特許第5915535号(P5915535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5915535
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】液晶素子及び液晶素子用セル
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20160422BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20160422BHJP
   G02B 1/06 20060101ALI20160422BHJP
   G02B 3/14 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   G02F1/1339 500
   G02F1/13 505
   G02B1/06
   G02B3/14
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-541253(P2012-541253)
(86)(22)【出願日】2012年9月10日
(86)【国際出願番号】JP2012073027
(87)【国際公開番号】WO2013042565
(87)【国際公開日】20130328
【審査請求日】2015年4月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-204121(P2011-204121)
(32)【優先日】2011年9月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】特許業務法人 宮▲崎▼・目次特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 正紀
(72)【発明者】
【氏名】秋元 隆
(72)【発明者】
【氏名】大久保 毅一
【審査官】 小濱 健太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−296222(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/111869(WO,A1)
【文献】 特開2002−296604(JP,A)
【文献】 特開平5−66408(JP,A)
【文献】 特開2011−175104(JP,A)
【文献】 特開2002−40445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のガラス板と、
前記第1のガラス板に対向して配された第2のガラス板と、
前記第1のガラス板と前記第2のガラス板との間に配されており、前記第1及び第2のガラス板と注入口を有する内部空間を区画形成しているスペーサと、
前記内部空間に設けられた液晶層と、
を備え、
前記スペーサは、
前記内部空間を構成する開口が形成された環状のガラス板若しくは金属板からなる第1のスペーサと、
前記ガラス板と前記第1のスペーサとの間に配されており、前記第1のスペーサよりも薄い樹脂製の第2のスペーサと、
前記ガラス板と前記第1のスペーサとの間に配されており、前記第1のスペーサよりも薄い樹脂製の第3のスペーサと、
を有し、
前記第2及び第3のスペーサのうちの少なくとも一方に、前記第1のスペーサの開口に接続されており、前記注入口を構成する開口が形成されている、液晶素子。
【請求項2】
前記第2及び第3のスペーサのそれぞれの厚みは、前記第1のスペーサの厚みの1.0倍以下である、請求項1に記載の液晶素子。
【請求項3】
前記第1のスペーサの厚みが400μm以下である、請求項1または2に記載の液晶素子。
【請求項4】
前記第1及び第2のガラス板のそれぞれの厚みが500μm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶素子。
【請求項5】
前記第1のスペーサの熱膨張係数が50×10−7/℃以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶素子。
【請求項6】
第1のガラス板と、
前記第1のガラス板に対向して配された第2のガラス板と、
前記第1のガラス板と前記第2のガラス板との間に配されており、注入口を有し、液晶が注入される内部空間を前記第1及び第2のガラス板と区画形成しているスペーサと、
を備え、
前記スペーサは、
前記内部空間を構成する開口が形成された環状のガラス板若しくは金属板からなる第1のスペーサと、
前記ガラス板と前記第1のスペーサとの間に配されており、前記第1のスペーサよりも薄い樹脂製の第2のスペーサと、
前記ガラス板と前記第1のスペーサとの間に配されており、前記第1のスペーサよりも薄い樹脂製の第3のスペーサと、
を有し、
前記第2及び第3のスペーサのうちの少なくとも一方に、前記第1のスペーサの開口に接続されており、前記注入口を構成する開口が形成されている、液晶素子用セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶素子及び液晶素子用セルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶分子の配向状態を変化させることにより光学特性を変化させることができる液晶レンズ等の液晶素子が知られている。例えば液晶レンズにおいて高いレンズパワーを得るためには、液晶層の厚みを厚くする必要がある。しかしながら、液晶層の厚みを厚くすると、電圧印加に対する液晶レンズの応答速度が遅くなるという問題がある。
【0003】
これに鑑み、例えば特許文献1には、光軸方向に沿って配された複数の薄い液晶層を設けることにより、電圧印加に対する液晶レンズの応答速度を高めることが提案されている。特許文献1では、液晶層の厚みを所定の厚みに保つためのスペーサを、直径が20μmの球状スペーサが分散した接着剤により形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−114721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶素子の光学特性は、液晶層の厚みに大きく左右されるが、特許文献1に記載の液晶素子では、液晶層の厚みむらが生じやすいという問題がある。
【0006】
本発明は、液晶層の厚みむらが小さな液晶素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液晶素子は、第1のガラス板と、第2のガラス板と、スペーサと、液晶層とを備えている。第2のガラス板は、第1のガラス板に対向して配されている。スペーサは、第1のガラス板と第2のガラス板との間に配されている。スペーサは、第1及び第2のガラス板と注入口を有する内部空間を区画形成している。液晶層は、内部空間に設けられている。スペーサは、第1のスペーサと、樹脂製の第2のスペーサと、樹脂製の第3のスペーサとを有する。第1のスペーサは、内部空間を構成する開口が形成された環状のガラス板若しくは金属板からなる。第2のスペーサは、ガラス板と第1のスペーサとの間に配されている。第2のスペーサは、第1のスペーサよりも薄い。第3のスペーサは、ガラス板と第1のスペーサとの間に配されている。第3のスペーサは、第1のスペーサよりも薄い。第2及び第3のスペーサのうちの少なくとも一方に、第1のスペーサの開口に接続されており、注入口を構成する開口が形成されている。
【0008】
第2及び第3のスペーサのそれぞれの厚みは、第1のスペーサの厚みの1.0倍以下であることが好ましい。
【0009】
第1のスペーサの厚みが400μm以下であることが好ましい。
【0010】
第1及び第2のガラス板のそれぞれの厚みが500μm以下であることが好ましい。
【0011】
第1のスペーサの熱膨張係数が50×10−7/℃以下であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る液晶素子用セルは、第1のガラス板と、第2のガラス板と、スペーサとを備える。第2のガラス板は、第1のガラス板に対向して配されている。スペーサは、第1のガラス板と第2のガラス板との間に配されている。スペーサは、第1及び第2のガラス板と内部空間を区画形成している。内部空間は、注入口を有する。内部空間には、液晶が注入される。スペーサは、第1のスペーサと、樹脂製の第2のスペーサと、樹脂製の第3のスペーサとを有する。第1のスペーサは、内部空間を構成する開口が形成された環状のガラス板若しくは金属板からなる。第2のスペーサは、ガラス板と第1のスペーサとの間に配されている。第2のスペーサは、第1のスペーサよりも薄い。第3のスペーサは、ガラス板と第1のスペーサとの間に配されている。第3のスペーサは、第1のスペーサよりも薄い。第2及び第3のスペーサのうちの少なくとも一方に、第1のスペーサの開口に接続されており、注入口を構成する開口が形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液晶層の厚みむらが小さな液晶素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る液晶素子の略図的断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態における素子本体の略図的分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0016】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0017】
図1に本実施形態の液晶素子1の略図的断面図を示す。図2に、本実施形態における素子本体の略図的分解斜視図を示す。
【0018】
液晶素子1は、液晶レンズを構成している。図1に示すように、液晶素子1は、素子本体(液晶素子用セル)10と、複数の液晶層16とを備えている。素子本体10は、図1及び図2に示すように、z方向(積層方向)に積層された複数のガラス板11a〜11dを有する。隣り合うガラス板11a〜11dは、z方向に対向している。これらのガラス板11a〜11dのうち、最もz方向の一方側に位置するガラス板11aが下ガラス板を構成しており、最もz方向の他方側に位置するガラス板11dが上ガラス板を構成しており、ガラス板11aとガラス板11dとの間に位置するガラス板11b、11cが中間ガラス板を構成している。
【0019】
下ガラス板を構成しているガラス板11aと、上ガラス板を構成しているガラス板11dとのそれぞれの内側主面の上には、図示しない電極と電極の上に設けられた配向膜とが形成されている。一方、中間ガラス板を構成しているガラス板11b、11cの両主面の上には、配向膜が形成されている。ガラス板11b、11cと配向膜との間にも電極が形成されていてもよい。
【0020】
ガラス板11a〜11dの厚みは、特に限定されない。ガラス板11a〜11dの厚みは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。通常は、上下に位置するガラス板11a、11dが相対的に厚く、ガラス板11b、11cが相対的に薄い。ガラス板11a、11dの厚みは、50μm〜500μmであることが好ましく、100μm〜300μmであることがより好ましい。ガラス板11b、11cの厚みは、10μm〜400μmであることが好ましく、20μm〜200μmであることがより好ましい。
【0021】
z方向に隣接するガラス板11a〜11dの間のそれぞれにはスペーサ12が配されている。このスペーサ12と、z方向に隣接するガラス板11a〜11dとにより、注入口17を有し、液晶が注入される内部空間18が区画形成されている。注入口17は、素子本体10の側面に開口している。即ち、内部空間18は、注入口17により側面と連通している。
【0022】
本実施形態では、内部空間18の形状は、円柱状であるが、本発明においては特に限定されない。内部空間18の形状は、形成しようとする液晶層16の形状に応じて適宜設定すればよい。
【0023】
スペーサ12の厚みは、形成しようとする液晶層16の厚みに応じて適宜設定することができる。スペーサ12の厚みは、例えば、10μm〜1000μm程度とすることができる。液晶素子1の高速応答性を高める観点からは、液晶層16が薄いことが好ましい。よって、スペーサ12の厚みは、900μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましい。
【0024】
複数の内部空間18のそれぞれには、液晶層16が設けられている。液晶層16は、封止材15により封止されている。
【0025】
液晶層16には、ガラス板11aの上に設けられた電極と、ガラス板11dの上に設けられた電極とにより電圧が印加される。これにより、液晶層16の屈折率が変化する。その結果、液晶素子1のレンズパワーが変化する。
【0026】
次に、スペーサ12の構成についてさらに詳細に説明する。
【0027】
複数のスペーサ12のそれぞれは、第1のスペーサ12aと、第2のスペーサ12bと、第3のスペーサ12cとを有する。
【0028】
第1のスペーサ12aは、環状のガラス板若しくは金属板からなる。第1のスペーサ12aには、内部空間18を構成する開口12a1(図2を参照)が形成されている。本実施形態では、詳細には、開口12a1は、内部空間18の一部を構成している。但し、開口12a1が内部空間18の全体を構成していてもよい。
【0029】
第1のスペーサ12aの熱膨張係数は、50×10−7/℃以下であることが好ましく、45×10−7/℃以下であることがより好ましい。
【0030】
第2のスペーサ12bは、第1のスペーサ12aと、ガラス板11a、11b、11cとの間に配されている。第2のスペーサ12bは、第1のスペーサ12aと、ガラス板11a、11b、11cとを接着している。第2のスペーサ12bは、樹脂製である。第2のスペーサ12bは、例えば、紫外線硬化型樹脂接着剤の硬化物等の樹脂接着剤の硬化物と、硬化物中に分散した球状粒子とを含んでいてもよい。
【0031】
第3のスペーサ12cは、第1のスペーサ12aと、ガラス板11d、11c、11bとの間に配されている。第3のスペーサ12cは、第1のスペーサ12aと、ガラス板11d、11c、11bとを接着している。第1のスペーサ12aは、第2のスペーサ12bと第3のスペーサ12cとにより挟持されている。第3のスペーサ12cは、樹脂製である。第3のスペーサ12cは、例えば、紫外線硬化型樹脂接着剤の硬化物等の樹脂接着剤の硬化物と、硬化物中に分散した球状粒子とを含んでいてもよい。
【0032】
第2及び第3のスペーサ12b、12cのうちの少なくとも一方に、第1のスペーサ12aにより一部が構成された内部空間18に接続されており、注入口17を構成している開口12b2,12c2が形成されている。具体的には、第2及び第3のスペーサ12b、12cの両方に、第1のスペーサ12aにより一部が構成された内部空間18に接続されており、注入口17を構成している開口12b2,12c2が形成されている。さらに、第2及び第3のスペーサ12b、12cの少なくとも一方、具体的には両方に、内部空間18の一部を構成している開口12b1,12c1が形成されている。即ち、内部空間18は、第1〜第3のスペーサ12a〜12cにわたって設けられている。
【0033】
第2及び第3のスペーサ12b、12cのそれぞれの厚みは、第1のスペーサ12aと同じかそれよりも薄い。第2及び第3のスペーサ12b、12cのそれぞれの厚みは、第1のスペーサ12aの厚みの1.0倍以下であることが好ましく、0.9倍以下であることがより好ましい。但し、第2及び第3のスペーサ12b、12cの厚みが薄すぎると、スペーサ12とガラス板11a〜11dとの間の接合強度が低くなりすぎる場合がある。従って、第2及び第3のスペーサ12b、12cのそれぞれの厚みは、第1のスペーサ12aの厚みの0.1倍以上であることが好ましく、0.2倍以上であることがより好ましい。
【0034】
具体的には、第1のスペーサ12aの厚みは、10μm〜400μmであることが好ましく、20μm〜200μmであることがより好ましい。スペーサ12の厚みに対する第1のスペーサ12aの厚みの比((第1のスペーサ12aの厚み)/(スペーサ12の厚み))は、0.33〜0.83であることが好ましく、0.40〜0.80であることがより好ましい。第2のスペーサ12b及び第3のスペーサ12Cの厚みは、それぞれ10μm〜400μmであることが好ましく、10μm〜200μmであることがより好ましい。
【0035】
なお、スペーサ12は、例えば以下の要領で作製することができる。すなわち、ガラス板11aの上に第2のスペーサ12bを形成するための紫外線硬化型樹脂接着剤を印刷する。次に、第1のスペーサ12aを載置する。次に、第1のスペーサ12a及びガラス板11bのうちの少なくとも一方の上に第3のスペーサ12cを形成するための紫外線硬化型樹脂接着剤を印刷する。その後、ガラス板11bと第1のスペーサ12aとを重ね、加圧した状態で紫外線を照射し、接着剤を硬化することにより第2及び第3のスペーサ12b、12cを硬化させ、スペーサ12を完成させることができる。
【0036】
ところで、特許文献1に記載のように、液晶層の厚みを所定の厚みに保つためのスペーサを、直径が20μmの球状スペーサが分散した接着剤により形成することが考えられる。しかしながら、この場合は、スペーサの剛性が低くなるため、液晶層の厚みむらが生じやすい。また、液晶層の厚みを一定に保つことが困難となる。
【0037】
この観点から、高い剛性を有するガラス板によりスペーサを構成することが考えられる。この場合、スペーサを構成するガラス板には、液晶層を設けるための内部空間を構成するための開口と、注入口を構成するための開口とを設ける必要がある。従って、スペーサを構成するガラス板は、環状とはならず、馬蹄状となる。このため、注入口を構成するための開口が設けられた領域及びその周辺の領域においては、スペーサの両側に位置しているガラス板間の距離が近くなるため、内部空間が薄くなる。従って、注入口を構成するための開口が設けられた領域の周辺の領域と、それ以外の領域とでは液晶層の厚みが異なる。即ち、液晶層に厚みむらが生じる。
【0038】
それに対して本実施形態では、スペーサ12が、相対的に厚いガラス板若しくは金属板により構成された第1のスペーサ12aと、相対的に薄い樹脂製の第2及び第3のスペーサ12b、12cとにより構成されている。そして、注入口17を構成するための開口12b2,12c2は、相対的に薄い樹脂製の第2及び第3のスペーサ12b、12cの少なくとも一方に形成されている。このため、第1のスペーサに注入口を構成するための開口を形成した場合と比較して、ガラス板11a〜11cの変形を抑制することができる。従って、液晶層16の注入口17付近の部分の厚みが小さくなることを抑制することができる。その結果、液晶層16の厚みむらの少ない液晶素子1を実現することができる。
【0039】
尚、スペーサ12を主として構成している第1のスペーサ12aをガラス製にすると、スペーサ12の厚みの温度依存性を低くすることができる。従って、液晶素子1の温度が変化した際に液晶層16の厚みが変化することを抑制することができる。液晶素子1の温度が変化した際に液晶層16の厚みが変化することをより効果的に抑制する観点からは、第1のスペーサ12aの熱膨張係数は、50×10−7/℃以下であることが好ましく、45×10−7/℃以下であることがより好ましい。
【0040】
また、液晶層16の厚みむらをより効果的に抑制すると共に、液晶層16の厚みの温度依存性をより効果的に低減する観点からは、スペーサ12に占める第1のスペーサ12aの割合を高くすることが好ましい。具体的には、第2及び第3のスペーサ12b、12cのそれぞれの厚みを、第1のスペーサ12aの厚みの1.0倍以下とすることが好ましく、0.9倍以下とすることがより好ましい。スペーサ12の厚みに対する第1のスペーサ12aの厚みの比((第1のスペーサ12aの厚み)/(スペーサ12の厚み))を0.83以下とすることが好ましく、0.80以下とすることが好ましい。
【0041】
液晶層16の厚みむらは、ガラス板11a〜11dが薄く、変形しやすい場合に生じやすい。このため、本実施形態の液晶層16の厚みむらを抑制できる技術は、ガラス板11a〜11dの厚みが500μm以下である場合、さらには300μm以下である場合に特に有効である。
【0042】
上記実施形態では、本発明の実施形態の一例として、液晶レンズについて説明した。但し、本発明において、液晶素子は、液晶レンズに限定されない。液晶素子には、液晶レンズ、液晶シャッター、液晶表示素子、液晶絞り等が含まれるものとする。
【0043】
上記実施形態では、液晶素子が複数のガラス板を有し、複数の液晶層を有する例について説明した。但し、本発明はこの構成に限定されない。液晶素子は、一対のガラス板と、一対のガラス板間に配されたひとつの液晶層のみを有していてもよい。液晶素子が複数の液晶層を有する場合、液晶素子用セルに、複数の液晶層を連通させる連通口が設けられていてもよい。その場合、複数の液晶層における圧力ばらつきを小さくすることができる。
【0044】
上記実施形態では、第2及び第3のスペーサの両方に注入口を構成するための開口を形成する例について説明したが、第2及び第3のスペーサの一方にのみ注入口を構成するための開口を形成してもよい。また、第1のスペーサに、注入口の一部を構成する溝を形成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…液晶素子
10…素子本体
11a〜11d…ガラス板
12…スペーサ
12a…第1のスペーサ
12a1…内部空間を構成する開口
12b…第2のスペーサ
12b1…内部空間を構成する開口
12b2…注入口を構成する開口
12c…第3のスペーサ
12c1…内部空間を構成する開口
12c2…注入口を構成する開口
15…封止材
16…液晶層
17…注入口
18…内部空間
図1
図2