特許第5914664号(P5914664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5914664電子デバイスの電気的に絶縁されている区分同士を連結するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914664
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】電子デバイスの電気的に絶縁されている区分同士を連結するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20160422BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20160422BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   G06F1/16 312G
   G06F1/16 312E
   H05K5/00 A
   H04M1/02 C
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-528468(P2014-528468)
(86)(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公表番号】特表2014-527240(P2014-527240A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】US2012052105
(87)【国際公開番号】WO2013032866
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2014年2月27日
(31)【優先権主張番号】61/529,710
(32)【優先日】2011年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/251,039
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ジャーヴィス ダニエル ウィリアム
【審査官】 久々宇 篤志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0188178(US,A1)
【文献】 特表2010−533070(JP,A)
【文献】 特開2008−159636(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0048257(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/16
G06F15/02
H04M1/02
H05K5/00,7/00,13/00
B22D19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面及び第1の側壁を有する第1の導電性区分と、
内面及び第2の側壁を有する第2の導電性区分と、
前記第1の導電性区分の前記内面へ取り付けられた第1のブラケットと、
前記第2の導電性区分の前記内面へ取り付けられた第2のブラケットと、
前記第1の導電性区分と前記第2の導電性区分が一体に連結されるようにして前記第1及び前記第2のブラケットを少なくとも部分的に包封する絶縁材料から製作されている連結区分と、を備えている電子デバイス。
【請求項2】
前記第1及び前記第2の導電性区分の前記第1及び第2の側壁同士は、所定の距離のギャップによって隔てられており、前記連結区分の一部分は前記ギャップ内に留置されている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第1及び前記第2のブラケットは、それぞれ、
平板状部材と、
前記平板状部材から離れるように延びる複数の足部材であって、当該足部材のそれぞれの一部分は前記第1及び前記第2の導電性区分の各々の前記内面へ取り付けられている、複数の足部材と、を備えている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記平板状部材は、前記連結区分の一部分を中に留置させる貫通孔を備えている、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記複数の足部材は、第1、第2、及び第3の足部材を備えている、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記第1及び前記第2の足部材及び前記平板状部材は、各自の第1及び第2のブラケットの縁を形成している、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記第3の足部材は、前記連結区分の一部分を貫通留置させるスリットを備えている、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記連結区分は、前記第1の導電性区分と前記第2の導電性区分の間に存在するギャップに沿った断面を跨いで存在する中心軸を有しており、前記平板状部材は前記中心軸に実質的に整列している、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記第1のブラケットへ取り付けられていて前記連結区分によって部分的に包封されている接点部材であって、露出していて前記連結区分によって包封されていない部分を備える接点部材、を更に備えている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
内面及び第1の側壁を有する第1の導電性区分を提供する工程と、
内面及び第2の側壁を有する第2の導電性区分を提供する工程と、
第1のブラケットを前記第1の導電性区分の前記内面へ取り付ける工程と、
第2のブラケットを前記第2の導電性区分の前記内面へ取り付ける工程と、
連結区分を成形して前記第1及び前記第2のブラケットを少なくとも部分的に包封し、前記第1の導電性区分と前記第2の導電性区分を機械的に一体に連結する工程であって、前記連結区分は絶縁材料を含み、前記第1及び前記第2の導電性区分の前記第1及び第2の側壁同士は前記連結区分の一部分によって占められる所定の距離のギャップによって隔てられている、連結する工程と、を備えている方法。
【請求項11】
前記連結区分を成形する工程は、前記第1及び前記第2の導電性区分を少なくとも部分的に包封するために誘電性材料を射出成形する工程を備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1及び第2のブラケットがそれぞれ取り付けられている前記第1及び前記第2の導電性区分を定位置に固定する工程と、
前記第1の導電性区分と前記第2の導電性区分の間の前記所定の距離の前記ギャップを薄く切り取る工程と、を更に備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記連結区分が成形された後、前記第1及び前記第2の導電性区分の外面及び前記ギャップの中で露出している前記連結区分の一部分を化粧仕上げする工程を更に備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
接点部材を前記第1のブラケットへ取り付ける工程を、当該接点部材及び前記第1のブラケットを少なくとも部分的に包封するために前記連結区分を成形する工程の前に更に備えており、前記接点部材の一部分は露出させ前記連結区分によって包封させない、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記接点部材の前記部分へ導体を接続する工程を更に備えている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記連結区分を成形する工程は、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、押出成形、ブロー成形、熱成形、真空成形、又は回転成形のうちの1つを備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
第1の導電性区分と、第2の導電性区分と、前記第1の導電性区分を前記第2の導電性区分へ連結する連結区分と、を備え、
前記連結区分は、絶縁材料を含み、前記第1または前記第2の導電性区分の内面へ取り付けられている少なくとも1つのブラケットを少なくとも部分的に包封する、電子デバイスの外周構成要素。
【請求項18】
前記第1の導電性区分及び前記第2の導電性区分のうちの少なくとも1つは、前記電子デバイスのアンテナとして動作可能である、請求項17に記載の外周構成要素。
【請求項19】
前記連結区分は、1つのブラケットを包封している非対称連結区分である、請求項17に記載の外周構成要素。
【請求項20】
前記連結区分は、2つのブラケットを包封している非対称連結区分である、請求項17に記載の外周構成要素。
【請求項21】
前記連結区分は、2つのブラケットを包封している対称連結区分である、請求項19に記載の外周構成要素。
【請求項22】
前記第1の導電性区分は、一体化型連結構造を備えており、前記連結区分は前記一体型連結構造内に留置されている、請求項19に記載の外周構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本PCT出願は、「電子デバイスの電気的に絶縁されている区分同士を連結するためのシステム及び方法」という名称で2011年8月31日に出願されている米国仮特許出願第61/529,710号並びに「電子デバイスの電気的に絶縁されている区分同士を連結するためのシステム及び方法」という名称で2011年9月30日に出願されている米国非仮特許出願第13/251,039号に対する優先権を主張し、それらを参考文献としてそっくりそのまま援用する。
【0002】
電気デバイスの区分同士を連結するためのシステム及び方法が開示されている。具体的には、電子デバイスの構成要素は2つ又はそれ以上の区分から組み立てられているものであって、これらの区分同士がナックルを使用して一体に連結されている。
【背景技術】
【0003】
携帯式電子デバイスは、様々な手法を使用して製作されている。中には、幾つかの構成要素を一体に組み立てることによって電子デバイスが製作される場合がある。これらの「構成要素」には、組み合わせてデバイスエンクロージャ(例えばデバイス「ハウジング」)を形成させる外部構成要素、並びに電子デバイスの構造的支持又は他の機能性を提供することのできる内部構成要素(例えば、内部構成要素にはマイクロチップがある)が含まれる。電子デバイスの設計に基づき、それら構成要素は、金属、プラスチック、又は何れかの他の材料の様な、任意の適した(単数又は複数の)材料から形成されていよう。
【0004】
中には、電子デバイスの各種構成要素が電気回路の部分として動作している場合もある。例えば、特定の構成要素が、電子デバイスの別の部分に対して、抵抗器として又はコンデンサとして働いていることがあるかもしれない。別の例として、構成要素が電子デバイスのアンテナ組立体の部分として機能していることもあろう。構成要素が単一の電気回路でしか使用されないのなら、構成要素を単一の導電性材料片から製作することができる。しかしながら、同じ構成要素が幾つかの異なった電気回路で使用されるなら、構成要素は導電性要素の幾つかの「区分」から製作される必要があろう。但し、この場合、確実にそれぞれの区分がそれ自身の電気回路の中で正しく動作するようにするためには、導電性区分のそれぞれを絶縁材料又は他の非導電性材料で分離することが必要であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第61/529,710号
【特許文献2】米国非仮特許出願第13/251,039号
【発明の概要】
【0006】
本願は電子デバイスの区分同士を連結するためのシステム及び方法に向けられている。一部の実施形態では、電子デバイスは、外周構成要素及び/又は他の構成要素の様な幾つかの構成要素から形成されている。外周構成要素は、電子デバイスのためのハウジング構造を、電子デバイスを包囲することによって提供するものである。一部の事例では、この外周構成要素は、2つ又はそれ以上の「区分」から組み立てられている。その場合、これらの区分を一体に連結するのにナックルを使用することができる。
【0007】
それぞれのナックルは、区分へ溶接されているか又は区分の一体部分であるかどちらかである連結構造の中及び/又は周りに成形されている。連結構造は、区分の内面へ溶接されているブラケットであってもよく、ブラケットはキャパシタンスを最小化する断面を有するように製作されていてもよい。1つの実施形態では、第1のブラケットが第1の導電性区分へ溶接され、第2のブラケットが第2の導電性区分へ溶接されている。絶縁材料から製作されているナックルが、第1の導電性区分と第2の導電性区分が一体に連結されるようにして第1及び第2のブラケットの内及び周りに重ね成形されている。第1及び第2の導電性区分及びそれら各々のブラケットは、所定の距離だけ離間されており、それにより、確実に導電性区分同士が電気的に絶縁されるようにしている。別の実施形態では、ナックルは、第1導電性区分のブラケットと接合すると共に第2導電性区分の一体型連結構造と接合することによって、2つの導電性区分を物理的に一体に連結することができる。
【0008】
本発明の上記及び他の特徴、その性質及び様々な利点は、次に続く詳細な説明が添付図面と関連付けて考察されれば、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一部の実施形態による電子デバイスの例示的な構成要素の概略図を示している。
図2A】本発明の一部の実施形態による例示的なブラケットの図である。
図2B図2Aのブラケットの別の図である。
図2C図2Aのブラケットの別の図である。
図2D図2Aのブラケットの別の図である。
図2E図2Aのブラケットの別の図である。
図2F図2Aのブラケットの別の図である。
図2G図2Aのブラケットの別の図である。
図2H】本発明の一部の実施形態による別の例示的なブラケットの図である。
図2I図2Hのブラケットの別の図である。
図2J図2Hのブラケットの別の図である。
図2K図2Hのブラケットの別の図である。
図2L図2Hのブラケットの別の図である。
図2M図2Hのブラケットの別の図である。
図2N図2Hのブラケットの別の図である。
図3A】本発明の一部の実施形態による、区分へ溶接されたブラケットの例示的な図を示している。
図3B図3Aと共に、本発明の一部の実施形態による、区分へ溶接されたブラケットの例示的な図を示している。
図4】本発明の一部の実施形態による、区分へ溶接された別のブラケットの例示的な図を示している。
図5A】本発明の1つの実施形態による特定のナックル設計の図を示している。
図5B図5Aと共に、本発明の1つの実施形態による特定のナックル設計の図を示している。
図6A】本発明の1つの実施形態による別の特定のナックル設計の概略図を示している。
図6B図6Aと共に、本発明の1つの実施形態による特定のナックル設計の概略図を示している。
図6C図6A及び図6Bと共に、本発明の1つの実施形態による特定のナックル設計の概略図を示している。
図7】本発明の1つの実施形態による図6Aのナックルの断面図を示している。
図8A】本発明の1つの実施形態による更に別の特定のナックル設計の概略図を示している。
図8B図8Aと共に、本発明の1つの実施形態による特定のナックル設計の概略図を示している。
図8C図8A及び図8Bと共に、本発明の1つの実施形態による特定のナックル設計の概略図を示している。
図9】本発明の一部の実施形態による、2つの区分を機械的に一体に連結するための例示的なプロセスを示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
電子デバイスは、一体に組み立てて電子デバイスの内部及び/又は外部の機構を形成させる幾つかの構成要素を含んでいよう。例えば、1つ又はそれ以上の内部構成要素(例えば電気回路構成及び/又は内部の支持構造)を外部構成要素(例えばハウジング構造)内に設置して所望の機能性を持つ電子デバイスを提供することができる。ここでの使用に際し、「構成要素」という用語は、特定の電子回路(例えばマイクロチップ)、電子デバイスのハウジングを形成している部材(例えば、背面板、外周構成要素、など)、内部支持構造(例えば中間板)、などの様な、電子デバイスの区別できるエンティティを指す。
【0011】
一部の事例では、構成要素は、2つ又はそれ以上の異なった個別の要素(即ち「区分」)を一体に組み立て及び/又は接続することによって製造されている。ここでの使用に際し「区分」という用語は、構成要素が複数の区分から形成されている場合の構成要素の個々の部分を指す。そうして、構成要素の様々な区分は「ナックル」を使用して一体に連結されている。構成要素及びその諸区分の所望の機能性及び設計に基づき、これらのナックルは広範囲の形状及び構造を呈するものとなろう。例えば、ナックルは、高い機械的歪みの区域でのナックルを補強する構造的設計、高い捩れの区域での捩り運動に対抗する構造的設計、2つの区分が機械的に一体に連結されるようにそれら区分同士を一体にインターロックする構造的設計、区分同士の間に電気的絶縁を提供する構造的設計、など、を含むことができる。
【0012】
図1は、本発明の一部の実施形態による電子デバイスの例示的な構成要素の概略図を示している。具体的に、図1は、区分110、120、130、及び140の様な幾つかの区分を一体に接続することによって製作されている外周構成要素100を示している。外周構成要素100は、電子デバイスの外装周囲面を形成するように製作されている。具体的には、外周構成要素100は、電子デバイスの内部構成要素(例えば、電子回路、内部支持構造、など)の一部又は全てを取り囲む又は包むことができる。言い換えると、外周構成要素100は、内部構成要素を中に設置させる内部体積を画定するものである。
【0013】
外周構成要素100の厚さ、長さ、高さ、及び断面は、例えば、構造的要件(例えば、硬度、又は特定の配置向きでの曲げ、圧縮、引張、又は捩れに対する抵抗)に基づくことを含め、何らかの適した判断基準に基づいて選択されればよい。一部の実施形態では、外周構成要素100は、他の電子デバイス構成要素を搭載することのできる構造部材として働くことができる。外周構成要素100の構造的完全性の一部は、それが画定している閉鎖された形状から来ているものである(例えば、外周構成要素100は輪状物を形成し、而して構造的完全性を提供している)。
【0014】
外周構成要素100は、何れの適した形状の断面を有していてもよい。例えば、外周構成要素100は、実質的に矩形の断面を有していてもよい。実質的に矩形の断面のそれぞれの角部は形状に丸みが付けられ、而して「スプライン」を形成していてもよい。ここでの使用に際し「スプライン」という用語は、外周構成要素の丸みの付けられた角部分を指す。一部の実施形態では、外周構成要素100は、例えば、円形状、楕円形状、多角形状、又は曲線形状を含め、何か他の適した形状の断面を有していよう。一部の実施形態では、外周構成要素100の断面の形状又は大きさは、電子デバイスの長さ又は幅に沿って変化していよう(例えば、砂時計の形状をしている断面)。
【0015】
電子デバイスの外周構成要素100は、何れの適したプロセスを用いて製作することもできる。一部の実施形態では、外周構成要素100は、区分110と区分120を接合部112のところで一体に接続し、区分120と区分130を接合部122のところで一体に接続し、区分130と区分140を接合部132のところで一体に接続し、区分140と区分110を接合部142のところで一体に接続することによって、製作されている。外周構成要素100は、図1には、4つの区分から製作されているものとして描かれているが、当業者には評価される様に、外周構成要素100は、代わりに、2つ又はそれ以上という任意の適した数の区分から形成されることもあろうし、それら区分間の接合部は外周構成要素100上の何れの場所に配置されていてもよい。
【0016】
それぞれの区分110、120、130、及び140は、個々に製作され、後から組み立てられて外周構成要素100を形成するものとされている。例えば、それぞれの区分は、型打ち、機械削り、加工、キャスティング、又はこれらの何らかの組合せ、のうちの1つ又はそれ以上を用いて個々に製作することができる。一部の実施形態では、区分110、120、130、及び140用として選択された材料は導電性であり、而して、それら区分が電子デバイスの電気的機能性を提供できるようにしている。例えば、区分110、120、130、及び/又は140は、ステンレス鋼又はアルミニウムの様な導電性材料から形成することができよう。一部の実施形態では、それぞれの区分は、電子デバイスのアンテナとして働いていることもある。
【0017】
個々の区分を機械的に一体に連結するのに、ナックル114、124、134、及び144が接合部112、122、132、142にそれぞれ存在している。一部の実施形態では、ナックルのそれぞれは、第1の状態で始まり、その後、第2の状態へ変化することのできる材料から製作されている。例示として、ナックルは、第1の液体状態で始まり、その後、続いて第2の固体状態へ変化するプラスチックから製作することができよう。プラスチックは、液体状態にある間に、接合部112、122、132、及び142へ流し込ませることができる。これらの接合部へ流し込んだ後、続けてプラスチック材料をナックル114、124、134、及び144へと固化させてゆく(例えば、プラスチック材料を第2の固体状態へ変化させてゆく)。固体状態へ変化すると、プラスチック材料は、そのとき、区分110と区分120、区分120と区分130、及び区分140と区分110、それぞれの区分同士を一体に結合し、而して、単一の新しい構成要素(例えば外周構成要素100)を形成させている。1つの実施形態では、ナックル134は、化粧であり、区分130と区分140を物理的に一体に連結しているわけではない。この実施形態では、区分130と区分140は、それらが物理的及び電気的に連結されるように一体に溶接されるものである。別の実施形態では、ナックル134は、本発明の原理に従って、区分130と区分140を物理的に一体に連結している。
【0018】
ナックル114、124、及び144は、区分110と区分120、区分120と区分130、及び区分140と区分110、それぞれの区分同士を物理的に一体に連結するのみならず、それらは、区分110を区分120から、区分120を区分130から、及び区分140を区分110から、電気的に絶縁している。この論考上、区分130と区分140は、それらが一体に溶接されていることから電気的には同じ物であり、ナックル134は化粧であるものと想定する。以下により詳しく解説してゆくが、ナックル114、124、及び144は、区分110、120、130、及び140へ取り付けられているか又はそれら区分の一体に形成された部分であるとされる連結構造を包封し、及び/又は連結構造と共に存在している。つまりは、ナックルは、その第1の状態(例えば液体状態)にあるとき、連結構造の中及び/又は周りへ流れ込む。それぞれの接合部には、ナックルがその第2の状態(例えば固体状態)へ変態したときの形状を付けるために遮断デバイス(図示せず)が配置されていよう。図1に示されている様に、ナックル114及び124は形状が非対称であり、ナックル144は形状が対称である。
【0019】
連結構造(図示せず)は、区分110、120、130、及び140上に存在している。一部の区分(例えば区分110及び120)はナックルとの接合につき2つの連結構造を有しているのに対し他の区分(例えば区分130及び140)は1つの連結構造を有しているということもある。一部の実施形態では、連結構造は、例えば図2に示されている様なブラケットとすることができる。ブラケットは、区分の内部表面へ取り付けられるか又は溶接されていてもよい。別の実施形態では、連結構造は、区分の一体に形成されている部分であって元から区分の一部であった部分とされている。図1では、ナックル114はブラケット及び一体に形成されている結合構造と接合しており、ナックル124及び144は2つのブラケットと接合している。
【0020】
ナックル材料を接合部112、122、132、及び142へ設置するのに何れの適したプロセスが使用されてもよく、またナックル材料を第1の状態から第2の状態へ変化させるのに何れの適したプロセスが使用されてもよい。一部の実施形態では、ナックル材料を最初に液体状態で挿入しその後に硬化させる「成形プロセス」を使用することができよう。例えば、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、押出成形、ブロー成形、熱成形、真空成形、又は回転成形のプロセスうちの1つ又はそれ以上を使用することができよう。この場合、ナックル材料を単一の工程で挿入し次いで独立にその第2の状態へ変化させてゆく「ワンショット」プロセスを用いることもできる。言い換えると、ナックルは、追加の工程又は追加の製造プロセスを必要とすること無しに単一の工程(例えば「ワンショット」で)形成させることができる。
【0021】
ナックル材料は、2つの区分を機械的に一体に連結し、また2つの区分を電気的に絶縁するのに、適した何れの材料であってもよい。ナックル材料は、熱可塑性プラスチックの様なプラスチックであってもよい。1つの実施形態では、ナックル材料は、ガラス充填ナイロンとされている。
【0022】
図2A図2Gは、区分のうちの1つへ取り付けることのできる、本発明の実施形態による例示的なブラケット200の幾つかの図を示している。具体的には、図2A図2Gは、それぞれ、ブラケット200の後面図、上面図、前面図、左面図、右面図、下面図、及び等角投影図である。ブラケット200は、平板状部材240から延びている3つの脚部210、220、及び230を含むものとされている。脚部210及び220は、どちらも、平板状部材240から離れるように直角(例えば90度)に延びているのに対し、脚部230は脚部230から離れるように1乃至90度の角度で延びていてもよい。脚部230は、ナックル材料のその第1の状態にあるときの流入を促すためにスロット232を有するものとすることができる。加えて、板240は、ナックル材料のその第1の状態にあるときの流入を促すために、何れかの適した形状の貫通孔242又は切り抜きを有するものとことができる。脚部210、220、及び230は、区分のうちの1つの表面へ溶接させるための足部214、224、及び234をそれぞれ有していてもよい。
【0023】
ブラケット200は、何れの適した材料から製作することもできる。一部の実施形態では、ブラケット200は、金属(例えば鋼又はアルミニウム)の様な導電性材料から製作されている。一部の実施形態では、ブラケット200は、それが溶接される相手の区分と同じ材料から製作されている。例えば、ブラケット200とそれが溶接される相手の区分はどちらもステンレス鋼から製作することができよう。
【0024】
区分と関連付けて、何れの適した構成のブラケットを使用することもできるものと理解している。例えば、図2H図2Nは、本発明の実施形態により製作されたブラケット250の幾つかの図を示している。ブラケット250は、それが脚部及び溶接用の足部並びにナックル材料流入を促すための切り抜きを含んでいるといった様に、多くの点でブラケット200と似ている。但し、ブラケット250は、例えば区分の湾曲した部分に沿わせ易くするために、ブラケット200よりも僅かに小さい寸法にされている。
【0025】
次に図3A及び図3Bを参照すると、区分300へ溶接されているブラケット200の例示的な図が示されている。具体的には、図3Aは例示的な断面図であり、図3Bは例示的な上面図である。ブラケット200は、区分300の陥凹310内に着座していることが示されている。陥凹310は、区分300の製造中又は製造後に区分300から機械で削り取られているものである。陥凹310は、ナックルの一部分がその第1の状態から第2の状態へ遷移する際にそれを保定するための器として働く。示されている様に、陥凹310には足部214、224、及び234が溶接されている。この溶接は、物理的にブラケット200を区分300へ固定し、電気的にブラケットを区分300へ連結している。
【0026】
ブラケット200の縁は区分300の縁と整列している。この整列は、ブラケット200及び区分300の一部分を物理的に切り取るという切削動作の成果である。2つの区分を一体に連結しているナックルのキャパシタンスを制御するのはブラケット200及び区分300の整列した縁の総断面積である。断面積が小さければ、概して、キャパシタンスは小さくなる。区分がアンテナとして使用される実施形態では、より低いキャパシタンスはアンテナ性能を高める。断面積は、例えば、ブラケット200の厚さを増加すること又は異なった断面形状を有するブラケットを使用することによって、変えることができる。異なった断面形状を有する別のブラケット400の一例として図4を参照されたし。
【0027】
図5Aは、本発明の実施形態による、各自のブラケット200が溶接されている(図1の)区分110及び140の例示的な拡大斜視図を示している。図5Aは、更に、それぞれのブラケット200の平板状部材の上面へ溶接されている接点部材520及び540を示している。接点部材520及び540は、ブラケット200の切り抜き242を真似ていてナックル材料のその第1の状態にあるときの流入を促す切り抜きを有している。接点部材520及び540の一部分は、ナックル材料がブラケット200及び部材520と540を包封した後も露出したままにされる。露出部分は、導体(例えばアンテナ導体)を、それが一方の区分120又は140へ電気的に連結されるように、接続するためのはんだパッドを提供することができる。
【0028】
区分110の側壁と区分140の側壁の間にはギャップ510が存在する。ギャップ510は、ナックル材料の塗工中に側壁とブラケット200の間に維持させる所定の距離を有するものとされている。材料を塗工すると、それはブラケット200と部材520及び540の中及び周りに流れ、ブラケット200が着座している陥凹を満たしてゆく。材料が固まった後、結果としてナックル144(図5B)がもたらされる。
【0029】
図5Bは、本発明の実施形態によるナックル144の斜視図である。示されている様に、ナックル144は、区分100と区分140を物理的に一体に連結しているが、確実にそれらがギャップ510の距離によって電気的に絶縁されるようにしている。接点部材520及び540の一部分は、ナックル144が固まっても露出している。接点部材520及び540は、随意であり、それぞれのナックルについて必須というわけではない。例えば、ナックル124は接点部材を一切包封していないこともあろう。
【0030】
図6Aは、本発明の実施形態による図1のナックル124の斜視図を示している。ナックル124は、2つのブラケット(図示せず)を包封し、区分120と区分130を機械的に一体に連結することができ、確実にそれらがギャップ710によって電気的に絶縁されるようにしている。図6B及び図6Cは、区分120及び130へそれぞれ取り付けられているブラケット200及び250の斜視図及び上面図をそれぞれ示している。ブラケット250は、その相方のブラケット200よりも少しだけ小さい寸法であり、而して、区分120の様な湾曲した区分に取り付けるのにはより適していよう。
【0031】
図7は、図6AのA−A線に沿った断面図を示している。断面図は、区分130の側壁732、ナックル124、及びブラケット200を示している。板部材240と整列している垂直中心軸701も示されている。板部材240を二分する水平中心軸702も示されている。ナックル124の厚さは中心軸701及び702の両側で等しい。これにより、確実に、ナックル124がブラケットの周りに一様に分配され、最適な機械的連結強度を提供できるようになる。
【0032】
図8A図8Cは、本発明の実施形態による接合部112の様々な例示的な図を示している。図8Aは、区分120へ取り付けられているブラケット250を示し、更には、一体化された連結構造850を示している。図8B及び図8Cは、ブラケット250及び連結構造850と接合しているナックル114を示している。
【0033】
図9は、本発明の実施形態による、2つの導電性区分を機械的に一体に連結するための例示としてのプロセスを示している。工程910で始まり、第1及び第2の導電性区分が提供される。導電性区分は、それぞれ、内面と側壁を有している。例えば、導電性区分は、図1の区分110及び120としてもよい。それら区分は、事前に機械削りされるか又は製造されている別々の構成要素である。所望される場合、陥凹がそれぞれの区分の一部分から、具体的には内面の一部分から、機械で削り取られてもよい。
【0034】
工程920で、第1のブラケットが第1の導電性区分の内面へ溶接され、第2のブラケットが第2の導電性区分の内面へ溶接される。ブラケットは、例えば図2に見ることができる。溶接は、ブラケットを各自の区分へ物理的及び電気的に連結する。一部の実施形態では、ブラケットは区分の陥凹内に溶接することができる。他の実施形態では、接点部材(例えば図5に示されているもの)がブラケットへ溶接されていてもよい。
【0035】
工程930で、第1及び第2の区分は所定位置に固定され、2つの区分の間に所定の距離のギャップが機械削りされる。機械削りは、それぞれの区分の一部分及びブラケットの一部分を精確に切り取り、また一部の実施形態では、接点部材が存在する場合その一部分を切り取る。得られたギャップは、区分同士が固定されているため維持される。
【0036】
工程940で第1及び第2のブラケットの内及び周りにナックルが成形され、第1及び第2の導電性区分を機械的に一体に連結するものであり、ここに、第1及び第2の導電性区分の側壁同士はナックルの一部分によって占められている所定の距離のギャップによって隔てられている。ナックルの成形中、ナックル材料の流れを形状付けし制御するために遮断デバイスが区分へ適用されていてもよい。ナックル材料は、それが溶融状態又は液体状態にあるときに、ブラケット(及び随意的な接点部材)を取り囲み、陥凹を満たす。
【0037】
工程950で、区分及びナックルへ化粧仕上げプロセスが施される。このプロセスは、ナックルの一部分を刈り取ること及び区分を所望の審美的魅力に適うように磨くことを伴っているかもしれない。
【0038】
以上に説明されているプロセスは例示に過ぎないものと理解されたい。
【0039】
本発明の範囲から逸脱すること無く、工程の何れかが、削除、修正、又は組み合わされてもよく、何らかの追加の工程が加えられてもよいし、又は工程は異なった順序で遂行されてもよい。
【0040】
本発明の説明されている実施形態は、例示を目的に提示されているものであり、限定を目的に提示されているのではない。
【符号の説明】
【0041】
100 外周構成要素
110、120、130、140 区分
112、122、132、142 接合部
114、124、134、144 ナックル
200 ブラケット
210、220、230 脚部
214、224、234 足部
232 スロット
240 平板状部材
242 貫通孔
250 ブラケット
300 区分
310 陥凹
400 ブラケット
510 ギャップ
520、540 接点部材
701 垂直中心軸
702 水平中心軸
710 ギャップ
732 側壁
850 連結構造
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図2M
図2N
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8A
図8B
図8C
図9