特許第5915581号(P5915581)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5915581-車両用デフレクタ装置 図000002
  • 特許5915581-車両用デフレクタ装置 図000003
  • 特許5915581-車両用デフレクタ装置 図000004
  • 特許5915581-車両用デフレクタ装置 図000005
  • 特許5915581-車両用デフレクタ装置 図000006
  • 特許5915581-車両用デフレクタ装置 図000007
  • 特許5915581-車両用デフレクタ装置 図000008
  • 特許5915581-車両用デフレクタ装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5915581
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】車両用デフレクタ装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/22 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
   B60J7/22
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-73817(P2013-73817)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-198493(P2014-198493A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】小西 克実
(72)【発明者】
【氏名】沢田 和希
(72)【発明者】
【氏名】平松 新一
【審査官】 岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第202012104622(DE,U1)
【文献】 特開2012−030748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の屋根部に形成された開口部の前縁部に沿って車両幅方向に延在する上側フレーム及び下側フレームと、
前記上側フレーム及び前記下側フレームに短手方向両端末部がそれぞれ保持されて開口部の前縁部に沿って車両幅方向に延在するメッシュ部材であって、前記下側フレームに対して前記上側フレームが上昇する状態で該上側フレームと共に前記屋根部の面上に突出し、前記下側フレームに対して前記上側フレームが下降する状態で該上側フレームと共に前記屋根部上面の下側に収まるメッシュ部材と、
前記下側フレームの延在方向両端部に車両幅方向外側に向けて突設され、前記開口部の前縁部に沿って車両幅方向に延設される屋根側部材に形成された一対の保持孔にそれぞれ挿入される一対の保持突部と、
前記保持突部周りの前記下側フレームの回動を規制する回り止め部とを備え
前記下側フレームの延在方向中間部に車両前側に向けて突設され、前記屋根側部材に形成された挿入孔に挿入される挿入突部を備え、
前記下側フレームの延在方向中間部であって、前記挿入突部を挟む前記下側フレームの延在方向両側部に下側に向けて突設され、前記屋根側部材にそれぞれ圧接する一対の撓み形状部を備えた、車両用デフレクタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用デフレクタ装置において、
前記上側フレームは、その延在方向両端部から車両後方に延出する一対のアーム部であって、後端部が前記開口部の車両幅方向両縁部に配設される一対の第2の屋根側部材にそれぞれ回動自在に連結される一対のアーム部を有し、
前記両第2の屋根側部材及びアーム部間にそれぞれ介装され、前記下側フレームに対して前記上側フレームが上昇する側に回動付勢する一対の付勢部材を備え、
前記回り止め部は、前記下側フレームの延在方向両端部に配設された、車両用デフレクタ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用デフレクタ装置において、
前記下側フレームは、その延在方向における前記両撓み形状部の位置で後端面が前記屋根側部材に上側向けて突設された後方規制壁部に当接した、車両用デフレクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用デフレクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用デフレクタ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。図8に示すように、この車両用デフレクタ装置は、車両の屋根部90に形成された開口部の前縁部に沿って車両幅方向に延在する上側フレーム91及び下側フレーム92と、上側フレーム91及び下側フレーム92に短手方向両端末部がそれぞれ保持されて開口部の前縁部に沿って延在するメッシュ部材93とを備える。
【0003】
上側フレーム91は、車両幅方向両端部から車両後方に延びるアーム部91aにおいて、屋根部90側に回動自在に連結されている。一方、下側フレーム92は、開口部の前縁部において屋根部90側に固定されている。そして、下側フレーム92に対して上側フレーム91が上昇するように回動すると、該上側フレーム91と共にメッシュ部材93が屋根部90の面上に突出するように展開される。あるいは、下側フレーム92に対して上側フレーム91が下降するように回動すると、該上側フレーム91と共にメッシュ部材93が屋根部90上面の下側に収まるように格納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許発明第10 2005 042 187 B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1では、下側フレーム92の屋根部90側への固定に、例えばねじ等の締結具95を使用していることから、ねじ回し等の工程が必要になって組付性の低下を余儀なくされている。
【0006】
本発明の目的は、組付性を向上させることができる車両用デフレクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する車両用デフレクタ装置は、車両の屋根部に形成された開口部の前縁部に沿って車両幅方向に延在する上側フレーム及び下側フレームと、前記上側フレーム及び前記下側フレームに短手方向両端末部がそれぞれ保持されて開口部の前縁部に沿って車両幅方向に延在するメッシュ部材であって、前記下側フレームに対して前記上側フレームが上昇する状態で該上側フレームと共に前記屋根部の面上に突出し、前記下側フレームに対して前記上側フレームが下降する状態で該上側フレームと共に前記屋根部上面の下側に収まるメッシュ部材と、前記下側フレームの延在方向両端部に車両幅方向外側に向けて突設され、前記開口部の前縁部に沿って車両幅方向に延設される屋根側部材に形成された一対の保持孔にそれぞれ挿入される一対の保持突部と、前記保持突部周りの前記下側フレームの回動を規制する回り止め部とを備え、前記下側フレームの延在方向中間部に車両前側に向けて突設され、前記屋根側部材に形成された挿入孔に挿入される挿入突部を備え、前記下側フレームの延在方向中間部であって、前記挿入突部を挟む前記下側フレームの延在方向両側部に下側に向けて突設され、前記屋根側部材にそれぞれ圧接する一対の撓み形状部を備える。ここで、前記下側フレームの延在方向両端部の「端部」とは、前記開口部の車両幅方向両縁と対向する部位を意味する。
【0008】
この構成によれば、前記下側フレームを前記屋根側部材に固定する際には、前記下側フレームを車両幅方向に弾性変形させつつ前記両保持突部を前記保持孔に挿入することで、前記屋根側部材に対する前記下側フレームの車両前後方向、車両幅方向及び車両上下方向への位置ずれを規制できる。このため、前記下側フレームの組付性を向上させることができる。また、前記下側フレームは、例えば風等からの外力を受けて前記保持突部周りに回動する可能性があるが、該回動を前記回り止め部により規制することができる。
【0012】
この構成によれば、前記保持突部周りの前記下側フレームの回動を、前記挿入孔に挿入された前記挿入突部によってより確実に規制することができる
【0013】
この構成によれば、前記下側フレームは、前記両撓み形状部において前記屋根側部材にそれぞれ圧接することで上側への付勢力が付与され、これに伴って前記挿入突部が前記挿入孔の上側の内壁面との当接状態を維持する。このため、前記保持突部周りの前記下側フレームの回動をいっそう確実に規制することができる。
【0014】
上記車両用デフレクタ装置について、前記上側フレームは、その延在方向両端部から車両後方に延出する一対のアーム部であって、後端部が前記開口部の車両幅方向両縁部に配設される一対の第2の屋根側部材にそれぞれ回動自在に連結される一対のアーム部を有し、前記両第2の屋根側部材及びアーム部間にそれぞれ介装され、前記下側フレームに対して前記上側フレームが上昇する側に回動付勢する一対の付勢部材を備え、前記回り止め部は、前記下側フレームの延在方向両端部に配設されることが好ましい。
この構成によれば、前記回り止め部は、前記下側フレームの延在方向両端部に、即ち前記付勢部材による回動付勢の位置近傍に配設されることで、前記下側フレームの回動規制をより確実に行うことができる。
上記車両用デフレクタ装置について、前記下側フレームは、その延在方向における前記両撓み形状部の位置で後端面が前記屋根側部材に上側向けて突設された後方規制壁部に当接することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、前記下側フレームは、その延在方向における前記両撓み形状部の位置で後端面が前記後方規制壁部に当接することで、前記下側フレームが車両後方に位置ずれすることを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、組付性を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ルーフを斜め上方から見た斜視図。
図2】本発明の一実施形態を模式的に示す平面図。
図3】(a)は、同実施形態を示す平面図であり、(b)は、(a)の拡大図。
図4】同実施形態を示す斜視図。
図5図3の5−5線に沿った断面図。
図6図3の6−6線に沿った断面図。
図7図3の7−7線に沿った断面図。
図8】従来形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、車両用デフレクタ装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両前後方向を「前後方向」といい、車両高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両幅方向外側を「車外側」という。
【0019】
図1に示すように、自動車などの車両の屋根部10には、略四角形の開口部10aが形成されるとともに、サンルーフ装置11が搭載される。このサンルーフ装置11は、車両幅方向に延在して開口部10aの前縁部に配置・支持されたデフレクタ12を備えるとともに、前後方向に移動して開口部10aを開閉する、例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル13を備える。
【0020】
デフレクタ12は、その後部を中心に回動することで前部が上動する、いわゆるチルトアップ動作可能に取り付けられている。デフレクタ12は、可動パネル13の開作動に伴い該可動パネル13側から解放されてチルトアップ動作し、屋根部10上面よりも上側に突出する(展開状態)。あるいは、デフレクタ12は、可動パネル13の閉作動に伴い該可動パネル13側から押さえ込まれて屋根部10上面の下側に収まる(格納状態)。デフレクタ12は、開口部10aを開放した際に展開状態になることで、車室内への風の巻き込みによる空気振動を防止する。
【0021】
図2に示すように、サンルーフ装置11は、開口部10aの車両幅方向両側縁部に配置・固定される一対の第2の屋根側部材としてのガイドレール14を備える。各ガイドレール14は、例えばアルミニウム合金の押出材からなり、長手方向に一定断面を有して前後方向に延在する。また、サンルーフ装置11は、開口部10aの前縁部に沿って配置・固定される屋根側部材としてのフロントハウジング15を備える。このフロントハウジング15は、例えば樹脂材からなり、車両幅方向に延在するとともにその両端部で両ガイドレール14の前端に接続されてそれらの間を車両幅方向に橋渡しする。
【0022】
なお、ガイドレール14には、可動パネル13を開閉駆動するための適宜の駆動機構(図示略)が摺動する。また、両ガイドレール14の前端部には、フロントハウジング15上に設置されたデフレクタ12の車両幅方向両端部がそれぞれ回動自在に連結されている。
【0023】
次に、デフレクタ12及びその支持構造について更に説明する。
図3(a)及び図4に示すように、デフレクタ12は、フロントハウジング15(開口部10aの前縁部)に沿って車両幅方向に延在する、例えば樹脂材からなる略帯状のメッシュ部材21を備える。また、デフレクタ12は、例えば樹脂材からなる略棒状の下側フレーム22を備える。この下側フレーム22は、フロントハウジング15(開口部10aの前縁部)に沿って車両幅方向に延在しており、メッシュ部材21の長手方向全長に亘ってその短手方向片側(図4において下側)の端末部を埋設するようにこれに一体に樹脂成形されている。この下側フレーム22は、フロントハウジング15に保持・固定されている。
【0024】
すなわち、図3(b)に拡大して示すように、下側フレーム22は、その延在方向両端部から車両後方に延出する一対の取付アーム部23を一体的に有する。そして、各取付アーム部23には、車外側に向けて略円柱状の保持突部24が突設されている。一方、フロントハウジング15には、取付アーム部23の開口部10aの車両幅方向両縁と対向する車外側面に沿って略台形板状のステイ16が立設されている。このステイ16には、車両幅方向に開口する略円形の保持孔16aが形成されている。下側フレーム22は、各保持突部24が保持孔16aに挿通されることで、ステイ16(フロントハウジング15)に保持されている。
【0025】
また、フロントハウジング15には、ステイ16の車内側後方に隣接して、略錐台状の台座部17が立設されている。
図5に併せ示すように、台座部17は、その上面17aにおいて保持突部24後方の取付アーム部23の下面23aに当接しており、保持突部24周りの下側フレーム22の回動を規制する。なお、図5では、便宜的に取付アーム部23にパターンを付してその外形を際立たせている。
【0026】
つまり、下側フレーム22は、両保持突部24が両保持孔16aに挿通されることで、フロントハウジング15に対する前後方向、車両幅方向及び上下方向への位置ずれが規制され、取付アーム部23の下面23aが台座部17の上面17aに当接することでフロントハウジング15に対する回動が規制されている。台座部17は、回り止め部を構成する。
【0027】
図3(a)及び図6に示すように、下側フレーム22には、その延在方向中央部から車両前方に略四角爪状の挿入突部25が突設されている。一方、フロントハウジング15には、下側フレーム22の車両前方に隣接して車両幅方向に延在する縦壁部18が上方に突設されている。そして、縦壁部18には、挿入突部25に対向して前後方向に開口する略四角形の挿入孔18aが形成されている。この挿入孔18aには、車両後方から挿入突部25が挿入される。つまり、下側フレーム22は、縦壁部18により車両前方への位置ずれが規制されるとともに、挿入孔18aに挿入突部25が挿入されることで車両幅方向及び上下方向への位置ずれ及び保持突部24周りの回動が規制されている。
【0028】
図3(a)及び図7に示すように、下側フレーム22には、その延在方向において挿入突部25を挟む中間部の2位置で下方に略両持ち梁状の撓み形状部26が突設されている。一方、フロントハウジング15には、各撓み形状部26の位置で下側フレーム22の車両後方に隣接して略爪状の後方規制壁部19が上方に突設されている。下側フレーム22は、縦壁部18及び後方規制壁部19間に挿入される際、両撓み形状部26がフロントハウジング15にそれぞれ圧接することで下方への位置ずれが規制されるとともに、その後端面が後方規制壁部19に当接することで、車両後方への位置ずれが規制されている。またこのとき、下側フレーム22は、両撓み形状部26がフロントハウジング15にそれぞれ圧接することで、上方への付勢力が付与される。これにより、挿入突部25が挿入孔18aの上側の内壁面との当接状態を維持するようになっている。
【0029】
以上により、下側フレーム22は、フロントハウジング15に保持・固定されている。
図3(a)及び図4に示すように、デフレクタ12は、例えば樹脂材からなる上側フレーム27を備える。この上側フレーム27は、開口部10aの前縁部に沿って車両幅方向に延在する略棒状のフレーム部28と、該フレーム部28の延在方向両端部から車両後方に延出する一対のアーム部29とを一体的に有する。上側フレーム27は、フレーム部28において、メッシュ部材21の長手方向全長に亘ってその短手方向片側(図4において上側)の端末部を埋設するようにこれに一体に樹脂成形されている。なお、フレーム部28には、その略全長に亘って略円筒状の補強部材30が埋設されている。
【0030】
図4に示すように、各アーム部29には、その後端部から車内側に向かって略円柱状の軸部29aが突設されるとともに、該軸部29aよりも車両前側の部位から車内側に向かって略円柱状の支持突部29bが突設されている。アーム部29(上側フレーム27)は、軸部29aにおいてガイドレール14に回動自在に支持される。
【0031】
従って、上側フレーム27が軸部29aを中心に上昇する側に回動すると、デフレクタ12は、下側フレーム22及び上側フレーム27(フレーム部28)に端末部の固定されたメッシュ部材21をその短手方向に伸長させて、屋根部10の面上に突出するように展開される。一方、上側フレーム27が軸部29aを中心に下降する側に回動すると、デフレクタ12は、下側フレーム22及び上側フレーム27に端末部の固定されたメッシュ部材21をその短手方向に短縮させて(折り畳んで)、屋根部10上面の下側に収まるように格納される。
【0032】
なお、各ガイドレール14及びアーム部29間には、支持突部29bに保持された、例えばばね鋼板からなる付勢部材としての曲げばね31が介装されている。上側フレーム27は、可動パネル13の開作動に伴い該可動パネル13側から解放されると、曲げばね31に付勢されて軸部29aを中心に上昇する側に回動する。一方、上側フレーム27は、可動パネル13の閉作動に伴い該可動パネル13側から押さえ込まれると、曲げばね31の付勢力に抗して軸部29aを中心に下降する側に回動する。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
デフレクタ12の下側フレーム22をフロントハウジング15に固定する際には、下側フレーム22を上方から縦壁部18及び両後方規制壁部19間に装着するとともに、車両後方から挿入孔18aに挿入突部25を挿入する。また、これに合わせて、下側フレーム22を車両幅方向に弾性変形させつつ両保持孔16aに両保持突部24をそれぞれ挿通するとともに、両台座部17の上面17aに両取付アーム部23の下面23aをそれぞれ当接させる。以上により、下側フレーム22は、フロントハウジング15に対して前後方向、車両幅方向及び上下方向への位置ずれが規制されるとともに、保持突部24周りの回動が規制される。
【0034】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、下側フレーム22をフロントハウジング15に固定する際には、下側フレーム22を車両幅方向に弾性変形させつつ両保持突部24を保持孔16aに挿入することで、フロントハウジング15に対する下側フレーム22の前後方向、車両幅方向及び上下方向への位置ずれを規制できる。このため、下側フレーム22の組付性を向上させることができる。
【0035】
特に、従来例のようなねじ回しの工程や裁縫等の工程を要することなく、フロントハウジング15に対する下側フレーム22の前後方向、車両幅方向及び上下方向への位置ずれを規制でき、コストを削減することができる。
【0036】
また、下側フレーム22は、例えば風等からの外力を受けて保持突部24周りに回動する可能性があるが、該回動を取付アーム部23の下面23aに当接する台座部17(上面17a)により規制することができる。そして、保持孔16aからの保持突部24の外れを抑えることができ、ひいてはフロントハウジング15からの下側フレーム22(デフレクタ12)の脱落を抑えることができる。
【0037】
さらに、下側フレーム22は、保持突部24の車両後方で台座部17(上面17a)に当接することで、デフレクタ12の展開時に追従しようとする下側フレーム22の回動規制(及びその外れ防止)に効果的である。
【0038】
特に、従来例のようなねじ回しの工程や裁縫等の工程を要することなく、保持突部24周りに下側フレーム22が回動することを抑制でき、コストを削減することができる。
(2)本実施形態では、下側フレーム22を回動規制する両台座部17は、下側フレーム22の延在方向両端部に、即ち両曲げばね31による回動付勢の位置近傍に配設されることで、下側フレーム22の回動規制をより確実に行うことができる。
【0039】
(3)本実施形態では、保持突部24周りの下側フレーム22の回動を、挿入孔18aに挿入された挿入突部25によってより確実に規制することができ、保持孔16aからの保持突部24の外れをより確実に抑えることができる。
【0040】
また、下側フレーム22は、挿入孔18aに挿入された挿入突部25によってフロントハウジング15に対し車両前方及び上下方向に位置ずれすることを抑制できる。
特に、従来例のようなねじ回しの工程や裁縫等の工程を要することなく、保持突部24周りに下側フレーム22が回動し、あるいはフロントハウジング15に対して下側フレーム22が車両前方及び上下方向に位置ずれすることを抑制でき、コストを削減することができる。
【0041】
(4)本実施形態では、下側フレーム22は、両撓み形状部26においてフロントハウジング15にそれぞれ圧接することで上側への付勢力が付与され、これに伴って挿入突部25が挿入孔18aの上側の内壁面との当接状態を維持する。このため、保持突部24周りの下側フレーム22の回動をいっそう確実に規制することができる。
【0042】
また、下側フレーム22は、両撓み形状部26においてフロントハウジング15にそれぞれ圧接することで、下側フレーム22が下方に位置ずれすることを抑制できる。
特に、従来例のようなねじ回しの工程や裁縫等の工程を要することなく、下側フレーム22が下方に位置ずれすることを抑制でき、コストを削減することができる。
【0043】
(5)本実施形態では、下側フレーム22は、その延在方向における両撓み形状部26の位置で後端面が後方規制壁部19に当接することで、下側フレーム22が車両後方に位置ずれすることを抑制できる。
【0044】
特に、従来例のようなねじ回しの工程や裁縫等の工程を要することなく、下側フレーム22が車両後方に位置ずれすることを抑制でき、コストを削減することができる。
(6)本実施形態では、下側フレーム22は、両撓み形状部26においてフロントハウジング15にそれぞれ圧接することで、下側フレーム22(デフレクタ12)の上下方向の振動を緩衝することができ、ひいては異音の発生を抑えることができる。
【0045】
また、後方規制壁部19による下側フレーム22の車両後方への位置ずれ規制は、該下側フレーム22の装着代が増加するほど、即ち後方規制壁部19が高くなるほど信頼性が高くなるが、その分、下側フレーム22の組付性が悪くなってしまう。しかしながら、下側フレーム22は、撓み形状部26がフロントハウジング15に圧接するように組み付ければよいため、このような組付性の悪化も抑えることができる。
【0046】
(7)本実施形態では、下側フレーム22の延在方向中央部の挿入突部25と、該挿入突部25を挟む下側フレーム22の延在方向中間部の両撓み形状部26とで、フロントハウジング15に対し上下方向で互い違いになるように干渉させたことで、下側フレーム22の上下方向の位置ずれをより均衡に抑えることができる。
【0047】
(8)本実施形態では、デフレクタ12の上側フレーム27の回転軸(軸部29a)をアーム部29に一体形成したことで部品点数を削減することができ、ひいてはコストを削減することができる。
【0048】
(9)本実施形態では、曲げばね31の取付部(支持突部29b)をアーム部29に一体形成したことで部品点数を削減することができ、ひいてはコストを削減することができる。
【0049】
(10)本実施形態では、メッシュ部材21の短手方向両端末部は、上側フレーム27及び下側フレーム22にそれぞれ埋設されることで、例えば上側フレーム27及び下側フレーム22の樹脂成形に併せてそれらを一体化・固定することができる。従って、例えば上側フレーム27及び下側フレーム22とメッシュ部材21とを適宜の結合手段を介して結合する場合に比べ、部品点数及び製造工数を削減することができる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、上側フレーム27及び下側フレーム22の少なくとも一方と、メッシュ部材21の該当の端末部とを適宜の結合手段を介して結合するようにしてもよい。
【0051】
・前記実施形態において、アーム部29の支持突部29bに代えて、別設の支持ピン等により曲げばね31を保持するようにしてもよい。
・前記実施形態において、曲げばね31は、ガイドレール14側に保持されていてもよい。あるいは、曲げばね31は、屋根部10側に固定された適宜のブラケットに保持されていてもよい。
【0052】
・前記実施形態において、曲げばね31に代えて捩りコイルばねを採用してもよい。
・前記実施形態において、アーム部29の軸部29aに代えて、別設の支持軸等によりアーム部29(上側フレーム27)を回動自在に連結してもよい。また、ガイドレール14側(又は屋根部10側に固定された適宜のブラケット)に支持軸を保持するとともに、該支持軸を軸支する軸受孔をアーム部29に形成してもよい。
【0053】
・前記実施形態において、下側フレーム22の延在方向における挿入突部25及び撓み形状部26の配置は一例である。例えば下側フレーム22の延在方向中間部に左右対称に2つの挿入突部25(及び挿入孔18a)を配設するとともに、それら両挿入突部25を挟む下側フレーム22の延在方向中間部に左右対称に2つの撓み形状部26(及び後方規制壁部19)を配設してもよい。あるいは、両挿入突部25間に挟まれる下側フレーム22の延在方向中央部に更に撓み形状部26(及び後方規制壁部19)を設けてもよい。
【0054】
・前記実施形態において、下側フレーム22の撓み形状部26を割愛して、縦壁部18及び後方規制壁部19間に上方から装着される下側フレーム22下面をフロントハウジング15に当接又は近接させてもよい。
【0055】
・前記実施形態において、撓み形状部26の有無に関わらず、後方規制壁部19を割愛してもよい。
・前記実施形態において、挿入突部25及び挿入孔18aの係合に代えて、例えば下側フレーム22及びフロントハウジング15の一方に設けたフックと、他方に設けた掛止部との係合によって下側フレーム22を回動規制等してもよい。
【0056】
・前記実施形態において、挿入突部25(及び挿入孔18a)を割愛してもよい。
・前記実施形態において、下側フレーム22の保持突部(24)を非円形の柱状に成形するとともに、該保持突部の嵌挿可能な保持孔(16a)をステイ16に形成してもよい。つまり、保持突部及び保持孔の嵌合構造を回り止め部としてもよい。この場合であっても、当該回り止め部は、下側フレーム22の延在方向両端部に、即ち両曲げばね31による回動付勢の位置近傍に配設されることで、下側フレーム22の回動規制をより確実に行うことができる。
【0057】
・前記実施形態において、下側フレーム22を回動規制する回り止め部(台座部17等)は、例えば下側フレーム22の延在方向中央部に配置されていてもよい。この場合、下側フレーム22を回動規制する回り止め部として挿入突部25(及び挿入孔18a)を採用してもよい。
【0058】
・前記実施形態において、下側フレーム22は、屋根部10側に固定された適宜のブラケットに保持されていてもよい。
・前記実施形態において、両アーム部29を割愛してもよい。この場合、例えば下側フレーム22及びフレーム部28(上側フレーム)間を適宜の付勢部材(例えば圧縮コイルばね)で連結して、該付勢部材をメッシュ部材21と共に伸縮させてデフレクタ12を展開・格納するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10…屋根部、10a…開口部、14…ガイドレール(第2の屋根側部材)、15…フロントハウジング(屋根側部材)、16…ステイ、16a…保持孔、17…台座部(回り止め部)、18a…挿入孔、19…後方規制壁部、21…メッシュ部材、22…下側フレーム、24…保持突部、25…挿入突部、26…撓み形状部、27…上側フレーム、29…アーム部、31…曲げばね(付勢部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8