(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略四角形の平板状で指で押さえることにより入力する入力部を兼ねた表示部のある表面とその反対側の裏面と前記表面と前記裏面との間の側面とを有する携帯電子端末の側面から横に突き出た棒を有し、前記棒に接合され前記側面に略平行で前記携帯電子端末を持つ手の指の甲に当たる甲当て部を有し、親指以外の指を前記携帯電子端末の裏面に当て前記親指以外の指の甲を甲当て部に当てて、前記親指以外の指の先を支点とし前記親指以外の指の甲を作用点とする梃子の原理で保持し、前記表示部に前記親指を当てて広い範囲に入力する携帯電子端末保持具。
略四角形の平板状で指で押さえることにより入力する入力部を兼ねた表示部のある表面とその反対側の裏面と前記表面と前記裏面との間の側面とを有する携帯電子端末の側面から横に突き出た棒を有し、前記棒に接合され前記側面に略平行で、前記携帯電子端末を持つ手の指の甲に当たる甲当て部を有し、前記側面から表面方向に突き出して、前記携帯電子端末の前記表面を下向きにしたときに前記携帯電子端末を持つ手の掌に当たる掌当て部を有する携帯電子端末保持具。
略四角形の平板状で指で押さえることにより入力する入力部を兼ねた表示部のある表面とその反対側の裏面と前記表面と前記裏面との間の側面とを有する携帯電子端末の側面に連結され前記携帯電子端末を持つ手の指の甲に当たるハンドベルトを有し、前記側面から表面方向に突き出して、前記携帯電子端末の前記表面を下向きにしたときに前記携帯電子端末を持つ手の掌に当たる掌当て部を有する携帯電子端末保持具。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0022】
図1〜
図5を参照して、第1の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図1は本発明の携帯電子端末保持具の第1の実施形態の表面の斜視図である。
図2は本発明の携帯電子端末保持具の第1の実施形態の裏面の斜視図である。
図3は本発明の携帯電子端末保持具の第1の実施形態の使用時の表面の斜視図である。
図4は本発明の携帯電子端末保持具の第1の実施形態の使用時の裏面の斜視図である。
図5は本発明の携帯電子端末保持具の第1の実施形態の使用時の矢示図である。各図において、携帯電子端末1の表面2には表示部3があり、この表示部3は、その全面が静電容量式の入力部を兼ねている。即ち、表示部3を指で押さえることにより入力することができる。裏面4は表面2と反対側にあり、表面2と裏面4との間には側面5a、5bなどがある。携帯電子端末1の右側の側面5aには、この側面に対して垂直に突き出ている棒、即ち表面2を上から見たときには横方向に突き出ている棒6aが取り付けられている。
図2の裏面の斜視図において点線により図示される収納部7は、携帯電子端末1の内部に設けられた長穴である。棒6aは常時固定されていると携帯電子端末1を鞄などにしまうときに邪魔になるので、使用しないときには、テーパ嵌め合いなどの固定機構を外してこの収納部7の内部にすっぽりと収納される構造になっている。携帯電子端末1を使用するときには、棒6aを収納部7から引き出して固定して使用する。
【0023】
図3及び
図4により使用時の手による握り方を説明する。携帯電子端末1を片手(
図3、
図4の場合は右手)で持つときに、手30の親指31は表面2に当てられている。掌36側の人差し指32、中指33、薬指34、小指35とは裏面に当てられている。このとき、人差し指32と中指33との間の指の股38aに棒6aが表面2側から指を挿し入れて挟まれる。このように保持し、表面2を上に、裏面4を下にした場合、表面2に当てていた親指31を離しても、携帯電子端末1が手30から落下することはない。もしも棒6aが無い場合は、人差し指32、中指33、薬指34、小指35は携帯電子端末1の重心を支えていないので、親指31を離したら携帯電子端末1は手30から落下する。棒6aを指の股38aで挟むことにより落下しない理由は、人差し指32と中指33とで棒6aをしっかりと力を入れて挟んでいるからではない。右側の側面5aに取り付けられた棒6aを指の股38aで押さえているので、親指を離したときに生じ落下の原因となる携帯電子端末1の右側の側面5aの浮き上がるのを防止することができて、その結果、落下しないのである。しかも、指の股で押さえているので、携帯電子端末1を持つ角度が多少変化して、右側の側面5aの浮き上がる方向が変わっても常に浮き上がりを押さえることができる為、安定した保持ができる。このような状態であるので、片手で持っていても、親指31は自由に動かすことが可能となる。
【0024】
図5は本発明の携帯電子端末保持具の第1の実施形態の使用時の矢示図を示す。矢示方向は
図3に示す矢印Aの方向から見たものである。手30の人差し指32、中指33、薬指、小指(図示せず)は携帯電子端末1の裏面4に当てられ、人差し指32と中指33との指の股38aにて、側面5aに取り付けられた棒6aが挟み込まれている。この状態で表面2が上向きであるときに、親指31が表面2に当てられていなくても、携帯電子端末1は少なくとも人差し指32の先端と中指33の先端と指の股38aとの三点で支えられており、手30から落下することはない。携帯電子端末1を片手に持ったまま、親指31を表面2の上方で自由に動かすことが出来る。
【0025】
このとき、親指31を伸ばして、側面5aと反対側の側面5bのほうに持ってきて、そこで表示部3を押して入力しようとすると、親指31の先の押す力で携帯電子端末1は手30から落下しようとする。ところが、この親指31の先を力点とする力は人差し指32の先と中指33の先とを支点とし、指の股38aを作用点とする梃子の働きの力となり、指の股38aにて受け止められる。即ち、親指31で表示部3の側面5b側を押しても携帯電子端末1が落ちることは無い。一方、従来の使用法では、
図12で説明したように、親指31で人差し指32や中指33よりも遠くを押すと、上記の作用点となる箇所が無いため、携帯電子端末1は落下してしまう。即ち、親指31の先で表示部の遠くを押すことは出来ない。
【0026】
このように、
図12と
図5とを比較して明らかなように、本発明では、片手で保持しながら、その親指の先で表示部のより広い箇所を押して入力動作が出来るものである。
【0027】
なお、棒6aは上記のように力が加わるものであるので、多少の力が加わっても携帯電子端末1への取り付け角度が変化したり脱落したりすることがないように固定されている必要があり、また、容易には変形しない硬いものである必要がある。そして指に挟めるぐらいの太さである必要があるので、せいぜい直径2cm以下のものである必要がある。また、棒6aが側面5aから横方向に突き出る長さに関しては、指の股38aが多少の動作では外れない程度の充分な長さが必要であり、約4cm以上の長さが必要である。更に、棒6aが携帯電子端末1に固定される固定強度(折れたり外れたりに耐える強さ)は、一般的に7インチの携帯電子端末は300g程度なので、500g程度以上の力に耐えられるものを想定している。
【0028】
また、棒6aは、側面5a側から横方向に突き出て固定されるものであればよく、収納部7に収納されるものだけではない。棒6aが外付けのものであり、収納部7に収納する替わりに、その位置にネジ式で取り付けて固定するような着脱可能なものであってもよい。また、棒6aがスリーブなどのロック機構を持ち、ロックを外すと根元で折れ曲がって携帯電子端末1の側面5aにきっちりと沿うような折りたたみ可能なものであってもよい。実際に手で持って使用する時に側面から横に突き出て固定されておれば、それで良い。
【実施例2】
【0029】
図6を参照して、第2の実施の形態の携帯電子端末保持具の使用方法について説明する。
図6は本発明の携帯電子端末保持具の第2の実施形態の使用時の裏面の斜視図である。符号は第1の実施の形態の
図1〜
図5と同様である。棒6aを挟む指の股は、第1の実施の形態のように人差し指32と中指33との指の股38aに限定されるものではない。本実施の形態では、第1の実施の形態と殆ど同様の使用方法ではあるが、棒6aは、中指33と薬指34との指の股38bによって表面2側から挟まれている。このような保持方法にすると、主には中指33の先、薬指34の先、そして中指33と薬指34との指の股38bの三点で携帯電子端末1を保持することになる。その他の人差し指32や小指35も裏面4に当てられ保持の補助をしている。
【0030】
親指31の先の届く範囲は、親指31の先と指の股との距離でほぼ決定される。一般に、親指31の先と人差し指32中指33の指の股38aとの間の距離より、親指31と中指33薬指34の指の股38bとの距離のほうが僅かに長いので、この実施の形態2のほうが、実施の形態1よりも僅かに広い範囲の表示部3での入力動作が出来ることになる。ただし、その分、掌側の各指の先には力を入れる必要が生じる。
【0031】
更なる方法として、棒6aを挟むのを、薬指34と小指35との間の指の股38cにて行うことも出来る。小指35に入れる力を強くしなければならないが、親指31を更に広範囲に使用することが出来る。
【実施例3】
【0032】
図7〜
図9を参照して、第3の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図7は本発明の携帯電子端末保持具の第3の実施形態の表面の斜視図である。
図8は本発明の携帯電子端末保持具の第3の実施形態の裏面の斜視図である。
図9は本発明の携帯電子端末保持具の第3の実施形態の挟持部の分解斜視図である。各図において第1および第2の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。携帯電子端末1自体は第1および第2の実施の形態のものと同じである。保持具は、挟持部8aと挟持部8bと棒6bとで構成されている。
【0033】
本実施例において、棒6bは単体ではペン先9を有し外側がプラスチックや木材でできた筆記具である。
図7および
図8に見るごとく、棒6bは、第一の挟持部8aと第二の挟持部8bとに保持固定されている。携帯電子端末1は第一の挟持部8aと第二の挟持部8bとの間に挟持されて固定されている。 棒6bの端部は、側面5aに対して垂直に突き出ている。即ち表面2を上から見たときには棒6bは横方向に突き出て取り付けられている。また、同様に、棒6bの他の端部は、側面5bに対して垂直に突き出ている。即ち表面2を上から見たときには棒6bは両方の横方向に同時に突き出て取り付けられている。
【0034】
挟持部8aと挟持部8bとで挟持する構造を更に詳しく説明する。
図9は本発明の携帯電子端末保持具の第3の実施形態の挟持部の分解斜視図である。挟持部8aと挟持部8bとは共に伸縮性のゴムで出来ている。挟持部8aの受け部11aを携帯電子端末1の側面5aに当てて表面2に爪10aを引っ掛ける。同様に、挟持部8bの受け部11bを携帯電子端末1の側面5bに当てて表面2に爪10bを引っ掛ける。このようにして、挟持部8aと挟持部8bとは、携帯電子端末1の両側面5a、5bのほぼ向かい合わせの位置に仮に取り付けられる。更に、棒6bを挟持部8aのスリット12aに嵌め込み、続いて挟持部8bのスリット12bに嵌め込む。この嵌め込み位置を
図9では一点鎖線で表す。スリットの幅は棒6bの直径とほぼ同じかやや細いめにしてあるので、棒6bは挟持部8aおよび挟持部8bに、伸縮性のあるゴムの収縮によりしっかりと保持固定される。それと共に、挟持部8aと挟持部8bとの間隔も固定されるので、双方の挟持部により、携帯電子端末1はしっかりと挟持される。即ち、棒6bが携帯電子端末1にしっかりと固定される。
【0035】
なお、爪10aおよび爪10bは、種々の厚みの携帯電子端末に取り付けられるように僅かにテーパーが付いており、携帯電子端末の厚み8mmから11mmまで対応して挟持することができる。ここでも、ゴムの伸縮性により多様な寸法に対し、融通性を以って確実な固定が出来る。
【0036】
このようにして携帯電子端末保持具である棒6bと挟持部8aと挟持部8bとを取り付けられた携帯電子端末1は、第1の実施の様態で説明したのと同様に使用することができる。即ち、右手だけで持ったまま右手親指を自由に使え、しかも親指での入力範囲が広いものとなる。
【0037】
そして、更には、今度は側面5b側で左手に持ち替えて左右対称に右手同様の使用方法をすることにより、左手だけで持った場合も左手親指を自由に使え、しかも親指による入力動作範囲が広いものとなる。右手だけの操作を続けて疲れてきたときには、左手に持ち替えて更に操作を片手のみで続けられるという特長を有している。
【0038】
ここで、棒6bは筆記用具であるので、必要に応じて取り外し、メモを取るなどの便宜が図れる。
【0039】
また、棒6bは表示部を押さえて入力する入力ペンであってもよい。左手で携帯電子端末1を保持して右手で入力ペンを使用して入力したい場合は、この入力ペンを取り外し、それをすぐに使える利便性が得られる。
【0040】
なお、このように右手でも、左手でも、片方の手で操作が出来るようにするためには、棒6bの全長は、右側の横方向に伸びて指の股に安定して挟まる長さ約4cm以上と、左側の横方向に伸びて指の股に安定して挟まる長さ4cm以上と、携帯電子端末1の左右幅約12cm以上の和である20cm以上の長さが必要となる。このような長い棒は、通常の筆記用具や通常の入力ペンでは珍しい種類のものとなる。
【0041】
なお、専ら片手だけで操作する場合は、棒6bは上記のような長いものである必要は無い。携帯電子端末1の左右幅約12cmに約4cmを加えた長さのみで充分である。16cmなら、通常の筆記具としては珍しくない長さである。即ち、棒6bは鉛筆などの通常の筆記具で代用可能である。
【0042】
なお、上記の実施の形態では挟持部8aおよび挟持部8bが全部伸縮性の材料にてできている例を示したが、挟持部8aおよび挟持部8bはその全体が伸縮性の材料で構成される必要は無い。固定する為に挟み込む機能を有する部位のみ、あるいは棒6bを保持固定する部位のみ、伸縮性の材料であるだけで充分である。
【実施例4】
【0043】
図10と
図11を参照して、第4の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図10は本発明の携帯電子端末保持具の第4の実施形態の挟持部の斜視図である。携帯電子端末1自体は第1および第2の実施の形態のものと同じである。保持具は、挟持部8c、8d、8e、8fと板材13と棒6cとによって構成されている。即ち、本実施の形態の携帯電子端末保持具は、携帯電子端末を挟み込むための挟持部を四つ持っている。挟持部8cは金属製であり、携帯電子端末の表面に接する爪10cと側面に接する受け部11cと裏面の接する底部14cとで成り立っている。他の3つの挟持部も同様であり、挟持部8dは金属製であり、携帯電子端末の表面に接する爪10dと側面に接する受け部11dと裏面の接する底部14dとで成り立っており、同様に、挟持部8eは金属製であり、携帯電子端末の表面に接する爪10eと側面に接する受け部11eと裏面の接する底部14eとで成り立っており、同様に、挟持部8fは金属製であり、携帯電子端末の表面に接する爪10fと側面に接する受け部11fと裏面の接する底部14fとで成り立っている。この4つの挟持部は、各底部14c、14d、14e、14fで一枚の略四角形の伸縮性の板材13の四隅に固着されている。板材13は具体的には薄いゴムの板である。また、各各底部14c、14d、14e、14fの携帯電子端末1の裏面4に接する部分には、ポリウレタンゲルの粘着材が塗布されている。
【0044】
図11は本発明の携帯電子端末保持具の第4の実施形態の裏面の斜視図である。
図11において第1および第2の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。板材13は、携帯電子端末1の裏面4に当てられ、挟持部8cと挟持部8dとが携帯電子端末1の側面5aを挟み込む。更に、挟持部8eと挟持部8fとが携帯電子端末1の側面5bを挟み込む。挟持部8cと挟持部8eとの間隔は携帯電子端末1の横幅より若干短い目に寸法設計してあるので、伸縮性のある板材13の収縮力により挟持部8cと挟持部8eおよび板材13は携帯電子端末1から外れない。挟持部8dと挟持部8fとのについても同様の寸法設計をしてあるので、挟持部8dと挟持部8fおよび板材13は携帯電子端末1から外れない。
【0045】
この板材13と携帯電子端末1の裏面4との間に、側面5a側から、挟持部8cと挟持部8dとの中間に、棒6cを半分ほど差し入れる。すると棒6cは板材13の収縮力によって裏面4に押し付けられて固定され、残り半分は側面5aに対して垂直、即ち表面2を上から見たときには棒6cは側面5a即ち横方向に突き出て取り付けられる。この棒6cを、第1、第3の実施の様態と同様に、人差し指と中指との間の指の股にて挟むようにして裏面4にある板材13に人差し指、中指、薬指、小指を当てると、板材13の指を当てた箇所は携帯電子端末1の裏面に密着するので、携帯電子端末1をしっかりと保持することができる。また、棒6cに想定以上の強い力が加わったときには、棒6cと共に板材13が裏面4から浮き上がり、その応力で挟持部8cと挟持部8dとが近づく方向にずれようとするが、挟持部8cの底部14cと挟持部8dの底部14dに塗布された粘着材が裏面4と粘着しているために、ずれることなく、結局、引き続き、棒6cは固定されたままで安定している。
【0046】
故に、第4の実施の様態においても、第1、第3の実施の様態と同じく、親指の活動の自由度を向上し、親指の届く範囲を拡大することが出来て、携帯電子端末1への入力が簡便に便利になる。
【0047】
なお、左手で携帯電子端末1を保持しながら入力を行う場合は、棒6cを、この板材13と携帯電子端末1の裏面4との間に、側面5b側から、挟持部8eと挟持部8fとの中間から、半分ほど差し入れる。すると棒6cは伸縮性のある板材13の収縮力によって裏面4に押し付けられて固定され、残り半分は側面5aに対して垂直、即ち表面2を上から見たときには棒6cは側面5a即ち横方向に突き出て取り付けられる。以上により使用することで、左手でも右手操作と同様の利便性が得られる。
【実施例5】
【0048】
図12と
図13とを参照して、第5の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図12は本発明の携帯電子端末保持具の第5の実施形態の裏面の斜視図である。
図12および
図13において第1〜第3の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。携帯電子端末1自体は第4の実施の形態のものと同じである。保持具は、挟持部8c、8d、8e、8fと板材13と棒6cとによって構成されている。第5の実施の形態の挟持部は、第4の実施の形態の挟持部と全く同じであり、しかも、全く同じように携帯電子端末1に装着される。即ち、
図10で説明した挟持部と伸縮性のある板材とが携帯電子端末1の裏面に当てられ、挟持部8cと挟持部8dとが携帯電子端末1の側面5aを挟み込む。更に、挟持部8eと挟持部8fとが携帯電子端末1の側面5bを挟み込む。第4の実施の様態と異なるところは、棒6cの差し入れる位置である。本実施の様態では、第4の実施の様態と90度異なる方向から棒6cを携帯電子端末1と板材13との間に差し入れる。即ち、側面5aとも側面5bとも90度の角度をなす側面5cに棒6cを半分ほど差し入れる。すると棒6cは伸縮性のある板材13の収縮力によって裏面4に押し付けられて固定され、残り半分は側面5cに対して垂直、即ち表面2を上から見たときには棒6cは側面5c即ち横方向に突き出て取り付けられる。
【0049】
図13は本発明の携帯電子端末保持具の第5の実施形態の使用時の表面の斜視図である。棒6cは、中指33と薬指34との指の股38bによって挟まれている。棒6cは、図では手30の裏側の破線で表されている。本実施の様態では、手30は携帯電子端末1の長手方向を保持する持ち方となる。このように保持しても、第2の実施の様態で説明した保持と同じく、親指は自由度を増し、表示部3の広い範囲を押して入力することが出来る。ただし、携帯電子端末1の表示部3の長手方向に手を保持しているので、親指の自由度が増し動作範囲が拡大するといっても、保持している下半分のほぼ全部を押せるのみであり、遠くにある上半分の表示部3には、親指は十分に届かない。しかし、このような保持方向でも、電子書籍を読む場合などは、楽に保持できると共に前ページ送りや後ろページ送りなどが素早く自在に行えるので非常に便利である。握力を使って保持する必要も無いので、リラックスした読書が楽しめる。
【0050】
なお、第4の実施の形態および第5の実施の形態では、板材13に伸縮性のあるものを用いたが、その替わりに挟持部8c、8d、8e、8fに伸縮性のある材料を用いても、ほぼ同様の作用効果が得られる。即ち、携帯電子端末1に保持具を取り付ける際に固定するための収縮力に、伸縮性のある板材の替わりに、伸縮性のある挟持部を用いても、この挟持部の伸張により棒6cの挿入が可能となり、挟持部の収縮力により同様に固定が可能となる。更には、板材13は、その全体が伸縮性材料である必要は無い。一旦伸ばしてから固定する部分のみに伸縮性があるだけで充分である。挟持部8c、8d、8e、8fの伸縮性についても同様である。
【0051】
なお、第4の実施の形態および第5の実施の形態で使用される挟持部8c、8d、8e、8fと板材13とは別々の部材ではなく、一体で形成されたものであっても、保持具としては同じ構成であり、同じ作用効果を有する。例えば一体成型された伸縮性樹脂材でもよい。
【0052】
なお、第4の実施の形態および第5の実施の形態で使用される棒6cの全長は、側面から横に伸びて指の股に安定して挟まる長さ約4cm以上と、板材13と裏面4とで充分な力で固定されるための長さ約5cm以上の和である9cm以上が必要である。通常のボールペンなどの筆記用具は全長十数cmなので、充分この長さを満たす。即ち、通常一般に用いられている筆記用具は、本発明の棒6cとして使用できる可能性が高い。
【0053】
更に、どの実施例においても、携帯電子端末保持具は簡易しかも軽量なものとなっている。携帯電子端末自身の重さが300g程度の軽いものであり、それをもっと楽に保持する為の道具であるから、もともと重いものは許されない。このような条件に対して、上記のどの実施例においても、保持具自体の構成が非常に簡単軽量なものなので、保持具の重さは約100gあるいはそれ以下のものが実現できる。このような軽量化された保持具であるので、保持具自身の重量による不具合は生じず、少ない力で保持を確実にしながら、且つ、親指による入力操作性を向上させることができるものである。
【実施例6】
【0054】
図20と
図21を参照して、第6の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図20は本発明の携帯電子端末保持具の第6の実施形態の斜視図である。
図21は本発明の携帯電子端末保持具の第6の実施形態の裏面の斜視図である。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。
図20において、棒6dは四角柱の形状をしており、その一側面6dsには薄い円柱形のネオジム磁石60が埋め込まれている。
図21において、約1mm厚の薄い鉄板61が携帯電子端末1の裏面4に接着材で貼り付けられることにより接着している。
図20で示した棒6dは、使用時には、この鉄板61に磁石60の磁力により接着され裏面4に固定される。棒6dの一つの端部は携帯電子端末1の側面5aから横に約4cm突き出している。携帯電子端末1の不使用時には、棒6dは磁力に逆らって引き剥がす力を加えることにより取り外しが可能なものである。
【0055】
このように構成された携帯電子端末保持具の保持方法は、前述の各実施の形態と同様であるので特に図示はしないが、携帯電子端末1の表面2側から人差し指32と中指33とで棒6dを間に入れるように側面5aに沿わせて指を差し入れ、人差し指32の先と中指33の先とを鉄板61即ち裏面4に当て、携帯電子端末1を下から支える。人差し指32と中指33との指の股38aは棒6dに当たり、梃子の原理で携帯電子端末1を支えて保持することができる。即ち、携帯電子端末1の重心が力点となり、あるいは親指31で表面2を押さえればそこが力点となり、人差し指32と中指33との指の先が支点となり、指の股38aが作用点となる梃子の原理の力の釣り合いにて携帯電子端末1を安定に保持することができるものである。
【0056】
また、携帯電子端末1を使用しないときには、棒6dを携帯電子端末1から強く引き剥がすと、磁石60が鉄板61から離れて取り外しできる。鉄板61については携帯電子端末1を使用しない時にも裏面4に接着したままである。しかし、このように薄い鉄板が裏に貼り付いたままでも取り扱いの邪魔にはならず、携帯電子端末1の収納や携行には殆ど問題が無い。使用時不使用時に着脱するのは磁石60の付いた棒6dだけである。
【0057】
なお、磁石60にはネオジム磁石を使用したが、あまりにも強力過ぎて取り外し難いなどの場合は一般的なフェライト磁石や磁石粉を練りこんだゴム磁石を使用してもよい。また、裏面4に接着する手段としては、鉄板と磁石との代わりに粘着材を使用しても良い。あるいは、裏面にネジ穴を設けて棒をネジ止めすることでもよいし、裏面にキー溝を設けて、そこに棒の一部を嵌め込むことで固定しても良い。携帯電子端末1の使用時には、梃子の原理により指の股38aにかかる力の反作用の力が棒6dにかかることになる。この反作用の力は棒6dを裏面4から垂直に剥離させようとする力となるが、それに耐える裏面4への接着力を有し、かつ、不使用時には棒6dを取り外しまたは収納または折りたたみすることができればそれで良い。
【実施例7】
【0058】
図22と
図23とを参照して、第7の実施の形態の形態電子端末保持具の構成について説明する。
図22は本発明の携帯電子端末保持具の第7の実施形態の斜視図である。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。挟持部8gは弾力性のあるゴムで出来ており、先端には携帯電子端末1の表面2(図示せず)の端部に引っ掛けるための爪10gを有し、中央には主に伸縮する部分の受け部11gと棒を通すための貫通孔62とを有する。この貫通孔62に棒6eが通されている。棒6eは四角柱形状になっており、その一側面6esにはその端部からほぼ中央までの領域に粘着部63aが貼り付けられている。
図23は本発明の携帯電子端末保持具の第7の実施形態の裏面の斜視図である。挟持部8gは爪10gにて携帯電子端末1の表面2の端部に引っ掛けられ、受け部11gが側面5aに当てられ、挟持部8gの貫通孔62に通された棒6eの粘着部63aが携帯電子端末1の裏面4に粘着することにより接着している。このとき、爪10gと棒6eとの間隔は外力を加えないときには携帯電子端末1の厚みより短くなるように設計されているので、上記のように爪10gと棒6eとで携帯電子端末1を挟み込むとゴムで出来ている挟持部8gの受け部11gは引っ張り伸ばされる。その元に戻ろうとする弾力が爪10gと棒6eとで携帯電子端末1を強く挟みつける力となり、挟持部8gと棒6eとは携帯電子端末1により強固に保持固定される。即ち、粘着部63aのみでも棒6eは携帯電子端末1に接着しているが、表面2の端部にひっかけられた爪部により、その固定が更に強固になる。そして、棒6eの一端は、側面5aから横方向に突き出している。
【0059】
このような構成の携帯電子端末1を手で保持する方法は、前述の各実施の形態で説明したものと同様である。第7の実施の形態による長所は、取り付けの構造が簡単であることである。即ち、第3の実施の形態では棒を固定するのに二個の挟持部が必要であったが、本実施の形態では挟持部は一個で済ませることができる。そして挟持部の爪で携帯電子端末の表面の一部が覆われていることによる煩わしさも減少する。また、第6の実施の形態では棒を固定するのに予め鉄板を裏面に貼り付ける必要があったが、本実施の形態ではそのような補助部品は不要である。短所としては、もしも棒が丸い円柱状であると粘着部の接着面積が少なくなることにより接着強度が落ちるので、丸い鉛筆などを棒として使用することが困難になることである。
【0060】
なお、携帯電子端末1を使用しないときには、爪10gを外すと受け部11gの収縮力も開放されるので、棒6eの挟持部への保持固定はされなくなる。その後に、棒6eの携帯電子端末1の側面5aから突き出している部分をゆっくりと押し下げて裏面4から離すように力を加えると、棒6eの粘着部63aはゆっくりと裏面から離れるので、挟持部8gと棒6eとを携帯電子端末1から取り外すことが出来る。このとき、粘着部63aは、二回目に使用する場合の接着力が一回目より若干落ちることがある。そこで、粘着部63aの材料としては、水洗いすることで粘着性が復活する粘着材とすることが好ましい。例えば、エステル系ポリウレタンポリマーや、ウレタン系の粘着エラストマーなどが利用できる。ただし、繰り返し取り外すことを重視しないならば、粘着材の材質は一般的な接着剤でもよい。
【0061】
なお、棒6eを挟持部8gへ保持固定するための構造としては、上記のような貫通孔を設ける他に、実施の形態3に記載したようなスリットを設けて棒6eを挟み込むような方法でもよい。
【実施例8】
【0062】
図24を参照して、第8の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図24は本発明の携帯電子端末保持具の第8の実施形態の斜視図である。
図24において、円柱状の棒6fの中央部は平板部64bと平板部64cとの間にあって平板部64bと平板部64cとに連結した棒保持部65aに挟まれて一応の固定がされている。棒保持部65aは断面がUの字型になっている。もともと平板部64bと棒保持部65aと平板部64cとは一枚の板であったものを、中央を断面「U」の字の溝に折り曲げることにより作成されたものである。この変形した一枚板の上記Uの字溝に棒6fを挟んでいる。単に挟んでいるだけであり接着剤などで接着はしていない。平板部64b上に粘着部63bが貼り付けられており、平板部64c上に粘着部63cが貼り付けられている。粘着部63bと粘着部63cとは、エステル系ポリウレタンポリマーの粘着材で構成されている。粘着部63bと粘着部63cとは空間的に同一平面上にあり、棒6fの稜線6frもその同一平面上、即ちツライチになっている。携帯電子端末1の使用時は、この棒6fと平板部64bおよび64cを携帯電子端末1の裏面4に装着する。平板部64bと平板部64cとの各粘着部63bと63cとが携帯電子端末1の裏面4に接着することにより、棒保持部65aのUの字の溝に入れられた棒6fは稜線6frにおいて携帯電子端末1の裏面4に押し付けられて固定される。そして、棒6fの一端は携帯電子端末1の側面5aから横に突き出している。
【0063】
この実施の形態の携帯電子端末保持具の手での保持方法は、先述の実施の形態における保持方法と同様である。
図25は本発明の携帯電子端末保持具の第8の実施形態の使用時の裏面の斜視図である。棒6fは人差し指32と中指33との指の股38に当てられている。ここで、人差し指32の先は平板部64bに当てられ、中指33の先は平板部64cに当てられる。これらの指の先には梃子の原理の支点としての力が働くので、その力により平板部64bと平板部64cとは携帯電子端末1の裏面4に押し付けられることになる。このとき、同時に粘着部63bと粘着部63cとが裏面4に押し付けられることになるので、粘着力も強くなり、両方の平板部と棒6fとは携帯電子端末1に更にしっかり付着する。
【0064】
第8の実施の形態の長所は、棒6fが接着剤などで固定されているのでなく、単に棒保持部65aに挟まれて裏面4に押し付けられて固定しているだけなので、強く力を入れれば棒6fを棒保持部65aから引き抜けることである。携帯電子端末1を使用しないときには、棒6fを引き抜いて取り外す。引き抜いた後の平板部64b、平板部64cおよび棒保持部65aは殆ど嵩張らないので、不使用時に無理に取り外さなくても鞄などに入れて携帯するのに大きな支障とはならない。棒6fだけ外せば良い。また、平板部64bと平板部64cの表面に摩擦の大きな材料を使用すると、そこに人差し指32および中指33の指の先が当たるので、その滑り止めになり、棒6fを使わずに使用する場合でも手から落とす危険が減少する長所も持ち合わせている。
【0065】
また、棒6fには鉛筆などの筆記用具や入力ペンを使用することもできる。さらに、棒保持部65aのUの字状に対して棒6fは必ずしも円柱である必要は無い。棒保持部65aと裏面4との作る空間に対して、機械工具的な「はめあい」でいうと「すき間ばめ」から「中間ばめ」程度のはめあい度であればどのような形状の断面の棒でも良い。要するに棒が容易には抜け落ちない程度の緩い固定でも機能は充分達成する。
【0066】
なお、携帯電子端末1を使用しないときには、平板部64b、平板部64cおよび棒保持部65aは、粘着により接着しているので、端からゆっくりと引き剥がすことにより裏面4から取り外すことができる。そして、次に使用する場合は、再度裏面4に押し付けて暫く時間を置くと再度接着する。そして、このような繰り返し接着できる性質の粘着材としては、シリコンゲルやポリウレタンエラストマーが好適である。これらは、粘着力が落ちてきた場合は水洗いすると粘着力が甦る長所をも有している。しかし、この平板部64b、平板部64cおよび棒保持部65aはあまり嵩張らないので、不使用時にも取り付けたままでも構わない。即ち、平板部64b、平板部64cの接着には半永久的な接着を目的とする通常の接着材を用い、不使用時には棒6fのみを取り外すだけでもよい。
【0067】
なお、上記の構成において、人差し指32の替わりに中指33を使い、中指33の替わりに薬指34を使って保持しても、同様の保持が出来る。煩雑な繰り返しを避けるために説明を省略する。
【0068】
このように構成された携帯電子端末保持具を手に持ったところを
図25の矢印A方向から見た矢示図を
図26に示す。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。携帯電子端末1の表面2側から人差し指32と中指33とで棒6fを間に入れるように側面5aに沿わせて指を差し入れ、人差し指32の先を平板部64bに当て、中指33の先を平板部64c(図示せず)に当てる。平板部64bと平板部64cとは携帯電子端末1の裏面に接しているので、人差し指32と中指33との指の先は間接的に携帯電子端末1の裏面に当てられ携帯電子端末1を下から支えていることになる。なお、通常の携帯電子端末1の使用というものは表面2がほぼ上(天空)を向き、裏面4がほぼ下(地面)を向いた状態での使用であり、この実施の形態の説明もその通常の使用をもとに説明している。断りが無い限り、他の実施の形態も同様である。
【0069】
このときに、親指31で携帯電子端末1の表面2にある表示部3(図示せず)の側面5bに近い側を押さえると、その押さえた箇所が力点51aとなり携帯電子端末1に下向きのベクトル力53aが加わる。(なお、図上のベクトル矢印は起点と方向のみ表す。線の長さで力の大きさを表すものではない。以下も同じ)。このとき、人差し指32の先と中指33の先とが梃子の原理の支点50aとなって図の上では時計回り回転のモーメント力が働き、携帯電子端末1は手から落ちようとする。ところがこの時に同じモーメント力を受けた棒6fの側面5aから突き出した部分が人差し指32と中指33との間の指の股38aに当たりこの指の股38aが作用点52aとなって指の股38aに加わる上向きのベクトル力53bを受け止める。こうして、親指31の先を力点、親指以外の指の先を支点、指の股を作用点とした梃子の原理で力の釣り合いがとれて、携帯電子端末1は手から落下することはない。このとき、支点50aである指の先には下向きのベクトル力53cが指の先に加わっている。
【0070】
即ち、人差し指32と中指33との指の先にて平板部64bと平板部64cさらには間接的に棒6fも携帯電子端末1の裏面4に押し付けられて静止摩擦力がかかって固定されいる。そのために、もしも粘着部63bおよび粘着部63c(図示せず)が無かったとしても、携帯電子端末1が平板部64b、平板部64c、棒6fから滑って手から落下することは無い。
【0071】
ただし、棒6fのうち、携帯電子端末1の裏面4に接している長さが極端に短い場合は、親指31で表面2を押すと、梃子の原理の支点が人差し指32の先端ではなく裏面4に当たっている棒6fの先端に移ってしまい、側面5aの付近において棒6fを裏面4から剥離させる方向の力となってしまう。即ち、棒6fの固定が不安定となる。従って、この剛性の棒6fはなるべく長い方がしっかりと固定されて好ましい。
【0072】
図27は本発明の携帯電子端末保持具の第8の実施形態の異なる矢示図である。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。親指31を表面2から離し、他の指の力も殆ど抜いた場合の、
図25の矢印A方向から見た矢示図である。だらりとした指の上に携帯電子端末1が乗っている。この場合、携帯電子端末1の自重がこの機器のほぼ中心部分の力点51bにベクトル力53dとして加わると考えられる。もしも携帯電子端末保持具が無ければ携帯電子端末1は手から滑って落下してしまうことは明白である。
【0073】
しかしながら、本実施の形態の携帯電子端末保持具を装着した手から携帯電子端末1は落下することはない。その理由を以下に説明する。力点51bに加わった力は、人差し指32と中指33(図示せず)との指の先が支点50bとなり、
図25にて説明した梃子の原理と同様のメカニズムにより指の股38aが作用点52bとなり、ベクトル力53eが手に加わる。人差し指の指の先にも
図25での説明同様にベクトル力53fが加わる。このとき、各指に力を入れていないので、上記各々の力の応力により人差し指32の曲がりが少し真っ直ぐになり人差し指32の第一関節55と第二関節56との間の指の腹54側が携帯電子端末1の裏面4に押し付けられる格好になる。即ちここにもベクトル力53gが加わる。中指33についても各箇所に同様の力が加わっている。力を入れていない指に対するこれらのベクトル力は指の握りを開いてピンと伸ばす方向の力として働くことになる。しかし、ここで、人差し指32と中指33との指の股38aに棒6fが挟まっているので、これ以上指を開いて伸ばすことができない。従って、上記のベクトル力はそのまま維持され、指の先、指の腹、指の股と携帯電子端末1および棒6fとの間の圧しあう力による静止摩擦力により、携帯電子端末1は手から落ちることなく保持される。即ち、指の力を殆ど抜いても携帯電子端末1が手から落ちずに保持することが可能である。
【0074】
図28と
図29とを参照して、第8の実施の形態の携帯電子端末保持具の追加構成について説明する。
図28は本発明の携帯電子端末保持具の第8の実施形態の第二の斜視図である。
図24との違いは、厚みの薄いプラスチック製のカバーシート66を付加したことである。
【0075】
そもそも粘着部63bと粘着部63cとは、保持具を使用しないときに所持すると露出した粘着材が周囲の様々なものにくっつき易い。あるいは埃が付着することにより粘着力が弱くなる。そこで粘着部63bおよび63cは覆い隠すことが好ましい。この目的の為にカバーシート66が粘着部63bおよび63cの表面を覆っている。カバーシートの端部66aは平板部64bの端部に可動な状態で直線状に連結されている。同様にカバーシートの端部66bは平板部64cの端部に可動な状態で直線状に連結されている。カバーシート66の粘着部63bおよび63cと接する面には、剥がれ易いようにシリコーンの離型材が塗布されている。
【0076】
図29は本発明の携帯電子端末保持具の第8の実施形態の第三の斜視図である。
図29に見るように、保持具を使用する場合は、カバーシート66を端部66aおよび端部66bを中心に180度回転させて開き、粘着部63bおよび63cを露出させる。この状態で携帯電子端末1にこの保持具を装着する。即ち、粘着部63bおよび63cを裏面4(図示せず)に粘着させる。すると、カバーシート66は裏面4と棒6fとの間に挟まれ裏面4にぴったりと接し、ぶらぶらしない。
【0077】
上記のように追加構成として、カバーシート66を採用することにより、不使用時の埃の付着を防ぎ、使用時にも嵩張らないように構成することができる。一般的に粘着物は不使用時には覆いをつけるものであるが、多くの覆いは粘着物と切り離されて独立した物体となっているので、保管が面倒であり遺失もし易い。ところが上記の構成によると、カバーシートが保持具に連結しているので、このような遺失の虞も解消でき、上述のように嵩張らずに保管できる。
【実施例9】
【0078】
図30を参照して、第9の実施の形態の形態電子端末保持具の構成について説明する。
図30は本発明の携帯電子端末保持具の第9の実施形態の裏面の斜視図である。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。平板部64dと平板部64eとはそれぞれ粘着部63dと粘着部63eとが裏面4に粘着することにより接着している。平板部64dと平板部64eとの間にあって平板部64dと平板部64eとに連結している棒保持部65bは伸縮性が有り、棒6gを裏面4との間に挟み込んでその伸縮性の縮む力で固定している。棒6gの一端は側面5aから横に突き出している。棒6gは鉛筆であり、ペン先9が棒保持部65bと裏面4との間隙に差し込まれて最終的に貫通して取り付けられている。平板部64dに連結された挟持部8hは爪10hと受け部11hとを有している。平板部64eに連結された挟持部8iは爪10iと受け部11iとを有している。受け部11hと受け部11iとは伸縮性を持っており、携帯電子端末1の側面5aに沿って少し伸びており、その先の爪10hと爪10iとが携帯電子端末1の表面2(図示せず)の端部に引っ掛けられている。爪10hと爪10iとは、受け部11hと受け部11iとの縮もうとする力により携帯電子端末1をしっかりと挟持している。
【0079】
このような構成の携帯電子端末1を手で保持する方法は、前述の各実施の形態で説明したものと同様である。第9の実施の形態による長所は、棒6gとして、様々な筆記具や入力ペンなどを使用できる点にある。また、棒6gを例えば人差し指と中指との指の股で支えるときに、人差し指の先と中指の先とは平板部64eおよび平板部64dにそれぞれ当たるので、梃子の原理で保持したときにこの人差し指の先と中指の先とは平板部64dと平板部64eとを携帯電子端末1の裏面4に押し付ける力を与えることになり、それに伴って棒6gの固定もしっかりとするし、粘着部63dと粘着部63eとの接着力も強化されるという長所も有している。勿論、棒6gを中指と薬指との指の股で支える場合も効果は同様である。
【0080】
なお、携帯電子端末1を使用しないときには、棒6gを引き抜いた後、爪10h及び爪10iを外してから、爪10h、爪10i、受け部11h、受け部11iをゆっくりと押し下げて裏面4から離すように力を加えると、粘着部63dと粘着部63eとはゆっくりと裏面から離れるので、この保持具は携帯電子端末1から完全に取り外すことが出来る。尤も、この平板部と挟持部とは携帯電子端末1に取り付けた状態でも余り嵩張らないので、不使用時に無理に取り外さなくても鞄などに入れて携帯するのに大きな支障とはならない。棒6gだけ外せば良い。また、平板部64dおよび64eの外側表面に摩擦の大きな材料を使用すると、手の滑り止めになるので、棒6gを使わずに保持する場合でも手から落とす危険が減少する長所も持ち合わせている。
【実施例10】
【0081】
図31および
図32を参照して、第10の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図31は本発明の携帯電子端末保持具の第10の実施形態の裏面の斜視図である。
図31において、携帯電子端末1の側面5aから横に突き出ている棒は棒6hと棒6iと二本有って平行になっている。四角柱の棒6hは平板部64fと平板部64gとの間にある断面コの字型の棒保持部65cに挟まれている。四角柱の棒6iは平板部64gと平板部64hとの接合部である断面コの字型の棒保持部65dに挟まれている。平板部64f、棒保持部65c、平板部64g、棒保持部65d、平板部64hはもともとは一枚の板であったものに二つのコの字断面の溝ができるように折り曲げたものである。平板部64f上には粘着部63fが貼り付けられ、平板部64g上には粘着部63gが貼り付けられ、平板部64h上には粘着部63hが貼り付けられている。そして、粘着部63f、粘着部63g、粘着部63hが空間的に同一平面上になっている。更には、棒6hの一側面も棒6iの一側面も、この空間的な同一平面上にある。このような状態で粘着部63f、63g、63hが携帯電子端末1の裏面4に粘着することにより平板部64f、64g、64hが裏面4に接着し、同時に、棒6hおよび棒6iが棒保持部65cおよび棒保持部65dによって押さえられることにより裏面4に固定している。棒6hと棒6iとは、約2cmの間隔で平行になっており、どちらもその一端が携帯電子端末1の側面5aから約4cm程度突き出ている。
【0082】
図32は本発明の携帯電子端末保持具の第10の実施形態の使用時の裏面の斜視図である。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から人差し指32を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4上の平板部64fに人差し指32の指の先を当てる。そして、棒6hを人差し指32と中指33との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から中指33を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4上の平板部64gに中指33の指の先を当てる。さらに、棒6iを中指33と薬指34との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から薬指34を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4上の平板部64hに薬指34の指の先を当てる。小指35は特定の位置である必要は無い。このように保持すると、棒6hは人差し指32と中指33との指の股38aに当たり、棒6iは中指33と薬指34との指の股38bに当たる。
【0083】
この保持状態で、親指31(図示せず)で表示部3(図示せず)を押すと、押したところを力点とし、人差し指32と中指33と薬指34との三つの指の先を支点とし、指の股38aと38bとを作用点とする梃子の原理で力が釣り合い、携帯電子端末1が手から落ちることなく保持できる。
【0084】
この保持方法の長所は、力を分散できることであり、各指先にかかる力は指先が二つから三つになることにより3分の2に減少し、各指の股にかかる力は指の股が一つから二つになることにより半分に減少する。梃子の原理のトータルの力は不変であるが、各々の一点に加わる力が上記のように減少することにより、保持による指への圧迫感または指の疲れが軽減される。
【0085】
図33は本発明の携帯電子端末保持具の第10の実施形態の矢示図である。
図32の矢印B方向から見た図である。先述の幾つかの実施の形態の説明では、矢印A方向即ち使用している人を前方向かい側から見た図面での説明をした。
図33では、見る方向を先述のものから90度変更し矢印B方向即ち使用している人を左横から見た図面を用いて、多面的に梃子の原理を説明する。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。この図面では、携帯電子端末1の側面5bが図の正面となっている。手での保持の方法は
図32で説明した通りである。
【0086】
ここで親指31で携帯電子端末1の表面2の先端側の表示部3(図示せず)を押すと、そこを力点51cとして携帯電子端末1にベクトル力53hが加わる。この力は、梃子の原理で平板部64fに当てられた人差し指32の先を支点50cとして、棒6hに伝わり、人差し指32と中指33との指の股38a(図示せず)を作用点52cとしたベクトル力53iとして指の股38aで受け止められる。支点50cとなる人差し指32の先端にも下向きのベクトル力53kが加わる。このようにして力が釣り合い、携帯電子端末1が手から落ちることはない。
【0087】
しかも、本実施の形態では、棒6hの他に棒6iもあるので、作用点である指の股38aに加わる力は棒6iを挟んでいる中指33と薬指34との指の股38b(図示せず)にベクトル力53jとして分散される。同様に支点としての人差し指32の先に加わっている力も、平板部64gに当てられた中指33の先にベクトル力53mとして分散される。このようにして、棒が2本あることにより、力が分散され圧迫感を感じることが少なく楽に保持することができるものである。もしも、このような保持具の棒がなかったら、親指31で表示部3を押したときに、携帯電子端末1は応力を受け止める作用点が無いことになるので左(反時計回り)に回転し手から落ちてしまうことになる。
【0088】
上記実施の形態では小指35を使わなかった。しかし、使う指を一本ずつずらし小指35を使って保持する持ち方でも、同様に安定して携帯電子端末1を保持することが出来る。即ち、人差し指32を使わずに、中指33と薬指34と小指35とで二本の棒を持つ方法である。図示はしないが、詳細に述べると、携帯電子端末1の表面2側から中指33を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4上の平板部64fに中指33の指の先を当てる。そして、棒6hを中指33と薬指34との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2側から薬指34を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4上の平板部64gに薬指34の指の先を当てる。さらに、棒6iを薬指34と小指35との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2側から小指35を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4上の平板部64hに小指35の指の先を当てる。このように保持すると、棒6hは中指33と薬指34との指の股38bに当たり、棒6iは薬指34と小指35との指の股に当たる。
【0089】
このように保持した場合の長所は、元から自由度の高い親指31に加えて、人差し指32も非常に自由に動かすことが出来る点である。このような自由な人差し指32は、携帯電子端末1の裏面4だけに留まらず、表面2を触ることも出来る。親指31と人差し指32との二本の指で表示部3から入力できることになるので、二本の指で画面上をつまむように動かして画像縮小させるピンチインや、逆に二本の指を拡げるようにして画像拡大するピンチアウトなどの複雑な入力が出来ることになる。
【0090】
なお、本実施の形態では、裏面に接着した二本の棒を構成要素とした例を説明したが、平行に突き出た二本の棒は、裏面に接着したものに限るものではない。例えば、側面に設けたネジ穴にねじ込んで根元を固定した二本の棒でも、本発明の意図する構成、作用、効果は同じである。また、一本の長い棒を「U」の字型にまげて使用したとしても、側面から突き出ている二つの棒状部分があれば同様である。
【実施例11】
【0091】
図34、
図35、
図36を参照して、第11の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図34は本発明の携帯電子端末保持具の第11の実施形態の斜視図である。幅と厚みとが共に5mmの四角柱の棒6jはその一側面に5個の磁石60が埋め込まれている。また、棒6jの一方の端の先端に円柱形の甲当て部67aがその中央部で棒6jに対してほぼ垂直に接合されている。甲当て部の全長は約6cmであり、棒6jの端部から垂直に左右に約3cmずつ横に出ている。
このような棒6jを携帯電子端末1に固定したところを
図35に示す。
図35は本発明の携帯電子端末保持具の第11の実施形態の裏面の斜視図である。携帯電子端末1の裏面4に接着された薄い鉄板61に、磁石60が磁力でくっつくことにより棒6jが固定されている。甲当て部67aの接合されている側の棒6jの端は、側面5aから横に突き出ている。側面5aと甲当て部67aとはほぼ平行に位置し、その距離は約2cmである。このような携帯電子端末保持具を保持する手の位置は、先述の他の実施の形態と同様である。
図36は本発明の携帯電子端末保持具の第11の実施形態の矢示図である。磁石60の磁力により保持具を固定された携帯電子端末1を右手で持ったところを
図35の矢印A方向から見たものである。棒6jを人差し指32と中指33との間に入れるように携帯電子端末1の表面2側から指を差し入れ、人差し指32との中指33との先を裏面4に当てる。なお、通常の使用は表面2がほぼ上(天空)を向き、裏面4がほぼ下(地面)を向いた状態での使用であり、この実施の形態の説明もその通常の使用をもとに説明している。
【0092】
ここで、親指31で表面2を押さずに親指31を開放し表面2から離すと、手全体が僅かに手の甲側に傾き指の甲39が側面5aにほぼ平行な甲当て部67aに当たる。指の甲39が甲当て部67aを押すことになり、この状態で力が均衡する。このとき、甲当て部67aから指の甲39が受ける力は、もしも甲当て部67aが無かったら指の股38aで受けるべき力である。即ち、甲当て部67aは梃子の原理の作用点である指の股38aに加わる力を分散させるまたは指の股に代替する働きがある。そして、そのまま親指を開放した状態でも、携帯電子端末1は手から落ちずに安定して保持される。これは、携帯電子端末1のほぼ中央部にある重心(図示せず)を力点とし、人差し指32と中指33との先を支点とし、甲当て部67aに当たっている指の甲39と棒6jに当たっている指の股38aとを作用点とする梃子の原理で力が釣り合っているからである。このようにして、親指31を表面2から離しているときにも、携帯電子端末1は手から落ちずに保持される。勿論、親指31にて表示部3を押さえて入力するときも、親指31の先が力点、人差し指32と中指33との先が支点、甲当て部67aに当たる指の甲39と指の股38aとが作用点となって力が釣り合い、携帯電子端末1は安定して保持される。
【0093】
通常一般的には、タブレット端末などの携帯電子端末を使用する場合、いつも常に入力をしているのではない。表示部3(図示せず)を目で見ているだけの時間がかなりある。一般的な使用法ならば、むしろ表示部3を眺めているだけの時間の方が、入力をしている時間よりも長いと思われる。この表示部を見ているときには、不要な入力を避けるために、親指31は表示部を押さえてはいけない。しかし、普通は、親指31を表面2から開放すると、親指以外の指が裏面でタブレット端末の重心即ちほぼ真ん中を下から支えていなければ、携帯電子端末1は手から落下してしまう。落下を防ぐには、親指31は入力していないときでも、表面2の縁の表示部3の無い僅かな狭い箇所を押さえて、裏面4を押さえている親指以外の指との間で携帯電子端末1をしっかりと力を入れて挟み込んでいなければならない。
【0094】
このような一般的な持ち方に対して、本実施の形態では親指31を離しても、また他の指が携帯電子端末1の真ん中を下から支えていなくても、携帯電子端末1が手から落ちずに保持される長所がある。そして、親指を離しても落ちないという本願発明の長所は、本実施の形態に限ったことではない。先に説明した全ての実施の形態でも、同様に、親指を離しても携帯電子端末1は手から落ちない。これらは上記同様に、携帯電子端末1の重心を力点とする梃子の原理によるものであり、甲当て部67aの無い本願発明の各実施の形態では、作用点が指の股38a(または指の股38b)のみになるだけであって、その分、指の股38a(または指の股38b)に加わる力が大きくなるだけである。
【0095】
なお、甲当て部67aに当たる手の部分は、指の第二関節56と第三関節57との間にある指の甲側であることが望ましい。もっと手首に近い掌の甲側に当てる構造にすることも可能であり、それで梃子の原理の保持も出来ることは出来るが、棒6jとして更に長いものが必要となるし、甲当て部67aも大型のものが必要となり、保持具自身の大型化となってしまう。
【0096】
本実施の形態では、棒6jが携帯電子端末1の側面5aから突き出る長さが約2cmである。一方、甲当て部の無い他の実施の形態では、棒の長さは4cm程度と長い。この違いは、力を受ける部分が異なることによって生じる。甲当て部が無い単純な棒の場合、指の股のみで力を受ける。この時に使う指の股の位置を、人差し指32と中指33との指の股38aに関して詳しく見ると、力を受ける指の股とは、掌側の指の分かれ目から手の甲側の指の第三関節の間までの部分である。この部分は男性なら約4cm程度、女性なら約3cm程度の長さがある。この部分全体に棒が当たることが好ましい。棒が短くこの指の股の途中までしか達しない場合は、棒の先端が指の股の一局所に食い込んでしまうので、痛みを感じることになる。即ち、痛みを感じないで保持できる長さは、男性なら約4cm以上、女性なら約3cm以上必要ということになる。一方、甲当て部のある本実施例のような場合は、上記の指の股の全体で棒を受ける必要が無い。棒からの力は甲当て部にも及び、指の股と指の甲とに分散されて指に加わることになるが、指の甲だけで力を受けても作用効果は変わらない。むしろ、指の甲のほうが骨も表面近くにあるので力を容易に受け止めることが出来る。このように、指の甲を主にして力を受けるとなると、指の股は殆ど機能させる必要が無く、指は、単に側面5aと甲当て部67aとの間に挿入できれば良いだけのものとなる。そこで、親指以外の指の厚みの約2cmだけの間隔を設けるための棒で充分であり、本実施例の棒の長さは2cmとなっている。
【0097】
携帯電子端末1を使用しないときには、棒6jを携帯電子端末1から強く引き剥がすと、磁力によって接着していた磁石60が鉄板61から離れて取り外しできる。鉄板61については携帯電子端末1を使用しない時にも裏面4に接着したままである。しかし、このように薄い鉄板が裏に貼り付いたままでも邪魔にならず、携帯電子端末1の収納や携行には殆ど問題が無い。使用時不使用時に着脱するのは磁石60と甲当て部67aの付いた棒6jだけである。
【0098】
なお、本実施の形態は、携帯電子端末1を使用しないときに保持具を着脱するものだが、本願発明の保持具は着脱するものに限らない。例えば、使用しないときには棒を携帯電子端末1の中の収納穴に押し入れて収納するものでもよいし、また、例えば、棒を途中で分割し突き出た部分だけ180度回転して折りたたむ構造にするものでもよい。要するに、棒および甲当て部は、使用時に作用点としての力を受け止めてその位置を維持する剛性があれば、本願発明は機能する。
【実施例12】
【0099】
図37を参照して、第12の実施の形態の形態電子端末保持具の構成について説明する。
図37は本発明の携帯電子端末保持具の第12の実施形態の裏面の斜視図である。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。共に四角柱の太さ約5mmの棒6kと棒6mとが約2cmの間隔で平行に並んでおり、それらの一方の端の先端に円柱形の甲当て部67bがそれぞれの棒とほぼ垂直に接合固定されている。甲当て部67bの全長は約8cmであり、棒6kから約3cm、棒6mから約3cm横に出ている。棒6kはその一側面に粘着部63iが貼り付けられている。棒6mはその一側面に粘着部63jが貼り付けられている。これらの粘着部63i、63jが携帯電子端末1の裏面4にその粘着力により接着されることにより、棒6kと棒6mが裏面4に固定される。甲当て部67bの接合されている側の棒6iおよび棒6jの端は、側面5aから横に突き出ている。側面5aと甲当て部67bとはほぼ平行に位置し、その距離は約2cmである。
【0100】
このように配置された携帯電子端末保持具での保持方法は、同様の二本の棒を使用した第10の実施例で説明したものとほぼ同様である。携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から人差し指32(指はどれも図示せず)を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4に人差し指32の指の先を当てる。そして、棒6kを人差し指32と中指33との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から中指33を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4に中指33の指の先を当てる。さらに、棒6mを中指33と薬指34との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から薬指34を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、裏面4に薬指34の指の先を当てる。このように保持すると、棒6kは人差し指32と中指33との指の股38aに当たり、棒6mは中指33と薬指34との指の股38bに当たり、人差し指32と中指33と薬指34との指の甲39は甲当て部67bに当たる。
【0101】
この保持状態で、親指31(図示せず)で表示部3(図示せず)を押すと、押したところを力点とし、人差し指32と中指33と薬指34との三つの指の先を支点とし、指の股38aと38bと指の甲39とを作用点とする梃子の原理で力が釣り合い、携帯電子端末1が手から落ちることなく保持できる。この保持方法の長所は、力を分散できることであり、各指先にかかる力は指先が二つから三つになることにより3分の2に減少する。作用点として各指の股にかかる力は、指の股が一つから二つになりしかも指の甲39が加わることにより各々に加わる力は大幅に減少する。梃子の原理のトータルの力は不変であるが、各々の一点に加わる力が上記のように減少することにより、保持による指への圧迫感または指の疲れが軽減される。
【0102】
また、表面2から親指31を離しても、第11の実施の形態で説明したメカニズムと同様に、携帯電子端末は手から落ちないで安定している。しかも、各指の部分に対して加わる力が大きく減少することにより、保持による指への圧迫感または指の疲れが軽減される。携帯電子端末1が電子ブックのときなどには、使用時間の殆どが入力をしない状態なので、このように親指開放で長時間楽に保持できることは、非常に好ましい長所である。
【0103】
本実施の形態では、互いに平行な棒6kと棒6mとの間隔が約2cmであり、指一本をその棒の間に挿入するものについて説明した。しかし、棒6kと棒6mとの間隔をもっと拡げ多くの指をその棒の間に入れても同様の保持が出来る。例えば、棒6kと棒6mとの間隔を8cmにする。そして、棒6kと棒6mとの間に人差し指31と中指32と薬指33と小指34との四本を一度に入れて保持することも可能である。即ち、携帯電子端末1の表面2側から上記の四本の指を側面5aに沿って棒6kと棒6mと甲当て部67bとの間から裏面4に及ばせ、裏面4にこれら四本の指先を当てる。これら四本の指の甲39は甲当て部67bに当たる。この保持状態で、親指31で表示部3(図示せず)を押すと、押したところを力点とし、人差し指32と中指33と薬指34と小指35との四つの指先を支点とし、四つの指の甲39を作用点とする梃子の原理で力が釣り合い、携帯電子端末1が手から落ちることなく保持できる。指の股は必要無い。このように多くの指で保持すると、保持が確実になる。
【実施例13】
【0104】
図38を参照して、第13の実施の形態の形態電子端末保持具の構成について説明する。
図37は本発明の携帯電子端末保持具の第13の実施形態の裏面の斜視図である。図において先の実施の形態と共通するものは同じ符号で示している。平板部64iの一面には粘着部63kが貼り付けられている。平板部64iの横から棒6pと棒6nとが約2cmの間隔で平行に伸びている。棒6pと棒6nとは空間的には平板部の平面と同一平面上に有る。その棒6nと棒6pとの先端に甲当て部67cが接合されている。
【0105】
これらの平板部64i、棒6n、棒6p、甲当て部67cは、もともとはステンレスの一枚の板から作られており連続した一体構造を成している。ステンレスの0.3mm厚の板を所期の形状に打ち抜き、その後甲当て部67cは円筒状に板を丸めることにより作成し、棒6nと棒6pとは、プレス成型によりそれぞれ中央にプレス溝68aとプレス溝68bとを作成することにより棒を曲がり難くし高剛性にしている。そして、携帯電子端末1の使用時には、平板部64iの粘着部63kが携帯電子端末1の裏面4に貼り付けて接着される。棒6kおよび棒6pの甲当て部67cの接合されている側の端は、5aから横に3cm程度突き出ている。側面5aと甲当て部67cとはほぼ平行に位置し、その距離は約2cmである。
【0106】
このように配置された携帯電子端末保持具での保持方法は、第12の実施例の
図37で説明したものと同様である。即ち、携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から人差し指32(指はどれも図示せず)を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、平板部64iに人差し指32の指の先を当てる。そして、棒6nを人差し指32と中指33との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から中指33を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、平板部64iに中指33の指の先を当てる。さらに、棒6pを中指33と薬指34との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2(図示せず)側から薬指34を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、平板部64iに薬指34の指の先を当てる。このように保持すると、棒6nは人差し指32と中指33との指の股38aに当たり、棒6pは中指33と薬指34との指の股38bに当たり、甲当て部67cは人差し指32と中指33と薬指34との指の甲39に当たる。
【0107】
この保持状態での保持に関する長所は、第12の実施の形態で説明したことと同じであり、指の各々の一点に加わる力が減少することにより、保持による指への圧迫感または指の疲れが軽減される。
【0108】
この実施の形態の更なる長所は、保持具の要素の殆どを一枚の平板で作成できることにある。作成が容易で安価になる。そして、粘着部63kの面積を大きく取れることにより、保持具がしっかりと携帯電子端末1に接着し保持の確実性が増す。更には、不使用になって取り外すときに、平板部64iが僅かに撓るので、ゆっくりと裏面4から剥離していけば、粘着部63kの端から順々に剥離の応力がかかっていくので、剛体のようなものを剥がすことに比べて、比較的簡単に力を入れずに剥離することが出来るという長所も持ち合わせている。
【0109】
なお、この実施の形態における棒6nと棒6pとは、もともと板状のものに断面「く」の字にする溝を入れたものである。このように、本願発明の「棒」とは、指の股に挟まるように幅約1cm以下であって、携帯電子端末1の横からの突き出しが指の幅が入るだけの長さ2cm程度あって、梃子の原理で均衡する力に耐えて曲がらない剛性を持っていれば、それは「棒」として機能するものであり、断面の形状や断面が空洞かどうかなどに拘るものではないし、他の部分との連結状態に拘るものでもない。
【実施例14】
【0110】
図39と
図40とを共に参照して、第14の実施の形態の携帯電子端末保持具の構成について説明する。
図39は本発明の携帯電子端末保持具の第14の実施形態の表面の斜視図である。
図40は、本発明の携帯電子端末保持具の第14の実施形態の裏面の斜視図である。携帯電子端末1の裏面4と側面5aなどの四方の側面と表面2の端部2aとを覆うように伸縮性を持つカバー70aが取り付けられている。携帯電子端末1の側面5aを覆うカバー70aの一部分には、切り欠き部69が設けられている。即ち、切り欠き部69の部分のカバーは無い。この切り欠き部を通過して棒6rの一端が裏面4に沿って携帯電子端末1とカバー70aとの間に約8cm挿入されており、棒6rの他の一端は側面5aから約4cm横に突き出ている。カバー70aは通常は裏面4にぴったりと接しているが、伸縮性の材料なので、伸びることにより棒6rの挿入が可能であり、また、挿入後には縮む力により棒6rを裏面4との間でしっかりと固定する。
【0111】
使用する場合は、この棒6rを、他の実施の様態と同様に、人差し指と中指との間の指の股にて挟む位置にし、裏面4にあるカバー70aの外側面に人差し指、中指、薬指、小指の先を当てる。カバー70aの指の先を当てた箇所は携帯電子端末1の裏面に押し付けられ、それの箇所は棒6rの近傍なので、その応力により棒6rの固定は更に強固になる。
【0112】
ここで、切り欠き部69を幅広にしておくと、棒6rの挿入位置を様々に選べるので利便性が増す。また、棒6rを挿入したままで位置をスライドさせることもできるので、親指入力が出来る表示部3の範囲が広くなる。
【0113】
更に、棒6rは専用のものでなくても、普通の十数センチの長さの殆どの筆記用具が棒6rとして使用可能である。
【0114】
なお、カバー70aは棒6rを挿入したときにその力で引っ張られても携帯電子端末1から外れないようになっている必要がある。それには、カバーが裏面4と側面をとをカバーするだけでなく、表面の端部2aまで達することにより携帯電子端末1に引っ掛かっているか、または携帯電子端末1を挟持していなければならない。
【実施例15】
【0115】
タブレット型の携帯電子端末はどこにでも持ち歩きが出来て、片手で保持できるので、デスクで使用するの留まらず、家庭内でソファーやベッドに寝そべって操作することが多くなってきている。仰向けに寝転がって操作するとき、携帯電子端末の裏面が上(天)に向き、表面が下(地)に向く。そのような仰視の向きで携帯電子端末を保持するには、重力の関係から自ずと、下に向いた表面側を支えなければならない。ところが表面側の僅かな周辺部を除く殆どの部分は入力を兼ねた表示部であることが多い。この表示部を触ると期せずして入力してしまうことになるので、表示部を支えることは出来ない。そこで表面の周辺部分にぎりぎりに指をかけて保持しなければならない。このように表示部を下向きにして表面の周辺部ぎりぎりに指をかけて片手で持った場合は、その持った手の指で入力することは非常な困難を伴う。尤も、幅が7cm程度以下の小さい携帯電話なら、親指以外の指と掌とで握りこんで親指で表示部を押すことが出来ることもある。しかしながら、携帯電話以外のタブレット型携帯電子端末は殆どが幅10cm以上なので、片手で保持しながらの入力は全く出来ない。
【0116】
図41から
図44にこのような仰視の向きに関する本発明の実施の形態を掲げ以下に説明する。
図41は本発明の携帯電子端末保持具の第15の実施形態の斜視図である。二本の高い剛性の棒6sと6tとは約2cmの間隔で平行に位置している。これら二本の棒6sと6tとはその端部で高い剛性の甲当て部67dに接合されている。そしてこれら二本の棒6sと6tとの甲当て部に接合される根元部分は上下に幅広の張り出し部72が設けられている。棒6tにはL字型の掌当て部71aが二つの結束部73でくくり付けられている。甲当て部71aは棒6tと結束される部分と共に、それと直角に曲げられた部分を有し、その先には球体状の部分を有している。
【0117】
図42に本発明の携帯電子端末保持具の第15の実施形態の裏面の斜視図を示す。
図41の保持具を携帯電子端末1に取り付けた図である。携帯電子端末1はその裏面4と側面5a等の側面とを覆うカバー70bに収められている。二本の棒6sと6tとが、カバー70bの4つの起立貫通部74に通されることで、携帯電子端末1の裏面4に接着している。この4つの起立貫通部74は、携帯電子端末1の裏面相当部に当たるカバー70bの一部を切り抜いて作成したものである。起立貫通部74は、このように棒6sと6tとを貫通させる場合に起立させて棒を穴に通し固定するものであり、携帯電子端末1を使用しないとき、即ち、棒6s、棒6tを貫通ささない場合には収納空洞75の中に収まり携帯時の邪魔にならない。棒6sと棒6tとは側面5aから横に突き出ている。甲当て部67dは携帯電子端末1の側面5aに約2cmの間隔で平行になっている。L字型に曲がった甲当て部71aは球体状の先端が側面5aから表面2(図示せず)方向に約5cm突き出している。
【0118】
図43に本発明の携帯電子端末保持具の第15の実施形態の使用時の表面の斜視図を示す。図において先の図と共通するものは同じ符号で示している。携帯電子端末1の表面2側から人差し指32を側面5aに沿って裏面4に及ばせカバー70bを介して裏面4に人差し指32の指の先を当てる。そして、棒6sを人差し指32と中指33との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2側から中指33を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、カバー70bを介して裏面4に中指33の指の先を当てる。さらに、棒6tを中指33と薬指34との間に位置させるように、携帯電子端末1の表面2側から薬指34を側面5aに沿って裏面4に及ばせ、カバー70bを介して裏面4に薬指34の指の先を当てる。このようにして持って携帯電子端末1の表面2を下向き(地面向き)にすると、甲当て部67dが指の甲39に当たり、掌当て部71aの先端の球体状の部分が掌36に当たる。この状態で、携帯電子端末1は手から落ちずに安定する。
【0119】
以下に携帯電子端末1が手から落ちない理由を説明する。
図44に本発明の携帯電子端末保持具の第15の実施形態の矢示図を示す。この図は、
図43の矢示A方向から見た図である。図において先の図と共通するものは同じ符号で示している。携帯電子端末1は表面2を下向きにカバー70bに収められている。この状態では、携帯電子端末1の自重がその重心にかかり地上に落ちようとするベクトル力53pが加わる。その力は携帯電子端末1からカバー70bに伝わり、起立貫通部74に貫通した棒6sと棒6tと掌当て部71aとに伝わる。棒6sと棒6tは甲当て部67dに接合されていて甲当て部は指の甲39に当たっている。そこで、前述のベクトル力53pはその応力として指の甲39を押し付けるベクトル力53sとなる。一方、高い剛性を持つ掌当て部71aはL字型に曲がっておりその先の球体が掌36に当たっている。前述のベクトル力53pはその応力として掌当て部71aの先端の球体が掌36を押しつけるベクトル力53rとなる。このとき、手に力を入れて手の形を保持しこれらのベクトル力を受け止めると、力が釣り合って携帯電子端末1が手から落ちない。
【0120】
これを観点を変えて説明すると、携帯電子端末1が落ちようとするベクトル力53pは、手の甲39と甲当て部67dとの接点を支点(中心)とした反時計周りのモーメントとなり、これは掌当て部71aの先の球体にそのモーメントが伝わるが掌36がこれを受け止めて携帯電子端末1は落ちずに静止する。また、更に異なる観点からは、携帯電子端末1が落ちようとするベクトル力53pは、掌当て部71aの先の球体と掌36との接点を支点(中心)とする反時計周りのモーメントとなり、これは甲当て部67dにそのモーメントが伝わるが、手の甲39がこれを受け止めて携帯電子端末1は落ちずに静止する。以上のような応力関係で携帯電子端末1は手から落ちることはない。
【0121】
また、この応力関係により、人差し指32や中指33や薬指34や小指35の指の先には保持に関する応力が加わっていないので、これらの指の先を裏面4(の表面のカバー70b)から離したとしても、携帯電子端末1は手から落ちることは無い。
【0122】
なお、本実施の形態では、側面から横に突き出した棒は棒6sと棒6tと二本であるが、上記の説明で判るように、棒は一本であっても同様に携帯電子端末1を手から落とさずに支えることができる。三本以上でも同様である。要するに、側面から横に突き出した棒の主たる機能は、甲当て部67dを側面5aと一定の距離で平行に固定することであり、この機能さえあれば携帯電子端末1は手から落ちることはない。また、棒と各指との関係についても、どの棒とどの指とが隣接しなければならないとかの条件はない。例えば、本実施例と同様に二本の棒があっても、その棒同士の間隔が広い場合は、その棒と棒との間に人差し指32と中指33と薬指34と小指35との四本全てを入れこれら四本の指の甲39で甲当て部67dを支えたとしても、同様に携帯電子端末1は手から落ちずに保持できるものである。
【0123】
この保持状態で、親指31には保持に関する力は何もかかっていない。掌当て部71aの球体も掌36の中央に当たっているので、親指31の根元の膨らみである拇指球にも何も力がかかっていない。即ち、親指31は自由に動かせる。そこで、携帯電子端末1の表面2にある表示部3(図示せず)を自由に押して入力することができる。即ち、下向きの携帯電子端末1を片手で保持しながらその片手で入力も出来るものである。
【0124】
更に、本実施の形態では、棒6sと棒6tとに、甲当て部67dを固定するという機能とは別の付加機能がある。本実施の形態では、棒6sと棒6tとの張り出し部72が人差し指32と中指33の指の股38aと中指33と薬指34の指の股38bとに当たっている。これにより、手の甲39に当たっている甲当て部67dがずれることを防ぐことができ、より一層安定に保持することが出来る。特に、親指31を遠くに持っていくために手を大きくゆがめた場合は、それにつれて人差し指32や中指33等の携帯電子端末1の裏面4上に指先を当てている指が裏面4上で斜めになる。その為、滑ったりして保持が不安定になる可能性がある。これに対して、本実施の形態では、棒6sと棒6tとに設けられた張り出し部72があるので、これらの指の横腹がこの張り出し部分72に当たり保持が安定している。
【0125】
以上のように本実施の形態では仰視で片手で持ってその親指で入力することができるが、広い範囲を親指31で入力しようとしたときに、掌当て部71aの先端の球体が常に掌に当たっていなければならないので、それが障害になり入力範囲が限定される。この親指31での入力範囲を更に拡大する方法がある。それを次に説明する。
【0126】
図45は本発明の携帯電子端末保持具の第15の実施形態の異なる矢示図である。
図43の矢印B方向から見た図である。図において先の図と共通するものは同じ符号で示している。表示部3(図示せず)の下端側、即ち側面5dに近い部分に入力しようとする場合、掌当て部71aの球体が表面2に直角に突き出ているとそれが邪魔になって親指31の先は下端側の表面2に届かない。ここで、本実施の形態では、
図45に示すように、L字型の掌当て部71aの棒6tと接し結束部73(起立貫通部74で隠れている)で結束された部分が、結束部73を軸受けとして結束の中で回転する。回転により、掌当て部71aの先端の球体は、表面2に垂直で側面5aを含む平面空間の中を円軌道で旋回する。先端の球体が時計回りの円軌道で側面5d側に矢印Cのように旋回移動すると、掌36もそれに応じて移動させることができ、親指31の先は下端側の表面2に届き、入力が出来るようになる。即ち、携帯電子端末1を落下させることなく下端側の入力が出来る。
【0127】
同様に、今度は表示部3(図示せず)の反対側である上端側、即ち側面5cに近い部分に入力しようとする場合、掌当て部71aの球体が表面2に直角に突き出ていると親指31を上端側の表面2に届かせようとすると、掌当て部71aの球体が掌36から外れてしまい、携帯電子端末1が落下してしまう。
図46は本発明の携帯電子端末保持具の第15の実施形態の異なる矢示図である。
図45同様に、
図43の矢印B方向から見た図である。図において先の図と共通するものは同じ符号で示している。前述同様に、L字型の掌当て部の棒6tと結束部73(起立貫通部74で隠れている)で結束された部分が結束の中で回転し、それにあわせて裏面先端の球体が反時計回りの円軌道で側面5c側に矢印Dのように旋回移動すると、掌当て部71aを掌36につけたままで、親指31の先は側面5cに近い上端側の表面2に届き、入力が出来るようになる。即ち、携帯電子端末1を落下させることなく上端側の入力が出来る。以上のようにして、掌当て部71aの先端部分の球体が旋回すると、親指31で広範囲に入力することができる。
【0128】
なお、あまり軽く容易に旋回すると掌36で支えることが不安定になるので、結束部73での締め付ける力を加減して、適当な大きさの静止摩擦力を持たせておくことが好ましい。
【0129】
また、本実施の形態では、掌当て部71aとしてL字型の剛体を用いて旋回させる方法を用いたが、掌当て部はL字型のものに限定されるものではない。要するに、掌当て部の必要条件は、側面5aから表面2側に突き出して一応の固定がされていることである。また、旋回させる手段についてもL字型の剛体を回転させる方法に限るものではない。
【0130】
なお、
図46で説明した場合も
図45の場合と同じく、親指31を遠くに持っていくために手を大きくゆがめた場合は、それにつれて人差し指32や中指33等の携帯電子端末1の裏面4上に指先を当てている指が裏面4上で斜めになる。その為、滑ったりして保持が不安定になる可能性がある。これに対して、本実施の形態では、棒6sと棒6tとに設けられた張り出し部72があるので、これらの指の横腹がこの張り出し部72に当たり保持が安定する。
【0131】
この張り出し部72は、携帯電子端末1を斜めに傾けて持つときにも有用である。携帯電子端末1を斜めに傾けると携帯電子端末1の重さによる応力により持つ指の位置が徐々にずれてくる。このようなずれを張り出し部72が指の横腹に当たることにより制止し、携帯電子端末1を斜めに持っても安定して保持することが出来る。
【実施例16】
【0132】
図47に本発明の携帯電子端末保持具の第16の実施の形態の表面の斜視図を示す。携帯電子端末1の裏面4(図示せず)と側面とを平均約1mm厚のカバー70cがぴったりと覆ってカバー70c内に携帯電子端末1を収納している。携帯電子端末1の側面5a上のカバー70cには、帯状のハンドベルト82がその両端で留め金76と止め輪77とでカバー70cに接着固定され、間接的に側面5aに連結されている。ハンドベルト82の長さは、持つ人の指の太さに応じて、止め輪77に挿入する長さを長くしたり短くしたりして調整できる。そのために、段々のノッチ78が設けられ、留め金79で所望の位置で固定できるようになっている。また、携帯電子端末1を使用しない時には、ハンドベルト82の先を止め輪77の中に最大限に引き入れて、ハンドベルト82が側面5aにほぼ沿うようにし、携帯の邪魔にならないようにすることができる。
【0133】
高い剛性を有する掌当て部71bは、側面5a上のカバー70cの端に、スペーサ81を介して軸部80により取り付けられている。この掌当て部71bは、ある程度以上の力を加えると、軸部80を中心に回転可能である。掌当て部71bの先端の旋回軌道は、中心が側面5a上の軸部に位置し、表面2にほぼ垂直で側面5aを含む平面に含まれた円軌道である。使用時には回転させて図のように表面2方向に突き出して使用される。不使用時には、回転させて側面5aに沿うようにして嵩張ることなく収納することができる。軸部80には、容易に回転しないように、またある程度以上の力で回転するように、適当な摩擦力を持たせる設計をしている。スペーサ81も掌当て部71bと摩擦力を持っていて、多少の力では掌当て部71bが回転しないようになっている。
【0134】
図48は本発明の携帯電子端末保持具の第16の実施形態の使用時の表面の斜視図である。携帯電子端末1の表面2を下(地面)向きにし、人差し指32を表面2側から側面5aに沿って当てる。そして、中指33と薬指34と小指35とを表面2側から、ハンドベルト82と側面5aとの間の空間に挿入する。このように保持すると、ハンドベルト82が中指33と薬指34と小指35との指の甲39に当たり、掌当て部71bの先端部分が掌36に当たる。この状態で、携帯電子端末1は手から落ちずに安定する。このとき、ハンドベルト82の手の甲39に当たっている部分と側面5aを覆うカバー70cの表面との距離は約2cmである。手から落ちない理由は、実施の形態15で説明した理由と同様である。即ち、落ちようとする携帯電子端末1の重さによる応力が、回転モーメントとして、掌当て部71bの先端とハンドベルト82とに伝わり、それぞれの力を、掌36と指の甲39とで受け止めることにより力をバランスさせているので、落下せずに安定するのである。このように安定した保持状態の下で、親指31はその根元の拇指球も含めて、保持の応力を全く受け止めていないので、自由に親指31を動かすことが出来る。従って、表面2の表示部3の広い範囲を自由に押して入力することができる。
【0135】
なお、人差し指32、中指33、薬指34、小指35の指先は、裏面4(の表面のカバー70c)に当てても当てなくてもよい。保持は指の甲39と掌36とで行われている。ただし、指先を裏面4に当てるほうがぐらつきが少なくなり保持が安定する。
【0136】
また、携帯電子端末1を斜めに傾けると携帯電子端末1の重さによる応力により持つ指の位置が徐々にずれて保持が不安定になることがある。このようなずれに対して、本実施の形態では人差し指32と中指33との間にハンドベルト82の一部を位置させているので、ずれかけたときにハンドベルト82が指の横腹に当たることによりずれを制止し、携帯電子端末1を斜めに持っても安定して保持することが出来る。そして、人差し指32と中指33との指の股38aがハンドベルト82に当たることにより、落下に関係する応力の一部を支えて更に保持を安定にしている。
【0137】
また、本実施の形態のように保持した場合、人差し指32の甲はハンドベルト82には当たっておらず、応力を支えていないので、元から自由度の高い親指31に加えて、人差し指32も自由に動かすことが出来る。このような自由な人差し指32は、携帯電子端末1の裏面4だけに留まらず、表面2側に指先を回してきて表示部3を触ることも出来る。親指31と人差し指32との二本の指で表示部3から入力できることになるので、二本の指で画面上をつまむように動かして画像縮小させるピンチインや、逆に二本の指を拡げるようにして画像拡大するピンチアウトなどの複雑な入力が出来ることになる。
【0138】
なお、人差し指32の位置は本実施の形態に限るものではない。ハンドベルト82に充分な長さの余裕があれば、人差し指32を中指33と薬指34と小指35と共に、表面2側からハンドベルト82と側面5aとに囲まれた空間に挿入しカバー70cの裏面部分にこれら四本の指の先を当てる持ち方でもよい。その場合でも、これらの指と上記空間とがぴったり合うようにハンドベルト82の端を止め輪77の中に引き入れてノッチ78を留め金79で固定すれば、ハンドベルトは元々殆ど伸びることがない材質なので、これら四本の指はしっかりと固定され、携帯電子端末1を安定して保持することができる。それと共に、携帯電子端末1を斜めにしても指がずれることもない。
【0139】
また、本実施の形態では、掌当て部71bは、側面5a上のカバー70cの端に取り付けられているが、この位置に限るものではない。先端が掌39に当たるように固定できるなら、側面5aのどの位置に取り付けても良い。ハンドベルト82の両端の取り付け箇所の間に取り付けても良い。
【0140】
以上のように、本発明は、ある程度以上の大きさの平板型携帯電子端末を、簡単な機構によって、片手でそれも親指を使わずに保持することができる。親指が自由になることで、入力が容易になる。しかも、表面が上向きの場合に限らず、表面が下向きの場合も、簡単な機構を更に追加することで、同様に片手で親指を使わずに保持することができ、親指の入力を容易にするものである。