(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態である視標呈示装置の概略外観図である。視標呈示装置100の筐体10の前面には、視標呈示部(視標呈示手段)30が設けられている。視標呈示部30は、被検者との距離が5m等の遠方距離位置に置かれた場合にも所定サイズの視力検査用視標70a(例えば、VA(Visual Acuity)2.0のランドルト環視標)等の視標が呈示(表示)可能な大きさを持つ画面(所定の呈示領域)を備えており、内部には呈示手段(表示手段)であるカラー液晶ディスプレイ31が配置されている(
図2参照)。
【0010】
筐体10の前面の下方には、操作手段であるリモートコントローラ(以下、リモコン)60からの赤外光(光信号)を受信するための受信手段である受信部11が設けられている。また、筐体10の下部には、装置100の各種設定(入力)を行うための設定手段(入力手段)であるファンクションキー(ボタン)12が設けられている。
【0011】
リモコン60には、ディスプレイ31に表示される視標を選択するための視標選択手段である複数のキー(ボタン)61と、選択された視標等を表示するための表示手段であるモノクロ(カラーでもよい)液晶ディスプレイ62と、赤外光(光信号)を送信するための送信手段である送信部63と、を備えている。
【0012】
図2は、視標呈示部30の構成と装置100の制御系とを示す概略ブロック図である。視標呈示部30は、ディスプレイ31と、ディスプレイ31の前面に配置された(貼付された)シート状の偏光光学部材32と、を備えている。偏光光学部材32は、少なくともディスプレイ31の視標呈示(表示)領域をカバーする大きさを持っている。ディスプレイ31と受信部11とファンクションキー12とは、装置100の制御手段である制御ユニット40に接続されている。制御ユニット40には、様々な視標を記憶するための記憶手段であるメモリ41が接続されている。また、制御ユニット40は、リモコン60からの指令信号を解読するデコーダ回路等を備えている。制御ユニット40は、リモコン60からの視標切換えの指令信号等の入力により、ディスプレイ31の各画素の表示を制御する(視標を表示させる)。
【0013】
偏光光学部材32の構成について説明する。ディスプレイ31からは、所定の方向(垂直方向、水平方向又は斜め45度方向)に偏光軸を持つ直線偏光の光が出射される。本実施形態では、垂直方向の偏光軸を持つ直線偏光の光が出射される。偏光光学部材32は、ディスプレイ31が持つ画素の大きさに対応して横方向(水平方向)に延びるライン状で且つ縦方向(鉛直方向)に交互に配置された光学領域32a及び32bを備えている。光学領域32a及び32bは、ディスプレイ31からの光を通過させるときに、互いに直交する偏光軸を持つ直線偏光の光に変換する。本実施形態では、偏光光学部材32として、位相差機能を持つ1/2波長板と同等の機能を持つものが使用されている。1/2波長板は、周知のように、入射光の偏光軸が1/2波長板の高速軸(又は低速軸)に対して角度θで入射したときに、その振動方向を2×θ回転させる。すなわち、1/2波長板は、入射光の偏光軸方向に対して高速軸(又は低速軸)である光学的主軸方向を傾斜させることにより、入射光の偏光軸方向(振動方向)を回転させる機能を持つものであり、入射光の光量をそのまま維持できる特性を持つものである。
【0014】
立体視検査を含む両眼視機能検査では、互いに直交する偏光軸を持つ偏光フィルタ90L及び90Rを備えている偏光眼鏡90を被検者が装用し、被検者の左眼の前に偏光フィルタ90Lが配置され、被検者の右眼の前に偏光フィルタ90Rが配置される。本実施形態では、偏光フィルタ90Lは45度方向に偏光軸を持っており、偏光フィルタ90Rは135度方向に偏光軸を持っている。また、被検者が偏光眼鏡90を装用する代わりに、左右の検査窓に球面レンズ、柱面レンズ、補助レンズ、等が切換え配置される自覚式屈折力検査装置(以下、ホロプタ)200が使用されてもよい。この場合には、被検者が偏光眼鏡90を装用する代わりに、互いに直交する偏光軸を持つ偏光フィルタ201L及び201Rが、左右の検査窓に一方ずつ配置される。
【0015】
一方、光学領域32aは、左眼用の光学領域であり、本実施形態では、その光学的主軸方向は、偏光眼鏡90(又はホロプタ200)が備えている左眼用の偏光フィルタ90L(又は偏光フィルタ201L)の偏光軸方向(45度方向)と一致した偏光軸方向の光にディスプレイ31からの光を変換するように配置されている。また、光学領域32bは、右眼用の光学領域であり、本実施形態では、その光学的主軸方向は、偏光眼鏡90(又はホロプタ200)が備えている右眼用の偏光フィルタ90R(又は偏光フィルタ201R)の偏光軸方向(135度方向)と一致した偏光軸方向の光にディスプレイ31からの光を変換するように配置されている。このため、被検者が左右眼の前に配置された偏光フィルタ90L及び90R(又は偏光フィルタ201L及び201R)を通して視標呈示部30を見ると、左眼には偏光フィルタ90L(又は偏光フィルタ201L)を透過可能な光学領域32aからの光のみが視認され、光学領域32bからの光は偏光フィルタ90L(又は偏光フィルタ201R)によって遮断されるために視認されない。逆に、右眼には偏光フィルタ90R(又は偏光フィルタ201R)を透過可能な光学領域32bからの光のみが視認され、光学領域32aからの光は偏光フィルタ90R(又は偏光フィルタ201R)によって遮断されるために視認されない。このようにして、ディスプレイ31からの光を分離して被検者の左右眼に入射でき、被検者の左右眼に異なる視標を呈示できる。すなわち、視差を持つ視標(立体視検査用視標)を被検者の左右眼に呈示できる。このため、偏光光学部材32と偏光眼鏡90(又はホロプタ200)とは、ディスプレイ31に呈示(表示)された視標を分離する分離手段となる。
【0016】
次に、ディスプレイ31に呈示(表示)される立体視検査用視標について説明する。
図3は、本実施形態の立体視検査用視標である視標画像を正面から見た状態を示す図である。
図4は、本装置での立体視検査における視標(視標画像)の見え方(立体視を正常に行える被検者眼が偏光眼鏡90(又はホロプタ200)を介して見た場合の視標(視標画像)の見え方)を示す図である。なお、本実施形態では、検査距離(視標呈示部30(ディスプレイ31)から被検者眼までの距離)を5mとする。
【0017】
視標画像70は、ディスプレイ31に表示される視標であり、呈示領域であるディスプレイ31の画面全体に表示される。視標画像70には、立体視検査をするために、異なる視差を持っている複数の視標が含まれている。本実施形態の視標画像70は、ディスプレイ31の表示面(画素面)を、視差を持た無い基準面として、視標が沈み込んで被検者に見える(認識される)検査視標である第1物体視標71、第2物体視標72及び第3物体視標73と、被検者に検査視標の立体視を誘導するために沈み込んで被検者に見える(認識される)誘導視標である枠視標(枠状視標)81と、を含んでいる。
【0018】
本実施形態の視標画像70には、小さな子供向け(小さな子供の関心を惹くため)に、動物等のキャラクタ、景色、等の視標が含まれている。キャラクタ視標である物体視標71〜73は、視標画像70の中央部付近に表示される。
【0019】
物体視標71は、所定の第1の視差を持つ左眼用視標71Lと右眼用視標71Rとを含んでおり、視標71Lと視標71Rとの間は間隔W1とされている。ここでいう間隔とは、左右の各視標における同じ特徴点のディスプレイ31上での間隔を指すものとする。物体視標72は、第1視差とは異なる所定の第2の視差を持つ左眼用視標72Lと右眼用視標72Rとを含んでおり、視標72Lと視標72Rとの間は間隔W2とされている。物体視標73は、第1及び第2視差とは異なる所定の第3の視差を持つ左眼用視標73Lと右眼用視標73Rとを含んでおり、視標73Lと視標73Rとの間は間隔W3とされている。間隔W1〜W3は、各物体視標の沈み込み量に対応している。物体視標72に対して物体視標73が遠方にあるように見せるため、間隔W3は、間隔W2に比べて広くなっている。逆に、物体視標72に対して物体視標71が近方にあるように見せるため、間隔W1は、間隔W2に比べて狭くなっている。すなわち、本実施形態では、間隔W1<間隔W2<間隔W3(第1視差<第2視差<第3視差)である。間隔W1〜W3が各物体視標71〜73に持たせる視差としては、例えば、間隔W1が、視差としての7分、間隔W2が8分、間隔W3が10分、とする。従って、物体視標71と物体視標72の相対的な視差は1分であり、物体視標72と物体視標73の相対的な視差は2分となる。これによって、立体検査時に、被検者の1分、2分を判別できる立体視機能があるかどうかを判定できる。なお、視差(物体視標の間隔)は、検査したい立体視機能に対応して変更すればよい(視標画像70を編集・作成すればよい)。
【0020】
枠視標81は、物体視標71〜73を立体視し易いように、物体視標71〜73よりも沈み込み量が小さく、ディスプレイ31の表示面(画素面)を基準面として沈み込んで見える(認識される)所定の第4の視差を持っている。この第4視差は、第1〜第3視差とは異なる(第1〜第3視差よりも小さい)。枠視標81は、物体視標71〜73の視認を妨げないように、視標画像70内の外側に配置される。なお、枠視標81は、視標画像70の外周部に配置される上枠視標82と下枠視標83と左枠視標84と右枠視標85とを含んでいる。
【0021】
枠視標81において、左右の枠視標は、第4視差(以下、枠視差という)を持っている。左枠視標84は、左眼用の左枠視標84Lと右眼用の左枠視標84Rとを含んでおり、視標84Lと視標84Rとは所定の枠視差を持っている。同様に、右枠視標85は、左眼用の右枠視標85Lと右眼用の右枠視標85Rとを含んでおり、視標85Lと視標85Rとは所定の枠視差(視標84Lと視標84Rとの視差と同じ)を持っている。
【0022】
例えば、下枠視標83と左枠視標84との境界を線Aとする(
図4参照)。左眼用の左枠視標84Lと下枠視標83との境界である線ALは、枠視標81の左下角にある始点SLから画面(視標画像70)の中央に向かって延びている。右眼用の左枠視標84Rと下枠視標83との境界である線ARは、点SLから画面の中央に向かって延びている。線ALは、線ARに対して外側に向かって延びている。線AR及び線ALは、立体視した場合に、
図4の線Aが画面の中心に向かって延びて見えるように、ディスプレイ31に表示される。
【0023】
また、下枠視標83と右枠視標85との境界を線Bとする(
図4参照)。左眼用の右枠視標85Lと下枠視標83との境界である線BLは、枠視標81の右下角にある始点SRから画面(視標画像70)の中央に向かって延びている。右眼用の右枠視標85Rと下枠視標83との境界である線BRは、始点SRから画面の中央に向かって延びている。線BR及び線BLは、立体視した場合に、
図4の線Bが画面の中心に向かって延びて見えるように、ディスプレイ31に表示される。
【0024】
始点SL及びSRは、視差を持たない点であり、ディスプレイ31の表示面に一致している。線ALが延びる方向と線ARが延びる方向とは、枠視差に応じて異なっており、線ALと線ARとの間は、連続的に(徐々に)広がっている。同様に、線BLが延びる方向と線BRが延びる方向とは、枠視差に応じて異なっており、線BLと線BRとの間は、連続的に(徐々に)に広がっている。このため、下枠視標83及び左枠視標84は、始点SLの位置を基準面として、連続的に沈み込んで見える(認識される)こととなる。また、下枠視標83及び右枠視標85は、始点SRの位置を基準面として、連続的に沈み込んで見える(認識される)こととなる。本実施形態の枠視差は、物体視標71〜73よりも沈み込み量が小さいものとする。例えば、物体視標71よりも手前に見えるように、視差として3分とする。なお、枠視差は、物体視標71〜73の立体視を誘導できる視差であればよい。枠視差は、物体視標71〜73の中で沈み込み量の小さい視標(物体視標71)の位置まで沈みこんで見えるような視差であってもよい。また、枠視差は、物体視標71〜73の何れの沈み込み量よりも大きい視差であってもよい。
【0025】
なお、上枠視標82と左枠視標84との関係は、下枠視標83と左枠視標84との関係と同様であり、上枠視標82と右枠視標85との関係は、下枠視標83と右枠視標85との関係と同様である。
【0026】
このようにして、枠視標81は、ディスプレイ31の表示面(視差を持たない基準面)から連続的に(徐々に)沈み込んで見える(認識される)。これにより、被検者が物体視標71〜73を見たときに覗き込み効果が生じ、被検者の注意を視標画像70の中央部付近に引き付けることができる。また、枠視標81が連続的に(徐々に)沈み込んで見える(認識される)ことにより、立体視検査に慣れない被検者の物体視標71〜73への立体視が誘導され易い。例えば、被検者の視線を視標画像70の中央部付近に誘導する場合、被検者の視線が枠視標81の隅の線(線A、線B、等)を辿ることにより、立体視に徐々に慣れていき、検査視標である物体視標71〜73の立体視を誘導できる。
【0027】
以上のような構成を有する視標呈示装置100での立体視検査における動作について説明する。検者は、偏光眼鏡90を装用した被検者(又は左右眼の前にホロプタ200が配置された被検者)を視標呈示装置100から所定距離(本実施形態では5m)離れた検査位置に位置させ、リモコン20のキー61を押すことによって視標呈示装置100に立体視検査用視標(視標画像)70を呈示させる。制御ユニット40は、リモコン60からの指令信号に基づいてメモリ41に記憶された視標画像70のデータを呼び出し(読み出し)、呼び出したデータの視標画像70をディスプレイ31に表示させる。
【0028】
視標画像70の内、左眼用の視標71L〜73L、上枠視標82、下枠視標83、左枠視標84L及び右枠視標85Lの光が、光学領域32a及び偏光フィルタ90L(又は偏光フィルタ201L)を介して被検者の左眼ELに入射する。同様に、右眼用の視標71R〜73R、上枠視標82、下枠視標83、左枠視標84R及び右枠視標85Rの光が、光学領域32b及び偏光フィルタ90R(又は偏光フィルタ201R)を介して被検者の右眼ERに入射する。これにより、被検者には、枠視標81がディスプレイ31の表示面から沈み込んで見える(認識される)。また、物体視標71〜73が沈み込んで見え、枠視標81よりも奥にあるように見える。
【0029】
そして、検者は、物体視標71〜73がどのように見えるかを被検者に確認する。物体視標71が物体視標72よりも前方(手前)にあるように(物体視標72が物体視標71よりも後方(奥)にあるように)見えると共に物体視標72が物体視標73よりも前方(手前)にあるように(物体視標73が物体視標72よりも後方(奥)にあるように)見えると被検者が答えれば、被検者が立体視機能を持っていることが検者に分かる。
【0030】
なお、被検者が上手く立体視できない(視標が立体に見えない(認識できない))場合、検者は、被検者にディスプレイ31の隅(画面上の視標画像70内の外側に配置された枠視標81の始点SL、始点SR、等)を注目するように促し、さらに、枠視標81の線A、線B、等を辿りながら視標画像70の中央部付近に配置された物体視標71〜73を見るように促す。被検者は、連続的に沈み込んで見える(認識される)枠視標81の線A、線B、等を辿ることにより、視標画像70の中央部付近に配置された物体視標71〜73をスムーズに立体視できる。そして、この動作によって被検者が立体視できれば、さらに立体視検査を進めることができる。一方、この動作を行っても被検者が立体視できなければ、被検者の立体視機能に問題があることが分かる。
【0031】
このようにして、本装置によれば、誘導視標による検査視標への誘導により、被検者が立体視し易くなる。また、立体視検査に慣れない被検者にも検査の意味を分からせることができ、効率的な立体視検査(両眼視機能検査)が行える。
【0032】
次に、本発明の実施形態の変容例を説明する。ここでは、誘導視標を動画として呈示(表示)し、被検者の立体視を誘導する構成とする。
【0033】
まず、第2実施形態の視標画像171について説明する。ここでは、前述の視標画像70との違いを中心に説明する。
図5及び
図6は、第2実施形態の立体視検査用視標である視標画像171を正面から見た状態を示す図である。
図5は、初期状態を示し、
図6は、
図5の状態から一定時間経過後の動画終了状態を示している。なお、これらの動画表示は、制御ユニット40によって実行される。
【0034】
視標画像171は、物体視標71〜73と、枠視標111と、を含む。物体視標71〜73は、前述と同様であり、何れの状態において、それぞれ視差(間隔W1〜W3)を持っている。枠視標111は、視標画像171の外周部に配置される上枠視標112と下枠視標113と、左枠視標114と、右枠視標115と、を含んでいる。しかし、初期状態(
図5)においては、枠視標111は視差を持たない。このため、被検者が偏光眼鏡90を介して枠視標111を見ても、枠視標111は、ディスプレイ31の表示面(基準面)に位置して見える(沈み込んで認識されない)。一方、一定時間経過した動画終了状態(
図6参照)では、枠視標111は、前述の実施形態(
図3参照)と同様の枠視差を持っている。被検者が左右眼で
図6の状態を立体視したときには、
図4と同じとなる。左枠視標114は、左眼用の左枠視標114Lと、右眼用の左枠視標114Rを含む。右枠視標115は、左眼用の右枠視標115Lと、右眼用の右枠視標115Rを含む。
【0035】
制御ユニット40は、リモコン20に配置された動画開始用のスイッチ(図示を略す)からの開始信号が入力されると、
図5の初期状態から、
図6の誘導視標としての枠視標111の視差が徐々に大きくなる方向(
図6の場合は、沈み込みの方向)に時間的に変化するように、ディスプレイ31の表示を制御する。すなわち、左眼用の視標(上枠視標112、下枠視標113、左枠視標114L、右枠視標115L、線AL、線BL)が中央に向かって移動するように表示され、また、右眼用の視標(上枠視標112、下枠視標113、左枠視標114R、右枠視標115R、線AR、線BR)が呈示領域の中央に向かって移動するように表示される。この動画表示の際に、左眼用の視標と右眼用の視標との視差が徐々に大きくなるように、時間的に変化される。このような表示により、被検者が両眼視したときには、
図4の線A、線Bがそれぞれ始点SL、SRから徐々に延び、枠視標111が徐々に時間的に沈み込んでいくように見える。このような動画的な表示により、被検者の物体視標71〜73に対する立体視を効果的に誘導できる。
【0036】
なお、誘導視標である枠視標111の動画表示において、視標の視差の時間的な変化量(速度)は、時間の1秒間当たり、視差5秒〜3分が好ましい。視差の変化の速度が時間1秒間当たり視差3分より速いと、左右眼で見たときの誘導視標の動きが速すぎ、動画表示の効果が薄れる。視差の変化の速度が時間1秒間当たり視差5秒より遅い場合は、誘導視標の動きが遅くなり、検査時間が長引き、被検者の注意も誘導視標に向き難くなる。例えば、本実施形態では、時間1秒間当たり視差30秒の速度が採用されている。
【0037】
また、視差の変化の速度が等速であると、誘導視標の視差が大きくなるにつれて、実際に両眼したときの誘導視標の動きが速くなるように認識される。このため、実際に両眼視したときの誘導視標の動きが等速となるように、誘導視標の視差が大きくなるにつれて、時間的な視差の変化を小さくすることが好ましい。
【0038】
また、誘導視標の動画表示においては、
図5の初期状態と動画終了である
図6の表示状態が所定の終了信号が入力されるまで、繰り返し表示されるようにしても良い。枠視標111の沈み込み(又は浮き上がり)の動画表示が繰り返し行われることにより、被検者の立体視の誘導をより効果的に行える。
【0039】
視標画像171は、リモコン20のキー61の操作による視標切換えの指令信号によりディスプレイ31に表示され、リモコン20に配置されたスイッチ(図示を略す)により誘導視標(枠視標111)の動画表示の開始信号が入力される。また、誘導視標の動画表示の繰り返しが行われるように設定されている場合は、リモコン20に配置された動画停止スイッチ(図示を略す)により、終了信号が入力され、
図6ように誘導視標(枠視標111)が固定表示される。
【0040】
以上のように、誘導視標を動画表示し、沈み込み量が連続的に変化(増大)する構成とすることにより、誘導視標(枠視標111)に注目した被検者は、視差のない(立体視の必要がない)状態の誘導視標が徐々に沈み込んで見える動画を見ることができる。被検者は、動画を見続けることにより、徐々に立体視に慣れることができる。これにより、被検者の立体視が誘導できる。
【0041】
次に、第3実施形態として、誘導視標を動画として呈示する場合の変容例を説明する。
図7及び
図8は、第3実施形態の立体視検査用視標である視標画像172を正面から見た状態を示す図である。
図7は、初期状態を示し、
図8は、
図5の状態から一定時間経過後の動画終了状態を示している。なお、これらの動画表示は、制御ユニット40によって実行される。
【0042】
視標画像172では、前述した枠視標がなく、物体視標71を誘導視標として利用する構成となっている。物体視標71〜73は、前述と同様にディスプレイ31に表示される。
図7に示すように、動画表示の初期状態において、物体視標71は、視差が無いようにディスプレイ31に表示される。そして、左眼用の視標71Lと右眼用の視標71Rとの視差が、徐々に大きくなるように時間的に変化される。被検者が両眼視したときには、前述の
図5,6と同じように、物体視標71が基準面から徐々に沈み込み方向に移動していくように被検者に認識される。これにより、被検者の立体視が誘導される。そして、視標71Lと視標71Rとの視差の時間的な変化が停止したとき(
図8の状態)、誘導視標としての視標71が、所定の間隔W1の視差を持つ立体視検査用視標として兼用される。他の立体検査用視標である視標72、73との見え方(遠近に違いがあるか否か)によって、被検者の立体視の視機能が検査される。
【0043】
なお、
図7,8において、物体視標72、73は表示されず、誘導視標を兼ねる物体視標71のみが表示される構成であっても良い。すなわち、誘導視標としての動画が終了し、物体視標71の視標71L、71Rが所定の視差(例えば、2分)を持つ間隔W1で固定表示されることにより、立体視の視機能検査が可能になる。
【0044】
制御ユニット40は、リモコン60からの動画開始信号に基づいて物体視標71を視差の無い状態から視差を持つ状態まで変化して表示させる。なお、視標画像172の動画表示において、誘導視標の視差の変化速度、連続的又は段階的な表示の条件は、第2実施形態と同様である。
【0045】
以上のように、検査視標である物体視標を動画表示することで、物体視標に注目した被検者は、徐々に立体視に慣れることができる。この場合、被検者の立体視を誘導した状態で(物体視標71を見たままの状態で)、立体視検査ができる。
【0046】
なお、以上の説明では、動画表示する視標が、被検者に沈み込んで見える構成としたが、これに限るものではない。視標は浮き上がって見えるように動画表示してもよい。また、呈示領域に表示されている同一の視標が、沈み込みで見えたり、浮き上がって見えたりするように動画表示する構成であってもよい。
【0047】
なお、以上の説明(第1実施形態及び第2実施形態)では、枠視標を誘導視標として用いたが、これに限るものではない。連続的に沈み込んで見える(認識される)視標であればよく、例えば、奥行を持っている(ことを想起させる)ものである額縁、窓枠、扉、机等の台状の物、檻等の箱状の物、道、線路、等が描写された視標であってもよい。また、奥に向かって延びるように見える(認識される)1又は複数の線、矢印、等が描写された視標であってもよい。
【0048】
また、以上の説明では、誘導視標を連続的に沈み込んで見える(認識される)ものとしたが、これに限るものではない。誘導視標によって被検者に検査視標の立体視を誘導できればよく、誘導視標の沈み込みの見え方は、段階的であってもよい。例えば、視標画像内の左右の外側に柱、木、等が描写された視標が奥に向かって並べられてもよい。なお、段階的に表示させる場合の視差は、被検者に段階的に見えるように、所定のステップに対応した視差を持つ視標をディスプレイに表示する構成とする。この所定のステップとは、被検者に視差の違い認識できる程度の視差のステップを指し、例えば、視差0秒より大きく、視差30秒より小さいことが好ましい。段階的な変化のステップが視差30秒より大きいと、立体視に慣れていない被検者に対して立体視の誘導に支障を可能性かある。また、誘導視標の動画表示においては、視標の視差の時間的な変化は、滑らかな動きとして被検者に認識させるために連続的である方が好ましいが、上記のように段階的な変化であっても良い。
【0049】
また、以上の説明では、検査視標及び誘導視標を沈み込んで見える(認識される)ものとしたが、これに限るものではない。検査視標及び誘導視標は、浮き上がって見え(認識され)てもよい。また、誘導視標は、視標画像の中央部付近に配置されてもよい。
【0050】
また、以上の説明では、誘導視標の基準面(始点の位置する面)を、ディスプレイ31の表示面と一致させるものとしたが、これに限るものではない。誘導視標によって被検者に検査視標の立体視を誘導できればよい。例えば、誘導視標の基準面は、ディスプレイ31の表示面から若干(視差20秒以内)沈み込んで見える面であってもよいし、ディスプレイ31の表示面から若干(視差20秒以内)浮き上がって見える面であってもよい。
【0051】
また、以上の説明では、誘導視標に視差を持たせることにより、視差を持つ検査視標の立体視を誘導させるものとしたが、これに加えて、誘導視標にグラデーションを付けることによって立体視を誘導させてもよい。
【0052】
また、以上の説明では、検査視標をキャラクタ等の視標にしたが、これに限るものではない。従来の立体視検査で利用されている視標(上下に延びた棒状の視標(棹視標))等を用いてもよい。
【0053】
また、以上の説明では、被検者の左右眼に呈示される視標(ディスプレイ31に表示される視標)を分離する手段として、偏光光学部材32と偏光フィルタ90L及び90R(又は偏光フィルタ201L及び201R)とを用いるものとしたが、これに限るものではない。例えば、円偏光を利用して視標を分離する手段を用いてもよい。また、色(赤/緑(又は青)を利用して視標を分離する手段、電子シャッタを利用して視標を分離する手段、等の周知の分離手段を用いてもよい。
【0054】
また、視標画像は、ラスターイメージデータ、ベクターイメージデータ、等の周知の画像データとしてメモリ41に記憶されていればよい。
【0055】
また、視標画像は、ディスプレイ31の画面全体に表示されるのではなく、画面の所定領域内に表示されればよい。この場合は、その領域が呈示領域となる。また、視標画像(検査視標及び/又は誘導視標)のサイズは、固定ではなく、変更可能であってもよい。
【0056】
また、検査視標及び誘導視標の沈み込み量又は浮き上がり量は、固定ではなく、変更可能であってもよい。
【0057】
また、以上の説明では、視標呈示部の呈示手段にディスプレイを用いたが、これに限るものではない。呈示領域に視標を呈示するものであればよい。例えば、スクリーン、視標窓、等の呈示領域に視標を呈示する視標投影方式(省検査距離型の視標投影方式も含む)の呈示手段を用いてもよい。この場合、視標を分離する分離手段の一部である偏光光学部材は、視標が描かれた(印字された)視標板(視標ディスク)の前に配置される(貼付される)。