特許第5915584号(P5915584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5915584ワイヤハーネス分岐部の保護シートおよびワイヤハーネス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5915584
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス分岐部の保護シートおよびワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20160422BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   H02G3/04
   B60R16/02 623U
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-76116(P2013-76116)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-204464(P2014-204464A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美
(72)【発明者】
【氏名】山田 彰浩
【審査官】 神田 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−039782(JP,A)
【文献】 特表2006−520181(JP,A)
【文献】 特開2010−130796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の矩形状のシートからなり、長さ方向の一端の中間位置から長さ方向の中間位置まで1本の横スリットと、該横スリットの切込端から幅方向両側に向かう縦スリットとからなるT字状の切込みを設け、
長さ方向の一側部に前記横スリットにより幅方向で分割した2つの枝線巻付片と、長さ方向の他側部に1つの幹線巻付片を設け、該幹線巻付片と前記各枝線巻付片の分岐点側端縁を前記縦スリットで分割し、かつ、
幅方向の両端縁に沿ってそれぞれ接着面を設け、前記幹線巻付片には幅方向両側縁に前記接着面を設けていると共に、前記各枝線巻付片には前記横スリット反対側の外側縁に前記接着面を設けており、
ワイヤハーネスの幹線に前記幹線巻付片の両側を折り返して巻き付けると共に、枝線に前記枝線巻付片を前記横スリットの端縁側から巻き付け、巻き付け状態で前記接着面で接着するものであるワイヤハーネス分岐部の保護シート。
【請求項2】
前記横スリットの形成位置は、幹線から分岐する2本の枝線の外径に対応させ、各枝線の全周に前記2つの各枝線巻付片が巻き付けられる幅となるように設定している請求項1に記載のワイヤハーネス分岐部の保護シート。
【請求項3】
前記縦スリットの先端に亀裂防止用の小径円形穴を設けている請求項1または請求項2に記載のワイヤハーネス分岐部の保護シート。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の保護シートが前記分岐部に巻き付けられているワイヤハーネス
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤハーネス分岐部の保護シートおよび該保護シートが巻き付けられたワイヤハーネスに関し、詳しくは、ワイヤハーネスの幹線から枝線がT字状あるいはY字状に分岐した場合に、1枚の保護シートにより分岐位置で隙間をあけることなくワイヤハーネスの電線群を保護できるようにするものである。
【背景技術】
【0002】
この種のワイヤハーネスの分岐部に保護シートを巻き付けて分岐部の電線を保護する保護シートとして、特開2011−199992号公報で、図7および図8に示すような切り込みを入れた正方形のシート100が提供されている。該シート100は縦方向(Y方向)の中間位置に横方向(X方向)の両端から左右一対の横スリット101、102を入れると共に、該横スリット101と102で分割される下半側部110の中央部に左右一対の縦スリット103、104を設けている。該下半側部110の下側縁に沿って接着面121を設けると共に、上半側部111の左側縁に接着面122を設けている
【0003】
シート100は図8(A)〜(F)に示す手順で、スリット101〜104で分割された部位を折り返し、接着面121、122で折り返した部位を接着して、ワイヤハーネス200のT字分岐部に巻き付け、ワイヤハーネス200の幹線200Aおよび枝線200Bをシート100で保護している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−199992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1のシート100では、縦スリット103、104の先端と横スリット101、102の間の寸法が幹線200Aの電線径に正確に一致しないと、図9に示すように、巻き付け状態で隙間Cが発生しやすい。よって、隙間を発生させないように時間をかけて巻き付ける必要があり、シート巻付作業に手数がかかる問題がある。言い換えれば、シート100に設けるスリット101〜104を巻き付けるワイヤハーネスの分岐部の寸法に合わせて精度よく形成する必要があり、シート100は巻き付けるワイヤハーネス毎の専用品となり、部品点数が増える問題がある。
【0006】
さらに、枝線200Bが幹線200Aに対して略垂直方向に分岐するT字分岐であれば、隙間Cを小さく押さえることは可能であるが、枝線200Bが傾斜してY字分岐となると、大きな隙間Cが発生する。
【0007】
本発明は前記問題を解消せんとするもので、分岐部で隙間が発生しにくく、かつ、ワイヤハーネスの径が多少相違しても共用化できると共に、T字分岐とY字分岐にも共用で用いられるワイヤハーネス分岐部の保護シートを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、樹脂製の矩形状のシートからなり、長さ方向の一端の中間位置から長さ方向の中間位置まで1本の横スリットと、該横スリットの切込端から幅方向両側に向かう縦スリットとからなるT字状の切込みを設け、
長さ方向の一側部に前記横スリットにより幅方向で分割した2つの枝線巻付片と、長さ方向の他側部に1つの幹線巻付片を設け、該幹線巻付片と前記各枝線巻付片の分岐点側端縁を前記縦スリットで分割し、かつ、
幅方向の両端縁に沿ってそれぞれ接着面を設け、前記幹線巻付片には幅方向両側縁に前記接着面を設けていると共に、前記各枝線巻付片には前記横スリット反対側の外側縁に前記接着面を設けており、
ワイヤハーネスの幹線に前記幹線巻付片の両側を折り返して巻き付けると共に、前記枝線に前記枝線巻付片を前記横スリットの端縁側から巻き付け、巻き付け状態で前記接着面で接着するものであるワイヤハーネス分岐部の保護シートを提供している。
【0009】
前記のように、本発明の保護シートは、横長なシートに長さ方向一端の中間部から横向きT字状のスリットを入れ、該T字状のスリットの横スリットで一対の枝線巻付片を分離して設けると共に、該枝線巻付片と幹線巻付片とを分岐位置で縦スリットにより分離している。
該保護シートの幹線巻付片に幹線を載せ、枝線巻付片にそれぞれ枝線を載せ、各枝線巻付片を枝線の外周に横スリット側の端縁から巻き付けていくと、幹線巻付片側と縦スリットにより分離されているため、幹線との分岐点から捩れを発生させずに無理なく巻き付けることができる。かつ、巻き付け後に枝線巻付片の外縁側に設けた接着面を巻き付けた部分の外周面に押し当てることで巻き付け状態に接着保持できる。一方、幹線巻付片は幅方向両側の一対の枝線巻付片の巻き付け時に、幅方向の両側端から互いに突き合わせ状態で二つ折りにされ、幹線を上下両側部で挟む状態で巻き付けることができる。
このように、横スリットの先端に縦スリットをT字状に設け、枝線巻付片を分離して設けると共に、これら枝線巻付片と幹線巻付片を境界ラインで前記縦スリットで一部分離しているため、分岐点から枝線巻付片および幹線巻付片を捩れを発生させることなくスムーズに巻き付けることができ、かつ、分岐点を含めて電線が外部に露出する隙間を発生させないように巻き付けることできる。
【0010】
また、各枝線巻付片は他の枝線巻付片および幹線巻付片と前記縦スリットおよび横スリットで分離しているため、枝線に枝線巻付片を巻き付けた後に分岐点から所要角度で無理なく開いて、Y字分岐、T字分岐とすることができると共に、開いた状態でも分岐点に隙間が発生せず、分岐点での電線の露出を防止できる。即ち、2本の枝線を幹線からY字分岐で分岐させることができ、かつ、一方の枝線を幹線と略直線状に配置し、他方の枝線を直角方向に配置することでT字分岐とすることができる。
【0011】
前記横スリットの形成位置は、幹線から分岐する2本の枝線の外径に対応させ、各枝線の全周に前記2つの各枝線巻付片が巻き付けられる幅となるように設定している。
また、枝線巻付片の長さは枝線が必要とする長さとし、幅方向の両側に設ける一対の枝線巻付片の長さを相違させることも容易にできる。例えば、枝線端末まで枝線巻付片を延在させると、テープ巻きしたり、チューブに通す等の他の外装を不要にできる。
【0013】
また、前記縦スリットの先端に亀裂防止用の小径円形穴を設けていることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明は前記保護シートを分岐部に巻き付けているワイヤハーネスを提供している。
【発明の効果】
【0015】
前記のように、本発明に係わるワイヤハーネス分岐部の保護シートによれば、矩形状の保護シートに長さ方向の一端の中間部から横向きT字状のスリットを設け、各枝線巻付片と幹線巻付片を分岐部分では分離しているため、各枝線巻付片および幹線巻付片を分岐部で捩れを発生することなくきっちりと巻き付けることができる。その結果、分岐部で隙間が発生せず、電線の露出を防止でき、かつ、枝線同士及び枝線と幹線とを任意の角度で開くように曲げても分岐部で電線が露出せず、Y字分岐およびT字分岐等に共用で用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の保護シートでワイヤハーネスのY字分岐部を保護した状態を示す斜視図である。
図2】前記保護シートを展開した状態の平面図である。
図3】(A)〜(F)は保護シートの巻付手順を説明する図面である。
図4】(A)(B)は第1変形例を示す図面である。
図5】第2変形例の保護シートの平面図である。
図6】第3変形例の保護シートの平面図である。
図7】従来例の保護シートの平面図である。
図8】(A)〜(F)は前記従来例の保護シートの巻付手順を示す図面である。
図9】前記従来例の問題点を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3に実施形態を示す。
本実施形態は車両に配索するワイヤハーネス1のY字の分岐部P−1に保護シート2を巻き付けて保護している。
【0018】
保護シート2は図2に示す形状で、樹脂製(本実施形態では塩化ビニル製)の可撓性を有する矩形状のシートからなり、該シートは帯状の連続シートを切断して所要の長さとしている。該保護シート2の長さをLa、幅をLbとし、La>Lbとしている。
【0019】
保護シート2は長さ方向(X)の一端の幅方向(Y)の中央位置から、長さ方向の所要位置(本実施形態では略中央位置)まで1本の長さ方向の横スリット5を設け、該横スリット5の長さ寸法をs1とし、s1=1/2・Laとしている。該横スリット5の先端に幅方向の両側に向けて図中上下の縦スリット6、7を設けている。即ち、保護シート2には長さ方向の一端から保護シート2の一半側部にT字状の切り込みを入れ、横スリット5により保護シート2の半側部2aを幅方向に2分割している。このように、半側部2aに幅方向寸法s2の2個の枝線巻付片10、11を設け、保護シート2の他半側部2bからなる1つの幹線巻付片12を設け、合計3つの巻付片10、11、12を設けている。枝線巻付片10、11は長さがs1、幅がs2であり、幹線巻付片12は長さがs1で幅が2s2(Lb)である。
【0020】
ワイヤハーネス1の幹線21から枝線22、23がY字状に分岐する分岐部P−1に対して、前記枝線巻付片10を枝線22、枝線巻付片11を枝線23への巻付片とし、巻付片12を幹線21への巻付片としている。
なお、枝線巻付片10、11の長さs1は、枝線22、23の端末まで巻き付ける長さとしてもよく、その場合には枝線22、23に他の外装材(粘着テープ、丸チューブ、コルゲートチューブ等)の外装を不要とできる。かつ、枝線22、23への巻付長さが相違する場合には、枝線巻付片10、11の長さを相違させている。
【0021】
また、保護シート2の一面(内面)の幅方向の両端縁に長さ方向の全長に接着剤を塗布した接着面8、9を設けている。接着面8は枝線巻付片10の一端(上端)に延在し、接着面9は枝線巻付片11の他端(下端)に延在し、幹線巻付片12の両端に接着面8、9が連続している。これら接着面8、9には剥離シート(図示せず)を貼り付けておくことが好ましい。
【0022】
前記保護シート2をワイヤハーネス1の幹線21から2本の枝線22、23がY字状に分岐した分岐部P−1に巻き付ける手順について、図3を参照して説明する。
【0023】
まず、図3(A)に示すように、保護シート2の接着面8、9を上面として作業台(図示せず)上に載置し、該保護シート2上に、ワイヤハーネス1の幹線21を幹線巻付片12上に載せると共に、枝線22を枝線巻付片10上に、枝線23を枝線巻付片11上に載せる。
【0024】
ついで、図3(B)に示すように、枝線巻付片10は幹線巻付片12と縦スリット6で分離されているため、横スリット5に沿った端縁から枝線22に巻き付けることができ、巻き付け部分の外面に接着面8を押し当てて固着する。これにより、枝線22を分岐部P−1から枝線22の所要長さ位置まで枝線巻付片10で全周を覆って保護する。
【0025】
枝線巻付片10と接着面8を設けた幅方向の端縁で連続する幹線巻付片12の幅方向の一方側は、枝線巻付片10の枝線22への巻き付け時に連続して内方に折り返された状態となる。よって、幹線21の電線群のうち、枝線22へと分岐する電線21aに折り返される上側部12bをかぶせ、接着面8を電線21aまたは幹線巻付片12の中央の下側部12aに押し当てて接着固定する。
【0026】
また、図3(C)に示すように、他方の枝線巻付片11は幹線巻付片12と縦スリット7で分離されているため、横スリット5に沿った端縁から枝線23に巻き付けることができ、巻付部分の外面に接着面9を押し当てて固着し、枝線23を枝線巻付片11で巻き付けて保護する。
【0027】
枝線巻付片11を枝線23に巻き付けると、枝線巻付片11と接着面9を設けた幅方向の端縁で連続する幹線巻付片12の幅方向の他方側は、枝線巻付片11の枝線23への巻き付け時に連続して内方に折り返された状態となる。よって、幹線21の電線群のうち、枝線23へと分岐する電線21bに折り返される上側部12cをかぶせ、接着面9を電線21bまたは幹線巻付片12の中央の下側部12aに押し当てて接着固定する。これにより、図3(D)に示す状態となる。
【0028】
前記のように、枝線22に枝線巻付片10、枝線23に枝線巻付片11をそれぞれ巻き付け、巻付状態で接着面8、9で固着する。かつ、図3(D)に示すように、幹線21に対しては、電線21aを折り返される上側部12bと下側部12aで挟み込んで接着面8で固着すると共に、電線21bを折り返される上側部12cと下側部12aで挟み込んで接着面9で固着する。
【0029】
ついで、図3(E)および(F)に示すように、幹線巻付片12を巻き付けた幹線21は、上側部12bで覆った部分と上側部12cで覆った部分を図3(D)中に矢印で示すように二つ折りして重ねる。この重ね状態で、接着面8、9を下側部12aに貼り合わせた部分は内部側に位置する。この状態で幹線巻付片12に粘着テープ18を巻き付ける。該状態で、前記貼り合わせ部は内方に隠れると共に粘着テープ18で覆われ、隙間が外部に露出することはない。
なお、幹線21に被せた上側部12b、12cを折り返して重ねずに、そのままの状態としてもよい。
また、枝線22、23に巻き付けた枝線巻付片10、11を枝線端末に接続するコネクタの根元位置まで巻き付ける場合は、図示のように、粘着テープで枝線巻付片10、11の先端を巻き付けていない。コネクタの根元位置まで枝線巻付片10、11の先端が達してない場合は、粘着テープを巻き付けることが好ましい。
【0030】
最後に、枝線巻付片10、11をそれぞれ巻き付けた枝線22、23は、幹線巻付片12を巻き付けた幹線21に対して、分岐点P0を支点として、図1に示すように、所要角度θで開いてY字状に分岐させる。その際、横スリット5の切り込み先端に縦スリット6、7を設けているため、枝線巻付片10、11を分岐点P0の先端まで、それぞれ枝線22、23に巻き込むことができ、分岐点P0で枝線22と23を大きな角度で開いても、分岐点P0まで枝線巻付片10、11が確実に巻き付けられているため隙間はなく、枝線の露出を防止できる。かつ、幹線巻付片12を巻き付ける幹線21も、幹線巻付片12の折り返した上側部12b、12cを下側部12aに分岐点P0の先端までしっかりと接着しているため、幹線21を幹線巻付片12で確実に覆って露出させない。
よって、分岐点P0に粘着テープを巻き付けて電線群の露出を防止する必要は無いが、横スリット5と縦スリット6、7の交点に当たる分岐点P0に粘着テープ19を巻き付けてスリット5〜7の亀裂を防止している。
【0031】
前記のように、1枚の矩形状の保護シート2に、横スリット5の先端に縦スリット6、7を連続させてT字状のきり込みを設け、枝線22、23に巻き付ける枝線巻付片10、11と幹線21に巻き付ける幹線巻付片12とを分離しているため、枝線22、23に枝線巻付片10、11を分岐点P0まで保護シートに捩れを発生させずに巻き付けることができる。かつ、枝線22、23、幹線21にそれぞれ枝線巻付片10、11、幹線巻付片12を巻き付けた後に、分岐点P0を支点として枝線22、23を所要角度に広げても、前記縦スリット6、7があるため、保護シート2に捩れを発生させずに枝線を屈曲でき、かつ、所要角度に広げても分岐点P0に電線が露出する隙間が発生しない。
【0032】
図4(A)(B)に第1変形例を示す。
該第1変形例では、T字状の分岐部P−2を保護シート2で覆って保護している。
T字状の分岐部P−2では、前記第1実施形態の枝線22、23の一方、例えば、枝線22が分岐位置を挟んで幹線21と連続する幹線21−Aとなり、該幹線21−Aを枝線巻付片10に載せて、第1実施形態の枝線22と同様に枝線巻付片10を巻き付ける。
巻き付け後に、巻付片12、11を巻き付けて連続させた幹線21と21−Aの分岐部P−2から、前記幹線と垂直方向に枝線巻付片11を巻き付けた枝線23を突出させている。これにより、T字状の分岐部P−2に保護シート2を巻き付けて、電線の露出なく保護している。
【0033】
図5に第2変形例を示す。
第2変形例は、幹線21からY字状に分岐する枝線22、23の太さが相違し、枝線22は枝線23より太い。また、保護シート2で保護する領域の長さが相違し、枝線22の枝線巻付片10の長は枝線23の枝線巻付片11より長い。
第2変形例の保護シート2では、横スリット5を入れる位置を相違させ、枝線22に巻き付ける枝線巻付片10の幅を枝線23に巻き付ける枝線巻付片11の幅より大とし、かつ、枝線巻付片10の長さを枝線巻付片11より長くしている。
枝線巻付片10、11、幹線巻付片12の枝線22、23、幹線21への巻き付け手順および作用効果は第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
図6に第3変形例を示す。
第3変形例は、保護シート2の縦スリット6、7の先端に小径の丸穴6h、7hを設け、スリット先端からの亀裂発生を予防している。他の構成および保護シートの分岐部への巻き付け手順は実施形態と同様であるため説明を省略する。
【符号の説明】
【0035】
1 ワイヤハーネス
2 保護シート
5 横スリット
6、7 縦スリット
8、9 接着面
10、11 枝線巻付片
12 幹線巻付片
18、19 粘着テープ
22、23 枝線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9