特許第5915419号(P5915419)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5915419-空気調和機 図000002
  • 特許5915419-空気調和機 図000003
  • 特許5915419-空気調和機 図000004
  • 特許5915419-空気調和機 図000005
  • 特許5915419-空気調和機 図000006
  • 特許5915419-空気調和機 図000007
  • 特許5915419-空気調和機 図000008
  • 特許5915419-空気調和機 図000009
  • 特許5915419-空気調和機 図000010
  • 特許5915419-空気調和機 図000011
  • 特許5915419-空気調和機 図000012
  • 特許5915419-空気調和機 図000013
  • 特許5915419-空気調和機 図000014
  • 特許5915419-空気調和機 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5915419
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20160422BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   F24F1/00 371B
   F24F1/00 401E
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-150767(P2012-150767)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2014-13113(P2014-13113A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2015年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之
(74)【代理人】
【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】倉守 哲丈
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−052779(JP,A)
【文献】 特開2003−120951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン、熱交換器、前記熱交換器の下方に配置されたドレンパン及び高圧電源供給部を収容したケーシングと、
前記ケーシングに取り付け可能であって、活性種を発生する活性種発生放電部を有する活性種発生ユニットとを備えており、
前記活性種発生ユニットが前記ケーシングに取り付けられた場合に、前記活性種発生ユニットの第1接点部が前記高圧電源供給部の第2接点部と接続されるように構成され、
前記ファン及び前記熱交換器と、前記第2接点部との間には、壁部が配置され、
前記壁部が、前記ドレンパンより高い位置に切り欠きを有することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記ケーシングに収容された電装品箱を備えており、
前記電装品箱が、開口を有する箱部と、前記開口を塞ぐ蓋部とを含んでおり、
前記第2接点部が、前記箱部の側壁の外周面に配置され、
前記開口が、前記第2接点部に対して前記壁部と反対側にあることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電により活性種を生成する活性種発生ユニットを備える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気調和機として、空気の清浄化のために、放電によってイオンやラジカル等の活性種を生成する活性種発生装置を備えたものが知られている(例えば特許文献1参照)。活性種は、空気中に含まれる有害成分や臭気成分を分解する能力を有している。
【0003】
活性種発生装置を備えた空気調和機の一例として、熱交換器やファンを収容するケーシングと、ケーシングの前面を覆う前面パネルとを有し、ケーシングの前面の長手方向端部に形成された凹部内に活性種発生装置が配置される場合がある(本実施形態の図2及び図3参照)。
【0004】
例えば図14に示すように、活性種発生装置90は、空気の流入口91aと流出口(図示省略)を有する直方体状の筺体91と、筺体91内に収容された放電針及び電極板(図示省略)と、電極板に接続される端子板92とを有する。端子板92は、筺体91に形成された貫通孔91bから筺体91の外に突出している。活性種発生装置90をケーシング93に取り付けた状態では、端子板92は、ケーシング93に形成された挿通孔93aに挿通されて、その先端はケーシング93内に設けられた接点部94に接続される。接点部94は、例えば電装品箱95の外面に配置される。
【0005】
また、図14に示す例では、ファンによる空気流が接点部94付近を通過すると、接点部94周辺に埃等が付着して絶縁耐力が低下するので、それを防止するために、接点部94とファンとの間には、空気の流れを遮断するための壁部96が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−234330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
活性種が発生する際、副産物として硝酸アンモニウムとオゾンが発生する。発生した硝酸アンモニウム及びオゾンの一部は、筺体91に設けられた端子板92の貫通孔91bを通って筺体91の外部に排出された後、ケーシング93の挿通孔93aを通過して、接点部94付近まで移動する。接点部94とファンとの間に壁部96を設けたことで接点部94付近にはオゾンを含んだ空気の流れが少なくなるが、それでも接点部94付近に若干の硝酸アンモニウム等が溜まってしまう。硝酸アンモニウムは吸水性が高く、水分を含むと誘導体となるため、接点部94付近に溜まった硝酸アンモニウムによって、接点部94やそれに接続された配線等が腐食するという問題が生じる。オゾンも電子部品を劣化させる性質を有する。
【0008】
また、接点部94が電装品箱95の外面に設けられている場合には、接点部94付近に溜まった硝酸アンモニウムが、電装品箱95内に侵入し、電装品箱95内の電子部品が腐食する場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、活性種の発生時に生じる硝酸アンモニウム等が接点部に溜まるのを防止して腐食を防止できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第1の発明に係る空気調和機は、ファン、熱交換器、前記熱交換器の下方に配置されたドレンパン及び高圧電源供給部を収容したケーシングと、前記ケーシングに取り付け可能であって、活性種を発生する活性種発生放電部を有する活性種発生ユニットとを備えており、前記活性種発生ユニットが前記ケーシングに取り付けられた場合に、前記活性種発生ユニットの第1接点部が前記高圧電源供給部の第2接点部と接続されるように構成され、前記ファン及び前記熱交換器と、前記第2接点部との間には、壁部が配置され、前記壁部が、前記ドレンパンより高い位置に切り欠きを有することを特徴とする。
【0011】
この空気調和機では、第2接点部とファンとの間に壁部を設けることで、ファンによる空気流によって第2接点部周辺に埃等が付着して絶縁耐力が低下するのを防止できるとともに、この壁部に切り欠きを設けることで、活性種の発生時に発生した硝酸アンモニウムやオゾンが、活性種発生ユニットから排出されて第2接点部周辺に移動した場合に、壁部の第2接点部側にある硝酸アンモニウム等を、切り欠きによって、壁部の第2接点部と反対側の空間に排出できる。したがって、硝酸アンモニウム等が第2接点部周辺に溜まるのを防止できるため、第2接点部やそれに接続された配線等の部品が硝酸アンモニウム等で腐食するのを防止できる。
また、切り欠きはドレンパンよりも高い位置に形成されているため、切り欠きを通って壁部の熱交換器側の空間に移動した硝酸アンモニウム等を、ドレンパン内に溜めることができる。したがって、ドレンパン内に貯留された凝縮水と一緒に硝酸アンモニウム等を空気調和機から排出できる。
【0012】
第2の発明に係る空気調和機は、第1の発明において、前記ケーシングに収容された電装品箱を備えており、前記電装品箱が、開口を有する箱部と、前記開口を塞ぐ蓋部とを含んでおり、前記第2接点部が、前記箱部の側壁の外周面に配置され、前記開口が、前記第2接点部に対して前記壁部と反対側にあることを特徴とする。
【0013】
この空気調和機では、電装品箱の箱部は、第2接点部に対して壁部と反対側に開口を有するため、切り欠きを通って壁部の第2接点部と反対側の空間に移動した硝酸アンモニウム等が、箱部と蓋部との隙間から電装品箱内に侵入することが無い。そのため、電装品箱内の電子部品の腐食を防止できる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0015】
第1の発明では、第2接点部とファンとの間に壁部を設けることで、ファンによる空気流によって第2接点部周辺に埃等が付着して絶縁耐力が低下するのを防止できるとともに、この壁部に切り欠きを設けることで、活性種の発生時に発生した硝酸アンモニウムやオゾンが、活性種発生ユニットから排出されて第2接点部周辺に移動した場合に、壁部の第2接点部側にある硝酸アンモニウム等を、切り欠きによって、壁部の第2接点部と反対側の空間に排出できる。したがって、硝酸アンモニウム等が第2接点部周辺に溜まるのを防止できるため、第2接点部やそれに接続された配線等の部品が硝酸アンモニウム等で腐食するのを防止できる。
また、切り欠きはドレンパンよりも高い位置に形成されているため、切り欠きを通って壁部の熱交換器側の空間に移動した硝酸アンモニウム等を、ドレンパン内に溜めることができる。したがって、ドレンパン内に貯留された凝縮水と一緒に硝酸アンモニウム等を空気調和機から排出できる。
【0016】
第2の発明では、電装品箱の箱部は、第2接点部に対して壁部と反対側に開口を有するため、切り欠きを通って壁部の第2接点部と反対側の空間に移動した硝酸アンモニウム等が、箱部と蓋部との隙間から電装品箱内に侵入することが無い。そのため、電装品箱内の電子部品の腐食を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の室内機の斜視図である。
図2図1に示すA−A線に沿った断面図である。
図3】前面パネルを開いた状態の室内機の斜視図である。
図4図3の状態から活性種発生ユニットを取り外した場合の部分拡大斜視図である。
図5図3の状態から活性種発生ユニットを取り外した場合の正面図である。
図6図5に示すB−B線に沿った室内機の断面図である。
図7図6に示すC−C線に沿った断面図である。
図8】ケーシングとフィルタユニットを取り外した状態の斜視図である。
図9図8の状態から電装品箱の蓋部を取り外した場合の部分拡大斜視図である。
図10】電装品ユニットの斜視図である。
図11】ケーシングとフィルタユニットを取り外した状態の正面図である。
図12】活性種発生ユニットの分解斜視図である。
図13】(a)は活性種発生ユニットの筺体の平面図であって、(b)は(a)に示すD−D線に沿った断面図である。
図14】活性種発生ユニットを備えた従来の室内機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和機について説明する。
本実施形態の空気調和機は、図1に示す室内機1と、図示しない室外機とで構成されており、室内の冷暖房を行う。室内機1は、全体として一方向に細長い形状を有しており、その長手方向が水平となるように室内の壁面に据え付けられる。なお、以下の説明において、室内機1が取り付けられる壁から突出する方向を「前方」と称し、その反対の方向を「後方」と称する。また、図1に示す左右方向を単に「左右方向」と称する。
【0019】
図1及び図2に示すように、室内機1は、後方が開口した略直方体状のケーシング2と、ケーシング2の前面を覆う前面パネル3と、ケーシング2の前面に着脱可能に取り付けられた活性種発生ユニット9と、ケーシング2内に収容されたファン4、熱交換器5、ドレンパン6、フィルタユニット7及び電装品ユニット8(図8参照)等の内部機器とを備えている。
【0020】
ケーシング2の上壁には吸込口10が形成されており、ケーシング2の下壁には吹出口11が形成されている。空調運転時には、ファン4の駆動により、吸込口10からケーシング2内に室内空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタユニット7、熱交換器5及びファン4を順に通過して吹出口11から吹き出される。
【0021】
図3に示すように、ケーシング2の前面には、開口部12が形成されている。また、図4に示すように、ケーシング2の前面の開口部12より右側には、活性種発生ユニット9が収容される凹状の収容部13と、収容部13から開口部12まで延びた流路溝14とが形成されている。流路溝14には、活性種発生ユニット9から排出された活性種が通過する。
【0022】
図5に示すように、収容部13の底部には、2つの挿通孔13a、13bが上下に並んで形成されている。挿通孔13a、13bには、活性種発生ユニット9の端子板(第1接点部)45、45及び突出部37、38(図2参照)が挿通される。また、図6に示すように、収容部13の上壁には、活性種発生ユニット9の後述する爪部30cと係合する係合溝13cが形成されている。前面パネル3の下端及び右端とケーシング2との間には隙間が形成されており、この隙間から吸い込まれた室内空気が、活性種発生ユニット9に供給される。なお、図6は、図5及び図11に示すB−B線での断面図である。
【0023】
図5に示すように、フィルタユニット7は、開口部12に設置されており、その上端部は吸込口10に近接している。また、図2に示すように、ファン4及び熱交換器5は、フィルタユニット7の後方に配置される。ファン4は、上前方から空気を吸い込んで、下後方に吹き出すように構成されている。熱交換器5は、ファン4の前方及び上方を取り囲むように配置されている。ドレンパン6は、冷房運転時に熱交換器5において空気中の水分が凝縮されて発生する凝縮水を受けるためのものであって、熱交換器5の下方に配置される。
【0024】
図8に示すように、電装品ユニット8は、ファン4(図2参照)及び熱交換器5の右側であって、収容部13(図4参照)の後方の位置に配置される。電装品ユニット8は、電子部品を収容する電装品箱20を有する。図8,9に示すように、電装品箱20は、右側が開口した箱部21と、箱部21の開口を塞ぐ蓋部22とを有する。また、図9に示すように、箱部21内の下部には、活性種発生ユニット9に高電圧を供給する高圧電源基板23が収容されている。
【0025】
図9図10及び図11に示すように、箱部21の前壁の外面には、2つの接点部(第2接点部)24、25と、壁部26と、短壁部27とが配置されている。接点部25は、接点部24の上方に配置されている。図7に示すように、接点部25は、活性種発生ユニット9の端子板45と接続され、同様に、接点部24は、活性種発生ユニット9の端子板44と接続される(図6参照)。
【0026】
図10及び図11に示すように、壁部26は、2つの接点部24、25の左側に配置されて上下方向に延びる部分(縦壁26aとする)と、接点部24の上下及び右側を取り囲む部分と、接点部25の上下及び右側を取り囲む部分とを有する。壁部26の縦壁26aの下端と、接点部24の下側に配置されて左右方向に延びる部分(下壁26b)とは、接続されておらず、壁部26は、縦壁26aと下壁26bとの間に、切り欠き26cを有する。壁部26のうち少なくとも縦壁26aと下壁26bとが、本発明の壁部を構成する。
【0027】
図9及び図11に示すように、短壁部27は、壁部26よりも前後方向長さが短く、縦壁26aの左側に上下方向に沿って配置されている。短壁部27の上端は、壁部26のうち接点部25の下方に配置された部分に接続され、短壁部27の下端は、壁部26のうち接点部24の上方に配置された部分に接続されている。
【0028】
接点部24、25は、箱部21の外側に配置された配線28(図10及び図11参照)によって高圧電源基板23(図9参照)に接続される。接点部25に接続された配線28の一部は、縦壁26aと短壁部27との間に配置される。接点部24、25と高圧電源基板23と配線28が、本発明の高圧電源供給部を構成する。
【0029】
図12及び図13に示すように、活性種発生ユニット9は、前方が開口した略直方体状の筺体30と、筺体30の開口を覆う蓋31と、筺体30内に配置された放電電極板40及び対向電極板41と、放電電極板40に保持された放電針42と、放電電極板40及び対向電極板41にそれぞれ接続された2枚の端子板(第1接点部)44、45と、筺体30内に配置された補助フィルタ32とを備える。なお、図12図13(a)及び図13(b)に示す上下、左右、前後方向は、活性種発生ユニット9をケーシング2の収容部13に取り付けたときの方向である。
【0030】
筺体30及び蓋31は、絶縁性の高い合成樹脂で形成されている。筺体30の上面には、爪部30cが形成されている。活性種発生ユニット9をケーシング2の収容部13に取り付けたとき、爪部30cは収容部13に設けられた係合溝13c(図6参照)と係合する。
【0031】
蓋31は、筺体30の前側開口の下端部以外の部分を塞ぐように配置される(図4及び図6参照)。筺体30の前側開口のうち蓋31で塞がれていない部分が、流入口30aを構成する。前面パネル3の縁とケーシング2との間の隙間から吸い込まれた室内空気が、この流入口30aを通って筺体30内に流入する。また、筺体30内の下部には、補助フィルタ32が配置される(図6参照)。流入口30aから筺体30内に流入した空気は、補助フィルタ32を通過して、空気中に含まれる塵埃が除去される。
【0032】
筺体30の左壁には、筺体30内で発生した活性種を外部に放出する流出口30bが形成されている。活性種発生ユニット9をケーシング2の収容部13に取り付けたとき、流出口30bはケーシング2の流路溝14の右端と対向する。流出口30bから排出された活性種は、流路溝14を通過した後、開口部12からケーシング2内に吸い込まれる。
【0033】
筺体30の底部の前面には、前方に突出する4本の電極板支持柱33〜36が略上下方向に並んで形成されている。内側の2本の電極板支持柱33、34は同じ長さである。外側の2本の電極板支持柱35、36は、同じ長さであって、電極板支持柱33、34よりも長い。
【0034】
電極板支持柱33、35は、円筒状であって、その内周面にはネジ溝が形成されている。電極板支持柱34、36は、円筒と四角筒とを組み合わせた形状であって、円筒状部分の内周面にはネジ溝が形成されており、四角筒状部分の内側の孔(四角孔34a、36a)は、筺体30の底部を貫通している。また、筺体30の底部の後面には、四角孔34a、36aの縁から後方に突出する突出部37、38が形成されている。
【0035】
放電電極板40は、矩形状の金属板であって、電極板支持柱33、34の前端にネジで固定される。対向電極板41は、放電電極板40よりも大きい矩形状の金属板であって、電極板支持柱35、36の前端にネジで固定される。放電電極板40の中央部は、対向電極板41側に突出しており、この突出部分の先端に放電針42が保持される。
【0036】
図7に示すように、端子板45は、対向電極板41に形成された孔と、電極板支持柱36の四角孔36aとに挿通され、前後方向に沿って配置される。端子板45の前端部は、対向電極板41と共に電極板支持柱36にネジで固定される。端子板45の後側略半分は、突出部38に沿って配置される。活性種発生ユニット9をケーシング2の収容部13に取り付けたとき、突出部38及び端子板45は、収容部13の挿通孔13bに挿通され、端子板45は、接点部25と接触して電気的に接続される。
【0037】
また、図示は省略するが、端子板44は、放電電極板40に形成された孔と、電極板支持柱34の四角孔34aとに挿通され、前後方向に沿って配置される(図12,13参照)。端子板44の前端部は、放電電極板40と共に電極板支持柱34にネジで固定される。端子板44の後側略半分は、突出部37に沿って配置される。また、活性種発生ユニット9をケーシング2の収容部13に取り付けたとき、突出部37及び端子板44は、収容部13の挿通孔13aに挿通され、端子板44は、接点部24と接触して電気的に接続される(図5,9等参照)。
【0038】
図12に示す放電針42に電圧が印加されると、放電針42の両端から対向電極板41に向かって放電が発生する。そして、放電により低温プラズマが発生することによって活性種(高速電子、イオン、水酸化ラジカル及び励起酸素分子など)が発生する。これらの活性種は、アンモニア類や、アルデヒド類、窒素酸化物等の小さな有機分子からなる空気中の有害成分や臭気成分を分解する。放電針42と対向電極板41が、本発明の活性種発生放電部を構成する。
【0039】
活性種が発生する際に、副産物として硝酸アンモニウム及びオゾンが発生する。発生した硝酸アンモニウム等の一部は、図6に示す四角孔34a、36aを通って筺体30の外に排出され、挿通孔13a、13bを通ってケーシング2内に入った後、接点部24、25の付近まで移動する。接点部24周辺の硝酸アンモニウム等は、ファン4による負圧によって、壁部26の切り欠き26cを通って、縦壁26aより熱交換器5側の空間に移動する(図9参照)。また、接点部25周辺の硝酸アンモニウム等は、縦壁26aと下壁26bとの間を通過した後、切り欠き26cを通って、縦壁26aより熱交換器5側の空間に移動する。
【0040】
本実施形態の空気調和機によると、接点部24、25とファン4との間に壁部26を配置したことにより、ファン4による空気流が接点部24、25を通過しないため、接点部24、25周辺に埃等が付着して絶縁耐力が低下するのを防止できる。そして、この壁部26に切り欠き26cが形成されていることで、活性種の発生時に発生した硝酸アンモニウムやオゾンが、活性種発生ユニット9から排出されて接点部24、25周辺に移動した場合に、縦壁26aの接点部24、25側にある硝酸アンモニウム等を、切り欠き26cによって、縦壁26aの接点部24、25と反対側の空間に排出できる。したがって、硝酸アンモニウム等が接点部24、25周辺に溜まるのを防止できるため、接点部24、25や配線28等の部品が硝酸アンモニウム等で腐食するのを防止できる。
【0041】
また、切り欠き26cはドレンパン6よりも高い位置に形成されているため、切り欠き26cを通って縦壁26aの熱交換器5側の空間に移動した硝酸アンモニウム等を、ドレンパン6内に溜めることができる。したがって、ドレンパン6内に貯留された凝縮水と一緒に硝酸アンモニウム等を室内機1から排出できる。
【0042】
また、電装品箱20の箱部21は、接点部24、25に対して縦壁26aと反対側に開口を有するため、切り欠き26cを通って縦壁26aの接点部24、25と反対側の空間に移動した硝酸アンモニウム等が、箱部21と蓋部22との隙間から電装品箱20内に侵入することが無い。そのため、電装品箱20内の電子部品の腐食を防止できる。
【0043】
また、接点部24、25に対して縦壁26aと反対側に、壁部26の一部が設けられているため、接点部24、25周辺にある硝酸アンモニウム等が箱部21の開口側に移動するのを防止でき、電装品箱20内の電子部品の腐食を防止できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0045】
例えば、上述の実施形態では、2つの接点部(第2接点部)24、25が上下方向に並んで設けられているが、左右方向に並んで設けられていてもよい。この場合、ファンによる空気流が接点部周辺を通過しないように、壁部の縦壁は、2つの接点部(第2接点部)のうち熱交換側の接点部と熱交換器との間に配置される。
【0046】
また、上述の実施形態では、活性種発生ユニット9は、室内機1の左右方向端部に配置されており、ファン4及び熱交換器5に対して左右方向に並んで配置されているが、活性種発生ユニットの配置位置はこれに限定されない。活性種発生ユニットは、熱交換器の前方に配置されていてもよい。この場合、活性種発生ユニットの2つの端子板(第1接点部)と接続される2つの接点部(第2接点部)は、上下方向に並んでいても、左右方向に並んでいてもよい。
【0047】
また、上述の実施形態では、電装品箱20の箱部21は、接点部(第2接点部)24、25に対して縦壁26aと反対側に開口を有しているが、接点部24、25に対して縦壁26a側に開口を有していてもよい。
【0048】
また、上述の実施形態では、壁部26及び接点部(第2接点部)24、25は、電装品箱20の外面に配置されているが、電装品箱20以外の部材に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明を利用すれば、活性種の発生時に生じる硝酸アンモニウム等が接点部に溜まるのを防止でき、腐食を防止できる。
【符号の説明】
【0050】
1 室内機
2 ケーシング
4 ファン
5 熱交換器
6 ドレンパン
9 活性種発生ユニット
20 電装品箱
21 箱部
22 蓋部
23 高圧電源基板(高圧電源供給部)
24、25 接点部(第2接点部、高圧電源供給部)
26 壁部
26a 縦壁(壁部)
26b 下壁
26c 切り欠き
28 配線(高圧電源供給部)
40 放電電極板
41 対向電極板(活性種発生放電部)
42 放電針(活性種発生放電部)
44、45 端子板(第1接点部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14