(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5915198
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】アルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法
(51)【国際特許分類】
B23K 1/19 20060101AFI20160422BHJP
B23K 35/14 20060101ALI20160422BHJP
B23K 35/22 20060101ALI20160422BHJP
B23K 35/28 20060101ALI20160422BHJP
C22C 21/00 20060101ALI20160422BHJP
B23K 31/02 20060101ALI20160422BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20160422BHJP
B23K 101/14 20060101ALN20160422BHJP
B23K 103/18 20060101ALN20160422BHJP
【FI】
B23K1/19 A
B23K1/19 K
B23K35/14 D
B23K35/22 310D
B23K35/28 310A
C22C21/00 D
C22C21/00 J
C22C21/00 E
B23K31/02 310B
B23K1/00 K
B23K101:14
B23K103:18
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-9107(P2012-9107)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-146759(P2013-146759A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116621
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 萬里
(72)【発明者】
【氏名】小久保 貴訓
(72)【発明者】
【氏名】堀 久司
(72)【発明者】
【氏名】富樫 亮介
【審査官】
篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−113569(JP,A)
【文献】
特開2004−303818(JP,A)
【文献】
特開2009−226454(JP,A)
【文献】
特開2000−343210(JP,A)
【文献】
特開平11−090620(JP,A)
【文献】
特開2012−071335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/19
B23K 1/00
B23K 31/02
B23K 35/14
B23K 35/22
B23K 35/28
C22C 21/00
B23K 101/14
B23K 103/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si:1.0〜12質量%、Mg:0.1〜5.0質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、厚さ15〜200μmのろう材からなる単層ブレージングシートを用いてアルミニウム合金部材と銅合金部材とを面ろう付けする方法であって、前記ブレージングシートをアルミニウム合金部材と銅合金部材との間に挟みこみ面接触させた状態で、不活性ガス雰囲気下で、ろう付け温度510℃以上520℃未満に5分以上保持しつつ、0.6MPa以上の面圧を付加しながら無フラックスでアルミニウム合金部材と銅合金部材とをろう付けすることを特徴とするアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法。
【請求項2】
Si:1.0〜12質量%、Mg:0.1〜5.0質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、厚さ15〜200μmのろう材からなる単層ブレージングシートを用いてアルミニウム合金部材と銅合金部材とを面ろう付けする方法であって、前記ブレージングシートをアルミニウム合金部材と銅合金部材との間に挟みこみ面接触させた状態で、不活性ガス雰囲気下で、ろう付け温度520〜550℃に2分以上保持しつつ、0.6MPa以上の面圧を付加しながら無フラックスでアルミニウム合金部材と銅合金部材とをろう付けすることを特徴とするアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法。
【請求項3】
前記ろう材に含まれる不可避的不純物としてのCuが1.0質量%未満に制限されている請求項1又は2に記載のアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法。
【請求項4】
前記ろう材に含まれる不可避的不純物としてのMnが1.0質量%未満に制限されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法。
【請求項5】
前記ろう材に含まれる不可避的不純物としてのZnが1.0質量%未満に制限されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法。
【請求項6】
前記ブレージングシートを構成するろう材は、厚さ15〜150μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載のアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法。
【請求項7】
前記不活性ガスが窒素ガスである請求項1〜6のいずれか1項に記載のアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法。
【請求項8】
前記不活性ガスの酸素濃度が500ppm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載のアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム合金部材と銅合金部材とを、ブレージングシートを用いて不活性ガス雰囲気中、無フラックスで面ろう付けする方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車載用IGBT等の発熱を面接触で冷却する熱交換システムの需要が高まっており、アルミニウム部材と銅部材とを面ろう付けする技術が必要とされている。例えば、銅板とセラミックスの板とを張り合わせた熱伝導性、電気的な絶縁性が良好な基板と、アルミニウム合金製の水冷部材とを接合する場合、前記基板の銅板と前記水冷部材のアルミニウム合金面とを面ろう付けする技術が必要とされる。
この面ろう付け技術においては、アルミニウム合金部材と銅板との間にろう材を挿入してろう付け加熱を行なうため、接合部に空隙欠陥等が生じやすく、フラックスを使用するとフラックスを封じ込めやすい構造となっている。したがって、ろう付け技術の中でも比較的難しい技術となっている。
【0003】
一方、フラックスを使用しないアルミニウム部材と銅部材との面ろう付け接合技術として、真空ろう付け法を適用した面ろう付け接合技術が挙げられる。例えば非特許文献1には、アルミニウム板(A1050)と無酸素銅板(C1020)の間にAl−Si−Mg−Bi系箔ろう材(4104相当,融点:832K)を挟み込み、初期荷重0.1MPaを付加し、真空炉中で783〜823K(510〜550℃)に保持して、面ろう付けする技術について提示されている。この非特許文献1に提示された技術では、ろう付け保持時間中にCu母材中へのAlの拡散が活発化し金属間化合物δ相が生成し、さらに冷却時にAl側において金属間化合物θ相が晶出し、このため継手強度(ろう付け強度)が低下することが示唆されている。
【0004】
また特許文献1には、Al材とCu材とを、ろう材を介して接合したろう接構体を作る場合に、予めAl材とCu材のうち少なくも一方の接合箇所にNiメツキを施しメツキ層を形成させ、その後に、ろう材、例えばAl−Si、又はAl−Siを主体とする合金からなるろう材を用いてAl材とCu材とをろう接する技術が提示されている。
さらに特許文献2には、アルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)合金製の部材と銅または銅合金製の部材との接合に際して、前記銅または銅合金製の部材の接合面に銀(Ag)からなる金属層を形成し、この金属層と前記アルミニウム(Al)またはアルミニウム(Al)合金製の部材の接合面とAl−Si系の合金ろう材を用いてろう付することにより、残存した前記金属層と、残存した前記金属層と、Al−Agの金属間化合物が生成された領域が存在する反応層とを形成し、この反応層は前記ろう材、銀(Ag)およびアルミニウム(Al)の反応によって構成され、そのマトリックス相へ網目状に生成する前記Al−Agの金属間化合物を存在させることを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金製の部材と銅または銅合金製の部材との接合方法が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56−109157
【特許文献2】特許第3917503号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】軽金属溶接 Vol.40(2002)No.9,p13-20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、非特許文献1においては、Al−Cuろう付け継手の破壊挙動が詳細に調べられており、最終破断位置の主要部はθ相とδ相という2種類の異なる金属間化合物間の界面ではなく、θ相内部であることが明らかにされている。そして同非特許文献1では、アルミニウム部材と銅部材とのろう付け接合時には、必然的にろう材の溶融凝固を伴うため、継手強度の向上に必要な程度に金属間化合物層の生成を制御することは原理的に困難であると結論づけている。また、同非特許文献1に提示された技術では、真空ろう付けを採用しており、このため生産性効率が低く、コストが高いという欠点がある。
【0008】
さらに、特許文献1において提示された技術では、予めAl材とCu材のうち少なくとも一方の接合箇所にNiメツキを施しメツキ層を形成させる必要があり、特許文献2において提示された技術では、インサート材として高価な銀(Ag)を使用しなければならず、コストが嵩み、工程も煩雑となるおそれがある。
このため、安定したろう付け品質を確保しつつ、しかもコストアップを招かないアルミニウム合金部材と銅合金部材とを面ろう付けする技術の開発が望まれている。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するために案出されたものであり、単層型ブレージングシートによってアルミニウム合金部材と銅合金部材とを不活性ガス雰囲気中で無フラックス面ろう付けする際に、金属間化合物層の成長を抑制させ、アルミニウム合金部材と銅合金部材間の熱伝導率を高く保ちつつ、ろう付け強度(せん断力)に優れた面ろう付けする技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法は、その目的を達成するために、Si:1.0〜12質量%、Mg:0.1〜5.0質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有し、厚さ15〜200μmのろう材からなる単層ブレージングシートを用いてアルミニウム合金部材と銅合金部材とを面ろう付けする方法であって、前記ブレージングシートをアルミニウム合金部材と銅合金部材との間に挟みこみ面接触させた状態で、不活性ガス雰囲気下で、ろう付け温度
510℃以上520℃未満に5分以上保持しつつ、0.6MPa以上の面圧を付加しながら無フラックスでアルミニウム合金部材と銅合金部材とをろう付けすることを特徴とする。
ろう付け温度を520〜550℃にした際には2分以上の保持でよい。
【0011】
前記ろう材に含まれる不可避的不純物としてのCu、Mn、Znは、それぞれ1.0質量%未満とすることが好ましい。
また、前記ろう材は、厚さ15〜150μm、さらには厚さ15〜100μmとすることが好ましい。
さらに、面ろう付けされるアルミニウム合金部材としては、少なくとも固相線温度が520℃以上のものが好ましい。アルミニウム合金部材としては、固相線温度が550℃以上のものがより好ましい。アルミニウム合金部材としては、例えばAA1000系のように固相線温度が600℃以上であるものがさらに好ましい。
【0012】
さらにまた、面ろう付け時の前記不活性ガスが窒素ガスで、特に前記不活性ガスの酸素濃度は500ppm以下とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明により提供されるアルミニウム合金部材と銅合金部材との面ろう付け方法によると、アルミニウム合金部材と銅合金部材を不活性ガス雰囲気中においてフラックスフリーで、かつアルミニウム合金部材と銅合金部材との間に特定の面圧を付加して面ろう付けしている。このため、アルミニウム合金部材と銅合金部材間に発生しやすい空隙欠陥等を抑制することができ、結果として品質の安定した面ろう付けが行える。
上記面ろう付け方法によると、不活性ガス雰囲気中でのろう付けが可能であり、連続炉による生産方式を採用できるため、バッチ炉による真空ろう付けの場合に比べて、生産効率が高く、しかも単層型のブレージングシートを用いているため、全体として低コスト化が図れる。またアルミニウム合金部材と銅合金部材間に0.6MPa以上の面圧を付加してろう付けしているため、アルミニウム合金部材と銅合金部材間に挿入されたろう材は、溶融するとアルミニウム合金部材と銅合金部材間から効率良く排出されることとなる。このため、特にAl側におけるθ相などの金属間化合物の生成を抑制することが可能となり、金属間化合物層の厚みを薄くすることができ、アルミニウム合金部材と銅合金部材間の熱伝導率を高く保ちつつ、ろう付け強度(せん断力)に優れた面ろう付けが行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】金属組織観察用・熱伝導率測定用試験片の形状を説明する図
【
図6】化合物層の厚みに及ぼすろう付時の付加圧力の影響を示す図
【
図7】せん断強度に及ぼす化合物層厚さの影響を示す図
【
図8】熱伝導率に及ぼす化合物層厚さの影響を示す図
【
図9】付加圧力0.2MPaにおける断面金属組織を示す写真
【
図10】付加圧力0.6MPaにおける断面金属組織を示す写真
【
図16】ろう付け雰囲気中の酸素濃度の影響を示す図
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
通常、面ろう付けする際は、接合するアルミニウム合金部材と銅合金部材との間にろう材を挿入してろう付け加熱を行なうため、必然的にろう材の溶融凝固を伴っている。すなわち、ろう付け後もアルミニウム合金部材と銅合金部材との間にろう材が残存する限り、継手強度の向上に必要な程度に金属間化合物層の生成を制御することは困難である。このため、ろう付け製品の品質にバラツキが生じ易い。
また、特許文献1に提示されるようにAl材とCu材のうち少なくとも一方の接合箇所にNiメツキを施す場合や、特許文献2に提示されるようにインサート材として高価な銀(Ag)を使用する場合であっても、結局Al−Si系の合金ろう材を用いてろう付けを行うため、コストが嵩み、工程も煩雑となる虞がある。
そこで、本発明者等は、従来技術に比べ低コストで品質の安定した面ろう付け法について鋭意検討を重ねる過程で、本発明に到達した。
以下にその詳細を説明する。
【0016】
まず本発明は、アルミニウム合金部材と銅合金部材との間にAl-Si-Mg系合金ろう材からなる極力厚さの薄い単層ブレージングシートを挟み込み、面接触させた状態で特定の面圧を付与してブレージングシートを十分に溶解させるとともに、アルミニウム合金部材と銅合金部材との界面を濡らしつつ溶融したろう材を界面から積極的に排出し、アルミニウム合金部材と銅合金部材との間に形成される金属間化合物層の厚みを薄くすることが可能な面ろう付け方法である。金属間化合物層の厚みを薄くすることができたために、ろう付け強度の高い接合体を得ることができている。
【0017】
アルミニウム合金部材は、アルミニウム合金板であってもよいし、アルミニウム合金押出材やアルミニウム合金鋳物であっても構わない。同様に銅合金部材は、銅合金板であってもよいし、銅合金押出材や銅合金鋳物であっても構わない。例えばアルミニウム合金製の部品と銅合金製の部品同士が連結できるように係合部を設けて、当該係合部にブレージングシートを挟み込める部位を設けるようにしてもよい。要するに本発明において、被接合材はアルミニウム合金板や銅合金板に限定されず、少なくとも一部にろう付け可能な平滑面を有するアルミニウム合金製及び銅合金製のものであれば何であってもよい。
【0018】
本発明の面ろう付け法を適用するアルミニウム合金部材としては、少なくとも固相線温度が520℃以上であるアルミニウム合金からなるものが好ましい。
後記で詳述するAl−Si系のろう材を用いるとき、当該ろう材を十分に溶解するためには、510℃以上のろう付け温度が必要であり、被接合材であるアルミニウム合金部材としてはその固相線温度が520℃以上であるものに適用することが必要である。被接合材であるアルミニウム合金部材の固相線温度が520℃未満であると、面ろう付けの加熱において、アルミニウム合金部材の少なくとも一部が溶解してしまう可能性がある。より好ましいアルミニウム合金部材の固相線温度は550℃以上である。さらに好ましいアルミニウム合金部材の固相線温度は600℃以上である。
【0019】
本発明の第一の特徴点は、コストを抑えるためにブレージングシートとして、所定の組成と厚みを有するろう材単層からなるものを使用した点にある。
そこで、まずろう材について説明する。
ろう材として、Si:1.0〜12質量%、Mg:0.1〜5.0質量%を含み、残部がAl及び不可避的不純物からなる成分組成を有する合金であって、厚さが15〜200μmのアルミニウム合金薄板を用いる。
【0020】
Si:1.0〜12質量%
Siは、その含有量によってブレージングシートの液相線の温度を下げるとともに、面ろう付け中の濡れ性を改善するための元素である。Si含有量が、1.0質量%に満たないと、ブレージングシートの液相線の温度が高くなりすぎて、所定のろう付け温度に到達してもブレージングシートの溶解が不十分となり、十分なろう付け強度(せん断応力)が得られない可能性がある。逆に、Si含有量が、12質量%を超えると、鋳造中に鋳塊中央部に初晶Siが析出(晶出)する可能性が高くなり、仮に健全な熱延板が得られたとしてもミクロ的に均質な組織のブレージングシートを得ることが困難となる。
したがって、ろう材中のSi含有量は、1.0〜12質量%の範囲とする。より好ましいSi含有量は、2.0〜12質量%の範囲である。さらに好ましいSi含有量は、3.0〜12質量%の範囲である。
【0021】
Mg:0.1〜5.0質量%
Mgは、自らが酸化されることにより、還元剤として作用するため、ろう付け加熱によるアルミニウム合金部材とブレージングシートのろう材との界面におけるアルミニウムの酸化を抑制し、面ろう付け中の濡れ性を改善するための元素であると考えられる。Mg含有量が、0.1質量%に満たないと、ろう付け温度や保持時間にもよるが、その効果が不十分となり、十分なろう付け強度(せん断応力)が得られない可能性がある。逆に、Mg含有量が、5.0質量%を超えると、鋳塊を熱延する際のロールへの負荷が大きくなり、また耳割れも生じるため、熱延が困難となる。ろう材の加工性を考慮すると、Mg含有量は、低い方が好ましい。
したがって、ろう材中のMg含有量は、0.1〜5.0質量%の範囲とする。より好ましいMg含有量は、0.1〜4.0質量%の範囲である。さらに好ましいMg含有量は、0.1〜3.0質量%の範囲である。
【0022】
残部はAlと不可避的不純物からなる。
不可避的不純物としてはFe、Cu、Mn、Zn等が挙げられるが、これら元素については、Fe:1.0質量%未満、Cu:1.0質量%未満、Mn:1.0質量%未満、Zn:1.0質量%未満の範囲であれば、本発明の効果を妨げるものではない。したがって、不可避的不純物としての前記成分含有量はそれぞれ1.0質量%未満とすることが好ましい。
【0023】
また、その他の不純物元素として、Cr、Ni、Zr、Ti、V、B、Sr、Sb、Ca、Na等も考えられるが、Cr:0.5質量%未満、Ni:0.5質量%未満、Zr:0.2質量%未満、Ti:0.2質量%未満、V:0.1質量%未満、B:0.05質量%未満、Sr:0.05質量%未満、Sb:0.05質量%未満、Ca:0.05質量%未満、Na:0.01質量%未満の範囲であれば、本発明に係るブレージングシートの性能特性を大きく阻害することがないため、不可避的不純物として含んでいてもよい。Pb、Bi、Sn、Inについては、それぞれ0.02質量%未満、その他各0.02質量%未満であって、この範囲で管理外元素を含有しても本発明の効果を妨げるものではない。
【0024】
ブレージングシートを構成するろう材の厚さ;15〜200μm
本願発明に係る単層型ブレージングシートを構成するろう材の厚みは、健全な面ろう付けを達成できる厚みであればよい。厚みが15μm未満であると、十分なろう付け強度が得られない可能性がある。厚みが200μmを超えると、接合面から排出されるろう材の量が多くなりすぎて、コスト高となる。したがって、ろう材の厚みの範囲は、15〜200μmとする。より好ましい厚みの範囲は、15〜150μmである。さらに好ましい厚みの範囲は、15〜100μmである。
【0025】
ろう材からなる単層型ブレージングシートの製造方法
例えば、100μm厚さのろう材からなる単層型ブレージングシートであれば、以下のように製造する。
原料となるインゴット、スクラップ等を配合し、溶解炉に投入して、所定のろう材組成からなるアルミニウム溶湯を溶製する。溶解炉は、バーナーの火炎によって直接原料を加熱溶解するバーナー炉が一般的である。アルミニウム溶湯が所定の温度、例えば、800℃に達した後、適量の除滓用フラックスを投入して、攪拌棒により溶湯の攪拌を行い、全ての原料を溶解する。その後、成分調整のため、追加の原料、例えばMg等を投入し、30〜60分程度の鎮静を行った後、表面に浮遊するメタル滓を除去する。アルミニウム溶湯が所定の温度、例えば、740℃にまで冷却された後、出湯口から樋に出湯し、必要に応じて、インライン回転脱ガス装置、CFFフィルター等を通し鋳造を開始する。なお、溶解炉と保持炉が併設されている場合には、溶解炉で溶製された溶湯を保持炉に移湯した後、保持炉でさらに鎮静等を行ってから鋳造を開始する。
【0026】
DC鋳造機のジャケットは、1本注ぎであってもよいが、生産効率を重視する多本注ぎのものであってもよい。例えば、700mm×450mmのサイズの水冷式鋳型内に、ディップチューブ、フロートを通して注湯しながら、鋳造速度60mm/minで下型を下げ、水冷式鋳型下部において凝固シェル層に対して直接水冷(Direct Chill)を行いつつ、サンプ内の溶湯を凝固冷却せしめ、所定の寸法、例えば、700mm×450mm×4500mm寸法のスラブを得る。鋳造終了後、スラブの先端、後端を切断して片面25mmの両面面削を施し、400mm厚さとしたスラブをソーキング炉に挿入して、450〜540℃×1〜12時間の均質化処理(HO処理)を施す。均質化処理後、スラブをソーキング炉から取り出して、熱間圧延機によって何パスかの熱間圧延を施して、例えば、6mm厚の熱間圧延板コイル(Reroll)を得る。
この6mm厚の熱間圧延板コイルに何パスかの冷間圧延を施して、所定の厚さ、例えば、100μm厚さのろう材からなる単層型ブレージングシートを得る。なお、冷間圧延工程において、冷間圧延板の加工硬化が著しい場合には、必要に応じて、コイルをアニーラーに挿入し、保持温度300〜450℃の中間焼鈍処理を施して、冷間圧延板を軟化させることが望ましい。
【0027】
本発明の第二の特徴点は、不活性ガス雰囲気下でフラックスを用いることなく、アルミニウム合金部材と銅合金部材間に特定の面圧を付加している点にある。このため、ろう材が溶融するとアルミニウム合金部材と銅合金部材間から効率良く排出され、特にAl側におけるθ相などの金属間化合物の生成を抑制することが可能となり、金属間化合物層の厚みを薄くすることができ、アルミニウム合金部材と銅合金部材間の熱伝導率を高く保ちつつ、ろう付け強度(せん断力)に優れた面ろう付けが行える。
【0028】
不活性ガス雰囲気下
前述のようにブレージングシート(ろう材)を十分に溶解して、アルミニウム合金部材と銅合金部材との界面を濡らして面ろう付けするためには、少なくとも保持温度510℃以上で所定時間保持することが必要である。
このため、ろう付け加熱中であっても、アルミニウム合金部材や銅合金部材のろう付け面の表面或いはブレージングシートのろう材面の酸化を抑制するために、不活性ガス雰囲気下で面ろう付けを行う必要がある。
【0029】
不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等が使用できる。また、不活性ガス中の酸素濃度は、500ppm以下であることが好ましい。不活性ガス中の酸素濃度が500ppmを超えると、面ろう付け後の接合強度(せん断応力)が低下する。より好ましい不活性ガス中の酸素濃度は100ppmである。さらに好ましい不活性ガス中の酸素濃度は10ppm以下である。具体的には、工業用窒素ガスについては、酸素濃度10ppm以下と規格が定められているので、コスト面からも工業用窒素ガスを使用することが最も好ましい。
もちろん、ろう付け加熱中、ろう付け温度保持中及び冷却中は、加熱装置内を不活性ガス雰囲気で充満しておくことが好ましい。しかしながら、電磁誘導加熱のように急速加熱する場合には所定の保持温度に到達する前に、不活性ガスを噴射して加熱装置内の大気を不活性ガスに置換してもよい。
【0030】
付加面圧;0.6MPa以上
本発明に係る面ろう付け方法において、所定の組成のブレージングシート(ろう材)を溶解して、ろう材とアルミニウム合金部材、ろう材と銅合金部材とを面接触させた状態で、ろう付け加熱を行うが、この際接合面に対して0.6MPa以上の面圧を付加しながら、所定のろう付け温度で保持する必要がある。もちろん、ろう付け加熱時には面圧を付加せずに、ろう材の溶融温度に到達する直前に、炉内に設置したプレス等によって接合面に対して0.6MPa以上の面圧を付加して面ろう付けを行ってもよい。
【0031】
面圧が0.6MPa以上の場合、アルミニウム合金部材と銅合金部材間に挿入されたろう材は、溶融するとアルミニウム合金部材と銅合金部材との界面から効率良く排出されることとなる。このため、特にAl側におけるθ相などの金属間化合物の生成を抑制することが可能となる。具体的には、例えば金属間化合物層の厚みを30μm以下にすることができ、アルミニウム合金部材と銅合金部材間の熱伝導率を高く保ちつつ、ろう付け強度(せん断力)に優れた面ろう付けが行える。
【0032】
面圧が0.6MPa未満の場合、アルミニウム合金部材と銅合金部材との間に挿入されたろう材は、溶融した後であってもアルミニウム合金部材と銅合金部材との界面から排出され難くなる。このため、銅合金部材表面から溶融ろう材中へのCu原子の拡散が急速に進行し、ろう材を含むAl側におけるθ相などの金属間化合物の生成を抑制することができない。結果として、金属間化合物層の厚みを薄くすることができず、アルミニウム合金部材と銅合金部材との界面の熱伝導率が低下するばかりでなく、十分なろう付け強度(せん断応力)を得ることができない。もちろん、面ろう付け後のアルミニウム合金部材と銅合金部材との界面の熱伝導率を高く維持しつつ、ろう付け強度(せん断応力)を十分に確保するためには、接合面に対して付加する面圧は高い方が好ましい。したがって、好ましい面圧は0.6MPa以上である。より好ましい面圧は1.0MPa以上である。
【0033】
ろう付けの温度条件;510〜550℃に保持
本発明に係る面ろう付け方法において、所定の組成のブレージングシート(ろう材)を溶解して、アルミニウム合金部材と銅合金部材の界面を濡らすとともに、溶融したろう材をアルミニウム合金部材と銅合金部材との界面から排出しつつ、確実に面ろう付けを行うためには、少なくともろう付け温度510℃以上である必要がある。
ろう付け温度が510℃未満である場合には、ろう材の溶解が不十分となり、十分なろう付け強度(せん断強度)が得られない。もちろん、許容できる範囲内で保持温度が高い方がより十分なろう付け強度(せん断強度)が得られる。しかしながら、保持温度が、550℃を超えると、ろう材を含むAl側へのCu原子の拡散が急速に進行し、1000系のアルミニウム合金部材であっても、界面付近の固相線温度が低下することで順次局部融解を起こし、特定の面圧を付加していることもあり、銅合金部材がアルミニウム合金部材に深くめり込んでしまう可能性がある。したがって、好ましい保持温度は、510〜550℃の範囲である。
【0034】
ろう付けの保持時間
ろう付け温度における保持時間は、2分以上であることが好ましい。ろう付け温度にもよるが、保持時間が2分未満であると、接合面における温度の不均一によって、十分なろう付け強度(せん断強度)が得られない。より好ましい保持時間は、5分以上である。
【実施例】
【0035】
ブレージングシートの作製
所定の各種インゴットを計量、配合して、離型材を塗布した#30坩堝に9kgずつ(計16試料)の原材料を装入装填した。これら坩堝を電気炉内に挿入して、760℃で溶解して滓を除去し、その後、溶湯温度を740℃に保持した。次に小型回転脱ガス装置によって、溶湯に流量1Nl/分で窒素ガスを10分間吹き込み、脱ガス処理を行った。その後30分間の鎮静を行なって溶湯表面に浮上した滓を攪拌棒にて除去し、さらにスプーンで成分分析用鋳型にディスクサンプルを採取した。
次いで、治具を用いて順次坩堝を電気炉内から取り出し、200℃に予熱しておいた5個の金型(70mm×70mm×15mm)にアルミニウム溶湯を鋳込んだ。各試料のディスクサンプルは、発光分光分析によって、組成分析を行なった。その結果を表1に示す。
【0036】
【0037】
鋳塊は、押し湯を切断後、両面を3mmずつ面削して、厚み9mmとした。電気加熱炉にこの鋳塊を装入して、100℃/hrの昇温速度で480℃まで加熱し、480℃×1時間の均質化処理を行い、続いて熱間圧延機にて3mm厚さにまで熱間圧延を施した。
この後、熱間圧延板に冷間圧延を施して、0.2mm厚さの冷延板とし、軟化させるため400℃×2時間の中間焼鈍を施した。さらに冷間圧延を施して、0.06mm(60μm)の最終冷間圧延板とした。なお、ろう材厚みのろう付け強度(せん断応力)に及ぼす影響を調査するために、E合金ろう材については、厚み15μm、20μm、30μm、60μm及び100μmの5水準の最終圧延板を作製した。
この最終冷間圧延板を所定の大きさ(15mm×8mm)に切断して、複数枚のブレージングシート(ろう材)とした。
【0038】
逆T字試験片の作製
図1に示すようにAA1100合金製のブロックA(35mm×35mm×10mm)の35mm×35mmの面上中央にブレージングシート(15mm×8mm)を載置し、無酸素銅製(C1020)のブロックB(18mm×15mm×8mm)における15mm×8mmの面を上記ブレージングシートに重ねるようにしてブロックAにおける35mm×35mmの面上中央にブロックBを立設した。
【0039】
さらに
図4(a)に示すような加圧式ろう付け試験治具を使用してブロックBの上面を加圧しつつ、試験炉内に組み上げたブロック等を挿入した。雰囲気を不活性ガスに置換するため、流量10Nl/分で工業用窒素ガス(酸素濃度10ppm以下の窒素)を流しつつ、ブロックAに取り付けた熱電対が所定のろう付け温度を示すまで、PID制御により50℃/分の速度で加熱し、所定のろう付け温度で所定の時間保持した後、抵抗線への出力をOFFとして、組み上げたブロック等を炉冷した。ブロックAに取り付けた熱電対が400℃以下を示した後、組み上げたブロック等を炉から取り出して室温まで冷却した。
【0040】
また、ろう付け雰囲気による酸素濃度のろう付け強度(せん断応力)に及ぼす影響を調査するため、E合金ろう材(ろう材厚:60μm)については、工業用窒素(酸素濃度10ppm以下の窒素)の他、酸素濃度500ppmの窒素、酸素濃度2000ppmの窒素を流しながら、或いは窒素を流すことなく大気中で、ろう付け温度540℃、保持時間10分の条件下で、同様にして逆T字試験片の作製を行った。
【0041】
せん断応力の測定
上記のようにして作製した逆T字試験片を
図3のような治具に固定して、ブロックAの端面(35mm×10mmの面)からアムスラーによって加圧し(歪速度:1mm/分)、ろう付け面におけるろう付け強度(破断せん断応力)の測定を行った。
【0042】
金属組織観察用・熱伝導率測定用試験片の作製
図2に示すようにAA1050合金製のブロックC(40mm×40mm×4mm)の40mm×40mmの面上中央にブレージングシート(30mm×30mm)を載置し、無酸素銅製(C1020)のブロックD(30mm×30mm×2.5mm)における 30mm×30mmの面を上記ブレージングシートに重ねるようにしてブロックCにおける40mm×40mmの面上中央にブロックDを重ねた。
【0043】
さらに
図4(b)に示すような加圧式ろう付け試験治具を使用してブロックDの上面を加圧しつつ、試験炉内に組み上げたブロック等を挿入した。雰囲気を不活性ガスに置換するため、流量10Nl/分で工業用窒素ガス(酸素濃度10ppm以下の窒素)を流しつつ、ブロックCに取り付けた熱電対が所定のろう付け温度を示すまで、PID制御により50℃/分の速度で加熱し、所定のろう付け温度で所定の時間保持した後、抵抗線への出力をOFFとして、組み上げたブロック等を炉冷した。ブロックCに取り付けた熱電対が400℃以下を示した後、組み上げたブロック等を炉から取り出して室温まで冷却した。
【0044】
熱伝導率の測定
熱伝導率は密度、比熱、熱拡散率を乗じて算出した。密度は寸法および重量計測、比熱、熱拡散率はレーザフラッシュ法によってそれぞれ測定した。測定試験片は金属組織観察用・熱伝導率測定用試験片をフライスで板厚2mmに加工した後,ワイヤーカット放電加工により直径2mmの試験片に仕上げたものを使用した。レーザフラッシュ法はアルバック理工(株)製熱定数測定装置TC−7000を使用した。
【0045】
金属間化合物層厚みの測定
金属組織観察用・熱伝導率測定用試験片の中央部断面を樹脂に埋め込んで鏡面研磨し、
図5に示すように金属顕微鏡下で金属間化合物層の厚さを測定した。
図5において、上側の領域はCu基材(無酸素銅(C1020))、下側の領域はAl基材(AA1050合金)である。これら基材同士の接合界面に沿って、上側にδ相が層状に生成し、下側にθ相が塊状に生成している。接合界面と直交するように測定用基準線を設定し、δ相とCu基材との境界(a点)と、θ相とAl基材との境界(b点)との距離を測定し、この距離を金属間化合物層の厚さとした。このようにして、1試験片につき任意の10箇所の断面で金属間化合物層の厚さを測定し、その平均値を化合物層厚さとした。
【0046】
なお、上記実施例の説明中にあって、特に細かい条件の表示がないものについては、E合金ろう材(ろう材厚:60μm)及び被接合材(AA1100合金製、無酸素銅製(C1020)のブロック)を用い、工業用窒素(酸素濃度10ppm以下の窒素)を流しながら、ろう付け温度540℃、保持時間10分、加圧力3MPaの条件下でろう付けを行い、逆T字試験片の作製および金属組織観察用・熱伝導率測定用試験片の作製を行ったものである。
その結果を表2〜10、及び
図6〜16に示す。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
まず、表2に示す結果から、0.6MPa以上の面圧を付加しながらろう付けを行えば、30μm以下の化合物層の厚みとなることがわかる。また、せん断強度に及ぼす化合物層厚さの影響についてみると、化合物層厚さが30μm以下の状態ではせん断強度が増加することがわかる。熱伝導率に及ぼす化合物厚さの影響についてみると、化合物層厚さが30μm以下の状態では熱伝導率が増加することがわかる。さらに、化合物層の厚さに及ぼすろう付時の付加圧力の影響について断面組織写真をみると、0.2MPaの面圧を付加しながらろう付を行えば、Al側においてθ相などの金属間化合物が大きく成長している組織となっているが、0.6MPaの面圧を付加しながらろう付を行えば、Al側においてθ相などの金属間化合物が大きく成長しておらず、薄いほぼ一定の厚さの組織となっており、金属間化合物の生成が抑制されたことがわかる。
したがって、ろう付時の付加圧力については、0.6MPa以上の面圧を付加することが好ましいことがわかる。
ろう付け温度については、510℃以上とすることが好ましいことがわかる。また、ろう付け温度保持時間は2分以上に、特に5分以上とすることが好ましいことがわかる。
【0057】
次にろう材を構成するアルミニウム合金中の成分の影響についてみると、540℃でろう付けした際に所望のせん断応力を得るには0.1質量%のMg含有で十分である。しかし、540℃でろう付けした際にMg含有量が0.01質量%未満では所望のせん断応力が得られていない。また、Mg含有量が3.0質量%を超えた試料では540℃でのろう付けを行ってもせん断応力は低下しないが、前述のようにろう材自体の加工性は低下する。したがって、Mgの好ましい含有量は0.1〜3.0質量%であることがわかる。
Si含有量についてみると、1.0〜12.0質量%の範囲で、十分なせん断応力が得られているが、Si含有量0.5質量%では、若干得られるせん断応力が低くなっている。したがって、Siの好ましい含有量は1.0〜12.0質量%であることがわかる。
不可避的不純物であるCu,Mn,Znについては、それぞれ1.0質量%未満の含有であれば、せん断応力にほとんど影響していないことがわかる。
【0058】
ろう材の厚さについては、15μm以上の厚さであれば、とりあえず十分なせん断応力が得られているが、その厚さが15μmの場合、若干得られるせん断応力が低くなっている。したがって、ろう材の厚さは15μm以上とすることが好ましい。厚すぎるとろう材が過剰となってしまうため上限は200μmであることは前記したとおりである。
ろう付け時の雰囲気についてみると、少なくとも窒素等の不活性雰囲気とするべきであることがわかる。特に酸素含有量が500ppm以下の不活性ガス雰囲気とすることが好ましいことがわかる。