特許第5914654号(P5914654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5914654スリットを有するプラスチック部品の射出成形
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914654
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】スリットを有するプラスチック部品の射出成形
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/37 20060101AFI20160422BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20160422BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   B29C45/37
   B65D47/20 X
   B65D47/08 Z
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-522147(P2014-522147)
(86)(22)【出願日】2012年7月25日
(65)【公表番号】特表2014-525855(P2014-525855A)
(43)【公表日】2014年10月2日
(86)【国際出願番号】GB2012000615
(87)【国際公開番号】WO2013014412
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2014年6月16日
(31)【優先権主張番号】1113097.8
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506318632
【氏名又は名称】カーボナイト コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CARBONITE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス,マシュー,エリック
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−502812(JP,A)
【文献】 特開2005−193946(JP,A)
【文献】 特開2004−142805(JP,A)
【文献】 特表2002−543005(JP,A)
【文献】 特開2004−130751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/37
B65D 47/08
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スリットを有するプラスチック部品を射出成形する方法であって、
内表面によって定められるモールド空洞を提供する第1のモールド部材(26)と、前記モールド空洞の形と実質的に相補する形を有する外表面を有する第2のモールド部材(28)とを提供するステップであって、前記内表面および前記外表面の一方は伸長した頂部(38)を定める伸長した構成を有するステップと、
前記第2のモールド部材(28)を前記モールド空洞内に進行させることによって、前記頂部(38)が前記内表面および前記外表面のうち対向する1つから予め定められた距離だけ間隔を置かれ、かつ前記第1のモールド部材の前記内表面および前記第2のモールド部材の前記外表面がともにモールド空間を定めるようにするステップと、
前記モールド空間に溶融ポリマー材料を注入して前記モールド空間を実質的に充填するステップと、
前記ポリマー材料の前記注入の際に、前記頂部(38)と対向表面との間の空間から、移動された空気を抜くステップと、を含み、
前記ポリマー材料が前記頂部と前記対向表面との間の前記空間を完全に充填しないように、前記予め定められた距離は0.0075mmから0.075mmの間とし、それによって前記スリットが形成されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記予め定められた距離は0.01mmから0.03mmの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記頂部(38)は、鋭角にて傾斜しており線において会合する2つの表面(36)によって定められる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマー材料のメルトフローインデックスは10分当り4gから40gであり、好ましくは10分当り8gから26gである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記部品は一般的にダックビル型の分配弁であり、前記分配弁は2つの対向する弁プレート(16)を含み、前記弁プレート(16)は互いに向けて傾斜していて頂部(38)において会合しており、前記頂部(38)において前記弁プレート(16)はスリット(18)によって分離されており、前記第1のモールド部材の前記内表面は、対向して互いに向けて傾斜し、かつ伸長した内側頂部において会合する2つの第1の部分(30)を含み、前記第2のモールド部材の前記外表面は、互いに向けて傾斜し、かつ伸長した外側頂部(38)において会合する2つの第2の部分(36)を含み、前記第2のモールド部材(28)は、前記外側頂部(38)が前記内側頂部から前記予め定められた距離だけ間隔を置かれるまで前記モールド空洞内に進行される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記モールド空洞の前記内表面の前記2つの第1の部分(30)は前記内表面の2つの第3の部分によってともに接続され、かつ前記モールド部材の前記外表面の前記2つの第2の部分(36)は前記外表面の2つの第4の部分によってともに接続されることによって、前記外側頂部(38)が前記内側頂部から前記予め定められた距離だけ間隔を置かれるときに、前記第1および第2の部分は第1の距離だけ間隔を置かれ、かつ前記第3および第4の部分は第2の距離だけ間隔を置かれ、前記第2の距離は前記第1の距離よりも少なくとも10%大きく、好ましくは少なくとも20%大きい、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記部品は、少なくとも1つのスリット(18)が形成された弁プレート(14)を含む種類の分配弁であり、単数または複数の前記スリットは1つまたはそれ以上の弁フラップ(50)を定め、前記弁フラップ(50)は、単数または複数の前記スリット(18)によってその周囲のある部分にわたって前記弁プレートの残りの部分と分離されており、かつ一体型ヒンジを構成する仮想線に沿ったその周囲の残りの部分にわたって前記弁プレートの残りの部分と一体化しており、それによって前記弁フラップ(50)または各弁フラップ(50)が自身の一体型ヒンジに沿って曲がることによって流れ開口部を開いてもよく、前記第1のモールド部材(26)および前記第2のモールド部材(28)は、前記第2のモールド部材が前記モールド空洞内に進行されるときにプレート形のモールド空間をともに定める対向表面を提供し、前記対向表面の一方(54)は伸長した頂部(58)を定める少なくとも1つの伸長した構成(56)を有し、単数または複数の前記伸長した頂部は、前記弁プレートにおける単数または複数の前記スリットの所望のパターンになっている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記対向表面の前記一方(54)は3つまたはそれ以上の伸長した構成(56)を有し、前記伸長した構成(56)の前記頂部(58)は単一点から放射状に伸びることによって、製造される前記分配弁は伸長した構成の数と等しい数の弁フラップ(50)を含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリットを有するプラスチック部品を射出成形する方法に関する。中にスリットが形成されたプラスチック部品を射出成形することが望ましい場合が多くあり、スリットとはすなわち線形の切れ目であって、そこで材料の端縁が互いに実質的に当接しているか、または非常にわずかな距離だけ間隔を置かれているがともに接続はされていないことによって、スリットの両側における材料の少なくとも制限された相対的な動きが可能である。
【背景技術】
【0002】
こうした部品の適用分野の1つは流体の流れ弁、特にたとえばシャワージェル、ヘアコンディショナー、トマトケチャップなどの粘性液体またはペースト状材料を吐出するための吐出弁である。通常こうした弁は、典型的には熱可塑性材料から成形された変形可能な容器の口に嵌合されており、容器の内容物を吐出することが望まれるときに、容器は逆さにされて圧搾により変形される。それによって容器の内部圧力が増加し、その結果として弁が開き、そこを通って容器の内容物が吐出される。所望の量の材料が吐出されると、容器に加えられていた圧力が取り除かれ、容器は元の形に膨張し始める。それによって容器内に生ずる圧力の低減の結果として吐出プロセスが終了し、弁が再び閉じる。次いで弁は実質的な封止を形成することが望ましく、つまり粘性またはペースト状の材料の通過を封止することが望ましく、このことはたとえば、通常逆さまの状態で保存されるシャワージェルなどの容器において、容器の内容物が弁を通って漏出または滴下することを防ぐために特に重要である。この封止は実質的な気密をも構成することが望ましい。なぜなら、もしその容器がたとえばマヨネーズまたはカラシなどの腐りやすい材料に用いられるものであれば、容器内に大気が自由に入ることは材料の生分解をもたらし得るので、当然のことながら非常に望ましくないためである。しかしながら、この弁は容器が元の形に再膨張することを可能にするために十分な空気を入れ得るべきであるため、この弁は完全な気密は形成しないことが望ましい。
【0003】
この一般的態様で動作する多種多様な弁が公知であり、より一般的な種類の1つは、十字形の構成になった2つの垂直なスリットが形成されたシリコーンゴムのディスクを含むものである。こうした弁は広く用いられており、非常に効果的ではあるが、シリコーンゴムは高価であり取り扱いが困難であること、およびこの弁は必然的に、ともに接続されなければならない2つの異なる部品、すなわちたとえば射出成形された熱可塑性材料などの弁体と、シリコーンゴムの弁部材自体とを含む必要があるという欠点がある。これら2つの部品の接続より前に、シリコーンゴムのディスクにスリットを形成する必要があるが、これは高価かつ労力のかかるプロセスである。さらに、これら2つの部品をともに接続することは付加的なコストのかかる製造ステップであり、2つの異なる材料が用いられているという事実によって使用後の弁のリサイクルが実行不可能となる。
【0004】
上述の弁において、スリットの目的は弁フラップを定めることであり、弁フラップは、流動性材料が通過し得る1つまたはそれ以上の開口部を開閉するために、弁体の残りの部分に対して動くことができる。たとえば洗面用品または食品などの家庭用の目的ではなく、廃水などに関連して用いられる、さらなる公知の種類の弁はピンチ弁である。この種類の弁においては、流動性材料が通過し得る開口部をスリット自体が構成する。こうした弁は典型的に一体型の、一般的に管状の構成であり、ゴムまたはエラストマー材料で成形されている。それらは通常少なくとも概ね円形の入口端部を有し、かつその側壁は2つの概ね平らな対向部分を含み、それらの対向部分の側部端縁は弓形の側部によって接続されており、かつそれらは互いに向かって傾斜しており、スリットが定められている伸長した略直線状の頂部において会合する。弁内の圧力が外部圧力を超えるとき、頂部を定める対向する平らな部分の2つの端縁、すなわちスリットの2つの端縁が離されて、弁が開かれる。こうした弁は安価であり、かつ特定の適用に対しては効果的であるが、こうした弁が確実に閉じるのは、外部圧力が弁体の中の圧力を超えたときのみであり、この事実のみによって、こうした弁は吐出弁として家庭用に使用するには実用的でないものとなっている。さらに、このスリットは弁が成形された後に別個の切断およびスリット形成プロセスによって作製される必要があり、このプロセスの費用のために、こうした弁を広範囲の家庭用の使用のための容器に用いることが許容できなくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで、射出成形された部品にスリットを設けるためには、実際の成形プロセスの後に別個の製造ステップが常に必要とされており、本発明の目的は、射出成形プロセスの際にその部分としてスリットが形成されることによって、後でスリットを形成する別個のステップをなくした、プラスチック部品を射出成形する方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、上述した弁の簡単さおよび利点を有するが、どちらの種類の弁の欠点も回避した、1つまたはそれ以上のスリットを含む種類の射出成形吐出弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従うと、スリットを有するプラスチック部品を射出成形する方法は、内表面によって定められるモールド空洞を提供する第1のモールド部材と、モールド空洞の形と実質的に相補する形を有する外表面を有する第2のモールド部材とを提供するステップであって、内表面および外表面の一方は伸長した頂部を定める伸長した構成を有する、ステップと、第2のモールド部材をモールド空洞内に進行させることによって、頂部が内表面および外表面のうち対向する1つから予め定められた距離だけ間隔を置かれ、かつ第1のモールド部材の内表面および第2のモールド部材の外表面がともにモールド空間を定めるようにするステップと、モールド空間に溶融ポリマー材料を注入してモールド空間を実質的に充填するステップとを含み、頂部と対向表面との間の空間をポリオレフィン材料が完全に充填しないことによってスリットが形成されるように、予め定められた距離の寸法が定められる。よって本発明に従う方法においては、モールド部材の一方における伸長した突出する構成の頂部または頂点と、他方のモールド部材の対向表面との間のモールド空間に非常に狭い間隙が定められる。モールド空間に溶融ポリマー材料が注入されるとき、溶融ポリマー材料はモールド空間のほとんどを急速に充填するが、狭い伸長間隙は有効な流れ障壁を形成し、実際には溶融材料はこの間隙に近付き、そこに両側から実質的に対称に流れ込む。もしその間隙が適切に寸法を定められていれば、プラスチック材料の2つの流頭は頂部に沿って走る線に沿って実質的に会合するが、ともに融合することはない。その理由は完全には分かっていないが、間隙の狭さによって比較的急速な冷却が起こり、結果として頂部の上に比較的高速の温度降下が起こるためであると考えられている。2つの流頭が会合するがともに融合しないという事実は、成形された製品に、幅が無視可能または実質的にゼロである切れ目またはスリットが形成されることを意味し、それによってスリットの端縁が実質的な封止を形成する。
【0007】
定められる間隙のサイズは非常に重要であり、予め定められた距離は好ましくは0.0075mmから0.075mmの間であり、より好ましくは0.01mmから0.03mmの間である。予め定められた距離が所与の範囲を上回る値を有するとき、ポリマー材料は間隙を通って流れることができ、スリットは形成されない。予め定められた距離が所与の範囲を下回る値を有するとき、最終製品にはスリットまたは伸長した穴が形成されるが、それは吐出弁において許容できる封止を生じさせない相当の幅を有するようになる。
【0008】
このスリットまたは切れ目を顕微鏡スケールで見ると、2つの流頭は明らかに2本の直線に沿って間隙内に進行しておらず、代わりに幾分不規則な線、すなわち波状および/またはギザギザの線に沿って進行していることが分かるだろう。したがってスリットの2つの側部は、ある範囲においては接触していて完全な封止を形成しているが、他の範囲においては微細な距離だけ間隔が空いていることが観察される。このことは、このスリットが、たとえば多くの洗面用品調製物などの粘性液体に対する完全に適切な封止を形成するが、一般的に空気を通過させることを意味する。これは、通常逆さまの位置で保存される粘性の洗面用品組成物のための吐出弁にとって理想的な特徴である。なぜなら、組成物は漏出を防がれるが、空気は容器に流れ込んで、吐出された組成物の量だけ以前に占有されていた体積を満たすことによって、圧搾可能な吐出容器がその変形した壁の弾力によって元の形に戻ることを可能にできるためである。
【0009】
頂部および対向表面によって定められる狭い間隙内への溶融ポリマー材料の2つの流頭の移動は、間隙内に閉じ込められた空気の存在によって妨げられることがあるが、これは注入プロセスの際に間隙から空気を抜くことによって防止されてもよい。
【0010】
突出する構成の頂部は、鋭角にて傾斜する2つの表面によって定められてもよく、この2つの表面はある線において会合し、頂部を構成するのは無論この線である。2つの表面が弓形の表面を介して合併することも可能であり、こうした表面の曲率半径は0.03mmから1mmの範囲であることが好ましい。
【0011】
溶融ポリマーが間隙に流れ込む能力は注入圧力によって変わることが予期されるが、実際にはこの能力は、従来射出成形に用いられる圧力の範囲内でのこの圧力の変動には比較的非感受性であることが見出されている。しかしながらこの能力は粘度、すなわちポリオレフィンのメルトフローインデックスによって変わり、ポリマー材料のメルトフローインデックスは10分当り4gから40gであることが好ましく、好ましくは10分当り8gから26gである。
【0012】
ポリマー材料は好ましくはポリオレフィンであるが、他のポリマーおよびポリマーの混合物も可能である。加えて、コポリマーまたはポリマーの混合物である熱可塑性エラストマーを用いることも可能である。こうした材料の多くは揺変性であり、それらの流れ特性は剪断応力によって変わるため、一般的にこうした材料のメルトフローインデックスを参照することは意味がない。
【0013】
上述のとおり、本発明の方法は吐出弁を製造するために特に好適である。こうした弁は、流動性材料がスリット自体を通って流れる種類のものであり得るため、一実施形態において、この部品は一般的にダックビル型の吐出弁であり、その吐出弁は2つの対向する弁プレートを含み、それらの弁プレートは互いに向けて傾斜していて頂部において会合しており、その頂部において弁プレートはスリットによって分離されており、第1のモールド部材の内表面は、対向して互いに向けて傾斜し、かつ伸長した内側頂部において会合する2つの第1の部分を含み、第2のモールド部材の外表面は、互いに向けて傾斜し、かつ伸長した外側頂部において会合する2つの第2の部分を含み、第2のモールド部材は、外側頂部が内側頂部から予め定められた距離だけ間隔を置かれるまでモールド空洞内に進行される。
【0014】
上述のとおり、この弁は通常閉じられているときにも空気の通過を可能にし、これは吐出容器がそれ自体の弾力によって通常の形に戻ることを可能にするため、多くの物質を吐出するときに非常に望ましい。しかしながら、いくつかの物質は空気の存在下で生分解すなわち酸化を受けるため、こうした物質にとっては、吐出弁が真の1方向弁として働いて、空気が容器内に逆流できないようにすることが望ましい。弁の2つのフラップまたは弁プレートが互いに対して約30°から60°、好ましくは40°から50°だけ傾けられるようにモールドの寸法を定めれば、弁は閉鎖状態にあるときにも容器内に空気を入れることが見出されている。しかしながら驚くべきことに、2つの弁プレートが互いに対してたとえば10°から25°、好ましくは15°から20°などのより小さい角度だけ傾けられるようにモールドの寸法を定めれば、スリットの対向端縁間の接触圧力の増加と、ポリマー材料の弾力および粘着性とが組み合わされることによって、閉鎖状態にあるときに空気に対する封止も形成する弁が得られることが見出されている。
【0015】
上述のとおり、このスリットは粘性液体に対する封止を形成するが、一般的に空気に対する封止は形成せず、モールド空洞の内表面の2つの第1の部分が内表面の2つの第3の部分によってともに接続され、かつモールド部材の外表面の2つの第2の部分が外表面の2つの第4の部分によってともに接続されることによって、外側頂部が内側頂部から予め定められた距離だけ間隔を置かれるときに、第1および第2の部分は第1の距離だけ間隔を置かれ、かつ第3および第4の部分は第2の距離だけ間隔を置かれ、第2の距離は第1の距離よりも少なくとも10%大きく、好ましくは少なくとも20%大きいときに、粘性液体に関する封止完全性が高められてもよい。よって本発明のこの態様に従って作製される弁は2つの傾斜した弁プレートを有することとなり、それらの弁プレートはともにスリットを定め、かつより厚い2つの湾曲部分によって一体的に接続される。成形された部品が冷却されるとき、より厚い2つの部分は2つのより薄い弁プレートよりも収縮し、このより大きい収縮によって、2つの弁プレートがスリットと平行な張力の下に置かれる。この張力がスリットを閉じたまま保持しようとするために、弁の封止完全性が高められる。
【0016】
吐出弁のさらなる実施形態において、流動性材料はスリットを通って流れるのではなく、1つまたはそれ以上のスリットによって定められるフラップによって通常は閉じられている開口部を通って流れる。よってこの実施形態における部品は、少なくとも1つのスリットが形成された弁プレートを含む種類の吐出弁であり、この単数または複数のスリットは1つまたはそれ以上の弁フラップを定め、この弁フラップは、単数または複数のスリットによってその周囲のある割合にわたって弁プレートの残りの部分と分離されており、かつ一体型ヒンジを構成する仮想線に沿ったその周囲の残りの部分にわたって弁プレートの残りの部分と一体化しており、それによって弁フラップまたは各弁フラップがその一体型ヒンジに沿って曲がることによって流れ開口部を開いてもよく、第1のモールド部材および第2のモールド部材は、第2のモールド部材がモールド空洞内に進行されるときにプレート形のモールド空間をともに定める対向表面を提供し、対向表面の一方は伸長した頂部を定める少なくとも1つの伸長した構成を有し、その単数または複数の伸長した頂部は、弁プレートにおける単数または複数のスリットの所望のパターンになっている。
【0017】
吐出弁がただ1つの可動弁フラップを有するとき、それは一般的にU形の単一のスリットのみを有するか、または鋭角にて互いに向けて傾斜する2つのスリットを有することとなり、この場合には2つのモールド部材の対向表面の一方が、一般的にU形の頂部を有する単一の伸長した構成か、または鋭角に伸びる頂部を有する2つの伸長した構成を有することとなる。弁が3つ、4つまたはさらに多くの弁フラップを有するときは、2つの弁部材の対向表面の一方が、単一の点から放射状に伸びる頂部を有する複数の伸長した構成を有することによって、結果として得られるスリットが必要な数の可動弁フラップを定めるようにする。
【0018】
添付の図面を参照して単なる例として示される3つの特定の実施形態の以下の説明から、本発明のさらなる特徴および詳細が明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に従って作製された吐出弁を組み込んだ洗面用品容器の上側部分の斜視図である。
図2】吐出弁のみを示す部分的斜視図である。
図3】吐出弁の鉛直断面図である。
図4】吐出弁の水平断面図である。
図5図1に示される洗面用品容器の上側部分を製造するために用いられるモールドの断片断面図である。
図6】吐出弁が製造される領域を示す、図5のモールドの断片拡大図である。
図7】内側および外側頂部の領域のみを示す、モールドのさらなる拡大図である。
図8】吐出弁の第2の実施形態を示す、図1と同様の図である。
図9】第2の実施形態の弁の平面図である。
図10】第2の実施形態の弁の、図9の線x−xにおける鉛直断面図である。
図11】吐出弁の第3の実施形態を製造するために用いられるモールド部材の雌部分を上から見た、高度に概略化した図である。
図12】所定の位置にある他方のモールド部材の雄部分も示す、図11の線xii−xiiにおける斜視断面図である。
図13図11の線xiv−xivにおける斜視断面図である。
図14図11に示される雌モールド部分に入る前の位置にある雄モールド部分を示す、部分的に切り取られた斜視図である。
図15】本発明の第3の実施形態に従う吐出弁を組み込んだ洗面用品容器の蓋の斜視図である。
図16図15に示される吐出弁の部分的に切り取られた部分的斜視図である。
図17図16において円で囲まれた弁の部分の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1から図4は、本発明の第1の実施形態に従って作製された吐出弁を示し、この吐出弁はたとえばシャンプー、ヘアコンディショナーなどのための洗面用品容器の上側部分の一体型部分を形成する。図1は容器の上側部分を示しており、これは使用の際に、たとえば溶接またはスナップ嵌合などによって容器の下側部分に接続される。図1に示される容器の上側部分はキャップ2を含み、その1つの側に一体型ヒンジによって蓋4が接続されている。キャップ2は平面図では丸みを帯びた矩形であり、各端部に高くなった部分または上向きに延在する部分6を有する。2つの部分6の間は凹みであり、その下側表面8は実質的に平らである。表面8には、直立したリム12に囲まれた凹みまたはウェル10が形成されている。ウェル10の底部にはベースプレート14と呼ばれるプレートがあり、その中央には開口が形成されている。開口の端縁の周りにそれと一体化して吐出弁が延在しており、この吐出弁は図2に最もよく示される。この弁は一般的にダックビル型であって、2つの層状の一般的に平らな壁または弁プレート16を含み、それらは互いに対向して互いに向かって鋭角に傾斜している。2つの弁プレート16はその自由端において細くなっており、これらの端部は互いに当接するか、または以下により詳細に説明されるとおり、無視できる厚さの不規則な間隙18によって間隔を置かれる。2つの弁プレートの側面は端部壁20の側部端縁と一体化することによって、弁は水平断面において連続的な環状形になっている。壁16は典型的に厚さが0.8mmであり、壁20は好ましくは壁16よりも20%またはそれ以上厚くなっている。
【0021】
蓋4の下側、図1に示される開いた位置のときには上側になるところには、リム12の外径と実質的に等しい内径を有する環状のボス22が形成されている。ボス22の中央には、弁の上側部分のサイズおよび形状に対応し、実際にはそれよりごくわずかに小さい空間を間に定める2つの伸長した構成24が位置決めされている。ボス22および突起24を位置決めすることによって、蓋4が旋回的に動かされて閉鎖位置に来るとき、蓋4は2つの高くなった構成6の間の空間を占め、蓋4の上側表面は構成6の上側表面と隣接するが、このときにボス22はリム12の周囲に嵌合してリム12を収容し、一方で構成24は2つの弁プレートに係合してそれらをともに圧搾し、それによって弁プレート16の2つの自由端の封止完全性が向上または増加されるようにする。
【0022】
図1から図4に示されるキャップ2、蓋4および吐出弁は、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン材料の一部分成形(one−part moulding)を構成する。それは射出成形プロセスによって作られ、そのモールドが図5から図7に図示される。このモールドは、キャップ2の外部形状と同じ形状を有するモールド空洞を定める雌部材26を含む。モールドは雄部材28も含み、雄部材28は雌部材の中に進行されて空間を定め、その空間の形状はもちろんキャップ2の形状である。モールド部材が弁が形成される空間を定める領域において、雌モールド部材は2つの一般的に平らな第1の表面部分30を有し、それらの第1の表面部分30は互いに対向しており、かつ互いに向かって傾斜している。図6および図7に示されるとおり、一般的に水平な表面32によって2つの表面30はその上端部において接続されており、それによって表面30および32は内側頂部を定める。同じ領域において、雄モールド部材は表面30に相補する2つの傾斜した表面34を有し、よってそれらの表面34も互いに対向しており、かつ互いに向かって傾斜している。2つの表面34は、たとえば20°から40°などの鋭角にて互いに傾斜しており、それらの上端部において表面36と合併しており、表面36はたとえば60°から120°などにて互いに傾斜しており、外側頂部38において会合している。頂部38の長さ、すなわち図6および図7の面に垂直な方向の頂部38の寸法は、形成されるべきスリットの所望の長さに等しい。雌部材26内には、表面32を通って開いた通気通路40が形成される。通気通路40内には通気ピン42が収容されており、通気ピン42の断面積は通路40の断面積よりもわずかに小さいことによって、小さなガス漏出経路が定められる。
【0023】
使用の際に、雄モールド部材は、雌モールド部材によって定められたモールド空洞内の、図5から図7に示される位置に進行される。雄モールド部材は、外側頂部38が表面32から0.0075mmから0.075mmという非常に小さな距離だけ間隔を置かれるところまで進行される。本発明の効果を生じさせるために必要なこの寸法の厳密なサイズは、使用されるポリオレフィン材料の特徴、特にそのメルトフローインデックスによって変わり、そのサイズは実験によって容易に定められるであろう。次いで、溶融ポリオレフィンが各側の表面30および34の間のモールド空間を実質的に対称的に充填することを確実にする場所において、溶融ポリオレフィン材料が従来のやり方でモールド空洞に注入される。表面36および32の間の、頂部38の両側に定められる空間に溶融材料が入ると、それまでその空間を占めていた空気が通気通路40内の通気ピン42によって定められる経路を通って移動する。溶融材料の2つの流頭が頂部38に近付くとき、この地点のモールド空間の範囲が非常に小さいことによって、ポリオレフィン材料の進行する流頭の表面が冷却されて部分的に凝固するものと考えられる。これら2つの流頭は伸長した外側頂部38の上の線に沿って会合するが、ともに融合することはない。その後、従来のやり方でモールドから成形品が取り出され、弁の頂端部の顕微鏡検査によって、溶融ポリオレフィン材料の2つの流頭は厳密に真っ直ぐな線に沿って進行しているのではなく、幾分不規則な線またはギザギザの線に沿って進行していることが示される。溶融材料の2つの流頭の前方に突出する部分が互いに接触するとき、流頭のさらなる進行は防がれるが、流頭の隣接する突出部分の間に微細な間隙が残される。したがって、弁プレート16の2つの上側自由端の間にスリットが形成され、このスリットは液体材料、特にたとえばシャンプーまたはヘアコンディショナーなどの粘性材料の通過を防ぐには十分であるが、上述のとおり残された小さい間隙は、空気がスリットを通って流れ得るようにするために十分に大きい。
【0024】
上述のとおり、2つの弁プレート16は壁20によって接続されており、雄および雌モールド部材はもちろん、これらの壁20が形成される空間を定める表面を提供している。壁20が形成される空間を定める表面は、弁プレート16が形成される空間を定めるモールド表面よりも、典型的にさらに20%またはそれ以上大きい間隔を置かれるように、モールド部材は構築および寸法決めされている。完成したカバーおよび一体型吐出弁がモールドから取り出されるとき、それらは急速冷却プロセスを受け、ポリオレフィン材料はこのプロセスの間に当然収縮する。しかしながら、壁20が壁16よりも厚いという事実は、壁20において起こる収縮が壁16の収縮よりも大きいことを意味し、この収縮の差によって、特にスロット18を定める領域において壁16が張力の下に置かれることが見出されている。この張力は、スロット18を定める壁16の当接端縁をともに保持する役割をし、これが弁の封止完全性を高める。
【0025】
使用の際に、弁を通じて容器の内容物を吐出することが望まれるとき、容器は逆さにされ、次いでその外壁が圧搾される。それにより生じた圧力の増加は、容器の内容物を介して弁プレート16に伝達され、その結果としてスリット18を定めるプレート16の端縁がわずかな距離だけ離れることによって吐出開口部を定める。よって容器の内容物はこの開口部を通って流れ出ることができ、所望のとおりに吐出される。内容物が十分に吐出されたとき、容器の外部圧力が取り除かれ、その結果として容器内の内部圧力が低減する。よってスリット18の端縁は、上述のとおりの収縮によって生成された張力に助けられ、再び互いに実質的に接触するまでそれら自体の弾力によって互いに向けて戻る。この接触は粘性材料に対する封止を形成するために十分であるため、容器の内容物のさらなる流出は防止される。しかしながら上述のとおり、生成される封止は気密封止を生成するために十分なものではなく、それまで圧縮されていた容器の壁がその内側の形に戻ろうとする傾向によって容器内に生成される大気圧よりも低い圧力によって、スリット18から空気が徐々に吸引され、それによって容器の壁が以前の変形されていない形に戻される。
【0026】
図8から図10には、本発明に従って製造された弁の第2の実施形態が示されており、これは図1から図4に示される弁と非常に似ているため、図1から図4の部品と異なる部品のみが説明される。図1から図4に示される弁の基部の長さは、一般的にその幅と同じであるか少なくともそれに類似しているが、図8から図10に示される弁においては、その長さがその幅よりも実質的にかなり大きくなっている。図1から図4に示される弁の弁プレート16は、鉛直方向に幾分湾曲しているものの概ね平らであるが、図8から図10の弁の弁プレート16は水平方向に幾分湾曲している。さらに、スリット18の長さと平行な方向の一方端から弁を見たとき、壁20が弁プレート16を越えて延在している。ここでも壁20は弁プレート16よりも少し厚くなっていてもよいが、壁20の球状の形は、それらがいずれにせよ図1から図4の弁の壁20よりもかなり多くの材料を含んでおり、モールドから弁を取り出すときに起こる収縮がスリット18の長さに沿って弁プレート16に張力を生成し、この張力は図1から図4の弁における張力よりもかなり大きいであろうことを意味する。したがって、第2の実施形態の弁の封止完全性は、第1の実施形態の弁の封止完全性よりも幾分高いかもしれない。第2の実施形態の弁を作製する方法は第1の実施形態を作製する方法と本質的に同じであるが、無論所望の形の弁を製造するためにモールド部材の形を幾分変更する必要がある。
【0027】
第1および第2の実施形態の弁において、容器から吐出されるべき材料はスリットを通って流れ、スリットの端縁は容器内に生じる圧力によって強制されて幾分離される。しかし、図15から図17に示される本発明に従う吐出弁の第3の実施形態においては、吐出されるべき材料はスリットを通って流れず、代わりに弁のベースプレート内に1つまたはそれ以上の弁フラップを定める1つまたはそれ以上のスリットが設けられ、容器内に生じた圧力によって弁フラップが動かされることによって流れ開口部が生じ、そこを通って材料が吐出される。容器のキャップは第1および第2の実施形態とほぼ同じであり、キャップの上側表面8におけるウェル10の底部はやはりベースプレート14によって閉じられている。しかしこの場合には、ベースプレート10内に3つのスリットが形成されており、それらのスリットはベースプレート10の中央から放射状に伸び、かつ等角に間隔を置かれており、すなわち各スリット18は他のスリットの各々と120°の角度を定めている。よってこれら3つのスリットはベースプレート14を3つの対称な弁フラップ50に分割しており、各々の弁フラップ50は一体型ヒンジ、つまりフラップを定める2つのスリット18の外側端部の間に延在する仮想線上のプラスチック材料によって、ベースプレート14の残りの部分に接続されていると考えられてもよい。3つのスリット18を定めるフラップの隣接する端縁は、互いに実質的な封止を形成するが、この封止は第1および第2の実施形態に関連して説明された種類のものであり、すなわちその封止は液体材料、特に粘性材料の通過を妨げるために十分であるが、空気を流すための非常に微細な経路を提供する。
【0028】
ベースプレート14内の3つのスリットは、第1および第2の実施形態に関連して説明されたものと本質的に同じ方法によって形成され、弁を形成するモールドの部分は図11から図14に示されており、これらの図はすべて、吐出弁を形成するモールド部材の一方または両方の部分を高度に概略化した図である。容器キャップの残りの部分を形成するモールド部材の残りの部分は、簡略化のために省略される。図示されるとおり、雌モールド部分26は円形断面の空洞52を定め、その基部54は自身の外側端縁から中心に向けて上向きに傾斜している。3つの伸長した構成56が基部の上に形成されるか、または取付けられており、これらの伸長した構成56は基部の中心から外向きに放射状に伸びており、かつ互いに120°だけ間隔を置かれている。各構成56は概ね三角形の断面であり、その2つの外側端縁は互いに向かって傾斜しており、伸長した外側頂部58において会合する。雄モールド部分28は突出する円形断面の穿孔部分を有し、その端部表面は雌部分の表面54と同じ態様で傾斜しているが、それ以外は平滑である。成形を始める前に、雄および雌モールド部分は図14に示されるとおりに位置決めされ、次いで、頂部58が雄部分28の対向表面から上記の非常に小さな距離だけ間隔を置かれるまで、それらのモールド部分が互いに近付けられる。しかし、雄および雌部分の対向表面の残りの部分はそれよりかなり大きい距離だけ離されることによって、弁の形およびサイズに対応するモールド空間が定められる。次いで溶融ポリオレフィン材料がモールド空間に注入され、第1の実施形態に関連して説明されたとおり、モールド空間を実質的に充填して、雌部分の頂部58と雄部分の対向表面との間に定められた空間に向かって対称的に進行して流れ込む。前に説明したとおり、ポリオレフィン材料の進行する流頭は、頂部の位置に対応する線に沿って会合するがともに融合することはなく、それによって頂部58の位置に対応する位置に3つのスリットが生成される。雌モールド部分の表面54の傾斜と、雄モールド部分の対向表面の対応する傾斜との結果として、図16に明瞭にみられるとおり、弁ベースプレート14は自身の外側端縁から中心に向けて上向きに傾斜している。典型的には10°から25°の間であるこの傾斜は、弁の封止完全性を高めることが見出されている。
【0029】
図15および図17に示される弁には3つの弁フラップ50を定めるための3つのスリットが形成されるが、あらゆる所望の数の弁フラップを提供するためにスリットの数が任意に変えられてもよいことが認識されるだろう。よって、もちろん4つの弁フラップを提供するために互いに90°の間隔を置かれた4つのスリットを提供することも容易にできるし、さらに単一のスリットのみを存在させることも可能であるが、この場合には単一の弁フラップを定めるためにスリットを一般的にU形またはV形にする必要がある。これらの修正した構成を製造するために必要とされるのは、雌モールド部分の上の直立構成または各直立構成を適切に配置することだけである。加えて、この直立構成または各直立構成を雌モールド部分に設けることは必須ではなく、それらを雄モールド部分に設けることも容易にでき、実際に特定の状況においては、頂部を提供する協働する突出構成を雄および雌モールド部分の両方に設けて、その直立構成または直立構成の各対の頂部が互いに整列し、かつポリオレフィン材料の注入の際に上記の小さい距離だけ間隔を置かれるようにそれらを位置決めすることが望ましいこともあることが認識されるだろう。
【0030】
上述のすべての実施形態においては、単一のポリマー材料のみがモールドに注入され、したがって弁と、キャップまたは弁が接続される他の部品とは同じ材料で作られている。しかし、弁自体をその弁が部分を形成するキャップの残りの部分とは異なる材料、たとえばより柔軟な材料、より弾力のある材料、またはより粘着性の材料などで作製することが望ましいこともある。これはいわゆる同時注入によって容易に達成されてもよく、同時注入には2つの種類がある。第1の種類においては、単一の注入装置が第1のプラスチック材料、この場合には実際の弁を形成するために必要とされる材料のショットを注入し、続いて第2の材料、この場合には容器キャップを形成するために必要とされる材料のショットを注入する。代替的には、これらの2つのステップが逆の順序で行われてもよい。第2の種類の同時注入においては、2つの注入装置が存在し、モールドは2つの空洞を有する。第1の注入装置によって注入される材料によって、第1の空洞内で製品の第1の部分が成形され、次いでこの半製品が第2のモールド空洞に移され、ここで第2の注入装置によって注入される異なる材料によって製品の残りの部分が成形される。
図1
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