【実施例1】
【0014】
図1と
図2に本発明の実施例の空気調和機の室内機1の外観を示す。なお、
図1は運転停止時の状態を表し
図2は運転時の状態を表している。本実施例の空気調和機の室内機1は、内部に熱交換器と送風ファンを備え、前面下部に吹出口11を備え、上面と前面に吸込口12を備えた室内機本体10と、同室内機本体10に着脱自在に取り付けられ前面の吸込口12を覆う開閉パネル2と、吹出口11に軸支された風向板13で構成されている。
【0015】
開閉パネル2は、
図3に示すように、化粧パネル3とパネルホルダ4と同化粧パネルと同パネルホルダとの間に配置される遮光シート5とを組み立てて構成される。
【0016】
化粧パネル3は、透明ABS樹脂材で形成され、
図1から
図3に示すように前面方向に緩やかに膨らむ円弧状をした板体と、同板体の周囲を本体側に立設させたフランジ31からなり、上面のフランジ31には、間隔を開けて複数箇所に係止孔32が設けられ、底面のフランジ31には、間隔を開けて複数箇所に係止爪33が設けられている。
【0017】
パネルホルダ4は、白色系不透明のポリスチレン樹脂材で形成されるが、これに限らず金属素材でもよく、
図3に示すように、外形は化粧パネル3の前面方向に緩やかに膨らむ円弧状をした板体とフランジ31からなる内側形状に合わせた板体と、同板体の周囲を本体側に立設させたフランジ41からなり、上面のフランジ41には、化粧パネル3の係止孔32に間隔を合わせた係止用突起42が設けられ、底面のフランジ41は、化粧パネル3の係止爪33に間隔を合わせた係止孔43が設けられ、さらに底面のフランジ41は本体側に延伸し、本体側縁部に均等に間隔を開けて複数箇所に下部飾り板受け部44が突設されている。
また、パネルホルダ4は、背面側に室内機本体と連結して室内機の運転に合わせて開閉するとともに、着脱自在に支持する開閉機構を構成する第1パネルアーム60と第2パネルアーム61の先端を軸支している。第1パネルアーム60の一方の先端はパネルホルダ4の中央と左右端近傍に3箇所取り付けられ、他方の先端は本体側と軸支され、第2パネルアーム61の一方の先端はパネルホルダ4の左右端近傍の第1パネルアーム60よりも上方に2箇所取り付けられ、他方の先端は、室内機本体10内に設けられた駆動装置に連携されている。
【0018】
遮光シート5は白色系不透明のポリプロピレン樹脂材を厚さ約300ミクロンのシート状に加工したものであり、表面には光沢を有し、反射性が高く、外形は化粧パネル3とほぼ同じ大きさに加工されている。また、遮光シート5はポリプロピレン樹脂材に限らず、紙等を原料にした半透明の素材でも可能である。
【0019】
開閉パネル2の組み立ては、化粧パネル3のフランジ31の内側に遮光シート5を挟んでパネルホルダ4のフランジ41を嵌合しながら、化粧パネル3の係止孔32にパネルホルダ4の係止用突起42を係止する。同様にパネルホルダ4の係止孔43に化粧パネル3の係止爪33を係止する。
次に、化粧パネル3の係止爪33とパネルホルダ4の係止孔43を覆い隠すように下方から下部飾り板7の係止爪71を、パネルホルダ4の下部飾り板受け部44に係止する。
【0020】
図4(a)は開閉パネル2の断面図であり、
図4(b)は
図4(a)のX部を拡大した図である。化粧パネル3は前述したように透明ABS樹脂材で形成され、前面側からフランジ21の表面にかけて成形金型を腐食加工することで施される細かいシボ面34を有し、背面側には本体側に向かって突設した幅wが約1mmで角部に半径約0.3mmの円弧を付けて高さhが約0.4mmの凸形状のローレット35を設ける。ローレット35は
図1および
図2に示すように化粧パネル3の両端近傍まで延びた横長形状でなり、複数のローレット35が化粧パネル3の背面全面に縦方向に平行に設けられている。
また、化粧パネル3の背面側からフランジ31の裏面側までの背面全域にかけて、パール、雲母等の微粒子を透明塗料に混ぜたパール塗装層36が形成されている。パール塗装層36は主に透明塗料からなるため多少前面側に塗料が食み出しても目立たたず、従来例の加飾層(塗装)よりも歩留まりが良くなり、塗料が食み出した部分も容易に修正が効くため化粧パネル自体を無駄にしなくてもよい。
【0021】
ローレット35を設けた化粧パネル3に遮光シート5とパネルホルダ4を組み合わせると、化粧パネル3は、ローレット35が遮光シート5と当接され、ローレット35以外の部分が遮光シート5と当接されないことでローレット35の奥行き分の空気層8が形成される。また、必ずしもローレット35が全て遮光シート5と当接されなくとも良く、一部のローレット35で遮光シート5を抑えれば良い。
【0022】
室内機1を室内に設置した場合に、室内機1に当たる照明や太陽光の入射光Lは、横方向に延びたローレット35の凸形状内部で乱反射する。乱反射した光は前面側に設けたシボ面34でさらに散乱することで明るさを増し、これを使用者が室内空間から見あげると、
図5に示すように帯状の光として認識される。化粧パネル3は前面方向に緩やかに膨らむ円弧状であり、その前面に複数のローレット35が縦方向に平行して設けられていることから、ローレット35は円弧状に合わせ入射光Lを角度を変えて受けることになり、単一な帯状の光ではなくローレット35aのように細い線状の光や、ローレット35bのようにやや太い帯状の光に変化をする。見る者に単一でない変化する光を感じさせることで手込感を印象付け高級感を与えることができる。
【0023】
また、ローレット35を通過した光や、ローレット35の無い面を通過した入射光Lは、パール塗装層36の入射光をいくつもの反射光として返す性質と、反射性を有する遮光シート5により空気層8内で乱反射する。乱反射した光は化粧パネル全体を明るく輝かせるとともに背面側からローレット35をより光らせる効果を生む。パール塗装は真珠のような光沢感も化粧パネル3に与える。反射光はシボ面34で散乱することで影となる部分が軽減され、より明るく視認される。
【0024】
図1の運転停止時に、運転開始の指示が空気調和機に伝えられると、駆動装置が回動を開始し合わせて第2パネルアーム61が回動し開閉パネル2を前方へ移動させる。開閉パネル2が移動すると第1パネルアーム60も回動して開閉パネル2を支える。第1パネルアーム60と第2パネルアーム61の2箇所を軸支している開閉パネル3は速やかに開かれ、
図1の運転停止時の位置から、前方やや上で下方に傾いた
図2の位置に移動して、前面の吸込口11から空気を吸い込む。合わせて風向板12も所定の位置に回動され、熱交換器内の冷媒と熱交換された空気を吹き出す。
この時、化粧パネル3のローレット35に当たる入射光Lは徐々に角度を変えることになり、その間視認されるローレット35から発生する光の帯の状態が徐々に変化することになり、視覚的に運転が始まったことを認識させることができる。また、運転時は使用者の位置から見あげると、運転停止時よりもより使用者の方向に開閉パネル2が傾いていることから、使用者側向かって光が反射することになり、より明るく輝いた開閉パネル2を印象づける。これにより表示部で確認しなくても、一目見て運転中であることを認識させることが可能となり、使い勝手も向上させることができる。