(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の撮像装置の一実施形態であるネットワークカメラについて、添付図面を参照して説明する。
[ネットワークカメラの構成]
図1は、本発明の一実施形態であるネットワークカメラ10の構成を示すブロック構成図である。本実施形態におけるネットワークカメラ10は、撮像した画像をネットワークを介して送信したり、ネットワークを介して受信した制御信号にしたがって撮像方向を変更したりする。
【0009】
撮像部101は、周囲の被写体を撮像し、撮像した画像を圧縮部102へ送る。圧縮部102は、撮像部101で撮像した画像を、たとえばJPEG(Joint Photographic Expert Group)やMPEG(Moving Picture Expert Group)−4などの規格でディジタル画像圧縮し、通信部103と画像記憶部111とへ送る。
【0010】
パン角度センサー106は、撮像部101の撮像方向の水平方向の角度を、パンデータとして出力する。チルト角度センサー107は、撮像部101の撮像方向の垂直方向の角度を、チルトデータとして出力する。ズームセンサー109は、ズームレンズ108の焦点距離を示すデータを、ズームデータとして出力する。
【0011】
通信部103は、要求に応じて、圧縮部102で圧縮された撮像画像データと、パンデータと、チルト指示データと、ズームデータとを、カメラ制御端末20へ送信する。通信部103はまた、カメラ制御端末20から送信されるパン指示データ、チルト指示データ、ズーム指示データを受信して、制御部104へ送る。
【0012】
制御部104は、通信部103が受信したパン指示データ、チルト指示データ、ズーム指示データに基づき、雲台駆動部105にパンやチルトをさせるための制御信号を送り、ズームレンズ108へズーム駆動のための制御信号を送る。制御部104は同時に、巡回記憶部110に、パン指示データ、チルト指示データ、ズーム指示データを送る。巡回記憶部110は、制御部104から送られたパン指示データ、チルト指示データ、ズーム指示データを記録する。
【0013】
雲台駆動部105は、制御部104から送られる制御信号にしたがって、撮像部101にパンやチルトをさせて、撮像方向を変更する。
【0014】
ズームレンズ108は、制御部104から送られる制御信号にしたがってズーム駆動を行い、焦点距離を変更する。
【0015】
画像記憶部111は、制御部104の指示に応じて、圧縮部102で圧縮された撮像画像データを記録する。
[カメラ制御端末の構成]
本実施形態のネットワークカメラ10を制御するカメラ制御端末20について、
図2に基づき説明する。
図2はカメラ制御端末20の構成を示すブロック構成図である。カメラ制御端末20は、たとえば汎用のパーソナルコンピューターに制御用のアプリケーションソフトウェアをインストールしたものであり、ネットワークカメラ10の撮像画像を閲覧したりネットワークカメラ10を制御する端末である。
【0016】
カメラ制御端末20において、通信部201は、ネットワークカメラ10から送られる撮像画像データ、ズームデータ、パンデータ、チルトデータを受信する。通信部201はまた、ネットワークカメラ10へパン指示データ、チルト指示データ、ズーム指示データを送信する。
【0017】
復号処理部202は、通信部201で受信した、JPEGやMPEG−4などの規格でディジタル画像圧縮された撮像画像データを復号し、合成処理部207へ送る。
【0018】
パンデータ処理部203は、通信部201を通して、ネットワークカメラ10からパンデータを取得して、記憶部206へ送る。パンデータ処理部203はまた、操作部209からの入力と記憶部206のデータとから、パンを行わせるためのパン指示データを算出し、通信部201へ送る。
【0019】
チルトデータ処理部204は、通信部201を通して、ネットワークカメラ10からチルトデータを取得して、記憶部206へ送る。チルトデータ処理部204はまた、操作部209からの入力と記憶部206のデータとから、チルトを行わせるためのチルト指示データを算出し、通信部201へ送る。
【0020】
ズームデータ処理部205は、通信部201を通して取得したズームデータを、記憶部206へ送る。ズームデータ処理部205はまた、操作部209からの入力と記憶部206のデータとから、ズームを行わせるためのズーム指示データを算出し、通信部201へ送る。
【0021】
記憶部206は半導体メモリやハードディスクドライブなどで構成されており、あらかじめ地図データと、カメラ位置データと、カメラアイコンとを記憶している。地図データとは、ネットワークカメラ10が設置され、監視を行っている店舗などの領域全体を示す地図のデータである。カメラ位置データとは、地図上のネットワークカメラ10の位置を示すデータである。
【0022】
合成処理部207は、復号処理部202で復号処理を行った撮像データと、記憶部206に記憶されている地図データと、カメラの位置データとを用いて、出力画像データを合成する。合成した出力画像の例を
図4に示す。合成処理部207は、地図上のカメラの位置にカメラアイコンを合成した地
図401と、縮小した撮像データ402と、カメラ制御用のパネル403とを合成して出力画像データを合成する。
【0023】
出力部208は、合成処理部207で合成した出力画像データを出力する。出力部208には、液晶モニタやプロジェクタなどの画像表示装置40が接続されているので、出力部208が出力した出力画像データが画像表示装置40に表示される。
【0024】
操作部209はマウスやタッチパネル、キーボードなどで構成されており、オペレーターが画像表示装置40に表示された撮像画像をみながら操作部209で操作パネルを操作して、種々の指示を行う。
【0025】
たとえば、操作パネルにパン制御ボタン、チルト制御ボタン、ズーム制御ボタンなどの制御ボタンを配置して、オペレーターが操作部209でこれらの制御ボタンを選択する。するとパンデータ処理部203は、パン方向を変更するためのパン指示データを算出して通信部201へ送ったり、チルトデータ処理部204がチルト方向を制御するためのチルト指示データを算出して通信部201へ送ったり、ズームデータ処理部205がズームレンズの焦点距離を変更するためのズーム指示データを算出して通信部201へ送ったりする。
【0026】
別の例としては、出力画像に複数のプリセットポジションボタンを配置し、それぞれのプリセットポジションボタンに関連付けて、パン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離をあらかじめ記憶部206に記憶させておく。オペレーターが操作部209でこれらのプリセットポジションボタンを選択すると、パンデータ処理部203、チルトデータ処理部204、ズームデータ処理部205は、記憶部206に記憶されているパン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離を記憶部206から読み出して、パン指示データ、チルト指示データ、ズーム指示データとして通信部201へ送る。
【0027】
[監視システムの構成]
本実施形態のネットワークカメラ10とカメラ制御端末20とを用いた監視システムについて、
図3に基づき説明する。
図3の監視システムはたとえば店舗の内部といった監視領域を監視する監視システムの例であり、店舗の内部を監視するためのネットワークカメラ10と、ネットワークカメラ10のズームやパン、チルトを制御したり、ネットワークカメラ10で撮像した画像を閲覧したりするためのカメラ制御端末20とを有している。カメラ制御端末20には、カメラ制御端末20が出力する画像データを表示する液晶モニタやプロジェクタなどの画像表示装置40が接続されている。説明を簡略化するためネットワークカメラ10が1台の例で説明するが、ネットワークカメラ10が複数台あってもよいことはもちろんである。
【0028】
ネットワークカメラ10は、店舗の内部を見渡せるよう、天井や壁面の高所などに取り付けられている。カメラ制御端末20は、遠隔地の警備会社に設置したり、ネットワークカメラ10と同じ店舗の内部に設置したり、警備室などに設置したりしてもよい。
【0029】
ネットワーク30はルーターやハブなどのネットワーク機器から構成されている。ネットワークカメラ10とカメラ制御端末20とは、LAN(Local Area Network)ケーブルを介してネットワーク30と接続されており、ネットワーク30を介してネットワークカメラ10とカメラ制御端末20とが相互に通信を行う。なお、ネットワークカメラ10とカメラ制御端末20との通信手段は、LANケーブルを介した通信に限らず、無線LANや携帯電話回線など他の通信手段であってもよい。
【0030】
[通常モード/障害モードの判別の例]
本実施形態のネットワークカメラ10は、制御部104の指示により、通常モードと障害モードとの2つのモードのいずれかのモードで動作するものとする。制御部104のモードの選択のフローチャートの例を
図5に示す。ネットワークカメラ10の制御部104は、通信部103からカメラ制御端末20の死活監視を常時行わせている(ステップS501)。死活監視は、簡単にはpingコマンドを送信して応答があるかどうかを確認してもよいし、より正確には、撮像画像データの送信に対してカメラ制御端末20から応答するよう構成して、撮像画像データの送信のたびに応答を確認してもよい。死活監視の送信に対して、所定の時間内にカメラ制御端末20から応答があったときは(ステップS502:YES)、制御部104は通常モードとして動作する(ステップS503)。死活監視の送信から所定の時間が経過しても応答がないときは(ステップS503:NO)、制御部104はネットワークに障害が発生したものと判断し、障害モードに移行する(ステップS504)。制御部104は、いずれの場合でもステップS501へ戻り、カメラ制御端末20の死活監視は継続する。障害モードの状態で、死活監視の送信に対して所定の応答時間内にカメラ制御端末20から応答が戻ってきたら、制御部104は障害モードを中止し、通常モードに復旧する。
[通常モードでの動作の例]
次に、通常モード、すなわちネットワークに障害が発生していないときの動作の例について説明する。ネットワークカメラ10は、通常時は手動監視を行っている。すなわち、オペレーターは画像表示装置40をみながらカメラ制御端末20を操作してネットワークカメラ10へパン、チルト、ズームの指示を行う。画像表示装置40には、ネットワークカメラ10で撮像した画像が表示されている。ネットワークカメラ10は、ネットワーク30を介して通信部103でカメラ制御端末20からの指示を受信する。パンの指示を受信すると、制御部104は指示に応じて雲台駆動部105を制御してパンを行い、パン角度センサー106の出力が指示されたパン角度に到達すると雲台駆動部105のパンを停止させる。チルトの指示を受信すると、制御部104は指示に応じて雲台駆動部105を制御してチルトを行い、チルト角度センサー107の出力が指示されたチルト角度に到達すると雲台駆動部105のチルトを停止させる。ズームの指示を受信すると、制御部104は指示に応じてズームレンズ108を駆動してズームを行い、ズームセンサー109の出力が指示された焦点距離に到達するとズームレンズ108の駆動を停止させる。
【0031】
このようにして、制御部104は指示に応じて画角を変更する。そして撮像部101は変更した画角で撮像を行い、撮像した画像を圧縮部102へ送る。圧縮部102は画像をJPEGなどの規格でディジタル画像圧縮し、通信部103へ送る。通信部103は、送られた画像を、カメラ制御端末20へ送信する。カメラ制御端末20は、送信された画像を受信するとこれを復号し、画像表示装置40に表示させる。
【0032】
本実施例のネットワークカメラ10はまた、ネットワーク障害時に複数の監視ポイントを順次撮像して記録するための画角変更指示情報を記憶する。本実施例では画角変更情報を障害時巡回シーケンスと呼び、障害時巡回シーケンスをあらかじめ巡回記憶部110に記憶しているものとする。障害時巡回シーケンスの例を
図6に示す。巡回シーケンスは通常の自動監視における指示データと同様、たとえば
図6a)に示すように、複数(
図6a)では3つ)の指示データ(パン、チルト、ズームの指示値のセット)とそれぞれの指示データの保持時間で構成されている。No.1の指示データを、パン角度p1、チルト角度t1、ズームの焦点距離z1、保持時間T1とする。
[障害モードでの動作の例]
ネットワークカメラ10の制御部104は、前述のように死活監視の送信から所定の時間が経過しても生存の応答がないときは、ネットワークに障害が発生したものと判断し、障害モードに移行する。
【0033】
障害モードにおける制御部104のフローチャートを
図7に示す。制御部104は障害モードに移行したらまずカウンタを1として(ステップS701)、巡回記憶部110に記録された障害時巡回シーケンスの中のNo.1の指示データを読み出す(ステップS702)。制御部104はNo.1の指示データを読み出すと、雲台駆動部105を駆動してパンを行わせ、パン角度センサー106の出力がパンの指示値p1と一致すると、雲台駆動部105によるパンを停止させる(ステップS703)。同様に制御部104は雲台駆動部105を駆動してチルトを行わせ、チルト角度センサー107の出力がチルトの指示値t1と一致すると、雲台駆動部105によるチルトを停止させる(ステップS704)。制御部104はさらにズームレンズ108を駆動してズームを行わせ、ズームセンサー109の出力がズームの指示値z1と一致すると、ズームレンズ108によるズームを停止させる(ステップS705)。このようにして画角を指示データに記載された画角に変更する。
【0034】
さらに制御部104は、画角を変更してからの時間を計測する。時間が保持時間T1となったら(ステップS706:YES)、制御部104は次の指示データがあるかどうかを確認する(ステップS707)。次の指示データがある場合は(ステップS707:YES)、制御部104はカウンタをひとつインクリメントして(ステップS708)ステップS702に戻り、次の指示データを読み出す。以下同様に処理を行っていき、次の指示データがなくなったら(ステップS707:NO)、ステップS701へ戻りカウンタを1にして処理を続行する。
【0035】
制御部104はまた、障害モードに移行したら、撮像部101で撮像し圧縮部102で圧縮した画像を、画像記憶部111に記録させる。これにより、画像記憶部111には、障害時巡回シーケンスとして記憶された複数の指示データに基づき巡回しながら撮像した画像が記録される。画像の記録はJPEGの静止画を所定の間隔で行ったり、MPEG−4のストリームを記録したりして行う。記録のビットレートは通常モードと同じでもよいし、障害時には通常モードより記録のビットレートを低くしてもよい。
【0036】
ネットワークの障害が復旧したら、このようにして画像記憶部111に記録した画像を、カメラ制御端末20からのリクエストによりストリーム配信したりファイル転送したりして送ることができる。これにより、ネットワークに障害が発生していた間に監視領域に異常がなかったかを画像で確認したり、カメラ制御端末20に証拠画像を保存しておくことができる。
【0037】
また、このような障害時巡回シーケンスを、手動監視を行っているネットワークカメラだけでなく、自動監視を行っているネットワークカメラにも記録しておくことも好適である。通常時は監視が不要だがネットワーク障害に関係する可能性のある監視ポイント、たとえばネットワーク機器や電源機器を撮像する撮像方向を、障害時巡回シーケンスに追加しておき、これらの機器の画像を記録するようにしておけば、ネットワーク障害の発生した原因を究明する一助とすることができる。
[障害モードでのオートパンの例]
次に障害時巡回シーケンスの別の例として、オートパンについて説明する。オートパンの場合は、障害時巡回シーケンスを
図6b)に示すように、パン開始角度psとパン終了角度peとそれらの間のオートパン駆動速度dとチルト角度ttとズームレンズの焦点距離zzとで構成する。ここでパン開始角度psはオートパンの左端のパン角度、パン終了角度peはオートパンの右端のパン角度を示すものとする。
【0038】
制御部104は障害モードに移行したら、巡回記憶部110に記録された障害時巡回シーケンスを読み出す。オートパンのときの制御部104のフローチャートを
図8に示す。制御部104はまず、撮像方向を初期の位置に設定する。制御部104は、雲台駆動部105を駆動してパンを行い、パン角度センサー106の出力が障害時巡回シーケンスのパン開始角度psと一致すると、パンを停止させる(ステップS801)。同様に制御部104は雲台駆動部105を駆動してチルトを行い、チルト角度センサー107の出力が障害時巡回シーケンスのチルト角度ttと一致すると、チルトを停止させる(ステップS702)。同様に制御部104はズームレンズ108を駆動してズームを行い、ズームセンサー109の出力が障害時巡回シーケンスのズームレンズの焦点距離zzと一致すると、ズームを停止させる(ステップS703)。このようにして制御部104は、パン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離を、障害時巡回シーケンスに記載されたパン開始角度ps、チルト角度tt、焦点距離zzとする。
【0039】
次に制御部104は、オートパンを開始する。すなわち、雲台駆動部105に、障害時巡回シーケンスに記憶されているオートパン駆動速度dを送り、雲台駆動部105をオートパン駆動速度dで右方向にパンさせる(ステップS704)。そしてパン角度センサー106の値がパン終了角度peと一致したら(ステップS705:YES)、雲台駆動部105のパンの駆動方向を反転させ、左方向にオートパン駆動速度dでパン駆動させる(ステップS706)。
そしてパン角度センサー106の値がパン開始角度psと一致したら(ステップS707:YES)、ステップS704に戻り雲台駆動部105のパンの駆動方向を再度反転させ、右方向にオートパン駆動速度dでパン駆動させる。このようにして、パン開始角度psとパン終了角度peとの間を、オートパン駆動速度dで往復揺動させる。このようにオートパンを行った場合は、広い範囲をまんべんなく監視することができる。
【0040】
また、カメラ制御端末20でもネットワークカメラ10の死活監視を行い、ネットワークの障害を検知することも好適である。カメラ制御端末20は、ネットワークカメラ10の圧縮部102のビットレートと、画像記憶部111の容量から、画像記憶部111に記録可能な障害時最大記録時間を求め、ネットワークカメラ10ごとに記憶部206に記憶しておく。カメラ制御端末20の通信部201がネットワークカメラ10との通信に障害が発生したことを検知すると、発生時からの障害継続時間をカウントする。そして、障害継続時間がネットワークカメラ10の障害時最大記録時間に近づいたら、たとえばあと1時間で障害継続時間が障害時最大記録時間に到達するとなったら、データフロー警告を合成処理部207へ送り、出力部208から出力される画面にデータフロー警告を表示させる。
【0041】
これにより、オペレーターは、たとえばネットワークカメラ10ごとに発せられるデータフロー警告をみて、現場に急行し、別の通信機器をつないで緊急用の回線を確保したり、たとえば着脱可能なメモリカードで構成された画像記憶部111を交換して記録を継続させたりすることができる。
[障害時巡回シーケンスの自動生成の例]
通常モード時に指示の履歴を保存することにより、障害時巡回シーケンスを自動作成する例について説明する。自動生成の例の制御部104のフローチャートを
図9に示す。ネットワークカメラ10は、通常時は手動監視を行っている。すなわち、オペレーターは画像表示装置40をみながらカメラ制御端末20を操作してネットワークカメラ10へパン、チルト、ズームの指示を行う。画像表示装置40には、ネットワークカメラ10で撮像した画像が表示されている。ネットワークカメラ10は、ネットワーク30を介して通信部103でカメラ制御端末20からの指示を受信する(ステップS901)。ネットワークカメラ10がパン、チルト、ズームの指示としてたとえばパン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離を受信すると、制御部104は指示に応じて雲台駆動部105を駆動してパンを行い、パン角度センサー105の出力が指示されたパン角度になると雲台駆動部105によるパンを停止させる(ステップS902)。チルトの指示を受信すると、制御部104は指示に応じて雲台駆動部105を駆動してチルトを行い、チルト角度センサー107の出力が指示されたチルト角度になると雲台駆動部105によるチルトを停止させる(ステップS903)。ズームの指示を受信すると、制御部104は指示に応じてズームレンズ108を駆動してズームを行い、ズームセンサー109の出力が指示された焦点距離になるとズームレンズ108によるズームを停止させる(ステップS904)。
【0042】
同時に制御部104は、受信したパン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離と受信した時刻とを巡回記憶部110に指示履歴として記録する(ステップS905)。
【0043】
このようにして、制御部104は指示を受信するごとに、指示の内容と受信した時刻とを指示履歴として記録する。指示履歴は所定の数(たとえば11個)だけ記録し、その後はFIFO(First In First Out)にて上書き記録を行う。これにより、たとえば
図10a)に示すような11回分の指示の履歴を常に保存する。
【0044】
制御部104は前述のような死活監視の結果、障害モードに移行したら、巡回記憶部110に記録された指示履歴を変換し、障害時巡回シーケンスを作成する。具体的には、まず記録されている指示履歴の受信時刻の古い順に1から番号を振り、パン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離を指示データとする。そして第2の指示履歴の受信時刻から第1の指示履歴の受信時刻を引いた時間を、第1の指示データの保持時間とする。このようにして順次変換を行い、
図9b)に示すような10個の指示データからなる障害時巡回シーケンスを作成する。障害時巡回シーケンスを作成したら、制御部104は、
図6に示したような巡回監視を行う。
【0045】
このように、指示の履歴を記録しておき、障害発生時に指示の履歴から障害時巡回シーケンスを作成することとすれば、事前に障害時巡回シーケンスを作成する手間が不要となる。さらに、常に最新の監視の状態に基づいて障害時巡回シーケンスと生成することができる。なお、パン、チルト、ズームの指示をオペレーターが手動で行う手動監視の場合だけでなく、カメラ制御端末20がプログラム等に基づいて自動的に指示を行っている場合も、同様の処理が可能である。
[障害時巡回シーケンスの自動生成の第2の例]
パン、チルト、ズームの指示が、パン角度、チルト角度、ズーム角度の指示ではなく、パン、チルト、ズームの方向と速度で行われる場合について、さらに以下に説明する。画角の指示が方向や速度で行われていると、指示の一部を切り出して巡回シーケンスを生成しても、規準となる角度がないので、正しい画角を設定できない。そこで第2の例では、指示履歴だけでなく、指示を受けたときの画角の情報も記録しておき、巡回シーケンスの初回の指示データとして画角の情報を用いる。
カメラ制御端末20から、パンの駆動方向とパン駆動速度、チルトの駆動方向とチルト駆動速度、ズームレンズの駆動方向とズームレンズ駆動速度で画角の変更の指示を受信すると、ネットワークカメラ10の制御部104は指示されたパン駆動方向、パン駆動速度に応じて雲台駆動部105を駆動してパンを行う。制御部104はまた指示されたチルト駆動方向、チルト駆動速度に応じて雲台駆動部105を駆動してチルトを行う。制御部104はまた指示されたズームレンズの駆動方向、駆動速度に応じて、ズームレンズ108を駆動してズームを行う。同時に制御部104は指示されたパンの駆動方向とパン駆動速度、チルトの駆動方向とチルト駆動速度、ズームレンズの駆動方向とズームレンズ駆動速度、指示を受信した時刻を指示履歴として記録する。制御部104はまた、指示を受信したときのパン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離を、指示履歴とともに記録する。指示履歴は所定の数(たとえば11個)だけ記録し、その後はFIFOにて上書き記録を行う。記録した指示履歴の例を
図11a)に示す。なお、指示はパン、チルト、ズームのすべての方向と速度とを同時に指示するものでなく、いずれかひとつの方向と速度の指示であってもよい。
【0046】
制御部104は前述のような死活監視の結果、障害モードに移行したら、巡回記憶部110に記録された指示履歴を変換し、障害時巡回シーケンスを作成する。具体的には、まず指示履歴の最も受信時刻の古い指示履歴のときのパン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離をNo.1の指示データとする。No.1の指示データは保持時間を0とする。次に最も古い指示履歴のパン、チルト、ズームの方向と速度をNo.2の指示データとする。No.2の指示データの保持時間を、No.1とNo.2の時間差、すなわち(T1002−T1001)とする。以下順にNo.10での指示データを作成する。このように、障害時巡回シーケンスの初回の指示データとしてパン角度、チルト角度、ズームレンズの焦点距離を設定し、その後は指示履歴のパン、チルト、ズームの方向と速度とを指示データとして、
図11b)に示すような101の指示データからなる障害時巡回シーケンスを作成する。これにより、画角の変更の指示が方向や速度で行われる場合でも、障害時にも履歴に応じた巡回監視を行うことができる。
[障害時巡回シーケンスの自動生成の第3の例]
第2の例と同様、パン、チルト、ズームの指示が、パン角度、チルト角度、ズーム角度の指示ではなくパン、チルト、ズームの方向と速度で行われる場合について、障害時巡回シーケンスを自動生成する第3の例を説明する。画角の指示が方向や速度で行われていると、初回の指示データとして画角の情報を用いても、その後のパンやチルトの方向や速度が、ばらつきなどにより指示通りに動かないと、画角がずれてしまう。画角の変更を繰り返すと、ずれは累積する。そこで第3の例では、指示履歴ではなく、指示を受けて画角を変更したときの動作履歴(画角の履歴)を記録しておき、巡回シーケンスの指示データとして画角の履歴を用いる。
【0047】
制御部104は第2の例と同じく、指示に応じて画角を変更する。同時に制御部104は、所定の時間間隔で、パン角度センサー106の出力、チルト角度センサー107の出力、ズームセンサー109の出力からなる画角データを、所定の時間間隔(たとえば1秒)で、時刻とともに動作履歴として記録する。指示履歴は所定の数(たとえば60個)だけ記録し、その後はFIFOにて上書き記録を行う。第3の例における所定の数は、第2の例よりも多くすると好適である。指示の例を
図11a)に、記録した動作履歴の例を
図11b)に示す。
【0048】
制御部104は前述のような死活監視の結果、障害モードに移行したら、巡回記憶部110に記録された動作履歴を変換し、障害時巡回シーケンスを作成する。具体的には、まず記録されている動作履歴の受信時刻の古い順に1から番号を振る。そして第2の時刻から第1の時刻を引いた時間を、第1の指示データの保持時間とする。このようにして順次変換を行い、
図11c)に示すような障害時巡回シーケンスを作成する。障害時巡回シーケンスを作成したら、制御部104は、
図5に示したような巡回監視を行う。
【0049】
これにより、画角の変更の指示が方向や速度で行われる場合で、雲台駆動部105の速度がばらつく場合でも、画角のずれが生じたり、さらには画角のずれが積み重なることがなく、障害時に履歴に応じた巡回監視を行うことができる。
【0050】
また、本発明は上記した装置の機能をコンピューターに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読み取られコンピューターに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピューターに取り込まれてもよい。