特許第5914917号(P5914917)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5914917
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】木材管理システム及び木材管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20160422BHJP
【FI】
   G06Q50/02
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-94771(P2015-94771)
(22)【出願日】2015年5月7日
【審査請求日】2015年5月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515122387
【氏名又は名称】株式会社西村
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100166774
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】西村 公秀
【審査官】 青柳 光代
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−137042(JP,A)
【文献】 特開2006−130853(JP,A)
【文献】 特開2007−026415(JP,A)
【文献】 特開2011−186587(JP,A)
【文献】 特開2003−316963(JP,A)
【文献】 本郷 孔洋,続「環境ビジネス」があしたを創る,株式会社東峰書房 鏡渕 敬,2013年 5月 1日,第1版,P.12-18
【文献】 二ノ宮 秀盛,バッチ釜による樹種別パルプ生産,紙パ技協誌4月号,宮内 雅浩 紙パルプ技術協会,2011年 4月 1日,第65巻,P.20〜23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質バイオマスの由来に応じて木質バイオマス発電の買取価格が定まる場合において、木材のトレーサビリティを管理する木材管理システムであって、
木材に取り付けられ、記憶部を具備する無線タグと、
前記無線タグの記憶部に記憶された情報を収集する管理装置と
を備え、
木材が供給場所から搬出され、チップ加工された後、木質バイオマスとして購入先へ出荷される過程において、前記無線タグが、当該無線タグが取り付けられている木材の前記由来に対応する種別を含む木材情報、及び前記種別の証明書の発行の有無に関する証明書情報を、前記記憶部に記憶するように構成され、
前記無線タグが、
前記チップ加工された木材について、所定の乾燥期間が経過したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって所定の乾燥期間が経過したと判定された場合、前記チップ加工された木材が乾燥済であることを示す乾燥済情報を前記管理装置へ通知する通知手段と
を具備し、
前記管理装置が、
前記通知手段によって通知された乾燥済情報に示される乾燥済の木材について、前記記憶部に記憶された木材情報及び証明書情報を前記無線タグから取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された木材情報及び証明書情報に基づいて、前記チップ加工された木材の種別を確定する確定手段と、
前記確定手段によって確定された前記チップ加工された木材の種別を含む当該木材の履歴管理情報を出力する出力手段と
を具備する、
木材管理システム。
【請求項2】
前記無線タグが、前記チップ加工の際に、外部の装置から受け取った乾燥開始日時及び乾燥期間を前記記憶部に記憶するように構成され、
前記判定手段が、前記記憶部に記憶されている乾燥開始日時から経過した期間が、前記記憶部に記憶されている乾燥期間に達したときに、所定の乾燥期間が経過したと判定するように構成されている、
請求項1に記載の木材管理システム。
【請求項3】
前記無線タグが、前記種別の証明書の発行の有無に関する証明書情報に加えて、前記無線タグが取り付けられている木材が分別管理されていることの証明書の発行の有無に関する証明書情報を、前記記憶部に記憶するように構成されている、
請求項1又は2に記載の木材管理システム。
【請求項4】
前記管理装置が、
前記種別と前記買取価格との対応を示す対応情報を記憶する対応情報記憶部と、
前記取得手段によって取得された木材情報及び証明書情報並びに前記対応情報記憶部に記憶されている対応情報に基づいて、前記チップ加工された木材に係る買取価格を決定する決定手段と
をさらに具備し、
前記出力手段が、前記決定手段により決定された買取価格を含む前記チップ加工された木材の履歴管理情報を出力するように構成されている、
請求項1乃至3の何れかに記載の木材管理システム。
【請求項5】
前記対応情報記憶部が、前記種別と前記買取価格と前記購入先の発電規模との対応を示す対応情報を記憶しており、
前記決定手段が、購入先が確定した後、前記取得された木材情報及び証明書情報、前記対応情報、並びに当該購入先の発電規模に基づいて、前記チップ加工された木材に係る前記買取価格を決定するように構成されている、
請求項に記載の木材管理システム。
【請求項6】
前記出力手段が、
発行された前記証明書に関する発行済み証明書情報を出力するように構成されている、
請求項1乃至の何れかに記載の木材管理システム。
【請求項7】
木質バイオマスの由来に応じて木質バイオマス発電の買取価格が定まる場合において、木材のトレーサビリティを管理する木材管理方法であって、
記憶部を具備し、木材に取り付けられる無線タグが、木材が供給場所から搬出され、チップ加工された後、木質バイオマスとして購入先へ出荷される過程において、当該無線タグが取り付けられている木材の前記由来に対応する種別を含む木材情報、及び前記種別の証明書の発行の有無に関する証明書情報を、前記記憶部に記憶し、
前記無線タグが、
前記チップ加工された木材について、所定の乾燥期間が経過したか否かを判定するステップと、
所定の乾燥期間が経過したと判定した場合、前記チップ加工された木材が乾燥済であることを示す乾燥済情報を、前記無線タグの記憶部に記憶された情報を収集する管理装置へ通知するステップと
を実行し、
記管理装置が、
前記無線タグから通知された乾燥済情報に示される乾燥済の木材について、前記記憶部に記憶された木材情報及び証明書情報を前記無線タグから取得するステップと、
取得した木材情報及び証明書情報に基づいて、前記チップ加工された木材の種別を確定するステップと、
確定した前記チップ加工された木材の種別を含む当該木材の履歴管理情報を出力するステップと
を実行する、
木材管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材のトレーサビリティを管理する木材管理システム及び木材管理方法に関し、特に、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)に対応することが可能な木材管理システム及び木材管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食料品等と同様に、木材についてもトレーサビリティの重要性が指摘されるようになっている。そのため、木材のトレーサビリティを管理するためのシステムが種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、木材に対して施された各種処理の履歴を蓄積した木材履歴データと、各種処理を施した後の木材の端面に現れる端面紋様を記録した端面紋様データとを関連付けて記憶する木材のトレーサビリティシステムが開示されている。このトレーサビリティシステムの場合、現物の木材の端面に現れている端面紋様と記憶している端面紋様データとを照合することによって、現物の木材に施された各種処理の履歴を追跡することが可能になる。
【0004】
また、特許文献2には、建築物の施主又は工務店等がシステムのユーザとなることを考慮して、木材に関する情報のうち、施主又は工務店等にとって特に重要となる伐採日、葉枯し期間(葉枯し乾燥期間)、及び熟成期間(桟積み天然乾燥期間)等の各情報を管理する木材履歴管理システムが開示されている。この木材履歴管理システムによれば、優良な
木材の判断基準ともなる伐採日、葉枯し期間及び熟成期間が真正且つ正確であることを確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−149349号公報
【特許文献2】特開2008−301783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一の態様の木材管理システムは、木質バイオマスの由来に応じて木質バイオマス発電の買取価格が定まる場合において、木材のトレーサビリティを管理する木材管理システムであって、木材に取り付けられ、記憶部を具備する無線タグと、前記無線タグの記憶部に記憶された情報を収集する管理装置とを備え、木材が供給場所から搬出され、チップ加工された後、木質バイオマスとして購入先へ出荷される過程において、前記無線タグが、当該無線タグが取り付けられている木材の前記由来に対応する種別を含む木材情報、及び前記種別の証明書の発行の有無に関する証明書情報を、前記記憶部に記憶するように構成され、前記無線タグが、前記チップ加工された木材について、所定の乾燥期間が経過したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって所定の乾燥期間が経過したと判定された場合、前記チップ加工された木材が乾燥済であることを示す乾燥済情報を前記管理装置へ通知する通知手段とを具備し、前記管理装置が、前記通知手段によって通知された乾燥済情報に示される乾燥済の木材について、前記記憶部に記憶された木材情報及び証明書情報を前記無線タグから取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された木材情報及び証明書情報に基づいて、前記チップ加工された木材の種別を確定する確定手段と、前記確定手段によって確定された前記チップ加工された木材の種別を含む当該木材の履歴管理情報を出力する出力手段とを具備する。この場合に、前記無線タグが、前記チップ加工の際に、外部の装置から受け取った乾燥開始日時及び乾燥期間を前記記憶部に記憶するように構成され、前記判定手段が、前記記憶部に記憶されている乾燥開始日時から経過した期間が、前記記憶部に記憶されている乾燥期間に達したときに、所定の乾燥期間が経過したと判定するように構成されていてもよい。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、木材のトレーサビリティを管理することができ、しかもFITに対応することができる木材管理システム及び木材管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様の木材管理システムは、木質バイオマスの由来に応じて木質バイオマス発電の買取価格が定まる場合において、木材のトレーサビリティを管理する木材管理システムであって、木材に取り付けられ、記憶部を具備する無線タグと、前記無線タグの記憶部に記憶された情報を収集する管理装置とを備え、木材が供給場所から搬出され、木質バイオマスとして購入先へ出荷される過程において、前記無線タグが、当該無線タグが取り付けられている木材の前記由来に対応する種別を含む木材情報、及び前記種別の証明書の発行の有無に関する証明書情報を、前記記憶部に記憶するように構成され、前記管理装置が、前記記憶部に記憶された木材情報及び証明書情報を前記無線タグから取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された木材情報及び証明書情報に基づいて、前記木材の種別を確定する確定手段と、前記確定手段によって確定された前記木材の種別を含む当該木材の履歴管理情報を出力する出力手段とを具備する。
【0009】
前記態様において、前記無線タグが、前記種別の証明書の発行の有無に関する証明書情報に加えて、前記無線タグが取り付けられている木材が分別管理されていることの証明書の発行の有無に関する証明書情報を、前記記憶部に記憶するように構成されていてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記管理装置が、前記種別と前記買取価格との対応を示す対応情報を記憶する対応情報記憶部と、前記取得手段によって取得された木材情報及び証明書情報並びに前記対応情報記憶部に記憶されている対応情報に基づいて、前記チップ加工された木材に係る買取価格を決定する決定手段とをさらに具備し、前記出力手段が、前記決定手段により決定された買取価格を含む前記チップ加工された木材の履歴管理情報を出力するように構成されていてもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記対応情報記憶部が、前記種別と前記買取価格と前記購入先の発電規模との対応を示す対応情報を記憶しており、前記決定手段が、購入先が確定した後、前記取得された木材情報及び証明書情報、前記対応情報、並びに当該購入先の発電規模に基づいて、前記チップ加工された木材に係る前記買取価格を決定するように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記態様において、前記出力手段が、発行された前記証明書に関する発行済み証明書情報を出力するように構成されていてもよい。
【0013】
本発明の一の態様の木材管理方法は、木質バイオマスの由来に応じて木質バイオマス発電の買取価格が定まる場合において、木材のトレーサビリティを管理する木材管理方法であって、記憶部を具備し、木材に取り付けられる無線タグが、木材が供給場所から搬出され、チップ加工された後、木質バイオマスとして購入先へ出荷される過程において、当該無線タグが取り付けられている木材の前記由来に対応する種別を含む木材情報、及び前記種別の証明書の発行の有無に関する証明書情報を、前記記憶部に記憶し、前記無線タグが、前記チップ加工された木材について、所定の乾燥期間が経過したか否かを判定するステップと、所定の乾燥期間が経過したと判定した場合、前記チップ加工された木材が乾燥済であることを示す乾燥済情報を、前記無線タグの記憶部に記憶された情報を収集する管理装置へ通知するステップとを実行し、前記管理装置が、前記無線タグから通知された乾燥済情報に示される乾燥済の木材について、前記記憶部に記憶された木材情報及び証明書情報を前記無線タグから取得するステップと、取得した木材情報及び証明書情報に基づいて、前記チップ加工された木材の種別を確定するステップと、確定した前記チップ加工された木材の種別を含む当該木材の履歴管理情報を出力するステップとを実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る木材管理システム及び木材管理方法によれば、FITの運用下において、木材の適切な管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態の木材管理システムの構成要素を示すブロック図。
図2】本発明の実施の形態の管理サーバの構成を示すブロック図。
図3】木材情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
図4】運搬情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
図5】加工情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
図6】無線タグ情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
図7】森林情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
図8】買取価格テーブルの内容の一例を示す図。
図9】本発明の実施の形態の無線ICタグの構成を示すブロック図。
図10】FIT価格確定処理の手順を示すフローチャート。
図11】各情報端末の表示部に表示される管理画面の一例を示す図。
図12】購入者端末又は電力会社端末の表示部に表示されるレポート画面の一例を示す図。
図13】購入者端末又は電力会社端末の表示部に表示される発行済み証明書画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
[木材管理システムの構成]
図1は、本実施の形態の木材管理システムの構成要素を示すブロック図である。本実施の形態の木材管理システムは、各種情報の管理を行う管理サーバ1と、木材に取り付けられる無線ICタグ5とを備えている。図1に示すとおり、管理サーバ1は、インターネット等の通信ネットワーク100と通信可能に接続されている。この管理サーバ1の他にも、通信ネットワーク100には、木材の伐採を行う複数の林業事業体のそれぞれにて用いられる林業事業体端末2,2,…、木材をチップ化する複数の加工業者のそれぞれにて用いられる加工業者端末3,3,…、及び木材の複数の購入者(バイオマス発電事業者)のそれぞれにて用いられる購入者端末4,4,…が通信可能に接続されている。管理サーバ1と、これらの林業事業体端末2,2,…、加工業者端末3,3,…、及び購入者端末4,4,…とは、通信ネットワーク100を介してデータ通信を行うことができる。なお、林業事業体端末2,2,…、加工業者端末3,3,…、及び購入者端末4,4,…としては、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、及びスマートフォン等の通信機能を有する各種の情報端末を用いることができる。
【0018】
無線ICタグ5は、木材の伐採地、製材工場、及び建設現場等の木材の供給場所にて各木材に取り付けられ、その木材と共に、木材の加工施設等の各所に移動する。この無線ICタグ5に対して、各所に配設されたリーダライタによって情報の読み書きが実行される。なお、一本の木材に対して1つの無線ICタグ5が取り付けられてもよく、複数本の木材に対して1つの無線ICタグ5が取り付けられてもよい。本実施の形態では、木材を運搬する運搬車両単位で無線ICタグ5が取り付けられるものとする。すなわち、1台の運搬車両に積載される複数本の木材に対して1つの無線ICタグ5が取り付けられることになる。取り付けの態様は特に限定されず、例えば、木材に巻き付けられたロープ等に無線ICタグ5を取り付けたり、特定の木材に無線ICタグ5を埋設したりする等、様々な態様が想定される。
【0019】
なお、通信ネットワーク100には、木質バイオマス発電による電力を買い取る複数の電力会社のそれぞれにて用いられる電力会社端末6,6…も通信可能に接続されている。後述するように、通信ネットワーク100を介して、管理サーバ1から電力会社端末6,6,…へ所定の情報が送信される。
【0020】
[管理サーバの構成]
以下、上述した管理サーバ1の詳細な構成について説明する。図2は、本実施の形態の管理サーバ1の構成を示すブロック図である。図2に示すとおり、コンピュータ(管理サーバ)1は、CPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、通信インタフェース(I/F)14、ディスプレイ15、及び入力部16を備えており、これらの各要素はバス17によって接続されている。
【0021】
CPU10は、RAM12にロードされた各種のコンピュータプログラムを実行する。これにより、コンピュータ1が本実施の形態の管理サーバとして機能することになる。
【0022】
ROM11は、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU10にて実行されるコンピュータプログラム及びその実行の際に用いられるデータ等が記憶されている。
【0023】
RAM12は、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。このRAM12は、ハードディスク13に記憶されている各種のコンピュータプログラムの読み出し等に用いられる。また、CPU10が各種のコンピュータプログラムを実行するときに、CPU10の作業領域としても利用される。
【0024】
ハードディスク13には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU10に実行させるための各種のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等が予めインストールされている。また、このハードディスク13には、木材に関する基本的な情報である木材情報が格納される木材情報データベース(DB)13A、木材の運搬に関する運搬情報が格納される運搬情報データベース(DB)13B、木材の加工に関する加工情報が格納される加工情報データベース(DB)13C、無線ICタグ5と各種の情報とを対応付ける無線タグ情報が格納される無線タグ情報データベース(DB)13D、木材の供給場所の1つである森林に関する森林情報が格納される森林情報データベース(DB)13E、及び木材の種別と木質バイオマス発電の買取価格との対応が示される買取価格テーブル13Fが設けられている。これらの各データベース及びテーブルの詳細については後述する。
【0025】
さらに、ハードディスク13には、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、各種のコンピュータプログラムが当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0026】
通信I/F14は、通信ネットワーク100等の各通信ネットワークを介して管理サーバ1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。管理サーバ1は、この通信I/F14を介して、林業事業体端末2,2,…、加工業者端末3,3,…、購入者端末4,4,…、及び電力会社端末6,6,…との間で各種のデータの送受信を行う。
【0027】
ディスプレイ15は、LCD等で構成される出力装置であり、CPU10から与えられた画像データに応じた映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。また、入力部16は、キーボード及びマウスで構成された入力装置である。ユーザが入力部16を使用することによって、管理サーバ1に対する入力を行うことができる。
【0028】
以下、ハードディスク13に設けられている各データベース及びテーブルの詳細について説明する。
[木材情報DB13A]
図3は、木材情報DB13Aのレイアウトの一例を示す図である。図3に示すとおり、木材情報DB13Aは、木材を識別する木材IDが格納される木材IDフィールド101、木材の種別を示す符号が格納される種別フィールド102、木材の単価及び在庫量がそれぞれ格納される単価フィールド103及び在庫量フィールド104、単価に在庫量を乗じて得られる在庫金額が格納される在庫金額フィールド105、木材に取り付けられた無線ICタグ5を識別するタグIDが格納されるタグIDフィールド106、木材の産地、樹種、及び林齢がそれぞれ格納される産地フィールド107、樹種フィールド108及び林齢フィールド109、木材の伐採地の座標が格納される座標フィールド110、木質バイオマス発電の固定買取価格が格納されるFIT価格フィールド111、FIT価格が確定したか否かを示す符号が格納される確定フィールド112、木材を撮像することにより得られた撮像画像の格納先のアドレスが格納される画像フィールド113、伐採等に関する許可の種別が格納される許可フィールド114、並びに、その許可を識別する許可番号が格納される許可番号フィールド115を少なくとも有している。
【0029】
本実施の形態において、種別フィールド102には、未利用木材、一般木材、及び建設資材の何れかを示す符号が格納される。本実施の形態の場合、未利用木材を示す符号として“1”が、一般木材を示す符号として“2”が、建設資材を示す符号として“3”が、それぞれ用いられる。ここで、未利用木材、一般木材、及び建設資材はそれぞれ、FITにおける木質バイオマスの区分である「間伐材等由来の木質バイオマス」、「一般木質バイオマス」、及び「建設資材廃棄物」に対応する木材を意味する。また、FIT価格フィールド111には、それらの木質バイオマスの区分に応じた木質バイオマス発電の固定買取価格が格納される。
【0030】
[運搬情報DB13B]
図4は、運搬情報DB13Bのレイアウトの一例を示す図である。図4に示すとおり、運搬情報DB13Bは、ある特定の場所(出発地)から他の場所(到着地)までの木材の運搬を識別する運搬IDが格納される運搬IDフィールド201、運搬される木材に取り付けられた無線ICタグ5のタグIDが格納されるタグIDフィールド202、出発地及び到着地がそれぞれ格納される出発地フィールド203及び到着地フィールド204、運搬される木材の重量が格納される重量フィールド205、並びに、出発地からの搬出日時及び到着地への搬入日時がそれぞれ格納される搬出日時フィールド206及び搬入日時フィールド207を少なくとも有している。
【0031】
[加工情報DB13C]
図5は、加工情報DB13Cのレイアウトの一例を示す図である。図5に示すとおり、加工情報DB13Cは、加工施設に搬入された木材のチップ加工を識別する加工IDが格納される加工IDフィールド301、加工される木材に取り付けられた無線ICタグ5のタグIDが格納されるタグIDフィールド302、加工日時が格納される加工日時フィールド303、加工により生産された木材チップの重量が格納される重量フィールド304、木材チップの乾燥の開始日時が格納される乾燥開始日時フィールド305、及びその木材チップが絶乾に達するまでに要する乾燥期間が格納される乾燥期間フィールド306を少なくとも有している。なお、一回の加工作業で複数の無線ICタグ5,5,…に係る木材がチップ加工される場合、タグIDフィールド302にはそれら複数の無線ICタグ5,5,…のそれぞれのタグIDが格納される。
【0032】
[無線タグ情報DB13D]
図6は、無線タグ情報DB13Dのレイアウトの一例を示す図である。図6に示すとおり、無線タグ情報DB13Dは、無線ICタグ5のタグIDが格納されるタグIDフィールド401、その無線ICタグ5が取り付けられた木材の木材IDが格納される木材IDフィールド402、当該木材に係る運搬ID及び加工IDがそれぞれ格納される運搬IDフィールド403及び加工IDフィールド404、当該木材に関して発行される証明書を識別する証明書IDが格納される証明書IDフィールド405、並びに、当該木材から生産された木材チップの出荷先が格納される出荷先フィールド406を少なくとも有している。なお、同一の木材について運搬が複数回行われる場合は、各運搬に係る運搬IDが運搬IDフィールド403に格納されることになる。
【0033】
本実施の形態において、上述した木材に関して発行される証明書には、木材の伐採を行う林業事業体、木材の加工を行う加工業者、及び木材の流通を行う流通業者等によって発行される証明書であって、木材の種別及び分別管理されていることを証明するものが含まれる。上記の証明書IDフィールド405には、当該木材に対して発行されたすべての証明書の証明書IDが格納される。
【0034】
[森林情報DB13E]
図7は、森林情報DB13Eのレイアウトの一例を示す図である。図7に示すとおり、森林情報DB13Eは、森林を識別する森林IDが格納される森林IDフィールド501、当該森林の森林簿の格納先のアドレスが格納される森林簿フィールド502、管理対象の林小班を特定する情報が格納される林小班フィールド503、その林小班に対する地拵え又は植え付けがなされた日時が格納される地拵・植付フィールド504、その林小班の座標が格納される座標フィールド505、その林小班の位置図の格納先のアドレスが格納される位置図フィールド506、及び、測量を行った測量会社の名称が格納される測量会社フィールド507を少なくとも有している。
【0035】
この森林情報DB13Eに格納される森林情報は、林業事業体によって、林小班の対応する位置に設けられた無線ICタグ5に書き込まれたものである。林業事業体は、林業事業体端末4を介して当該無線ICタグ5に書き込まれている森林情報を管理サーバ1に送信し、これを受信した管理サーバ1が森林情報DB13Eに登録する。この動作を適宜のタイミングで繰り返し実行することによって、管理サーバ1の森林情報DB13Eには最新の森林情報が格納されることになる。その結果、管理サーバ1にて森林に関する各種の情報を管理することができる。なお、このように林小班の対応する位置に設けられた無線ICタグ5をその後当該位置で伐採された木材に取り付けるようにしてもよい。この場合、木材と森林情報との紐付けを容易に行うことが可能になり、便宜である。
【0036】
[買取価格テーブル13F]
図8は、買取価格テーブル13Fの内容の一例を示す図である。図8に示すとおり、買取価格テーブル13Fは、木質バイオマスの由来に応じた木材の種別と、木材チップの出荷先の発電規模と、木質バイオマス発電の買取価格との対応表を構成している。ここで、木材の種別は木材情報DB13Aの種別フィールド102に格納される符号と対応している。図8に示すように、本実施の形態では、木質バイオマス発電の買取価格が、木材が未利用木材の場合であって出荷先の発電規模が2,000kW未満のときは40円、同じく2,000kW以上のときは32円、一般木材の場合は24円、建設資材の場合は13円と定義されている。なお、固定買取価格及びその条件は適宜見直されて変更になるため、この買取価格テーブル13Fの内容もその変更の都度更新されることになる。
【0037】
[無線ICタグの構成]
次に、無線ICタグ5の構成の詳細について説明する。図9は、無線ICタグ5の構成を示すブロック図である。図9に示すとおり、無線ICタグ5は、制御回路51、メモリ回路52、情報の送受信装置である無線回路53及びアンテナ54、並びに電源部55を備えている。制御回路51は、メモリ回路52及び無線回路53と接続されており、また、無線回路53は更に、アンテナ54及び電源部55と接続されている。
【0038】
メモリ回路52は、制御回路51が処理する各種のデータを記憶するための回路である。また、このメモリ回路52には、各所に設けられたリーダライタによって読み書きされる各種の情報が記憶される。
【0039】
無線回路53は、アンテナ54を介してリーダライタから受信した無線信号を復調してデジタル信号を生成し、そのデジタル信号を制御回路51に対して出力する。また、制御回路51の命令にしたがって、送信すべきデジタル信号を変調して無線信号を生成し、アンテナ54を介してその無線信号をリーダライタへ送信する。これにより、非接触で情報の読み書きが行われる。
【0040】
電源部55は、無線回路53から無線信号を取得し、その無線信号を電源電圧に変換する。これにより、電源部55は、無線ICタグ5の内部を動作させるために必要な電力を得る。なお、このような電源部55を設けるのではなく、電池を内蔵するようにしてもよい。
【0041】
[木材管理システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の木材管理システムの動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。なお、以下では、(1)木材情報の登録を行う登録段階、(2)無線ICタグ5を木材に取り付けるタグ取付段階、(3)木材を運搬する運搬段階、(4)木材をチップ加工する加工段階、(5)木材チップを出荷する出荷段階、及び(6)木質バイオマスに関する各種の情報を報告するレポート段階の各段階に分けて説明する。
【0042】
(1)登録段階
登録段階では、伐採された木材に関する木材情報が生成され、木材情報DB13Aに登録される。具体的には、林業事業体が、林業事業体端末2を用いて、木材情報に含まれる単価及び在庫量等の各情報を入力する。ここで、産地、樹種、林齢及び座標等については、その木材の生育地が属する林小班に設けられた無線ICタグ5から取得するようにしてもよい。その後、林業事業体端末2がそれらの各情報及び木材の画像データを管理サーバ1に対して送信する。管理サーバ1は、林業事業体端末2から受信した情報に基づいて木材情報を生成し、木材情報DB13Aに登録する。
【0043】
また、一般木材又は建設資材の場合は、その取扱い業者が当該一般木材又は建設資材の単価及び在庫量等の各情報及び画像データを情報端末に入力する。その後、その情報端末からこれらの各情報及び画像情報データが管理サーバ1に対して送信される。管理サーバ1は、その情報端末から受信した情報に基づいて木材情報を生成し、木材情報DB13Aに登録する。
【0044】
この登録段階においては、FIT価格が確定していないため、管理サーバ1は仮の値(以下「仮設定価格」という)を木材情報に入れておく。具体的には、本実施の形態の場合、未利用木材の場合は32円、一般木材の場合は24円、建設資材の場合は13円としておく。
【0045】
なお、木材IDについては、管理サーバ1において採番され、これが林業事業体等の木材を取り扱う業者に対して通知される。これにより、木材を扱う各業者において、木材IDが把握されることになる。
【0046】
(2)タグ取付段階
上記のようにして木材情報が登録された木材に対して、無線ICタグ5が取り付けられる。当該木材の木材IDが、リーダライタによって当該無線ICタグ5に書き込まれる。各無線ICタグ5には、固有のタグIDが予め付与されており、そのタグIDと上記の木材IDとが紐付けられて無線ICタグ5に記憶される。なお、このタグIDは、リーダライタで無線ICタグ5から読み出され、林業事業体端末2等を経て管理サーバ1へ送信される。これを受けた管理サーバ1は、木材情報DB13AにタグIDを登録する。これにより、管理サーバ1においても、タグIDと木材IDとが紐付けられることになる。管理サーバ1は、その木材IDを含む木材情報を木材情報DB13Aから読み出し、これを林業事業体端末2等に送信する。その後、その木材情報が、リーダライタによって無線ICタグ5に書き込まれる。
【0047】
無線ICタグ5が取り付けられた木材が未利用材である場合、そのことを証明する証明書が林業事業体によって発行される。このようにして発行された証明書の名称及び証明書IDは、リーダライタによって無線ICタグ5に書き込まれる。なお、無線ICタグ5が取り付けられた木材が一般木材である場合も証明書が発行される場合がある。その場合も同様にして当該証明書の名称及び証明書IDが無線ICタグ5に書き込まれる。
【0048】
上記のように証明書が発行された場合には、その証明書の画像が林業事業体端末2等によって管理サーバ1に対して送信される。管理サーバ1は、このようにして送信された証明書の画像を記憶しておき、後述するレポート段階にて当該画像を使用する。なお、以下の各段階において発行された証明書の画像についても同様にして管理サーバ1にて記憶される。
【0049】
(3)運搬段階
上記のようにして無線ICタグ5が取り付けられた木材は、チップ加工を行う加工施設又は一時的な保管を行う土場等に運搬される。この運搬の際に、無線ICタグ5に対し、運搬ID、出発地、到着地、木材の重量、搬出日時及び搬入日時等の各情報がリーダライタによって書き込まれる。なお、これらの各情報及び当該無線ICタグ5のタグIDについては、運搬を行う業者にて用いられる情報端末によって管理サーバ1に送信され、これを受けた管理サーバ1が運搬情報DB13B及び無線タグ情報DB13Dに所定の情報を登録する。
【0050】
この運搬段階において、無線ICタグ5が取り付けられた木材が分別管理されている場合、そのことを証明する証明書が取扱業者によって発行される。このようにして発行された証明書の名称及び証明書IDは、リーダライタによって無線ICタグ5に書き込まれる。
【0051】
(4)加工段階
上記の運搬段階を経て加工施設に到着した木材は、当該加工施設にてチップ加工が施される。このチップ加工の際に、無線ICタグ5に対し、加工ID、加工日時、木材チップの重量、乾燥開始日時及び乾燥期間がリーダライタによって書き込まれる。なお、これらの各情報及び当該無線ICタグ5のタグIDについては、加工業者端末3によって管理サーバ1に送信され、これを受けた管理サーバ1が加工情報DB13C及び無線タグ情報DB13Dに所定の情報を登録する。
【0052】
無線ICタグ5は、木材チップが絶乾に達するまでに要する乾燥期間をタイマー管理しており、乾燥開始日時から経過した期間が当該乾燥期間に達したときに、リーダライタ及び加工業者端末3を介して管理サーバ1へ通知する。これにより、管理サーバ1は、無線ICタグ5によって管理されている木材チップが絶乾に達したことを把握することができる。なお、ここでは詳細について説明しないが、チップ加工される前にも所定期間の乾燥が行われる。このチップ加工前の乾燥についても、上記と同様にして無線ICタグ5がタイマー管理することも可能である。
【0053】
この加工段階において、無線ICタグ5が取り付けられた木材及び当該木材より得られた木材チップが分別管理されている場合、そのことを証明する証明書が加工業者によって発行される。このようにして発行された証明書の名称及び証明書IDは、リーダライタによって無線ICタグ5に書き込まれる。
【0054】
加工施設では、1つの無線ICタグ5に係る木材のみについてチップ加工する場合、複数の無線ICタグ5に係る木材についてまとめてチップ加工する場合の両方がある。後者の場合、チップ化された後は、木材チップと無線ICタグ5との対応をとることが困難になる。そのため、例えば未利用材と一般木材等、異なる種別の木材をまとめてチップ加工することは禁止され、同一の種別の木材のみをまとめてチップ加工することになる。
【0055】
なお、木材チップではなく、原木等の状態で購入先に出荷される場合もある。その場合、上記の加工段階を経ずに次の出荷段階に進むことになる。
【0056】
(5)出荷段階
上記の加工段階によりチップ加工されて絶乾に達した木材チップは、木質バイオマス発電の事業者である購入者に対して出荷される。この購入先が確定した場合、管理サーバ1は、次のようにしてFIT価格を確定するためのFIT価格確定処理を実行する。なお、上述したように、チップ加工されずに木材が出荷される場合もあるため、出荷対象は木材チップ又はチップ加工前の木材になる。以下では、これらの木材チップ又はチップ加工前の木材を総称して「木材」と表現することがある。
【0057】
図10は、管理サーバ1によって実行されるFIT価格確定処理の手順を示すフローチャートである。管理サーバ1はまず、出荷対象となる木材に取り付けられた無線ICタグ5から、当該木材チップについて発行された1又は複数の証明書の名称及び証明書IDを含む証明書情報を取得する(S101)。ここで、上記の加工段階にて複数の無線ICタグ5に係る木材についてまとめてチップ加工された場合は、それら複数の無線ICタグ5のそれぞれから証明書情報を取得することになる。この証明書情報は、管理サーバ1に接続されたリーダライタによって無線ICタグ5から直接取得してもよく、他の装置を介して無線ICタグ5から間接的に取得するようにしてもよい。なお、このようにして取得された証明書IDは、無線タグ情報DB13Dの証明書IDフィールド405に格納される。
【0058】
次に、管理サーバ1は、取得した証明書情報に基づいて、当該木材について仮に設定されたFIT価格(以下「仮設定価格」という)を維持するための証明書がすべて存在するか否かを判定する(S102)。具体的には、木材が未利用材である場合は間伐材等由来であることの証明書及び分別管理が行われていることの証明書等の有無が、また、木材が一般木材である場合は一般木質バイオマスであることの証明書及び分別管理が行われていることの証明書等の有無が、それぞれ判定される。なお、証明書IDにはどのような証明書であるのかを示す符号が含まれており、管理サーバ1は、その符号を用いて上記の証明書の有無を判定することができる。
【0059】
管理サーバ1は、ステップS102において必要な証明書がすべてあると判定した場合(S102でYES)、当該木材の種別を木材情報の登録時のものと確定し、当該木材についてのFIT価格に仮設定価格を設定する(S103)。この場合、木材情報DB13AのFIT価格フィールド111には既に仮設定価格が格納されているため、管理サーバ1はFIT価格フィールド111の値を変更せずにそのままにする。他方、ステップS102において必要な証明書がないと判定した場合(S102でNO)、管理サーバ1は、当該木材の種別を建設資材又はそれと同様の木材と確定し、当該木材についてのFIT価格に最低価格(本実施の形態の場合は13円)を設定する(S104)。具体的には、管理サーバ1が、FIT価格フィールド111の値を最低価格に変更する。
【0060】
次に、管理サーバ1は、当該木材が未利用材であるか否かを判定し(S105)、未利用材ではないと判定した場合は(S105でNO)後述するステップS109へ進む。他方、未利用材であると判定した場合(S105でYES)、管理サーバ1は、その木材の購入先の発電規模が2,000kW以上であるか否かを判定する(S106)。
【0061】
管理サーバ1は、ステップS106において購入先の発電規模が2,000kW以上であると判定した場合(S106でYES)、当該木材についてのFIT価格に仮設定価格を設定する(S107)。この場合、木材情報DB13AのFIT価格フィールド111には既に仮設定価格として32円が格納されているため、管理サーバ1はFIT価格フィールド111の値を変更せずにそのままにする。他方、ステップS106において購入先の発電規模が2,000kW未満であると判定した場合(S106でNO)、管理サーバ1は、当該木材についてのFIT価格に最高価格(本実施の形態の場合は40円)を設定する(S108)。具体的には、管理サーバ1が、FIT価格フィールド111の値を最低価格に変更する。
【0062】
その後、管理サーバ1は、確定フィールド112にFIT価格が確定したことを示す符号を格納することにより、木材情報DB13Aを更新する(S109)。これにより、木材のFIT価格が確定したことになる。
【0063】
なお、本実施の形態では出荷段階にてFIT価格確定処理が実行されているが、それ以外のタイミングで同様の処理が実行されてもよい。例えば、購入先が確定する前に、上記のFIT価格確定処理のうちのステップS105乃至S108を除く処理を実行することによって、購入先の発電規模を考慮しないFIT価格を確定するようにしてもよい。この場合、その後に購入先が確定したときに、その発電規模に応じたFIT価格を設定すべく、上記のステップS105乃至S108を実施するようにすればよい。
【0064】
以上のようにして確定したFIT価格を含め、管理サーバ1にて蓄積されている木材情報、運搬情報、加工情報、無線タグ情報、及び森林情報のすべて又はその一部は、管理サーバ1により出力されることによって、林業事業体端末2、加工業者端末3、購入者端末4、電力会社端末6、及びその他の情報端末から閲覧可能とされる。具体的には、図11に示す画面により木材情報をはじめとする各情報が閲覧可能とされる。図11は、各情報端末の表示部に表示される管理画面の一例を示す図である。図11に示すとおり、この管理画面1001には、木材情報DB13Aに格納されている木材ID、木材の種別、単価、在庫、在庫金額、タグID、産地、樹種、林齢、座標、及びFIT価格が表示される。また、木材情報DB13Aの画像フィールド113に格納されているアドレスから取得された画像が写真欄に表示される。運搬情報、加工情報、無線タグ情報、及び森林情報についても同様にして表示される。各情報端末の操作者は、この管理画面1001を参照することにより、木材の概要及びFIT価格等を確認することができる。なお、管理サーバ1においても、このような管理画面1001をディスプレイ15に表示することによって閲覧可能となる。これにより、関連業者は、木材の履歴管理に関する情報を把握することができる。
【0065】
(6)レポート段階
上記の各段階を経た後、適宜のタイミングで、木質バイオマス発電事業者である木材チップの購入者、及び木質バイオマス発電による電力を買い取る電力会社に対して、木質バイオマスに関する各種の情報が報告される。この報告の態様としては、これらの各種の情報が印刷された紙媒体を郵送したり、これらの各種の情報が示された電子データが電子メールに添付されて提供されたり等、種々のものが想定される。以下では、ウェブサイトにて各種の情報が提供される例について説明する。
【0066】
管理サーバ1は、FIT価格が確定した後に、当該木材から得られた木材チップの購入者にて用いられる購入者端末4、及びその購入者との間で売電契約を締結した電力会社にて用いられる電力会社端末6に対して、特定のURLを通知する。それらの購入社端末4又は電力会社端末6が当該URLにアクセスすると、管理サーバ1によって以下のレポート画面に係る情報がアクセス元に提供される。
【0067】
図12は、購入者端末4又は電力会社端末6の表示部に表示されるレポート画面の一例を示す図である。図12に示すとおり、このレポート画面2001には、木材の種別及びFIT価格、並びに購入された木材チップの元である木材の木材IDが表示される。この表示例では、当該木材チップの元が複数の木材IDに係る木材となっており、したがって複数の木材IDが示されている。なお、本実施の形態では木材IDとタグIDとが一対一に対応しているため、木材IDの代わりにタグIDを複数並べて表示するようにしてもよい。木材IDの横には木材の詳細な情報を表示させるための詳細ボタンが設けられている。この詳細ボタンがクリックされた場合、木材情報、運搬情報、加工情報、無線タグ情報、森林情報、及びその他の情報のうち当該木材IDに紐付けられた情報が表示される。また、木材情報DB13Aの画像フィールド113に格納されているアドレスから取得された画像が写真欄に表示される。木材チップの購入者又は電力会社の担当者は、このレポート画面2001を参照することにより、木材の概要及びFIT価格等を確認することができる。
【0068】
レポート画面2001には、図12に示すように、発行された証明書に関する発行済み証明書情報を表示させるためのボタン2002が設けられている。木材チップの購入者又は電力会社の担当者が入力部を用いてこのボタン2002をクリックすると、管理サーバ1によって以下の発行済み証明書画面に係る情報がアクセス元に提供される。
【0069】
図13は、購入者端末4又は電力会社端末6の表示部に表示される発行済み証明書画面の一例を示す図である。図13に示すとおり、発行済み証明書画面3001には、管理サーバ1が無線ICタグ5から取得した証明書の名称及び証明書IDが表示される。また、管理サーバ1が記憶している証明書の画像が写し欄に表示される。木材チップの購入者又は電力会社の担当者は、この発行済み証明書画面3001を参照することにより、発行済みの証明書の内容について確認することができる。なお、当該木材について複数の証明書が発行されている場合、発行済み証明書画面3001は、スクロール表示等によってそれらすべての証明書に係る情報が表示できるように構成される。
【0070】
本実施の形態の木材管理システムによれば、供給場所から搬出され、その後に加工される木材に取り付けられる無線ICタグ6が、各時点において発行される証明書に関する情報を記憶し、これを管理サーバ1に提供することによって、FITに対応した木材のトレーサビリティの管理を実現することができる。
【0071】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態では、管理サーバ1が木材の種別及びFIT価格を出力することによって各情報端末にて当該種別及びFIT価格を閲覧することができるようにしているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば管理サーバ1がFIT価格は出力せずに、木材の種別のみを出力するようにしてもよい。この場合であっても、閲覧する側が木材の種別とFIT価格との対応関係を把握していれば、その対応関係からFIT価格を導き出すことが可能である。
【0072】
また、上述した実施の形態では、管理サーバ1が単一のコンピュータで構成されているが、複数のコンピュータで構成された分散システムにより管理サーバ1が実現される等、様々な機器構成が想定され得る。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の木材管理システム及び木材管理方法はそれぞれ、木材のトレーサビリティを管理するための木材管理システム及び木材管理方法等として有用である。
【符号の説明】
【0074】
1 管理サーバ
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 ハードディスク
13A 木材情報データベース
13B 運搬情報データベース
13C 加工情報データベース
13D 無線タグ情報データベース
13E 森林情報データベース
13F 買取価格テーブル
14 通信インタフェース
15 ディスプレイ
16 入力部
17 バス
2 林業事業体端末
3 加工業者端末
4 購入者端末
5 無線ICタグ
6 電力会社端末
【要約】
【課題】再生可能エネルギーの固定価格買取制度に対応可能な木材管理システム及び木材管理方法を提供する。
【解決手段】
木材管理システムは、木材に取り付けられ、記憶部を具備する無線ICタグ5と、無線ICタグ5の記憶部に記憶された情報を収集する管理サーバ1とを備えており、木材が供給場所から搬出され、木質バイオマスとして購入先へ出荷される過程において、無線ICタグ5が、当該無線ICタグ5が取り付けられている木材の種別を含む木材情報、及び前記種別の証明書の発行の有無に関する証明書情報を、前記記憶部に記憶し、管理サーバ1が、前記記憶部に記憶された木材情報及び証明書情報を無線ICタグ5から取得し、その取得した木材情報及び証明書情報に基づいて、前記木材の種別を確定し、その種別を含む当該木材の履歴管理情報を出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13