(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ステータコアの各スロットに交互に挿通されるコイル辺部と、前記コイル辺部と一体に形成されて前記コイル辺部の同一側端部を接続するコイル端部と、を有するコイル導体がヘリカル状につながり波巻き構成となるように巻装されて3相の相コイルがY結線されているヘリカル巻シート状コイルであって、
前記3相のうちの1相の前記相コイルの相端子及び中性点端子は、スロット開口部側から引き出され、
残りの2相の前記相コイルの相端子及び中性点端子は、スロット底部側から引き出されており、
前記3相の前記相端子を前記ステータコアの外周側にそれぞれ引き出す引き出し線とコイル辺部方向視面上で交差しないで前記3相の前記中性点端子が接続されて中性点が形成されており、
前記3相の前記相端子及び前記中性点端子は、可動子磁極の移動方向の直近のコイル辺部から引き出されていることを特徴とするヘリカル巻シート状コイル。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態について共通の箇所には共通の符号を付して対応させることにより重複する説明を省略する。なお、各図は概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
【0019】
(1)第1実施形態
(1−1)ヘリカル巻シート状コイル
図1は、ヘリカル巻シート状コイルの1相の単位コイル分を示す模式図である。(b)は、コイル導体が巻芯に巻装された状態を示しており、(c)は、(b)において、巻芯を取り除いた状態を示している。(d)は、紙面奥側(A側)のコイル導体の巻装状態(B側からの透視図)を示しており、(e)は、紙面手前側(B側)のコイル導体の巻装状態を示している。
【0020】
図1の実線は、巻線ピッチS10の位置から6巻線ピッチ(1磁極ピッチ)毎にコイル導体が巻装された状態を示している。実線で示すコイルユニット1aは、巻線ピッチS10の位置において、紙面手前側(B側)から紙面奥側(A側)の方向に巻装されており、巻線ピッチS10、S16、S22、S28及びS34において、コイルユニット1aは、巻芯の短手方向(巻芯軸に垂直な方向)に直線状に延びるコイル辺部10aが形成されている。
図1のB側からA側に向けてコイル導体が巻装されるときに形成されるコイル辺部10aを往き導体部11aと呼称し、A側からB側に向けて巻装されるときに形成されるコイル辺部10aを還り導体部12aと呼称する。往き導体部11a及び還り導体部12aの同一側端部は、コイル辺部10aと一体に形成されるコイル端部20aによって接続されている。コイル端部20aは、巻線ピッチS13、S19、S25、S31及びS37において巻き曲げられて、巻き曲げ部21aがそれぞれ形成されている。
【0021】
図1に示すように、本明細書では、半磁極ピッチ分のコイル端部20aと、往き導体部11aと、1磁極ピッチ分のコイル端部20aと、還り導体部12aと、半磁極ピッチ分のコイル端部20aと、を有するコイル導体をコイル要素4aと呼称する。コイル要素4aが2磁極ピッチ毎に巻芯の長手方向(巻芯軸方向)に配されて接続された状態のコイル導体をコイルユニット1aと呼称する。
【0022】
図1の破線は、実線で示すコイルユニット1aと同様に、巻線ピッチS10の位置から6巻線ピッチ(1磁極ピッチ)毎にコイル導体が巻装された状態を示している。破線で示すコイルユニット1bは、巻線ピッチS10の位置において、紙面奥側(A側)から紙面手前側(B側)の方向に巻装されている点が実線で示すコイルユニット1aと異なる。破線で示すコイルユニット1bは、実線で示すコイルユニット1aと同様に巻線ピッチS10、S16、S22、S28及びS34においてコイル辺部10bが形成されており、コイル辺部10bは、往き導体部11b及び還り導体部12bからなる。また、往き導体部11b及び還り導体部12bの同一側端部は、コイル辺部10bと一体に形成されるコイル端部20bによって接続されている。コイル端部20bは、巻線ピッチS13、S19、S25、S31及びS37において巻き曲げられて、巻き曲げ部21bがそれぞれ形成されている。
【0023】
コイルユニット1aと同様に、本明細書では、半磁極ピッチ分のコイル端部20bと、往き導体部11bと、1磁極ピッチ分のコイル端部20bと、還り導体部12bと、半磁極ピッチ分のコイル端部20bと、を有するコイル導体をコイル要素4bと呼称する。コイル要素4bが2磁極ピッチ毎に巻芯の長手方向(巻芯軸方向)に配されて接続された状態のコイル導体をコイルユニット1bと呼称する。実線で示すコイルユニット1aと破線で示すコイルユニット1bは、シート厚さ方向に対をなしている。
【0024】
コイルユニット1aのコイル辺部10aとコイルユニット1bのコイル辺部10bとが紙面垂直方向に隣接して密着するように加圧成形すると、コイル辺部10a及びコイル辺部10bは、巻芯の長手方向(巻芯軸方向)に2層に亘って2磁極ピッチずつ離間された状態で整列する。紙面奥側(A側)に形成されるコイル辺部10a及びコイル辺部10bを第1層と呼称し、紙面手前側(B側)に形成されるコイル辺部10a及びコイル辺部10bを第2層と呼称する。
図1(a)及び(f)は、(b)に示すC側視又はD側視の第1層及び第2層におけるコイル導体の層渡り状態を示している。これらの図では、層間を接続する部分が最短となるようにコイル導体の層渡り状態を模式的に図示している。なお、コイルユニット1a、1bがステータコアに取り付けられた際には、
図1に示す巻芯の長手方向(巻芯軸方向)は、可動子磁極の移動方向に相当する。
【0025】
図2は、ヘリカル巻シート状コイルの3相分を示す模式図である。
図2は、
図1の(a)〜(f)にそれぞれ対応しており、
図2に示す巻線ピッチSは、
図1に示す巻線ピッチSに対応している。
図3は、
図2のAA−AA断面図を示している。本実施形態では、同一スロット内で隣接する実線で示すコイル要素4aと破線で示すコイル要素4bとを一対として、一対のコイル要素4a、4bが2磁極ピッチ毎に巻芯の長手方向(巻芯軸方向)に配されている。例えば、
図2及び
図3に示すように、巻線ピッチS10の第2層と巻線ピッチS16の第1層との間でコイル要素4aが形成され、これと対になるコイル要素4bは、巻線ピッチS10の第1層と巻線ピッチS16の第2層との間で形成されている。同様にして、1巻線ピッチ進んだ巻線ピッチS11の第2層と巻線ピッチS17の第1層との間でコイル要素4aが形成され、これと対になるコイル要素4bは、巻線ピッチS11の第1層と巻線ピッチS17の第2層との間で形成されている。
【0026】
本実施形態では、同一スロット内で隣接するコイル要素4a、4bを一対として、コイル要素4a、4bが2磁極ピッチ毎に可動子磁極の移動方向に配されているので、可動子磁極の移動方向のコイル要素4a、4b間の相対的な位置関係を保持することができる。さらに、厚さ方向に2層に形成されるコイル辺部10a、10bの異なる層に配される往き導体部11a、11b及び還り導体部12a、12bは、コイル端部20a、20bによってヘリカル状につながり波巻き構成となるように順に接続されてコイルユニット1a、1bが形成されているので、コイル端部20a、20bにて構成導体毎に整列して規則正しく層間を渡らせることができる。そのため、コイル端部20a、20b同士の重なりを3次元的に、きめ細かく回避することができ、コイル端部20a、20bの占積率が向上してコイル端部20a、20bの占有スペースを小さくすることができる。また、コイル端部20a、20bを短くしてコンパクトにできるので、漏れリアクタンスを減少させることができる。さらに、コイル辺部10a、10bがつなぎ替えられる可動子磁極の移動方向のシート端部を除いて、全節巻の波巻き構成となるように巻装されているので、全節巻部分のコイル端部高さを均一にすることができる。
【0027】
次に、ヘリカル巻シート状コイルの巻線について説明する。本実施形態では、巻線の導体表面がエナメルなどの絶縁層で被覆されている。巻線の断面形状は、特に限定されるものではなく、任意の断面形状とすることができる。例えば、断面円形状の丸線、断面多角形状の角線などの種々の断面形状の巻線を用いることができる。また、複数のより細い巻線素線を組み合わせたものでも良い。コイルユニット1a、1bは、例えば、巻芯に巻線をヘリカル状に巻装して成形することができる。巻線は、1本毎に巻芯に巻装しても複数本を同時に巻装しても良い。巻線ピッチSを確保するために、巻芯にピンや溝等を設けて、ピンや溝をガイドにして巻装することもできる。そして、
図2に示すように、すべての巻線を巻装後に巻芯を巻線から取り除き、一対のコイルユニット1a、1bを形成するコイル辺部10a及び10bが紙面垂直方向に隣接して密着するように加圧成形する。加圧成形の際に巻線が損傷する場合を考慮して、加圧成形後に補修用樹脂コーティング等を施しても良い。
【0028】
(1−2)相構成
本実施形態では、
図3に示すように、可動子磁極の移動方向に、U相(順方向U1)、U相(順方向U2)、W相(逆方向W1)、W相(逆方向W2)、V相(順方向V1)、V相(順方向V2)、U相(逆方向U1)、U相(逆方向U2)の順にコイルが形成されている。本実施形態では、同相のコイルユニット1a、1bが可動子磁極の移動方向に2本隣接しており、同相コイルの巻線単位は4本からなる。同相のコイルユニット1a、1b、1a、1bは、3相回転電機の駆動時に流れる電流方向が一致するように接続されており、12本の巻線単位からなる3相巻線が構成されている。なお、同図に示すように、可動子磁極の移動方向の隣接する各コイル辺部間は、ステータコアの磁極歯部を収容可能に所定間隔1W離間されている。
【0029】
同図に示すように、X1相(XはU、V、Wのいずれか。以下同じ。)のコイル辺部とX2相のコイル辺部は、可動子磁極の移動方向に1巻線ピッチ分、離間しているので、X1相のコイルユニット1a、1bとX2相のコイルユニット1a、1bは、可動子磁極の移動方向に1巻線ピッチ分、離間している。仮に、X1相のコイルユニット1a、1bを直列接続して相単位コイル5X1を形成し、X2相のコイルユニット1a、1bを直列接続して相単位コイル5X2を形成し、相単位コイル5X1、5X2を並列接続して、相コイル6Xを形成する場合を想定する。この場合、相単位コイル5X1、5X2は可動子磁極の移動方向に1巻線ピッチ分、離間しているので、相単位コイル5X1、5X2に発生する誘起電圧は、同相(X相)ではあるが、正確には位相が異なる。これを本明細書では、「電磁気的に位相が異なる」という。そのため、相単位コイル5X1、5X2にそれぞれ発生する誘起電圧が異なり、相内循環電流が生じて3相回転電機の出力が低下する。
【0030】
図4は、ヘリカル巻シート状コイルの相構成を示す模式図である。
図5は、
図4におけるU相コイルの接続状態を示す模式図である。本実施形態では、X1相のコイルユニット1aと、X2相のコイルユニット1bと、が直列接続されて相単位コイル5X1が形成されている。また、X2相のコイルユニット1aと、X1相のコイルユニット1bと、が直列接続されて相単位コイル5X2が形成されている。相単位コイル5X1、5X2は並列接続されて、相コイル6Xが形成されている。同図では、X相端子を5TXで示し、中性点を5Nで示している。
【0031】
例えば、所定時刻において、X1相のコイル辺に発生する誘起電圧がX2相のコイル辺に発生する誘起電圧と比べて高いと仮定する。この場合、誘起電圧が相対的に高いX1相のコイルユニット1aと、誘起電圧が相対的に低いX2相のコイルユニット1bと、が直列接続されて相単位コイル5X1が形成される。また、誘起電圧が相対的に低いX2相のコイルユニット1aと、誘起電圧が相対的に高いX1相のコイルユニット1bと、が直列接続されて相単位コイル5X2が形成される。そのため、相単位コイル5X1の巻線端部間に発生する誘起電圧を5E1とし、相単位コイル5X2の巻線端部間に発生する誘起電圧を5E2とすると、誘起電圧5E1、5E2は等しくなり、X相内に循環電流は生じない。そのため、相内循環電流によって3相回転電機の出力が低下することなく、3相回転電機の出力維持を図ることができる。このことは、X1相のコイル辺に発生する誘起電圧がX2相のコイル辺に発生する誘起電圧と比べて低い場合についても同様に言える。また、本実施形態では、相単位コイル6Xの周方向長がステータの周方向長の自然数倍になるステータ周倍の波巻き構成になっている。そのため、例えば、ロータの偏芯等によって界磁磁束にばらつきが生じても、相コイル6Xには、相順に120°(電気角)の位相差を有する略均等な誘起電圧が発生する。したがって、相間の内部循環電流によって3相回転電機の出力が低下することなく、3相回転電機の出力維持を図ることができる。
【0032】
また、本実施形態では、相単位コイル5X1、5X2が並列接続されているので、直列接続の場合と比べて巻線の素線断面積を半減させることができ、コイル導体部に発生する渦電流損を低減させることができる。さらに、コイル成形に要する力を小さくすることができるので、成形性が向上してコイル製作が容易になり、ステータコアへの組付け作業等の作業性も向上する。
【0033】
(1−3)シート端部
図6は、シート端部の構成を示す模式図である。同図は、シート厚さ方向視におけるシート端部の巻線の接続状態を示している。(a)〜(c)は、順にU相〜W相の1相分の接続状態を示しており、(d)は、3相分の接続状態を示している。同図では、コイルユニット1a、1bは、説明の便宜上、実線及び破線により区別して記載されているが、実際は一体に形成されている。図中の丸数字は、相端子5TXから中性点端子5NXまでの巻線の接続順を示している。相単位コイル5X1、5X2は並列接続されているので、説明の便宜上、相単位コイル5X1の巻線の接続順を1番から始まる丸数字で示し、相単位コイル5X2の巻線の接続順を100番から始まる丸数字で示している。以下、同図(a)に基づいてU相を例に説明するが、V相についても同様である。
【0034】
相単位コイル5U1は、U相端子5TUを起点にして紙面右方向に巻装された後(実線で示すU1相のコイルユニット1aに相当。丸数字1〜5)、コイル引回し点5RU1で巻き返されて紙面左方向に巻装されており(破線で示すU2相のコイルユニット1bに相当。丸数字6〜11)、中性点端子5NUに接続されている。相単位コイル5U2は、U相端子5TUを起点にして紙面右方向に巻装された後(実線で示すU2相のコイルユニット1aに相当。丸数字100〜104)、コイル引回し点5RU2で巻き返されて紙面左方向に巻装されており(破線で示すU1相のコイルユニット1bに相当。丸数字105〜110)、中性点端子5NUに接続されている。
【0035】
次に、同図(c)に基づいてW相について説明する。相単位コイル5W1は、W相端子5TWを起点にして紙面左方向に巻装された後(破線で示すW1相のコイルユニット1bに相当。丸数字1〜5)、コイル引回し点5RW1で巻き返されて紙面右方向に巻装されており(実線で示すW2相のコイルユニット1aに相当。丸数字6〜11)、中性点端子5NWに接続されている。相単位コイル5W2は、W相端子5TWを起点にして紙面左方向に巻装された後(破線で示すW2相のコイルユニット1bに相当。丸数字100〜105)、コイル引回し点5RW2で巻き返されて紙面右方向に巻装されており(実線で示すW1相のコイルユニット1aに相当。丸数字106〜110)、中性点端子5NWに接続されている。同図に示すコイル構成を成立させる巻装順は、U相、V相及びW相の順に巻装する巻装順や、U相、W相及びV相の順に巻装する巻装順が挙げられる。前者の場合、W相の中性点端子5NWは、W相の巻装後にV相のコイル辺部のつなぎ替えを行うシート端部をくぐらせる。後者の場合、V相の中性点端子5NVは、V相の巻装後にW相のコイル辺部のつなぎ替えを行うシート端部をくぐらせる。なお、後述するように、中性点端子5NU、5NV、5NWは、接続されて中性点5Nが形成される。
【0036】
本実施形態では、可動子磁極の移動方向のシート端部において、コイル辺部のつなぎ替えを行うことができるので、コイル製作が容易であり、作業性が向上する。また、コイル辺部をつなぎ替える同相のコイル端部がシート厚さ方向に積み重ならないので、コイル辺部のつなぎ替えを行うコイル端部をコンパクトにすることができる。さらに、本実施形態では、コイルユニット1a、1bが一体に形成されているので、コイル引回し点5RX1、5RX2において、巻線の接続点を有しない。そのため、コイルユニット1a、1bを別体に形成して接続する場合と比べて、コイル引回し点5RX1、5RX2近傍のコイル端部をコンパクトにすることができる。
【0037】
例えば、同図(a)に示すように、ステータコアのスロット収容部からコイル引回し点5RU1、5RU2までのコイル端部高さを、それぞれ5H1、5H2とすると、コイル端部高さ5H2は、コイル端部高さ5H1と比べて低いので、コイル引回し点5RU1、5RU2近傍の同相の巻線同士がシート厚さ方向にもコイル端部高さ方向にも交差しない。そのため、コイル辺部のつなぎ替えを行うコイル端部をコンパクトにすることができる。さらに、コイル引回し点5RU1、5RU2近傍の巻線は、可動子磁極の移動方向である同図(a)に示す矢印5P方向に略平行でコイル辺部方向にずらして配されているので、コイル辺部のつなぎ替えを行うコイル端部のコイル辺部方向高さを他のコイル端部と略同じ高さにすることができる。したがって、コイル端部のコイル辺部方向高さを均一にすることができる。V相及びW相についても同様である。
【0038】
(1−4)ステータコアへの装着
次に、ステータコアへのヘリカル巻シート状コイルの装着方法を説明する。
図7は、ヘリカル巻シート状コイルがステータコアの径方向に巻き重ねられている状態を示す模式図である。同図は、ヘリカル巻シート状コイル3をコイル始端部3Sから巻き始めて、コイル終端部3Eまでステータコア71に巻き重ねた状態を示している。本実施形態では、2層からなるヘリカル巻シート状コイル3がステータコア71の径方向に巻き重ねられており、ロータ及びステータが径方向に同芯に配されるラジアル型の円筒状3相回転電機として用いることができる。
【0039】
ステータコア71にヘリカル巻シート状コイル3を装着する場合には、まず、ヘリカル巻シート状コイル3を渦巻き状に巻き上げて、ステータコア71の内周側に収容し、渦巻き状ヘリカル巻シート状コイル3の外周側シート(コイル始端部3S側)から巻きほどきながらステータコア71に取り付ける。ステータコア71にヘリカル巻シート状コイル3を装着後は、相端子5TXにおける接合及び引き出し処理並びに中性点端子5NXにおける接合及び接続を行う。そして、3相分の接合後に接合部を絶縁処理して、ワニスの含浸、樹脂モールド等によって巻線をステータコア71に固定する。
【0040】
図8は、軸方向視におけるヘリカル巻シート状コイルの相端子及び中性点端子の配置を模式的に示す説明図である。(a)は、相端子及び中性点端子の配置を示しており、(b)は、相端子及び中性点端子が配される領域を示している。(b)は、円周状に表記された(a)を直線化して表示したものである。
図6に示すように、コイル始端部3S側には、相端子5TU、5TV及び中性点端子5NU、5NVが配されている。一方、コイル終端部3E側には、相端子5TW及び中性点端子5NWが配されている。
図7に示すように、ヘリカル巻シート状コイル3をステータコア71の径方向に巻き重ねると、
図6に示すA部とB部が径方向に対向する。したがって、スロット底部側(コイル始端部3S側)には、相端子5TU、5TV及び中性点端子5NU、5NVが配され、スロット開口部側(コイル終端部3E側)には、相端子5TW及び中性点端子5NWが配される。なお、
図6の破線で示す円で囲まれる相端子5TW及び中性点端子5NWは、A部とB部が径方向に対向するときのスロット底部側(コイル始端部3S側)における位置を模式的に示したものである。
【0041】
図8(a)は、
図6に示すA部とB部が径方向に対向するときの軸方向視における相端子及び中性点端子の配置を模式的に示したものである。なお、同図では、相端子5TWは、コイル終端部3E側からコイル始端部3S側へ引き出されており、中性点端子5NU、5NV、5NWが接続されて中性点5Nが形成されている。同図(b)に示すように、本実施形態では、相端子5TU、5TV、5TWをステータコア71の外周側にそれぞれ引き出す引き出し線とコイル辺部方向視面上で交差しないで、中性点端子5NU、5NV、5NWが接続されて中性点5Nが形成されているので、ステータコア71の軸方向片側において、相端子5TU、5TV、5TWが配される領域Aと、中性点端子5NU、5NV、5NWが配される領域Bと、をステータコア71の周方向に分離することができる。そのため、相端子5TU、5TV、5TWをステータコア71の外周側にそれぞれ引き出す際及び中性点端子5NU、5NV、5NWを接続して中性点5Nを形成する際の作業性が向上する。
【0042】
また、コイル始端部3Sが着底するスロット底部から相端子5TU、5TV、5TW及び中性点端子5NU、5NVまでの径方向寸法を5Rとすると、径方向寸法5Rは、
図15(c)に示す径方向寸法9Rと比べて小さくすることができる。さらに、相端子5TU、5TV、5TW及び中性点端子5NU、5NV、5NWの径方向位置を内周側のコイル端部に寄せて配置することができるので、配策を含めた電機子コイル部を小さくすることができ、3相回転電機を小型化、低コスト化することができる。
【0043】
本実施形態では、3相の相端子5TU、5TV、5TW及び中性点端子5NU、5NV、5NWは、可動子磁極の移動方向の直近のコイル辺部から引き出されている。これにより、相端子5TU、5TV、5TWとコイル辺部とをつなぐ引き出し線及び中性点端子とコイル辺部とをつなぐ接続線を短くすることができる。そのため、これらの引き出し線及び接続線を配策するためのスペースを小さくすることができ、3相回転電機を小型化、低コスト化することができる。なお、同図では、コイル辺部を黒丸で示し、直近のコイル辺位置を破線で囲まれる領域で示している。
【0044】
図9は、シート端部の斜視図である。
図10は
図9の軸方向視図である。相端子5TW及び中性点端子5NWは、スロット開口部側(コイル終端部3E側)から引き出されるので、相端子5TW及び中性点端子5NWは、スロット開口部側からスロット底部側へ配策される渡り線によって、それぞれスロット底部側へ引回しされている。渡り線のスロット収容部からの高さは、コイル端部高さ5H1より高くなっており、渡り線とコイル端部20との交差を回避することができる。
【0045】
(2)第2実施形態
本実施形態は、第1実施形態と比べて、シート端部が異なる。
図11は、シート端部の構成を示す模式図である。
図11に示すシート端部の構成は、
図6に示すシート端部の構成と比べて、W相においてコイルユニット1a、1bの接続点を有する点が異なる。
図11の(a)〜(d)は、
図6の(a)〜(d)にそれぞれ対応している。U相及びV相は、第1実施形態と同様であるので、以下、(c)に基づいてW相について説明する。同図(c)中の丸数字は、接続点5JW1、5JW2から相端子5TW又は中性点端子5NWまでのコイルユニット1a、1bの巻線の接続順を示している。説明の便宜上、W1相のコイルユニット1aの巻線の接続順を10番から始まる丸数字で示し、W2相のコイルユニット1aの巻線の接続順を20番から始まる丸数字で示す。そして、W1相のコイルユニット1bの巻線の接続順を30番から始まる丸数字で示し、W2相のコイルユニット1bの巻線の接続順を40番から始まる丸数字で示す。
【0046】
W1相のコイルユニット1aは、接続点5JW2を起点にして紙面右方向に巻装されており、中性点端子5NWに接続されている(丸数字10〜15)。W2相のコイルユニット1aは、接続点5JW1を起点にして紙面右方向に巻装されており、中性点端子5NWに接続されている(丸数字20〜25)。W1相のコイルユニット1bは、接続点5JW1を起点にして紙面右方向に巻装されており、相端子5TWに接続されている(丸数字30〜34)。W2相のコイルユニット1bは、接続点5JW2を起点にして紙面右方向に巻装されており、相端子5TWに接続されている(丸数字40〜45)。接続点5JW1において、W1相のコイルユニット1bと、W2相のコイルユニット1aと、が直列接続されて相単位コイル5W1が形成されている。接続点5JW2において、W2相のコイルユニット1bと、W1相のコイルユニット1aと、が直列接続されて相単位コイル5W2が形成されている。
【0047】
本実施形態では、W相のコイルユニット1a、1bの巻始め位置(接続点5JW1、5JW2)を揃えてW相の巻装を行う。これにより、U相及びV相と比べて始終端位置が異なるW相のコイルユニット1a、1bをU相及びV相のコイルユニット1a、1bと同時に巻装することができる。なお、W相のコイルユニット1a、1bは、3相分の巻装後に接続点5JW1、5JW2における接合処理を行う必要がある。接続点5JW1、5JW2における接合処理は、紙面奥側のスロット底部より外周側に引き出して行う。また、本実施形態では、第1実施形態と同様に可動子磁極の移動方向のシート端部において、コイル辺部のつなぎ替えを行うことができるので、コイル製作が容易であり、作業性が向上する。さらに、コイル辺部をつなぎ替える同相のコイル端部がシート厚さ方向に積み重ならないので、コイル辺部のつなぎ替えを行うコイル端部をコンパクトにすることができる。
【0048】
(3)第3実施形態
本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態と比べて、シート端部が異なる。
図12は、シート端部の構成を示す模式図である。
図12に示すシート端部の構成は、
図11に示すシート端部の構成と比べて、W相に加えてU相及びV相においてもコイルユニット1a、1bの接続点を有する点が異なる。
図12の(a)〜(d)は、
図6の(a)〜(d)及び
図11の(a)〜(d)にそれぞれ対応している。W相については、第2実施形態と同様であるので、以下、(a)に基づいてU相について説明する。V相はU相と同様である。図中の丸数字は、相端子5TUから中性点端子5NUまでの巻線の接続順を示している。説明の便宜上、相単位コイル5U1の巻線の接続順を1番から始まる丸数字で示し、相単位コイル5U2の巻線の接続順を100番から始まる丸数字で示している。
【0049】
U1相のコイルユニット1aは、U相端子5TUを起点にして紙面右方向に巻装されている(丸数字1〜5)。U1相のコイルユニット1aは、接続点5JU1において、U2相のコイルユニット1bと接続されている。U2相のコイルユニット1bは、接続点5JU1で巻き返されて紙面左方向に巻装されており(丸数字6〜11)、中性点端子5NUに接続されている。これにより、U1相のコイルユニット1aと、U2相のコイルユニット1bと、が直列接続されて相単位コイル5U1が形成される。
【0050】
U2相のコイルユニット1aは、U相端子5TUを起点にして紙面右方向に巻装されている(丸数字100〜104)。U2相のコイルユニット1aは、接続点5JU2において、U1相のコイルユニット1bと接続されている。U1相のコイルユニット1bは、接続点5JU2で巻き返されて紙面左方向に巻装されており(丸数字105〜110)、中性点端子5NUに接続されている。これにより、U2相のコイルユニット1aと、U1相のコイルユニット1bと、が直列接続されて相単位コイル5U2が形成される。
【0051】
本実施形態では、U相及びV相と比べて始終端位置が異なるW相のコイルユニット1a、1bをU相及びV相のコイルユニット1a、1bと同時に巻装することができる。そして、3相分の巻装後に接続点5JU1、5JU2、5JV1、5JV2、5JW1、5JW2における各接合処理を行う。本実施形態では、巻装工程がシンプルであり、巻装工程における作業性が向上する。また、本実施形態では、第1実施形態及び第2実施形態と同様に可動子磁極の移動方向のシート端部において、コイル辺部のつなぎ替えを行うことができるので、コイル製作が容易であり、作業性が向上する。さらに、コイル辺部をつなぎ替える同相のコイル端部がシート厚さ方向に積み重ならないので、コイル辺部のつなぎ替えを行うコイル端部をコンパクトにすることができる。
【0052】
(4)第4実施形態
本実施形態は、第1実施形態〜第3実施形態と比べて、毎極毎相4個のコイル辺種類を有する点が異なる。つまり、本実施形態に係るヘリカル巻シート状コイルは、可動子磁極の移動方向に1巻線ピッチずつ離間する同相のX1相〜X4相のコイル辺部を有している。
図13は、毎極毎相4個のコイル辺種類を有するヘリカル巻シート状コイルのU相コイルの接続状態の一例を示す模式図である。符号番号が付されていない図中の白丸は、相単位コイル5U1、5U2の巻始め端を示し、黒丸は、相単位コイル5U1、5U2の巻終り端を示している。以下、U相を例に説明するが、V相についても同様である。
【0053】
相単位コイル5U1は、U1相のコイルユニット1a、U2相のコイルユニット1b、U3相のコイルユニット1a及びU4相のコイルユニット1bが直列接続されている。U1相のコイルユニット1aは、相端子5TUを起点にして紙面右方向に巻装されており、シート一端側で巻き返されて、U2相のコイルユニット1bと接続されている。U2相のコイルユニット1bは、紙面左方向に巻装されており、シート他端側で巻き返されて、U3相のコイルユニット1aと接続されている。U3相のコイルユニット1aは、紙面右方向に巻装されており、シート一端側で巻き返されて、U4相のコイルユニット1bと接続されている。U4相のコイルユニット1bは、紙面左方向に巻装されており、シート他端側で中性点端子5NUに接続されている。
【0054】
相単位コイル5U2は、U4相のコイルユニット1a、U3相のコイルユニット1b、U2相のコイルユニット1a及びU1相のコイルユニット1bが直列接続されている。U4相のコイルユニット1aは、相端子5TUを起点にして紙面右方向に巻装されており、シート一端側で巻き返されて、U3相のコイルユニット1bと接続されている。U3相のコイルユニット1bは、紙面左方向に巻装されており、シート他端側で巻き返されて、U2相のコイルユニット1aと接続されている。U2相のコイルユニット1aは、紙面右方向に巻装されており、シート一端側で巻き返されて、U1相のコイルユニット1bと接続されている。U1相のコイルユニット1bは、紙面左方向に巻装されており、シート他端側で中性点端子5NUに接続されている。
【0055】
W相は、紙面右方向に巻始め端及び巻終り端を有し、コイルユニット1bを紙面右方向から紙面左方向へ巻始めて、コイルユニット1aを紙面右方向の巻終り端で巻き終る点がU相及びV相と異なる。例えば、相単位コイル5W1は、W1相のコイルユニット1b、W2相のコイルユニット1a、W3相のコイルユニット1b及びW4相のコイルユニット1aが直列接続される。W1相のコイルユニット1bは、相端子5TWを起点にして紙面左方向に巻装され、シート一端側で巻き返されて、W2相のコイルユニット1aと接続される。W2相のコイルユニット1aは、紙面右方向に巻装され、シート他端側で巻き返されて、W3相のコイルユニット1bと接続される。W3相のコイルユニット1bは、紙面左方向に巻装され、シート一端側で巻き返されて、W4相のコイルユニット1aと接続される。W4相のコイルユニット1aは、紙面右方向に巻装され、シート他端側で中性点端子5NWに接続される。
【0056】
相単位コイル5W2は、W4相のコイルユニット1b、W3相のコイルユニット1a、W2相のコイルユニット1b及びW1相のコイルユニット1aが直列接続される。W4相のコイルユニット1bは、相端子5TWを起点にして紙面左方向に巻装され、シート一端側で巻き返されて、W3相のコイルユニット1aと接続される。W3相のコイルユニット1aは、紙面右方向に巻装され、シート他端側で巻き返されて、W2相のコイルユニット1bと接続される。W2相のコイルユニット1bは、紙面左方向に巻装され、シート一端側で巻き返されて、W1相のコイルユニット1aと接続される。W1相のコイルユニット1aは、紙面右方向に巻装され、シート他端側で中性点端子5NWに接続される。
【0057】
第1実施形態〜第3実施形態では、コイルユニット1a、1bがシート内を1回往復するように直列接続されて、相単位コイル5X1、5X2が形成されている。一方、本実施形態では、コイルユニット1a、1bがシート内を2回往復するように直列接続されて、相単位コイル5X1、5X2が形成されている。毎極毎相のコイル辺種類数をn(nは自然数)とすると、第1実施形態〜第3実施形態では、nは2であり、本実施形態では、nは4である。このように、毎極毎相のコイル辺種類数nが偶数であり、コイル導体がヘリカル状につながるヘリカル巻シート状コイルとして波巻き構成されていると、コイルユニット1a、1bをシート内でn/2回往復するように直列接続して、相単位コイル5X1、5X2を形成することができる。これにより、可動子磁極の移動方向のシート端部において、直列接続されるコイル辺部を隣接する同相の電磁気的に位相の異なるコイル辺部につなぎ替えることができる。そのため、コイル製作が容易であり、作業性が向上する。
【0058】
また、毎極毎相のコイル辺種類数nが偶数であり、コイルユニット1a、1bをシート内でn/2回往復するように直列接続して、相単位コイル5X1、5X2が形成されていると、相単位コイル5X1、5X2の巻始め端及び巻終り端は、ヘリカル巻シート状コイル3の同一側端部に設けることができる。そのため、相単位コイル5X1、5X2の巻始め端同士をつなぐ渡り線及び相単位コイル5X1、5X2の巻終り端同士をつなぐ渡り線を短くすることができる。
【0059】
(5)第5実施形態
本実施形態は、第1実施形態〜第4実施形態と比べて、可動子磁極の移動方向のヘリカル巻シート状コイルの両端部が重なり同芯円筒状を呈している点が異なる。
図14は、同芯円筒状のヘリカル巻シート状コイルを示す模式図である。(a)は、円筒化前のヘリカル巻シート状コイル両端部のコイル辺部の断面図を示し、(b)は、円筒化後の状態を示している。(c)は、3つのヘリカル巻シート状コイルを同芯円筒状に配したときのシート間の接続を示している。ヘリカル巻シート状コイル3の一端側は、同図(a)に示す領域Bで囲まれる6巻線ピッチ分のコイル辺部が第1層のみに形成されている。他端側は、領域Cで囲まれる6巻線ピッチ分のコイル辺部が第2層のみに形成されている。ヘリカル巻シート状コイル3の両端部を同図(a)に示す矢印方向に近接させると、同図(b)に示すようにヘリカル巻シート状コイル3は、同芯円筒状を呈する。
【0060】
ここで、例えば、同図(a)において、領域Bの順方向U1のコイル辺部を起点にして、領域Cの方向に順方向U1、逆方向U1、順方向U1、逆方向U1を繰り返し波巻でつなぎ、領域Cの順方向U2につなげる。そして、領域Bの方向に順方向U2、逆方向U2、順方向U2、逆方向U2を繰り返し波巻でつなぎ、領域Bに隣接する逆方向U2につなげる。また、領域Bの順方向U2のコイル辺部を起点にして、領域Cの方向に順方向U2、逆方向U2、順方向U2、逆方向U2を繰り返し波巻でつなぎ、領域Cの順方向U1につなげる。そして、領域Bの方向に順方向U1、逆方向U1、順方向U1、逆方向U1を繰り返し波巻でつなぎ、領域Bに隣接する逆方向U1につなげる。次に、同図(b)において、領域Bで囲まれる順方向U1、順方向U2のコイル辺部に相端子5TUを接続し、領域Bに隣接する逆方向U1、逆方向U2のコイル辺部に中性点端子5NUを接続する。V相についても同様である。
【0061】
W相は、同図(a)において、領域Cの直近の順方向W1のコイル辺部を起点にして、領域Bの方向に順方向W1、逆方向W1、順方向W1、逆方向W1を繰り返し波巻でつなぎ、領域Bの逆方向W1を経由して領域Bの直近の順方向W2につなげる。そして、領域Cの方向に順方向W2、逆方向W2、順方向W2、逆方向W2を繰り返し波巻でつなぎ、領域Cの逆方向W2につなげる。また、領域Cの直近の順方向W2のコイル辺部を起点にして、領域Bの方向に順方向W2、逆方向W2、順方向W2、逆方向W2を繰り返し波巻でつなぎ、領域Bの逆方向W2を経由して領域Bの直近の順方向W1につなげる。そして、領域Cの方向に順方向W1、逆方向W1、順方向W1、逆方向W1を繰り返し波巻でつなぎ、領域Cの逆方向W1につなげる。次に、同図(b)において、領域Cの直近の順方向W1、順方向W2のコイル辺部に相端子5TWを接続し、領域Cの逆方向W1、逆方向W2のコイル辺部に中性点端子5NWを接続する。これにより、第1実施形態〜第4実施形態と同様に各相内の循環電流の発生を防止することができる。
【0062】
また、複数のヘリカル巻シート状コイル3を同芯円筒状に配することもできる。その場合は、各ヘリカル巻シート状コイル3の各相端部を相毎に直列接続又は並列接続して、中性点端子をまとめれば良い。例えば、3つのヘリカル巻シート状コイル3、3、3を同芯円筒状に配して直列接続する場合を考える。同図(c)に示す白丸は、各相コイルの巻始め端を示し、黒丸は、各相コイルの巻終り端を示している。同図(c)に示すように、最外周に配されるヘリカル巻シート状コイル3(シート1と呼称する)の巻終り端と、シート1の内周側に配されるヘリカル巻シート状コイル3(シート2と呼称する)の巻始め端を接続する。これを最内周に配されるヘリカル巻シート状コイル3(シート3と呼称する)まで繰り返す。そして、シート3の巻終り端は、中性点5Nとしてまとめられる。これにより、各ヘリカル巻シート状コイル3の各相端部を接続する渡り線が交差することなく、配策することができる。なお、同図では、直近のコイル辺位置をそれぞれ破線で囲まれる領域で示している。
【0063】
(6)その他
本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。例えば、各実施形態では、相単位コイル5X1、5X2が並列接続されて相コイル6Xが形成されているが、相単位コイル5X1、5X2を直列接続して相コイル6Xを形成することもできる。また、本発明は、波巻き構成の種々の3相回転電機に用いることができ、例えば、車両用電動機や家庭用電器に用いられる電動機あるいは一般的な産業用機械を駆動する電動機に用いることができる。