(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つのホール素子(15)と、請求項1から8のいずれかに記載の少なくとも1つの応力センサ(1)とを含むホールセンサであって、少なくとも1つの該応力センサの出力信号は、該少なくとも1つのホール素子(15)の出力信号を応力補正するために使われる、ホールセンサ。
電流を少なくとも1つの前記ホール素子(15)に適用するための少なくとも2つの電流源(21、22、23、24)により特徴付けられ、前記応力センサ(1)の出力信号は、少なくとも2つの該電流源の1つを制御する、請求項9記載のホールセンサ。
互いに直角に延長している2つの軸に沿って配置される少なくとも5つの応力センサが提供され、単一の出力信号が、少なくとも1つの前記ホール素子(15)の出力信号を応力補正するため、該応力センサの出力信号から形成されることにおいて特徴付けられる、請求項9又は請求項10記載のホールセンサ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の応力センサ1の電気回路図を示す。応力センサ1は、半導体チップ2において一体化される4つの抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4によって形成されるホイートストンブリッジから構成される。以下に、x、y及びzは、デカルトの座標系の軸を指し、z軸は半導体チップの作動面3に垂直に延長し、x軸及びy軸は作動面3を囲む半導体チップの端に平行に延長する。抵抗R
1及びR
2は直列に接続され、抵抗R
3及びR
4は、抵抗R
1及びR
2と平行して、直列に接続される。抵抗R
1及びR
3は共通のノード4を有し、抵抗R
2及びR
4は電圧源又は電源に接続可能である共通のノード5を有する。抵抗R
1及びR
2は共通のノード6を有し、抵抗R
3及びR
4は共通のノード7を有し、それを経て、ホイートストンブリッジの出力信号V
Wは、差動電圧信号としてタップされ、増幅回路8に供給される。
【0021】
抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は、以下の特徴を有する:
1.抵抗R
1及びR
4は、p型抵抗、すなわち半導体チップ2において一体化されるp型ドーピングを有している抵抗である。
2.抵抗R
2及びR
3は、n型抵抗、すなわち半導体チップ2において一体化されるn型ドーピングを有している抵抗である。
【0022】
抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は加えて、好ましくは以下の特徴を有する。
3.4つの抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4の名目上の値は、プロセス関連の公差を無視すると、等しいサイズ、すなわちR
1=R
2=R
3=R
4である。これは、p型ドーピング又はn型ドーピングの層の抵抗に対応する抵抗ストリップの長さと幅の比率によって達成される。
4a)各々の抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は、直接に又は電気導体経由で互いに接続される長方形の抵抗セクションから構成され、抵抗を形成し、抵抗セクションの各々は、半導体チップの作動面3によって定められるxy面において所定の配向性を有し、第1の配向性を有しかつ同じ抵抗R
1、R
2、R
3、又は、R
4の1つに属するすべての抵抗セクションの抵抗値の合計は、第1の配向性に90°回転した第2の配向性を有しかつさらに同じ抵抗R
1、R
2、R
3、又は、R
4の1つに属するすべての抵抗セクションの抵抗値の合計は、同じ公称値を有する。
又は、
4b)n型抵抗R
2及びR
3は特徴4aにおいて実行され、p型抵抗R
1及びR
4は、半導体チップの端に関して45°又は−45°回転する長方形の抵抗ストリップである。
又は、
4c)4つの抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は、半導体チップの端に関して45°又は−45°回転する長方形の抵抗ストリップである。
5a)抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4のために使用されるドーピングは、好ましくは電気接点の製造のために使用される重度ドープしたN
+又はP
+ドーピングである。
又は、
5b)n型抵抗R
2及びR
3は、重度ドープしたN
+及び比較的軽度ドープしたN材料から構成される。p型抵抗R
2及びR
3は、重度ドープしたP
+材料から構成される。
又は、
5c)n型抵抗R
2及びR
3は、重度ドープしたN
+及び比較的軽度ドープしたN材料から構成されている。p型抵抗R
1及びR
4は、重度ドープしたP
+及び比較的軽度ドープしたP材料から構成される。
6.抵抗セクションおいて流れている電流は、本質的に半導体チップ2の作動面3に平行して流れる。抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は、したがって、横方向の抵抗と呼ぶことができる。
【0023】
ホイートストンブリッジは、概して半導体チップの集合体に位置するが、特定の用途において、例えば、露出した屈曲バー及び振動板のようなマイクロセンサの任意の超小形構造においても一体化され得る。電流又は電圧は、ノード4及び5を経てそれへ適用される。
【0024】
図2は、抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4が特徴1、2、3、4a、5及び6によって実行される本発明の応力センサの第1の例示的な実施態様による抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4の内部構造体を示す。抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は、同じ名目上の抵抗値を有し、互いに90°回転し、直列に接続される少なくとも2つの長方形の抵抗ストリップ11及び12を各々有する。この実施態様において、4つの抵抗ストリップ11はy軸に平行して整列配置され、4つの抵抗ストリップ12はx軸に平行して整列配置される。抵抗ストリップ11及び12は、x軸及びy軸にわたる平面内で任意の角度でも各々回転するが、互いに関するそれらの相対的な回転配向性が維持される、すなわち、それらがxy面に位置し、90°の角度を囲むことのみが重要である。
図2において図示した例示的な実施態様において、各々の抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4の各々抵抗ストリップ11及び12は、互いに分かれ、電気導体によって互いに接続されて、したがって共に対応している抵抗R
1、R
2、R
3又はR
4になる2つの個々の抵抗ストリップである。
【0025】
特徴4aにおいて特定される原理は、一対の長方形の抵抗ストリップによって最も単純に実行され、一対の2つの抵抗ストリップは半導体チップ2のxy面において互いに90°回転して配置され、
図2に示すように直列に接続される。すなわち、一対の2つの抵抗ストリップは、共にL字形の抵抗を形成する。
【0026】
平面の<110>配向性を有する標準の(100)シリコンで、応力上の抵抗値の依存関係は、以下の方程式によっておよそ与えられる:
ΔR
n/R
n=−24%/GPa*(Txx+Tyy)+53%/GPa*Tzz(1)
ΔR
p/R
p=2.7%/GPa*(Txx+Tyy)−1.1%/GPa*Tzz(2)
Txx、Tyy及びTzzは、それぞれ、x軸又はy軸又はz軸の方向に向きを定められる機械的な張力テンソルの3つの通常の張力構成要素を示す。特定された割合値(24%、53%、2.7%及び1.1%)は、低レベルのドーピングで、近似値として理解され、(100)シリコンの場合には、シリコン・ウエハーの回転配向性から独立している。
【0027】
Tzzが概して実際にはTxx及びTyyよりも非常に小さいので、以下の方程式が適用される:
ΔR
n/R
n=−24%/GPa*(Txx+Tyy) (3)
ΔR
p/R
p=2.7%/GPa*(Txx+Tyy) (4)
【0028】
機械負荷によって生じるn型抵抗の抵抗値の変化は、一方で、p型抵抗の抵抗値の変化よりもおよそ一桁(ここでおよそ9倍)大きい。抵抗R
1からR
4によって形成されるホイートストンブリッジがすべて出力信号を供給するように、異なるサイズは必要条件である。ホイートストンブリッジの出力信号V
Wは、Txx+Tyyの合計と比例している。また一方で、n型抵抗R
2及びR
3は、p型抵抗R
1及びR
4とおよそ類似した温度係数を有し、その結果は、ホイートストンブリッジの出力信号V
Wが温度変化によってわずかに影響されるだけである。重度ドープしたN
+又はP
+抵抗の温度係数は、より弱くドーピングされたn型ウエル又はp型ウエルの温度係数よりも、使用されるCMOSプロセスにおいておよそ2.5倍少ない。これが、重度ドープしたN
+又はP
+ドーピングが好ましくは抵抗のために使われる理由である。
【0029】
ホイートストンブリッジの差動の出力信号V
Wは増幅回路8(
図1)に供給され、そこで、第1の演算増幅器9によって差動信号に変換され、例えば一定値V
1の減算により第2の演算増幅器10によってオフセット補正され、応力センサ1の出力信号V
Sとして提供される。
【0030】
図3Aは、半導体チップ2の作動面3の上面図における抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの1つの例示的な実施態様を示す。抵抗は13.1から13.4までの複数の長方形の抵抗セクションで構成され、2つの抵抗セクション13の各々の1つの抵抗セクション13は、同じ名目上の抵抗値を有しかつ対を形成する他の抵抗セクション13に関してxy面において90°回転する。ここに2つの対がある:抵抗セクション13.1及び13.3は、第1の対を形成し、抵抗セクション13.2及び13.4は、第2の対を形成する。抵抗セクション13.2は、抵抗セクション13.1に関して角度45°回転する。抵抗セクション13.4は、抵抗セクション13.1に関して角度45°回転する。抵抗セクション13.1から13.4は、電気導体で示すように互いに直列に接続され得る。この場合、抵抗セクションは半導体チップ2上の任意の及び異なる場所に位置することができる。抵抗セクション13.1から13.4はまた、
図3Bに示すように、直接互いに接続され、単一のコヒーレント抵抗ストリップを形成する。
【0031】
図3Cは、抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの1つのさらに例示的な実施態様を示す。抵抗は、13.1から13.5までの5つの長方形の抵抗セクションで構成される。抵抗セクション13.2、13.3及び13.4は、同じ名目上の抵抗値Rを有する。抵抗セクション13.1及び13.5は半分の抵抗値R/2を有し、それらは、したがって、幾何学的に2つの部分へ分割される名目上の抵抗値Rを有している共通の抵抗セクションと考えられる。同一の、第1の配向性を有する抵抗セクション13.1、13.3及び13.5の抵抗値の合計は2*Rであり、同一の、第2の配向性を有する抵抗セクション13.2及び13.4の抵抗値の合計と等しく、第1及び第2の配向性は、半導体チップ2の作動面3によって定められるxy面において互いに90°回転している。
【0032】
図3Dは、抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4のうちの1つのさらに例示的な実施態様を示す。抵抗は、その縦軸が第1の方向に平行して、又は、第1の方向に対して直角の第2の方向に平行して延長する長方形の抵抗セクション13.1及び13.2から構成される。第1の方向に平行に整列配置された抵抗セクション13.1の抵抗値の合計は、第2の方向に平行に整列配置された抵抗セクション13.2の抵抗値の合計と等しい。原則として、第1の方向に平行に整列配置された各々の抵抗セクション13.1は、第2の方向に平行に整列配置された抵抗セクション13.2が割り当てられる。抵抗セクション13.1及び13.2は、技術により可能な限り互いに隣接して配置される。これは、明確性の理由により、図面には当てはまらない。抵抗セクション13.1及び13.2のこの配置により、小さな領域を占有し、かつ、抵抗セクション13.1の抵抗値の合計と抵抗セクション13.2の抵抗値の合計との比較的小さな分散を有するコンパクトな抵抗になる。
【0033】
同じ対に割り当てられる抵抗セクションの長さと幅の比率は、原則として、通常の張力構成要素Txxによる機械的負荷によって、通常の張力構成要素Tyyによる機械的負荷として抵抗セクションにより形成される抵抗の等しい大きさの変化が生じるように必要な大きさにされる。
【0034】
本発明の応力センサは、例えば、ホール効果に基づいた磁界センサの場合、ピエゾ・ホール効果によって生じる感度の変化のために補正することができる。
図4は、ホール素子15、n型抵抗16及びp型抵抗17を含むセンサセル14の上面図を示す。この例では、ホール素子15は、四角のn型ウエル(又はp型ウエル)であり、ホール電流の供給及びホール電圧のタッピングのための4つの電気接点18は、四角の角に配置される。n型抵抗16は、四角n型ウエルの4つの側に平行して整列配置され、互いに電気導体通路によって接続される4つの線形のn型抵抗ウエブ19によって形成される。4つのn型抵抗ウエブ19の各々の2つはしたがって、x軸及びy軸に平行して延長する。p型抵抗17は、四角の側に平行して整列配置され、電気導体通路によって互いに接続される4つの線形のp型抵抗ウエブ20によって形成される。4つのp型抵抗ウエブ20の各々の2つはしたがって、x軸及びy軸に平行して延長する。センサセル14の個々の要素のレイアウトは、機械負荷がセンサセル14を通じてできるだけ均等に分配されるように、可能な限り対称で実行される。
【0035】
図5は、
図4に示されるタイプの2つのセンサセル14の上面図を示す。2つのセンサセル14の2つのn型抵抗16及び2つのp型抵抗17は、
図1に示される電気回路図によりホイートストンブリッジとして接続され、発明の応力センサを形成する。図面の明確性の理由で、配線を示すために、特に実線、破線及び点線のような様々な線が使われる。2つのホール素子15は、それらの動作のために必要な電子回路と共に、ホールセンサを形成する。ホイートストンブリッジの差動出力信号V
Wは、応力センサの出力信号V
Sがオフセット補正出力信号として利用できるように増幅され、ホイートストンブリッジのオフセットが可能な限り排除される、例えば
図1において説明される増幅回路8のような増幅回路8に供給される。
【0036】
図6は、ピエゾ・ホール効果によって生じる2つのホール素子15の磁場に関係する感度の変化を補正するため、
図5に示される応力センサの出力信号V
Sが使われる方法の好適な例示的な実施態様を示す。ピエゾ・ホール効果によって生じる2つのホール素子15の感度の変化は、x方向及びy方向において作用している機械的負荷の合計Txx+Tyyに、第一次近似において比例する。
【0037】
2つのホール素子15は、スピン流法を用いた並列接続及び動作によって公知の方法で都合よくオフセット補正される(欧州特許第548391参照)。2つのホール素子15は、スピン流法を用いて互いに別々に作動され、各々は別々の定電流源によって駆動され、それらの出力信号が加えられる。
図6はしたがって、1つのホール素子15の電子回路の電気回路図を示すのみである。電子回路はこの例では、その電流が加えられ及び/又は減じられて、スピン流マルチプレクサ25を経て電流Iとしてホール素子15に供給される4つの電流源21から24を含む。マルチプレクサの出力に現れるホール電圧は、公知の方法で処理及び分析され得る交流電圧である。
【0038】
第1の電流源21はPTAT定電流源(PTAT=絶対温度と比例している)であり、絶対温度と比例している電流I
1を供給する。第2の電流源22はCTAT定電力源(CTAT=絶対温度を補うものである)であり、温度の増加と共に減少する電流I
2を供給する。第3の電流源23は温度から独立した抵抗RQによって制御され、温度から独立している電流I
3を供給する。第4の電流源24は応力センサ1の出力信号V
Sによって制御され、合計(Txx+Tyy)と比例している電流I
4を供給する。
I
1=I
P*[1+a*(T−T
0)]
I
2=I
C*[1−b*(T−T
0)]
I
3=I
R
I
4=c*V
S
T
0は選択された固定温度であり、a及びbはPTAT及びCTAT定電流源の特性によって与えられるパラメータであり、I
P、I
C、I
R及びcは、特定の温度範囲内の電流I
1からI
4の合計が以下の性質を有するように互いに適応する選択可能なパラメータである:
I=I
1+I
2+I
3+I
4=I
0*[1+δ*(T−T
0)+λ*V
S] (5)
係数δ及びλは定数であり、I
0は、温度T
0で、及び、機械的負荷の非存在下で電流源21から24により供給される電流を指す。
【0039】
ホール素子15が使われる温度範囲は、概して複数の、例えば3つの温度範囲に分割され、パラメータI
P、I
C、I
R及びcは、各々の個々の温度範囲において、一方でホール素子の電流に関する感度の一次従属性、及び、さらに応力センサの出力信号V
Sの温度上の一次従属性、他方で、機械的負荷上のホール素子の電流に関する感度の依存が電流Iによって補正されるように選ばれ、ホール素子の電流関連の感度の二次依存、及び、温度上の応力センサの出力信号V
Sの二次依存もまた、ホール素子15によって供給されるホール電圧U
Hが本質的に温度T及び機械的負荷Txx及びTyyとは独立するようにすべての温度範囲を通じて補正される。<110>平面を有する(100)シリコンでは、順流は、次のようになる:
I=I
0*[1+δ*(T−25℃)+ε*(T−25℃)
2+λ*V
S]
定数δ、ε及びλは、試験的な例において以下の値を有した:δ=300ppm/℃、ε=5ppm/℃
2、λ=2.2/V
【0040】
2以上のホール素子を平行に、スピン流法を加えて用いて作動し、適切なサインと共にそれらのホール電圧を加えるためのオフセット補正の理由で好都合であることが公知である。
図5に示されるホールセンサの2つのホール素子15は、共に応力センサ1のホイートストンブリッジを形成する2つのn型抵抗16及び2つのp型抵抗17によって、共に囲まれる。ホールセンサが4つのホール素子15を含む場合、
図4に示されるタイプのセンサセル14からホールセンサ及び応力センサ1も形成することは好都合である。応力センサ1のホイートストンブリッジが4つの抵抗を必要とするのみであるので、例えば、全体で8つの抵抗の2つのn型抵抗16及び2つのp型抵抗17が選択され、他の4つの抵抗は使用しないように形成され得る。あるいは、同じタイプの各々の2つの抵抗が直列又は平行に接続され、応力センサ1のホイートストンブリッジがそこから形成されるように、4つのセンサセル14の8つすべての抵抗が使われ得る。他の可能性は、2つのタイプのセンサセルを提供することであり、第1のタイプは1つのホール素子と、ホール素子を囲んでいるn型抵抗とを含み、第2のタイプは1つのホール素子と、ホール素子を囲んでいるp型抵抗とを含む。
【0041】
図7は、ホール素子15、2つのn型抵抗16.1及び16.2、2つのp型抵抗17.1及び17.2を含む、センサセル14の上面図を示す。n型抵抗16.1及び16.2は、ホール素子15の四角ウエルの側に平行して整列配置され、電気導体通路により互いに接続される、90°で互いに回転して配置される2つの線形のn型抵抗ウエブ19によって各々形成される。p型抵抗17.1及び17.2は、ホール素子15の四角ウエルの側に平行して整列配置され、電気導体通路により互いに接続される、90°で互いに回転して配置される2つの線形のp型抵抗ウエブ20によって各々形成される。このセンサセル14はしたがって、本発明により応力センサ1及びホール素子を形成するのに必要なすべての特性を有する2つのn型及び2つのp型抵抗を含み、したがって、例えば、
図6に示される回路図により本質的に温度補正及び応力補正される磁界センサを形成するために、最も単純な例を表す。
【0042】
図8から11は、本発明によるホール素子15(又は、ホール素子の一群)及び応力センサ26を含むさらなるホール素子を示す。応力センサ26はまた、半導体チップ2において一体化される4つの抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4によって形成されるホイートストンブリッジから構成されている。抵抗R
1及びR
2は直列に接続され、抵抗R
3及びR
4は直列に接続され、抵抗R
1及びR
2と平行して接続される。抵抗R
1及びR
3は共通のノード4を有し、抵抗R
2及びR
4は、電圧源又は電流源に接続可能である共通のノード5を有する。抵抗R
1及びR
2は共通のノード6を有し、抵抗R
3及びR
4は共通のノード7を有し、それを経てホイートストンブリッジの出力信号は差動信号としてタップされ、増幅回路に供給される。抵抗R
1及びR
4はp型抵抗であり、抵抗R
2及びR
3はn型抵抗である。
【0043】
図2に示される抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4の構造から進む短い抵抗ストリップ11及び12の複数の対が互いに配列される場合、段階状の抵抗が得られ、抵抗ストリップ11及び12が極限で無限に短く作成される場合、x軸に関して45°又は−45°回転する長方形の抵抗が得られる。
図8から11に示される応力センサ26の抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4はしたがって、特徴4cによる第2の例示的な実施態様によって実行される。
図11に示されるホールセンサの例示的な実施態様において、抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は、抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4の可能な限り小さい不一致を達成するため、ホール素子15に隣接し、互いに隣接して配置される。上記したように、半導体チップの端はx軸又はy軸に平行に延長することは、これらの例示的な実施態様において決定的である。応力センサ26及びホール素子15(又は、ホール素子の一群)は、以下の状態が満たされる場合、<110>平面を有する(100)シリコンを使用して、最適な応力補正ホールセンサを形成するために結合される:
−抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は、シリコンの<110>結晶方向に関して45°又は−45°回転する長方形の抵抗である(図に示されるx軸は、<110>結晶方向に平行に延長する)。
−ホール素子15(又は、ホール素子の一群)は、4つの電気接点のうちの2つに電流が適用されると、<110>結晶方向に45°又は−45°の角度でホール素子15を通じて斜めに電流が流れるように整列配置される少なくとも4つの電気接点を有する。半導体チップの端は平面に対して平行及び直角に延長するので、抵抗R
1、R
2、R
3及びR
4は、半導体チップの端に関して45°又は−45°回転する。
【0044】
ホイートストンブリッジの出力信号V
Wは、機械的負荷の影響を減少するため、その電流が先行する例のようにホール素子15に供給される電流源を制御する。
【0045】
図10に示されるホール素子15は、各々のスピン流法の作動段階において、等しい長さの8つの側及び8つの電気接点18を有する八角形の輪郭を有し、2つの直径に沿って対向する電気接点は、電流の電気接点として使われ、それへ90°によって回転して配置される2つのさらに直径に沿って対向する電気接点は、電圧の電気接点として使われる。電流は、<110>結晶方向に0°、45°、−45°又は90°の角度で各々の場合での個別の作動段階において流れる。
【0046】
図12は、本発明による応力センサ及びホール素子15を含むホールセンサのさらなる例示的な実施態様を示す。基材は、平面の<110>配向性を有する標準(100)シリコンである。半導体チップの端は、平面に対して平行及び直角に延長する。平面に0°及び90°で整列配置される長方形の抵抗ストリップ27の第1の対はn型抵抗R
2を形成し、平面に0°及び90°で整列配置される長方形の抵抗ストリップ28の第2の対はn型抵抗R
3を形成する。p型抵抗R
1及びR
4は、平面に−45°及び+45°で整列配置される、したがって、<100>結晶方向に平行に延長する長方形の抵抗ストリップ29又は30の少なくとも一対から構成される。各々の対の2つの抵抗ストリップは特徴4aによって実行される、すなわち、それらは共にL字状の抵抗を形成する。n型シリコンで、<110>結晶軸に沿ったピエゾ係数π
11及びπ
12の相違π
11−π
12が比較的小さいので、<110>結晶方向に平行したn型抵抗の配向性は、抵抗の不一致を減少させる。p型シリコンで、<100>結晶軸に沿ったピエゾ係数π
11及びπ
12の相違π
11−π
12が比較的小さいので、<100>結晶方向に平行したp型抵抗の配向性は、抵抗値の分散を減少させる。ホール素子15の抵抗R
1からR
4を流れている電流の影響を最小化するため、4つの抵抗R
1からR
4の8つの抵抗ストリップ27から30は、抵抗ストリップ27の中を流れている電流が反時計回りに流れ、抵抗ストリップ28の中を流れている電流が時計回りに流れ、抵抗ストリップ29の中を流れている電流が時計回りに流れ、及び、抵抗ストリップ30の中を流れている電流がホール素子15の周りで反時計回りに流れるように、接続される。互いに抵抗R
1からR
4に接続する導体通路は、
図12の完全性のために示されるのみであり、それらは、中を流れる電流ができるだけホール素子15の出力信号に対する影響を有しないような技術的可能性の範囲において実行される。
【0047】
図13は、4つの抵抗R
1からR
4が特徴4a及び5cにより実行され、様々な態様において最適化される本発明の応力センサ1のさらに例示的な実施態様を示す。各々の抵抗R
1からR
4で、以下の条件が適用する:
1.各々の抵抗は、4つの抵抗セクションから構成され、その2つが第1の方向に平行して整列配置され、もう2つが第1の方向に対して直角の第2の方向に平行して整列配置される。
2.各々の4つの抵抗セクションは、そのドーピングが異なる直列に接続される2つの抵抗ストリップで構成される。n型抵抗R
2及びR
3に使用されるドーピングは、重度ドープされたN
+ドーピングであり、好ましくは第1の抵抗ストリップの電気接点の製造のために使用されるN
+ドーピング、及び、中程度のNドーピング、好ましくは第2の抵抗ストリップの、ホール素子のウエルの製造のために使用されるドーピング、すなわち概してn型ウエルに指定されるドーピングである。p型抵抗R
1及びR
4のために使用されるドーピングは、重度ドープしたP
+ドーピングであり、好ましくは第1の抵抗ストリップの電気接点の製造のために使用されるP
+ドーピング、及び、中程度のPドーピング、好ましくは第2の抵抗ストリップの概してp型ウエルに指定されるドーピングである。N
+ドーピングを有する抵抗ストリップは参照符号35によって指定され、n型ウエルドーピングを有する抵抗ストリップは参照符号36によって指定され、P
+ドーピングを有する抵抗ストリップは参照符号37によって指定され、p型ウエルドーピングを有する抵抗ストリップは参照符号38によって指定される。抵抗R
3及びR
4の抵抗ストリップの参照符号が明確性のために外されるので、同一の抵抗ストリップは、同一の境界及び陰影を有して示される。
【0048】
N
+抵抗ストリップ及びn型ウエル抵抗ストリップは異なる温度係数を有し、加えて、重度ドープした及び軽度ドープした半導体材料のピエゾ抵抗係数は、異なる温度ドリフトを有する。各々の抵抗セクションのN
+抵抗ストリップ及びn型ウエル抵抗ストリップの抵抗値の比率は、応力に依存している抵抗変化の温度ドリフトがピエゾ・ホール温度係数と等しいようにされる。これは、以下の例で示される。
省略形で:
TC_N
+は、N
+材料の温度係数を指す;
TC_n
wellは、n型ウエル材料の温度係数を指す;
TC_p
+は、P
+材料の温度係数を指す;
TC_p
wellは、p型ウエル材料の温度係数を指す;
TC_πn
+は、N
+材料のピエゾ抵抗温度係数を指す;
TC_π
nwellは、n型ウエル材料のピエゾ抵抗温度係数を指す;
TC_phは、ホールプレートのピエゾ・ホール温度係数を指す;
R_
N+は、N
+抵抗ストリップの抵抗を指す;
R_n
wellは、n型ウエル抵抗ストリップの抵抗を指す;
R_
P+は、P
+抵抗ストリップの抵抗を指す;
R_p
wellは、p型ウエル抵抗ストリップの抵抗を指す;
α、β、γ、ηは、定位性パラメータを指す。
N
+抵抗ストリップ及びn型ウエル抵抗ストリップから形成される抵抗セクションの抵抗R
nは、したがって、R_
N+=α*R
n及びR_n
well=β*R
nとして、R
n=R_
N++R_n
wellである。この場合、α+β=1である。比率α/βは、応力に依存する抵抗変化の温度ドリフトは、ピエゾ・ホール温度係数と等しいという事実を組み込んで、方程式α*TC_πn
++β*TC_π
nwell=TC_phによって決定される。P
+抵抗ストリップ及びp型ウエル抵抗ストリップも、異なる温度係数を有する。
【0049】
各々の抵抗セクションのP
+抵抗ストリップ及びp型ウエル抵抗ストリップの抵抗値の比率は、p型抵抗R
1及びR
4の応力から独立した抵抗変化の温度ドリフトがn型抵抗R
2及びR
3の応力から独立した抵抗変化の温度ドリフトと等しく、抵抗R
1からR
4によって形成されるホイートストンブリッジの出力信号V
Wの温度係数がゼロに等しくなるような大きさにされる。
【0050】
P
+抵抗ストリップ及びp型ウエル抵抗ストリップから形成される抵抗セクションの抵抗R
pはしたがって、
R_
P+=γ*R
p及びR_p
well=η*R
pとして、
R
p=R_
P++R_p
well
である。
この場合、γ+η=1である。比率γ/ηは、方程式α*TC_n
++β*TC_n
well=γ*TC_p
++η*TC_p
wellによって決定される。抵抗R
1からR
4まで形成されるホイートストンブリッジのオフセットを無くすため、R
p=R
nでなければならない。定位性のためにそのように得られた値α、β、γ及びηは、方程式で使用される材料の定数がどのくらい正確に知られるかに依存し、最終的に経験的修正が必要とされる近似値である。
3.抵抗の8つ抵抗ストリップは、以下のように互いに電気接続される
a)同じ方向を有する2つの抵抗セクションで、反対方向に電流が流れる、
b)抵抗セクションのシーケンスは、それらの配向性、すなわち、第1の配向性の抵抗セクション、第2の配向性の抵抗セクション、第1の配向性の抵抗セクション及び第2の配向性の抵抗セクション、又は、その逆も同じである配向性に関して交互である、
c)8つの抵抗ストリップのシーケンスは以下の通りである:
N
+、n型ウエル、n型ウエル、N
+、N
+、n型ウエル、n型ウエル、N
+、又は、P
+、p型ウエル、p型ウエル、P
+、P
+、p型ウエル、p型ウエル、P
+。
【0051】
これらの測定は、例えば、空間電荷領域の影響、イオン注入の影響、その他のような非常に様々なタイプの影響から生じる抵抗値R
1からR
4の分散を最小化するために使われる。
【0052】
ピエゾ抵抗係数の温度ドリフトの影響は、n型抵抗R
2及びR
3においてよりもp型抵抗R
1及びR
4において非常に少ないので、異なるドーピングを有する2つの抵抗ストリップとしてのp型抵抗セクションの実施態様は、必要とは限らない、すなわち、p型抵抗セクションは代替的に、単一のP
+抵抗ストリップであり得る。
【0053】
本発明の応力センサ1の抵抗R
1からR
4は、上述した特徴及び例示的な実施態様の範囲において任意の方法で結合され、多様な方法で実行され、半導体チップ2上に配置され、応力補正ホールセンサを形成するため、少なくとも1つのホール素子と結合される。少なくとも1つのホール素子上の抵抗ストリップ又は抵抗セクションの中を流れている電流によって生成される磁場の影響を最小化するため、抵抗ストリップ又は抵抗セクションは、ホール素子周辺で電流又は複数の電流が一度時計回りに流れ、一度反時計回りに流れるように、都合よく配置される。
【0054】
図14A及びBは、
図13のn型抵抗セクションの抵抗ストリップ35及び36が単一の抵抗ストリップ43を形成するように結合されて実行される例示的な実施態様の輪郭及び断面図を示す。抵抗ストリップ43は、N
+材料のストリップ45が一体化されるn型ウエル44から構成される。電気接点端子46は、通常N
+領域に配置される。電流の一部分はしたがって、N
+領域の中を流れ、他の部分はn型ウエル領域を流れる。
図13のp型抵抗セクションの抵抗ストリップ37及び38は、同様に実行され得る。
【0055】
図15は、本発明のホール素子15及び応力センサ1を含む、ホールセンサのさらに例示的な実施態様を示す。この例示的な実施態様において、2つのn型抵抗R
2及びR
3は、ホール素子15のn型ウエル41上に次に配置され、p型ウエル40に配置される互いに直角に整列配置される2つのN
+抵抗ストリップ39から構成される。p型ウエル40は、この例では十字形であり、十字のアームはn型ウエル41を越えて横に突出している。p型抵抗R
1及びR
4は、互いに直角に整列配置される2つのP
+抵抗ストリップ42から構成される。この実施態様は、ホール素子15の場所で、応力の直接の測定を可能にする。本発明による少なくとも1つのホール素子及び少なくとも1つの応力センサを含むすべてのホールセンサにおいて、応力センサのホイートストンブリッジの出力信号は例えば、
図6に示される方法により、ホール素子の出力信号の応力の影響を補正するために用いられる。しかしながら、応力センサのホイートストンブリッジの出力信号もデジタル化され、そして、デジタル化されるホール素子の出力信号の補正のために使われ得る。
【0056】
図16から18は、それに応じてS1からS5又はS1からS9によって識別されるそれぞれ5つ又は9つの一体型の応力センサを有するホール素子15を含むホールセンサを各々示す。各々のこれらの応力センサは、上記の例示的な実施態様の1つにより応力センサとして実行され、好ましい実施態様は
図16から18に示され、さらに詳細に以下に説明される。応力センサS1からS5又はS9は別々のn型抵抗を各々含み、一方でp型抵抗R
1及びR
4はそのすべてによって共有され、1つの応力センサの測定信号を相次いで記録するため、スイッチ(図示せず)による動作においてそれに応じて接続される。n型抵抗R
2及びR
3は、同じ名目上の抵抗値を有し、互いに90°回転して、直列に接続される少なくとも2つの長方形の抵抗ストリップ11及び12を各々有する「L字状の」抵抗である。図面の明確性のため、n型抵抗R
2及びR
3は、応力センサS
1においてのみ識別され、抵抗ストリップ11及び12は、応力センサS1の抵抗R
2においてのみ識別される。n型抵抗は、
図15で例示的に示した実施態様のようにホール素子のn型ウエル41において埋め込まれているp型ウエル40に一体化され、好ましくは示されるように十字形であり、ホール電気接点18を露出させる。p型抵抗R
1及びR
4もまた、ホール素子15の周りに配置される「L字状」の抵抗である。p型抵抗R
1及びR
4は、同じ名目上の抵抗値を有し、示されるように好ましくは各々直列に接続される少なくとも4つの長方形の抵抗ストリップから構成され、各々2つの抵抗ストリップは他の2つの抵抗ストリップに関して90°回転される。
【0057】
応力センサは十字形状に配置され、特に3つ又は5つの応力センサはx軸に沿って配置され、3つ又は5つの応力センサはy軸に沿って配置され、応力センサS1は2つの軸の中央及びホール素子15の中央に配置される。
【0058】
位置x又は位置yの関数として、機械的な応力構成要素シグマ=Txx+Tyyの経過はsigma(x)=A
0+A
1*x+...+A
n*x
n、sigma(y)=B
0+B
1*x+...+B
n*x
nで表すことができる。ホールセンサの動作において、次数nまでの係数A
0からA
n、及び、B
0からB
nは、典型的な数学的な方法によってx軸に沿って配置される応力センサ及びy軸上に配置される応力センサの出力信号から決定される。次数nは、
図16及び17の実施態様において多くて2であり、
図18の実施態様において最高でも4である。
【0059】
係数A
0からA
n及びB
0からB
nは、加重係数k0からkmによって逓倍され、応力信号V
Sを形成するために加えられた:
V
S=k
0*A
0+k
1*A
1+k
2*A
2+...+k
m/2*A
n+k
m/2+1*B
0+...+k
m−1*B
n−1+k
m*B
n
ホール素子15によるホール電流は、それから方程式(6)によって好ましくはストレス補正される。