択可能である。制御装置40は制御部材41を有する。制御部材41は制御穴14内に設けられ、制御部材41は連結部42を有し、連結部42は制御穴14を突出し、制動穴15から露出され、制御部材41とレンチ本体10間には相対する枢着関係が生じ、連結部42はラチェット体30方向の一方に縦向きの矩形位置制限穴43が形成される。矩形位置制限穴43はラチェット体30に対応するもので、制御穴14の中心軸に沿って縦方向に連結部42が設けられる。矩形位置制限穴43には矩形バネ44が挿入される。矩形バネ44は矩形位置制限穴43に対応してその断面はほぼ矩形状をなし、矩形バネ44は押圧部45を弾力的に押圧する。
押圧部45の縦向き長さはほぼラチェット体30の縦向き高さに対応し、押圧部45は矩形位置制限穴43に対応してほぼ矩形長板状をなす。押圧部45の一端は、矩形位置制限穴43内におさめられて矩形バネ44と接触し、押圧部45のもう一端は、矩形位置制限穴43を突出し、制御穴14の中心軸に沿って縦向きにラチェット体30の接触面32を押圧し、押圧部45は接触面32の一方に対応して突出円弧状をなす。
また、制御部材41は連結部42に対して切替部材46が設けられ、切替部材46はヘッド部12の上面121に露出する。
【0018】
底板50は、ヘッド部12の底面122に螺着されており、対応するラチェット環20の外周に繞設され、ラチェット環20を収納孔13内に固定し、ラチェット体30を制動穴15内に位置限定する。
【0019】
図12に示すとおり、図8及び図9に示すように、使用者が作業対象物を回して締める作業を行う時、ラチェットレンチは押圧部45によって縦向きにラチェット体30の接触面32を押圧することで、ラチェット体30はラチェット環20と噛合し、レンチ本体10に対して回動し、ラチェット体30の第一押圧面341は第一ホールド面151を押圧する。この時、第一押圧面341が第一ホールド面151と密着することにより、大面積の剛性支持面が形成される。さらに、押圧部45が縦向きにラチェット体30の接触面32を押圧することで、押圧部45は大面積の力を働かせてラチェット体30を押圧し、押圧部45は同時にラチェット体30の上方位置、中間位置、及び下方位置を押圧する。
これにより、ラチェット体30を動かす時、ラチェット環20を完全に緊密に噛合させ、また、歯面上の各歯が受ける力が平均的となり、各歯の噛合で受ける力は平均的に安定し、確実となる。よって、歯が抜けてラチェットの受ける力が不均衡となる状況の発生を防ぎ、ラチェットレンチはラチェット位置決め効果と噛合の安定性を高め、更に高いねじり力に耐えることができる。
【0020】
押圧部45は同時にラチェット体30の上方位置、中間位置、下方位置を押圧するため、使用時、ラチェット体30とラチェット環20間に油汚れがあった場合でも、縦向きにラチェット体30の押圧部45の大面積を押圧することでこの問題を克服し、ラチェット体30の上方、中間、下方を同時にラチェット環20に噛合させるため、一部噛合という欠点を引き起こすことがなく、ラチェット体30とラチェット環20間に高速噛合効果を発揮させ、噛合の安定性を高め、歯が折れる状況を減少させる効果をも有する。
【0021】
図13及び図14に示すように、使用者がレンチ本体10を逆に回すと、ラチェット環20はラチェット体30を開く力が矩形バネ44が弾力的に押圧部45を押圧してラチェット体30を押し上げる力より大きくなる。そのため、ラチェット体30には後退する動作が生まれ、作業対象物とラチェット環20はレンチ本体10と一緒に逆回転することがない。
【0022】
図15図8を参照する。図に示されるように、使用者が方向を変換させるためにレンチ本体10を操作する場合は、ただ切替部材46を動かすだけでよい。これにより、押圧部45はラチェット体30の第一接触面321を押圧している状態からラチェット体30の第二接触面322を押圧する状態に変換される。これにより、ラチェット体30がすぐに押圧されて第二ホールド面152に剛性支持面が形成され、使用者はレンチ本体10を逆方向に操作できる。
【0023】
ラチェット体30は第一接触面321と第二接触面322間にフランジ33が設けられているため、押圧部45がラチェット体30を押圧する時、位置限定効果が生まれ、押圧部45は第一接触面321或いは第二接触面322をはっきりと選択して押圧することで、押圧部45がラチェット体30を押圧する効果を高め、これにより、ラチェット体30とラチェット環20間にはさらに良好な噛合効果が生まれる。
【0024】
ここで注意すべき点は、ラチェットレンチは単一の押圧部45が縦向きにラチェット体30の接触面32を押圧して、ラチェット体30は上下同時にラチェット環20を噛合することで、従来ラチェットレンチにある、多くの弾性位置決め部材を用いてラチェット体が生じさせる平行度或いは垂直度の公差問題を克服し、さらに生産コストを削減し、生産速度及び生産エネルギーを高め、経済効果の増進を促すことができる。
【0025】
さらに、本発明の特徴及び予期される効果については下記のとおりである。
【0026】
本発明のラチェット位置決め効果を高めるラチェットレンチは、押圧部を縦向きにラチェット体の接触面を押すことで、押圧の力を受ける面積を拡大するだけでなく、ラチェット体の上下を同時にラチェット環に噛合させる。これにより、局部噛合によって応力集中を引き起こし歯が折れてしまう状況の発生を防ぎ、ラチェット体とラチェット環間の油汚れの問題を克服し、ラチェット位置決め効果と噛合の安定性を高め、従来ラチェットレンチが多数の弾性位置決め部材がラチェット体を押すことで生じる平行度や垂直度の公差問題を克服することができる。
【符号の説明】
【0027】
10 レンチ本体、
11 ボディ、
12 ヘッド部、
121 上面、122 底面、
13 収納孔、
14 制御穴、
15 制動穴、
151 第一ホールド面、152 第二ホールド面、
20 ラチェット環、
21 駆動歯、
22 制動部材、
30 ラチェット体、
31 ラチェット、
32 接触面、
321 第一接触面、322 第二接触面、
33 フランジ、
341 第一押圧面、342 第二押圧面、
40 制御装置、
41 制御部材、
42 連結部、
43 矩形位置制限穴、
44 矩形バネ、
45 押圧部、
46 切替部材、
50 底板。
【要約】
【課題】ラチェット位置決め効果を高めるラチェットレンチを提供する。
【解決手段】ラチェットレンチは、制御部材41の縦方向に矩形長板状である押圧部45が設けられており、押圧部45が縦向きにラチェット体30の接触面32を押圧する。これにより、ラチェット体30の上下が同時にラチェット環20に噛み合うことで、ラチェット位置決め効果と噛合の安定性を高め、局部噛合による応力集中で歯が折れる状況が発生するのを防ぎ、従来のラチェットレンチが多くの弾性位置決め部材を用いてラチェット体を押圧する際に生じる平行度または垂直度の公差問題を克服することができる。
【選択図】 図8
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15