(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記文字選択手段は、前記タップ操作として、一箇所をタップする操作および二箇所を同時にタップする操作を有効とし、二箇所がタップされた場合には、一箇所がタップされた場合とは反対の順序で文字の選択を切り替える、請求項1に記載された文字入力用のプログラム。
前記文字選択手段は、前記タッチパネル内のタッチ中の文字キーとは異なる任意の箇所での操作に応じて文字の選択を切り替える、請求項1〜5のいずれかに記載された文字入力用のプログラム。
前記文字選択手段は、前記キーボードが表示されているタッチパネルとは別体の操作手段による操作に応じて文字の選択を切り替える、請求項1〜5のいずれかに記載された文字入力用のプログラム。
【背景技術】
【0002】
日本国内で現在流通しているスマートフォンには、一般に、2つの方式による文字入力機能が搭載されている。1つは、従前の携帯電話でされているのと同様のトグル方式であり、もう1つは、スライド操作を利用したフリック方式である。
【0003】
図13はトグル方式による文字入力の例を、
図14はフリック方式による文字入力の例を、それぞれ示す。いずれの例でも、縦方向に4個ずつ、横方向に3個ずつで配列された12個の文字キー11と、文字キー11の配列の左右に4個ずつ配置された8個の機能キー12とを有するソフトウェアキーボード10が使用される。文字キー11のうちの10個には、それぞれ「あ」行〜「わ」行の仮名文字が1行分ずつ割り当てられるほか、英文字や数字が割り当てられている。残り2つの文字キー11には、濁点、半濁点、句読点などが割り当てられている。通常は、日本語の仮名漢字入力モードになっているが、図中の左下隅の「あ Aa 12 」と記載された機能キー12が操作されると、英字入力モードや数字入力モードや片仮名入力モードに切り替えられ、各文字キー11の表示も、入力対象の字種が明示されたものに変化する。
なお、図中の13は、文字の入力に応じて展開される候補表示エリアである。14は、入力文字を表示するエリア(以下、「入力文字表示エリア」という。)であり、15はカーソルである。
【0004】
トグル方式では、
図13(1)に示すように、いずれかの文字キー11を軽く叩く操作(タップ操作)に応じて、その文字キー11に割り当てられている代表の文字(図示例では「あ」)をカーソル15の手前に表示する。さらに、同じ文字キー11へのタップ操作を繰り返し行うことにより、
図13(2)に示すように、そのキーに割り当てられている文字を順に呼び出して、表示を更新する。連続タップ操作が終了して他のキーがタップされると、最後のタップ操作による選択が確定する。
【0005】
フリック方式では、
図14に示すように、1つの文字キー11を少し長めにタッチすることにより、正方形状のガイド16を出現させる。このガイド16では、操作中の文字キー11の代表の文字(図示例では「あ」)が中心に配置され、その上下左右に他の割り当て文字が配置される。この状態で上下左右のいずれかの方向に指をスライドさせると、ガイド16内では、スライド方向に配置されている文字のみが表示される状態となる。さらに同じ方向へのスライドを続けると、ガイド16内の文字が選択され、カーソル15の手前の入力文字が更新される。
【0006】
上記の各公知技術のほか、特許文献1には、いずれかの文字キーに対するタッチ状態が維持されている状態で、そのタッチ位置とは異なる他の位置がタッチされた場合に、そのタッチ位置の数に応じた配列順番の文字を選出して、画面上の未確定文字として切り替え表示することが記載されている。また特許文献1には、1つの文字キーへのタッチ状態が維持されている間は、他のキーについて選択を許可しない入力禁止モードへと移行することにより、タッチ中の文字とは異なるキー上でのタッチを文字の選択操作として受け付けることも記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、「あ」行〜「わ」行がそれぞれ割り当てられたキーを一列に配列した第1のキーボードを表示し、このキーボード内のいずれかのキーが操作されたことに応じて、そのキーに割り当てられた各文字を配列した第2のキーボードを表示して選択を受け付けることが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
トグル方式は、携帯電話での入力に慣れている人にとって馴染み深い操作であるが、実物のキーを操作する場合のような操作感が得られないため、誤入力が生じやすい。誤入力を防ぐには、実物のキーに対するよりスピードを落としてタップをする必要があり、文字入力の効率が低下する。
【0010】
フリック方式によれば、操作に慣れると、文字を効率良く入力をすることができるが、初心者、特に中高年者には利用しづらい。また、操作の速度が早すぎたり、スライド量が長すぎたりすると、隣の文字キーが選択されたと誤認識される場合がある。したがって、この方式でも誤入力が生じやすい。
【0011】
特許文献1に記載された入力方式は、文字キーのタッチ操作を続けながら、任意の一箇所または複数箇所にタッチすることにより文字を選択することができる。たとえば「あ」行のキーのタッチ状態を維持しながら1箇所をタッチすると「い」が選択され、2箇所を同時タッチすると「う」が選択され、3箇所を同時タッチすると「え」が選択され、4箇所を同時タッチすると「お」が選択される。
【0012】
このように、特許文献1に記載された入力方式によれば、いずれの文字でも2段階の操作により入力文字を確定することができるので、入力の効率を高めることができる。しかし、入力対象の文字を選択するには何箇所へのタッチが必要であるかを瞬時に判断する必要があるため、ユーザの負担が大きくなる。
したがって、この方法でも、誤入力が生じる可能性が高いが、特許文献1には、あらかじめ定めた回数までのやり直しを認めることしか記載されておらず(特許文献1の段落0084参照)、利便性に欠ける。
【0013】
特許文献2に記載された入力方式でも、2段階の操作により入力文字を確定することが可能である。しかし、文字の選択を誤った場合について、特許文献2には、スペースキーやBSキーなどによる取り消し操作により対応することしか記載されておらず(特許文献2の段落0015参照)、ユーザへの便宜が十分に図られているとは言えない。
【0014】
本発明は上記の問題に着目してなされたもので、ユーザが馴染んでいる操作方法によって、効率の良い文字入力を行えるようにすると共に、必要に応じて、何度でも、文字を選択し直すことができるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明でいうところの文字入力装置には、タッチパネルと、このタッチパネルを文字入力のための操作部として機能させて、操作に従って入力対象の文字を確定する処理を行うためのプログラムが組み込まれたコンピュータとが含まれる。
【0016】
本発明の第1のプログラムが組み込まれた文字入力装置には、
複数の文字が割り当てられた文字キーが配列されたキーボードをタッチパネルに表
示して、このキーボードに対する操作を受け付けるキーボード処理手段;
キーボード内の一文字キーへのタッチ操作が続いている間に、タッチ中の文字キーとは異なる場所を叩くタップ操作を受け付けると共に、
タッチされている文字キーに割り当てられている各文字を1つずつ順に選択することとして、所定の順序に従って、タップ操作の回数に応じて文字の選択を切り替えながら選択した文字を表示する文字選択手段;
キーボード処理手段が文字キーへのタッチ操作が解除されたことを検出したときに文字選択手段により選択されている文字を入力文字として確定する選択確定手段;
の各手段が設けられる。
【0017】
上記の構成によれば、ユーザは、入力対象の文字が割り当てられている文字キーをタッチ操作し、その文字キーから指を離さずに、別の指またはタッチ操作をしている手とは反対の手の指で、目的の文字が表示されるまでタップ操作を繰り返すことにより、文字入力を完了することができる。すなわち、従来のトグル方式を応用した操作を、操作の場所を問わずに受け付ける方式となるので、初心者でも容易に行うことが可能である。
【0018】
上記のプログラムにおける一実施形態では、文字選択手段は、タップ操作として、一箇所をタップする操作および二箇所を同時にタップする操作を有効とし、二箇所がタップされた場合には、一箇所がタップされた場合とは反対の順序で文字の選択を切り替える。
【0019】
このようにすれば、2通りのタップ操作のうち、目的の文字が早く選択される方の操作を選択することにより、効率良く文字を入力することができる。また、一方のタップ操作による選択でタップ回数を誤って目的の文字が通り過ぎてしまった場合にも、もう一方のタップ操作によって逆戻りをすることができるので、タップ操作の回数を削減することができる。
【0020】
本発明による第2のプログラムによる文字入力装置には、
複数の文字が割り当てられた文字キーが配列されたキーボードをタッチパネルに表示して、このキーボードに対する操作を受け付けるキーボード処理手段;
キーボード内の一文字キーへのタッチ操作が続いている間に、タッチ中の文字キーとは異なる場所を起点と
して特定の方向または当該特定の方向とは反対の方向に沿うスライド操作を受け付けると共に、
タッチされている文字キーに割り当てられている各文字を1つずつ順に選択することとして、前記起点に対するスライド操作の方向が前記特定の方向に沿う場合と当該特定の方向とは反対の方向に沿う場合とでは文字の選択の順序が逆になるようにして、前記スライド操作による接触位置の変位に応じて文字の選択を切り替えながら選択した文字をタッチパネル内に表示する文字選択手段;
キーボード処理手段が文字キーへのタッチ操作が解除されたことを検出したときに文字選択手段により選択されている文字を入力文字として確定する選択確定手段;
の各手段
が設けられる。
【0021】
上記の構成によれば、目的の文字が割り当てられた文字キーに指を触れている状態を続けながら、この文字キー以外の場所を起点にして、目的の文字が表示された状態になるまで一方向に沿ってスライド操作を行うことにより、当該目的の文字の入力を完了することができる。従来のフリック方式のように、入力する文字の種類によってスライド方向を変更する必要がない上に、スライド操作に応じた文字表示によってスライドを停止するタイミングを把握することができるので、初心者でも容易に操作を行うことができる。また、スライドを停止させるタイミングを誤って、目的外の文字の選択が仮確定された場合でも、文字キーから指を離さない限り、再度のスライド操作によって目的の文字に修正することができるので、修正作業が容易になる。
さらに、特定の方向に沿ってスライド操作を行った場合とそれとは反対の方向に沿ってスライド操作を行った場合とで、文字の選択の順序が逆になるので、目的の文字を選択できる位置までのスライド量がより少ない方向を選択してスライド操作をすることにより、文字入力に要する時間を短縮することが可能になる。
【0022】
第2のプログラムによる一実施形態では、スライド操作の開始後に起点側への戻り操作を受け付けて
当該戻り操作までに選択された各文字を戻り操作の前とは逆の順序で選択する。さらにこの実施形態では、戻り操作によるタッチパネルの接触位置が前記起点まで戻った後は、その後のスライド方向に従った順序でタッチされている文字キーに割り当てられている各文字を1つずつ順に選択する。このようにすれば、スライド操作中に目的の文字に対応する位置を通り過ぎてしまった場合でも、正しい位置まで戻ることによって、文字の選択を完了することが可能に
なり、文字入力の効率をより一層向上することができる。
【0023】
第2のプログラムによる他の実施形態では、上下2方向および左右2方向の少なくとも一方に対するスライド操作を有効にすると共に、有効なスライド操作に対し、
前記タッチされている文字キーに割り当てられている複数の文字をスライド方向に対応する順序で当該スライド方向に沿って配列した文字バーを表示し、当該文字バー内の選択されている文字にカーソルを設定する。この実施形態によれば、文字バー内のカーソルを指標にしてスライドの終点位置を判別することができるので、初心者でも容易に文字入力操作を行うことができる。
【0024】
本発明の第1および第2のプログラムによる文字入力装置では、文字選択手段は、タッチパネル内のタッチ中の文字キーとは異なる任意の箇所での操作に応じて文字の選択を切り替えることができる。
【0025】
この場合、入力対象のキーとは関係のない場所を対象にタップ操作またはスライド操作をすることによって、選択文字が切り替えられる。また、文字キーへのタッチ操作が続いている間は、仮に他のキーに指が接触することがあっても、それはそのキーに対する操作であるとは認識されない。選択を誤った場合でも、タッチ中のキーから指を離さない限り、何度でも選択をやり直すことができる。
よって操作性が大幅に高められると共に、誤入力を防止することができる。
【0026】
また、文字選択手段は、キーボードが表示されているタッチパネルとは別体の操作手段による操作に応じて文字の選択を切り替えることもできる。この構成によれば、目的の文字が割り当てられている文字キーに指を触れている状態を続けながら、他の指または他方の手の指で別体の操作手段を操作することによって、入力対象の文字を確定することができる。別体の操作手段による操作で選択された文字は、キーボードと同じ画面に表示されるので、誤操作を防ぐことができる。
また、タップ操作を受け付ける場合には、操作手段として機械式のボタンを使用すれば、確かな操作感を得ることができ、より正確な操作を行うことが可能になる。
【0027】
本発明による文字入力用のプログラムは、スマートフォンやタブレット型の情報端末装置などの情報処理装置に組み込むことができるほか、コピー機、固定電話機、リモコン装置、家電製品、ATMなど、タッチパネルによる操作部が導入されている各種装置に組み込むことができる。
【0028】
このプログラムが組み込まれたコンピュータは、タッチパネルと共に上記した文字入力装置として機能し、操作に応じて入力対象の文字列を構成する各文字を確定した後に、装置内で稼働中のシステムに確定文字列を入力する。あるいは、その確定した文字列を、ユーザの変換操作によって他の字種による文字列に変換し(たとえば、かな文字列を漢字文字列に変換したり、英字の小文字による文字列を大文字の文字列に変換するなど。)、変換後の文字列を、稼働中のシステムに入力することもできる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、入力対象の文字が割り当てられているキーに指を触れている状態を維持しながら、タップ操作またはスライド操作によって入力対象の文字を選択することができるので、文字の選択操作が容易になる。また、文字キーから指を離さない限り、何度でも文字の選択を行うことができるので、操作性が向上し、誤入力を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明による文字入力装置の構成例を示す。
この実施例の文字入力装置は、スマートフォンにおける文字入力に使用されるもので、タッチパネル1および文字入力システム(IME)2を主要な構成とする
【0032】
タッチパネル1は、スマートフォンの筐体の前面に配備される。文字入力システム2は、スマートフォン内の図示しない制御部に組み込まれたソフトウェアであって、キーボード処理部20、選択操作受付処理部21,文字入力処理部22,変換処理部23,確定処理部24,表示処理部25,辞書データベース26などが含まれる。
【0033】
文字入力システム2では、日本語の仮名文字の入力を受け付けて、これを仮名漢字文字列に変換するほか、英字や数字の入力を受け付けることもできる。以下では、説明を簡単にするため、日本語を入力する場合に限定して、文字入力システム2の機能を説明するが、後述する2とおりの文字選択方式は、英字を入力する場合にも適用できるものである。
【0034】
キーボード処理部20は、タッチパネル1にソフトウェアキーボードを表示して、このキーボードに対する操作を受け付ける。
図2〜
図7には、このキーボードを用いた文字入力の例が示されているので、以下、
図2〜
図7の符号を参照しながら、
図1の文字入力システム2内の各機能を説明する。
【0035】
この実施例で表示されるキーボード10には、従来と同様に、縦方向に4個ずつ、横方向に3個ずつで配列された12個の文字キー11と、文字キー11の配列の左右に配置される8個の機能キー12とが含まれる。12個の文字キー11のうちの10個は、いわゆるテンキーであって、「あ」行〜「わ」行の仮名文字が1行分ずつ割り当てられる。
また「あ」行〜「ら」行の各文字キー11には、3個または4個の英字が割り当てられている。
【0036】
キーボード処理部
20は、上記のキーボード10およびその上の候補表示エリア13に対する操作を受け付けると共に、その操作に応じてキーや候補の表示を更新する。一方、画面の上半分の入力文字表示エリア14における表示は、表示処理部25が担当する。
【0037】
キーボード処理部20が何らかのキー操作を受け付けると、その操作内容に応じた処理部による処理が実行される。具体的に、キーボード10内の文字キー11が操作された場合には、文字入力処理部22がそのキー操作に応じた仮名文字を入力文字として設定する。設定された入力文字は、表示処理部25によって、変換前の未確定文字として、入力文字表示エリア14内のカーソル15の手前に表示される。文字キー11の操作が続くと、操作の都度、上記の処理が繰り返されるので、入力文字表示エリア14には、複数の入力文字による文字列が表示される。
【0038】
変換処理部23は、仮名文字が入力される都度、辞書データベース26を検索して、次に入力される可能性のある単語(予測候補)を抽出する。またキーボード10内の変換用の機能キー12(右側の機能キー12の列の下から2番目のキー)が操作されると、変換処理部23は、辞書データベース26から、その時点に組み立てられている入力文字列に読みが一致する単語(変換候補)を抽出する。
なお、辞書データベース26には、仮名漢字変換用の辞書のほかに、過去に確定された単語の履歴情報が保存される学習辞書や、一緒に使用される頻度が高い単語のグループをその繋がりの関係と共に登録した繋がり辞書などが含まれる。予測候補を抽出する検索では、これら複数種の辞書に対する検索が行われる。
【0039】
候補表示エリア13内の一候補を選択する操作が行われると、確定処理部24によって、選択された候補の単語が確定され、起動中のアプリケーションに出力される。また確定処理部24は、確定した単語を学習辞書に登録すると共に、表示処理部25に確定内容を通知する。これに応じて、表示処理部25は、入力文字表示エリア14内の仮名文字の未確定表示を消失させて、カーソル15の手前に確定した単語の表記文字列を表示する。
変換処理部23は、確定した単語により学習辞書を検索して次に入力される可能性のある単語の候補(繋がり候補)を抽出する。これを受けてキーボード処理部20は、候補エリア13内の表示を繋がり候補の表示文字に更新する。
【0040】
選択操作受付処理部21は、キーボード10内の文字キー11へのタッチ操作が所定時間以上続いた場合に起動し、文字入力処理部22と協働して、入力文字の選択処理を実行する。具体的には、選択受付処理部21が、タッチパネル10内の任意の場所でのタップ操作またはスライド操作を受け付けて、受け付けられた操作の内容に応じて文字入力処理部22が入力文字の選択を切り替える。この切り替えは表示処理部25に通知されて、入力文字表示エリア14内の仮名文字の表示も更新される。
なお、選択受付処理部21には、後記する文字バー100など、文字の選択操作用のガイダンス表示を実施する機能も設定される。
【0041】
図2〜
図4は、タップ操作により文字を選択する例を示す。以下、この操作による入力文字の選択を「タップ方式による文字選択」と呼ぶ。
また、以下では、各文字キー11に割り当てられる文字が、それぞれの母音の「ア→イ→ウ→エ→オ」の順に選択される場合の選択順序を「昇順」とし、その反対の「オ→エ→ウ→イ→ア」の順に選択される場合の選択順序を「降順」とする。
【0042】
タップ方式による文字選択は、従前のトグル方式を応用したものである。つまり、キーボード10内の目的とする文字が割り当てられている文字キー11(図示例では「あ」行のキー)をタッチした状態を続けながら、そのキー以外の場所を所定回数タップすることによって、文字の選択を切り替える。タップ操作を行う場所は、タッチ中の文字キー11と異なる場所であればどこでも良いが、接触する箇所は、1箇所および2箇所のいずれかに限定される。
【0043】
図2は、1箇所でのタップ操作により入力文字の選択を切り替える例を示す。
文字の入力操作が開始されたタッチパネル1では、下方にキーボード10および候補表示エリア13が設定され、その上方に、入力文字表示エリア14が設定される。選択された入力文字は、表示処理部25によって、入力文字表示エリア14内のカーソル15の手前に、未確定であることを示すアンダーラインを付けた状態で表示される。
【0044】
図2の例のユーザは、左手の親指で「あ」行の文字キー11をタッチした後に、そのタッチ状態を続けたまま、右手の人差し指で入力文字表示エリア14内の空き領域をタップしている。
図2(1)に示すように、最初の文字キー11へのタッチによって、この文字キー11に割り当てられている代表の文字(当該キーに表示されている文字)の「あ」が選択されて入力文字表示エリア14に表示されるが、次のタップ操作によって、
図2(2)に示すように、2番目の文字「い」へと選択が切り替えられる。
【0045】
さらにタップ操作が続くと、2回目の操作により3番目の文字「う」に選択が切り替えられ、3回目の操作により4番目の文字「え」に選択が切り替えられ、4回目の操作により5番目の文字「お」に選択が切り替えられる。
【0046】
「あ」行の文字キー11には、さらに、小サイズ表記の「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」が割り当てられている。これら小サイズ表記の文字は、5回〜9回のタップ操作によって順に呼び出される。その後は、先頭の「あ」に戻り、以下、同様の順序で文字の選択が切り替えられる。
このように、一箇所をタップする操作を繰り返すことによって、タッチ中の文字キー11に割り当てられている各文字を、昇順の順序に従って呼び出して選択を切り替えることができる。ただし、文字キー11のタッチが解除されていない段階での文字の選択は仮確定状態となる。
【0047】
図3の例は、2点へのタップ操作により文字を選択する例を示す。
この例のユーザは、
図2と同様に、左手の親指で「あ」行の文字キー11をタッチし(
図3(1))、そのタッチ状態を続けながら、右手の人差し指および中指により2箇所を同時にタップしている。
【0048】
このように2箇所が同時にタップされた場合には、1回目のタップ操作によって、
図3(2)に示すように、入力文字が最下位の「ぉ」に切り替えられる。以下も同様に、2箇所の同時タップ操作が続くと、降順の順序に従って各文字が順に呼び出されて選択される。
【0049】
図2および
図3の例によれば、ユーザは、従前のトグル方式と同様の方法で文字を選択することができるので、操作手法を容易に会得することができる。
また、2通りのタップ操作によって、文字の選択順序を昇順および降順のいずれにするかを選択することができるので、目的の文字が早く呼びされる方のタップ操作を選択すれば、文字の選択を短時間で完了することが可能になる。
【0050】
さらに、このタップ方式による文字選択では、タップ操作を開始した後で操作方法を変更することによって、文字の選択の進行を逆転させることもできる。
【0051】
図4は、この戻り操作の具体例であって、
図4(1)は、「あ」が入力文字として確定した後に、2文字目として「け」が選択されている状態を示す。この「け」は、「か」行の文字キー11へのタッチ操作を続けながら1箇所へのタップ操作を3回続けることによって、「き→く→け」の順に選択されたものである。
ここで、ユーザがタップ操作の指を1本から2本に切り替えると、
図4(2)に示すように、文字の選択順序が昇順から降順に切り替えられて、2番目の文字は「け」から1つ前の「く」に戻る。
【0052】
このように、タップ操作を開始した後でも、操作の指を1本から2本に、または2本から1本に変更することによって、文字の選択順序を反転させることができる。よって、タップ回数を誤って、目的とする文字を見過ごしてしまった場合でも、選択を一巡させることなく、目的の文字を呼び戻すことが可能になるので、利便性が高められる。
なお、この実施例では、同時に3箇所以上をタップする操作を無効とするが、これに限らず、たとえば3箇所以上の同時タップ操作を2箇所の同時タップ操作であるとみなしてもよい。
【0053】
図5〜
図7は、スライド操作により入力文字を選択する具体例を示す。以下、この操作による文字の選択を、「スライド方式による文字選択」という。
【0054】
スライド方式による文字選択では、キーボード10内の目的とする文字が割り当てられている文字キー11をタッチした状態を続けながら、タッチ中の文字キー11以外の場所に指を置き、さらにその指を上方向または下方向に沿って滑らせる。このスライド操作の開始に応じて、スライド位置の近傍に、タッチ中の文字キー11に割り当てられている各文字を一列に並べた領域100が表示される。以下、この領域100を「文字バー100」と呼ぶ。
【0055】
この実施例の文字バー100には、所定の色彩による矩形カーソル101(
図5では、色彩を太枠で表現する。)が設定されて、これがユーザの指の動きに応じて移動する。よって、この矩形カーソル101により、現在のスライド位置により選択されている文字が表示されていると言える。
スライド操作の指がタッチパネル1から離れるか、または所定の場所で指が停止する状態が一定時間続くと、スライド操作が終了したとみなされて、その終了時に矩形カーソル101が置かれた文字の選択が仮確定し、入力文字表示エリア14に表示される。さらに、タッチ中の文字キー11から指が離れると、仮確定の選択が確定される。
【0056】
図5に示すように、上方向へのスライド操作に対する文字バー100では、タッチ中の文字キー11に割り当てられている上位5個の文字「あ」「い」「う」「え」「お」が、下から上に向かう方向に沿って昇順に並べられる。これに対し、下方向へのスライド操作に対する文字バー100では、
図6に示すように、タッチ中の文字キー11に割り当てられている下位の5個の文字「ぉ」「ぇ」「ぅ」「ぃ」「ぁ」が、上から下に向かう方向に沿って降順に並べられる。
【0057】
図5の例のユーザは、左手の親指で「あ」行の文字キー11をタッチしながら、右手の人差し指を上向きに滑らせ、横に表示された文字バー100の「う」に対応する位置でスライド操作を停止させている。これにより「う」の選択が仮確定し、入力文字表示エリア14内の入力文字の表示も「う」に切り替えられる。
【0058】
図6の例のユーザは、左手の親指で「あ」行の文字キー11をタッチしながら、右手の人差し指を下向きに滑らせ、横に表示された文字バー100の「ぇ」に対応する位置でスライド操作を停止させている。これにより、「ぇ」の選択が仮確定し、入力文字表示エリア14内の入力文字の表示も「ぇ」に切り替えられる。
【0059】
なお、小サイズの文字が割り当てられていない文字キー11がタッチされている状態下でスライド操作が行われた場合には、いずれの方向へのスライド操作に対しても、割り当てられている全ての文字(5個)を含む文字バー100が表示される。たとえば、「か」行の文字キー11へのタッチ操作が維持されている状態下において、上向きのスライド操作が行われた場合には、「か」を一番下にして、上方向に向けて「か・き・く・け・こ」と並ぶ文字バー100が表示され、下向きのスライド操作が行われた場合には、「こ」を一番上にして、下方向に向けて「こ・け・く・き・か」と並ぶ文字バー100が表示される。
【0060】
スライド方式の文字選択によれば、ユーザは、目的の文字が割り当てられた文字キー11へのタッチ操作を続けながら、他の指を上向きまたは下向きに滑らせ、目的の文字に矩形カーソル101が合わせられたときに指の動きを停止させることによって、文字の選択を完了することができる。スライド方向が一方向となり、文字バー100内の矩形カーソル101を指標にしてスライドの終点位置を判別することができるので、初心者でも容易に操作を行うことができる。
【0061】
また、スライド操作の方向が上向きであるか下向きであるかによって、文字の選択順序が反対になるので、目的の文字をより少ないスライド量で選択できる方向に沿ってスライド操作を行えば、文字をより効率良く選択することが可能になる。
【0062】
さらに、この実施例では、スライド操作を開始した後に、そのスライド方向を反転させることもできる。その具体例を
図7に示す。
この例では、
図5の例と同様に、「あ」行の文字キー11をタッチしながら上向きのスライド操作を開始したが、
図7(1)に示すように、「う」が選択された時点でスライド方向を下向きに変更している。
【0063】
図7(1)でスライド方向を反転させたときには、指の停止期間が短時間であったので、入力表示エリア14のカーソル15の手前に表示される文字は最初の「あ」のままとなる。この後、「い」が選択されたときに指の動きが停止すると、
図7(2)に示すように、「い」の選択が仮確定されて、カーソル15の前の文字も「い」に切り替えられる。また、「い」に基づく予測変換処理も実施されて、候補表示エリア13が表示されている。
【0064】
スライド方式による文字選択で文字の選択が仮確定した場合でも、スライド操作の指が離れていない場合には、スライド操作を再開することによって、選択文字を変更することができる。また、スライド操作の指が離れてしまった場合でも、文字キー11のタッチ操作が続いている限り、何回でもスライド操作をやり直すことができる。
【0065】
スライド操作の方向は上下方向に限らず、左右方向のスライド操作を受け付けることも可能である。その場合には、たとえば、右方向へのスライド操作に対しては、選択対象の文字を昇順に並べた文字バー100を表示し、左方向へのスライド操作に対しては、選択対象の文字を降順に並べた文字バー100を表示する。
【0066】
上下、左右いずれの方向においても、文字バー100の長さを5文字分に固定せずに、スライド操作の起点から指に対応する位置までの範囲に含まれる文字のみを配列した文字バー100を表示してもよい。このようにすれば、矩形カーソル101を設けなくとも、文字バー100の先端に位置する文字を参照することによって、目的の文字を選択することが可能になる。
【0067】
文字バー100を表示せずに、毎時のスライド位置により選択される文字のみを、そのスライド位置の隣に表示してもよい。また、上記の実施例では、スライド操作が終了するまでは、入力文字表示領域14内の代表の文字の表示を変更しないようにしたが、これに限らず、入力文字表示領域14内の文字もスライド位置の変化に応じて変更させてもよい。
【0068】
上記のとおり、この実施例では、目的の文字が割り当てられた文字キー11へのタッチ操作を続けながら、タップ操作またはスライド操作により目的の文字を選択することができる。
図2〜
図7に示したタップ操作やスライド操作の例では、いずれも、入力文字表示エリア14の空き領域の辺りを指で触れているが、これに限らず、タッチ中の文字キー11以外の場所であれば、候補表示エリア13やキーボード10内でタップ操作やスライド操作を行ってもかまわない。キーボード受付処理部20は、文字キー11のタッチ操作が続いている間は、他のキーの機能を無効にするので、他の文字キー11へのタッチにより目的外の文字が入力されたり、候補表示エリア13へのタッチにより誤った単語が確定されたりするおそれはない。
【0069】
図8は、上記の文字入力装置における処理について、読み文字の入力に関する処理を中心に示した手順を示す。
【0070】
この処理は、キーボード10または候補表示領域13内のいずれかの場所がタッチされたことに応じて開始される。
最初のステップS1では、タッチ位置の座標を取得し、その座標に基づき、操作の内容を判別する。いずれかの文字キーがタッチされた場合(ステップS2が「YES」)には、操作された文字キー11に対して表示されている代表の文字(第1位の文字)を選択状態とする(ステップS3)。そして、この選択文字を入力文字表示エリア14に表示すると共に、選択文字に応じた予測候補を候補表示エリア13に表示する(ステップS4)。
【0071】
この後は、文字キー11へのタッチ状態が続くか否かを判定する(ステップS5)。あらかじめ定めた時間が経過するまでタッチ状態が続いた場合には、ステップS5が「YES」となってステップS6に進み、その後の操作内容に応じてタップ方式またはスライド方式による文字選択処理を実行する。
【0072】
図8には示されていないが、この文字選択処理での文字の選択の切り替えに応じて、表示処理部25により選択された文字により入力表示エリア14の入力文字や候補表示エリア13内の候補の表示を更新する処理が行われる。
文字キー11へのタッチ操作が解除されると、文字選択処理は終了し、文字の選択が確定する。これによりステップS5が「NO」となり、処理終了となる。
【0073】
一方、最初の文字キー11へのタッチ操作が短時間で終了した場合、すなわち文字キー11をタップする操作が行われた場合には、ステップS5が「NO」となり、処理を終了する。これにより代表文字の選択が確定される。
また、タッチパネル1に対し、文字キー11へのタッチ操作以外の操作が行われた場合には、ステップS2が「NO」となり、その操作に応じた処理(ステップS7)が実行され、しかる後に処理終了となる。
【0074】
つぎに、ステップS6の文字選択処理に関して、操作方式毎に詳細に説明する。
まず
図9は、タップ方式による文字選択処理の手順を示す。この処理では、まず、タッチ中の文字キー11に割り当てられている文字の数をNとする(ステップS11)。たとえば、「あ」行のキーが操作された場合にはN=10、「か」行のキーが操作された場合にはN=5となる。さらに、ステップS12において、以下の処理に使用する変数iに初期値として1を設定する。
【0075】
以下、文字キー11へのタッチ操作が終了するまでタップ操作を受付可能として(ステップS13,14)、毎時のタップ操作に対して以下の処理を実行する。
まず、タップ操作による接触箇所の数をチェックする。タップ操作に限るものではないが、タッチパネル1では、接触状態となった領域毎に中心点などの代表点の座標が1点検出される。この検出点が1点であれば、1箇所がタップされたものと判定し(ステップS15が「YES」)、検出点が2点であれば、2箇所がタップされたものと判定する(ステップS19が「YES」)。検出点が3点以上となった場合には、3箇所以上が同時にタップされているものとして、その操作を無効にし、ステップS13に戻る。
【0076】
1箇所がタップされた場合(ステップS15が「YES」)には、iの値をNと比較する。i<Nであれば(ステップS16が「YES」)、iの値を1つ増やし(ステップS17)、i=Nであれば(ステップS18が「NO」)、iを初期値の1に戻す。そして、ステップS23に進んで、更新後のiに基づきi番目の文字を選択する。
【0077】
2箇所がタップされた場合(ステップS19が「YES」)には、iの値を1と比較する。i>1であれば(ステップS20が「YES」)、iの値を1つ減らし(ステップS22)、i=1であれば、iの値をNとする(ステップS21)。そして、ステップS23に進んで、更新後のiに基づきi番目の文字を選択する。
【0078】
上記の手順によれば、1箇所でのタップ操作が続く間の文字の選択順序は昇順となり、2箇所でのタップ操作が続く間の文字の選択順序は降順となる。また、文字キー11へのタッチ操作が続いている間に、1箇所へのタップ操作から2箇所へのタップ操作に、または2箇所へのタップ操作から1箇所へのタップ操作に、操作が切り替えられた場合には、選択文字は1段階前に選択された文字に戻る。
【0079】
文字キー11へのタッチ状態が解除されると、ステップS13が「YES」となり、選択処理を終了する。これにより、文字の選択が確定する。
【0080】
つぎに、
図10は、スライド方式による文字選択処理の手順を示す。
この処理でも、文字キー11へのタッチ状態が維持されている間、スライド操作を受付可能とする(ステップS31,S32)。スライド操作が開始されると(ステップS32が「YES」)、まずそのスライド方向をチェックする(ステップS33)。
【0081】
この実施例では、上下左右の4方向へのスライドを可能としており、上向きまたは右向きのスライド操作に対しては、タッチ中の文字キー11に割り当てられた文字(以下、「選択対象の文字」という。)をスライド方向に沿って昇順に配列した文字バー100を表示する(ステップS34)。下向きおよび左向きのスライド操作に対しては、選択対象の文字をスライド方向に沿って降順に配列した文字バー100を表示する(ステップS35)。
【0082】
この後は、スライド操作が終了するまで、毎時の検出点の座標に基づき、文字バー100内の接触位置に対応する文字にカーソル101を設定する(ステップS36)。このステップS36は、スライド方向に関係なく繰り返されるので、途中でスライド方向が逆転した場合にも、カーソル101の移動方向をスライド方向に追随させて反転させることができる。ただし、スライド方向が逆転して接触位置がスライド操作の開始位置まで戻った場合(ステップS38が「YES」)には、ステップS33に戻ることによって、文字バー100を設定し直す。すなわち、スライド操作後の後戻り操作によってスライド操作の起点を超える位置までスライドが進んだ場合には、現在のスライド方向に
従って新たな文字バー100が表示される。
【0083】
所定の時点で、スライド操作の停止により検出点が所定時間以上停止するか、スライド操作の指が離れたことにより検出点が消失した状態になると、ステップS37が「YES」となる。この判定に応じてステップS39では、最後にカーソル101が設定されていた文字を選択する。選択後はステップS31に戻り、文字キー11へのタッチ状態が解除されたことに応じて(ステップS31が「YES」)、処理を終了する。これにより文字の選択が確定する。
【0084】
一方、スライド操作の終了後も文字キーへのタッチ状態が続いて再度のスライド操作が行われると、再びステップS32が「YES」となり、ステップS33以下の処理が実行される。よって、次のスライド操作によって選択文字が切り替えられる。
【0085】
上記のとおり、
図9,
図10のいずれの処理においても、文字キー11のタッチ状態が続く限り、文字を選択する操作を繰り返すことができるので、操作を誤った場合でも、簡単に修正をすることができる。また、いずれの処理でも、指が走って目的の文字を見過ごしてしまった場合には、その文字の方に後戻りする操作が可能であるので、見過ごしにも速やかに対応することができ、利便性が高められる。
【0086】
なお、上記では、タップ方式による文字選択の手順とスライド方式による文字選択の手順とを分けて示したが、これら2通りの方式の一方を実行して文字が選択された後も、文字キー11のタッチ状態が続いていることを条件として、文字選択の方式を切り替えて、文字の選択をやり直してもよい。
【0087】
また、
図2〜
図7の操作例では、いずれも、ユーザは、左手でスマートフォンの操作本体を持ちながら親指で文字キー11をタッチし、右手の指で文字を選択するためのタップ操作やスライド操作を行っているが、これに限らず、文字キー11のタッチ操作とタップ操作またはスライド操作とを、片手で行うことも可能である。
【0088】
また、
図2〜
図7の例では、従来と同様の構成のキーボード10を使用しているが、タップ方式およびスライド方式の文字選択によれば、キーボードの構成をより簡易にすることができる。
【0089】
図11(1)(2)は、キーボードの他の構成例を操作例とともに示す。
これらの実施例でも、12個の文字キー11が配列されているが、
図11(1)の例では、各文字キー11は画面の下端縁に沿って配列され、
図11(2)の例では、各文字キー11は画面の左測縁に沿って配列される。
【0090】
図11(1)の例のユーザは、右手の人差し指で文字キー11へのタッチ状態を続けながら、同じ右手の他の指(たとえば中指)で任意の場所をタップ、または任意の場所からのスライド操作を実施する。
図11(2)の例のユーザは、左手の親指で文字キー11へのタッチ状態を続けながら、右手の人差し指でタッチ中の任意の場所をタップ、または任意の場所からのスライド操作を実施する。
【0091】
図11(1)(2)の例のように、画面の隅に文字キー11を一列に配列すれば、文字キー11をタッチする方の指の移動方向を左右方向または上下方向に移動させることができるので、指をスムーズに動かすことができ、操作性が高められる。
また、画面内でキーボードが占める割合を削減することができるので、入力文字表示エリアや候補表示エリアを広く設定することができ、その点での利便性も高められる。
【0092】
これまでに挙げた実施例では、いずれも、タッチパネル1内のタッチ中の文字キー11とは異なる場所でのタップ操作やスライド操作を受け付けたが、これに限らず、スマートフォンの筐体の背面や側面などに、専用の操作部を設けてもよい。
図12は、その一例として、筐体の背面に、タップ操作用の専用ボタン30を設けたものである。
【0093】
この例では、ユーザは、左手で筐体3を持ち、その左手の親指(
図12には示さず。)でタッチパネル1内の文字キー11(いずれも
図12には示さず。)をタッチし、そのタッチ状態を続けながら右手の人差し指で背面のボタン30を押している。このような機械的な操作部によれば、十分な操作感を得ることができるので、操作ミスを大幅に削減することができる。
なお、操作部としてトラックパッドまたは面積が小さなタッチパネルを用いれば、タップ方式およびスライド方式の双方を受け付けることができる。
【0094】
図12の例では、キーボード10が表示される表側のタッチパネル1とは別体のボタン30により文字の選択操作を受け付けるが、この操作により選択された文字は表側のタッチパネル1に表示される。これにより、ユーザは、操作中の文字キー11や選択文字の正否を一目で確認して、効率良く操作を進めることが可能になる。
【0095】
なお、上記の各種実施例は、いずれもスマートフォンに対象を特化したものであったが、これに限らず、タブレット型端末装置、ファクシミリ、固定電話、支払い端末機(ATM)など、タッチパネルによる操作部を備えた装置であれば、機種を問わず、同様の方式による文字選択処理を実施することができる。