(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水中ホットカット方式の限定されない一又は複数の実施形態を
図1に示す。押出し機1で溶融混練され押出された熱可塑性樹脂は、水(循環冷却水)で満たされた水中ホットカット部3において、カッター2によりカットされるとともに、該水により冷却固化され、ペレット化される。この樹脂ペレットは、循環する水とともに水中ホットカット部3から脱水サイクロン4に送られ、循環冷却水とペレットとが分離される。分離されたペレットは、空気移送によってドライヤー/サイロ5に送られて乾燥され、ペレット貯蔵/包装部6において、貯蔵、保管等され、包装、袋頭詰め、箱詰め等がされる。一方、樹脂ペレットを分離した後の使用済循環冷却水は、循環冷却水タンク7に戻され、循環ポンプ8及び熱交換器9を通り、再び水中ホットカット部3に送られ循環使用される。
【0006】
ストランドカット方式の限定されない一又は複数の実施形態を
図2に示す。混練機21及び押出し機22で溶融混練され押出された熱可塑性樹脂23は、水(冷却水)で満たされた水槽24中で冷却され、冷却固化されたストランド25は水抜き装置26を経てペレタイザ27でカットされペレット化される。この樹脂ペレット30は、ふるい28を経てペレット貯蔵/包装部29において、貯蔵、保管等され、包装、袋頭詰め、箱詰め等がされる。
【0007】
上述したような水中ホットカット方式やストランドカット方式、或いは図示してないが混練機から押し出された樹脂をシャワー状の水で冷やしながらカッターによりカットされる水冷式のホットカット方式によるペレット造粒を、比較的やわらかい熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などの樹脂を用いて行う場合、下記のような、さまざまな問題が発生しうることが見出された。
【0008】
「熱交換器の汚れ」
水中ホットカット部3においてカッター2により樹脂押出物をペレットに切断する際に生じた切粉は、循環冷却水に混入する。この切粉は、一般に、循環冷却水の経路に設けたフィルターで補足除去される。しかし、完全に除去することは困難で、微細な樹脂粉(通常、粒径1〜500μm)はそのまま循環水と共に、循環冷却水系を循環する。そして、この微細樹脂粉は、循環冷却水系の内壁に付着したりして各種機器内を汚染する。場合によっては、時間の経過により、配管や、機器出口部、とりわけ熱交換器9を閉塞する。また、ステアリン酸カルシウム等の油脂系の練り込み剤が樹脂中に含まれている場合には特に、それらの油脂類がバインダーとなるため問題を生じやすい。更に、比較的柔らかい樹脂の場合は循環中のツインズを防ぐためチラー水等を用いて循環水中の温度を低く(10℃〜20℃等)しているため、油脂類がより固化し易い条件であるためより問題が深刻となる。これらの汚れや閉塞は、操業停止などの不都合な問題を生じる他、切粉が最終製品に混入して品質に悪影響を与えることがある。
【0009】
「押出機やカッター等の摩耗、切断不良(ツインズペレット発生)」
水中ホットカット部3において樹脂押出物をペレット化する際に、樹脂ペレットがカッター2で切られて水中に放たれた瞬間はまだ200℃近い温度であり表面に粘着性が生じている。そのため、カットが不良である場合、切られた前後のペレットが結合した粒子(ツインズペレットとも呼ばれる)が生じうる。また、切られたペレットがカッター2の刃に付着したりすることによりカッター2の切れが悪くなるとカッター2の刃とダイスの間隔を狭めるためにカッター2の刃をダイスに押し付けるように調整する。これにより、刃がダイスに擦り付けられて摩耗するため刃の交換頻度を早めたり、細かい刃こぼれ由来の金属片が循環冷却水に混入し、最悪の場合には最終製品の品質に影響する。このようにツインズペレットの発生やカッター2の刃の汚れは、生産量の低下及び設備維持費の増加を生じうる。
【0010】
「移送中のペレットが配管にストランドを形成」
樹脂ペレットが空気移送される配管内壁で擦れることで摩擦熱により樹脂ペレット表面が溶融し、皮状に配管内部に付着することがある。該配管としては、脱水サイクロン4とドライヤー/サイロ5とを連通する配管、ドライヤー/サイロ5とペレット貯蔵・包装部6とを連通する配管が挙げられる。皮状の付着物は、ストランド、撚糸状汚れ、ストリーマー、エンジェルヘアー、スネークスキンとも呼ばれる。これらが付着している配管から剥がれて樹脂ペレット中に混入したり、樹脂ペレットに付着してあたかもペレットからひげが生えているように見えたり蛇のウロコがついているように見え、製品の品質を低下させる。また、一つの製造ラインで複数のグレードの樹脂ペレットを製造している場合が多く、その場合に前に製造していた別グレード由来のストランドが後から製造したグレードに混入することで、製品の均一性に悪影響を与える。
【0011】
「ブロッキング(ブリッジング)の発生」
樹脂ペレットは軟化点の低さから室温付近でも樹脂同士が付着、すなわちブロッキングが発生しやすい。このブロッキングは、ペレット化、乾燥、梱包、成形に至るまで、あらゆる場面において発生し、取扱いが困難な状況にさせるが、とりわけ、ドライヤー/サイロ5やペレット貯蔵・包装部6又は29で発生しやすい。
【0012】
「乾燥温度の上昇や乾燥時間の延長」
樹脂ペレットが水分を保持しやすいと、乾燥温度の上昇や、乾燥時間の延長が必要となり、エネルギーコストの増大や、黄ばみ発生による品質低下が起り得る。
【0013】
「静電気の発生(帯電)」
製造されたペレットが帯電すると、付着による清掃が必要となり、生産量の低下、品質低下が起り得る。また、火災発生の危険性もあり得る。
【0014】
本開示は、一又は複数の実施形態において、上記課題の少なくとも1つの問題点が改善又は改良されたペレット造粒方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、一又は複数の実施形態において、押出し機からの押出された樹脂を、冷却水で冷却しながら又は冷却した後に切断する樹脂ペレット造粒工程を含む樹脂ペレットの製造方法であって、前記冷却水に、界面活性剤及びシリコーンを存在させることを含む製造方法に関する。
【0016】
本開示は、その他の一又は複数の実施形態において、押出し機からの押出された樹脂を、界面活性剤及びシリコーンを含有する水で冷却しながら又は冷却した後に切断してペレット化する工程を含む、樹脂ペレットの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、樹脂ペレットの表面に付着又は結合できるシリコーンの量を増やすことができる。また、本開示によれば、その他の一又は複数の実施形態において、上記課題の少なくとも1つの問題点が改善又は改良された樹脂ペレットの製造方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示は、水中ホットカット方式、ストランドカット方式、及び水冷式のホットカット方式などの冷却水を使用する樹脂ペレット造粒において、該冷却水に界面活性剤及びシリコーンを含有させると、シリコーンの樹脂ペレット表面への付着又は結合が促進され、樹脂ペレット造粒工程が改善されるという知見に基づく。
【0020】
本開示は、また、冷却水を再利用する循環冷却水を用いる水中ホットカット方式で樹脂ペレット造粒をする場合に、冷却水に界面活性剤及びシリコーンを含有させると、ブロッキングの抑制のみならず、空気移送におけるストランドの抑制、熱交換器の汚れ抑制、ツインズペレットの発生抑制、乾燥工程の低温化及び時間短縮化、帯電抑制などが達成される可能性があるという知見に基づく。
【0021】
従来の樹脂ペレットの製造方法に伴う上記“熱交換器の汚れ”から“静電気の発生(帯電)”の各課題は、樹脂ペレットに添加剤を練り込むことによって解決が試みられていた。しかしながら、添加剤の練り込み不均一による樹脂ペレットの品質低下の問題や添加剤の高濃度添加にともなう経済的な問題等があった。本開示は、一又は複数の実施形態において、それらの諸問題を解決しうるだけでなく、少ない添加剤で効率的に上記課題を改善するため経済的な効果がある点、また、該添加剤を冷却水に添加することで上記課題を解決しうるため従来法に比べて課題の解決が簡易である点で実用的利用価値は頗る高い。
【0022】
すなわち、本開示は、一態様において、押出し機からの押出された樹脂を、冷却水で冷却しながら又は冷却した後に切断する樹脂ペレット造粒工程を含む樹脂ペレットの製造方法であって、前記冷却水に、界面活性剤及びシリコーンを存在させることを含む製造方法に関する。また、本開示は、その他の態様において、押出し機からの押出された樹脂を、界面活性剤及びシリコーンを含有する水で冷却しながら又は冷却した後に切断してペレット化する工程を含む樹脂ペレットの製造方法に関する。
【0023】
[押出し機からの押出された樹脂を、冷却水で冷却しながら又は冷却した後に切断する樹脂ペレット造粒工程]
本開示において、「押出し機からの押出された樹脂を、冷却水で冷却しながら又は冷却した後に切断する樹脂ペレット造粒工程」とは、冷却水を用いる樹脂ペレット造粒工程であって、樹脂ペレット造粒工程で用いられるカット方式としては、一又は複数の実施形態において、水中ホットカット方式、ストランドカット方式、又は、水冷式のホットカット方式が挙げられる。さらに、溶融樹脂の冷却に冷却水を使用する方式の樹脂ペレット造粒工程であれば、本開示にかかる製造方法を適用できる。
【0024】
[水中ホットカット方式]
水中ホットカット方式としては、循環冷却水を用いる水中ホットカット方式でもよく、循環冷却水を用いない(循環しない冷却水を用いる)水中ホットカット方式でもよい。より多くの効果が発揮される可能性がある点からは、本開示に係る樹脂ペレットの製造方法は、一又は複数の実施形態において、循環冷却水を用いる水中ホットカット方式で行われることが好ましい。本開示において、「循環冷却水を用いる水中ホットカット方式」とは、一又は複数の実施形態において、冷却水を再利用する循環冷却水を用いる水中ホットカット方式をいう。「循環冷却水を用いる水中ホットカット方式」の限定されない一又は複数の実施形態は、上述した
図1の概略図で説明されるものである。
【0025】
[ストランドカット方式]
ストランドカット方式も、循環冷却水を用いるストランドカット方式でもよく、循環冷却水を用いないストランドカット方式でもよい。ストランドカット方式の限定されない一又は複数の実施形態は、上述した
図2の概略図で説明されるものである。
【0026】
[水冷式のホットカット方式]
水冷式のホットカット方式の場合、一又は複数の実施形態において、冷却水を散布して冷却しながら溶融樹脂をカットする方式のものに、本開示にかかる製造方法を適用できる。
【0027】
[樹脂]
本開示に係る樹脂ペレットの製造方法における樹脂は、一又は複数の実施形態において、熱可塑性樹脂である。上述した“熱交換器の汚れ”から“静電気の発生(帯電)”の各課題の少なくとも1つを解決する点、とりわけストランド抑制効果がより発揮される点からは、該熱可塑性樹脂は、比較的やわらかい熱可塑性樹脂が好ましい。比較的やわらかい熱可塑性樹脂は、一又は複数の実施経過において、引張弾性率が1500MPa以下であって、好ましくは1000MPa以下、より好ましくは900MPa以下、更に好ましくは500MPa以下、更により好ましくは400MPa以下、更により好ましくは300MPa以下の樹脂が挙げられる。比較的やわらかい熱可塑性樹脂は、一又は複数の実施経過において、引張弾性率が0.1MPa以上、1MPa以上、3MPa以上、又は5MPa以上の樹脂が挙げられる。本開示における引張弾性率は、JIS K7127:1999に準拠して測定されるものをいう。
【0028】
また、本開示に係る樹脂ペレットの製造方法における樹脂としては、一又は複数の実施形態において、下記(i)〜(v)が挙げられる。これらの樹脂は、特開2013−189508に開示されており、該文献は参照により本開示に取り込まれる。これらの樹脂は、一又は複数の実施形態において、上述の引張弾性率を満たす。本開示はこれらの樹脂に限定されない。
(i)エチレンと少なくとも一種類の炭素原子数3〜20のα−オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・α−オレフィン共重合体
(ii)プロピレンと少なくとも一種類の炭素原子数2、4〜20のα−オレフィンとを共重合させて得られるプロピレン・α−オレフィン共重合体
(iii)酢酸ビニル含量が5〜40重量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(iv)エチレンと少なくとも一種類のエステル類を共重合させて得られるエチレン・エステル共重合体
(v)スチレンと1,3−ブダジエンとの共重合体(スチレン・ブタジエンゴム)
【0029】
[界面活性剤]
本開示に係る樹脂ペレットの製造方法における界面活性剤は、一又は複数の実施形態において、アニオン系、カチオン系、非イオン系などのいずれであってもよい。
アニオン系のものとしては、高級アルコール若しくはアルキルエーテルの硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル、又はアルキルベンゼンスルホン酸塩などが挙げられる。
カチオン系のものとしては、高級アルキルアミンの無機酸・有機酸塩、又は4級アンモニウム塩などが挙げられる。
非イオン系のものとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、又はグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
界面活性剤としては、樹脂ペレット造粒工程の改善の観点から、非イオン系界面活性剤が好ましい。
【0030】
[シリコーン]
本開示に係る樹脂ペレットの製造方法におけるシリコーンは、一又は複数の実施形態において、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリシロキサン類を挙げることができる。式(1)の繰り返しは同構造式の繰り返しでもよく、異種構造式の繰り返し(共重合)でもよい。
【0032】
式(1)中、R
1及びR
2は、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、又はこれらの基の水素原子がハロゲン原子等により置換された基を示す。なお、R
1及びR
2は、いずれも一部が水酸基やアルコキシ基で置換されていてもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。アリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基等を挙げることができる。ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等を挙げることができる。式(1)で表される繰り返し単位を有するポリシロキサン類のなかでも、アルキルポリシロキサンが好ましく、ジメチルポリシロキサンがより好ましい。また、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリシロキサン類は、末端メチル基の一部を有機官能基で置換した変性タイプであってもよい。変性タイプとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、アミノ/ポリエーテル変性などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、あるいは2種以上組み合わせてもよい。
本開示に係る樹脂ペレットの製造方法におけるシリコーンは、一又は複数の実施形態において、下記式で表されるものが挙げられる。なお、下記式における有機基は、変性により導入された有機官能基を示す。
【0034】
[界面活性剤とシリコーンの比率]
本開示は、その他の態様において、ブロッキング抑制効果が、樹脂ペレット表面に付着又は結合したシリコーンの量に依存するという知見に基づく。本開示において「樹脂ペレット表面に付着又は結合した」とは、一又は複数の実施形態において、樹脂ペレットの表面の一部又は全部がシリコーンに覆われていることをいう。樹脂ペレット表面に付着又は結合したシリコーンの量は、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法により測定でき、具体的には実施例の方法で測定できる。
【0035】
本開示に係る樹脂ペレットの製造方法における、冷却水に存在させる界面活性剤とシリコーンとの重量比(界面活性剤/シリコーン)は、一又は複数の実施形態において、樹脂ペレット表面にシリコーンを効率よく付着又は結合させる観点から、0.01以上0.80以下が好ましく、より好ましくは0.02以上0.45以下、さらに好ましくは0.03以上0.34以下、さらにより好ましくは0.04以上0.25以下、さらにより好ましくは0.05以上0.20以下である。
【0036】
本開示に係る樹脂ペレットの製造方法の一又は複数の実施形態において、界面活性剤とシリコーンは、別々に、或いは、一緒に、上述の重量比で冷却水に添加される。添加場所は特に限定されず、一又は複数の実施形態において、
図1における循環冷却水のラインのどこでもよく、例えば、循環冷却水タンク7に添加することが挙げられる。
【0037】
[添加方法・濃度制御]
冷却水中のシリコーン濃度は、一又は複数の実施形態において、樹脂ペレット表面にシリコーンを効率よく付着又は結合させる観点から、5ppm以上が好ましく、より好ましくは10ppm以上、更に好ましくは15ppm以上である。また、冷却水中のシリコーン濃度は、一又は複数の実施形態において、3000ppm以下、2000ppm以下、又は、1500ppm以下である。冷却水中のシリコーン濃度は、ICP発光分光分析法により測定することができるが、現場で簡易的に濃度を把握する場合は、濁度法を採用することが可能なケースもある。
【0038】
本開示に係る樹脂ペレットの製造方法における、原料ペレットの調製方法及び混練方法は、樹脂に応じて、滑剤、安定剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤など適宜配合できる。また、循環冷却水の流速制御や乾燥条件等も当業者が適宜設定できる。
【0039】
本開示は、以下の一又は複数の実施形態に関しうる;
[1] 押出し機からの押出された樹脂を、冷却水で冷却しながら又は冷却した後に切断する樹脂ペレット造粒工程を含む樹脂ペレットの製造方法であって、前記冷却水に、界面活性剤及びシリコーンを存在させることを含む、製造方法。
[2] 前記冷却水における界面活性剤とシリコーンとの重量比(界面活性剤/シリコーン)が、0.01以上0.80以下である、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記樹脂ペレットの樹脂は、引張弾性率が1500MPa以下のオレフィン系樹脂である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4] 樹脂ペレット造粒工程が、水中ホットカット方式、ストランドカット方式、又は、水冷式のホットカット方式を用いた工程である、[1]から[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5] 樹脂ペレット造粒工程が、循環冷却水を用いる水中ホットカット方式である、[1]から[3]のいずれかに記載の製造方法。
[6] 押出し機からの押出された樹脂を、界面活性剤及びシリコーンを含有する水で冷却しながら又は冷却した後に切断してペレット化する工程を含む、樹脂ペレットの製造方法。
[7] 前記水における界面活性剤とシリコーンとの重量比(界面活性剤/シリコーン)が、0.01以上0.80以下である、[6]に記載の製造方法。
[8] 前記樹脂は、引張弾性率が1500MPa以下のオレフィン系樹脂である、[6]又は[7]に記載の製造方法。
【0040】
以下の実施例、比較例及び参考例に基づいて本開示を説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0041】
[ラボ試験]
下記表1に示すような冷却水(実施例1〜13、比較例1〜7、参考例1〜4)を調製し、下記条件でペレットを処理した。その後、下記条件でブロッキング防止効果及びストランド防止効果を確認した。その結果を表1に示す。なお、表1で使用した薬剤等は以下のとおりである。
【0042】
界面活性剤a:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系界面活性剤
界面活性剤b:ソルビタン脂肪酸エステル系界面活性剤
シリコーンα:ジメチルポリシロキサン
シリコーンβ:メチルフェニルポリシロキサン
ペレットA:エチレン・酢酸ビニル共重合体
ペレットB:ポリエチレン・α-オレフィン共重合体
ペレットC:ポリエチレン・α-オレフィン共重合体
ペレットD:ポリエチレン・α-オレフィン共重合体
ペレットE:ポリプロピレン・α-オレフィン共重合体
ペレットF:ポリプロピレン・α-オレフィン共重合体
ペレットG:含スチレン共重合体
ペレットH:エチレン・酢酸ビニル共重合体
【0043】
〔ペレットの薬剤処理〕
1 ペレット100gを、界面活性剤、シリコーンを含む冷却水(純水)500mlに浸漬させる。
2 1Lの分液ロートを用いて、EYELA製分液ロートシェーカーMMV−1000Wにて、250rpm×1分間振とうを行う。
3 あらかじめ、120メッシュのプラスチックワイヤーをセットした遠心脱水機(三理化学器械製作所製)にペレットを含む薬液を流し込み、1500rpm×1分間遠心脱水を行う。
4 脱水されたペレットは25℃にて12時間乾燥させる。
【0044】
〔ブロッキング抑制効果確認〕
1 卓上で薬剤処理されたペレット50gを金属製円筒内に入れた後、SUS製円柱型ブロック(700g)をペレットの上に載せることにより荷重をかける。
2 40℃、12時間静置した後、金属製円筒およびSUS製ブロックを取り除き、ペレットのプロッキング具合を目視観察。下記評価基準で評価。
評価基準
○:金属製円筒を取り除くと、ペレットはただちに崩れた。
△:金属製円筒を取り除くと、ペレットは崩れたがブロックが少し存在。
×:金属製円筒を取り除いても、ペレットは円筒型ブロックの形状を維持。
【0045】
〔ストランド抑制効果確認〕
1 卓上で薬剤処理されたペレット50gを500ml容量の三角フラスコに入れる。
2 三角フラスコをインキュベーターシェーカー(サンキ精機製)にセット後、40℃にて回転振とう(160rpm×24時間)させた後、三角フラスコ内壁への付着物量を目視観察。下記評価基準で評価。
評価基準
○:三角フラスコ内部にペレット由来の付着物が認められない。
△:三角フラスコ内部にペレット由来の付着物が僅かに認められる。
×:三角フラスコ内部にペレット由来の付着物が多く認められる。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示す通り、界面活性剤及びシリコーンを含有する冷却水で処理することにより、ペレットのブロッキング及びストランドが抑制された。
【0048】
[実機を使用した試験]
水中ホットカット方式のペレット製造ラインにてペレットA及びEを造粒する際、循環冷却水に表2に示す濃度で界面活性剤とシリコーンを添加した(それぞれ実施例14及び15)。実機におけるツインズペレットの発生抑制と熱交換器の汚れ抑制について、下記条件で評価した。界面活性剤、シリコーン、及びペレットA及びEは上述と同じものである。実機として、樹脂製造工場の樹脂ペレット造粒工程を使用した。
【0049】
〔ツインズペレット発生抑制効果確認〕
評価基準
○:脱水サイクロン後のふるいが詰まらない。あるいは本技術適用前に比べて大幅な改善(詰まり頻度低下)が認められた。
×:脱水サイクロン後のふるいが詰まる。1時間に一回のツインズ破壊の作業等が必須な状況。
【0050】
〔熱交換器汚れ抑制効果確認〕
本技術適用前後でストレーナーに詰まった異物をIR(赤外分光光度計)にて分析し、樹脂由来成分の有無を確認した。
評価基準
○:熱交換器の汚れ具合が本技術適用前に比べて大幅な改善が認められた。
また、既に付着した熱交換器からの汚れの剥離を確認。
×:熱交換器に汚れの付着が認められる。
また、既に付着した熱交換器から汚れの剥離が確認されず。
【0051】
【表2】
【0052】
表2に示す通り、界面活性剤及びシリコーンを含有する循環冷却水を使用することで、ツインズペレットの発生及び熱交換器の汚れを抑制できた。実施例14で得られたペレットについて、ラボにてブロッキング防止効果、ストランド防止効果を確認したところ、いずれの結果も「○」であった。
【0053】
[実機を使用した試験2]
ストランドカット方式及び水冷式ホットカット方式を用いるペレット製造ライン(実機)によりそれぞれペレットG及びHを造粒する際、冷却水に表3に示す濃度で界面活性剤とシリコーンを添加した(それぞれ実施例16及び実施例17)。実機におけるブロッキングの発生抑制について、上述と同様の条件で評価した。その結果を下記表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
表3に示す通り、界面活性剤及びシリコーンを含有する冷却水を使用することで、ストランドカット方式及び水冷式ホットカット方式を用いる実機のペレット造粒工程においても、ブロッキング防止効果が、「○」の結果となった。
一又は複数の実施形態において、押出し機からの押出された樹脂を、冷却水で冷却しながら又は冷却した後に切断する樹脂ペレットの製造方法であって、前記冷却水に、界面活性剤及びシリコーンを存在させることを含む製造方法に関する。また、その他の一又は複数の実施形態において、押出し機からの押出された樹脂を、界面活性剤及びシリコーンを含有する水で冷却しながら又は冷却した後に切断してペレット化する工程を含む樹脂ペレットの製造方法に関する。