特許第5914648号(P5914648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5914648脱離基がアミノ基またはアルキルアミノ基を含むマロン酸誘導体の白金錯体及びその調製方法と応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914648
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】脱離基がアミノ基またはアルキルアミノ基を含むマロン酸誘導体の白金錯体及びその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
   C07C 229/24 20060101AFI20160422BHJP
   A61K 33/24 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20160422BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160422BHJP
   C07F 15/00 20060101ALN20160422BHJP
【FI】
   C07C229/24CSP
   A61K33/24
   A61K45/00
   A61P35/00
   !C07F15/00 F
【請求項の数】22
【全頁数】87
(21)【出願番号】特願2014-519389(P2014-519389)
(86)(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公表番号】特表2014-523905(P2014-523905A)
(43)【公表日】2014年9月18日
(86)【国際出願番号】CN2012078302
(87)【国際公開番号】WO2013007172
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2014年1月9日
(31)【優先権主張番号】201110192289.8
(32)【優先日】2011年7月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514008398
【氏名又は名称】北京市▲豊碩維▼康技▲術開発▼有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小平
(72)【発明者】
【氏名】▲閻 亜▼矢
(72)【発明者】
【氏名】孟 小平
(72)【発明者】
【氏名】▲趙 鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲澤軍▼
(72)【発明者】
【氏名】温 守明
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/006908(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/091790(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0205677(US,A1)
【文献】 米国特許第04322362(US,A)
【文献】 特開2011−105736(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/087976(WO,A1)
【文献】 特表2007−532494(JP,A)
【文献】 Chemical Communications,2009年,(44),p.6735-6737
【文献】 ChemMedChem,2009年,4(10),p.1677-1685
【文献】 European Journal of Medicinal Chemistry,1997年,32(10),p.823-831
【文献】 Aronov, Olga; Horowitz, Aviva T.; Gabizon, Alberto; Fuertes, Miguel A.; Perez, Jose Manuel; Gibson, Dan,Nuclear Localization signal-targeted poly(ethylene glycol) conjugates as potential carriers and nuclear localizing agents for carboplatin analogues,Bioconjugate Chemistry,2004年,15(4),814-823
【文献】 Ndinguri, Margaret W.; Solipuram, Rajasree; Gambrell, Robert P.; Aggarwal, Sita; Hammer, Robert P.,Peptide Targeting of Platinum Anti-Cancer Drugs,Bioconjugate Chemistry,2009年,20(10),1869-1878
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 229/00
A61K 33/00
A61K 45/00
C07F 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式A
【化1】
(式中、R及びRは、同一であっても異なってもよく、水素原子、及びアルキル基から選択されるか、或いは、R、R及びNは、含窒素飽和環を形成する。
はアルキレン基である。
及びRは水素原子であるか或いは、及びは、一緒になってアルキレン基を形成し、アルキレン基には飽和炭素環が縮合してもよく、ヒドロキシアルキル基又は含酸素飽和環が置換してもよい。)で表される化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、または異性体。
【請求項2】
とRとその接続原子は、一緒になって四員環、五員環、六員環、七員環または八員環の閉環を形成する請求項1に記載の白金化合物。
【請求項3】
下記一般式Bで表される(式中、R、R及びRは、請求項1に記載されている)請求項1または2に記載の白金化合物。
【化2】
【請求項4】
及びRは独立して水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基であり、Rは−CH−CH−または−CH−CH−CH−であり、R及びRは水素原子であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の白金化合物。
【請求項5】
下記一般式C
【化3】
(式中、
【化4】
は、
【化5】
のいずれかである。
式中、R及びRは、同一であっても異なってもよく、水素原子、及びアルキル基から選択されるか、或いは、R、R及びNは、含窒素飽和環を形成する。
はアルキレン基である。
は、−(CH−(nは16であり、かつ、いくつかの−CH−が−O−で置換されてもよい)であり、(CHの一つ以上の水素アルキル基、ヒドロキシ基、及び含酸素飽和環のいずれかで置換されてもよい。
は−(CH−(nは0〜3であり、いくつかの−CH−は−O−で置換されてもよい。)であり、(CHの一つ以上の水素アルキル基、ヒドロキシ基、及び含酸素飽和環のいずれかで置換されていてもよい。
及びRは水素原子ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、及び含酸素飽和環のいずれかであり、R及びRは、同一であっても異なってもよい。
10及びR11は水素原子ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、及び含酸素飽和環のいずれかであり、R10及びR11は、同一であっても異なってもよい。
12は、−(CH−(n=2〜4であり、いくつかの−CH−が−O−で置換されてもよい)であり、(CHの一つ以上の水素アルキル基、ヒドロキシ基、及び含酸素飽和環のいずれかで置換されてもよい。
13は、−CH−または−O−である。
14は水素原子アルキル基、含酸素飽和環、ヒドロキシアルキル基またはヒドロキシ基である。
15は−(CH−(nは1〜3)、−CH−O−、−CH−O−CH−または−O−であり、(CHの一つ以上の水素がアルキル基、含酸素飽和環、ヒドロキシ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかで置換されてもよい。)で表される請求項1に記載の白金化合物。
【請求項6】
が、(CH(nは35である)である請求項5に記載の白金化合物。
【請求項7】
が、(CHである請求項5に記載の白金化合物。
【請求項8】
及びRが、ヒドロキシメチル基である請求項5から7のいずれかに記載の白金化合物。
【請求項9】
10及びR11が、ヒドロキシメチル基である請求項5から8のいずれかに記載の白金化合物。
【請求項10】
13が、−CH−である請求項5から9のいずれかに記載の白金化合物。
【請求項11】
14が、水素原子である請求項5から10のいずれかに記載の白金化合物。
【請求項12】
15が、−CH−O−CH−である請求項5から11のいずれかに記載の白金化合物。
【請求項13】
以下の構造を有する(式中、R、R及びRは、請求項5に記載されている。)請求項5に記載の白金化合物。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【請求項14】
化合物が以下から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、または異性体。
化合物1: 2−(2−メチルアミンエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物2: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物3: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物4: 2−(3−アミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物5: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物6: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物7: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物8: 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物9: 2−(2−アミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物10: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物11: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物12: 2−(2−エチルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物13: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物14: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物15: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物16: 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物17: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−トランス−シクロペンタンジアミン))白金(II)
化合物18: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−トランス−シクロブタンジアミン))白金(II)
化合物19: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−トランス−シクロプロパンジアミン))白金(II)
化合物20: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,2−エチレンジアミン)白金(II)
化合物21: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−プロパンジアミン)白金(II)
化合物22: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−ブタンジアミン)白金(II)
化合物23: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン)白金(II)
化合物24: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−ジヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II)
化合物25: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)
化合物26: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)
化合物27: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)
化合物28: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン)白金(II)
化合物29: 2−(3−(1−ピペリジニル)−プロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物30: 2−(3−(1−ピロリジニル)−プロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
【請求項15】
薬学的に許容される塩であることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の化合物の塩。
【請求項16】
硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、及びアスパラギン酸塩のいずれかである請求項15に記載の化合物の塩。
【請求項17】
請求項1から14のいずれかに記載の化合物及び請求項15または16に記載の化合物の塩の少なくともいずれか、並びに薬学的に許容可能な担体を含み、かつ、任意の剤形であってもよく、さらに一つ以上の他の癌治療薬剤を含んでも含まなくてもよい医薬組成物。
【請求項18】
注射剤の形態である請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
下記のステップ
【化12】
、或いは下記のステップ
【化13】
(ただし、
【化14】
は、
【化15】
のいずれかであって、
式中、Rは、−(CH−(nは16であり、かつ、いくつかの−CH−が−O−で置換されてもよい)であり、(CHの一つ以上の水素アルキル基、ヒドロキシ基、及び含酸素飽和環のいずれかで置換されてもよい。
は−(CH−(nは0〜3であり、いくつかの−CH−は−O−で置換されてもよい。)であり、(CHの一つ以上の水素アルキル基、ヒドロキシ基、及び含酸素飽和環のいずれかで置換されていてもよい。
及びRは水素原子ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、及び含酸素飽和環のいずれかであり、R及びRは、同一であっても異なってもよい。
10及びR11は水素原子ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、及び含酸素飽和環のいずれかであり、R10及びR11は、同一であっても異なってもよい。
12は、−(CH−(n=2〜4であり、いくつかの−CH−が−O−で置換されてもよい)であり、(CHの一つ以上の水素アルキル基、ヒドロキシ基、及び含酸素飽和環のいずれかで置換されてもよい。
13は、−CH−または−O−である。
14は水素原子アルキル基、含酸素飽和環、ヒドロキシアルキル基またはヒドロキシ基である。
15は−(CH−(nは1〜3)、−CH−O−、−CH−O−CH−または−O−であり、(CHの一つ以上の水素がアルキル基、含酸素飽和環、ヒドロキシ基、及びヒドロキシアルキル基のいずれかで置換されてもよい。)
を含む請求項1に記載の化合物の調製方法。
【請求項20】
請求項1から14のいずれかに記載の化合物、請求項15または16に記載の化合物の塩、それらの薬学的に許容される溶媒和物、または異性体或いは請求項17または18に記載の医薬組成物の細胞増殖性疾患治療薬物の調製における使用
【請求項21】
細胞増殖性疾患が、癌である請求項20に記載の医薬組成物の細胞増殖性疾患治療薬物の調製における使用
【請求項22】
細胞増殖性疾患が、乳癌、肺癌、結腸癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、骨肉腫、子宮頸癌、膀胱癌、肝臓癌、脳腫瘍、前立腺癌、及び黒色腫のいずれかである請求項20に記載の医薬組成物の細胞増殖性疾患治療薬物の調製における使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗細胞増殖性疾患の白金化合物、特に脱離基がアミノ基、アルキルアミノ基を含むマロン酸誘導体の白金化合物、その調製方法及び応用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌(悪性腫瘍)は、現在、人間の命へ脅威を与える最も主要な疾患の一つである。近年では、癌の発生率と死亡率が急激に上昇し、世界保健機関(WHO)による腫瘍発展傾向は、1996年以来、全世界で毎年新たに診断されたがん患者が1,000万人以上であり、1999年末までに、世界中での患者総数が4,000人以上に達して、毎年世界中で約700万人が種々の腫瘍で死亡し、2001年の世界がん発生率と死亡率が1990年と比べて22%増加し、心血管疾患に次ぐ第2位の死亡原因となり、最も一般的な増癌が、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、胃癌、肝臓癌、子宮頚癌、食道癌、膀胱癌であることを示した。第10回全国臨床腫瘍学術大会は、2006年中国における癌発生率と死亡率など権威ある調査データを発表し、2006年の中国の癌死亡が300万人であり、毎年212万人の癌患者が増加することを示している。癌死亡率の中で、肺癌は第1位である。専門家は2020年までに、死者数は400万人を超え、2025年までに、がんは世界の最大の死亡原因になることを予測している。
【0003】
癌の臨床治療は手術、放射線療法と化学療法の3つの主な方法があり、抗がん剤は最も一般的な治療法であり、2008年全世界市場で抗がん剤の売上高は480億ドルである。現在の臨床抗癌剤は主にアルキル化剤、代謝拮抗剤、金属白金、植物アルカロイド及びその他の天然薬物、細胞傷害性抗生物質などのカテゴリに分けることができる。白金系抗癌剤は最も重要な抗腫瘍薬であり、1960年代に初めて開発されました。その独自の作用メカニズム及び優れた抗腫瘍選択性は従来の細胞毒性抗癌剤との重要な違いとなる。その主なターゲットはDNAであり、DNA鎖内及びDNA鎖間に橋をかけ、白金錯体〜DNA複合体を形成してDNAの複製を阻害し、或いは核タンパク質及び細胞質タンパク質と結合する細胞周期に非特異的薬剤である。シス−ジアミンジクロロ白金、すなわちシスプラチン(Cisplatin)、シス−ジアミン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)、すなわちカルボプラチン(Carboplatin)、シス−ジアンミングリコラト白金、すなわちネダプラチン(Nedaplatin)、シス−オキサレート−(トランス−L−1,2−シクロヘキサンジアミン)−白金(II)、すなわちオキサリプラチン(Oxaliplatin)、シス−[(4R,5R)−4,5−ビス(アミノメチル)−2−イソプロピル−1,3−ジオキサン](二座)白金、すなわちSunpla及び1,2−ジアミノメチル−シクロブタン−乳酸白金、即ちロバプラチン(Lobaplatin)などはすでに続々と開発され、白金系抗癌剤は抗腫瘍スペクトラムが広く、効果が強いなどの特性を有し、かつ、他の抗癌剤との良好な相乗効果を有するため、既存の腫瘍に対する抑制率を向上するだけでなく、抗腫瘍スペクトルをも拡大し、それによって白金系抗癌剤が臨床治療に重要な位置を占めている。1995年、WHOは百種以上の抗癌剤に対してランク付けした結果、シスプラチンは効果及び市場などの方面での総合評価が第二位となった。統計データは、中国の70%〜80%の化学療法が白金を主とするまたは白金系剤を配合することを示している。
【0004】
しかしながら、従来の白金抗癌剤は毒性が大きく(例えば、骨髄抑制、腎毒性、神経損傷)、難溶性、比較的狭い抗癌スペクトル、そして薬剤耐性などの欠点がある。従って、新たな白金系抗がん剤の設計と合成は、依然として現在抗がん薬研究の主な方向の一つである(非特許文献1)。
【0005】
過去二年間、白金化学療法薬物の毒性を低減し、効果を向上させ、腫瘍の再発を減少させ、薬剤耐性の発生を回避し、そして、白金化合物の水溶性を向上させるために、人々は、多くの研究を行っている。例えばシスプラチンの溶解度は2.65mg/mlであり、オキサリプラチンの溶解度は7.9mg/mlであり、カルボプラチンの溶解度は17.8mg/mlであり、ミノプラチナ(minoplatin)の溶解度は27mg/mlであり、そして、オキサリプラチン及びカルボプラチンの毒性はシスプラチンと比べてある程度減少した。しかし、以上のいわゆる水溶性白金化合物の溶解性が依然として僅かに可溶性または難溶性である。Murray A.Planたちは白金化合物のアルコールのナトリウム塩を調製し、インビトロで溶解性を効果的に向上させたが(特許文献1)、該化合物がpH10以上の条件のみで溶解し、毒性の問題も効果的に解決されていなかった。Giulia Cたちも、一連の白金化合物を調製したが、これらの化合物の溶解度が大幅に改善されなかった(非特許文献2)。特許文献2にも、特定の構造を有する一連の白金化合物を開示したが、同様に、溶解性及び毒性の問題をうまく解決できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4322362A号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/091790A1号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】M A Jakuper,M.Galanski,B.K.Keppler.Tumour−inhibiting platinum complexes−state of art and future perspectives,Rev.Physiol Biochem Pharmacol,2003,146,1−53
【非特許文献2】Chem Med Chem,2009,4(10), 1677−1685
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、増殖性疾患の治療のための、特に化合物構造中の脱離基がアミノ基、アルキルアミノ基を含むマロン酸誘導体の白金化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体またはプロドラッグを提供し、従来技術の抗腫瘍白金化合物と比べて、溶解度が大きく向上し、毒性が大幅に減少し、予期しない技術的効果をもたらす。これらの化合物の構造は、下記一般式Aで表される:
【化1】
式中、
及びRは、同一であっても異なってもよく、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基、ヘテロ環、アルケニル基、アルキニル基であってもよいが、これらに限定されなく、上記炭化水素基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基及びヘテロ環は置換もしくは非置換であってもよいが、好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環によって置換され、ただRまたはRが不飽和結合を有する場合、該不飽和結合の原子が窒素原子に直接に接続してはいけない。
はアルキル基、シクロアルキル基、−R31−O−R32−であってもよいが、これらに限定されなく、R31及びR32は独立して結合またはアルキル基から選択され、R31は窒素原子に接続し、ただR31は不飽和結合を含有する場合、該不飽和結合の原子が窒素原子に直接に接続してはいけなく、上記アルキル基またはシクロアルキル基は置換もしくは非置換であってもよいが、好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アルコキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環によって置換される。
及びRは同一であっても異なってもよく、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、ヘテロ環基、アルケニル基、アルキニル基であってもよいが、これらに限定されなく、上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノアルキル基及びヘテロ環基は置換もしくは非置換であってもよいが、好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、直鎖または分枝鎖アルキル基及びアルコキシアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロ環によって置換される。
とRとその接続原子は、一緒になって閉環を形成してもよく、例えば四員、五員、六員、七員または八員環を形成し、これらの環は、任意選択で他の環と融合してもよいし、任意選択で置換されていてもよい。
好ましくは、R及びRは、水素原子、C1−8のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルキルアミノ基、ヘテロ環から選択され、RはC2−10のアルキル基、シクロアルキル基であってもよいが、これらに限定されなく、R及びRは、水素原子、ヒドロキシ基、C1−8のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、へテロ環から選択される。
【0009】
より好ましくは、本発明は、一般式Bで表される化合物及びその薬学的に許容される塩を提供する。
【化2】
式中、R、R、Rは上記と同様に定義される。
最も好ましくは、R及びRは、水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基であり、Rはエチル基またはプロピル基である。
【0010】
本発明はさらに、一般式Cで表される化合物及びその薬学的に許容される塩(即ち、RとRとその接続原子が一緒に形成している閉環化合物)を提供し、構造式は以下の通りである。
【化3】
式中、官能基R、R、Rは上記と同様に定義され、
【化4】
は下記一般式で表されるものであること好ましいが、これらに限定されない。
【化5】
そして、上記の構造は、任意選択で様々な適切な置換基に接続してもよい。
【0011】
一般式(C)の白金錯体は、Rが(CH(nは1−6であり、好ましくは3−5、最も好ましくは4であり、かつ、いくつかの−CH−が−O−で置換されてもよい)であってもよいが、これに限定されない。(CHの一つ以上の水素はハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されてもよい。好ましい化合物は、(±)トランス−2−ヘキサン、ペンタン、ブタン、プロパンジアミン白金(II)である。Rは(CH(nは0〜3であり、好ましくは0〜2である。いくつかの−CH−は−O−で置換されてもよい。(CHの一つ以上の水素はハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基またはアルコキシ基で置換されてもよい。R及びRは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環であってもよいが、これらに限定されなく、R及びRは、同一であっても異なってもよく、ヒドロキシメチル基が好ましい(F)。R10及びR11は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシアルキル基、アルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環であってもよいが、これらに限定されなく、R10及びR11は、同一であっても異なってもよく、ヒドロキシメチル基が好ましい。R12は、(CH(nは2〜4であり、いくつかの−CH−が−O−で置換されてもよい)であってもよいが、これに限定されない。(CHの一つ以上の水素はハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換されてもよい。R13は、−CH−または−O−であってもよいが、−CH−が好ましい。R14は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキル基またはヒドロキシ基であってもよい。R14は、好ましくは水素原子である。R15は(CH(nは1〜3、−CH−O−または−O−であり、(CHの一つ以上の水素がアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基などで置換されてもよく、好ましくは−CH−O−CH−である)であってもよいが、これに限定されない。
【0012】
以下の構造を持つ化合物が好ましい。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0013】
本発明の最も好ましい化合物は以下の通りである。
化合物1: 2−(2−メチルアミンエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物2: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物3: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物4: 2−(2−アミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物5: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物6: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物7: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物8: 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)
化合物9: 2−(2−アミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物10: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物11: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物12: 2−(2−エチルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物13: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物14: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物15: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物16: 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)
化合物17: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−トランス−シクロペンタンジアミン)白金(II)
化合物18: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−トランス−シクロブタンジアミン)白金(II)
化合物19: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−トランス−シクロプロパンジアミン)白金(II)
化合物20: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,2−エチレンジアミン)白金(II)。
化合物21: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−プロパンジアミン)白金(II)
化合物22: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−ブタンジアミン)白金(II)
化合物23: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン)白金(II)
化合物24: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II)
化合物25: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)
化合物26: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)
化合物27: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)
化合物28: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン)白金(II)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載は、本発明の種々の用語を説明するための定義である。特別な事情による制限を除いて、次の用語は、明細書及び特許請求の全範囲を通して適用される(単独でまたは大規模な化学基の一部とする)。
【0015】
用語「アルキル基」は、1−20個の非置換の飽和炭素原子、好ましくは1−7個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の炭化水素基を指す。最も好ましくは、1−4個の炭素原子を有する非置換のアルキル基である。
【0016】
用語「置換アルキル基」は、1−4個の下記置換基で置換されたアルキル基を指す:ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、ヘテロ環オキシ基、オキソ基、アルカ
ノイル基、アリールオキシ基、アルカノイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アラルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、ヘテロ環アミノ基、置換第三級アミン(そのうち、2つの窒素の置換基はアルキル基、アリール基またはアラルキルから選択される)、アルカノイルアミノ基、アロイルアミノ基、アリールアルカノイルアミノ基、置換アルカノイル基、置換アリールアミノ基、置換アリールアルカノイル基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルチオカルボニル基、アリール基チオカルボニル基、アラルキルチオカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アラルキルスルホニル基、スルフィニルアミノ基(例えば、SO、NHなど)、置換スルフィニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルバミル(例えばCONH)、置換カルバミル(例えばCONHアルキル基、CONHアリール基、CONHアラルキル基または窒素上に2つの置換基が存在する場合、アルキル基、アリール基またはアラルキル基から選択される)アルコキシカルボニル基、アリール基、置換アリール基、グアニジノ基及びヘテロ環基(例えば、インドリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピリミジル基など)。上記置換基は、さらに、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはアラルキル基で置換されてもよい。
【0017】
用語「ハロゲン」または「ハロゲン化」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0018】
用語「アリール基」は環状部分が6−12個の炭素原子を有する単環式または二環式芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基及びジフェニル基)を指し、各々の炭素原子は置換されてもよい。
【0019】
用語「アラルキル」は、直接にアルキル基を介して結合するアリール基(例えば、ベンジル)を指す。
【0020】
用語「置換アリール基」は、1−4個の下記置換基で置換されたアリール基を指す:アルキル基、置換アルキル基、ハロゲン原子、トリフルオロメトキシル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、シクロアルキルアミノ基、ヘテロ環アミノ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロ環チオ基、ウレイド基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボキシアルキル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニルアミノ基、アリールオキシ基など。上記置換基は、さらに、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、置換アリール基、置換アルキル基または置換アラルキルで置換されてもよい。
【0021】
用語「アルケニル基」は2−20個の炭素原子、好ましくは2−15個の炭素原子、最も好ましくは2−8個の炭素原子を有し、かつ、1−4個の二重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。
【0022】
用語「置換アルケニル基」は1−2個の下記置換基で置換されたアルケニル基を指す:ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、アルキルチオカルボニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、グアニジノ基及びヘテロ環基(例えば、インドリル基、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピリミジル基など)。
【0023】
用語「アルキニル基または鎖状のアルキニル基」は2−20個の炭素原子、好ましくは2−15個の炭素原子、最も好ましくは2−8個の炭素原子を有し、かつ、1−4個の三重結合を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。
【0024】
用語「置換アルキニル基」は下記置換基で置換されたアルキニル基を指す:ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルカノイル基、アルカノイルオキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルカノイルアミノ基、チオール基、アルキルチオ基、アルキルチオカルボニル基、アルキルスルホニル基、スルフィニルアミノ基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルバモイル基、置換カルバモイル基、グアニジノ基及びヘテロ環基(例えば、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピリミジル基など)。
【0025】
用語「シクロアルキル基」は、好ましくは1−3環を有し、かつ各環が(さらに不飽和C3−C7炭素環と縮合してもよい)3−7個の炭素原子を有する(任意選択で置換されても良い)飽和環炭化水素環系を指す。例示的な基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基、アダマンチル基が挙げられる。例示される置換基は一つ以上の上記のアルキル基、または一つ以上の上記のアルキル置換基が含まれる。
【0026】
用語「ヘテロ環」、「ヘテロ環の」及び「ヘテロ環基」は任意選択で置換され、完全に飽和または不飽和の芳香族または非芳香族環基を指し、例えば、上記環は4−7員の単環、7−11員の二環または10−15員の三環系であり、そして、少なくとも1個の炭素原子を有する環内に少なくとも一つのヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を有するヘテロ環基の各リングには窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれるヘテロ原子1,2,3または4個を有していてもよく、上記窒素及び硫黄ヘテロ原子はまた、任意選択で酸化されていてもよく、かつ、窒素ヘテロ原子は、任意選択で四級化されていてもよい。上記複素環基は、任意のヘテロ原子または炭素原子で接続してもよい。
【0027】
例示的な単環式ヘテロ環基としてはピロリジニル基、ピロリル基、インドリル基、ピラゾリル基、オキセタニル基、ピラゾリニル基、イミダゾリル基、イミダゾリニル基、イミダゾリジニル基、オキサゾリル基、オキサゾリジニル基、イソオキサゾリニル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基、イソチアゾリル基、イソチアゾリジニル基、フリル基、テトラヒドロフリル基、チエニル基、オキサジアゾリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、2−オキソピペラジニル基、2−オキソピペリジニル基、2−オキソピロリジニル基、2−オキソアゼピニル基、アゼピニル基、4−ピペリドニル基、ピリジル基、N−オキソピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、チオモルホリニルスルホキシド、テトラヒドロチオピラニルスルホン、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソラニル基及びテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル基、ジオキサニル基、イソチアゾリジニル基、チエタニル基、チイラニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基などが挙げられる。
【0028】
例示的な二環式ヘテロ環基としてはベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチエニル基、キヌクリジニル基、キノリン基、キノリン−N−オキシド、テトラヒドロイソキノリン基、イソキノリン基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾピラニル基、インドリ
ジニル基、ベンゾフラニル基、クロモニル基、クマリニル基、1,2−ナフチリジニル基、キノキサリニル基、インダゾリル基、ピロロピリジル基、フロピリジル基(例えばフロ[2,3−c]ピリジル基、フロ[3,1−b]ピリジル基またはフロ[2,3−b]ピリジル基)、ジヒドロ−イソ−インドリル、ジヒドロ−キナゾリニル基(例えば、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル基)、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾジアジニル基、ベンゾフリル基、ベンゾチオピラニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル、ジヒドロ−ベンゾフリル基、ジヒドロ−ベンゾチエニル基、ジヒドロ−ベンゾチオピラニル基、ジヒドロ−ベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロ−ベンゾピラニル基、インドリニル基、イソクロマニル基、イソインドリニル基、1,5−ナフチリジニル基、2,3−ナフチリジニル基、3,4−メチレンジオキシベンジル基、プリニル基、ピリドピリジル基、キナゾリニル基、テトラヒドロキノリニル基、チエノフリル基、チエノピリジル基、チエノチエニル基などが挙げられる。
【0029】
エポキシドやアジリジンなどの小さいヘテロ環も含まれる。
【0030】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄及び窒素を指す。
【0031】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書に記載の化合物に存在する特定の置換基に応じて、比較的非毒性な酸または塩基によって製造される活性化合物の塩を指す。本発明の化合物が比較的酸性な官能基を含有する場合、該中性化合物を十分な量の所望の塩基と単独でまたは適当な不活性溶媒中で接触されることにより、塩基付加塩がえられる。医薬的に許容される無機塩基から形成される塩の具体例としては、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄、二価鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、二価マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などが挙げられる。医薬的に許容される有機塩基から形成される塩は一級、二級及び第三級アミン塩を含み、これらはさらにアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N、N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルコサミン、グルカミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの置換アミン、環状アミン、天然のアミン類などを含む。本発明の化合物が比較的塩基性な官能基を含有する場合、該中性化合物を十分な量の所望の酸と単独でまたは適当な不活性溶媒中で接触されることにより、酸付加塩がえられる。薬学的に許容される酸付加塩の具体例としては、無機酸から形成された塩(例えば、硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、硫酸塩、重硫酸塩、亜リン酸、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素塩などの無機酸塩)、比較的非毒性な有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)から形成される塩が挙げられる。また、アルギニンなどのアミノ酸の塩及びグルクロン酸またはガラクトン酸などの有機酸の塩を含む。好ましくは硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、硫酸塩、重硫酸塩、亜リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、アルギニン塩、グルクロン酸塩またはガラクトン酸塩である。
【0032】
本発明により提供されるいくつかの実施形態において、本発明の化合物は脱離基が塩基性基を有し、酸と反応して塩を形成することができ、当業者に周知の方法で白金(II)錯塩を調製することができる。例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの低級アルキルスルホン酸と反応すると、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩を形成することができ、ベンゼンスルホン酸またはp−トルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸と反応するとp−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩を形成することができ、酢酸、フマル酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸またはクエン酸などの有機カルボン酸と反応すると対応する塩を形成することができ、グルタミン酸またはアスパラギン酸などのアミノ酸と反応すると、グルタミン酸塩またはアスパラギン酸塩を形成することできる。硝酸、炭酸、硫酸またはリン酸などの無機酸と反応すると、対応する塩を形成することができる。適用の酸は有機酸、無機酸を含む。
【0033】
本発明の化合物とその塩の形態は、当技術分野従来の方法を通じて相互変換することができ、例えば、塩を塩基または酸に接触させてから、生成物を従来の方法で分離すると、遊離型の化合物を得られ、また、化合物を酸または塩基に添加してから従来の方法で生成物を分離すると、塩の形態を得られる。遊離形態の化合物の特定の物性(例えば極性溶媒への溶解性)は種々の塩形態と違うが、本発明の目的には、塩形態は親の化合物と同様な抗腫瘍効果を有する。
【0034】
塩形態に加えて、本発明は、プロドラッグがエステル形態である化合物を提供する。本明細書に記載されている化合物の「プロドラッグ」は生理的環境で本発明の化合物を得られる化学変化を起こしやすい化合物である。そして、インビトロ環境において、化学的または生化学的方法によりプロドラッグを本発明の化合物に変換することができる。例えば、適切な酵素または化学試薬を含む経皮パッチリザーバーに配置すると、プロドラッグを徐々に本発明の化合物を変換することができる。プロドラッグは、多くの場合、活性化合物に変換される前に薬理学的に不活性な化合物であるが、これは必ずではない。通常、薬剤中のおそらく活性部に必要な官能基を「前駆体基」で(以下に定義される)カバーすることによって、変換(例えば、特定の使用条件下での熱分解)を通じて官能基をリリースして活性薬物を得られる「前駆体部分」を形成して、プロドラッグを得る。加水分解、或いは他の作用物(例えば、酵素、光、酸、アルカリ)或いは物理的または環境パラメータの変化(例えば、温度変化)、或いは物理的または環境パラメータへの暴露により、前駆部分を触媒または誘発し、自発的に分解反応を起こさせることができる。使用環境に対して、作用物は内因性であってもよいし、例えば、プロドラッグ細胞内に存在する酵素または胃の酸性環境、或いは外部ソースによって提供されてもよい。
【0035】
「前駆体基」は、活性薬物の官能基をカバーして「前駆体部分」形成するために使用される場合の、薬物をプロドラッグに変換することができる保護基である。前駆体基は通常、結合を通じて薬剤の官能基に接続し、該結合は特定の使用条件下で開裂することができる。それで、前駆体基は前駆部分の一部であり、該前駆部分は特定の使用条件下で分解して官能基を放出する。具体例としては、アミド前駆部分−NH−C(O)CHのが、前駆体基−C(O)CHを含む。
【0036】
活性化合物の官能基をカバーしてプロドラッグを得るための様々な適切な前駆体基及び得られた前駆部分は当該技術分野でよく知られている。例えば、ヒドロキシル基をカバーしてスルホン酸エステル、エステル類(酢酸エチル、マレイン酸エステルなど)、または炭酸エステル前駆部分になることができ、該前駆体部分は、体内で加水分解によりヒドロキシル基を形成することができる。アミノ官能基をカバーしてアミド、カルバメート、イミン、尿素、ホスフェニル、ホスホリルまたはスルフェニル前駆部分になることができ、これらは生体内で加水分解によりアミノ基を形成することができる。カルボキシル基をカバーしてエステル(メチル、エチル、ピバロイルオキシメチル、シリルエステル及びチオエステルを含む)、アミドまたはヒドラジド前駆部分になることができ、これらは生体内で加水分解によりカルボキシル基を形成することができる。徐放性製剤もしくはプロドラッグ製剤として使用されるために、本発明は、当技術分野で周知の、溶解性または加水分解特性を変化するために用いられるエステル及びアシル基を含む。好適な前駆体基と対応する前駆体部分の具体例は、当業者にとって、明らかである。
【0037】
本発明の特定の化合物は、非溶媒和形態及び水和形態を含む溶媒和形態であってもよい。「溶媒和物」は溶剤分子と溶質分子またはイオンとの結合により形成される複合体である。溶媒は、有機化合物、無機化合物または両者の混合物であってもよい。溶媒の具体例としては、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、水が挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、かつ、本発明の範囲に含まれる。本発明の特定の化合物は、多結晶または非晶質の形態であってもよい。一般的に、本発明の意図されている目的について、すべての物理的形態は同一であり、かつ、本発明の範囲に含まれる。
【0038】
本発明の特定の化合物は不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し、そのラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体及び個々の異性体(例えば、単離されたエナンチオマー)は、すべで本発明の範囲に含まれる。従来の方法によりこれらの異性体を単離または不斉合成して、異性体を「光学的に純粋な」(即ち、基本的に他の異性体を含まない)ものにすることがきる。例えば、本発明の化合物の特定の鏡像異性体を得るためには、不斉合成によって調製してもよいし、またはキラル補助剤で誘導体化させ、得られたジアステレオマー混合物を分離してから、補助基を分解して純粋なエナンチオマーを得られる。或いは、分子がアミノなどの塩基性官能基またはカルボキシル基などの酸性官能基を含有する場合、適切な光学活性な酸または塩基で非対称異性化の塩形態を形成してから、当技術分野で周知の分別結晶化またはクロマトグラフィー法により、形成したジアステレオマーを分離して、純粋な鏡像異性体を回収する。
【0039】
本発明の化合物は、また、該化合物を構成する一つ以上の原子で、非正常の比の原子同位体を有してもよい。例えば、トリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)などの放射性同位元素を用いて化合物を標記することができる。放射性があるかどうかにかかわらず、本発明の化合物の同位体形態は、全て本発明の範囲に含まれる。
【0040】
本発明の別の目的は、上記化合物の調製方法を提供することである。
一、一般式(A)は以下のように調製する。
(1)塩化白金(II)酸カリウム塩化物の中に水を入れ、室温で撹拌しながら溶解し、ヨウ化カリウムを水で溶かした後、前記の塩化白金(II)酸カリウム塩化物溶液に添加し、N充填しながら、遮光、水浴の条件で反応させる。
(2)RNHを水で溶かした後、反応液(1)に滴下し、水浴で反応させる。
(3)反応溶液を室温以下に冷却し、RNHを水で溶かして、反応液(2)に滴下し、水浴で反応させたら、大量の黄色の沈殿物を生成し、反応溶液を室温以下に冷却し、吸引濾過し、洗浄してから、ジヨードジアミン白金(II)を得る。
(4)AgSOを水に入れて撹拌し、前記ジヨードジアミン白金(II)を反応混合物に入れてから、再び水を加え、N充填、遮光及び水浴の条件で反応させ、吸引濾過すると、ジアクアジアミン白金(II)硫酸塩をえる。
(5)マロン酸ジエチルを取り、Br−R−Brと一緒にフラスコに入れ、KCO及びテトラブチルアンモニウムブロマイドを添加して、撹拌し、加熱で反応させた後、吸引濾過し、固体を除去して洗浄し、濾液を合わせ、有機層を洗浄した後、乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、留出物を回収する。
(6)2−Br−R−マロン酸ジエチルをフラスコに入れ、無水KCOとアセトニトリルを添加して、撹拌する。また、反応液中にR−NH−Rを加え、加熱で反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、有機溶媒を加えて溶解させ、水溶液で洗浄し、有機層を乾燥させ、減圧下で溶媒を抽出して生成物をもらってから、精製する。
(7)(6)の反応生成物をフラスコに入れ、NaOH溶液を加え、室温で撹拌する。
(8)(7)の生成物を酸溶液で調整し、上記(4)の生成物を加え、加熱で反応させ、本発明の白金化合物を得る。
【0041】
好ましい調製方法は次のとおりである。
(1)塩化白金(II)酸カリウム塩化物の中に水を入れ、室温で撹拌しながら溶解し、ヨウ化カリウムを水で溶かした後、前記の塩化白金(II)酸カリウム塩化物溶液に添加し、N保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で30〜60分間反応させる。
(2)RNHを水で溶かした後、反応液(1)に滴下し、水浴で40〜60℃で30〜60分間反応させる。
(3)反応溶液を20℃以下に冷却し、RNHを水で溶かして、反応液(2)に滴下し、水浴で40〜60℃で30〜60分間反応させたら、大量の黄色の沈殿物を生成し、反応溶液を20℃以下に冷却し、吸引濾過し、水、無水エタノール、エーテルで順次洗浄してから、ジヨードジアミン白金(II)を得る。
(4)AgSOを水に入れて撹拌し、前記ジヨードジアミン白金(II)を反応混合物に入れてから、また水を加え、N保護、遮光及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させ、吸引濾過すると、ジアクアジアミン白金(II)硫酸塩をえる。
(5)マロン酸ジエチルを取り、Br−R−Brと一緒にフラスコに入れ、KCO及びテトラブチルアンモニウムブロマイドを添加して、撹拌し、油浴加熱で反応させた後、吸引濾過して固体を除去し、エーテルで洗浄し、濾液を合わせ、水で有機層を洗浄した後、乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、一定の真空度の留出物を回収する。
(6)2−Br−R−マロン酸ジエチルを三つ口フラスコに入れ、無水KCOとアセトニトリルを添加して、撹拌する。また、反応液中にR−NH−Rを加え、油浴加熱で反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチルを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し、有機層を乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、精製する。
(7)(6)の反応生成物をフラスコに入れ、NaOH溶液を加え、室温で撹拌する。
(8)(7)の生成物を酸溶液で調整し、上記(4)の生成物を加え、加熱で反応させ、本発明の白金化合物を得る
【0042】
【化12】
【0043】
第二、一般式(C)は以下のように調製する。
(1)塩化白金(II)酸カリウム塩化物の中に水を入れ、室温で撹拌しながら溶解し、ヨウ化カリウムを水で溶かした後、前記の塩化白金(II)酸カリウム塩化物溶液に添加し、N充填しながら、遮光、水浴の条件で反応させる。
(2)二座ジアミンNH−X−NHを水で溶かして、反応液(1)に滴下し、水浴で反応させたら、大量の黄色の沈殿物を生成し、反応溶液を室温以下に冷却し、吸引濾過し、洗浄してから、二座ジヨードジアミン白金(II)を得る。
(3)AgSOを水に入れて撹拌し、前記ジヨードジアミン白金(II)を反応混合物に入れてから、また水を加え、N充填、遮光及び水浴の条件で反応させ、吸引濾過すると、ジアクアジアミン白金(II)硫酸塩をえる。
(4)マロン酸ジエチルを取り、Br−R−Brと一緒にフラスコに入れ、KCO及びテトラブチルアンモニウムブロマイドを添加して、撹拌し、加熱で反応させた後、吸引濾過し、固体を除去して洗浄し、濾液を合わせ、有機層を洗浄した後、乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、留出物を回収する。
(5)2−Br−R−マロン酸ジエチルをフラスコに入れ、無水KCOとアセトニトリルを添加して、撹拌する。また、反応液中にR−NH−Rを加え、加熱で反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、有機溶媒を加えて溶解させ、水溶液で洗浄し、有機層を乾燥させ、減圧下で溶媒を抽出して生成物をもらってから、精製する。
(6)(5)の反応生成物をフラスコに入れ、NaOH溶液を加え、室温で撹拌する。
(7)(6)の生成物を酸溶液で調整し、上記(3)の生成物を加え、加熱で反応させ、本発明の白金化合物を得る。
【0044】
好ましい調製方法は次のとおりである。
(1)塩化白金(II)酸カリウム塩化物の中に水を入れ、室温で撹拌しながら溶解し、ヨウ化カリウムを水で溶かした後、前記の塩化白金(II)酸カリウム塩化物溶液に添加し、N保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で30〜60分間反応させる。
(2)二座ジアミンNH−X−NHを水で溶かして、反応液(1)に滴下し、水浴で40〜60℃で30〜60分間反応させたら、大量の黄色の沈殿物を生成し、反応溶液を20℃以下に冷却し、吸引濾過し、水、無水エタノール、エーテルで順次洗浄してから、二座ジヨードジアミン白金(II)を得る。
(3)AgSOを水に入れて撹拌し、前記ジヨードジアミン白金(II)を反応混合物に入れてから、また水を加え、N保護、遮光及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させ、吸引濾過すると、ジアクアジアミン白金(II)硫酸塩をえる。
(4)マロン酸ジエチルを取り、Br−R−Brと一緒にフラスコに入れ、KCO及びテトラブチルアンモニウムブロマイドを添加して、撹拌し、油浴加熱で反応させた後、吸引濾過して固体を除去し、エーテルで洗浄し、濾液を合わせ、水で有機層を洗浄した後、乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させ、一定の真空度の留出物を回収する。
(5)2−Br−R−マロン酸ジエチルを三つ口フラスコに入れ、無水KCOとアセトニトリルを添加して、撹拌する。また、反応液中にR−NH−Rを加え、油浴加熱で反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチルを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し、有機層を乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、精製する。
(6)(5)の反応生成物をフラスコに入れ、NaOH溶液を加え、室温で撹拌する。
(7)(6)の生成物を酸溶液で調整し、上記(3)の生成物を加え、加熱で反応させ、本発明の白金化合物を得る。
【0045】
【化13】
【0046】
本発明はまた、上記の化合物、その薬学的に許容される塩、立体異性体、プロドラッグまたはその溶媒和物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。組成物は、約0.01%〜約100%、好ましくは約0.1%〜約100%、より好ましくは約1%〜100%、さらにより好ましくは約20%〜約100%(重量)の本発明の一つ以上の化合物を含み、残りは適切な医薬担体及び/または賦形剤で構成する。当技術分野で周知の方法によって、適切な担体及び本発明の化合物を用いて、投与経路に相応しい組成物を形成することができる。
【0047】
単位用量の製剤中の活性化合物の量は、0.001mg程度から1000mg程度の間に変化してもよいが、好ましくは、0.01mg程度から500mg程度の間であり、より好ましくは、1mg程度から100mg程度の間であり、最も好ましくは、10mg程度から50mg程度の間である。
【0048】
投与経路としては、経口、局所、静脈内、皮下、経皮、皮膚浸透、筋肉内、関節内、非経口、動脈内、皮内、心室内、頭蓋内、腹腔内、損傷内、鼻腔内、直腸、膣、吸入またはリザーバー移植などが挙げられる。本明細書において使用される用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、損傷部位内、病巣内及び頭蓋内注射または注入の技術を含む。組成物の静脈内投与が好ましい。本発明の製剤はクイック、即時放出または長時間作用のように設計されてもよい。また、全身的な方法ではなく、局所的に化合物を投与することができ、例えば徐放性製剤を与える(例えば注射)。代表的な実施形態によれば、本発明の組成物は哺乳動物、好ましくはヒトに投与のための薬物に調製することができる。
【0049】
一つ以上の本発明の化合物を含む組成物を反復投与してもよいし(例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8回またはそれ以上)、連続注入によって組成物を与えてもよい。適切な投与部位としては、血管、筋肉、皮膚、気管支、腸胃、肛門、膣、眼と耳が挙げられるが、これらに限定されない。製剤は溶液、懸濁液、乳液、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、坐剤、停留浣腸剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、エアゾール剤などの液状剤形、凍結乾燥の粉末形態、固体または半固体にすることができるが、簡単かつ正確に所定用量を与えることに適用する単位剤形が好ましい。
【0050】
非経口投与については、組成物は、無菌注射溶液及び無菌包装粉末形態であってもよい。好ましくは、約4.5から約7.5までのpHで注射剤を調製することである。
【0051】
本発明の無菌の注射可能な組成物の形態は、水またはオイル懸濁液である。当技術分野で周知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤及び懸濁剤を用いて、これらの懸濁液を調製するとこができる。また、無菌の注射可能な製剤は、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤に溶解したまたは懸濁している無菌の注射可能な溶液または懸濁液であってもよく、例えば、1,3−ブタンジオールに溶解したもの。使用され、許容可能な溶媒と溶剤としては、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。また、無菌の不揮発性油は、通常、溶剤または懸濁マトリックスとして使用される。このために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドなどあらゆるブランドの非揮発性油を使用すとことができる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油、特にそのポリオキシエチル化の形態と同様に、注射製剤の調製に用いられることができる。これらの油溶液または懸濁液はまた、カルボキシメチルセルロースなどの長鎖アルコール希釈剤または分散剤、または通常乳剤及び懸濁液を含む薬学的に許容される剤形の製剤に用いられる類似の分散剤を含んでもよい。他の一般的に使用される界面活性剤(例えばツイーン、スパン)及び一般的に薬学的に許容される固体、液体、または他の剤形の調製に用いられるの他の乳化剤もしくは生物学的利用能増強剤も、製剤の目的に使用することができる。注射(例えば、ボーラス注射)または連続注入による非経口投与に用いられる化合物を調製してもよい。注射用の単位剤形は、アンプルまたは多回投与容器に入れてもよい。
【0052】
また、凍結乾燥の形態で本発明の組成物を提供してもよい。これらの組成物は、重炭酸塩のような投与前に再構成用の緩衝剤を含んでもよいし、または凍結乾燥組成物は水での再構成に用いられる緩衝剤を含んでもよい。凍結乾燥組成物はまた、アドレナリンのような適切な血管収縮剤を含んでもよい。注射器を介して凍結乾燥組成物を提供することができ、任意選択で再構成用緩衝液と組み合わせてパックすることによって、すぐに患者に再構成された組成物を投与することができる。
【0053】
本発明の医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、オブラート剤、乳剤、懸濁剤、液剤、シロップ剤、エリキシル剤、エアゾール剤、丸剤、ロゼンジ、散剤、顆粒剤、徐放性製剤など任意の経口的に許容される剤形であってもよい。経口投与に適用する賦形剤としては、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。経口投与用の錠剤の場合、一般的に用いられる担体としては、ラクトース及びコーンスターチが挙げられる。通常、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤をも添加する。カプセル剤については、適用の希釈剤としては、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。経口薬が水懸濁液を必要とする場合、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と混合する。また、甘味料、香料や着色料を適切に添加してもよい。
【0054】
例えば、本発明の一つ以上の化合物及び一つ以上の任意の薬学的に許容される補助剤を、生理食塩水、グルコース水溶液、グリセロール、エタノールなどの担体へと溶解または分散させることにより、経口投与、局所または静脈内投与などのための溶液または懸濁液を形成して、液体組成物を調製することができる。無菌の液体、例えば、油、水、エタノール及びそれらの組み合わせを使用して、液体懸濁液または溶液形態の医薬製剤を調製することができる。経口または非経口投与については、薬学的に適切な界面活性剤、懸濁剤または乳化剤を添加してもよい。懸濁液は、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブオイルなどの油を含んでもよい。懸濁製剤はまた、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリド及びアセチル化脂肪酸グリセリドなどの脂肪酸エステルを含んでもよい。懸濁製剤は、エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロール及びプロピレングリコールなどのアルコールを含んでもよい。ポリエチレングリコールなどのエーテル類、鉱油及びワセリンなどの石油系炭化水素及び水は、懸濁製剤に用いることもできる
【0055】
特定の実施形態において、組成物は丸剤、錠剤またはカプセル剤の形態を採用するため、ラクトース、スクロース、リン酸水素カルシウムなどの一つ以上の希釈剤、デンプンまたはその誘導体などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び/または、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロース及びその誘導体などの結合剤を含んでもよい。当業者に周知の任意の押圧または成形方法を用いて錠剤を製造することができる。任意選択で自由流動形態(例えば、粉末または顆粒など)の本化合物を副成分(例えば、結合剤、滑沢剤、希釈剤、崩壊剤または分散剤など)と混合して、適切な機械で押圧して、押圧錠剤を製造することができる。本発明の化合物と任意の好適な担体との粉末混合物を適切な機械で造形して、成形錠剤を製造することができる。
【0056】
また、本発明の医薬組成物は、直腸投与のための坐剤の形態であってもよい。薬剤を、室温では固体、直腸温度では液体であり、かつ、直腸内に薬物を放出する適切な非刺激性の賦形剤と混合することにより、これらの坐剤を調製することができる。これらの材料としては、カカオ脂、蜜蝋、ポリエチレングリコール、硬質脂肪及び/または水素化ココグリセリドが挙げられる。直腸投与に適する組成物は、直腸浣腸剤部分を含んでもよく、該部分は一つ以上の本発明の化合物及び薬学的に許容可能な溶媒(例えば、50%エタノール水溶液または食塩水溶液)を含み、これらの溶媒は直腸及び/または結腸との生理学的適合性を持っている。直腸浣腸剤部分は不活性カバーで保護されるアプリケータ先端部を含み、該先端部は好ましくはポリエチレンで作られ、潤滑剤(例えば白色ワセリン)で潤滑され、好ましくは、薬物の逆流を防止する一方向弁によって保護される。直腸浣腸剤部分はまた、十分な長さを有すし、好ましくは2インチであり、肛門を介し結腸内に挿入する。
【0057】
特に治療の目標が局所投与により容易にアクセス可能な領域または器官を含む場合、本発明の医薬組成物は局所的に投与することもでき、、これらの器官の疾患は眼、皮膚または下部腸管の疾患を含む。これらの領域または器官の各領域または器官に適用する局所製剤を簡単に製造することができる。局所投与については、本発明の1つ以上の化合物を含有する組成物が、乳液、ローション、ゲル、フォーム、クリーム、ゼリー、溶液、懸濁液、軟膏及び経皮吸収パッチの形態であってもよい。
【0058】
直腸坐薬製剤または適切な浣腸製剤によって、下部腸管内局所投与を達成することができる。また、局所経皮パッチを使用してもよい。局所投与については、一つ以上の担体に懸濁しているまたは溶解した活性成分を含む適切な軟膏形態の医薬組成物を調製してもよい。本発明の化合物の局所投与のための担体としては、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水が挙げられるが、これらに限定されない。或いは、1種以上の薬学的に許容される担体中に懸濁しているまたは溶解した活性成分を含有する適切なローションまたはクリーム剤形の医薬組成物を調製してもよい。適切な担体としては、鉱油、スパン−60、ツイーン60、セチルエステル、ワックス、セチルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられる。
【0059】
また、経鼻エアロゾルまたは吸入により本発明の医薬組成物を投与してもよい。吸入投与については、スプレーを介して、乾燥粉末または液体形態の組成物を投与してもよい。医薬製剤の分野で周知の技術に従ってこれらの組成物を調製し、そして、食塩水の中に、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、生物学的利用能を促進する吸収増強剤、フルオロカーボン及び/または他の従来の可溶化剤または分散剤を用いて、溶液状の組成物を調製することができる。
【0060】
これらの組成物に使用され、薬学的に許容される担体としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリドの混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール及び羊毛エステルが挙げられる。
【0061】
適切な賦形剤の具体例としては、水、食塩水、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、シロップ、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリアクリル酸(例えばカルボポール)が挙げられるがこれらに限定されない。組成物はまた、タルク、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油などの滑沢剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、メチル−、エチル−及びプロピル−ヒドロキシ−安息香酸エーテルなどの防腐剤、無機及び有機酸及び塩基などのpH調整剤、甘味料、矯味剤を含んでもよい。
【0062】
上記代表的な剤形に加えて、当業者は通常、他の薬学的に許容される賦形剤及び担体と剤形を知られており、それらも本発明に含まれる。任意の特定患者の特定用量及び治療法が、使用される特定化合物の活性、患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事状況、投与時間、排泄速度、組み合わせ薬剤、治療医師の判断と治療される特定疾患の重症度を含む多くの要因に依存することを理解すべきである。活性成分の量はまた、特定な化合物及び(存在する場合)組成物の他の治療薬に依存する。
【0063】
上記の医薬組成物はさらに、他の増殖性疾患の治療または補助療治の活性成分を含んでもよいし、他の増殖性疾患の治療または補助治療の薬剤と組み合わせて使用してもよい。例えば、本発明以外の抗増殖剤、免疫調節剤、抗がん剤、細胞毒性剤、抗腫瘍アジュバントとの組合せである。
【0064】
これらの治療剤の他の具体例としては、抗増殖剤(例えば、メトトレキサート)、FK506(タクロリムス、プログラフ)、ミコフェノール酸モフェチル、細胞毒性薬(例えば、アザチオプリン及びシクロホスファミド)、TNF−α阻害剤(例えば、テニダップ)、抗TNF抗体または可溶性TNF受容体(例えば、エタネルセプト(エンブレル))、ラパマイシン、レフルノミド、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤(例えば、セレコキシブとロフェコキシブ、またはその誘導体)及び既存の技術が開示されているPTK阻害剤が挙げられる。
【0065】
各種の典型的な抗癌剤及び細胞毒性薬としては、アルキル化剤(例えば、クロルメチン、アルキルスルホン酸エステル、ニトロ尿素、アジリジン、及びトリアゼン)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸アンタゴニスト、プリン類似体及びピリミジン類似体)、抗生物質(例えば、アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン及びプリカセチン)、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ)、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤)、ホルモン剤(例えば、エストロゲン/抗エストロゲン、アンドロゲン/抗アンドロゲン、プロゲステロ、黄体形成ホルモン放出ホルモン拮抗剤、酢酸サンドスタチン)、微小管破壊剤(例えば、エクチナサイジンまたはその類似体及び誘導体)、微小管安定化剤(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル及びエポチロンまたはその類似体または誘導体)、植物由来の製品(例えば、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、タキサン)、トポイソメラーゼ阻害剤、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、雑類の薬剤(例えば、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、クロロフェニルジクロロエタン、ヘキサメチルメラミン、シスプラチン及びカルボプラチンなどの白金配位錯体)、及びその他の抗癌剤と細胞毒性薬(例えば生物学的応答調節剤、成長因子、免疫調節因子及びモノクローナル抗体)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物は、また、放射線療法と組み合わせて使用することができる。
【0066】
これらの種類の抗癌剤及び細胞毒性薬の具体例としては、ナイトロジェンマスタード(nitrogen mustard)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、クロラムブシル(chlorambucil)、サルコリシン(sarcolysin)、イホスファミド(ifosfamide)、ブスルファン(busulfan)、カルムスチン(carmustine)、ロムスチン(lomustine)、セムスチン(semustine)、ストレプトゾシン(streptozocin)、チオテパ(thiotepa)、ダカルバジン(dacarbazine)、メトトレキサート(methotrexate)、チオグアニン(thioguanine)、メルカプトプリン(mercaptopurine)、フルダラビン(fludarabine)、ペントスタチン(pentostatin)、ロイスタチン(leustatin)、シタラビン(cytarabine)、フルオロウラシル(fluorouracil)、ドキソルビシン(doxorubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、ブレオマイシン(bleomycin)、マイトマイシン−c(mitomycin−c)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、サフラシン(safracins)、サンテマイシン(santemycin)、キノカルシン(quinocarcins)、ジスコーダーモリド(discodermolides)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンブラスチン(vinblastine)、酒石酸ビンオレルビン(vinorelbine)、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、パクリタキセル(paclitaxel)、タモキシフェン(tamoxifen)、エストラムスチン(estramustine)、リン酸エストラムスチンナトリウム(estramustine phosphate sodium)、、フルタミド(flutamide)、ブセレリン(buserelin)、リュープロレリン(leuprorelin)、プテリジン(pteridine)、ジアルキン、レバミソール(levamisole)、アフラコン(aflacon)、インターフェロン、インターロイキン、プロロイキン(proleukin)、フィルグラスチン(filgrastim)、骨髄増殖因子、マブセラ(mabthera)、BCG、ビタミンA酸、イリノテカン塩酸塩、ベタメタゾン(betamethasone)、ゲムシタビン塩酸塩、アルトレタミン(altretamine)、トポテカン(topotecan)及びそれらのいずれかの類似体または誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
これらの種類のうち、パクリタキセル(paclitaxel)、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシン(doxorubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、アミノプテリン(aminopterin)、メトトレキサート(methotrexate)、メチルプテリン(methylpterin)、マイトマイシン−c(mitomycin−c)、エクティナスシジン(ecteinascidins)、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、6−メルカプトプリン(6−mercaptopurine)、5−フルオロウラシル(5−fluorouracil)、ゲムシタビン(gemcitabine)、シタラビン(cytarabine)、ポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体(たとえばエトポシド、リン酸エトポシドまたはテニポシド)、サルコリシン(sarcolysin)、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンロシジン(vinrosidine)及びエポキシビンブラスチンが好ましいが、これらに限定されない。
【0068】
抗腫瘍剤及び他の細胞毒性薬の具体例としては2000年2月17日に出願された米国特許出願09/506、481、ドイツ特許41380428、WO97/19086、WO98/22461、WO98/25929、WO98/38192、WO99/01124、WO99/02224、WO99/02514、WO99/03848、WO99/07692、WO99/27890、WO99/28324、WO99/43653、WO99/54330、WO99/54318、WO99/54319、WO99/65913、WO99/67252、WO99/67253、WO00/00485中のエポチロン誘導体、WO99/24416中のサイクリン依存性キナーゼ阻害剤、WO97/30992及びWO98/54966中のプレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤が挙げられる。
【0069】
上記の他の治療剤は、本発明の化合物と組み合わせて使用する場合、臨床薬剤の用法説明書に示される用量または一般の当業者により決定される用量に応じて使用することができる。
【0070】
最後に、本発明はまた、治療有効量の一般式Aの化合物を必要がある患者に投与することを含む細胞増殖性疾患の治療方法を提供する。
【0071】
「細胞増殖性疾患」は、細胞の異常増殖を特徴とする病気である。増殖性疾患は、細胞成長速度に対するいかなる制限ではなく、細胞の成長と分裂に影響を与える正常な制御を失うことを意味する。従って、特定の実施形態において、増殖性疾患の細胞は正常細胞と同様な細胞分裂速度を有するが、この増殖を限定する信号に応答しない。「細胞増殖性疾患」は異常な生成物または腫瘍の範囲内であり、異常な生成物または腫瘍は、組織の異常増殖である。癌は細胞増殖を特徴とする様々な悪性腫瘍のうちの一つであり、それらの腫瘍が周辺組織に浸潤する及び/または新しい定住部分に転移する能力を有する。
【0072】
一般的には、本明細書に開示される化合物を使用して治療できる細胞増殖性疾患は、異常な細胞増殖によって特徴付けられる任意の疾患である。これらは、様々良性または悪性、転移または非転移の腫瘍や癌を含む。本文に記載の方法を採用して癌の組織侵襲性または転移性など特別な性質に対抗することができる。細胞増殖性疾患は下記の種々の癌を含むがこれらに限定されない。
【0073】
癌:膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(細胞肺癌を含む)、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、食道癌、胃癌、胆嚢癌、子宮頚癌、甲状腺癌及び皮膚癌(扁平上皮癌を含む)を含む。
【0074】
リンパ系の造血器腫瘍:白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、β−細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫及びバーキットリンパ腫を含む、
【0075】
骨髄系造血器腫瘍:急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び前骨髄球性白血病を含む。
【0076】
中枢及び末梢神経系腫瘍星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫と神経鞘腫を含む。
【0077】
間質起源の腫瘍:線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む、
【0078】
他の腫瘍:黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞癌及び奇形癌を含む。
【0079】
特定の実施形態において、治療された細胞増殖性疾患は血液腫瘍であり、該腫瘍は造血系細胞の異常増殖である。
【0080】
特定の実施形態において、治療された血液腫瘍はリンパ系腫瘍であり、そのうち、異常細胞はリンパ系細胞及び/またはリンパ系細胞の特徴的な表現型に由来する。リンパ系細胞腫瘍は、B細胞腫瘍、T細胞及びNK細胞腫瘍、ならびにホジキンリンパ腫に細分することができる。B細胞腫瘍は、前駆B細胞腫瘍及び成熟/末梢B細胞腫瘍に細分することができる。例示的なB細胞腫瘍は前駆Bリンパ性白血病/リンパ腫(前駆B細胞急性リンパ性白血病)であり、例示的な成熟/末梢B細胞腫瘍は、B細胞慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、有毛細胞白血病、形質細胞性骨髄腫/形質細胞腫、MALT型節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、原発性体腔性リンパ腫、バーキットリンパ腫/バーキット細胞白血病である。T細胞腫瘍及びNK細胞腫瘍はされに前駆体T細胞腫瘍と成熟(末梢)T細胞腫瘍に細分する。例示的なT細胞腫瘍は前駆T−リンパ芽球性リンパ腫/白血病(前駆T細胞急性リンパ芽球性白血病)であり、例示的な成熟(末梢)T細胞腫瘍はT細胞前リンパ球性白血病、侵行性NK細胞白血病、成人T細胞リンパ腫/白血病(HTLV−1)、鼻型節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型、病原性T細胞リンパ腫、肝脾γ−δT細胞リンパ腫、皮下脂肪組織炎様T細胞リンパ、菌状息肉腫/セザリー症候群、未分化大細胞性リンパ、T/ヌル細胞、原発性皮膚末梢T細胞リンパ腫、特徴付けられていない血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、未分化大細胞性リンパ、T/ヌル細胞、原発性全身性である。第三種のリンパ系細胞腫瘍はホジキンリンパ腫であり、また、ホジキン病としても知られる。実施例化合物を用いて治療可能な該疾患の例示的な診断は結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫及び各種の古典的ホジキンリンパ腫を含むが、これらに限定されなく、そのうち、例示的な疾患は結節性硬化型ホジキンリンパ腫(1級及び2級)、リンパ球豊富型古典的ホジキンリンパ腫、混合細胞型ホジキンリンパ腫とリンパ球減少型ホジキンリンパ腫である。
【0081】
特定の実施形態において、治療された血液腫瘍は骨髄系腫瘍である。この種の腫瘍は、骨髄系細胞の表現型の特徴に関わるまたはそれを表示する大種類の細胞増殖性疾患を含む。髄芽腫は、骨髄過形成、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病に細分化することができる。例示的な骨髄増殖性疾患は、慢性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、慢性好酸球性白血病/好酸球増多症候群、慢性原発性骨髄線維症、真性多血症や本態性血小板血症である。例示的な骨髄異形成/骨髄増殖性疾患は、慢性骨髄単球性白血病、非定型慢性骨髄性白血病及び若年性骨髄単球性白血病である。例示的な骨髄異形成症候群は環状鉄芽球性と環状鉄芽球なし不応性貧血、多系統異形成を伴う不応性血球減少症(骨髄異形成症候群)、過剰な芽球を伴う不応性貧血(骨髄異形成症候群)、5Q−症候群及び骨髄異形成症候群である。様々な実施形態において、本発明の化合物を使用して、関連する任意の骨髄性腫瘍を治療することができる。
【0082】
特定の実施形態において、記載の化合物を使用して、急性骨髄性白血病(AML)を治療することができ、該白血病はさらに細分できる病型を有する大種類の髄芽腫を代表する。これらの分枝は再現性のある染色体転座を伴うAML、多系列の異形成を伴うAML及び他に分類できないAMLを含むが、これらに限定されない。例示的な再現性のある染色体転座を伴うAMLはt(8;21)(q22;q22)を有するAML、AML1(CBF−α)/ETO、急性前骨髄球性白血病(t(15;17)(q22;q11−12)を有するAMLと変種、PML/RAR−α)、異常な骨髄好酸球(inv(16)(p13q22)またはt(16;16)(p13;q11)を伴うAML及び11q23異常を伴うAMLを含むがこれらに限定されない。例示的な多系統の形態異常を伴うAMLは前骨髄異形成症候群と関連するまたは無関係のAMLである。定義されたクラスに分類されない他の急性骨髄性白血病は最未分化型AML、未分化型AML、分化型AML、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、急性巨核芽球性白血病、急性好塩基球性白血病や骨髄線維症を伴う急性汎骨髄症を含む。
【0083】
好ましは乳癌、肺癌、結腸癌、胃癌、食道癌、卵巣癌、骨肉腫、子宮頚癌、肝臓癌、脳腫瘍、前立腺癌、黒色腫の治療である。
【0084】
本明細書における「治療」は、病気や疾患の関連症状を緩和し、またはそれらの症状の更なる発展や悪化を停止させ、または疾患や病気を阻止したり、予防したりすることを意味する。
【0085】
用語「薬学的有効量」、「治療有効量」または「治療有効用量」は、研究者、獣医、医師または他の臨床技術者が探している組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を起こす対象化合物の量を指す。
【0086】
用語「治療有効量」は投与されたら、治療されている疾患または病気の一つ以上の症状の進行を阻止するまたはある程度に緩和することに十分である化合物の量を指す。治療有効量は、化合物、病気または状態及びその重症度、治療される哺乳動物の年齢、体重などに従って変化しなければならない。
【0087】
本明細書で定義される「患者」は動物、例えば哺乳動物を含み、哺乳動物は、霊長類(例えば、ヒト)、雌牛、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、患者は人である。本発明の化合物の有効量は、一般の当業者によって決定されることができ、体重1kg当たり成人の用量は毎日0.001−1000mgの活性化合物であり、単回投与または個々の分割用量の形態で投与してもよい(例えば、1日1−4回)。任意の特定対象に対して、特定投与量と投与頻度は、使用される特定化合物の活性、該化合物の代謝安定性及び作用の持続時間、投与対象の種類、年齢、体重、健康状態、性別及び食習慣、投与の方式と時間、排泄速度、薬物の組み合わせ及び特定疾患の重症度を含む多くの要因に依存して変化し得ることを明確にする必要がある。
【0088】
従来技術の抗腫瘍白金化合物と比べて、本発明の遊離化合物は、溶解度が大幅に向上し、水への溶解度が80mg/mlを超え、特に本発明の好ましい実施例化合物は、すべて100mg/ml以上の溶解度を有する。また、従来技術の白金化合物が塩形態を形成できないのに対して、本発明の化合物は、塩形態を形成することができ、それが製剤形態の安定性をより助長する。
【0089】
有効量の化合物を含有するいずれかの上記の剤形はすべて通常の実験範囲内及び本発明の範囲に含まれる。投与経路及び剤形に応じて治療有効用量を調整することができる。本発明の代表的な化合物は、高い治療指数を示す製剤である。治療指数は毒性と効力との用量比であり、LD50とインビボ抗腫瘍活性(ED50)またはインビトロ細胞毒性(IC50)との比率で表すことができる。LD50は、集団の50%が死亡する用量、ED50は、集団の50%において治療的に有効な用量である。標準的な薬学的方法を通じて、動物細胞培養物または実験動物中で、LD50とED50を測定する。本発明化合物の毒性代表値LD50(動物の半分の死亡を引き起こす用量、mg/kg)が、現在技術のシスプラチンとカルボプラチンのようなの白金化合物よりもはるかに高く、かつ、インビボの抗腫瘍活性の有効用量及びインビトロの細胞抑制毒性濃度IC50がカルボプラチンと同様またはそれ以下であるために、カルボプラチン、シスプラチン及びその他の既存白金化合物を許容できない患者の治療に使用され、そして、良好な技術的成果を達成する。本発明の化合物は、単独で、または互いに組み合わせて、及び/または増殖性疾患の治療に用いられる他の適切な治療薬剤と組み合わせて使用しでもよい。
【実施例】
【0090】
以下に、実施例、実験例により本発明の実施性をさらに詳細に述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者には、先行技術の教示によって相応の技術的特徴に対する変更または変換がを依然として本発明の範囲に属することを理解して頂きたい。本発明に用いられる原料の純度は、化学用以上に達すればよく、すべで市場から購入し得る。以下の実施例で得られた化合物はすべて塩の形態であり、これらの塩形態の化合物は、塩基を添加してpHを調整することによって遊離化合物になることができ、そして、対応する酸を添加することによって、容易に他の種類の有機または無機塩に変換することができ、これらの塩形態の化合物は硝酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、硫酸塩、重硫酸塩、亜リン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、イソ酪酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、アルギニン塩、グルクロン酸塩またはガラクトン酸塩であってもよいが、これらに限定されない。以下の実施例に一々説明しない。
【0091】
[実施例1]:シス−ジアンミン(2−(2−メチルアミンエチル)−マロン酸)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: 2−(2−ブロモエチル)−マロン酸ジエチル
【化14】
マロン酸ジエチル 6.02g(0.1mol)及び1,2−ジブロモエタン 47.45g(0.25mol)を150mlの三つ口フラスコに入れ、KCO 15.203g(0.11mol)及びをテトラブチルアンモニウムブロマイド 153mgを添加し、撹拌してから、油浴加熱で65〜85℃に加熱して16〜24時間反応させた後、吸引濾過して固体を除去し、エーテル(30ml×3回)で洗浄し、濾液を合わせ、水(40ml×3回)で有機層を洗浄した後、MgSOで4〜8時間乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させてから、油ポンプで減圧蒸留して、真空度7mmHg、125℃−143℃の留出物 8.699gを32.7%の収率で回収した。
【0092】
ステップ2: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸ジエチル
【化15】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 106.91g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.840g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中に凍結保存されたジメチルアミン溶液 31.1g(1.0mol)を加え、油浴でを40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 85.5gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 41.4gを47.7%の収率で得た。
【0093】
ステップ3: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化16】
NaOH 213mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸ジエチル 435mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0094】
ステップ4:ジヨードジアンミン白金(II)
【化17】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.075g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.63g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、アンモニア水(アンモニア 5mmol)50mlを反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、淡黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.29gを95.1%の収率で得た。元素分析: H 1.24%(理論値1.21%);N 5.56%(理論値5.797%)。
【0095】
ステップ5:ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩
【化18】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 625mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨードジアンミン白金(II) 0.96g(2mmol)を反応溶液に添加し、水 40mlを入れてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0096】
ステップ6:2−(2−メチルアミンエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)リン酸塩。
【化19】
PO(1M)で2mmolの2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整しシス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物シス−ジアンミン(2−(2−メチルアミンエチル)−マロン酸)白金(II)リン酸塩 106mgを得た。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が221mg/mlであり、アルカリを添加してpHを調節することにより遊離化合物2−(2−メチルアミンエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)を得られる。遊離塩基元素分析:C 18.29%(理論値18.5%)、H 3.84%(理論値3.87%)、N 10.57%(理論値10.82%)。
HNMR(DO)(ppm):δ3.60(t,1H),δ2.87(s,3H),δ2.65(t,2H), δ1.75(m,2H)。
【0097】
[実施例2]:シス−ジアンミン(2−2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸)白金(II)白金(II)酢酸塩。
ステップ1:[実施例1]のステップ1と同様である。
【0098】
ステップ2: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸ジエチル
【化20】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 105.67g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.52g(0.4mol)とアセトニトリル500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中に凍結保存されたジメチルアミン溶液45.3g(1.0mol)を加え、油浴でを40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 91.3gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 45.37gを49.1%の収率で得た。
【0099】
ステップ3: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化21】
NaOH 213mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸ジエチル 435mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0100】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0101】
ステップ6: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)アセテート。
【化22】
CHCOOH(1M)で2−2ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、シス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 113mgを得た。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が198mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 20.57%(理論値20.9%);H 4.41%(理論値4.23%);N 10.52%(理論値10.45%)。
HNMR(DO)(ppm):δ3.65(t,1H),δ2.66(s,6H),δ2.55(t,2H),δ1.74(m,2H)。
【0102】
[実施例3]:シス−ジアンミン(2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: 2−(3−ブロモプロピル)−マロン酸ジエチル
【化23】
マロン酸ジエチル 16.17g(0.1mol)及び1,3−ジブロモプロパン 50.6g(0.25mol)を150mlの三つ口フラスコに入れ、KCO 15.13g(0.11mol)及びテトラブチルアンモニウムブロマイド 153mgを添加し、撹拌してから、油浴加熱で65〜85℃に加熱して16〜24時間反応させた後、吸引濾過して固体を除去し、エーテル(30ml×3回)で洗浄し、濾液を合わせ、水(40ml×3回)で有機層を洗浄した後、MgSOで4〜8時間乾燥させ、減圧下で溶媒を蒸発させてから、油ポンプで減圧蒸留して、真空度7mmHg、135℃−148℃の留出物 9.39gを32.9%の収率で回収した。
【0103】
ステップ2: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸ジエチル
【化24】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 113.9g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.70g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中に凍結保存されたジメチルアミン溶液45.2g(1.0mol)を加え、油浴でを40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 97.1gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 34.3gを35.0%の収率で得た。
【0104】
ステップ3: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化25】
NaOH 212.6mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸ジエチル 463mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0105】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0106】
ステップ6: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)アセテート。
【化26】
PO(1M)で2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、シス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 115mgを得た。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が164mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 23.22%(理論値23.08%); H 4.54%(理論値4.57%);N 10.32%(理論値10.10%)。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.75(s,6H),δ2.69(t,2H),δ1.75(m,2H),δ1.49(m,2H)。
【0107】
[実施例4]:シス−ジアンミン(2−(3−アミノプロピル)−マロン酸)白金(II)リン酸塩。
ステップ1:[実施例3]のステップ1と同様である。
【0108】
ステップ2: 2−(3−アミノプロピル)−マロン酸ジエチル
【化27】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 113.7g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.40(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。反応液に過剰のアンモニアガスを入れ、油浴で40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、吸引濾過で不溶物を濾去し、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質85.9gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物34.9gを40.2%の収率で得た。
【0109】
ステップ3: 2−(3−アミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化28】
NaOH 212mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(3−アミノプロピル))−マロン酸ジエチル 433mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(3−アミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0110】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0111】
ステップ6: シス−ジアンミン(2−(3−アミノプロピル)−マロン酸)白金(II)リン酸塩。
【化29】
PO(1M)で2−(3−アミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整しシス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 118mgを得た。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が176mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 18.37%(理論値18.56%); H 3.61%(理論値3.87%);N 10.72%(理論値10.82%)。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.88(t,2H),δ1.78(m,2H),δ1.52(m,2H)。
【0112】
[実施例5]:シス−ジアンミン(2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0113】
ステップ2: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸ジエチル
【化30】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 106.75g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.7g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中にジエチルアミン73.1g(1.0mol)を加え、油浴でを45〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプでにより減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 92.5gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 46.93gを45.3%の収率で得た。
【0114】
ステップ3: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化31】
NaOH 213mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸ジエチル 518mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0115】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0116】
ステップ6: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)リン酸塩。
【化32】
PO(1M)で2−(3−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、シス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で45〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 118mgを得た。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が187mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 24.9%(理論値25.12%); H 4.84%(理論値4.88%);N 9.56%(理論値9.77%)。
HNMR(DO)(ppm):δ3.60(t,1H),δ2.78(q,4H),δ2.70(t,2H),δ1.70(m,2H),δ1.08(t,6H)。
【0117】
[実施例6]: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)リン酸塩
ステップ1:[実施例3]のステップ1と同様である。
【0118】
ステップ2: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸ジエチル
【化33】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 114.1g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.6g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中に凍結保存ジエチルアミン溶液 73.1g(1.0mol)を加え、油浴でを40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 105.3gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 39.5gを36.2%の収率で得た。
【0119】
ステップ3: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化34】
NaOH 212.6mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸ジエチル 522mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0120】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0121】
ステップ6: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)アセテート。
PO(1M)で2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、シス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 123mgを得た。
【化35】
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.76(q,4H),δ2.69(t,2H),δ1.74(m,2H),δ1.49(m,2H),δ1.07(t,6H)。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が165mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 26.76%(理論値27.03%); H 4.85%(理論値5.18%);N 9.64%(理論値9.46%)
【0122】
[実施例7]:シス−ジアンミン(2−(3−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0123】
ステップ2: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化36】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 106.6g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.0g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中にジ−n−プロピルアミン 101g(1.0mol)を加え、油浴でを45〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプでにより減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 109.3gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 47.53gを41.4%の収率で得た。
【0124】
ステップ3: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化37】
NaOH 213mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸ジエチル 575mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0125】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0126】
ステップ6: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス − ジアンミン)白金(II)リン酸塩。
PO(1M)で2−(3−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、シス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で45〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 123mgを得た。
【化38】
HNMR(DO)(ppm):δ3.60(t,1H),δ2.77(t,4H),δ2.70(t,2H),δ1.78(m,2H),δ1.25(m,4H),δ1.05(t,6H)。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が159mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 28.59%(理論値28.82%); H 5.62%(理論値5.46%);N 9.29%(理論値9.17%)。
【0127】
[実施例8]:シス−ジアンミン(2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸)白金(II)メタンスルホン酸塩。
ステップ1: [実施例3]のステップ1と同様である。
【0128】
ステップ2: 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化39】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 113g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.2g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中に凍結保存にジ−n−プロピルアミン溶液 101g(1.0mol)を加え、油浴でを40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 103.5gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 40.1gを33.3%の収率で得た。
【0129】
ステップ3: 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化40】
NaOH 212.3mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸ジエチル 603mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0130】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0131】
ステップ6: 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)メタンスルホン酸塩
PO(1M)で2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、シス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 125mgを得た。
【化41】
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.77(t,4H),δ2.70(t,2H),δ1.74(m,2H),δ1.49(m,2H),δ1.25(m,4H),δ1.03(t,6H)。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が148mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 30.28%(理論値30.51%); H 5.83%(理論値5.72%);N 9.16%(理論値8.9%)。
【0132】
[実施例9]:2−(2−アミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0133】
ステップ2: 2−(2−アミノエチル)−マロン酸ジエチル
【化42】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 106.5g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。反応液に過剰のアンモニアガスを入れ、油浴で40〜50℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 77.4gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 36.8gを42.7%の収率で得た。
【0134】
ステップ3: 2−(2−アミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化43】
NaOH 215mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(2−アミノエチル))−マロン酸ジエチル 405mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0135】
ステップ4:ジヨード(トランス−シクロヘキサンジアミン)白金(II)
【化44】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.075g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.63g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、トランス−シクロヘキサンジアンミン 571mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.709gを96.2%の収率で得た。元素分析:C 12.68%(理論値12.80%)、H 2.61%(理論値2.51%)、N 4.99%(理論値4.98%)。
【0136】
ステップ5: ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化45】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 625mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(トランス−シクロヘキサンジアミン)白金(II) 1.126g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0137】
ステップ6: 2−(2−アミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩
【化46】
PO(1M)で2−(2−アミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 138mgを得た。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が275mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 29.31%(理論値29.07%); H 4.82%(理論値4.63%);N 9.17%(理論値9.25%)
HNMR(DO)(ppm):δ3.61(t,1H),δ2.78(t,2H),δ2.06(br,2H),δ1.81(m,2H),δ1.74(m,2H),δ1.46(m,2H),δ1.21(br,2H),δ1.01(m,2H)。
【0138】
[実施例10]: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)p−トルエンスルホン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0139】
ステップ2、3: [実施例5]のステップ2、3と同様である。
【0140】
ステップ4、5: [実施例9]のステップ4、5と同様である。
【0141】
ステップ6: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)p−トルエンスルホン酸塩。
【化47】
p−トルエンスルホン酸CS(1M)で2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 149mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.63(t,1H),δ2.68(s,6H),δ2.55(t,2H),δ2.06(br,2H),δ1.81(m,2H),δ1.74(m,2H),δ1.46(m,2H),δ1.21(br,2H),δ1.05(m,2H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が233mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 32.34%(理論値32.37%);H 5.42%(理論値5.19%);N 8.47%(理論値8.71%)。
【0142】
[実施例11]: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩。
ステップ1、2、3: [実施例5]のステップ1、2、3と同様である。
【0143】
ステップ4、5: [実施例9]のステップ4、5と同様である。
【0144】
ステップ7: 2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩。
【化48】
PO(1M)で2−(3−ジメチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 131mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.61(t,1H),δ2.75(s,6H),δ2.69(t,2H),δ2.06(br,2H),δ1.81(m,2H),δ1.74(m,2H),δ1.49(m,2H),δ1.46(m,2H),δ1.21(br,2H),δ1.02(m,2H)
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が200mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 33.54%(理論値33.87%);H 5.29%(理論値5.44%);N 8.26%(理論値8.47%)。
【0145】
[実施例12]:2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0146】
ステップ2: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸ジエチル
【化49】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 106.2g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.1g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。反応液中に凍結保存されたエチルアミン 44.2g(1.0mol)を加え、油浴でを40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 85.4gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 36.8gを39.7%収率で得た。
【0147】
ステップ3: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩
【化50】
NaOH 214mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2MのNaOHをもらい、また、2−(2−アミノエチル))−マロン酸ジエチル 465mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液を得た。
【0148】
ステップ4、5: [実施例9]のステップ4、5と同様である。
【0149】
ステップ6:2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化51】
PO(1M)で2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 137mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.60(t,1H),δ2.78(m,2H),δ2.70(t,2H),2.06(br,2H),1.81(m,2H),δ1.70(m,2H),1.46(m,2H),1.21(br,2H),δ1.08(t,3H)1.00(m,2H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が221mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 32.55%(理論値32.43%);H 5.21%(理論値5.0%);N 8.56%(理論値8.73%)。
【0150】
[実施例13] 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0151】
ステップ2、3: [実施例5]のステップ2、3と同様である。
【0152】
ステップ4、5: [実施例9]のステップ4、5と同様である。
【0153】
ステップ6: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)クエン酸塩
【化52】
クエン酸C(1M)で2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 155mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.78(m,4H),δ2.70(t,2H),2.06(br,2H),1.81(m,2H),δ1.70(m,2H),1.46(m,2H),1.21(br,2H),δ1.06(t,6H),1.00(m,2H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が180mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 35.01%(理論値35.29%);H 5.43%(理論値5.69%);N 8.51%(理論値8.24%)。
【0154】
[実施例14] 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例3]のステップ1と同様である。
【0155】
ステップ2、3: [実施例6]のステップ2、3と同様である。
【0156】
ステップ4、5: [実施例9]のステップ4、5と同様である。
【0157】
ステップ7: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩。
【化53】
PO(1M)で2−(2−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 145mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.61(t,1H),δ2.78(q,4H),δ2.70(t,2H),δ2.06(br,2H),δ1.81(m,2H),δ1.72(m,2H),δ1.46(m,2H),δ1.49(m,2H),δ1.21(br,2H),δ1.08(t,6H),δ1.02(m,2H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が156mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 36.37%(理論値36.64%);H 6.13%(理論値5.92%);N 8.22%(理論値8.02%)。
【0158】
[実施例15] 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−(1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0159】
ステップ2、3: [実施例7]のステップ2、3と同様である。
【0160】
ステップ4、5: [実施例9]のステップ4、5と同様である。
【0161】
ステップ6: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩
【化54】
PO(1M)で2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 151mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.60(t,1H),δ2.77(t,4H),δ2.70(t,2H),δ2.06(br,2H),δ1.81(m,2H),δ1.78(m,2H),δ1.46(m,2H),δ1.25(m,4H),δ1.21(br,2H),δ1.03(t,6H),δ1.00(m,2H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が131mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 37.97%(理論値37.92%);H 6.34%(理論値6.13%);N 7.62%(理論値7.81%)。
【0162】
[実施例16] 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例3]のステップ1と同様である。
【0163】
ステップ2、3: [実施例8]のステップ2、3と同様である。
【0164】
ステップ4、5: [実施例9]のステップ4、5と同様である。
【0165】
ステップ6: 2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン))白金(II)リン酸塩
【化55】
PO(1M)で2−(3−ジn−プロピルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 160mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.77(t,4H),δ2.70(t,2H),δ2.06(br,2H),δ1.81(m,2H),δ1.74(m,2H),δ1.49(m,2H),δ1.46(m,2H),δ1.25(m,4H),δ1.21(br,2H),δ1.03(t,6H),δ1.00(m,2H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が109mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 39.14%(理論値39.13%);H 6.38%(理論値6.34%);N 7.69%(理論値7.61%)。
【0166】
[実施例17] :2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロペンタンジアミン))白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例3]のステップ1と同様である。
【0167】
ステップ2、3: [実施例6]のステップ2、3と同様である。
【0168】
合成ステップ4: 1,2−トランス−シクロペンタンジアミン
【化56】
100mlの三つ口フラスコにシクロペンタセン 6.81g(100mmol)を入れ、ジクロロメタン 30mlを加え、撹拌しながら溶解させ、−5〜10℃の条件でBr 16.5g(103mmol)を徐々に滴下し、1〜3時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10ml×3回)で洗浄し、有機層をMgSOで2〜3時間乾燥させ、水ポンプにより減圧下で溶媒を抽出してから、淡黄色透明な物質1,2−(トランス)−ジブロモシクロブタン 20.56gを90.18%の収率で得た。元素分析:C 26.51%(理論値26.32%);H 3.62%(理論値3.51%)。
1,2−(トランス)−二臭化シクロペンタン 11.5g(50mmol)を取って、100mlの圧力反応器に置き、30%のアンモニアのエタノール溶液を加え、40〜60℃まで加熱して、6〜8時間反応させた後、溶媒を蒸発させて、淡黄色で透明な1,2−トランス−シクロペンタミン 4.015gを79.6%の収率で得た。元素分析:C 60.21%(理論値60%);H 12.12%(理論値12%);N 28.21%(理論値28%)。
【0169】
ステップ5: ジヨード(1,2−トランス−シクロヘキサンジアミン)白金(II)
【化57】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.073g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.64g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、1,2−トランス−シクロヘキサンジアミン 501mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.561gを93.3%の収率で得た。元素分析:C 10.78%(理論値10.93%)、H 2.31%(理論値2.19%)、N 4.98%(理論値5.10%)。
【0170】
ステップ6: ジアクア(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化58】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 625mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,2−トランス−シクロブタンジアミン)白金(II) 1.10g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0171】
ステップ7: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(トランス−1,2−シクロペンタンジアミン))白金(II)リン酸塩。
【化59】
PO(1M)で2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,2−トランス−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 153mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.61(t,1H),δ2.78(q,4H),δ2.70(t,2H),δ2.08(br,2H),δ1.83(m,2H),δ1.72(m,2H),δ1.49(m,2H),δ1.42(m,2H),δ1.20(m,1H),δ1.08(t,6H),δ1.02(m,1H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が178mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 35.58%(理論値35.29%);H 5.61%(理論値5.69%);N 8.37%(理論値8.24%)。
【0172】
[実施例18]:2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−トランス−シクロブタンジアミン))白金(II)コハク酸。
ステップ1: [実施例3]のステップ1と同様である。
【0173】
ステップ2、3: [実施例6]のステップ2、3と同様である。
【0174】
ステップ4: 1,2−トランス−シクロブタンジアミン
【化60】
100mlの三つ口フラスコにシクロブテン 5.39g(100mmol)を入れ、ジクロロメタン 30mlを加え、撹拌しながら溶解させ、−5〜10℃の条件でBr 16.5g(103mmol)を徐々に滴下し、1〜3時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(10ml×3回)で洗浄し、有機層をMgSOで2〜3時間乾燥させ、水ポンプにより減圧下で溶媒を抽出してから、淡黄色透明な物質1,2−(トランス)−ジブロモシクロブタン 20.37gを95.19%の収率で得た。元素分析:C 22.53%(理論値22.43%);H 2.61%(理論値2.80%)。
1,2−(トランス)−ジブロモブタン 10.65g(50mmol)を取って、100mlの圧力反応器に置き、30%のアンモニアのエタノール溶液を加え、40〜60℃まで加熱して、6〜8時間反応させた後、溶媒を蒸発させて、淡黄色で透明な1,2−トランス−シクロブタンジアミン 3.723gを86.58%の収率で得た。元素分析:C 55.57%(理論値55.81%);H 11.90%(理論値11.63%);N 32.17%(理論値32.56%)。
【0175】
ステップ5: ジヨード(1,2−トランス−シクロブタンジアミン)白金(II)
【化61】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.075g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.64g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、1,2−トランス−シクロブタンジアミン 431mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.429gを90.8%の収率で得た。元素分析:C 8.75%(理論値8.97%);H 1.91%(理論値1.87%);N 5.98%(理論値5.23%)。
【0176】
ステップ6: ジアクア(1,2−(トランス)−シクロブタンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化62】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 627mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,2−トランス−シクロブタンジアミン)白金(II) 1.07g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0177】
ステップ7: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−トランス−シクロブタンジアミン))白金(II)コハク酸。
【化63】
コハク酸C(1M)で2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,2−トランス−シクロブタンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gのシリカゲル(200−300メッシュ)に加えて、15分間撹拌後、排液し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 143mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.78(q,4H),δ2.70(t,2H),δ2.08(br,2H),δ1.85(m,2H),δ1.72(m,2H),δ1.49(m,2H),δ1.44(m,2H),δ1.08(t,6H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が208mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 34.57%(理論値33.87%);H 5.62%(理論値5.44%);N 8.39%(理論値8.47%)。
【0178】
[実施例19]: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−(トランス)−シクロプロパンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例3]のステップ1と同様である。
【0179】
ステップ2、3: [実施例6]のステップ2、3と同様である。
【0180】
ステップ4: ジヨード(1,2−(トランス)−シクロプロパンジアミン)白金(II)
【化64】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.075g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.64g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、1,2−(トランス)−シクロプロパンジアミン(市販品) 361mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.391gを91.8%の収率で得た。元素分析:C 6.97%(理論値6.91%);H 1.41%(理論値1.54%);N 5.47%(理論値5.37%)。
【0181】
ステップ5: ジアクア(1,2−(トランス)−シクロプロパンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化65】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 624mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,2−トランス−シクロプロパンジアミン)白金(II) 1.04g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0182】
ステップ7: 2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸(シス−(1,2−トランス−シクロプロパンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化66】
PO(1M)で2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,2−トランス−シクロプロパンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 137mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.61(t,1H),δ2.78(q,4H),δ2.70(t,2H),2.10(br,2H),1.87(m,1H),δ1.75(m,2H),δ1.48(m,2H),1.43(m,1H),1.09(t,6H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が218mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 32.53%(理論値32.37%);H 5.12%(理論値5.19%);N 8.99%(理論値8.71%)。
【0183】
[実施例20]2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,2−エチレンジアミン)白金(II)p−トルエンスルホン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0184】
ステップ2、3: [実施例2]のステップ2、3と同様である。
【0185】
ステップ4: ジヨード(1,2−エチレンジアミン)白金(II)
【化67】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.076g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.64g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、凍結保存された1,2−エチレンジアミン(市販品) 301mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.254gを89.8%の収率で得た。元素分析:C 4.77%(理論値4.72%);H 1.41%(理論値1.57%);N 5.41%(理論値5.50%)。
【0186】
ステップ5: ジアクア(1,2−エチレンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化68】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 625mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,2−エチレンジアミン)白金(II) 1.020g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0187】
ステップ6: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,2−エチレンジアミン)白金(II)p−トルエンスルホン酸塩。
【化69】
p−トルエンスルホン酸CS(1M)で2−(3−ジエチルアミノプロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,2−エチレンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 140mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.63(t,1H),δ2.68(s,6H),δ2.55(t,2H),δ2.24−2.32(br,4H),δ1.74(m,2H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が269mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 24.95%(理論値25.23%);H 4.32%(理論値4.44%);N 9.92%(理論値9.81%)。
【0188】
[実施例21] 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル基))−プロパンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0189】
ステップ2、3: [実施例5]のステップ2、3と同様である。
【0190】
ステップ4: ジヨード(1,3−プロパンジアミン)白金(II)
【化70】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.073g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.64g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、凍結保存された1,3−プロパンジアミン(市販品) 372mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜3時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.281gを87.6%の収率で得た。元素分析:C 6.77%(理論値6.88%);H 1.79%(理論値1.91%);N 5.43%(理論値5.35%)。
【0191】
ステップ5: ジアクア(1,3−プロパンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化71】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 625mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,2−エチレンジアミン)白金(II) 1.043g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0192】
ステップ6: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル基))−プロパンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化72】
PO(1M)で2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,2−エチレンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 142mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.60(t,1H),δ2.78(q,4H),δ2.70(m,2H),δ2.26(t,4H),δ1.70(m,2H),δ1.45(m,2H),δ1.08(t,6H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が231mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 30.91%(理論値30.64%);H 5.32%(理論値5.32%);N 8.98%(理論値8.94%)。
【0193】
[実施例22] 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−ブタンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0194】
ステップ2、3: [実施例7]のステップ2、3と同様である。
【0195】
ステップ4: ジヨード(1,4−ブタンジアミン)白金(II)
【化73】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.071g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.635g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、凍結保存された1,3−プロパンジアミン(市販品) 431mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜3時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.365gを88.1%の収率で得た。元素分析:C 8.69%(理論値8.94%);H 2.39%(理論値2.23%);N 5.44%(理論値5.21%)。
【0196】
ステップ5: ジアクア(1,4−ブタンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化74】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 624mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,2−エチレンジアミン)白金(II) 1.072g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0197】
ステップ6: 2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−ブタンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化75】
PO(1M)で2−(2−ジn−プロピルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,2−エチレンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 149mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.60(t,1H),δ2.72(m,4H),δ2.52(m,4H),δ2.36(t,2H),δ1.82(m,2H),δ1.55(t,4H),δ1.39(m,4H),δ1.05(t,6H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が181mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 34.93%(理論値35.16%);H 6.22%(理論値6.05%);N 8.17%(理論値8.20%)。
【0198】
[実施例23]2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0199】
ステップ2、3: [実施例5]のステップ2、3と同様である。
【0200】
ステップ4: ジヨード(1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン)白金(II)
【化76】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.073g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.637g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン 601mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.163gを79.96%の収率で得た。元素分析:C 8.65%(理論値8.44%);H 2.39%(理論値2.11%);N 5.03%(理論値4.92%)。
【0201】
ステップ5:ジアクア(1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化77】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 624mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン)白金(II) 1.138g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0202】
ステップ6: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化78】
PO(1M)で2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジヨード(1,2−(1,2−ジヒドロキシメチル)−エチレンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 132mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.60(t,1H),δ3.03(d,4H),δ2.77−2.92(m,4H),δ2.67(m,2H),δ2.40(t,2H),δ1.75(t,2H),δ1.08(t,6H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が206mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 30.43%(理論値30.23%);H 5.22%(理論値5.23%);N 8.16%(理論値8.14%)。
【0203】
[実施例24] 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2 −ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0204】
ステップ2、3: [実施例2]のステップ2、3と同様である。
【0205】
ステップ4: ジヨード(1,3−(2,2−ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II)
【化79】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.074g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.636g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、1,2−(2,2−ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン 671mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.163gを79.96%の収率で得た。元素分析:C 10.37%(理論値10.29%)、H 2.49%(理論値2.40%)、N 5.01%(理論値4.80%)。
【0206】
ステップ5: ジアクア(1,3−(2,2−ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化80】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 624mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,3−(2,2−ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II) 1.162g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0207】
ステップ6: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化81】
PO(1M)で2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジヨード(1,3−(2,2−ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 137mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ3.49(s,4H),δ2.75(s,6H),δ2.70(t,2H),δ2.57(s,4H),δ1.70 (m,2H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が231mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 28.49%(理論値28.69%);H 5.20%(理論値4.98%);N 8.19%(理論値8.37%)。
【0208】
[実施例25]: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0209】
ステップ2、3: [実施例2]のステップ2、3と同様である。
【0210】
ステップ4: ジヨード(1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)
【化82】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.075g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.64g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン 571mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.251gを79.96%の収率で得た。元素分析:C 12.61%(理論値12.79%);H 2.45%(理論値2.49%);N 5.11%(理論値4.97%)。
【0211】
ステップ5: ジアクア(1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化83】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 625mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,3−(2,2−ヒドロキシメチル)−プロパンジアミン)白金(II) 1.122g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0212】
ステップ6: 2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化84】
PO(1M)で2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジヨード(1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 151mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.75(s,6H),δ2.70(t,2H),δ2.23(d,4H),δ1.95(m,2H),δ1.70(m,2H),δ1.44(m,4H)
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が185mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 32.49%(理論値32.37%);H 5.36%(理論値5.19%);N 8.75%(理論値8.71%)。
【0213】
[実施例26]:2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1:[実施例1]のステップ1と同様である。
【0214】
ステップ2、3: [実施例5]のステップ2、3と同様である。
【0215】
ステップ4、5: [実施例25]のステップ4、5と同様である。
【0216】
【化85】
ステップ6:フマル酸C4H4O4(1M)で2−(2−ジメチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム塩溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,4−(トランス−2,3−シクロブチル)−ブタンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gのシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 153mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.78(m,4H),δ2.70(t,2H),δ2.23(d,4H),δ1.89(m,2H),δ1.72(m,2H),δ1.08(t,6H),δ1.44(m,4H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が176mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 35.41%(理論値35.29%);H 5.50%(理論値5.69%);N 8.17%(理論値8.24%)。
【0217】
[実施例27]2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0218】
ステップ2、3: [実施例5]のステップ2、3と同様である。
【0219】
ステップ4: ジヨード(1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)
【化86】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.071g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.64g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、1,4−シクロヘキサンジアンミン 572mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.163gを76.84%の収率で得た。元素分析:C 12.74%(理論値12.79%);H 2.45%(理論値2.49%);N 5.17%(理論値4.97%)。
【0220】
ステップ5: ジアクア(1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化87】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 623mg(2mmol)を入れ、水 30mlを加え、撹拌し、ジヨード(1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II) 1.125g(2mmol)を反応溶液に添加し、また水 40mlを加えてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0221】
ステップ6: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,4−シクロヘキサンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化88】
PO(1M)で2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,4−シクロヘキサンジアンミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 140mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.78(m,4H),δ2.70(t,2H),2.05(m,2H),δ1.72(m,2H),δδ1.53−1.78(m,8H),δ1.08(t,6H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が145mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 35.51%(理論値35.29%);H 5.57%(理論値5.69%);N 8.06%(理論値8.24%)。
【0222】
[実施例28] 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例1]のステップ1と同様である。
【0223】
ステップ2、3: [実施例5]のステップ2、3と同様である。
【0224】
ステップ4: ジヨード(1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン)白金(II)
【化89】
テトラクロロ白金(II)酸カリウム(KPtCl) 2.071g(5mmol)を取り、水 50mlを入れて、室温で撹拌しながら溶解させ、水でKI 6.64g(40mmol)を溶解させてから、反応溶液に加え、窒素保護、遮光及び水浴の条件で40〜60℃まで加熱して0.5〜2時間反応させた。また、1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン 722mg(5mmol)を取り、50mlの水で溶解してから、反応溶液に添加し、その反応条件を維持しながら0.5〜2時間反応させた。吸引濾過して、黄色固体生成物を得、水(10ml×3回)、エーテル(10ml×3回)で洗浄し、生成物 2.547gを85.91%の収率で得た。元素分析:C 14.35%(理論値14.17%);H 2.75%(理論値2.70%);N 4.72%(理論値4.72%)。
【0225】
ステップ5: ジアクア(1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン)白金(II)硫酸塩
【化90】
100mlの三つ口フラスコにAgSO 623mg(2mmol)を取り、水 30mlを入れて、撹拌し、ジヨード(1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン)白金(II) 1.185g(2mmol)を反応溶液に添加し、水 40mlを入れてから、窒素保護、遮光、水浴及び40〜60℃の条件で4〜8時間反応させた。AgIの沈殿物を吸引濾過により除去して、得られたろ液は、生成物の水溶液でした。
【0226】
ステップ6: 2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸(シス−1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン)白金(II)リン酸塩。
【化91】
PO(1M)で2−(2−ジエチルアミノエチル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整し、ジアクア(1,3−(2,2−(4−オキサシクロヘキシル))−プロパンジアミン)白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜60℃まで加熱して、4〜8時間反応させた後、反応溶液をカラムクロマトグラフィー用の2.5gシリカゲル(200−300メッシュ)に加え、15分間撹拌後、吸引濾過し、カラムクロマトグラフィー処理を行うと、生成物 159mgを得た。
HNMR(DO)(ppm):δ3.70(t,4H),δ3.60(t,1H),δ2.78(m,4H),δ2.70(t,2H),δ2.12(s,4H),δ1.89(m,2H),δ1.52(t,4H),δ1.08(t,6H)。
該化合物は水に溶けやすく、溶解度が178mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 35.27%(理論値35.56%);H 5.51%(理論値5.74%);N 8.04%(理論値7.78%)。
【0227】
[実施例29]:シス−ジアンミン(2−(3−(1−ピペリジニル)−プロピル)−ロン酸)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例3]のステップ1と同様である。
【0228】
ステップ2: 2−(3−(1−ピペリジニル)−プロピル)−マロン酸ジエチル
【化92】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 113.7g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.71g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中にピペリジン溶液 85.0g(1.0mol)を加え、油浴でを40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 99.3gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 35.57gを31.2%の収率で得た。
【0229】
ステップ3: 2−(3−(1−ピペリジニル)−プロピル)−マロン酸ジエチル二ナトリウム塩
【化93】
NaOH 212.4mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2M NaOHをもらい、また、2−(3−(1−ピペリジニル)−プロピル)−マロン酸ジエチル 572mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(3−(1−ピペリジニル)−マロン酸ジナトリウム溶液を得た。
【0230】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0231】
ステップ6: 2−(3−(1−ピペリジニル)−プロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)リン酸塩。
【化94】
PO(1M)で2−(3−(1−ピペリジニル)−プロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整しシス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 136mgを得た。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が159mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 28.24%(理論値28.79%);H 4.93%(理論値5.05%);N 9.02%(理論値9.23%)。
HNMR(DO)(ppm):δ3.62(t,1H),δ2.83(m,4H),δ2.70(m,2H),δ1.85(m,2H),δ1.77(m,4H),δ1.52(m,2H),δ1.37(m,2H)。
【0232】
[実施例30]:シス−ジアンミン(2−(3−(1−ピロリジニル)−プロピル)−ロン酸)白金(II)リン酸塩。
ステップ1: [実施例3]のステップ1と同様である。
【0233】
ステップ2: 2−(3−(1−ピロリジニル)−プロピル)−マロン酸ジエチル
【化95】
2−ブロモエチル−マロン酸ジエチル 113.6g(0.4mol)を三つ口フラスコに入れ、無水KCO 55.73g(0.4mol)とアセトニトリル 500mlを添加して、撹拌した。また、反応液中にピロリジン溶液 71.1g(1.0mol)を加え、油浴でを40〜60℃まで加熱して、2−6時間反応させた後、吸引濾過で不溶物を濾去し、ろ液を排出してから、酢酸エチル 1000mlを加えて溶解させ、飽和食塩水で洗浄し(250ml×3回)、有機層を無水MgSOで終夜乾燥させ、水ポンプで減圧下で溶媒を抽出してから、赤みを帯びた黄色の透明な物質 95.9gを得、カラムクロマトグラフィーにより精製した後、純粋な生成物 31.87gを29.4%の収率で得た。
【0234】
ステップ3: 2−(3−(1−ピロリジニル)−プロピル)−マロン酸ジエチル二ナトリウム塩
【化96】
NaOH 212.4mg(5mmol)を取り、水 2.5mLを加えて溶解させると、2M NaOHをもらい、また、2−(3−(1−ピロリジニル)−プロピル)−マロン酸ジエチル 545mg(2mmol)を20mLの三つ口フラスコに入れ、前記NaOH溶液を加え、室温で45〜60時間撹拌してから、2−(3−(1−ピロリジニル)−マロン酸ジナトリウム溶液を得た。
【0235】
ステップ4、5: [実施例1]のステップ4、5と同様である。
【0236】
ステップ6: 2−(3−(1−ピロリジニル)−プロピル)−マロン酸(シス−ジアンミン)白金(II)リン酸塩。
【化97】
PO(1M)で2−(3−(1−ピロリジニル)−プロピル)−マロン酸二ナトリウム溶液のpH値を5〜7に調整しシス−ジアンミンジアクア白金(II)硫酸塩溶液を反応混合物に加え、窒素保護で水浴で40〜75℃まで加熱して、4−6時間反応させた後、反応液を吸引濾過し、一定の体積まで濃縮し、静置した後、結晶性生成物 123mgを得た。
該化合物の遊離塩基と塩は水に溶けやすく、溶解度が160mg/mlであり、遊離により、他の種類の有機または無機塩に変換し易い(硫酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、フマル酸塩であってもよいが、これらに限定されない)。遊離塩基元素分析:C 26.73%(理論値26.98%);H 4.96%(理論値4.76%);N 9.38%(理論値9.52%)
HNMR(DO)(ppm):δ3.61(t,1H),δ2.85(m,4H),δ2.71(m,2H),δ1.85(m,2H),δ1.79(m,4H),δ1.51(m,2H)。
【0237】
[実験例1]:白金錯体の正常マウスに対する急性毒性
実施例白金化合物を5%グルコース溶液で溶解させ、異なる用量で体重18〜22g、4〜6週齢の昆明マウス(雄と雌がそれぞれ半分である)に単回静脈内投与した後(対照薬はカルボプラチンとシスプラチである)、死亡率及び毒性状況を14日間観察して、死亡率に基づきBliss方法によりLD50値を計算した。表1を参照してください:
【0238】
【表1】
【0239】
結論:実施例化合物のモル濃度急性毒性はシスプラチンとカルボプラチンよりもはるかに少ないです。
【0240】
[実験例2]:白金化合物の腫瘍細胞に対する細胞毒性
MTTアッセイを使用して、実施例白金化合物の腫瘍細胞に対する細胞毒性を観察した。指数増殖期にある数種類の腫瘍細胞を単一細胞懸濁液調製し、4×10/ウェルの密度で96ウェルプレートに接種し、10%ウシ胎児血清を含有する培地(完全培地)を用いて37℃で24時間培養して、培養器壁に接着させ、培養の最終容量は100μlとした。24時間培養した後細胞形態を観察し、白金化合物の投与量については、事前テストによって以下の濃度を決定した:シスプラチンは200、60、20、6、2、0.6μg/mlであり、カルボプラチンは200、60、20、6、2、0.6μg/mlでした。実施例白金化合物については、それらの種々の細胞に対する異なる感度に基づき、適切な調整を行い、結果は以下の表2〜7に示すとおりである。
【0241】
【表2】
【0242】
【表3】
【0243】
【表4】
【0244】
【表5】
【0245】
【表6】
【0246】
【表7】
【0247】
表2〜7から分かるように、実施例1−28の化合物は、カルボプラチンと同等以上のインビトロ細胞毒性を有する。
【0248】
[実験例3]:白金化合物のインビボ抗腫瘍活性の研究
(1)体重17〜20g、4〜6週齢の雄性ヌードマウスを用い、濃度1×10/mlの結腸癌SW480細胞系の単一細胞懸濁液 0.2mlを、右脇の下に皮下注射し、接種後24時間後にマウスを無作為にグループに分け(各グループ10匹)、各グループにそれぞれ試薬4mg/kg(陽性対照群、静脈内投与)、等量の生理食塩水(陰性対照群)、実施例における1−8化合物群(連続腹腔内注射、隔日1回、計4回)を投与し、10日後皮下腫瘍を摘出し、秤量し、腫瘍抑制率を計算した(表8を参照)。腫瘍抑制率の計算式:
【数1】
【0249】
【表8】
【0250】
(2)体重17〜20g、4〜6週齢の雄性ヌードマウスを用い、濃度1×10/mlの結腸癌SW480細胞系の単一細胞懸濁液50μlを、左前肢に皮下注射し、接種後5日後にマウスを無作為にグループに分け(各グループ10匹)、各グループにそれぞれシスプラチン3、5mg/kg(陽性対照群、静脈内投与)、等量の生理食塩水(陰性対照群)、実施例における1化合物3、5、10、15mg/kg及び実施例における8化合物3、5、10、15mg/kg(3日間連続腹腔内注射)を投与し、投与停止24時間後に皮下腫瘍を摘出し、秤量し、腫瘍抑制率を計算した(表9を参照)。
【0251】
【表9】
【0252】
(3)体重17〜20g、4〜6週齢の雄性ヌードマウスを用い、濃度1×10/mlの肺癌H292細胞系の単一細胞懸濁液0.2 mlを、背中の脇の下の近くに皮下注射し、接種後2週間後にマウスを無作為にグループに分け(各グループ10匹)、各グループにそれぞれカルボプラチン15mg/kg(陽性対照群、静脈内投与)、等量の生理食塩水(陰性対照群)、実施例における9−16化合物群15mg/kg(腹腔内注射、隔2日1回、計4回)を投与し、接種後30日後試験を終了し、皮下腫瘍を摘出し、秤量し、腫瘍抑制率を計算した(表10を参照)。
【0253】
【表10】
【0254】
(3)体重17〜20g、4〜6週齢の雄性ヌードマウスを用い、濃度1×10/mlの乳癌MCF−7細胞系の単一細胞懸濁液 0.2mlを、背中の脇の下の近くに皮下注射し、接種後2週間後にマウスを無作為にグループに分け(各グループ10匹)、各グループにそれぞれカルボプラチン15mg/kg(陽性対照群、静脈内投与)、等量の生理食塩水(陰性対照群)、実施例における17−24化合物群15mg/kg(腹腔内注射、隔2日1回、計4回)を投与し、接種後30日後試験を終了し、皮下腫瘍を摘出し、秤量し、腫瘍抑制率を計算した(表11を参照)。
【0255】
【表11】
【0256】
(5)体重17〜20g、4〜6週齢の雄性ヌードマウスを用い、濃度1×10/mlの肺癌Lewis細胞系の単一細胞懸濁液 0.2mlを、背中の脇の下の近くに皮下注射し、接種後2週間後にマウスを無作為にグループに分け(各グループ10匹)、各グループにそれぞれカルボプラチン15mg/kg(陽性対照群、静脈内投与)、等量の生理食塩水(陰性対照群)、実施例における25−37化合物群 15mg/kg(腹腔内注射、隔2日1回、計4回)を投与し、接種後30日後試験を終了し、皮下腫瘍を摘出し、秤量し、腫瘍抑制率を計算した(表12を参照)。
【0257】
【表12】
【0258】
[調製剤例1]:注射液の調製
処方1
実施例5リン酸化合物 10g
グルコース 50g
注射用水を1000mlまで加えた。 1000ml
1000本に作った。
工程:実施例5化合物リン酸塩 10gとグルコース 50gを2000mlのガラス器具に入れ、室温で注射用水 1000mlを添加して溶解させ、0.22μmの多孔質濾過膜でフィルターしてから、1mlのアンプルに分注すると、10mg/バイアルの仕様を得た。
【0259】
処方2
実施例8メタンスルホン酸塩化合物 10g
グルコース 50g
注射用水を1000mlまで加えた。 1000ml
1000本に作った。
工程:実施例8化合物メタンスルホン酸塩 10gとグルコース 50gを1000mlのガラス器具に入れ、室温で注射用水 1000mlを添加して溶解させ、0.22μmの多孔質濾過膜でフィルターしてから、2mlのバイアルに分注すると、10mg/バイアルの仕様を得た。
【0260】
[製剤例2]:注射用凍結乾燥粉末の調製
処方1
実施例8メタンスルホン酸塩化合物 10g
マンニトール 50g
注射用水を1000mlまで加えた。 1000ml
1000本に作った。
工程:実施例8化合物 10gとマンニトール 50gを1000mlのガラス器具に入れ、室温で注射用水 1000mlを添加して溶解させ、0.22μmの多孔質濾過膜でフィルターしてから、1ml/バイアルの基準で、2mlのバイアルに分注し、凍結乾燥すると、10mg/バイアルの仕様を得た。
【0261】
処方2
実施例15リン酸化合物 20g
マンニトール 50g
注射用水を1000mlまで加えた。 1000ml
1000本に作った。
工程:実施例15の化合物 10gとマンニトール 50gを1000mlのガラス器具に入れ、室温で注射用水 1000mlを添加して溶解させ、0.22μmの多孔質濾過膜でフィルターしてから、1ml/毎バイアルの基準で、2mlのバイアルに分注し、凍結乾燥すると、20mg/毎バイアルの仕様を得た。
【0262】
処方3
実施例20p−トルエンスルホン酸塩化合物 50g
注射用水を1000mlまで加えた。 1000ml
1000本に作った。
工程:実施例20化合物p−トルエンスルホン酸塩 50gを1000mlのガラス器具に入れ、室温で注射用水 1000mlを添加して溶解させ、0.22μmの多孔質濾過膜でフィルターしてから、1ml/バイアルの基準で、2mlのバイアルに分注し、凍結乾燥すると、50mg/バイアルの仕様を得た。