(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2トランジスタから前記出力部に流れる電流が過大であることを検出して前記第2トランジスタをオフ状態に変化させ、前記第2トランジスタから前記出力部に流れる電流を制限する第3トランジスタをさらに備える、請求項1または2に記載の電源回路。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、以下の電源回路が記載されている。電源回路は、入力される交流電圧を整流する整流回路と、整流回路からの電圧を平滑する平滑部と、平滑された電圧が増加すると増加し、かつ、平滑された電圧が低下すると低下する閾値電圧を生成する閾値電圧生成部と、整流回路からの電圧と閾値電圧とを比較し、整流回路からの電圧が閾値電圧以上である場合に、整流回路からの電圧を出力部に供給せず、整流回路からの電圧が閾値電圧未満である場合に、整流回路からの電圧を出力部に供給する出力制御部と、出力制御部からの電圧に基づいて、直流電圧を生成する出力部とを備える。
【0003】
交流電圧が増加すると、整流回路からの電圧の電圧値が増加する。ここで、閾値電圧が一定であれば整流回路から出力制御部を介して出力部に電圧が供給される期間が変動し、出力部に供給される電荷量が変化し、出力電圧である直流電圧が変動する。しかし、閾値電圧生成部が生成する閾値電圧が平滑された電圧が増加するのに応じて増加する。従って、出力部に供給される電荷量が変化せず、出力電圧である直流電圧が変動しない。同様に、交流電圧が低下した場合には、閾値電圧生成部が生成する閾値電圧が平滑された電圧が低下するのに応じて低下する。従って、出力部に供給される電荷量が変化せず、出力電圧である直流電圧が変動しない。以上のように、本電源回路によると、安定した直流電圧を出力することができる。
【0004】
しかし、特許文献1の電源回路には、整流回路からの電圧と閾値電圧とを比較しているだけであるので、出力部のコンデンサから負荷に流れる電流が変動した場合に出力電圧が変動してしまうという問題がある。また、出力部のコンデンサ(すなわち、負荷)が接地電位に対して短絡した場合、つまり、コンデンサの充電電圧が0V(接地電位)になった場合であっても、整流回路からの電圧と閾値電圧との比較結果のみに基づいてコンデンサに電流を供給するので、出力部に十分に電流を流すことができず、保護用のヒューズを切断することができず、プロテクトを働かせることができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その代表的な目的は、出力部の接地電位への短絡時にも、出力部に十分な電流を流すことができる電源回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態による電源回路は、入力される交流電圧に基づいて直流電圧を生成する電源回路であって、前記交流電圧を整流する整流回路と、前記整流回路からの電圧が増加すると増加し、前記整流回路からの電圧が低下すると低下し、かつ、前記整流回路からの電圧が所定値以上のときには所定電圧に固定される閾値電圧を生成する閾値電圧生成部と、前記電源回路の出力電圧と前記閾値電圧とを比較し、かつ、前記整流回路からの電圧と前記閾値電圧とを比較し、前記電源回路の出力電圧が前記閾値電圧よりも大きい場合、または、前記整流回路からの電圧が前記閾値電圧よりも大きい場合に、前記整流回路からの電圧を出力部に供給せず、前記電源回路からの出力電圧が前記閾値電圧以下であり、かつ、前記整流回路からの電圧が前記閾値電圧以下である場合に、前記整流回路からの電圧を前記出力部に供給し、前記出力部の接地電位への短絡時には、前記電源回路の出力電圧の低下により、前記整流回路からの電圧と前記閾値電圧との大小関係には影響されず、前記整流回路からの電圧を前記出力部に供給する出力制御部と、前記出力制御部からの電圧に基づいて、前記電源回路の出力電圧である直流電圧を生成する前記出力部とを備える。
【0008】
本実施形態によると、出力制御部は、出力部の接地電位への短絡時には、電源回路からの出力電圧の低下により、整流回路からの電圧と閾値電圧との大小関係には影響されず、整流回路からの電圧を出力部に供給する。従って、出力部の接地電位への短絡時に、出力部に十分な電流を流すことができ、ヒューズを切断してプロテクトを働かせることができる。さらに、出力制御部は、電源回路の出力電圧と閾値電圧とを比較し、比較結果に応じて、前記整流回路からの電圧を前記出力部に供給するか否かを制御するので、出力部から負荷に流れる電流が変動した場合でも、出力電圧を安定化させることができる。さらに、出力制御部は、整流回路からの電圧と閾値電圧とを比較し、比較結果に応じて、整流回路からの電圧を出力部に供給するか否かを制御し、閾値電圧が、整流回路からの電圧が所定値以上のときには所定電圧に固定されるので、整流回路からの電圧の振幅値が大きい期間には、整流回路からの電圧を出力部に供給しない。従って、消費電力を低下させることができる。
【0009】
好ましい実施形態においては、前記出力制御部が、前記電源回路の出力電圧と前記閾値電圧とを比較し、かつ、前記整流回路からの電圧と前記閾値電圧とを比較し、オン状態又はオフ状態に変化する第1トランジスタと、前記第1トランジスタのオン状態又はオフ状態に応答してオン状態又はオフ状態に変化し、前記整流回路からの電圧の前記出力部への供給又は非供給を切り換える第2トランジスタとを含み、前記第1トランジスタのベースには前記電源回路の出力電圧と、前記整流回路からの電圧とが供給され、前記第1トランジスタのエミッタには前記閾値電圧が供給される。
【0010】
好ましい実施形態においては、前記第2トランジスタから前記出力部に流れる電流が過大であることを検出して前記第2トランジスタをオフ状態に変化させ、前記第2トランジスタから前記出力部に流れる電流を制限する第3トランジスタをさらに備える。
【0011】
第3トランジスタは、整流回路から第2トランジスタを介して出力部へと流れる電流の大きさを判断しており、当該電流が過大であることを検出した場合、第2トランジスタをオフ状態に変化させるように機能する。瞬間的に大きな電流が流れると、輻射ノイズの発生や消費電力の増加といった問題があるが、第3トランジスタを設けることで無駄に過大な電流が流れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
出力部の接地電位への短絡時にも、出力部に十分な電流を流すことができる電源回路を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態による電源回路1を示す回路図である。電源回路1は、全波整流回路D1と、閾値電圧生成部2と、出力制御部3と、出力部4とを概略備えている。
【0015】
出力制御部3は、電源回路1の出力電圧Voと、閾値電圧生成部2が生成する閾値電圧Vthとを比較し、かつ、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1と、閾値電圧Vthとを比較する。出力制御部3は、出力電圧Voが閾値電圧Vthよりも大であるとき、または、直流電圧Vd1が閾値電圧Vthよりも大であるとき、直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4に供給しない(直流電圧Vd1を出力部4に供給しない)。出力制御部3は、直流電圧Vd1が閾値電圧Vth以下であり、かつ、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下であるとき、直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4に供給する(直流電圧Vd1を出力部4に供給する)。
【0016】
出力制御部3は、出力部4が接地電位に対して短絡したとき、すなわち、出力電圧Voが0V(接地電位)に低下するときには、整流回路D1からの直流電圧Vd1と閾値電圧Vthとの大小関係に影響されることなく、長い期間にわたり、直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4に供給する(直流電圧Vd1を出力部4に供給する)。
【0017】
閾値電圧生成部2によって生成される閾値電圧Vthは、直流電圧Vd1が増加するのに応じて増加し、直流電圧Vd1が減少するのに応じて減少し、かつ、整流回路D1からの直流電圧Vd1が所定値以上のときには所定電圧に固定される(つまり、閾値電圧Vthは所定電圧以上には増加しない)。
【0018】
全波整流回路D1は、2つの入力端子が図示しないトランスの二次巻線に接続されており、トランスから入力される交流電圧を全波整流し、直流電圧(全波整流波形)Vd1を生成し、出力する。全波整流回路D1の一方の出力端子は、閾値電圧生成部2と、出力制御部3とに接続され、他方の出力端子は接地電位に接続されている。全波整流回路D1の一方の入力端子は、ヒューズfが接続されている。
【0019】
閾値電圧生成部2は、出力制御部3が全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4に供給するか否かを判別するための閾値電圧Vthを生成する。生成された閾値電圧Vthは、出力制御部3のトランジスタQ1のエミッタに供給される。閾値電圧Vthは、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1の電圧値に応じて、変動する。すなわち、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1が増加した場合には、閾値電圧生成部2が生成する閾値電圧Vthも増加し、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1が減少した場合には、閾値電圧生成部2が生成する閾値電圧Vthも減少する。なお、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1が所定電圧以上のときには、閾値電圧Vthは所定電圧以上に増加せずに固定される。
【0020】
閾値電圧生成部2は、定電圧生成部であるツェナーダイオードD2と、抵抗R1とを含む。抵抗R1は、一端が全波整流回路D1の出力に接続され、他端がトランジスタQ1のエミッタと、ツェナーダイオードD2のカソードとに接続されている。ツェナーダイオードD2のアノードは接地電位に接続されている。閾値電圧Vthは、全波整流回路D1から出力される直流電圧Vd1から、抵抗R1の両端電圧を減算した電圧となり、直流電圧Vd1の変動に応じて変動するが、ツェナーダイオードD2のツェナー電圧以上には増加しない。従って、ツェナーダイオードD2のツェナー電圧から0Vの間で、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1の増減に伴って増減することになる。
【0021】
出力制御部3は、電源回路1の出力電圧Voと、閾値電圧生成部2が生成する閾値電圧Vthとを比較し、かつ、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1と、閾値電圧Vthとを比較する。出力制御部3は、出力電圧Voが閾値電圧Vthよりも大のとき、または、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1が閾値電圧Vthよりも大のとき、直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4のコンデンサC2に流さない(直流電圧Vd1をコンデンサC2に供給しない)。一方、出力制御部3は、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下であり、かつ、直流電圧Vd1が閾値電圧Vth以下であるとき、直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4のコンデンサC2に流す(直流電圧Vd1をコンデンサC2に供給する)。
【0022】
出力制御部3は、出力部4のコンデンサC2の一端が接地電位に対して短絡したとき、すなわち、出力電圧Voが0V(接地電位)に低下するときには、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1と閾値電圧Vthとの大小関係に影響されることなく、長い期間にわたり、直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4に供給する。
【0023】
出力制御部3は、出力電圧Voと閾値電圧Vthとを比較し、かつ、直流電圧Vd1と閾値電圧Vthとを比較し、比較した結果を出力するトランジスタQ1(pnp型トランジスタ)と、トランジスタQ1からの比較結果に応じて、直流電圧Vd1のコンデンサC2への供給/非供給を切り換えるトランジスタQ3とを含む。また、出力制御部3は、抵抗R2〜R5と、コンデンサC1と、トランジスタQ2とをさらに含む。
【0024】
トランジスタQ1のベースは、抵抗R4を介して出力部4のコンデンサC2の一端に接続されて出力電圧Voが供給され、かつ、抵抗R5を介して全波整流回路D1の出力に接続され、直流電圧Vd1が供給される。トランジスタQ1は、エミッタが抵抗R1とツェナーダイオードD2のカソードとの接続点に接続されて閾値電圧Vthが供給され、コレクタが抵抗R2を介して接地電位に接続されている。トランジスタQ1は、出力電圧Voが閾値電圧Vthよりも大である場合、または、直流電圧Vd1が閾値電圧Vthよりも大である場合にオフ状態になり、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下であり、かつ、直流電圧Vd1が閾値電圧Vth以下である場合にオン状態になる。なお、実際には、トランジスタQ1の導通開始電圧である0.6V、および、抵抗R4またはR5の両端電圧を加味してトランジスタQ1のオン状態又はオフ状態が決定されるので、閾値電圧生成部2が生成する閾値電圧VthにトランジスタQ1の導通開始電圧0.6V、および、抵抗R4またはR5の両端電圧を加味した電圧が広義の閾値電圧ということができる。
【0025】
トランジスタQ2は、ベースが抵抗R3を介してトランジスタQ1のコレクタに接続され、抵抗R2を介して接地電位に接続され、かつ、コンデンサC1を介して接地電位に接続され、コレクタが抵抗R6を介してトランジスタQ3のベースに接続され、エミッタが接地電位に接続されている。
【0026】
トランジスタQ3は、ベースが、抵抗R6を介してトランジスタQ2のコレクタに接続され、エミッタが全波整流回路D1の一方の出力端子に接続され、コレクタが出力部4のダイオードD3のアノードに接続されている。トランジスタQ3は、トランジスタQ1がオン状態のときにオン状態になり、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4のコンデンサC2に流し、トランジスタQ1がオフ状態のときにオフ状態になり、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づく電流を出力部4のコンデンサC2に流さない。
【0027】
出力部4は、全波整流回路D1から出力制御部3を介して供給される電流によってコンデンサC2を充電することにより、電源回路1の出力電圧Voである平滑された直流電圧を生成する。出力部4は、ダイオードD3と、コンデンサC2とを含む。ダイオードD3は、アノードがトランジスタQ3のコレクタに接続され、カソードがコンデンサC2の一端と負荷RLの一端とに接続されている。コンデンサC2は、一端がダイオードD3のカソードと、抵抗R4と、負荷RLの一端とに接続され、他端が接地電位に接続されている。負荷RLの他端は接地電位に接続されている。
【0028】
以上の構成を有する電源回路1についてその動作を説明する。
図2は、全波整流回路D1への入力交流電圧と、出力電圧Voと、トランジスタQ3からコンデンサC2へと流れる電流とを測定したシミュレーション結果である。以下、
図1および
図2を用いて説明する。
【0029】
全波整流回路D1は、図示しないトランスから入力される交流電圧を全波整流し、直流電圧Vd1を生成し、閾値電圧生成部2および出力制御部3に供給する。閾値電圧生成部2は、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づいて閾値電圧Vthを生成し、トランジスタQ1のエミッタに供給する。トランジスタQ1のベースには、コンデンサC2の充電電圧である出力電圧Voが抵抗R4を介して供給され、かつ、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1が抵抗R5を介して供給される。トランジスタQ1は、出力電圧Voと閾値電圧Vthとの大小関係を比較し、かつ、直流電圧Vd1と閾値電圧Vthとの大小関係を比較する。
【0030】
図2の期間T1では、入力交流電圧の振幅値が小さいので、入力交流電圧から生成される閾値電圧Vthの値も小さくなっている。従って、出力電圧Voが閾値電圧Vthよりも大となる(実際にはトランジスタQ1の導通開始電圧および抵抗R4の両端電圧を考慮する、以下同様)。従って、トランジスタQ1は、ベース−エミッタ間電圧が導通開始電圧に達しておらず、オフ状態になる。トランジスタQ1がオフ状態になると、トランジスタQ2は、ベースが接地電位に接続された状態になるので、オフ状態になる。従って、トランジスタQ2のオフにより、トランジスタQ3は、接地電位から開放された状態になるので、オフ状態になる。
【0031】
従って、トランジスタQ3がオフ状態になることにより、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づいた電流がコンデンサC2には流れない。その結果、出力電圧Voが閾値電圧Vthよりも大である期間T1には、コンデンサC2は充電されず、出力電圧Voは負荷に消費されて少しずつ低下する。
【0032】
期間T2では、入力交流電圧の振幅値の増加によって閾値電圧Vthが大きくなる。一方、出力電圧Voは期間T1の動作によって低下している。従って、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下となり、かつ、直流電圧Vd1が閾値電圧Vth以下となる。実際にはトランジスタQ1の導通開始電圧および抵抗R5の両端電圧を考慮する必要があり、抵抗R5の抵抗値は、期間T2、T4において、直流電圧Vd1に基づいて抵抗R5を介してトランジスタQ1のベースに供給される電圧が閾値電圧Vth以下となるような値に設定されている。従って、トランジスタQ1は、ベース−エミッタ間電圧が導通開始電圧に達し、オン状態になる。トランジスタQ1がオン状態になると、トランジスタQ2は、ベースがトランジスタQ1のエミッタに接続され、閾値電圧Vthが供給された状態になるので、オン状態になる。従って、トランジスタQ2のオンにより、トランジスタQ3は、ベースが接地電位に接続された状態になるので、オン状態になる。
【0033】
従って、トランジスタQ3がオン状態になることにより、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づいた電流がトランジスタQ3、ダイオードD3を介してコンデンサC2に流れ、コンデンサC2が充電され、出力電圧Voである直流電圧が少しずつ増加する。
【0034】
期間T3には、入力交流電圧の振幅値がさらに増加することによって、閾値電圧VthはツェナーダイオードD2のツェナー電圧に固定され増加しないが、全波整流回路D1から抵抗R5を介してトランジスタQ1のベースに供給される直流電圧Vd1は増加を続ける。従って、直流電圧Vd1が閾値電圧Vthよりも大となる。トランジスタQ1は、ベース−エミッタ間電圧が導通開始電圧とならず、オフ状態になる。トランジスタQ1がオフ状態になることにより、トランジスタQ2は、ベースが接地電位に接続された状態になるので、オフ状態になる。従って、トランジスタQ2のオフにより、トランジスタQ3は、接地電位から開放された状態になるので、オフ状態になる。
【0035】
従って、トランジスタQ3がオフ状態になることにより、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づいた電流がコンデンサC2には流れない。その結果、直流電圧Vd1が閾値電圧Vthよりも大である期間T3には、コンデンサC2を充電せず、出力電圧Voは負荷RLによって消費され、少しずつ低下する。
【0036】
期間T4では、入力交流電圧の振幅値が期間T3と比べて低下することによって、全波整流回路D1から抵抗R5を介してトランジスタQ1のベースに供給される直流電圧Vd1が期間T3と比べて小さくなる。出力電圧Voは、期間T3の動作によって低下している。従って、期間T2と同様に、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下となり、かつ、直流電圧Vd1が閾値電圧Vth以下となる。従って、トランジスタQ1は、ベース−エミッタ間電圧が導通開始電圧になり、オン状態になる。トランジスタQ1がオン状態になることにより、トランジスタQ2は、ベースがトランジスタQ1のエミッタに接続され、閾値電圧Vthが供給された状態になるので、オン状態になる。従って、トランジスタQ2のオンにより、トランジスタQ3は、ベースが接地電位に接続された状態になるので、オン状態になる。
【0037】
従って、トランジスタQ3がオン状態になることにより、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づいた電流がトランジスタQ3、ダイオードD3を介してコンデンサC2に流れ、コンデンサC2が充電され、出力電圧Voである直流電圧が少しずつ増加する。
【0038】
期間T5には、入力交流電圧の振幅値がさらに低下し、閾値電圧Vthの値が小さくなる。従って、出力電圧Voが閾値電圧Vthよりも大となる。従って、トランジスタQ1は、ベース−エミッタ間電圧が導通開始電圧とならず、オフ状態になる。トランジスタQ1がオフ状態になることにより、トランジスタQ2は、ベースが接地電位に接続された状態になるので、オフ状態になる。従って、トランジスタQ2のオフにより、トランジスタQ3は、接地電位から開放された状態になるので、オフ状態になる。
【0039】
従って、トランジスタQ3がオフ状態になることにより、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1に基づいた電流がコンデンサC2には流れない。その結果、出力電圧Voが閾値電圧Vthよりも大である期間T5には、コンデンサC2を充電せず、出力電圧Voは負荷RLによって消費され少しずつ低下する。
【0040】
以上のように、電源回路1によると、出力電圧Voだけでなく、全波整流回路D1からの直流電圧Vd1も、閾値電圧Vthと比較して、トランジスタQ3のオンオフ状態を制御している。さらに、閾値電圧Vthは、入力交流電圧が所定値以上に増加すると、ツェナーダイオードD2のツェナー電圧に固定される。従って、入力交流電圧の振幅値が非常に大きくなる期間T3には、出力電圧Voの値に影響を受けず、トランジスタQ3はオフ状態になり、トランジスタQ3からコンデンサC2に電流が流れない。つまり、電源回路1によると、入力交流電圧の振幅値が低い期間のみに、トランジスタQ3がオン状態になり、トランジスタQ3からコンデンサC2に電流が流れるので、消費電力を低減することができる。
【0041】
図3は、入力交流電圧が変動した場合における、全波整流回路D1への入力交流電圧と、出力電圧Voと、トランジスタQ3からコンデンサC2へと流れる電流とを測定したシミュレーション結果である。VaがIaに、VbがIbに、VcがIcにそれぞれ対応している。入力交流電圧が変動した場合でも、入力交流電圧の振幅値が大きくなる期間T11においては、トランジスタQ3がオフ状態になり、トランジスタQ3からコンデンサC2に電流が流れないことが分かる。従って、上記の通り、消費電力を低減することができる。また、出力電圧Voと閾値電圧Vthとを比較して、トランジスタQ3をオンオフ制御しているので、入力交流電圧が変動しても、出力電圧Voを一定に保持できていることが分かる。
【0042】
図4は、コンデンサC2から負荷RLに流れる電流が変動した場合における、全波整流回路D1への入力交流電圧と、出力電圧Voと、トランジスタQ3からコンデンサC2へと流れる電流とを測定したシミュレーション結果である。コンデンサC2から負荷RLに流れる電流が変動したとき、出力電圧Voが変動しようとするが、出力電圧Voと閾値電圧Vthとを比較して、トランジスタQ3をオンオフ制御しているので、出力電圧Voの変動を抑制することができる。つまり、コンデンサC2から負荷RLに流れる電流が増加すると、コンデンサC2の電圧Voは低下しようとするが、トランジスタQ3がオンする期間が増加して、トランジスタQ3からコンデンサC2に多くの電流が流れることで、コンデンサC2の電圧Voの低下が抑制される。その結果、出力電圧Voを一定に保持できる。
【0043】
図5は、コンデンサC2の一端(負荷RLの一端)が短絡し、接地電位に接続された場合、すなわち、出力電圧VoであるコンデンサC2の充電電圧が0Vになった場合における、全波整流回路D1への入力交流電圧と、トランジスタQ3からコンデンサC2へと流れる電流とを測定したシミュレーション結果である。この場合、出力電圧Voが0Vであるので、閾値電圧Vthが0V近辺である期間T31、T33のわずかな期間を除いて、閾値電圧Vthの大きさに関わらず、常に、出力電圧Voが閾値電圧Vth以下となり、トランジスタQ1がオン状態になる。これは、直流電圧Vd1が抵抗R5を介してトランジスタQ1のベースに供給されようとするが、コンデンサC2が接地電位に短絡することで、トランジスタQ1のベースは、抵抗R4を介して接地電位へと引き下げられ、直流電圧Vd1によってもトランジスタQ1のベース電圧を増加させることができないからである。従って、トランジスタQ3がオン状態になり、期間T32の長い期間にわたり、トランジスタQ3からコンデンサC2に電流が流れる。従って、負荷RLが短絡した場合に、ヒューズfを切ることができ、プロテクト動作を働かせることができる。
【0044】
図6は、本発明の別の実施形態による電源回路11を示す回路図であり、
図1と同一部分に同一符号を付け、説明を援用する。電源回路11は、トランジスタQ4、Q5、抵抗R7、R8をさらに含む。特に、トランジスタQ5と、抵抗R7とを有することにより、トランジスタQ3を介してコンデンサC2に流れる電流が大きくなりすぎることを防止することができる。トランジスタQ4は、トランジスタQ2、Q5のオンオフ状態をトランジスタQ3へと伝達するトランジスタである。
【0045】
トランジスタQ5は、ベースが抵抗R7の一端と、トランジスタQ3のエミッタとに接続され、コレクタがトランジスタQ4のベースと抵抗R6との接続点に接続され、エミッタが抵抗R7の他端と全波整流回路D1の出力とに接続されている。
【0046】
トランジスタQ5は、ベースに、全波整流回路D1から出力される直流電圧Vd1から、トランジスタQ3を介してコンデンサC2へと流れる電流によって抵抗R7の両端に生じる電圧を減算した電圧が供給され、エミッタには全波整流回路D1からの直流電圧Vd1が供給される。従って、トランジスタQ3を介してコンデンサC2に流れる電流が過大になったとき、トランジスタQ5のベースの電圧がエミッタ電圧よりも導通開始電圧以上に小さくなり、トランジスタQ5がオン状態になる。
【0047】
トランジスタQ5がオン状態になると、トランジスタQ4がオフ状態になり、その結果、トランジスタQ3がオフ状態になる。従って、トランジスタQ3を介してコンデンサC2に流れる電流が遮断され、トランジスタQ3を介してコンデンサC2に流れる電流が大きくなりすぎることを防止することができる。なお、実際には、トランジスタQ5が完全にオン状態になる前に、トランジスタQ3を介してコンデンサC2に流れる電流が制限されることでトランジスタQ5がオンする条件を満たさなくなり、トランジスタQ5がオフ状態に直ちに復帰する。
【0048】
以上のように、トランジスタQ3を介してコンデンサC2に流れる電流が所定値以上に増加しないように制限されることによって、輻射ノイズを防止でき、かつ、消費電力が増大することを防止することができる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。上記各トランジスタの極性は、上記の実施形態に限定されない。