(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような風呂追い焚き回路からの戻り湯と貯湯タンク下部からの湯水とを混合する混合弁を備えた構成の給湯装置において、本出願人は、風呂追焚運転時に、風呂追い焚き回路からの戻り湯と貯湯タンク下部からの湯水とを混合弁により混合することによりヒートポンプユニットへの入水温度を下げながら、沸上熱交換器により沸き上げた出湯水を貯湯タンク上部を介して風呂追い焚き回路に供給することによって、ヒートポンプユニットの沸き上げ効率を向上できる給湯装置を考えた。なお、この給湯装置は、この発明を理解しやすくするために説明するものであって、公知技術ではなく、従来技術ではない。
【0005】
しかしながら、上記風呂追い焚き回路からの戻り湯と貯湯タンク下部からの湯水とを混合弁により混合しながら風呂追焚運転を行う給湯装置では、混合弁による混合をせずに風呂追焚運転を行う場合よりも追焚熱交換器に供給される流量が少なくなるため、風呂水との熱交換の効率が悪くなって風呂追い焚き能力が低下するという問題がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、風呂追焚運転時に沸上熱交換器の出湯温度を制御することにより、風呂追い焚き能力の低下を防止できる給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の給湯装置は、
貯湯タンクと、
上記貯湯タンクの下部から沸上熱交換器を介して上記貯湯タンクの上部に接続された沸き上げ回路と、
上記貯湯タンクの上部から追焚熱交換器を介して上記沸上熱交換器の入水側に接続された風呂追い焚き回路と、
上記沸き上げ回路に配設された沸き上げポンプと、
上記貯湯タンク内の湯水を上記沸上熱交換器により沸き上げるヒートポンプユニットと、
上記沸上熱交換器の出湯温度を検出する出湯温度センサと、
上記沸き上げポンプおよび上記ヒートポンプユニットを制御する制御装置と
を備え、
上記制御装置は、上記沸き上げポンプおよび上記ヒートポンプユニットを制御して、上記貯湯タンク
内の上部と上記追焚熱交換器と上記沸上熱交換器を介して上記沸き上げポンプにより湯水を循環させて風呂の追い焚きをする風呂追焚運転を行うとき、上記出湯温度センサにより検出される上記沸上熱交換器の出湯温度を、上記貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸上運転時における上記沸上熱交換器の
沸上目標出湯温度よりも低く
し、かつ、上記沸上運転時よりも上記追焚熱交換器への循環流量を増やすことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、制御装置により沸き上げポンプおよびヒートポンプユニットを制御して、貯湯タンクと追焚熱交換器と沸上熱交換器を介して沸き上げポンプにより湯水を循環させて風呂の追い焚きをする風呂追焚運転を行うとき、出湯温度センサにより検出される沸上熱交換器の出湯温度を、貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸上運転時における沸上熱交換器の出湯温度よりも低くする。これにより、風呂追焚運転時の沸上熱交換器の出湯水の湯量が増えることによって、追焚熱交換器に供給される湯量が増えるので、沸上熱交換器の出湯温度をある程度低くしても追焚熱交換器における熱交換効率が向上する。このように風呂追焚運転時に沸上熱交換器の出湯温度を制御することにより、風呂追い焚き能力の低下を防止できる。
【0009】
また、一実施形態の給湯装置では、
上記制御装置は、上記風呂追焚運転時に、上記出湯温度センサにより検出される出湯温度が、上記沸上運転時の
上記沸上目標出湯温度よりも低くなるように、上記沸き上げポンプの回転数を制御する。
【0010】
上記実施形態によれば、風呂追焚運転時に、出湯温度センサにより検出される出湯温度が、沸上運転時の沸上目標出湯温度よりも低くなるように、制御装置により上記沸き上げポンプの回転数を制御するので、追焚熱交換器における熱交換に適した沸上熱交換器の出湯温度に正確に制御することが可能になる。
【0011】
また、一実施形態の給湯装置では、
上記制御装置は、上記沸き上げポンプを予め設定された回転数で駆動することにより、上記風呂追焚運転時に上記出湯温度センサにより検出される上記沸上熱交換器の出湯温度を、上記沸上運転時の上記沸上熱交換器の
上記沸上目標出湯温度よりも低くする。
【0012】
上記実施形態によれば、制御装置により沸き上げポンプを予め設定された回転数で駆動することにより、風呂追焚運転時に出湯温度センサにより検出される沸上熱交換器の出湯温度を、沸上運転時の沸上熱交換器の
沸上目標出湯温度よりも低くすることが簡単な制御で可能になる。
【0013】
また、一実施形態の給湯装置では、
上記風呂追焚運転時に、上記貯湯タンクの上部から上記追焚熱交換器を介して戻る湯水と上記貯湯タンクの下部からの湯水とを混合して上記沸上熱交換器に入水する混合弁を備えた。
【0014】
上記実施形態によれば、風呂追焚運転時に、貯湯タンクの上部から追焚熱交換器を介して戻る湯水と貯湯タンクの下部からの湯水とを混合弁により混合して、混合弁から沸上熱交換器に混合水を供給することによって、ヒートポンプユニットの沸上熱交換器への入水温度を下げながら、沸上熱交換器により沸き上げた出湯水を貯湯タンクの上部を介して風呂追い焚き回路に供給するので、ヒートポンプユニットの沸き上げ効率を向上できる。
【0015】
また、一実施形態の給湯装置では、
上記制御装置は、上記風呂追焚運転時に、上記沸上熱交換器の入水温度と上記風呂追い焚き回路の戻り湯の温度と上記風呂の浴槽内の湯の風呂温度の少なくとも1つに基づいて、上記混合弁を制御する。
【0016】
上記実施形態によれば、沸上熱交換器の入水温度と風呂追い焚き回路の戻り湯の温度と風呂の浴槽内の湯の風呂温度の少なくとも1つに基づいて混合弁を制御して、混合弁により風呂追い焚き回路の戻り湯に貯湯タンク内の下部からの湯水を混合することで、風呂追い焚き能力の低下を防止しつつヒートポンプユニットの沸き上げ効率が向上するように、沸上熱交換器の入水温度を最適な温度に下げることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上より明らかなように、この発明によれば、風呂追焚運転を行うときに、出湯温度センサにより検出される沸上熱交換器の出湯温度を、貯湯タンク内の湯水を沸き上げる沸上運転時における沸上熱交換器の出湯温度よりも低くなるように、沸上熱交換器の出湯温度を制御することにより、風呂追い焚き能力の低下を防止できる給湯装置を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の給湯装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0020】
〔第1実施形態〕
図1はこの発明の第1実施形態のヒートポンプ式の給湯装置の配管系統図を示している。
【0021】
この給湯装置は、
図1に示すように、貯湯ユニット1と、上記貯湯ユニット1に接続されたヒートポンプユニット2を備えている。上記貯湯ユニット1は、貯湯タンク3と、沸上熱交換器10と、追焚熱交換器20と、制御装置100(
図2に示す)等を有する。
【0022】
上記貯湯タンク3の下部に配管L1の一端を接続し、配管L1の他端を混合弁の一例としての沸上用混合弁50の第1入水ポートに接続している。上記沸上用混合弁50の出水ポートに配管L2の一端を接続し、配管L2の他端を沸上熱交換器10の一端に接続している。また、上記沸上熱交換器10の他端を配管L3の一端に接続し、配管L3の他端を貯湯タンク3の上部に接続している。上記配管L2に沸き上げポンプの一例としての沸上用循環ポンプP1を配設している。
【0023】
上記配管L1,配管L2,沸上熱交換器10,配管L3で沸き上げ回路を構成している。
【0024】
上記沸上用混合弁50の第1入水ポート側(貯湯タンク3側)の開度を全開にした状態で沸上用循環ポンプP1を駆動することにより、貯湯タンク3内の湯水を、配管L1,沸上用混合弁50,配管L2,沸上熱交換器10,配管L3を介して循環させる。
【0025】
また、上記沸上熱交換器10を冷媒配管L4,L5を介してヒートポンプユニット2に接続している。上記ヒートポンプユニット2は、HFC冷媒を用いており、沸上熱交換器10からの出湯温度を例えば50℃〜70℃の範囲で制御することが可能である。このヒートポンプユニット2に用いられるHFC冷媒としては、R32、R125、R134a、R404A、R410A、R407Cなどがある。
【0026】
次に、上記貯湯タンク3の下部に配管L11を介して外部の給水管を接続している。この配管L11に、減圧弁11と逆止弁12を上流側から順に配設している。この逆止弁12は、給水管側から貯湯タンク3側への流れのみを許容する。
【0027】
また、上記貯湯タンク3の上部に配管L21の一端を接続し、配管L21の他端を追焚熱交換器20の1次側の入水ポートに接続している。上記追焚熱交換器20の1次側の出水ポートに配管L22の一端を接続し、配管L22の他端を沸上用混合弁50の第2入水ポートに接続している。
【0028】
上記配管L21,追焚熱交換器20,配管L22で風呂追い焚き回路を構成している。
【0029】
上記沸上用混合弁50の第2入水ポート側(風呂追い焚き回路側)の開度を全開にした状態で沸上用循環ポンプP1を駆動することにより、貯湯タンク3内の上部の湯水を、配管L21,追焚熱交換器20(1次側),配管L22,沸上用混合弁50,配管L2,沸上熱交換器10,配管L3を介して循環させる。
【0030】
また、上記貯湯タンク3の上部に配管L31の一端を接続し、配管L31の他端を給湯用混合弁22の第1入水ポートに接続している。上記配管L31に、貯湯タンク3側から給湯用混合弁22への流れのみを許容する逆止弁21を配設している。また、給湯用混合弁22の第2入水ポートに、分岐配管L12の一端を接続し、分岐配管L12の他端を、配管L11の減圧弁11と逆止弁12の間に接続している。上記分岐配管L12に、配管L11側から給湯用混合弁22への流れのみを許容する逆止弁23を配設している。
【0031】
そして、上記給湯用混合弁22の出水ポートに配管L32の一端を接続し、配管L32の他端を給湯栓60(この実施形態では蛇口)に接続している。上記配管L32に水量センサ24を配設している。
【0032】
上記分岐配管L12と配管L31と配管L32と逆止弁21と給湯用混合弁22と逆止弁23および水量センサ24で給湯回路を構成している。
【0033】
また、上記配管L32の水量センサ24の上流側に配管L33の一端を接続し、配管L33の他端を、浴槽4に設けられた接続アダプタ9の給湯口9aに接続している。この配管L33の上流側から順に、湯張り用電磁弁25と、逆止弁26と、水量センサ27と、逆止弁28を配設している。この逆止弁26,28は、給湯用混合弁22側から浴槽4への流れのみを許容する。
【0034】
上記配管L33と湯張り用電磁弁25と逆止弁26,28および水量センサ27で、給湯回路の配管L32から分岐して浴槽4に接続された風呂給湯回路を構成している。
【0035】
上記接続アダプタ9の追焚用吸水口9bに配管L35の一端を接続し、配管L35の他端を追焚熱交換器20の2次側の入水ポートに接続している。上記配管L35に風呂用循環ポンプP2を配設している。また、配管L33の水量センサ27よりも下流側に配管L34の一端を接続し、配管L34の他端を追焚熱交換器20の2次側の出水ポートに接続している。
【0036】
上記風呂用循環ポンプP2により、浴槽4内の湯水を、配管L35,追焚熱交換器20(2次側),配管L34,配管L33(一部)を介して循環させる。
【0037】
上記配管L35,追焚熱交換器20(2次側),配管L34,配管L33(一部)で風呂循環回路を構成している。
【0038】
さらに、上記配管L21に配管L41の一端を接続し、配管L41の他端を排水口に接続している。また、上記配管L41に逃し弁31を配設している。
【0039】
上記貯湯タンク3には、下側から上側に向かって略等間隔に4つの温度センサT1〜T4を設けている。また、配管L2に入水温度を検出する温度センサT11を設けると共に、配管L3に出湯温度を検出する温度センサT12を設けている。この温度センサT11は、入水温度センサの一例であり、温度センサT12は、出湯温度センサの一例である。
【0040】
また、沸上熱交換器10に温度センサT13を設けている。また、給湯栓60に接続された配管L32には、水量センサ24よりも下流側に給湯温度を検出する温度センサT21を設けている。また、浴槽4に接続された配管L35には、浴槽4側の接続アダプタ9と風呂用循環ポンプP2との間に、水位センサLSと、水流スイッチSWと、温度センサT23を接続アダプタ9側から順に設けている。さらに、浴槽4に接続された配管L33の逆止弁28の下流側でかつ配管L33と配管L34との接続点に、浴槽4に供給される給湯水の温度を検出する温度センサT22を設けている。
【0041】
また、
図2は上記給湯装置の制御ブロック図を示している。この給湯装置は、
図2に示すように、マイクロコンピュータと入出力回路などからなる制御装置100と、上記制御装置100との間で信号を送受信するリモートコントローラ200とを備えている。上記制御装置100は、温度センサT1〜T4,T11〜T13,T21〜T23と水位センサLSと水流スイッチSWと水量センサ24,27と外気温度センサ(図示せず)およびリモートコントローラ200などからの信号を受けて、ヒートポンプユニット2と沸上用循環ポンプP1と風呂用循環ポンプP2と給湯用混合弁22と湯張り用電磁弁25と沸上用混合弁50などを制御する。
【0042】
また、上記制御装置100は、貯湯タンク3内の湯水を沸き上げる運転を制御する沸上制御部100aと、給湯栓60への給湯温度を制御する給湯制御部100bと、「風呂湯張り運転」などを含む浴槽4への注湯運転を制御する風呂注湯制御部100cと、「風呂追焚運転」を制御する風呂追焚制御部100dとを有する。
【0043】
<給湯運転>
上記構成の給湯装置において、給湯栓60への給湯温度を制御する「給湯運転」では、貯湯タンク3の上部から出湯された湯水と外部の給水管から配管L11,L12を介して供給される水を給湯用混合弁22で混合することによって、給湯栓60において、所望の温度の温水を供給する。このとき、制御装置100の給湯制御部100bにより、温度センサT21により検出された給湯温度が給湯設定温度になるように、給湯用混合弁22の混合比率を制御する。
【0044】
<沸上運転>
上記ヒートポンプユニット2により貯湯タンク3内の湯水を沸き上げる「沸上運転」では、制御装置100の沸上制御部100aにより、沸上用混合弁50の第1入水ポート側(貯湯タンク3側)の開度を全開にした状態で沸上用循環ポンプP1を運転して、貯湯タンク3内の湯水を、配管L1,沸上用混合弁50,配管L2,沸上熱交換器10,配管L3を介して循環させる。
【0045】
上記沸上制御部100aは、沸上運転時、温度センサT12により検出された出湯温度が沸上目標出湯温度TS1になるように、ヒートポンプユニット2と沸上用循環ポンプP1を制御する。ここで、沸上目標出湯温度TS1は、貯湯タンク3から給湯される湯量などに基づいて制御装置100で算出される。例えば、使用される湯量が多い場合、沸上目標出湯温度TS1は例えば70℃と高くなり、使用される湯量が少ない場合、沸上目標出湯温度TS1は例えば50℃と低くなる。
【0046】
<風呂湯張り運転>
次に、上記貯湯タンク3から風呂の浴槽4内に給湯する「風呂湯張り運転」を行う場合、制御装置100の風呂注湯制御部100cにより湯張り用電磁弁25を開いて、貯湯タンク3内の湯を給湯用混合弁22と風呂給湯回路(L33,25,26,27,28)を介して浴槽4内に供給する。このとき、風呂注湯制御部100cは、給湯用混合弁22を制御して、目標設定温度に基づいて、貯湯タンク3からの高温の湯と外部からの給水とを混合すると共に、水位センサLSにより検出された浴槽4内の水位が設定水位になると、湯張り用電磁弁25を閉じる。
【0047】
<風呂追焚運転>
次に、上記貯湯タンク3から風呂の浴槽4内の湯を追い焚きする「風呂追焚運転」を行う場合、制御装置100の風呂追焚制御部100dにより、湯張り用電磁弁25を閉じた状態で風呂用循環ポンプP2を運転して、浴槽4内の湯を、配管L35,追焚熱交換器20(2次側),配管L34,配管L33(一部)を介して循環させる。
【0048】
そして、温度センサT23により検出された浴槽4内の湯の風呂温度に基づいて、風呂追焚制御部100dは、ヒートポンプユニット2を用いずに貯湯タンク3内の湯を熱源とする風呂追焚運転を行うか、または、貯湯タンク3の熱量だけでは足らないときにヒートポンプユニット2を用いて風呂追焚運転を行う。
【0049】
上記風呂追焚運転では、沸上熱交換器10からの湯を沸上用循環ポンプP1により貯湯タンク3と沸き上げ回路(L1,L2,10,L3)と風呂追い焚き回路(L21,20,L22)を介して循環させて風呂の追い焚きを行う。
【0050】
以下、
図3,
図4に示すフローチャートに従って、制御装置100の風呂追焚制御部100dによるヒートポンプユニット2を用いた風呂追焚運転の動作を説明する。
【0051】
まず、風呂追焚運転の処理がスタートすると、
図3に示すステップS1で追い焚き要求があるか否かを判定して、追い焚き要求があると判定すると、ステップS2に進む。この追焚運転は、ユーザーがリモートコントローラ200のボタンを押すことで要求されるか、または、風呂保温中に略定期的に要求される。
【0052】
次に、ステップS2で風呂用循環ポンプP2をオンする。
【0053】
次に、ステップS3に進み、沸上用混合弁50の風呂追い焚き回路側(第2入水ポート側)の開度を全開にする。
【0054】
次に、ステップS4に進み、ヒートポンプユニット2をオンして、ステップS5に進み、沸上用循環ポンプP1をオンする。
【0055】
次に、ステップS6に進み、温度センサT12により出湯温度を検出する。
【0056】
次に、ステップS7に進み、出湯温度が追焚目標出湯温度TS2(この実施の形態では55℃)になるように、沸上用循環ポンプP1の回転数を制御する。
【0057】
ここで、貯湯タンク3内の湯水を沸き上げる沸上運転時の沸上目標出湯温度をTS1とするとき、追焚目標出湯温度TS2は、
追焚目標出湯温度TS2 = 沸上目標出湯温度TS1−10℃
としている。
【0058】
次に、ステップS8に進み、温度センサT23により風呂温度(浴槽4内の湯の温度)を検出する。
【0059】
そして、ステップS9で風呂温度が追焚完了温度t_stop未満であると判定すると、ステップS6に戻る一方、風呂温度が追焚完了温度t_stop以上であると判定すると、ステップS10に進む。
【0060】
そして、ステップS10で風呂用循環ポンプP2をオフして、
図4に示すステップS11に進む。
【0061】
次に、
図4に示すステップS11で温度センサT12により出湯温度を検出する。
【0062】
次に、ステップS12に進み、出湯温度が沸上目標出湯温度TS1(この実施の形態では65℃)になるように、沸上用循環ポンプP1の回転数を制御する。
【0063】
次に、ステップS13で温度センサT12により出湯温度を検出する。
【0064】
そして、ステップS14で出湯温度が沸上目標出湯温度TS1未満であると判定すると、ステップS12に戻る一方、出湯温度が沸上目標出湯温度TS1以上であると判定すると、ステップS15に進む。
【0065】
そして、ステップS15でヒートポンプユニット2をオフして、ステップS16に進み、沸上用循環ポンプP1をオフして、この風呂追焚運転の処理を終了する。
【0066】
なお、風呂追焚運転中に温度センサT4により貯湯タンク3内の上部の湯温が所定温度以下になって、追焚熱交換器20へ供給される湯水の温度が追い焚きできないほど下がってしまったときは、風呂追焚運転を終了する。
【0067】
また、追焚目標出湯温度TS2は、(沸上目標出湯温度TS1−10℃)に限らず、風呂温度または沸上熱交換器10の入水温度に基づいて、例えば、(風呂温度+10℃)または(沸上熱交換器10の入水温度+10℃)となるように決定してもよく、あるいは、風呂温度と沸上熱交換器10の入水温度の両方に基づいて決定してもよい。この追焚目標出湯温度TS2を(風呂温度+10℃)とした場合、風呂温度が変わっても、必ず風呂温度よりも+10℃高い出湯水を貯湯タンク3内の上部に戻すので、貯湯タンク3内の上部の湯水により浴槽4内の湯水を追い焚きすることができる。
【0068】
また、このときの追焚目標出湯温度TS2の下限を45℃とすることにより、貯湯タンク3内の上部の湯水が冷めるのを防止できる。あるいは、沸上用循環ポンプP1の回転数の下限値を例えば2000rpmとすることにより、循環流量が少なくなり過ぎるのを防止できる。
【0069】
図5は上記給湯装置において、ヒートポンプユニット2を用いた風呂追焚運転時の出湯温度と入水温度および風呂温度の変化を示している。
図5において、実線で示す曲線はこの第1実施形態の温度変化を示し、点線で示す曲線は第1比較例の温度変化を示している。この第1比較例は、風呂追焚運転時の出湯温度を沸上目標出湯温度TS1として低下しない場合を示している。
【0070】
図5に示すように、風呂追焚運転を開始して、ヒートポンプユニット2と沸上用循環ポンプP1および風呂用循環ポンプP2をオンすると、沸上熱交換器10からの出湯水が沸き上げ回路と風呂追い焚き回路を循環することにより、風呂温度が上昇する。この風呂温度の上昇に伴って、沸上熱交換器10の入水温度も上昇していく。ここで、沸上熱交換器10の出湯温度は、沸上用循環ポンプP1の回転数を制御することにより、沸上目標出湯温度TS1よりも低い追焚目標出湯温度TS2に達して安定する。
【0071】
上記第1比較例では、出湯温度が沸上目標出湯温度TS1になるように沸上用循環ポンプP1の回転数をフィードバック制御している。
【0072】
上記給湯装置では、
図5の領域A1に示すように、第1比較例の場合に比べて沸上熱交換器10の出湯温度は下がるが、追焚熱交換器20への循環流量が増えることによって、領域B1に示すように風呂温度の昇温が早くなる。
【0073】
なお、風呂温度が追焚完了温度t_stop以上となって追焚運転が完了した後は、制御装置100の沸上制御部100aにより、沸上運転により沸上用混合弁50の第1入水ポート側(貯湯タンク3側)の開度を全開にした状態で、
図5の領域C1に示すように出湯温度が沸上目標出湯温度TS1になるように、ヒートポンプユニット2と沸上用循環ポンプP1を制御して、貯湯タンク3内の湯水を、配管L1,沸上用混合弁50,配管L2,沸上熱交換器10,配管L3を介して循環させて、貯湯タンク3の下部の湯水を沸き上げる。
【0074】
この第1実施形態において、沸上用混合弁50の第2入水ポート側(風呂追い焚き回路側)の開度を全開にした状態で風呂追焚運転を行うとき、例えば、沸上目標出湯温度TS1を65℃とし、追焚目標出湯温度TS2を55℃とするとき、沸上熱交換器10の入水温度と出湯温度と追焚熱交換器20への循環流量および沸上用循環ポンプP1の回転数の関係の一例を表1に示す。
【0076】
このように、沸上熱交換器10の出湯温度を下げることにより追焚熱交換器20への循環流量を増やすことができる。
【0077】
なお、この実施形態では、貯湯タンク3内の湯水を、配管L1,沸上用混合弁50,配管L2,沸上熱交換器10,配管L3を介して循環させる沸上運転において、入水温度10℃、沸上目標出湯温度TS1を65℃とするとき、沸上用循環ポンプP1の回転数は1000rpmである。
【0078】
上記構成の給湯装置によれば、風呂追焚運転時に、制御装置100により沸上用循環ポンプP1およびヒートポンプユニット2を制御して、貯湯タンク3と追焚熱交換器20と沸上熱交換器10を介して沸上用循環ポンプP1により湯水を循環させて風呂の追い焚きをする風呂追焚運転を行うとき、温度センサT12(出湯温度センサ)により検出される沸上熱交換器10の出湯温度を、貯湯タンク3内の湯水を沸き上げる沸上運転時における沸上熱交換器10の出湯温度(この実施形態では沸上目標出湯温度TS1)よりも低くする。これにより、風呂追焚運転時の沸上熱交換器10の出湯水の湯量が増えることによって、追焚熱交換器20に供給される湯量が増えるので、沸上熱交換器10の出湯温度をある程度低くしても追焚熱交換器20における熱交換効率が向上する。このとき、貯湯タンク3内の上部には高温の湯水が溜まっているため、沸上熱交換器10の出湯温度を制御して下げても、風呂追い焚き能力の低下を防止することができる。
【0079】
また、風呂追焚運転時に、温度センサT12により検出される出湯温度が、沸上運転時の沸上目標出湯温度TS1よりも低くなるように、制御装置100により上記沸上用循環ポンプP1の回転数を制御するので、追焚熱交換器20における熱交換に適した沸上熱交換器10の出湯温度に正確に制御することが可能になる。
【0080】
なお、上記第1実施形態では、沸上用混合弁50の第2入水ポート側(風呂追い焚き回路側)の開度を全開にした状態で風呂追焚運転を行ったが、沸上用混合弁50において追焚熱交換器20からの戻り湯と貯湯タンク3の下部からの湯水とを混合して風呂追焚運転を行ってもよい。
【0081】
この沸上用混合弁50の開度制御を行う風呂追焚運転において、風呂追焚制御部100dは、温度センサT11により検出された沸上熱交換器10の入水温度が所定の温度範囲内になるように、沸上用混合弁50の開度を3秒間隔でフィードバック制御する。このとき、沸上用混合弁50の第2入水ポート側(風呂追い焚き回路側)の開度を全開した状態から沸上用混合弁50の第1入水ポート側(貯湯タンク3側)の開度を徐々に開いて、貯湯タンク3の下部からの湯水の混合比率を高くすることにより、沸上熱交換器10の入水温度の上昇を抑える。
【0082】
この場合、風呂追焚運転中に沸上熱交換器10の入水温度が混合開始温度t_mix以上になると、沸上用混合弁50の開度を制御して、沸上用混合弁50において追焚熱交換器20からの戻り湯と貯湯タンク3の下部からの湯水とを混合して風呂追焚運転を行う。例えば、沸上目標出湯温度TS1を65℃とし、追焚目標出湯温度TS2を55℃とし、入水温度を10℃とするとき、沸上熱交換器10の入水温度と出湯温度および追焚熱交換器20への循環流量の関係の一例を表2に示す。
【0084】
上記追焚熱交換器20からの戻り湯と貯湯タンク3の下部からの湯水とを沸上用混合弁50で混合することにより、風呂温度が上昇しても沸上熱交換器10の入水温度が上昇せずに安定し、ヒートポンプユニット2の沸き上げ効率が低下しないようにできる。このとき、沸上用混合弁50において貯湯タンク3の下部からの湯水の混合比率が増えるで、追焚熱交換器20を流れる湯の循環流量は徐々に減少するが、沸上目標出湯温度TS1(65℃)から追焚目標出湯温度TS2(55℃)に出湯温度を下げることにより、沸上用循環ポンプP1の回転数が上昇し、追焚熱交換器20への循環流量を増やすことができる。
【0085】
そうして、風呂温度が追焚完了温度t_stopに達すると、風呂用循環ポンプP2をオフすると共に、沸上運転により沸上用混合弁50の第1入水ポート側(貯湯タンク3側)の開度を全開にした状態で、出湯温度が沸上目標出湯温度TS1になるように、ヒートポンプユニット2と沸上用循環ポンプP1を制御して、貯湯タンク3の上部の湯水を沸き上げる。
【0086】
このように、風呂追焚運転時に、貯湯タンク3の上部から追焚熱交換器20を介して戻る湯水と貯湯タンク3の下部からの湯水とを沸上用混合弁50により混合して、沸上用混合弁50から沸上熱交換器10に混合水を供給することによって、ヒートポンプユニット2の沸上熱交換器10への入水温度を下げながら、沸上熱交換器10により沸き上げた出湯水を貯湯タンク3の上部を介して風呂追い焚き回路に供給するので、ヒートポンプユニット2の沸き上げ効率を向上できる。
【0087】
また、上記温度センサT12(入水温度センサ)により検出された沸上熱交換器10の入水温度に基づいて、沸上用混合弁50の開度を制御して、沸上用混合弁50により風呂追い焚き回路の戻り湯に貯湯タンク3内の下部からの湯水を混合することよって、風呂追い焚き能力の低下を防止しつつヒートポンプユニット2の沸き上げ効率が向上するように、沸上熱交換器10の入水温度を最適な温度に下げることができる。なお、沸上用混合弁50の開度は、沸上熱交換器10の入水温度に限らず、沸上熱交換器10の入水温度と風呂追い焚き回路の戻り湯の温度と風呂の浴槽内の湯の風呂温度の少なくとも1つに基づいて制御してもよい。
【0088】
〔第2実施形態〕
図6はこの発明の第2実施形態のヒートポンプ式の給湯装置の制御装置100の風呂追焚制御部100dによるヒートポンプユニットを用いた風呂追焚運転の動作を説明するフローチャートである。この第2実施形態の給湯装置は、制御装置100の動作を除いて第1実施形態の給湯装置と同一の構成をしており、
図1,
図2を援用する。
【0089】
この第2実施形態の給湯装置の風呂追焚運転の動作を
図6に示すフローチャートに従って以下に説明する。
【0090】
まず、風呂追焚運転の処理がスタートすると、
図6に示すステップS21で追い焚き要求があるか否かを判定して、追い焚き要求があると判定すると、ステップS22に進む。この追焚運転は、ユーザーがリモートコントローラ200のボタンを押すことで要求されるか、または、風呂保温中に略定期的に要求される。
【0091】
次に、ステップS22で風呂用循環ポンプP2をオンする。
【0092】
次に、ステップS23に進み、沸上用混合弁50の風呂追い焚き回路側(第2入水ポート側)の開度を全開にする。
【0093】
次に、ステップS24に進み、ヒートポンプユニット2をオンして、ステップS25に進み、沸上用循環ポンプP1をオンして所定の回転数R_bathで駆動する。
【0094】
次に、ステップS26に進み、温度センサT23により風呂温度(浴槽4内の湯の温度)を検出する。
【0095】
そして、ステップS27で風呂温度が追焚完了温度t_stop未満であると判定すると、ステップS26に戻る一方、風呂温度が追焚完了温度t_stop以上であると判定すると、ステップS28に進む。
【0096】
次に、ステップS28で風呂用循環ポンプP2をオフする。
【0097】
次に、ステップS29に進み、ヒートポンプユニット2をオフして、ステップS30に進み、沸上用循環ポンプP1をオフして、この風呂追焚運転の処理を終了する。
【0098】
ここで、沸上用循環ポンプP1の回転数R_bathは、例えば、沸上熱交換器10への入水温度によって、予めテーブル(表3に示す)で決めておく。
【0100】
図7は上記給湯装置の風呂追焚運転時の出湯温度と入水温度と風呂温度および沸上用循環ポンプP1の回転数の変化を示している。
図7において、実線で示す曲線はこの第2実施形態の温度変化を示し、点線で示す曲線は第2比較例の温度変化を示している。この第2比較例は、風呂追焚運転時の沸上用循環ポンプP1の回転数を固定せずに出湯温度が沸上目標出湯温度TS1になるようにフィードバック制御している場合を示している。
【0101】
上記給湯装置では、
図7の領域A2に示すように、第2比較例の場合に比べて沸上熱交換器10の出湯温度は下がるが、追焚熱交換器20への循環流量が増えることによって、領域B2に示すように風呂温度の昇温が早くなる。
【0102】
なお、風呂温度が追焚完了温度t_stop以上となって追焚運転が完了した後は、制御装置100の沸上制御部100aにより、沸上運転により沸上用混合弁50の第1入水ポート側(貯湯タンク3側)の開度を全開にした状態で、
図7の領域C2に示すように出湯温度が目標出湯温度TSになるように、ヒートポンプユニット2と沸上用循環ポンプP1を制御して、貯湯タンク3内の湯水を、配管L1,沸上用混合弁50,配管L2,沸上熱交換器10,配管L3を介して循環させて、貯湯タンク3の下部の湯水を沸き上げる。このとき、
図7の領域D2に示すように、出湯温度が沸上目標出湯温度TS1になるように沸上用循環ポンプP1の回転数をフィードバック制御している。
【0103】
上記制御装置100により沸上用循環ポンプP1を予め設定された回転数R_bathで駆動することにより、風呂追焚運転時に温度センサT12により検出される沸上熱交換器10の出湯温度を、沸上運転時の沸上熱交換器10の出湯温度よりも低くすることが簡単な制御で可能になる。
【0104】
上記第2実施形態の給湯装置は、第1実施形態の給湯装置と同様の効果を有する。
【0105】
この第2実施形態においても、第1実施形態の給湯装置と同様に、沸上用混合弁50において追焚熱交換器20からの戻り湯と貯湯タンク3の下部からの湯水とを混合して風呂追焚運転を行うようにしてよい。
【0106】
上記第1,第2実施形態では、沸上用混合弁50を備えた給湯装置について説明したが、混合弁に限らず、流路を切り替える流路切換弁であってもよい。この流路切換弁は、切り換える2つの入水側配管に夫々設けられた電磁弁の一方を開き、他方を閉じる構成としてもよい。
【0107】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記第1,第2実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。