(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記芯金を共用して製造するステアリングホイールとして、前記真正スポーク部だけを備えた基本ステアリングホイールと、前記真正スポーク部に加えて少なくとも一つの前記擬似スポーク部を備えた変形ステアリングホイールとを製造するにあたり、
前記基本ステアリングホイールの被覆層を成形する基本成形型と、変形ステアリングホイールの被覆層を成形する変形成形型とが、本体を共用し、成形する被覆層の形状の相違部分に、対応するキャビティ用型面を有して、前記本体に取り替え可能に装着される入れ子、を備えて構成されていることを特徴とする請求項5に記載のステアリングホイールの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のステアリングホイールでは、意匠構成部品が、リング部やスポーク部の芯金部位に対し、取外し可能な取付構造を利用して、取り付けられており、取付安定性に欠けていた。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、スポーク部の意匠を、取付安定性を確保して、変更可能なステアリングホイールとステアリングホイールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るステアリングホイールは、操舵時に把持するリング部、該リング部の中央に配置されるボス部、及び、該ボス部と前記リング部とを連結するスポーク部、を具備する構成として、
前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を相互に連結する金属製の芯金が、配設され、
前記芯金が、前記リング部に配置されるリング芯金部、前記ボス部に配置されるボス芯金部、及び、前記スポーク部に配置されるスポーク芯金部を備え、
前記リング芯金部と前記リング芯金部近傍の前記スポーク芯金部とが
、合成樹脂製の被覆層により被覆され、
前記被覆層が、前記リング芯金部を被覆するリング被覆部と、前記スポーク芯金部を被覆するスポーク被覆部とを備えて構成されるステアリングホイールであって、
前記ボス部の上面側に、エアバッグ装置が配設され、
前記芯金における前記ボス芯金部のステアリングシャフトとの締結用の締結筒部の周囲に、前記エアバッグ装置を配設させるための複数の組付部が、配設され、
前記スポーク部が、複数配設されるとともに、
前記スポーク被覆部に被覆される前記スポーク芯金部を設けた真正スポーク部と、
前記リング芯金部と前記ボス芯金部とを連結する前記スポーク芯金部を配設させずに、前記リング被覆部から延設される延設被覆部
と、前記組付部により前記ボス部の上面側に配設された前記エアバッグ装置の前記延設被覆部側に突出する突出部と、を利用して形成される擬似スポーク部と、
から構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るステアリングホイールは、ボス部とリング部とを連結する複数のスポーク部が、スポーク被覆部に被覆されるスポーク芯金部を設けた真正スポーク部と、リング芯金部とボス芯金部とを連結するスポーク芯金部を配設させずに、リング被覆部から延設される延設被覆部によって形成される擬似スポーク部と、から構成されている。
【0009】
すなわち、本発明に係るステアリングホイールでは、擬似スポーク部が、内部にスポーク芯金部を設けていないものの、リング芯金部を被覆するリング被覆部を延設させた延設被覆部を設けて構成されており、延設被覆部は、別途、芯金に取り付けるもので無く、型成形により形成されて、リング芯金部の全周を包むように成形されるリング被覆部と一体的に成形されるものであって、芯金から外れることはない。その結果、擬似スポーク部の取付安定性が良好となる。
【0010】
また、擬似スポーク部は、スポーク芯金部を設けなくとも形成できることから、同じ芯金を利用して、被覆層の成形型に設ける擬似スポーク部を形成する延設被覆部の成形部位に関し、数や形状を変更したり、あるいは、配置位置を変更する等すれば、擬似スポーク部の数や位置を変更してスポーク部の意匠を変えたステアリングホイールを容易に製造することも可能となる。
【0011】
したがって、本発明に係るステアリングホイールでは、スポーク部の意匠を、取付安定性を確保して、容易に変更することができ、さらに、設計に手間がかかる芯金を変更することなく、被覆層の成形型の変更だけで、容易に、スポーク部の意匠を変更することができる。
【0012】
本発明に係るステアリングホイールでは、前記スポーク芯金部が、前記ボス芯金部から左右方向の両側に延びる2本だけとして、構成されていることが望ましい。
【0013】
このような構成では、スポーク芯金部を1本とする場合に比べて、操舵時等の芯金の強度をバランスよく確保でき、さらに、スポーク芯金部を3本以上とする場合に比べて、真正スポーク部間のスペースを広く確保できることから、擬似スポーク部の数や配置位置の自由度を向上させることができる。
【0014】
本発明に係るステアリングホイールでは、前記被覆層が、前記芯金を覆う内層と、前記延設被覆部に延設される前記内層を含めて、前記内層の表面を覆う外層と、の共にフォーム材からなる二層構造として、
前記内層が、前記外層より、密度を低く、かつ、剛性を高くして形成されていることが望ましい。
【0015】
このような構成では、被覆層における芯金を覆う内層が、外層に対して、低密度で剛性のある(換言すれば、密度は低いものの硬質となる)フォーム材とし、逆に、外層は、内層に対して、高密度で剛性の低い(換言すれば、密度は高いものの軟質となる)フォーム材としている。
【0016】
すなわち、被覆層の全てを、外層のフォーム材である高密度低剛性のフォーム材で形成すれば、把持する感触として柔らかいソフトな感触を得ることができるものの、高密度のため、ステアリングホイールの軽量化を阻害してしまう。逆に、被覆層の全てを、内層のフォーム材である低密度高剛性のフォーム材で形成すれば、より一層の軽量化を図れるものの、硬いことから、良好な感触を得られず、また、耐磨耗性が確保できない。
【0017】
したがって、上記構成のステアリングホイールでは、把持した際の感触を良好にして、軽量化を達成でき、さらに、良好な耐摩耗性を得ることができる。さらに、延設被覆部にも剛性のある内層が配設されることから、スポーク芯金部を備えていなくとも、擬似スポーク部は、感触を良好にした状態で、所定の強度も確保できる。
【0018】
勿論、この点を考慮しなければ、延設被覆部を含めた被覆層を、二層構造でなく、強度を確保できる合成樹脂の1層タイプとして、形成してもよい。
【0019】
本発明に係るステアリングホイールの製造方法では、ステアリングホイールが、
操舵時に把持するリング部、該リング部の中央に配置されるボス部、及び、該ボス部と前記リング部とを連結するスポーク部、を具備する構成として、
前記リング部、前記ボス部、及び、前記スポーク部を相互に連結する金属製の芯金を備えるとともに、
該芯金における前記リング部に配置されるリング芯金部、前記ボス部に配置されるボス芯金部、及び、前記スポーク部に配置されるスポーク芯金部を備え、
前記リング芯金部と前記リング芯金部近傍の前記スポーク芯金部とを被覆して、型成形により形成される合成樹脂製の被覆層であって、前記リング芯金部を被覆するリング被覆部と、前記スポーク芯金部を被覆するスポーク被覆部とを具備する被覆層を備え、
前記スポーク部が、
前記スポーク被覆部に被覆される前記スポーク芯金部を設けた真正スポーク部と、
前記リング芯金部と前記ボス芯金部とを連結する前記スポーク芯金部を配設させずに、前記リング被覆部から延設される延設被覆部を利用して形成される擬似スポーク部と、
の二種類として、
前記真正スポーク部と前記擬似スポーク部とを適宜配設させた複数のステアリングホイールを製造するにあたり、前記芯金を共用して、
前記延設被覆部を配設させたステアリングホイールの製造時における前記被覆層の成形時に、前記リング被覆部及び前記スポーク被覆部を成形可能なキャビティ部位と、前記延設被覆部を成形可能なキャビティ部位と、を設けた成形型を使用して製造し、
前記延設被覆部を配設させないステアリングホイールの製造時における前記被覆層の成形時に、前記リング被覆部及び前記スポーク被覆部を成形可能なキャビティ部位を設けた成形型を使用して製造することを特徴とする。
【0020】
本発明に係るステアリングホイールの製造方法では、延設被覆部を配設させたステアリングホイールの製造時、リング被覆部及びスポーク被覆部を成形可能なキャビティ部位と、延設被覆部を成形可能なキャビティ部位と、を設けた成形型に、芯金をセットして、被覆層の成形材料を注入すれば、容易に、製造できる。
【0021】
また、延設被覆部を配設させないステアリングホイールの製造時には、リング被覆部及びスポーク被覆部を成形可能なキャビティ部位を設けた成形型に、延設被覆部を配設させたステアリングホイールの製造時に使用するのと同じ芯金をセットし、被覆層の成形材料を注入すれば、容易に、製造できる。
【0022】
すなわち、本発明のステアリングホイールの製造方法では、スポーク部の数を異ならせた複数のステアリングホイール、換言すれば、所定数の擬似スポーク部を設けたステアリングホイールと、擬似スポーク部を設けないステアリングホイールと、を一種類の芯金を使用し、被覆層の成形型を替えるだけで、容易に製造することができる。
【0023】
さらに付言すれば、本発明のステアリングホイールの製造方法では、擬似スポーク部の形状、数、配置位置を変えた種々の外観意匠のステアリングホイールを製造することとなっても、強度等の設計に手間がかかる芯金を変更することなく、単に、成形型を変更するだけで、容易に対処して製造することができる。
【0024】
そして、本発明に係るステアリングホイールの製造方法では、前記芯金を共用して製造するステアリングホイールとして、前記真正スポーク部だけを備えた基本ステアリングホイールと、前記真正スポーク部に加えて少なくとも一つの前記擬似スポーク部を備えた変形ステアリングホイールとを製造するにあたり、
前記基本ステアリングホイールの被覆層を成形する基本成形型と、変形ステアリングホイールの被覆層を成形する変形成形型とが、本体を共用し、成形する被覆層の形状の相違部分に、対応するキャビティ用型面を有して、前記本体に取り替え可能に装着される入れ子、を備えて構成されていることが望ましい。
【0025】
このような構成では、被覆層を成形する基本成形型や変形成形型の本体を変更せずに、入れ子の変更だけで、擬似スポーク部の形状、数、配置位置を変えた種々のバリエーションの外観意匠のステアリングホイールを製造するができて、一層、種々のバリエーションの外観意匠のステアリングホイールを簡便に製造することができる。
【0026】
さらに、本発明のステアリングホイールの製造方法では、前記スポーク芯金部が、前記ボス芯金部から左右方向の両側に延びる2本だけとして、構成されていることが望ましい。
【0027】
このような構成では、スポーク芯金部を1本とする場合に比べて、操舵時等の芯金の強度をバランスよく確保でき、さらに、スポーク芯金部を3本以上とする場合に比べて、真正スポーク部間のスペースを広く確保できることから、擬似スポーク部の数や配置位置の自由度を向上させることができる。
【0028】
さらに、本発明のステアリングホイールの製造方法では、前記被覆層が、前記芯金を覆う内層と、前記延設被覆部に延設される前記内層を含めて、前記内層の表面を覆う外層と、の共にフォーム材からなる二層構造として、
前記内層が、前記外層より、密度を低く、かつ、剛性を高くして形成されていることが望ましい。
【0029】
このような構成では、製造したステアリングホイールが、把持した際の感触を良好にして、軽量化を達成でき、さらに、良好な耐摩耗性を得ることができる。さらに、延設被覆部にも剛性のある内層が配設されることから、スポーク芯金部を備えていなくとも、擬似スポーク部は、感触を良好にした状態で、所定の強度も確保できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、第1実施形態のステアリングホイールWAは、
図1に示すように、車両の操舵に使用するものであり、操舵時に把持する円環状のリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、ボス部Bとリング部Rとを連結するスポーク部S、を具備して構成されている。
【0032】
そして、このステアリングホイールWAには、
図1〜4に示すように、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するアルミニウム合金等の金属製の芯金11が、配設されている。なお、ステアリングホイールWAは、構成部品としては、ボス部Bに配設されるボス部構成部品50(50A)と、ステアリングホイール本体10(10A)と、を備えて構成されている。ボス部構成部品50Aは、ボス部Bの上面側に配置されるエアバッグ装置51と、ボス部Bの下面を覆う合成樹脂製のロアカバー52と、を備えて構成されている。
【0033】
エアバッグ装置51は、車両の衝突時、外表面側の合成樹脂製のカバー51aを押し開いて、内部から図示しないエアバッグを展開膨張させ、膨張したエアバッグにより、運転者を保護するものである。
【0034】
また、ステアリングホイール本体10Aは、既述の芯金11と、芯金11を覆うように射出成形等の型成形により形成される合成樹脂製の被覆層30(30A)と、を備えて構成されている。
【0035】
芯金11は、リング部Rに配置されるリング芯金部13、ボス部Bに配置されるボス芯金部15、及び、スポーク部Sに配置されるスポーク芯金部20を備えて構成されている。ボス芯金部15は、ステアリングホイールWAをステアリングシャフトSSに組み付ける鋼材等からなる締結筒部16と、その周囲に配置される取付部17と、を備えて構成されて、取付部17から左右両側にスポーク芯金部20,20が延びている。取付部17には、エアバッグ装置51を組み付ける組付孔を具備してなる複数の組付部25が形成されるとともに、ロアカバー52を組み付ける組付孔を具備してなる複数の組付部26が形成されている。
実施形態の場合、エアバッグ装置51を組み付ける組付部25は、締結筒部16の周囲におけるスポーク芯金部20,20側となる左右両側と、後述する擬似スポーク部ST側の後側と、の計3箇所に配設されている。
【0036】
そして、被覆層30Aは、リング芯金部13とリング芯金部13近傍のスポーク芯金部20とを、被覆している。すなわち、被覆層30Aとしては、リング芯金部13を被覆するリング被覆部40と、スポーク芯金部20を被覆するスポーク被覆部47と、リング被覆部40から延設される延設被覆部45と、を備えて構成されている。延設被覆部45は、リング芯金部13とボス芯金部とを連結するスポーク芯金部20を配設させずに、リング被覆部40から延設されて形成されている。
【0037】
第1実施形態の場合、延設被覆部45は、リング部Rの後部RBから前方に延びるように配設され、ボス部構成部品50Aの
延設被覆部45側の後方へ
突出する突出部50Aaとともに、後側スポーク部SBを形成するように構成されている。
【0038】
すなわち、第1実施形態のステアリングホイールWAは、ボス部Bとリング部Rとを連結するスポーク部Sが、前側スポーク部SFの左右の前左スポーク部SFL及び前右スポーク部SFRの2本と、1本の後側スポーク部SBとを備えた3本スポークタイプとして構成されている。そして、前左スポーク部SFLと前右スポーク部SFRとが、スポーク被覆部47に被覆されるスポーク芯金部20,20を設けた真正スポーク部STとし、後側スポーク部SBが、リング芯金部13とボス芯金部15とを連結するスポーク芯金部20を配設させずに、リング被覆部40から延設される延設被覆部45を利用して形成される擬似スポーク部SPとして構成されている。
【0039】
また、第1実施形態のステアリングホイールWAは、被覆層30Aが、芯金11を覆う内層31と、延設被覆部45に延設される内層31を含めて、内層31の表面を覆う外層32と、の共にフォーム材からなる二層構造として、形成されている。この内層31は、外層32より、密度を低く、かつ、剛性を高くして形成されている。換言すれば、内層31は、外層32に対して、低密度で剛性のある(すなわち、密度は低いものの硬質となる)フォーム材とし、逆に、外層32は、内層31に対して、高密度で剛性の低い(すなわち、密度は高いものの軟質となる)フォーム材としている。内層31と外層32とは、相互に良好に接着される同種のフォーム材が望ましく、実施形態の場合、ポリウレタンフォームから構成されている。
【0040】
また、実施形態の場合、内層31は、密度を0.05〜0.2g/cm
3の範囲内の0.1g/cm
3、外層32は、密度を0.3〜4.5g/cm
3の範囲内の0.4g/cm
3としている。
【0041】
なお、内層31の密度は、0.05g/cm
3未満では、剛性を確保し難く、また、0.2g/cm
3を超えては、被覆層30の軽量化を阻害する。
【0042】
また、外層32の密度は、0.3g/cm
3未満では、耐摩耗性を確保し難く、4.5g/cm
3を超えては、被覆層30Aの軽量化を阻害することから好ましくない。そのため、外層32は、密度を0.3〜4.5g/cm
3の範囲内、好ましくは、より軽量化を図れる0.3〜0.5g/cm
3の範囲内が望ましい。
【0043】
さらに、内層31は、硬度を、ショアA硬度で60〜95の範囲内の75とし、外層32は、硬度を、ショアA硬度で30〜60の範囲内の40としている。
さらに、実施形態の場合、リング被覆部40には、内層31に対する外層32の回り止め用として、内層31と外層32とを相互に嵌合させる嵌合部を構成するように、内層31のリング部Rの下面側の部位に、凹溝31aが形成され、外層32に、凹溝31aに嵌合する突条32aが形成されている。実施形態の場合、凹溝31aと突条32aとは、リング部Rの円環状の全周にわたって形成されているが、断続的に設けても良い。
【0044】
なお、リング部Rにおける内層31を被覆する外層32の肉厚は、突条32aの部位を除いて、2〜4mmの範囲内の3mmとして、内層31の周囲で、均等とすることが望ましい。ちなみに、外層32の肉厚が2mm未満では、内層31の触感が生じ、4mmを超えれば、軽量化を阻害する事態を招き易いからである。
【0045】
第1実施形態のステアリングホイールWAの製造時に使用する成形型MAは、
図5〜8に示す内層成形型60(60A)と、
図9〜11に示す外層成形型80(80A)との2種類が使用される。
【0046】
内層成形型60Aは、
図5〜8に示すように、型締め時に被覆層30Aの内層31を成形可能なキャビティ67(67A)を形成する二つの割型71(71A1,71A2)を具備するとともに、キャビティ67A内に内層31の成形材料PR1を注入するゲート63を備え、さらに、芯金11の所定部位を支持する支持部64,65,66を備えて構成されている。
【0047】
そして、これらの割型71A1,71A2は、それぞれ、本体72(72A1,72A2)と複数の入れ子73(73A),74(74A),75(75A)とを具備して構成されている。
【0048】
入れ子73A,74A,75Aは、被覆層30Aにおけるリング被覆部40からボス部B側に延びる内側突出被覆部43、すなわち、延設被覆部45及びスポーク被覆部47、を配設させた部位とその近傍のリング被覆部40とを成形可能なキャビティ部位67a,67bを備え、本体72は、被覆層30Aにおける入れ子73A,74A,75Aの設けられていない部位、換言すれば、リング被覆部40における内側突出被覆部43から離れた部位を成形可能なキャビティ用型面72aを備えて構成されている。
【0049】
なお、本体72は、各入れ子73A,74A,75Aを収納保持する入れ子収納部72b,72c,72dを備えている。
【0050】
入れ子73Aは、真正スポーク部STとしての前左スポーク部SFLのスポーク被覆部47とその近傍のリング被覆部40を成形するものであり、所定のキャビティ用型面73aを備えた割り子73A1,73A2から構成されている。
【0051】
入れ子74Aは、真正スポーク部STとしての前右スポーク部SFRのスポーク被覆部47とその近傍のリング被覆部40を成形するものであり、所定のキャビティ用型面74aを備えた割り子74A1,74A2から構成されている。
【0052】
入れ子75Aは、擬似スポーク部SPとしての後側スポーク部SBの延設被覆部45とその近傍のリング被覆部40を成形するものであり、所定のキャビティ用型面75aを備えた割り子75A1,75A2から構成されている。
【0053】
なお、割り子73A1,74A1,75A1は、割型71A1の本体72A1に取り替え可能(交換可能)に組み付けられ、割り子73A2,74A2,75A2は、割型71A2の本体72A2に取り替え可能(交換可能)に組み付けられている。
【0054】
外層成形型80Aは、
図9〜11に示すように、型締め時に被覆層30Aの外層32を成形可能なキャビティ87(87A)を形成する二つの割型91(91A1,91A2)を具備するとともに、キャビティ87A内に外層32の成形材料PR2を注入するゲート83を備え、さらに、芯金11の所定部位を支持する支持部84,85,86を備えて構成されている。
【0055】
そして、これらの割型91A1,91A2は、それぞれ、本体92(92A1,92A2)と複数の入れ子93(93A),94(94A),95(95A)とを具備して構成されている。
【0056】
入れ子93A,94A,95Aは、被覆層30Aのリング被覆部40からボス部B側に延びる内側突出被覆部43である延設被覆部45やスポーク被覆部47を配設させた部位と、その近傍のリング被覆部40と、を成形可能なキャビティ部位87a,87bを備え、本体92は、被覆層30Aにおける入れ子93A,94A,95Aの設けられていない部位、換言すれば、リング被覆部40における内側突出被覆部43から離れた部位を成形可能なキャビティ用型面92aを備えて構成されている。
【0057】
勿論、本体92も、内層成形型60Aと同様に、各入れ子93A,94A,95Aを収納保持する入れ子収納部92b,92c,92dを備えている。
【0058】
入れ子93Aは、真正スポーク部STとしての前左スポーク部SFLのスポーク被覆部47とその近傍のリング被覆部40を成形するものであり、所定のキャビティ用型面93aを備えた割り子93A1,93A2から構成されている。
【0059】
入れ子94Aは、真正スポーク部STとしての前右スポーク部SFRのスポーク被覆部47とその近傍のリング被覆部40を成形するものであり、所定のキャビティ用型面94aを備えた割り子94A1,94A2から構成されている。
【0060】
入れ子95Aは、擬似スポーク部SPとしての後側スポーク部SBの延設被覆部45とその近傍のリング被覆部40を成形するものであり、所定のキャビティ用型面95aを備えた割り子95A1,95A2から構成されている。
【0061】
なお、割り子93A1,94A1,95A1は、割型91A1の本体92A1に取り替え可能(交換可能)に組み付けられ、割り子93A2,94A2,95A2は、割型91A2の本体92A2に取り替え可能(交換可能)に組み付けられている。
【0062】
また、内層成形型60Aと外層成形型80Aにおける延設被覆部45付近を成形する入れ子75A,95Aは、入れ子収納部72d,92dと共に、型開き方向と直交する方向、換言すれば、ステアリングホイールWAの左右方向、の長さ寸法が、延設被覆部45自体の寸法に比べて長い。その理由は、後述の
図22に示す第2実施形態の4本スポークタイプのステアリングホイールWCを簡便に製造できるように、入れ子収納部72d,92dに収納させていた入れ子75A,95Aを、
図27,28,31に示す左右方向に長い寸法を必要とした入れ子75C,95Cと交換して、ステアリングホイールWCを製造するためである。
【0063】
そして、第1実施形態のステアリングホイールWAの製造時には、
図5〜8に示す内層成形型60Aを型開きさせて、芯金11をセットし、型締め後、キャビティ67A内に、内層31の成形材料PR1を注入して、内層31を成形し、型開きさせて離型させた成形品(
図2に示すもの)Maを取り出す。その後、
図9〜11に示す外層成形型80Aを型開きさせて、成形品Maをセットし、型締め後、キャビティ87A内に成形材料PR2を注入して、外層32を成形し、取り出せば、ステアリングホイールWAのステアリングホイール本体10Aを得ることができる。その後、ボス部構成部品50Aを組み付ければ、第1実施形態の3本スポークタイプのステアリングホイールWAを製造することができる。
【0064】
以上のように、第1実施形態のステアリングホイールWAでは、ボス部Bとリング部Rとを連結する複数のスポーク部Sが、スポーク被覆部47に被覆されるスポーク芯金部20を設けた真正スポーク部ST(前左スポーク部SFL及び前右スポーク部SFR)と、リング芯金部13とボス芯金部15とを連結するスポーク芯金部20を配設させずに、リング被覆部40から延設される延設被覆部45を利用して形成される擬似スポーク部SP(後側スポーク部SB)と、から構成されている。
【0065】
すなわち、第1実施形態のステアリングホイールWAでは、擬似スポーク部SPが、内部にスポーク芯金部20を設けていないものの、リング芯金部13を被覆するリング被覆部40を延設させた延設被覆部45を設けて構成されており、延設被覆部45は、別途、芯金11に取り付けるもので無く、成形型MA(60A,80A)の型成形(実施形態では射出成形)により形成されて、リング芯金部13の全周を包むように成形されるリング被覆部40と一体的に成形されるものであって、芯金11から外れることはない。その結果、擬似スポーク部SPの取付安定性が良好となる。
【0066】
また、擬似スポーク部SPは、スポーク芯金部20を設けなくとも形成できることから、同じ芯金11を利用して、被覆層の成形型に設ける擬似スポーク部SPを形成する延設被覆部45の成形部位に関し、数や形状を変更したり、あるいは、配置位置を変更する等すれば(
図22参照)、擬似スポーク部SPの数や位置を変更してスポーク部Sの意匠を変えたステアリングホイールを容易に製造することも可能となる。
【0067】
したがって、第1実施形態のステアリングホイールWAでは、スポーク部Sの意匠を、取付安定性を確保して、容易に変更することができ、さらに、設計に手間がかかる芯金11を変更することなく、被覆層の成形型の変更だけで、容易に、スポーク部Sの意匠を変更することができる。
【0068】
ちなみに、芯金11を共用する場合には、擬似スポーク部SPを設けない真正スポーク部STだけの
図12に示す基本ステアリングホイールWBや、擬似スポーク部SPの数を増やした
図22の第2実施形態の変形ステアリングホイールWCを製造することができる。
【0069】
基本ステアリングホイールWBは、
図12〜15に示すように、第1実施形態の芯金11が共用され、また、第1実施形態の左右の真正スポーク部ST(前左スポーク部SFL,前右スポーク部SFR)が略同形状に形成されている。
【0070】
但し、リング部Rの後部RBに、第1実施形態の擬似スポーク部SP(後側スポーク部SB)がないことに伴なって、ステアリングホイールWBのステアリングホイール本体10Bは、第1実施形態の延設被覆部45を備えず、また、ボス部構成部品50Bは、第1実施形態の突出部50Aaを備えていない。
【0071】
また、被覆層30Bは、第1実施形態と同様に、内層31と外層32との二層構造としている。
【0072】
なお、第1実施形態と同様な部位には、成形型も含めて、適宜、Aの文字の変わりにBの文字を入れるものの、極力、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0073】
そして、基本ステアリングホイールWBの製造時に使用する成形型は、第1実施形態の成形型60A,80Aからなるものを変形成形型MAとした場合、芯金11におけるリング芯金部13とリング芯金部13近傍のスポーク芯金部20とを被覆する被覆層30Bを成形するための基本成形型MBとなり、
図16〜18に示す内層成形型60Bと、
図19〜21に示す外層成形型80Bとの2種類が使用される。
【0074】
内層成形型60Bは、
図16〜18に示すように、型締め時に被覆層30Bの内層31を成形可能なキャビティ67Bを形成する二つの割型71B1,71B2を具備するとともに、キャビティ67B内に内層31の成形材料PR1を注入するゲート63(
図18参照)を備え、さらに、芯金11の所定部位を支持する支持部64,65,66を備えて構成されている。
【0075】
そして、これらの割型71B1,71B2は、それぞれ、本体72B1,72B2と複数の入れ子73B,74B,75Bとを具備して構成されている。
【0076】
そして、入れ子73B,74Bは、スポーク被覆部47が同形状であることから、入れ子73A,74Aと同様なキャビティ用型面73a,74aを有した割り子(73B1,73B2,74B1,74B2)から構成されている。
【0077】
しかし、ステアリングホイールWBが延設被覆部45を備えないことから、後側スポーク部SBの配置部位に位置する入れ子75Bは、リング被覆部40を成形可能なキャビティ用型面75aを備えた割り子75B1,75B2から構成されている。
【0078】
勿論、各入れ子73B,74B,75Bは、成形型60Aの本体72と共用している成形型60Bの本体72に設けられている入れ子収納部72b,72c,72d、に収納されている。
【0079】
なお、基本ステアリングホイールWBは、第1実施形態のスポーク被覆部47と同じであることから、入れ子73B,74Bは、入れ子73A,73Aと同じものが使用されている。そのため、ステアリングホイールWAとステアリングホイールWBとを製造するだけであれば、入れ子73A,73B,74A,74Bは、入れ子構造とせずに、本体72と一体的に形成してもよい。
【0080】
外層成形型80Bは、
図19〜21に示すように、型締め時に被覆層30Bの外層32を成形可能なキャビティ87Bを形成する二つの割型91B1,91B2を具備するとともに、キャビティ87B内に外層32の成形材料PR2を注入するゲート83を備え、さらに、芯金11の所定部位を支持する支持部84,85,86を備えて構成されている。
【0081】
そして、これらの割型91B1,91B2は、それぞれ、本体92B1,92B2と複数の入れ子93B,94B,95Bとを具備して構成されている。
【0082】
そして、入れ子93B,94Bは、スポーク被覆部47が同形状であることから、入れ子93A,94Aと同様なキャビティ用型面93a,94aを有した割り子(93B1,93B2,94B1,94B2)から構成されている。
【0083】
しかし、ステアリングホイールWBが延設被覆部45を備えないことから、ステアリングホイールWAの後側スポーク部SBの配置部位(リング部Rの後部RB)に位置する入れ子95Bは、リング被覆部40を成形可能なキャビティ用型面95aを備えた割り子95B1,95B2から構成されている。
【0084】
勿論、各入れ子93B,94B,95Bは、成形型80Aの本体92と共用している成形型80Bの本体92に設けられている入れ子収納部92b,92c,92d、に収納されている。
【0085】
なお、基本ステアリングホイールWBは、第1実施形態のスポーク被覆部47と同じであることから、入れ子93B,94Bは、入れ子93A,93Aと同じものが使用されている。そのため、ステアリングホイールWAとステアリングホイールWBとを製造するだけであれば、入れ子93A,93B,94A,94Bは、入れ子構造とせずに、本体92と一体的に形成してもよい。
【0086】
この基本ステアリングホイールWBの製造時には、
図16〜18に示す内層成形型60Bを型開きさせて、芯金11をセットし、型締め後、キャビティ67B内に、内層31の成形材料PR1を注入して、内層31を成形し、型開きさせて離型させた成形品(
図13に示すもの)Mbを取り出す。その後、
図19〜21に示す外層成形型80Bを型開きさせて、成形品Mbをセットし、型締め後、キャビティ87B内に成形材料PR2を注入して、外層32を成形し、取り出せば、ステアリングホイールWBのステアリングホイール本体10Bを得ることができる。その後、ボス部構成部品50Bを組み付ければ、2本スポークタイプのステアリングホイールWBを製造することができる。
【0087】
さらに、
図22に示す第2実施形態の変形ステアリングホイールWCについて説明すれば、このステアリングホイールWCは、基本ステアリングホイールWBや第1実施形態のステアリングホイールWA(変形ステアリングホイールWAとも言える)と芯金11を共用しているものの、4本スポークタイプとして、前側の前左スポーク部SFLと前右スポーク部SFRとが、真正スポーク部STとして構成され、後側の後左スポーク部SBLと後右スポーク部SBRとが、擬似スポーク部SPとして構成されている。
【0088】
すなわち、後側の後左スポーク部SBLと後右スポーク部SBRとは、
図22,23,25に示すように、スポーク芯金部20(
図22,23,24参照)を設けることなく、被覆層30Cにおけるリング被覆部40を延設させた延設被覆部45を利用して形成され、ボス部構成部品50Cが、後左スポーク部SBLと後右スポーク部SBRに連なるように、延設被覆部45側に突出する突出部50Caを設けて構成されている。
【0089】
なお、被覆層30Cは、第1実施形態と同様に、内層31と外層32との二層構造としている。
【0090】
また、第2実施形態のステアリングホイールWCでは、4本スポークタイプとしており、芯金11を共用しているものの、前左スポーク部SFLと前右スポーク部SFRとのスポーク被覆部47Cが、前後方向の幅寸法を小さくして形成され、そして、ボス部構成部品50Cも、スポーク被覆部47Cに連なる部位を、幅寸法を小さくして、対応させている。
【0091】
なお、第2実施形態では、第1実施形態と同様な部位には、成形型も含めて、適宜、Aの文字の変わりにCの文字を入れるものの、極力、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0092】
第2実施形態のステアリングホイールWCの製造時に使用する成形型(変形成形型)MCは、
図26〜28に示す内層成形型60Cと、
図9〜11に示す外層成形型80Bとの2種類が使用される。
【0093】
これらの成形型60C,80Cでは、スポーク被覆部47Cの形状と二つの延設被覆部45を設けた相違から、割型71C1,71C2,91C1,91C2の本体72C1,72C2,92C1,92C2を、成形型60A,60B,80A、80Bの本体72,92と共用しているものの、入れ子73C,74C,75C,93C,94C,95Cを、成形型60A,60B,80A、80Bの入れ子と相違させて、スポーク被覆部47Cと二つの延設被覆部45とを成形可能なように、所定のキャビティ用型面73a,74a,75a,93a,94a,95aを有した割り子73C1,73C2,74C1,74C2,75C1,75C2,93C1,93C2,94C1,94C2,95C1,95C2から構成されている。
【0094】
換言すれば、本体72C1,72C2,92C1,92C2を共用しているものの、成形型60C,80Cは、成形型60A,60B,80A,80Bと比較し、内層31と外層32とを成形するキャビティ67C,87Cの部位について、真正スポーク部ST付近のキャビティ部位67a,87aと擬似スポーク部SP付近のキャビティ部位67b,87bとが、対応する所定の入れ子73C,74C,75C,93C,94C,95Cに交換されて、構成されている。
【0095】
勿論、これらの入れ子73C,74C,75C,93C,94C,95Cは、成形型60C,80Cの本体72,92の入れ子収納部72b,72c,72d,92b,92c,92dに収納保持されている。
【0096】
そして、このステアリングホイールWCの製造時には、第1実施形態と同様に、
図26〜28に示す内層成形型60Cを型開きさせて、芯金11をセットし、型締め後、キャビティ67C内に、内層31の成形材料PR1を注入して、内層31を成形し、型開きさせて離型させた成形品(
図22に示すもの)Mcを取り出し、その後、
図29〜31に示す外層成形型80Cを型開きさせて、成形品Mcをセットし、型締め後、キャビティ87C内に成形材料PR2を注入して、外層32を成形し、取り出せば、ステアリングホイールWCのステアリングホイール本体10Cを得ることができる。その後、ボス部構成部品50Cを組み付ければ、第2実施形態の4本スポークタイプのステアリングホイールWCを製造することができる。
【0097】
以上のように、第2実施形態のステアリングホイールWCでも、ボス部Bとリング部Rとを連結する複数のスポーク部Sが、スポーク被覆部47Cに被覆されるスポーク芯金部20を設けた真正スポーク部ST(前左スポーク部SFL及び前右スポーク部SFR)と、リング芯金部13とボス芯金部15とを連結するスポーク芯金部20を配設させずに、リング被覆部40から延設される延設被覆部45,45を利用して形成される擬似スポーク部SP(後左スポーク部SBL,後右スポーク部SBR)と、から構成されている。
【0098】
すなわち、第2実施形態のステアリングホイールWCでも、擬似スポーク部SPが、内部にスポーク芯金部20を設けていないものの、リング芯金部13を被覆するリング被覆部40を延設させた延設被覆部45を設けて構成されており、
延設被覆部45は、別途、芯金11に取り付けるもので無く、成形型MC(60C,80C)の型成形(実施形態では射出成形)により形成されて、リング芯金部13の全周を包むように成形されるリング被覆部40と一体的に成形されるものであって、芯金11から外れることはない。その結果、擬似スポーク部SPの取付安定性が良好となる。
【0099】
また、擬似スポーク部SPは、スポーク芯金部20を設けなくとも形成できることから、同じ芯金11を利用して、被覆層30A,30Cの成形型MA,MCに設ける擬似スポーク部SPを形成する延設被覆部45の成形部位に関し、数や形状を変更したり、あるいは、配置位置を変更する等すれば、擬似スポーク部SPの数や位置を変更してスポーク部Sの意匠を変えたステアリングホイールを容易に製造することも可能となる。
【0100】
したがって、第1,2実施形態のステアリングホイールWA,WCのように、スポーク部Sの意匠を、取付安定性を確保して、容易に変更することができ、さらに、設計に手間がかかる芯金11を変更することなく、被覆層30A,30Cの成形型MA,MCの変更だけで、容易に、スポーク部Sの意匠を変更することができる。
【0101】
さらに、第1,2実施形態のステアリングホイールWA,WCでは、基本ステアリングホイールWBも含めて、スポーク芯金部20が、ボス芯金部15から左右方向の両側に延びる2本だけとして、構成されている。そのため、スポーク芯金部20を1本とする場合に比べて、操舵時等の芯金11の強度をバランスよく確保でき、さらに、スポーク芯金部を3本以上とする場合に比べて、リング部Rの後部RBにおける真正スポーク部ST間のスペースを広く確保できることから、擬似スポーク部SPの数や配置位置の自由度を向上させることができる。
【0102】
さらに、第1,2実施形態のステアリングホイールWA,WCでは、基本ステアリングホイールWBとともに、被覆層30(30A,30B,30C)が、芯金11を覆う内層31と、延設被覆部45に延設される内層31を含めて、内層31の表面を覆う外層32と、の共にフォーム材からなる二層構造としいる。また、内層31が、外層32より、密度を低く、かつ、剛性を高くして形成されている。
【0103】
そのため、被覆層30における芯金11を覆う内層31が、外層32に対して、低密度で剛性のある(換言すれば、密度は低いものの硬質となる)フォーム材とし、逆に、外層32は、内層31に対して、高密度で剛性の低い(換言すれば、密度は高いものの軟質となる)フォーム材としている。
【0104】
すなわち、被覆層30の全てを、外層32のフォーム材である高密度低剛性のフォーム材で形成すれば、把持する感触として柔らかいソフトな感触を得ることができるものの、高密度のため、ステアリングホイールWA,WB,WCの軽量化を阻害してしまう。逆に、被覆層30の全てを、内層31のフォーム材である低密度高剛性のフォーム材で形成すれば、より一層の軽量化を図れるものの、硬いことから、良好な感触を得られず、また、耐磨耗性が確保できない。
【0105】
したがって、上記構成のステアリングホイールWA,WB,WCでは、把持した際の感触を良好にして、軽量化を達成でき、さらに、良好な耐摩耗性を得ることができる。さらに、延設被覆部45にも剛性のある内層31が配設されることから、スポーク芯金部20を備えていなくとも、擬似スポーク部SPは、感触を良好にした状態で、所定の強度も確保できる。
【0106】
勿論、この点を考慮しなければ、延設被覆部45を含めた被覆層30を、二層構造でなく、強度を確保できる合成樹脂の1層タイプとして、形成してもよい。ちなみに、この場合には、感触を良好にするように、被覆層の表面に、天然皮革や人工皮革等の所定のカバー材を巻き付けてもよい。
【0107】
また、第1,2実施形態の延設被覆部45を配設させたステアリングホイールWA,WCでは、製造時、リング被覆部40及びスポーク被覆部47,47Cを成形可能なキャビティ部位67a,87aと、延設被覆部45を成形可能なキャビティ部位67b,87bと、を設けた成形型60A,60C,80A,80Cに、芯金11をセットして、被覆層30A,30Cの成形材料PR1,PR2を注入すれば、容易に、製造できる。
【0108】
また、延設被覆部45を配設させないステアリングホイールWBの製造時には、リング被覆部40及びスポーク被覆部47を成形可能なキャビティ部位67a,87aを設けた成形型60B,80Bに、延設被覆部45を配設させたステアリングホイールWA,WCの製造時に使用するのと同じ芯金11をセットし、被覆層30Bの成形材料PR1,PR2を注入すれば、容易に、製造できる。
【0109】
すなわち、実施形態のステアリングホイールWA,WB,WCの製造方法では、スポーク部Sの数を異ならせた複数のステアリングホイールWA,WB,WC、換言すれば、所定数の擬似スポーク部SPを設けたステアリングホイールWA,WCと、擬似スポーク部SPを設けないステアリングホイールWBと、を一種類の芯金11を使用し、被覆層30A,30B,30Cの成形型60A,60B,60C,80A,80B,80Cを替えるだけで、容易に製造することができる。
【0110】
さらに付言すれば、実施形態のステアリングホイールWA,WB,WCの製造方法では、擬似スポーク部SPの形状、数、配置位置を変えた種々の外観意匠のステアリングホイールを製造することとなっても、強度等の設計に手間がかかる芯金11を変更することなく、単に、成形型成形型60A,60B,60C,80A,80B,80Cを変更するだけで、容易に対処して製造することができる。
【0111】
特に、実施形態の製造方法では、芯金11を共用して製造するステアリングホイールとして、真正スポーク部STだけを備えた基本ステアリングホイールWBと、真正スポーク部STに加えて少なくとも一つの擬似スポーク部SPを備えた変形ステアリングホイールWA,WCとを製造するにあたり、基本ステアリングホイールWBの被覆層30Bを成形する基本成形型MBと、変形ステアリングホイールWA,WCの被覆層30A,30Cを成形する変形成形型MA,MCとが、本体72,92を共用し、成形する被覆層30A,30B,30Cの形状の相違部分に、対応するキャビティ用型面73a,74a,75a,93a,94a,95aを有して、本体72,92に取り替え可能に装着される入れ子73A,73B,73C,74A,74B,74C,75A,75B,75C,93A,93B,93C,94A,94B,94C,95A,95B,95Cを備えて構成されている。
【0112】
このような構成では、被覆層30を成形する基本成形型MBや変形成形型MA,MCの本体72,92を変更せずに、入れ子73A,73B,73C,74A,74B,74C,75A,75B,75C,93A,93B,93C,94A,94B,94C,95A,95B,95Cの変更だけで、擬似スポーク部SPの形状、数、配置位置を変えた種々のバリエーションの外観意匠のステアリングホイールを製造するができて、一層、種々のバリエーションの外観意匠のステアリングホイールを簡便に製造することができる。
【0113】
なお、各実施形態では、2〜4本スポークタイプのステアリングホイールを例示したが、真正スポーク部STを1つとして、1,2,3本以上の擬似スポーク部SPを設けるステアリングホイールや、真正スポーク部STを複数本として、1,2,3本以上の擬似スポーク部SPを設けるステアリングホイールに、本発明を適用しても良い。