(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的な構成に限定するものではない。説明は、実施形態1(補強部材を設けるタイプ)、実施形態2(上下の延材どうしが接するタイプ)、実施形態3(傾斜タイプ)、実施形態4(取付けタイプ)、実施形態5(両面タイプ)の順で記載される。
【0018】
〔実施形態1〕補強部材を設けるタイプ
実施形態1の陳列什器は、自立し、フック付きの棚板を掛けることで陳列対象物を陳列可能とするものである。陳列什器には、棚板の耐荷重性を高めるための補強部材が設けられる。
【0019】
<構成>
図1及び
図2を用いて、実施形態1の陳列什器の構成を説明する。
図1は、実施形態1に係る陳列什器を例示する斜視図である。陳列什器1は、什器枠体11、複数の延材12、複数の補強部材13、及び、脚部14を備える。
図2は、実施形態1に係る陳列什器1を例示する正投影図等である。
図2において、(A)は平面図であり、(B)は正面図であり、(C)は正面図におけるA−A’断面図である。
図2(A1)は、延材12のみを拡大して示した平面図である。
【0020】
什器枠体11は、開口を有する額縁状の部材であり、開口が正面を向くように立設され、延材12を支持する。什器枠体11は、陳列什器1の外形の一部を構成し、什器枠体11の幅及び高さは、陳列什器1の幅及び高さと等しい。什器枠体11の大きさについて特に制限はないが、什器枠体11の外寸の幅として、750mm、900mm、または1200mm程度を例示できる。また、什器枠体11の外寸の高さとして、1600mm程度を例示できる。什器枠体11は、例えば、断面角形の金属管であり、スチール等の金属で形成される。なお、什器枠体11の大きさや材質等は、陳列什器1が設置される店舗の広さや構造、陳列対象物の種類等に応じて、様々なものが採用できる。
【0021】
延材12は、什器枠体11を水平に渡すように設けられ、什器枠体11によってその両端を支持される。延材12は、断面円形の線材である。
図2の(A)、(A1)が示すように、延材12は、平面視で背面側(紙面上方)に開口する略コの字状に折り曲げられて形成される。延材12は、正面側(紙面下方)に位置する水平棒状部121と、右側面側で水平棒状部121から背面方向へ延びる右側部122と、左側面側で水平棒状部121から背面方向へ延びる左側部123とで構成される。右側部122及び左側部123の一端は、什器枠体11に溶接される。なお、右側部122及び左側部123は、什器枠体11に対して、溶接されずに、嵌め込まれる構造や接着される構造であってもよい。
【0022】
このように、延材12が断面円形の線材であるため、低コストで陳列什器1を製造可能である。また、延材12の端部が露出しないため、線材を切りっぱなしのままの態様で、陳列什器1を低コストで製造することができる。なお、延材12は、線材に限らず板材等で形成されてもよい。また、延材12は、金属に限らず、剛性のある樹脂、木材等で形成されてもよい。
【0023】
図1及び
図2の(B)が示すように、水平棒状部121は、什器枠体11の左右の縁を水平に渡す方向に延びる棒状の部分である。水平棒状部121は、フック付きの棚板を掛けるために用いられる。実施形態1の水平棒状部121は、什器枠体11の幅とほぼ等し
い長さを有し、什器枠体11の幅いっぱいに延在する。また、
図2の(A)及び(C)が示すように、延材12は、什器枠体11から前面側に張り出すように設けられる。水平棒状部121は、什器枠体11より什器枠体11の厚み方向(前後方向)において前側(正面側)に配置される。このような配置によって、水平棒状部121と什器枠体11との間に、棚板のフックを掛けることができる隙間が形成される。
【0024】
陳列什器1において、延材12は、高さを変えた位置に複数配置される。各延材12は、同一の形状及び大きさであり、鉛直方向に一定間隔で並んで配置される。その結果、複数の延材12の水平棒状部121も、一定間隔で鉛直方向に並んで配置されることになる。
【0025】
なお、延材12には、少なくとも一部に水平棒状部が設けられていればよく、例えば、平面視で同一水平面上において円弧を描くように什器枠体11の左右の縁を結ぶ形状の延材も、本発明の思想の範囲内にある。この場合、当該円弧のうち、左右方向に向かう接線を有する部分が、什器枠体11を水平に渡す方向に延びる水平棒状部にあたる。また、実施形態1の延材12は、什器枠体11によってその両端が支持されたが、両端以外の部位が支持されもよい。また、実施形態1の延材12は、什器枠体11によって直接に支持されたが、延材12が溶接等で接合された補強部材13によって支持され、補強部材13が什器枠体11によって支持されることで、延材12が間接的に什器枠体11に支持されてもよい。
【0026】
補強部材13は、複数の延材12を結合し、強度を補う部材である。補強部材13は、例えば、延材12と同様の線材で形成される。
図2(B)、(C)が示すように、補強部材13は、延材12よりも背面側において、什器枠体11の上下の縁を鉛直方向に渡すように、間隔をあけて3個設けられる。各補強部材13は、各延材12と接合される。3個の補強部材13が設けられる間隔は、配置された延材12どうしの間隔よりも大きい。補強部材13の間隔は、例えば、延材12どうしの間隔の5〜20倍程度とすることができる。補強部材13は、棚板のフックによる取付けを過度に阻害しないように、棚板のフックの位置や大きさ等に応じて適切な位置に設けられる。また、
図2(C)が示すように、補強部材13は、断面略L字形をしており、延材12と同様に、什器枠体11から前面側に張り出すように設けられる。なお、補強部材13の個数は、3個に限定されるものではない。また、補強部材13は、複数の延材12のうちの、一部の延材とのみと結合されてもよい。
【0027】
このような補強部材13によれば、延材12に棚板を取付けた場合の耐荷重性を高めることができる。また、延材12どうしの間隔を適切に維持することが可能なる。なお、実施形態1では、陳列什器1が補強部材13を備えるが、例えば、延材が幅狭の板状等であり、延材に棚板を掛けた際の鉛直方向の強度が所定基準を満たす場合には、陳列什器1は補強部材13を備えなくてもよい。この場合には、棚板の水平方向の取付け可能範囲をさらに広げることができる。
【0028】
脚部14は、什器枠体11と接続されており、その底面が床面に設置された場合に、什器枠体11を直立させるように支持して、陳列什器1全体を自立させる。実施形態1の脚部14は、前面側に突出した略直方体形状をとり、什器枠体11と一体形成される。
図2(C)が示すように、什器枠体11及び脚部14は、側面視で略L字の形状である。なお、脚部14は、什器枠体11とは別の部材で形成されてもよい。また、脚部14には、高さを調節するためのアジャスターボルトや、移動を容易にするキャスター等が取付けられてもよい。また、陳列什器1は、脚部14を備えないものであってもよい。
【0029】
<使用状態>
図3は、実施形態1に係る陳列什器1の使用状態を例示する斜視図である。(A)は、棚板を取付けた陳列什器1を例示する。(A1)は、取付け可能な棚板を例示する。(B)は、並べて設置された2台の陳列什器1の使用状態を例示する。
【0030】
図3(A)では、標準幅の標準幅棚板2A、及び、標準幅のほぼ半分の幅のハーフ棚板2Bの2種類の棚板2が、いずれも複数、陳列什器1に取付けられている。標準幅は、什器枠体1の幅とほぼ等しい。
【0031】
図3(A1)が示すように、棚板2は、平面視で長方形の板状である板材21と、板材21の一側面に所定間隔あけて付設された2個のフック22とを有する。板材21は、例えば、スチール等の金属板、剛性のある樹脂板、木板、ガラス板等であり、商品等の陳列対象物を載せ置く板面を提供する。フック22は、例えば、板金等の帯状金属体が、側面視で鉛直下向きが開口するJ字状に形成される。フック22の高さ方向の全長は、例えば、陳列什器1の延材12どうしの間隔の2.5倍程度である。
【0032】
フック22が延材12の水平棒状部121に掛けられると、フック22の曲部付近の内壁が水平棒状部121に当接されるとともに、当該掛けられた延材12よりも下方に設けられた延材12の水平棒状部121にもフック22の内壁の一部が当接される。このような当接によって、フック22が延材12に係止されることになる。そして、棚板2の幅方向に所定間隔をあけて付設された2個のフック22が延材12に係止されることで、棚板2が陳列対象物を陳列可能に固定される。なお、棚板2には、棚板2の板材21から陳列対象物が落下すること防止するための構造(落下防止壁)や、陳列対象物が滑ることを防止するための滑り止め構造が設けられてもよい。
【0033】
実施形態1の陳列什器1では、複数の延材12が高さ方向に一定間隔で設けられているため、什器枠体11の高さの範囲で、所望の高さに棚板2を取付けることができる。また、什器枠体11の幅方向においてフック22の取付けを阻害する構造が補強部材13以外に存在しない上に、水平棒状部121の長さが什器枠体11の幅、すなわち陳列什器1の幅とほぼ等しい。そのため、棚板2を、陳列什器1の幅の範囲内において、所望の水平位置に取付けることができる。また、陳列什器1には、標準幅棚板2Aやハーフ棚板2B等、多種の幅の棚板2が取付け可能であり、板材21の奥行きが異なる棚板2も取付け可能である。このように、実施形態1の陳列什器1は、取付け可能な棚板2の大きさや取付け位置の自由度が高いので、陳列対象物をより柔軟にレイアウトすることが可能となる。なお、陳列什器1には、棚板2に限らず、例えば、陳列対象物を吊り下げるためのバーとフックとを有するフックバー等、その他のフック付き陳列器具が取付けられてもよい。
【0034】
さらに、
図3(B)が示すように、2台の陳列什器1を一列に並置し、2台の陳列什器1を跨がるように棚板2を取付けて使用できる。実施形態1では、什器枠体11が水平棒状部121よりも後側(背面側)にあるため、陳列什器1の縁付近において棚板2の取付けが阻害されない。そのため、陳列什器1の個数を増やして並置することで、棚板2の取付け可能範囲を水平方向に漸次拡張できる。
【0035】
なお、棚板2のフック22は、側面視で単なるJ字状ではなく、途中に段差を形成することで、棚板2の取付け角度を変更可能としてもよい。
図4は、取付け角度を変更可能な棚板2を例示する斜視図である。
図4(A)には、互いに異なる取付け角度で陳列什器1に取付けられた棚板2U(上側)及び棚板2L(下側)が示されている。
図4(B)は、棚板2U及び棚板2Lのフック付近の拡大図である。
図4(B)が示すように、上側の棚板2Uに付設されたフック22U、及び、下側の棚板2Lに付設されたフック22Lのそれぞれの内壁の上方は、側面視で階段状に形成されており、第1係止部221が上側に凹設され、第2係止部222が下側に凹設されている。棚板2Uでは、フック22Uの第1
係止部221が延材12の水平棒状部121に係止されている。このとき、棚板2Uの板面は、略水平となる。一方、棚板2Lでは、フック22Lの第2係止部222が延材12の水平棒状部121に係止されている。このとき、棚板2Lの板面は、前側(図中左側)方向にやや下るように傾斜する。このようなフックの構造を有する棚板2U、2Lは、板面の角度を2段階に変更可能であるため、より柔軟な態様での陳列対象物の陳列が可能となる。
【0036】
<変形例>
実施形態1では、延材12の水平棒状部121が、什器枠体11の幅とほぼ等しい長さで設けられた。延材12の水平棒状部は、什器枠体11の幅を越える長さで設けられてもよい。このような変形例について、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0037】
図5は、実施形態1の変形例に係る陳列什器を例示する図である。
図5において、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は正面図であり、(D)は右側面図である。
図5(B)が示すように、変形例の延材12Aは、線材が平面視で背面側に開口する壺型形状に折り曲げられて形成される。
図5の(A)、(B)、(C)が示すように、延材12の水平棒状部121Aは、什器枠体11の幅を越えて水平方向に延びている。このような変形例では、棚板2の水平方向の取付け可能範囲がより広い陳列什器1Aを提供できる。
【0038】
〔実施形態2〕上下の延材どうしが接するタイプ
実施形態1では、複数の延材12を結合する補強部材13が、什器枠体11を鉛直方向に渡すように設けられ、延材12に棚板2を取付けた場合の耐荷重性が高められた。別の実施形態として、延材それぞれに略鉛直上向きに延びて上方に配置された他の延材と接する部分が設けられ、下方の延材が上方の延材を支える補強構造を有する実施形態2について、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0039】
図6は、実施形態2に係る陳列什器を例示する図である。
図6において、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は正面図であり、(D)は右側面図であり、(C1)は正面図の下部を拡大した図である。
【0040】
実施形態2の延材12Bは、実施形態1と同様に、線材が折り曲げられて形成され、延材12Bは、概ね什器枠体11の左右の縁を渡すように延びる。実施形態2の陳列什器1Bには、実施形態1と同様に、同一の形状及び大きさの複数の延材12Bが、一定間隔で高さを変えて配置される。実施形態2の陳列什器1Bでは、上下に並ぶ延材12Bどうしが接し、下方の延材12Bが上方の延材12Bを支えるように配置される。なお、実施形態2では、上下に並び接する延材12Bどうしが、接する部分で溶接等により接合されるが、接するのみで接合されなくてもよい。
【0041】
図6(C)が示すように、実施形態2の延材12Bは、正面視においては、矩形波状にも折り曲げられる。具体的には、
図6(C1)が示すように、延材12Bは、位置P2〜P9それぞれで折り曲げられている。延材12Bは、正面視で、左端から右端に向かって順に、水平方向に延びる線部P1−P2、略鉛直上向きに延びる線部P2−P3、水平方向に延びる線部P3−P4、略鉛直下向きに延びる線部P4−P5、水平方向に延びる線部P5−P6、略鉛直上向きに延びる線部P6−P7、水平方向に延びる線部P7−P8、略鉛直下向きに延びる線部P8−P9、及び、水平方向に延びる線部P9−P10が接続された折れ線形状である。当該折れ線形状の高さは、配置される延材12Bどうしの間隔と等しい。上下に並んで配置される2個の延材12Bでは、下方の延材12Bの位置P3、P4、P7、及びP8の上面が、それぞれ、上方の延材12Bの位置P2、P5、P6、P9の下面に接することになる。そのため、下方の延材12Bが上方の延材12Bを
下方から支えることが可能になる。
【0042】
実施形態2の陳列什器1Bは、実施形態1の陳列什器1と異なり、補強部材13を備えないが、什器枠体11の底部から延材12Bを支持する底部支持部材15をさらに備える。底部支持部材15は、延材12Bよりも太い線材が曲げられて形成される。底部支持部材15は、
図6(C1)が示すように、平面視で、鉛直下向きが開口した略コの字状である。底部支持部材15は、その下部が什器枠体11の下部の内壁に固定され、その上部が、最も低い位置に配置された延材12Bの一部と接し、当該延材12Bを下方から支える。このように、最も低い位置に設けられた延材12Bが底部支持部材15によって下方から支えられ、さらに、上方の延材12Bが下方の延材12Bによって支えられることで、陳列什器1Bに設けられた複数の延材12Bすべてが、下方から支えられることになる。そのため、補強部材13を備えなくとも、鉛直方向の強度を強めて、延材12Bに棚板2を取付けた場合の耐荷重性を高めることができる。
【0043】
水平方向に延びる線部P1−P2、P3−P4、P5−P6、P7−P8、及びP9−P10それぞれは、フック22付きの棚板2を掛ける用途の水平棒状部である。延材12Bにおけるこれら複数の水平棒状部の長さの合計は、水平棒状部以外の部分(線部P2−P3、P4−P5、P6−P7、P8−P9)の長さの合計よりも長い。
【0044】
図6(C)、(C1)が示すように、上下に隣り合う2個の延材12Bでは、下方の延材12Bにおいて高い位置にある水平棒状部P3−P4及びP7−P8が、上方の延材12Bにおいて低い位置にある水平棒状部P1−P2、P5−P6、P9−P10と同じ高さにある。そのため、上方の延材12Bの水平棒状部P1−P2、P5−P6、P9−P10、下方の延材12Bの水平棒状部P3−P4、P7−P8は、全体として、概ね水平に延びた1個の棒状体を形成しているといえる。そのため、フック22の水平方向における取付け可能範囲は、什器枠体11の幅とほぼ等しい長さで確保される。
【0045】
このような実施形態2によれば、取付け可能な棚板2の大きさや取付け位置の自由度が高い陳列什器1Bにおいて、補強部材13を要しない簡易な構造で耐荷重性を高めることができる。また、補強部材13を要しないため、より低いコストで、陳列什器1Bを製造可能である。なお、配置される各延材は、正面視で一部が略W字状や略U字状等に折り曲げられた折れ線形状であってもよい。この場合、延材は、略鉛直下方向に延びる線部を有し、当該線部の下面が、下方の延材の上面と接するように配置されてもよい。
【0046】
〔実施形態3〕傾斜タイプ
実施形態1では、複数の延材12の水平棒状部121が、鉛直方向に並んで配置された。別の実施形態として、複数の延材の水平棒状部が傾斜に沿って並んで配置される実施形態3について、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0047】
図7は、実施形態3に係る陳列什器を例示する図である。
図7において、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は正面図であり、(D)は右側面図であり、(E)は使用状態を示す斜視図である。実施形態3の陳列什器1Cは、実施形態1の陳列什器1と同様に、什器枠体11C、複数の延材12C、複数の補強部材13C、及び脚部14Cを備える。
【0048】
図7(A)が示すように、陳列什器1Cの外形は、概ね、直角三角形を側面とする三角柱である。
図7(D)が示すように、什器枠体11Cの正面側は、背面側へ向かって45度で昇るように傾斜している。
【0049】
図7(A)、(C)が示すように、実施形態3の複数の延材12Cそれぞれは、実施形
態1と同様に、什器枠体11Cを水平に渡すように設けられ、什器枠体11Cによって両端を支持される。各延材12Cの水平に延びる部分は、フック22付きの棚板2を掛ける用途の水平棒状部である。ただし、
図7(A)、(D)が示すように、実施形態3の複数の延材12Cは、水平棒状部が上述の傾斜に沿って一定間隔で並んで配置される。実施形態3の複数の水平棒状部は、傾斜に沿って並ぶものの、実施形態1と同様に、什器枠体11Cの厚み方向(斜面の法線方向)において、什器枠体11Cより前側に配置される。
【0050】
また、実施形態3の補強部材13Cは、実施形態1と同様に、複数の延材12Cを背面側で結合して補強するが、
図7(D)が示すように、什器枠体11Cの上下の縁を、上述の傾斜に沿って渡すように設けられる。
図7(D)が示すように、脚部14Cは、側面視でL字状であり、什器枠体11Cと一体形成される。
【0051】
図7(E)が示すように、陳列什器1Cの延材12Cの水平棒状部には、フック22が掛けられ、標準幅棚板2Aやハーフ棚板2B等の棚板2が、陳列対象物を載せ置く水平な板面を提供するように、取付けられる。
【0052】
このような実施形態3の陳列什器1Cによれば、棚板2が取付けられる水平棒状部が傾斜に沿って並んで配置されるので、複数の棚板2を設置した場合であっても、上方の棚板2が下方の棚板2の板面を視界から隠すことを抑制できる。そのため、取付け可能な棚板2の大きさや取付け位置に関する高い自由度を実現しつつ、傾斜によって視界に入る棚板2の数や板面の面積を増やし、より見やすい態様で陳列対象物を陳列できる。また、陳列対象物を棚板2から取り出すことを容易化できる。なお、什器枠体の正面側は、傾斜した領域と鉛直方向に広がる領域との双方を含み、複数の延材のうちの一部の延材における水平棒状部が傾斜に沿って並んで配置され、残部の延材における水平棒状部が鉛直方向に並んで配置されてもよい。
【0053】
〔実施形態4〕取付けタイプ
実施形態1の陳列什器1は、脚部14を備え、自立するものであった。別の実施形態として、陳列什器が自立せずに、スタンド器具や他の什器等に取付けるタイプである実施形態4について、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0054】
図8は、実施形態4に係る取付けタイプの陳列什器を例示する斜視図である。(A)は陳列什器をスタンド器具に取付ける様子を示し、(B)は陳列什器の背面を示す。
【0055】
図8(A)には、スタンド器具3と2個の陳列什器1Dが示されており、下側の1個の陳列什器1Dはスタンド器具3に取付け済みである。スタンド器具3は、略L字状の断面角型の金属管であり、柱部31とスタンド脚部32とを有する。柱部31の前面には、陳列什器1Dの取付具16を挿入して嵌めるための挿入孔311が高さ方向に一定間隔で複数設けられている。
【0056】
実施形態4の陳列什器1Dには、実施形態1と同様に、複数の延材12Dが、什器枠体11Dを水平に渡すように設けられている。
図8(B)が示すように、実施形態4の什器枠体11Dにおける左右の縁部の背面には、金属製の取付具16が固設されている。取付具16には、鍵形の2個の突出部161が凸設されており、各突出部161がスタンド器具3の挿入孔311に挿入され嵌められることで、陳列什器1Dがスタンド器具3の柱部31に嵌着される。
【0057】
実施形態4では、このような取付具16や挿入孔311の構造を用いて、スタンド器具3の所望の高さに陳列什器1Dを取付けることができる。また、陳列什器1Dの取付け先は、スタンド器具3に限定されず、挿入孔311の構造を有するその他の什器や、店舗壁
面等であってもよい。そのため、陳列什器1Dは、様々形態や機能を有する什器に後付で組み込むことや、様々な場所に設置することが可能であり、より柔軟な態様で棚板2を設置することができる。
【0058】
<変形例>
実施形態4では、陳列什器1Dの取付具16が、スタンド器具3の柱部31へ直接取付けられる構造であった。陳列什器の取付け構造は、実施形態4と異なるものであってもよい。例えば、陳列什器1Dは、スタンド器具に設けられた水平方向に延びる角バーに取付けられてもよい。このような変形例について、説明する。
【0059】
図9は、取付タイプの陳列什器の変形例を示す斜視図である。(A)は陳列什器をスタンド器具に取付ける様子を示し、(B)は陳列什器の背面を示し、(C)は角バーに取付けられた什器枠体の角周辺を背面側から見た様子を示す拡大図である。
【0060】
図9(A)が示すように、変形例の陳列什器1Eは、スタンド器具3Eを水平に渡し、断面角型である角バー33をさらに有する。
図9(B)、(C)が示すように、什器枠体11Eの左右の内壁における上端及び下端には、取付具16Eが固設される。取付具16Eは、背面方向及び鉛直下向きに突出する鍵形をしている。
図9(C)が示すように、取付具16Eは、スタンド器具3Eの角バー33に嵌着される。変形例では、このような構造により、陳列什器1Eがスタンド器具3Eに取付けられ、自由度の高い態様での棚板2の設置が可能となる。
【0061】
〔実施形態5〕両面タイプ
実施形態1では、複数の延材12が、什器枠体11から前面側(正面側)に張り出すように設けられ、鉛直方向に一定間隔で並んで配置された(
図1、
図2(A)及び(C)を参照)。別の実施形態として、陳列什器には、さらに、什器枠体から後側(背面側)にも張り出すように複数の延材が設けられ、鉛直方向に一定間隔で並んで配置されてもよい。すなわち、この場合の陳列什器は、什器枠体の前面側に並ぶ延材と、後面側に並ぶ延材との両面側に並ぶ延材を備える。このような両面タイプの実施形態5について、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
【0062】
図10は、実施形態5に係る両面タイプの陳列什器1Fを例示する図である。(A)は陳列什器1Fの斜視図であり、(B)は陳列什器1Fの右側面図であり、(C)は陳列什器1Fの使用状態を示す斜視図である。
【0063】
図10(A)、(B)が示すように、陳列什器1Fでは、複数の延材12F1が、什器枠体11Fの前面側において鉛直方向に一定間隔に並んで配置され、複数の延材12F2が、什器枠体11Fの後側において鉛直方向に一定間隔に並んで配置される。いずれの延材12F1、12F2も、什器枠体11Fに両端を支持される。什器枠体11Fの左右の縁を水平に渡す方向に延びる棒状の部分である水平棒状部は、什器枠体11Fの前側の延材12F1と後側の延材12F2との双方に設けられるため、棚板2A、2Bのフックを陳列什器1Fの前後両側に掛けることが可能である。また、実施形態5の陳列什器1Fでは、什器枠体11Fの前面側に設けられる補強部材13F1が前側の複数の延材12F1を結合し、什器枠体11Fの後面側に設けられる補強部材13F2が後側の複数の延材12F2を結合する。また、
図10(B)が示すように、一体形成される脚部14F及び什器枠体11Fは、側面視で天地を逆にしたT字形である。
【0064】
図10(C)では、什器枠体11Fの前側の延材12F1に標準幅棚板2Aが取付けられ、什器枠体11Fの後側の延材12F2にハーフ棚板2Bが取付けられている。実施形態5の陳列什器1Fでは、フックを取付け可能な延材12F1及び12F2の水平棒状部
が什器枠体11Fの前側と後側との双方に設けられるため、このように什器枠体11Fの前側と後側との双方に、棚板2A、2Bを取付けることができる。さらに、実施形態5の陳列什器1Fでは、2台の実施形態1の陳列什器1を背を合わせるように配置する場合に比べ、前側の延材12F1及び後側の延材12F2を1個の什器枠体11Fが支持するため、より省スペースで安定した棚板2A、2Bの取付け環境を提供できる。
【0065】
なお、以上説明した各実施形態や変形例は、組み合わせられてもよい。
【解決手段】陳列什器1に、什器の外形の少なくとも一部を囲う什器枠体11と、什器枠体11を水平に渡す方向に延びる棒状の水平棒状部が少なくとも一部に設けられ、什器枠体11に支持された複数の延材12とを備え、延材12の水平棒状部にフック付きの棚板2を掛けることで取付け、陳列対象物を陳列可能とした。