特許第5915367号(P5915367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5915367-荷役搬送用産業車両 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5915367
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】荷役搬送用産業車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/613 20140101AFI20160422BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20160422BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20160422BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20160422BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20160422BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/6555
   H01M2/10 S
   B66F9/075 C
   B60K1/04 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-109856(P2012-109856)
(22)【出願日】2012年5月11日
(65)【公開番号】特開2013-239262(P2013-239262A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2014年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】会沢 真一
(72)【発明者】
【氏名】渡▲辺▼ 慎太郎
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−149157(JP,A)
【文献】 特開2012−043655(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/101391(WO,A1)
【文献】 特開2011−054353(JP,A)
【文献】 特開2004−292063(JP,A)
【文献】 特開2011−081981(JP,A)
【文献】 特開2007−230464(JP,A)
【文献】 特開2009−274651(JP,A)
【文献】 特開2009−009889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K1/00−6/12,
B60K7/00−15/10,
B66F9/00−11/04,
E02F9/00−9/18,
E02F9/24−9/28,
H01M2/10,
H01M10/60−10/667
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に備えられた収容部に収容される複数の電池と、カウンタウェイトとを備えた荷役搬送用産業車両であって、
前記複数の電池の間に前記カウンタウェイトを前記電池と熱的に結合する状態で配置してなり、前記カウンタウェイトは、該カウンタウェイと熱的に結合する冷却パイプを有することなく構成されており、前記カウンタウェイトは、冷却流体が流通する通路を有することなく構成されていることを特徴とする荷役搬送用産業車両。
【請求項2】
前記カウンタウェイトは、断面U字状をなすことを特徴とする請求項1に記載の荷役搬送用産業車両。
【請求項3】
前記電池は、リチウムイオン電池であることを特徴とする請求項1または2に記載の荷役搬送用産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役搬送用産業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の二次電池装置においては、電池モジュールは、複数の単セルが箱状のケース内に並んで収容され、互いに接続されており、電池積層アッセンブリは、複数の電池モジュールを一列に並べて配置した複数の電池列を、複数段重ねて構成されている。電池積層アッセンブリの底側(外装ケースの底)には重りが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−54353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、このようなバッテリ構造であると、電池を十分に放熱することができない場合がある。電池を急速充電する場合においては特に電池の発熱による温度上昇を抑える必要があるが電池の放熱が十分ではなかった。
【0005】
本発明の目的は、電池の放熱性に優れた荷役搬送用産業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、車体に備えられた収容部に収容される複数の電池と、カウンタウェイトとを備えた荷役搬送用産業車両であって、前記複数の電池の間に前記カウンタウェイトを前記電池と熱的に結合する状態で配置してなり、前記カウンタウェイトは、該カウンタウェイと熱的に結合する冷却パイプを有することなく構成されており、前記カウンタウェイトは、冷却流体が流通する通路を有することなく構成されていることを要旨とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、複数の電池の間にカウンタウェイトが電池と熱的に結合する状態で配置されており、電池で生じる熱はカウンタウェイトに逃がされる。よって、電池の放熱性に優れたものとなる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の荷役搬送用産業車両において、前記カウンタウェイトは、断面U字状をなすことを要旨とする。
請求項2に記載の発明によれば、カウンタウェイトは、断面U字状をなすので、当該カウンタウェイトを縦積みしたときに両者の間に電池が収容され、このとき、電池の端子が上側に位置するカウンタウェイトとつながることを防止できる。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の荷役搬送用産業車両において、 前記電池は、リチウムイオン電池であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明によれば、リチウムイオン電池間にカウンタウェイトを配することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電池の放熱性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態におけるフォークリフトの概略側面図。
図2】(a)はバッテリを模式的に示す平面図、(b)はバッテリを模式的に示す正面図、(c)はバッテリを模式的に示す右側面図。
図3】バッテリを模式的に示す斜視図。
図4】別例のバッテリを模式的に示す一部断面での斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
なお、車体2前後方向をX方向,車体2左右方向をY方向,車体2上下方向をZ方向で規定している。
【0013】
図1に示すように、荷役搬送用産業車両としてのフォークリフト1はカウンタバランスタイプのバッテリフォークリフトであって、電動モータにて搬送・荷役作業を行うフォークリフトである。バッテリフォークリフト1の車体2の前側下部には駆動輪(前輪)3aが設けられ、車体2の後側下部には操舵輪(後輪)3bが設けられている。車体2の前部には荷役装置4が設けられている。
【0014】
荷役装置4を構成するマスト5は車体2の前部に立設されている。マスト5は車体2に対して前後に傾動可能に支持された左右一対のアウタマスト5aと、これにスライドして昇降するインナマスト5bとからなる。各アウタマスト5aの後部にはリフトシリンダ6が配設されている。インナマスト5bの内側にはフォーク7を備えたリフトブラケット8が昇降可能に支持されている。そして、リフトシリンダ6の伸縮作動によりフォーク7がリフトブラケット8とともに昇降される。そして、荷役装置を構成するフォーク7に、車体2の前部において積荷18を昇降可能に搭載することができる。
【0015】
左右一対のティルトシリンダ9は、その基端側が車体(車体フレーム)2に対して回動可能に連結されるとともに、先端側がアウタマスト5aの側面に回動可能に連結されている。マスト5はティルトシリンダ9が伸縮駆動されることで前後に傾動する。
【0016】
運転室Sにはその前側にハンドル10、リフトレバー11およびティルトレバー12が装備されている。リフトレバー11はフォーク7を昇降させるためのレバーであり、ティルトレバー12はマスト5を前後方向に傾動させるためのレバーである。運転席の床面にはアクセルペダル13が設けられ、アクセルペダル13の操作量(ペダル踏み込み量)に応じた車速にされる。
【0017】
車体2にはバッテリ14、走行用電動モータ15および荷役用電動モータ16が搭載されている。バッテリ14は、車体2の前後方向の中央寄りに設置され、車体2に形成された収容室(以下、バッテリ収納室)に配置されている。バッテリ14により走行用電動モータ15を駆動させ、駆動輪3aが駆動されるようになっている。詳しくは、走行用電動モータ15の出力軸が駆動輪3aの回転軸と減速機を介して連結されており、走行用電動モータ15の駆動により出力軸が回転するとその回転に伴って駆動輪3aの回転軸が回転して駆動輪3aが駆動される。
【0018】
また、バッテリ14により荷役用電動モータ16が駆動され、この荷役用電動モータ16の駆動により油圧ポンプ(図示略)が駆動される。この油圧ポンプの駆動に基づいてリフトシリンダ6やティルトシリンダ9を伸縮動作してフォーク7の上下動やティルト動作を行うことができるようになっている。一方、車体2の後部にはカウンタウェイト17が設けられている。
【0019】
次に、バッテリ14について図2,3を用いて説明する。
図2,3に示すように、バッテリ14は、複数本の角形リチウムイオン電池20により構成されている。また、バッテリ14は、複数枚のカウンタウェイト21を備える。カウンタウェイト21は熱伝導性に優れた金属製の板材よりなる。カウンタウェイト(板材)21は、角形リチウムイオン電池20の側面と全面で当接(面接触)するように角形リチウムイオン電池20の側面と同じ寸法となっている。また、カウンタウェイト(板材)21は、所定の厚さが確保されており、所定の熱容量を有する。
【0020】
電池20とカウンタウェイト21は、電池20とカウンタウェイト21とがX方向において交互に配置されている。電池20とカウンタウェイト21とは当接(面接触)しており、電池20の間にカウンタウェイト21が電池20と熱的に結合する状態で配置されている。
【0021】
このようにして、複数の電池20および複数のカウンタウェイト21が一体化されている。この状態で、バッテリ14が車体2に設けられたバッテリ収納室に配置される。
そして、フォークリフト1は、車体2の後部に設けたカウンタウェイト17と、バッテリ14のカウンタウェイト21とを搭載しており、二箇所で積荷18とのバランスをとっている。
【0022】
次に、フォークリフト1の作用について説明する。
バッテリ14は、複数の電池20と、複数の電池20間に電池20と熱的に結合する状態で配置される複数のカウンタウェイト21とからなり、複数の電池20と複数のカウンタウェイト21とが一体化されている。このようなバッテリ14を車体2のバッテリ収納室に配置する。よって、このようにして電池20と電池20の間にカウンタウェイト21を電池20と熱的に結合する状態で配置することで電池20の温度上昇を抑制することができる。即ち、カウンタウェイト21を用いて、電池20で発生した熱をカウンタウェイト21に逃がすことで電池20を冷却することができる。
【0023】
特に、バッテリ14(電池20)を急速充電する場合においては電池20が高温になる。この場合においてカウンタウェイト21へ熱を逃がして電池20が高温になることを防止することができる。
【0024】
本実施形態では、カウンタウェイト21を電池20と熱的に結合する状態で配置して、モジュール化することで、熱容量を増やし、電池20の温度上昇を抑制することができる。
【0025】
以上のごとく本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)車体2に備えられた収容部に収容される複数の電池20と、カウンタウェイトとを備えたフォークリフト(荷役搬送用産業車両)1であって、複数の電池20の間にカウンタウェイト21を電池20と熱的に結合する状態で配置している。これにより、電池20で生じる熱はカウンタウェイト21に逃がされる。よって、電池20の放熱性に優れたものとなる。
【0026】
(2)電池20はリチウムイオン電池であり、リチウムイオン電池20間にカウンタウェイト21を配することができ、これにより重量を増すことができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
【0027】
・電池20とカウンタウェイト21を交互に配置したが、これに限られない。要は、少なくとも2つの電池間においてカウンタウェイト21が直接接する等して熱的に結合していればよい。
【0028】
・電池20を縦積みにしてもよい。この場合、図4に示すカウンタウェイト30を用いるとよい。カウンタウェイト30は、断面形状がU字状をなし、Y方向に延びている。図4において、カウンタウェイト30は、水平板状部31と、一対の立設板状部32を有している。水平方向(X方向)に延びる水平板状部31における両端部において立設板状部32が上方(Z方向)に延びている。このカウンタウェイト30が縦積み(段積み)されている。
【0029】
一対の立設板状部32の間における水平板状部31の上面に電池20が搭載(収容)されている。電池20の本体部20aの上面に正極端子20bと負極端子20cが設けられている。このとき、縦積み(段積み)しても電池20の端子20b,20cが上側のカウンタウェイト30に接触しないよう立設板状部32の高さ(Z方向の高さ)が決められている。即ち、電池20の端子20b,20cとカウンタウェイト30との間にスペース(距離L)があるので短絡を防止できる。
【0030】
また、積み上げたカウンタウェイト30はボルト33により固定している。
このようにして、カウンタウェイト30をU字状に形成することにより、当該カウンタウェイト30を縦積み(段積み)したときに両者の間に電池20が収容され、このとき、電池20の端子(電極)20b,20cがカウンタウェイト30とつながることを防ぐことができる。
【0031】
つまり、カウンタウェイト30を断面U字状にすることにより、縦積みの際の保持固定機能を持たせて段積みする上で好ましい構造となる。
・電池20はリチウムイオン電池に限ることなく、鉛蓄電池等であってもよい。
【0032】
・電動モータ、バッテリを搭載し、電動モータを駆動させて搬送・荷役作業を行う電動フォークリフトに以外にも、エンジン、電動モータ、バッテリを搭載したハイブリッドフォークリフトに適用してもよい。
【0033】
・フォークリフト以外の産業車両に用いてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1…フォークリフト、2…車体、20…電池、21…カウンタウェイト、30…カウンタウェイト。
図1
図2
図3
図4