特許第5914753号(P5914753)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5914753電力を意識した接続拠点の設計および自動設定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5914753
(24)【登録日】2016年4月8日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】電力を意識した接続拠点の設計および自動設定
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/751 20130101AFI20160422BHJP
   H04L 12/46 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   H04L12/751
   H04L12/46 M
【請求項の数】2
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-510485(P2015-510485)
(86)(22)【出願日】2013年5月3日
(65)【公表番号】特表2015-519826(P2015-519826A)
(43)【公表日】2015年7月9日
(86)【国際出願番号】US2013039492
(87)【国際公開番号】WO2013166404
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2014年12月24日
(31)【優先権主張番号】13/464,651
(32)【優先日】2012年5月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベジェラーノ,イーガイ
(72)【発明者】
【氏名】バスデバン,スダルシャン
【審査官】 安藤 一道
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−199834(JP,A)
【文献】 特開2011−146784(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0201380(US,A1)
【文献】 特開2012−019303(JP,A)
【文献】 河野 義幸、他4名,動的な物理リンク数制御によるスイッチ省電力化手法の提案,電子情報通信学会技術研究報告,社団法人電子情報通信学会,2008年 2月28日,第107巻 第525号,pp.343-348
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/751
H04L 12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコアルータを有する接続拠点ノードの内部にあるネットワーク要素をアクティブ化する方法であって、前記第1のコアルータが1又は複数のラインカードを有し、前記ラインカードの各々が複数のポートを有しており、前記アクティブ化は接続拠点ノードの前記ポートの各々に接続された各アクセスノードのトラフィック需要に関するものである、方法において、
記アクセスノードの極大トラフィック需要に基づいて、前記アクセスノードがそれぞれ接続された前記ポートそれぞれのアクティブ化しきい値を計算するステップと、
特定の時点におけるトラフィック需要を決定するステップと、
それぞれのアクティブ化しきい値をトラフィック需要が超える場合には、ラインカード上の特定のポートをアクティブ化するステップと、
それぞれのアクティブ化しきい値をトラフィック需要が超えない場合には、前記特定のポートを電力最小化モードに設定するステップと
を含み、前記ラインカード上のいずれのポートもアクティブ化されない場合には、前記複数のラインカードの中の1つのラインカードが電力最小化モードに設定される、方法。
【請求項2】
第1のコアルータを有する接続拠点ノードの内部にあるネットワーク要素をアクティブ化するシステムであって、前記第1のコアルータが1又は複数のラインカードを有し、前記ラインカードの各々が複数のポートを有しており、前記アクティブ化は接続拠点ノードの前記ポートの各々に接続された各アクセスノードのトラフィック需要に関するものである、システムにおいて、
前記アクセスノードの極大トラフィック需要に基づいて計算された、前記アクセスノードがそれぞれ接続された前記ポートのそれぞれのアクティブ化しきい値を有するメモリと、
トラフィック需要がそのポートと関連するそれぞれのアクティブ化しきい値を超える場合には、ラインカード上の特定のポートをアクティブ化し、
トラフィック需要がそれぞれのアクティブ化しきい値を超えない場合には、前記特定のポートを電力最小化モードに設定し、
前記ラインカード上のいずれのポートもアクティブ化されない場合には、前記複数のラインカードの中の1つのラインカードを電力最小化モードに設定するコントローラと
を備えている、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、接続拠点の間の接続に関し、特に、電力消費を最小化しながら、予想されるトラフィックに適応するように、1つの接続拠点の内部においてどのネットワーク要素が給電されるのかを設定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の通信ネットワークは、トラフィック負荷とは独立に、ほぼ一定の電力で動作する。一時的トラフィック需要が、ネットワーク容量全体よりも、実質的に小さいことがあり得る。トラフィック需要とネットワーク容量との間の著しい不一致は、ネットワークサービスプロバイダによる容量の過剰供給だけではなく、時間経過に伴うネットワークトラフィックの著しい変動の結果であるということが、一般的に受け入れられている。
【0003】
インターネットのバックボーンは、接続拠点(PoP)からなるネットワークで構成されているため、各個別のPoPのエネルギ消費を最適化することは、ネットワーク全体にわたる電力効率性を達成する手段として機能し得る。
【0004】
現代のIPネットワークでは、各PoPは、同じ位置に配置され以下のように相互に接続されている複数のコアルータとアクセスルータとから構成されている。アクセスルータは、地域ネットワークの端点として機能し、コアルータに接続されている。所与のPoPのコアルータは、典型的には、フルメッシュで共に接続されている。それに加えて、1つのPoPのコアルータは、1つまたは複数の異なるPoPのコアルータに接続されている。更に、現在の実務においては、異なるPoPのコアルータの間の接続性は、複数の物理リンクを結合して単一の論理リンクとするリンクアグリゲーション(または、リンクバンドリングとも等しく称される)を用いるのが典型的である。
【0005】
利用可能なネットワーク容量と一時的なトラフィック需要との間にギャップがあることにより、ネットワークの電力消費を削減しながら、ネットワークのパフォーマンスに著しく影響することなく、ネットワークコンポーネントを非アクティブ化する機会が与えられる。従って、ネットワークのパフォーマンスに著しく影響することなく、PoP内部での電力消費を削減するために、どのネットワークコンポーネントを非アクティブ化すべきか、またはその代わりにアクティブ化すべきかを決定することができるシステムまたは方法を有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ネットワークのパフォーマンスに著しく影響することなく、PoPにおける電力消費を最小化するための方法およびシステムを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって、本発明の一態様によると、第1のコアルータを有する接続拠点ノードの内部にあるネットワーク要素をアクティブ化する方法であって、1組のラインカードが第1のコアルータと関連するそれぞれのポートを有しており、アクティブ化は接続拠点ノードと関連するトラフィック需要に関するものである、方法が提供され、この方法は、1組のラインカードの各ポートがそれぞれのアクティブ化しきい値(activation threshold)を有する1組のアクティブ化しきい値を計算するステップと、特定の時点におけるトラフィック需要を決定するステップと、それぞれのアクティブ化しきい値をトラフィック需要が超える場合には、ラインカード上の特定のポートをアクティブ化するステップと、それぞれのアクティブ化しきい値をトラフィック需要が超えない場合には、特定のポートを電力最小化モードに設定するステップとを含んでおり、ラインカード上のいずれのポートもアクティブ化されない場合には、1組のラインカードの中の1つのラインカードが電力最小化モードに設定される。
【0008】
本発明の別の態様によると、第1のコアルータを有する接続拠点ノードの内部にあるシステムであって、1組のラインカードが、第1のコアルータと関連するそれぞれのポートと、接続拠点ノードと関連するトラフィック需要とを有している、システムが提供され、このシステムは、アクティブ化しきい値が1組のラインカードのポートと関連している1組のアクティブ化しきい値を有するメモリと、トラフィック需要がそのポートと関連するそれぞれのアクティブ化しきい値を超える場合には、ラインカード上の特定のポートをアクティブ化し、トラフィック需要がそれぞれのアクティブ化しきい値を超えない場合には、特定のポートを電力最小化モードに設定し、ラインカード上のいずれのポートもアクティブ化されない場合には、1組のラインカードの中の1つのラインカードを電力最小化モードに設定するコントローラと、を備えている。
【0009】
注記:以下では、説明と図面とは、単に、本発明の原理を例証しているに過ぎない。よって、当業者であれば、本明細書において明示的に記載または図示されていなくとも、本発明の原理を具体化しその精神および範囲に含まれる様々なアレンジメントを工夫することができるということが、認識されるであろう。更に、本明細書に記載されているすべての例は、本発明の原理とこの技術分野を進展させるように発明者らによって貢献がなされた概念とを理解する際に、明確に読者の助けとなる教育的目的のみのためのものであることが主に意図されており、そのように特に記載されている例および条件に限定されることのないものとして、解釈されるべきである。更には、その特定の例だけではなく、本発明の原理、態様、および実施形態を記載している本明細書におけるすべての言明は、その均等物に及ぶことが意図されている。
【0010】
本発明は、図面を参照しながらの本発明の実施形態に関する以下の詳細な説明から、更に理解されるであろう。なお、図面においては、同様の参照番号が、同様の要素を表すために用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来技術による接続用のリンクを有するPoPのネットワークを示す図である。
図2】本発明の一実施形態による接続用のリンクを有するPoPのネットワークを示す図である。
図3A】本発明の一実施形態によるPoPとそのアクセスポート構成とを示す図である。
図3B】本発明の一実施形態によるPoPとそのアクセスポート構成とを示す図である。
図4A】本発明の別の実施形態によるPoPとそのアクセスポート構成とを示す図である。
図4B】本発明の別の実施形態によるPoPとそのアクセスポート構成とを示す図である。
図5】本発明の別の実施形態によるPoPを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明においては、多数の特定の詳細が、述べられている。しかし、本発明の実施形態はこれらの特定の詳細なしで実現され得ると、理解される。他の場合には、この説明の理解を曖昧にしないために、広く知られている回路、構造および技術が、詳細に示されていない。しかし、当業者には、本発明がそのような特定の詳細なしで実現され得ることが、認識されるであろう。他の場合には、本発明を曖昧にしないために、制御構造、ゲートレベル回路および完全なソフトウェア命令シーケンスが、詳細に示されていない。当業者であれば、含まれている説明を用いることにより、不要な実験をしなくとも、適切な機能性を実現することができるであろう。
【0013】
本明細書において「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的な実施形態」などに言及していることは、記載されている実施形態はある特定の特徴、構造、または特性を含み得るが、すべての実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を必ずしも含むとは限らないことを示している。更に、そのような字句が、必ずしも、同一の実施形態に言及しているとは限らない。更に、ある特定の特徴、構造、または特性がある実施形態と共に記載されているときには、そのような特徴、構造、または特性を、明示的に記載されているかどうかとは関係なく、他の実施形態と共に実現することは当業者の知識の範囲内であるということが、提示されている。
【0014】
以下の説明と特許請求の範囲とにおいては、「結合されている」および「接続されている」という用語が、それらの派生語と共に、用いられることがあり得る。これらの用語が相互に対して同意語としては意図されていない、ということを理解すべきである。「結合されている」とは、2またはそれよりも多くの要素が、相互に直接の物理的または電気的接触関係にある場合またはそのような関係にない場合もあり得るが、相互に対して協働または相互作用することを示すために用いられる。「接続されている」とは、相互に結合されている2つまたはそれよりも多くの要素の間の通信の確立を示すために用いられる。
【0015】
図に示されている技術は、1つまたは複数の電子デバイス(例えば、ネットワーク要素)上に記憶され、その上で実行されるコードおよびデータを用いて、実装され得る。そのような電子デバイスは、(例えば、磁気ディスク、光ディスク、ランダムアクセスメモリ、リードオンリメモリ、フラッシュメモリデバイスなどの)マシン記憶媒体および(例えば、搬送波、赤外信号、デジタル信号など、伝播される信号の電気的、光学的、音響的、または他の形式などの)マシン通信媒体などのマシン可読な媒体を用いて、コードおよびデータを、(内部的に、および、ネットワークを経由して他の電子デバイスを用いて)記憶および通信する(内部的に、および、ネットワークを経由して他の電子デバイスを用いて)。更に、そのような電子デバイスは、典型的には、記憶デバイス、1つまたは複数のユーザ入力/出力デバイス(例えば、キーボードおよび/またはディスプレイ)、ならびにネットワーク接続など、1つまたは複数の他のコンポーネントに結合されている1つまたは複数のプロセッサの集合を含む。プロセッサの集合と他のコンポーネントとの結合は、典型的には、1つまたは複数のバスおよびブリッジ(バスコントローラとも称される)を通じて、である。記憶デバイスとネットワークトラフィックを運ぶ信号とは、それぞれが、1つまたは複数のマシン記憶媒体とマシン通信媒体とを表す。よって、所与の電子デバイスの記憶デバイスは、典型的には、その電子デバイスの1つまたは複数のプロセッサの集合上で実行されるためのコードおよび/またはデータを記憶する。もちろん、本発明の一実施形態の1つまたは複数の部分が、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアの異なる組合せを用いて実装されることは、あり得る。
【0016】
本明細書において用いられているネットワーク要素(例えば、ルータ、スイッチ、ブリッジ)とは、ネットワーク(例えば、他のネットワーク要素、コンピュータ端末局など)上の他の機器と通信により相互接続するハードウェアおよびソフトウェアを含むネットワーク接続機器の1つである。顧客のコンピュータ端末局(例えば、ワークステーション、ラップトップ、パームトップ、携帯電話など)は、インターネット経由で提供されるコンテンツ/サービス、および/または、インターネットなどの関連するネットワーク上に提供されるコンテンツ/サービスに、アクセスする。これらのコンテンツおよび/またはサービスは、典型的には、サービスまたはコンテンツプロバイダに属する1つまたは複数のサーバ計算端末局によって提供され、公開ウェブページ(無料コンテンツ、店先、サーチサービスなど)、私的なウェブページ(例えば、電子メールサービスを提供するユーザ名/パスワードによってアクセスされるウェブページなど)、VPN経由の企業ネットワークなどを含み得る。典型的には、顧客の計算端末局は、(例えば、アクセスネットワークに結合されている顧客宅の機器を経由し、アクセスネットワークには無線で)エッジネットワーク要素に結合されており、これらのエッジネットワーク要素は、インターネットのコアネットワーク要素経由で、サーバ計算端末局に結合されている。
【0017】
以下の図面では、同様の参照番号が、同様の要素を表すのに用いられている。
【0018】
第1の例
電力を意識したPoP設計および自動設定の効果を示唆している例証のための例を、図1および図2で見ることができる。図1に示されている3つのPoP102、104、および106を備えたネットワークを考察しよう。この例の目的は、PoP−B104およびPoP−C106と称されている他の2つのPoPとのPoP−A102の相互接続に着目することである。どのコアルータもすべての地域ネットワーク132、134、および136に接続されていることが仮定される。PoP−Aは、4つのコアルータ(CR)112、114、116、および118を含んでおり、これらのコアルータは、それぞれが、2つの100Gbpsのポートである122aおよび122b、122cおよび122d、122eおよび122f、122gおよび122hをPoP間での通信のためにそれぞれ有している。この例では、PoP−Aと他のPoPのそれぞれとの間のトラフィック需要は、ピーク需要の期間の間は200Gbpsであり、谷に対応する期間の間はわずか100Gbpsである。図1は、これらのPoPが、2倍も過剰提供されていることを示している。図1の例により、PoP−A102と他の2つのPoP104および106との間の相互接続のために、2つの可能性が許容されることに気付くべきである。この例では、ポートの電力消費を除外して、各ルータ(シャーシ)は10kWの電力フットプリントを有し、各ポートは5kWの電力フットプリントを有すると仮定する。
【0019】
次に、4つの異なるシナリオにおける電力消費が、列挙される。最初の3つでは、図1に示されているリンクアグリゲーション(リンクバンドリングとも称される)に基づくPoPの接続性について考察し、他方で、別のPoP設計の効果は、図2に示されている。
【0020】
常にオン:この場合は、すべてのネットワーク要素が、常に電力を供給されている。単純な計算によると、全電力消費は、次の通りである。
4・(10+2・5)=80kW
【0021】
明示的な過剰提供:この場合は、ネットワークはピーク需要の下で動作していると仮定し、ネットワークが2倍の比率で過剰提供されているという事実を、単純に利用する。よって、例えば、ピーク需要を満たし、
2・(10+2・5)=40kW
という全電力消費を生じながら、コアルータの2つを付随的なリンクと共にオフにすることが可能である。
【0022】
トラフィック変動の利用:次のシナリオは、図1に示されている接続性を仮定して、昼間のトラフィック変動を利用することによるエネルギの節約を示している。需要が低い状況の下では、それぞれが単一のアクティブなポートを備えた2つのアクティブなルータだけが必要とされる。単純な計算によると、この場合の全電力消費は、次の通りであることが示される。
2・(10+5)=30kW
【0023】
代替的なネットワーク設計:このシナリオは、PoP内部のトポロジを再設計することの結果として生じる省エネルギの例証である。同様の参照番号が同様のPoPとネットワーク要素とを指している図2に示されているトポロジを、考察しよう。図2におけるトポロジの変更は、図1のPoP内部リンク122a−122hと比較すると、PoP内部リンク224a−224hのための接続が異なることである。トラフィック需要が低い場合には、
(10+2・5)=20kW
という全電力消費を生じる単一のルータ以外のすべてをオフにできることが、容易にわかる。
【0024】
最後の2つのシナリオのそれぞれの結果として、2つのアクティブなポートが生じる。
【0025】
電力消費の差は、これら2つのシナリオが異なる数のアクティブなコアルータを必要とすることから生じる。このように、「常にオン」であるネットワークから、注意深く設計されており過剰提供とトラフィック変動とを利用可能であるネットワークに移行することにより、電力を4分の1に削減することが、観察され得る。
【0026】
上述した例は、2つのルータと2つのポート/ルータとから構成される単純な場合においても、注意深いネットワーク設計と自動設定とを用いることで、著しい電力の節約が達成され得ることを示している。
【0027】
ネットワークモデル
一般的な表現として、2つのレベルのIPバックボーンネットワークが考察される。ネットワークレベルと称される高い方のレベルでは、ネットワークは、複数の接続拠点(PoP)で構成されている。各PoPは、地域ネットワークに通信サービスを提供し、また、いくつかの他のPoPにも接続されている。PoPのネットワークを表しているグラフは、ネットワークグラフと称される。
【0028】
各PoPの内部トポロジが、IPバックボーンネットワークの低い方のレベルを構成する。この場合、各PoPは、複数のIPコアルータ(CR)で構成されている。CRは、内部リンクと外部リンクとの両方を有するが、内部リンクとは、同一のPoPの内部にある2つのCRの間の接続であり、他方で、外部リンクとは、異なるPoPにおける2つのCRの間の接続か、または、CRとアクセスネットワークとの間の接続である。個々のPoPと、他のPoPおよびアクセスネットワークに対するそのリンクとの内部トポロジは、PoPグラフと称される。
【0029】
一般的な表現として、2つのレベルのIPバックボーンネットワークが考察される。ネットワークレベルと称される高い方のレベルでは、ネットワークは、複数の接続拠点(PoP)で構成されている。各PoPは、地域ネットワークに通信サービスを提供し、また、いくつかの他のPoPにも接続されている。PoPのネットワークを表しているグラフは、ネットワークグラフと称される。
【0030】
各PoPの内部トポロジが、IPバックボーンネットワークの低い方のレベルを構成する。この場合、各PoPは、複数のIPコアルータ(CR)で構成されている。CRは、内部リンクと外部リンクとの両方を有するが、内部リンクとは、同一のPoPの内部にある2つのCRの間の接続であり、他方で、外部リンクとは、異なるPoPにおける2つのCRの間の接続か、または、CRとアクセスネットワークとの間の接続である。個々のPoPと、他のPoPおよびアクセスネットワークに対するそのリンクとの内部トポロジは、PoPグラフと称される。
【0031】
各PoPであるAは、G(V,U,E)によって示され、ここで、V={v,・・・,v}は、このPoPの内部にあるN個の同一のCRの集合を表している。U={u,・・・,u}は、他のPoPとPoPであるAに接続された地域ネットワークとを表すM個のアクセスノード(AN)の集合である。ANは、このモデルにおけるトラフィックのソースと宛先とを構成する。集合Eは、PoPであるAの内部および外部接続を定義する。各リンクは、1単位に正規化された容量を備えている。集合EはANの間のどのようなリンクも含まないことに注意すべきである。また、グラフGはマルチグラフであり得る、すなわち、2つの隣接するノードは複数のリンクで接続され得る、ということにも注意すべきである。以下のように、2つの可能性のあるPoPアーキテクチャが考察される:
【0032】
1.複数のシングルシャーシシステム:このアーキテクチャでは、各CRはシングルシャーシシステムであり、その結果、ルータポートの中のいくつかは、PoP内部の通信のために用いられる。このアーキテクチャを考察するときには、システムがN個のCRを備えていると仮定する。
【0033】
2.単一のマルチシャーシシステム:マルチシャーシルータにより、複数のシャーシが相互に集まって単一の論理ルータを形成することが可能になる。このようなアーキテクチャでは、いくつかのラインカードシャーシが、それらのバックプレーンを経由して、ノンブロッキングでスケーラブルなスイッチファブリックマトリクス(non−blocking scalable switch fabric matrix)に接続される。よって、すべてのポートが、外部リンクのために用いられる。このアーキテクチャを考察するときには、単一のCRがN個のシャーシを備えていると仮定する。
【0034】
考察されているアーキテクチャとは関係なく、1シャーシ当たりL個のラインカードと、1ラインカードあたりP個のポートとを仮定する。更に、ネットワークにおけるすべてのコンポーネント、シャーシ、ラインカードまたはポートが、動作のスリープモードをサポートすると仮定する。すなわち、各デバイスは、要求に応じて、スリープモードに切り替えることが可能である。デバイスは、スリープモードでは電力を消費しない、と仮定する。特に、CRの全電力消費Tは、次の数式によって与えられる。
【0035】
【数1】
【0036】
この数式において、W、W、およびWは、各シャーシ、ラインカードおよびポートの電力消費をそれぞれ示す。N≦NはアクティブなCRの数を示し、L(1≦i≦N)はi番目のアクティブなCRにおけるアクティブなラインカードの個数を示し、Pij(1≦i≦N,1≦j≦L)はi番目のアクティブなCRのj番目のアクティブなラインカードにおけるアクティブなポートの個数を示す。
【0037】
1対のANであるuおよびu∈Uの間にある時間変動するトラフィック需要fi,j(t)は予め知られていること、そして、すべての需要は一時的需要行列F(t)によって表されることが、仮定される。この行列の(i,j)番目のエントリは、fi,j(t)によって示され、ANであるuとuとの間の一時的な需要を表している。ここでの議論は、異なるソースと宛先との対の間でのトラフィック需要が相関関係にある、すなわち、一様な縮尺関係を有する状況を扱っている。一般に、一時的需要行列F(t)が、
【0038】
f(t)=[fi,j(t)]=[Fi,j]・α(t),∀i,j,t
で与えられるとき、トラフィック需要は相関関係にあると考えられる。
【0039】
なお、この数式において、Fi,jは正の定数でuとuとの間の極大トラフィック需要を示し、一時的負荷であるα(t)は範囲[0...1]における、知られている時間変動関数である。相関関係にあるトラフィック需要に対して、α(t)は、すべての時刻において、すべてのソースと宛先との対に対して同一であることに注意すべきである。r(t)=R・α(t)は、ノードuのアグリゲート一時的需要を示すものとする。なお、ここで、
【0040】
【数2】
であり、ノードuの極大トラフィック需要を表す。
【0041】
方法の概観
n(t)によって表されるアクティブなCRの個数に加えて、e(t)で表されるアクティブなポートの個数と、l(t)で表されるアクティブなラインカードの個数とが最小化されるとき、PoPにおける最適な電力消費が得られる。アクティブなポートの個数は、任意の所与の時刻tにおいて、各アクセスノードu∈Uの
【0042】
【数3】
個のポートを正確にアクティブ化することにより、最小化することが可能である。しかし、アクティブなCRおよびラインカードの個数を最小化するという問題はより困難であり、その理由は、アクティブ化のために選択されるポートの集合が、どのCRおよびラインカードがアクティブであるかを決定するからである。主要な困難は、e(t)、l(t)、およびn(t)を最小化するCRポートとANポートとの組合せ(matching)を見つけることである。
【0043】
1からNまでの番号が付されており、各ラインカードがP個のポートを有するL個のラインカードをそれぞれが備えている、N個のコアルータを備えたPoPを考察する。様々なCRにわたるラインカードには、1,・・・,N・Lの番号が付される。同様に、様々なCRにわたるポートには、1,・・・,N・L・Pの番号が付される。特に、第1のCRのポートには1,・・・,L・Pの番号が付され、他方で、このCRの第1のラインカードのポートは、1からPまで数え上げられる。第2のCRのポートは、P・L+1,・・・,2・P・Lの番号が付される、等である。CRポートとANポートとの間の接続性を表す組合せは、Λによって表されるNKP個の組(NKP−tuple)である。Λのj番目の成分は、CRのポートjに接続するANのポートに対応する。
【0044】
この方法の背後にある主なアイデアは、ANのポートを、それらがトラフィック需要に応えるようにアクティブ化される順序に、配列することである。更に詳しくは、組Λが、任意のCRポートjは、CRポートj−1よりも後(または同時)であり、ポートj+1よりも前(または同時)に、アクティブ化されることを保証するのである。
【0045】
これは、以下の性質を考察することによって、よりよく理解されるであろう。
【0046】
グラフG(V,U,E)によって表現されるPoPの設計は、行列Fmaxによって特定される極大トラフィック需要を満たす場合に、有効である。
【0047】
以上が与えられると、自動設定法の目標は、PoPの全電力消費を最小化しながら、トラフィック需要がすべての時刻においてアクティブなコンポーネントによって満足されるように、有効なPoP設計G(V,U,E)と、各CR、ラインカードおよびポートのアクティブおよびスリープ時間を特定するスケジュールSとを見つけることである。
【0048】
(t)を、ANであるu∈Uのアグリゲート需要とする。時刻tにおけるアクティブなポートの最小個数は、
【0049】
【数4】
である。アクティブなラインカードの最小個数は、
【0050】
【数5】
であり、要求されるアクティブなコアルータの最小個数は、
【0051】
【数6】
である。
【0052】
これは、時刻tにおける任意のアクセスノードu∈Uのアグリゲート需要r(t)を考察することによって、示され得る。各リンクの容量は1単位であるから、アクセスノードuとコアルータとの間のアクティブなリンクの個数は、少なくとも、
【0053】
【数7】
でなければならない。時刻tにおいて要求されるアクティブなポートの個数の下限emin(t)は、直ちにわかる。すべてのコアルータは、それぞれがP個のポートを有するL個のラインカードを有しているのであるから、アクティブなラインカードとコアルータとの要求される個数は、それぞれが、少なくとも、lmin(t)とnmin(t)となる。
【0054】
PoPの設計は、トラフィック需要が、任意の所与の時刻tにおいて、最初のemin(t)個のCRポートと、最初のlmin(t)個のラインカードと、最初のnmin(t)個のCRとだけをアクティブ化することによって満足される場合に、入れ子状(nested)であると考えられる。
【0055】
以上の議論から、入れ子状のPoP設計が最適なリンクのアクティブ化を生じることがわかる。
【0056】
トラフィック需要が変化すると、自動設定方式は、新たな需要を満足させるために、最小の回数のアクティブ化および非アクティブ化動作を要求する、という重要な結果も、入れ子型の性質によって保証される。この結果は、トポロジの変化によって生じるルーティングの不安定性を制限するために重要である。
【0057】
マルチシャーシシステムのための方法の詳細
ANであるu∈Uの各ANポートp∈{1,・・・,R}に対し、RはANであるuの極大アグリゲート需要を表すものとして、次の数式によって与えられる組が定義される:
【0058】
【数8】
【0059】
この数式で、hi,pは、ポートpのアクティブ化しきい値と称される。更に詳しくは、ポートpは、α(t)>hi,pである場合にアクティブ化される。ポート配列Λは、次に、辞書型順序に従って、すなわち、組wi,pに基づいて、ANポートをソートすることによって、得られる。ノードuの各ANポートpとそれに対応するCRポートとは、一時的負荷(t)がhi,pを超えるときに、アクティブ化される。同様に、CRは、そのポートの少なくとも1つがアクティブである場合に、アクティブモードに切り替えられる。そうでない場合には、それは、スリープモードに留まる。
【0060】
この方法の擬似コード表現は、次の通りである。
【0061】
For すべてのANであるu∈U、すべてのポートp∈[1,R]に対して、
do
【0062】
【数9】
とし、
for すべてのCRであるj∈Nに対して、
do
ラインカードを考察するときには、CRであるjを、ΛにおけるANポート(j−1)・L・P+1からj・L・Pまでと接続する。
【0063】
この方法によって定義された接続は、入れ子型性質を満足する。この方法が
【0064】
【数10】
個のリンクだけをアクティブ化することを、見ることができる。ANであるuを考察する。時刻tにおいて、このポートのソート方法は、hi,p<α(t)である場合に限り、uのポートpをアクティブ化する。それにより、ANであるuのアクティブなポートの個数が、
【0065】
【数11】
であることがわかる。よって、uのアクティブなポートの総数は、アクティブなポートの最小個数に対する下限を満たす。
【0066】
更に、この方法は、
【0067】
【数12】
個のラインカードと
【0068】
【数13】
個のコアルータのみを、アクティブ化する。ANのポートは、そのアクティブ化しきい値に従ってソートされているので、ソートされた順序においてノードuのポートpよりも前に現れるANであるuのすべてのポートp’は、次の数式を満足する。
【0069】
【数14】
【0070】
そして、従って、p’は、ポートpがアクティブであるときは常にアクティブとなる。これにより、Λにおける最初のemin(t)個のANポートだけが時刻tにおいてアクティブであることになる。その結果、emin(t)よりも小さいまたはemin(t)に等しいインデックスを備えたCRポートだけが、時刻tでアクティブである。
【0071】
図3aを参照すると、本発明のポートソート法の動作を実証する実施形態の例を見ることができる。図3では、N=3のCR340、342、および344を有するPoP300を見ることができ、各CRがL=3のラインカード341a、341b、341cと、343a、343b、343cと、345a、345b、345cを有し、各ラインカードがP=2のポートをそれぞれ有している。更に、U={u,・・・,u}としてそれぞれが示されている4つのAN351、352、353、および354を見ることができる。第1のANは隣接のPoPであり、他の3つは地域ネットワークを表している。単純にするため、ANである{u,u,u}のそれぞれとPoPであるuとの間だけにトラフィックが存在し(すなわち、ANの間にはトラフィックが存在しない)、ANの極大トラフィック需要はR=4、R=R=2であり、他方で、残りのPoPであるuは極大トラフィック需要R=8を有する、と仮定される。図3は、ポートソート法の結果として得られるPoP設計を示しており、他方で、図3bの表1は、ポート配列である組Λを示している。表1における表示を容易にするために、ANポートは4つの列として配列されており、各列が、ANの1つのポートに対応している。この設計では、CR−1である340と、その第1の341aおよび第2の341bのラインカードとだけが、常にアクティブであることに注意すべきである。α(t)が増加されるにつれて、追加的なCRおよびラインカードがアクティブ化される。例えば、CR−2である342は、α(t)>1/4であるときにアクティブ化され、CR−3である344は、α(t)>5/8であるときにアクティブ化される。後者に関しては、トラフィックが、CR−2である342とCR−3である344との間で交換される必要があり、従って、これら2つのCRは接続されていなければならない。この状況では、後で更に説明されるように、この方法において追加的な処理が必要となる。
【0072】
シングルシャーシシステムのための方法の詳細
いくつかのPoP設計では、内部トラフィック(すなわち、PoP内部にあるCRの間のトラフィック)が不可避である。このセクションでは、PoPの内部にあるCRを相互接続するための星状トポロジが提案される。ここで、ハブノードと称される追加的なCRが、他のすべてのCRに接続され、PoP内部のすべてのトラフィックを中継する。
【0073】
(ハブノードを除く)すべてのCRは、そのL・P個のポートの中のQ個をPoP内部のトラフィックの専用とし、他方で、残りのK=L・P−Q個のポートは外部トラフィックのために用いられる、と仮定される。内部トラフィックのための専用とされるQ個のポートは、各CRのラインカードの間で一様に分散されるか、または、それとは異なり、1つまたは数個のラインカードと関連することがあり得る。この設計選択は、CRのアクティブなラインカードの個数に影響するが、PoP内部のトラフィックの量には影響しない。Qは、トラフィック行列と、ANとPoP内部のCRとの間の接続性とに依存するから、KおよびQを計算するためには、反復的なプロセスが用いられる。プロセスは、Q=0およびK=P・Lを初期化することによって開始する。各反復では、トラフィック需要を満足させるPoP設定が見つかるまで、Qを1だけ増加させ、K=P−Qと設定する。このような設計は、Q≧L・P/2であるQに対して、見つけられ得ることに注意すべきである。各反復において、この方法は、次の2つのステップを実行する:
1.第1に、この方法は、上述したポートソート法を用いることにより、PoP設定を計算する。
【0074】
2.この方法は、次に、線形計画法LP1を用いて、極大のトラフィック負荷すなわちα(t)=1の下でPoP内部のトラフィックをサポートするために、Q個のポートで十分であるかどうかをチェックする。
【0075】
この方法の形式的な記述は、次のように、擬似コードとして与えられる:
【0076】
Q=−1;Found=FALSE
repeat 次を反復
Q=Q+1,K=L・P−Q
K個のポートを備えた各CRについて、PoP設定を計算
【0077】
【数15】
if(LP1が実行可能な解を有する)および
【0078】
【数16】
である場合は
then
Found=TRUE
とする
until
該反復は(found==TRUE)が成立するまでおこなう
Return PoP設定およびQを返す。
【0079】
次に、線形計画法LP1について、説明される。極大需要行列FmaxとPoP設計G(V,U,E)とを、ANであるu∈UとCRであるv∈Vとの間にある
【0080】
【数17】
個のリンクと共に、考察する。このLPは、以下の変数を用いる:
【0081】
ANであるu,u∈UとCRであるv,v∈Vとのすべての対に対し、
【0082】
【数18】
は、CRであるvを通過するuからuまでのトラフィックの量を示すものとする。更に、
【0083】
【数19】
は、経路{u,v,ハブ,v,u}に沿ってハブノードを通過するuからuまでのトラフィックの量を示すものとする。
【0084】
この定式化では、ANの任意の対に対し、両方向のトラフィック需要が同一であるとは仮定していないことに注意すべきである。
【0085】
後述する線形計画法LP1では、制約条件(2a)および(2b)により、Qが、ハブノードと各CRとの間の各方向のトラフィックに対する上限であることが確認される。制約条件(2c)は、このLPの解がすべてのソースと宛先との対の間のトラフィック需要を満たすことを保証するためのフロー制約条件である。制約条件(2d)および(2e)は、フローの割り当てがすべてのCRとANとの対の間の利用可能な容量に違反しないことを確認する容量制約条件である。
【0086】
LP1は、以下のように、次の7つの数式によって表される制約条件の下におけるQの最小化として、表現され得る:
【0087】
【数20】
【0088】
【数21】
【0089】
【数22】
【0090】
【数23】
【0091】
【数24】
【0092】
【数25】
【0093】
【数26】
【0094】
図4aを参照して、次に、PoP内部のトラフィックの問題について、詳細に考察がなされ得る。図3aを参照しながら既に述べたように、α(t)>5/8であるときには、CR−2である342とCR−3である344とが、接続されなければならない。図4aの別の構成では、各CR440、442、および444は、単一のリンクを用いて、ハブノード446と接続されている。すなわち、Q=1である。この追加的な接続性は、極小のQを用いて極大のトラフィック需要をサポートするのに十分である。図4bの表2は、ポートソート法によって計算されるものとして、ポートのアクティブ化しきい値を提示している。
【0095】
図4aに示されている構成は、CR−1である440とCR−2である442とを直接に接続し、ANであるuをハブノード446からCR−3である444にシフトすることによって、改善され得ることに着目すべきである。図5に示されているこの別の構成によると、極大トラフィック需要を継続して満たしながら、図4aのハブノード446を除去することが可能になる。
【0096】
自動設定法
所与のα(t)に対する一時的トラフィック需要を満たしながら、アクティブなコンポーネントの総数を最小化するための自動設定法が、ここで与えられる。この自動設定法は、また、PoP内部の接続性も考慮する。PoPの一時的トラフィック需要を説明する際に、追加的な外部リンクのアクティブ化が必要となることがあり得る。
【0097】
上述されているように、α(t)が
【0098】
【数27】
によって示されるソートされたベクトルによって与えられる特定のしきい値を超えるときに限り、新たなリンクがアクティブ化される。
【0099】
【数28】
によって表される2つの連続する値が与えられると、
【0100】
【数29】
によって表される所与の一時的負荷に対し、以下のプロセスが、自動設定を決定する。この方法は、より高いインデクスを備えたCRに付属するリンクをアクティブ化する前に、低いインデクスを備えたCRに接続されているリンクをアクティブ化することにより、入れ子型の特性を満足させることを目指している。ウェイトw=jは、インデクスjを備えたCRであるv∈Vに付属するすべてのリンクと関連し、ウェイトwは、ハブノードに付属するすべてのリンクと関連している。この方法では、追加的な外部リンクよりも、内部リンクを用いることの方が好まれる。結果的に、用いられる設定はw=1である。次に、CRとANとの間を流れる全ウェイトを最小化するために、線形計画法LP2が、用いられる。線形計画法LP2は、以下の新たな変数だけでなく、線形計画法LP1と同じ変数を有する。
【0101】
【数30】
によって表される各変数が、ANであるuとCRであるvとの間のトラフィックに対する上限として用いられ、他方で、x≧0が、CRであるv∈Vとハブノードとの間のトラフィックに対する上限である。
【0102】
線形計画法LP2は、以下の制約条件を有する:すなわち、制約条件(3a)、(3b)および(3c)により、ANであるuとCRであるvとの間のトラフィックの上限が、これら2つのノードの間の容量に違反することなく
【0103】
【数31】
によって表される値であることが確認される。制約条件(3d)、(3e)および(3f)は、CRとハブノードとの間における類似の条件を保証し、他方で、制約条件(3g)は、LP2がトラフィック要件を満たすことを保証する。結果として、
【0104】
【数32】
によって表される所与の負荷に対し、LP2によって出力される任意のANとCRとの対uおよびvの間のアクティブなリンクの個数は、
【0105】
【数33】
によって表される値であり、任意のCRであるv∈Vとハブノードとの間のアクティブなリンクの個数は、
【0106】
【数34】
によって表される値である。
【0107】
いくつかの小さな修正を伴う線形計画法LP2は、図5に示されている構成のためのポートの最適なアクティブ化しきい値を見つけるのに用いられ得るということを、思い出してほしい。結果として、
【0108】
【数35】
に対し、極小の個数のコンポーネントを用いて、一時的トラフィック需要を満たすことになる。
次の数式によって、LP2が示されている。
【0109】
【数36】
そして、次の7つの数式によって、これらの下で最小化が行われる制約条件が与えられている。
【0110】
【数37】
【0111】
【数38】
【0112】
【数39】
【0113】
【数40】
【0114】
【数41】
【0115】
【数42】
【0116】
【数43】
【0117】
シミュレーション結果
開示されている様々なエネルギ節約方法は、単一のPoP(以下では、PoPであるAと称される)に配備されると仮定される。シミュレーション設定において、PoPであるAは、4つの隣接するPoPと、10の隣接する地域ネットワークとを有する。これら14のAN(4つのPoP+10の地域ネットワーク)は、シミュレーション設定における生成されたすべてのトラフィックのソースおよび宛先であり、そのトラフィックすべてが、PoPであるAを通過すると仮定される。
【0118】
一般性を失うことなく、シミュレーションは、全体を通じ、1つのCR当たり1つのラインカードを仮定する。この仮定により、提示される結果の一般性に影響を与えることなく、議論が単純化される。PoPであるAの内部の各CRは、それぞれが1単位のトラフィックを運ぶP個(このシミュレーションでは、P=8、12、16である)のポートを有する(このセクションでは、Pはコアルータのポートの総数を表すことに注意すべきである)。これらのポートのいくつかは外部トラフィックを運び、他方で、残りのポートはPoPであるAの内部のCRの間のトラフィックを運ぶ。上述されたように、コアルータは、ハブノードを経由して相互に接続されていると仮定され、ハブノードも、やはりP個のポートを有すると仮定される。シミュレーションのために、それぞれのアクティブなポートの電力消費は0.5kWであると仮定され、他方で、CRシャーシの電力消費は、それが有するポートの個数に依存する。シミュレーションのために、8個、12個および16個のポートを備えたCRのための電力消費はそれぞれ4kW、6kWおよび8kWであると仮定されていた。評価対象である異なるアルゴリズムの絶対的な電力消費は異なる仮定の下で変動し得るが、それらの異なるアルゴリズムの相対的なパフォーマンスは類似することが予想されると強調することが重要である。
【0119】
以下の方法は、ソースと宛先との各対の間でのトラフィック需要を特定するために用いられる。PoPであるAによって扱われる極大トラフィック(入ってくる場合および出て行く場合)は固定されているが、次に3つのクラスに分割される。すなわち、固定された配分(シミュレーション設定では、それぞれ、30%、40%および30%)に従って、PoPとPoPとの間、PoPと地域ネットワークとの間、および地域ネットワークと地域ネットワークトラフィックとの間に分割される。各クラス内部のトラフィックは、更に、そのクラスに属するソースと宛先とのすべての対の間で等しく分割される。現実的なトラフィックパターンの生成を保証するため、当初の需要に、範囲[1/4,7/4]において一様に分散されているランダムな変数が、乗算される。シミュレーションでは、40個の異なるトラフィックのインスタンスが生成されるが、各インスタンスのピークトラフィック需要をサポートするために要求される容量は、60から80トラフィック単位までの間である。
【0120】
シミュレーション比較のための候補アルゴリズム
様々な候補アルゴリズムは、以下に基づいて、異なる:
(i)PoPの内部にあるANとCRとの間の接続性を決定するために用いられるアルゴリズム、および
(ii)自動設定プロセス。
【0121】
ランダムなスキーム:この場合、PoPであるA(ハブノードは除外する)のANからCRへのリンクは、複数のCRにわたって、一様にランダムに分散されている。より正確には、各リンクは、接続すべき複数のCRにわたり、利用可能なポートをランダムに選択する。所与のANからのリンクの総数は、そのピーク需要によって決定される。更に、PoP内部のトラフィックを最小化するランダムな設計が選択された。すなわち、すべてのトラフィックインスタンスに対して、ならびに、KおよびQのすべての値に対して、10個のランダムなPoP設計が生成された。内部リンクの極小の個数すなわち極小値であるQ個の内部リンクを備えた設計が、トラフィック需要を満足させながら、選択された。各ANに対して、そのリンクの部分集合が、そのトラフィックを運ぶために、一様でランダムに選択された。
【0122】
貪欲なスキーム:このスキームでは、ANとCRとの間の相互接続が、ランダムなスキームの場合と同一の態様で決定される。そして、貪欲なヒューリスティックが、CRをアクティブ化するために用いられる。各ステップにおいて、ウェイトが、すべてのCRと関連する計算対象であり、CRは、それが満たすことができるアクセスノードからの(まだ)配分されていないトラフィック需要の総量を表している。次に、最大のウェイトを備えたコアルータがアクティブ化され、このプロセスが、各アクセスノードのトラフィック需要が満たされるまで反復される。
【0123】
バンドルされたリンクPoP設計スキーム:このスキームは、複数の物理リンクを結合して単一の論理リンクにする一般的に用いられているバンドルされたリンク技術によって示唆されている。このスキームでは、アクセスノードのトラフィックが、少数の論理リンクにわたってバンドルされることにより、各アクセスノードが、高々2個のCRに物理的に接続される。外部リンクとコアルータとの個数に関して、下限が計算される。これらの計算では、内部トラフィックを無視し、すべてのCRポートが外部トラフィックのためだけに用いられると仮定する。
【0124】
シミュレーション結果は、他の候補解決策と比較して、ポートソート方法の著しい効果を示した。この方法は、P=12、16のときに特に魅力的であり、その場合、結果として生じるPoP構成は、ほぼ最適な電力消費を生じ、通常トラフィックの状況下では、どの可能性がある常にオンの戦略と比較しても、3倍を超える電力節約を提供する。
【0125】
シミュレーション結果から、バンドルされたリンクのスキームに基づくPoP設計は、他の候補アルゴリズムよりも、著しく多くの個数のアクティブなCRを必要とする。特に、極大のトラフィック需要をサポートするのに必要とされるPoPであるAにおけるCRの個数が、α=100%の場合にシミュレートされた。これは、PoPに配備される必要があるCRの個数である。この結果は、バンドルされたリンクのアプローチは、本発明によるポートソート方法によって必要とされるCRの個数の2倍を超える個数のCRを必要とするということを示した。これは、本発明の方法が、電力消費を削減するだけではなく、顕著な機器コストの節約による利点も生じさせることを証明している。
【0126】
従って、要約するならば、すべてのネットワークコンポーネントを常に動作状態に維持することになる現在の技術と比較して、本発明の実施形態による自動設定法は、需要と容量との比率の広範囲な値にわたり、3倍またはそれより多くの省エネルギを達成する。シミュレーションは、また、リンクのバンドリングに基づくネットワーク設計と比較する場合の著しい省エネルギ(5倍)に加え、このスキームによると、極大トラフィック需要をサポートするために必要となるコアルータの個数について、2倍(またはそれ以上)の削減も達成できることを示している。このような節約は、大量のPoP内部のトラフィックを生じるリンクバンドリングアプローチとは対照的に、PoP内部のトラフィックをほとんど完全に除去することによって、達成される。
【0127】
従って、以上で開示されているのは、一時的トラフィック需要がそのポートと関連するアクティブ化しきい値を超えるという条件の下でのみ所与のポートがアクティブ化されるように、1組のアクティブ化しきい値と、アクセスノードとコアルータとを接続するポートの順序付けとを決定するための方法およびシステムである。所与のラインカードは、そのポートの中の少なくとも1つがアクティブ化される場合に限り、アクティブ化される。同様に、所与のコアルータは、そのラインカードの中の1つがアクティブ化されるときに限り、アクティブ化される。デバイスがアクティブ化されていない場合には、そのデバイスはスリープモードにあることで、電力消費が最小化される。提供されているポートのソート方法は、外部(PoPからPoP)リンクと内部(PoP内部におけるCRからCR)リンクとの両方に対して、トラフィック需要を説明する。自動設定方法は、また、新たな需要を満たすために最小回数のアクティブ化および非アクティブ化だけが必要とされるように、ポートがアクティブ化される順序を決めるという効果も有する。この性質は、トポロジの変化によって生じるルーティングの不安定性を制限するために有益である。
【0128】
以上の議論では、当業者であれば、様々な上述された方法のステップは適切に設定されたネットワークプロセッサによって実行され得ることを容易に認識するであろうことに注意すべきである。本明細書では、いくつかの実施形態は、また、例えばデジタルデータ記憶媒体などのプログラム記憶装置にも及ぶことが意図されている。なお、プログラム記憶装置とは、マシンまたはコンピュータ可読であって、命令から構成されるマシン実行可能またはコンピュータ実行可能なプログラムをエンコードしており、前記命令が、上述された方法のステップの一部または全部を実行する。プログラム記憶装置は、すべてが、有体的かつ非一時的な記憶媒体であり、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、または光学的に可読なデジタルデータ記憶媒体であり得る。実施形態は、また、上述された方法の前記ステップを実行するようにプログラムされているネットワーク要素プロセッサにも及ぶことが意図されている。
【0129】
上述された本発明の実施形態に対しては、特許請求の範囲において定義されている本発明の範囲から逸脱することなく、多数の修正、改変および適応が行われ得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5