(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される従来の燃料電池装置の一例を
図9により説明する。燃料電池装置120は、収納容器122を備え、その内部には、複数の燃料電池セル124を備えた燃料電池セルスタック126、被改質ガスが供給される改質器128、及び、改質された燃料ガスを収納して各燃料電池セル124の内側に供給する燃料ガスタンク130が配置されている。収納容器122の下部には、酸素含有ガス(発電用空気)を燃料電池セル124の外側に供給するための酸素含有ガス配管132が接続され、さらに、上部に開口する排出口135には排気ガス配管134が接続されている。燃焼部136における燃料ガスの燃焼によって生成した燃焼ガスは、矢印Aのように流れて改質器128を予熱した後に、排出口135及び排気ガス配管134を介して外部に排出されるようになっている。
【0007】
この
図9に示された燃料電池装置120においては、燃焼部136で生成された燃焼ガスは、低圧である排気ガス配管134の排出口に向けた偏った流れとなるため、改質器128は排出口135寄りの入口129側が局所的に加熱される。改質器の入口129側は、流入してきた非改質ガスが最初に改質触媒と接触し、改質反応の発熱によって高温となりやすい箇所である。したがって、当該箇所における改質触媒が、改質反応による発熱に加えて燃焼ガスの熱でも加熱されると、過度の加熱による改質触媒の劣化や炭素析出が生じるという恐れがあった。
【0008】
これを抑制するため、特許文献2記載の燃料電池装置では、改質触媒入口部を燃焼領域から離間させて、過度の加熱を防止している。しかしながら、この対策では改質器が大型し、燃料電池装置をコンパクトに構成できないという課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、コンパクトに構成しながらも、燃焼ガスによって改質器の入口部側が過度に加熱されることを抑制することができる燃料電池装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスにより発電を行う燃料電池装置において、電気的に接続された複数の管状の燃料電池セルを有し、これらの燃料電池セルにより燃料ガスと酸化剤ガスが反応して発電する燃料電池セル集合体であって、管状の燃料電池セルの内側の下端部から上端部へ燃料ガス又は酸化剤ガスの何れか一方が内部ガスとして流れる上記燃料電池セル集合体と、上記燃料ガスのうち発電に使用されなかった残余の燃料ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼部と、原料ガスを改質して燃料ガスを生成する改質器であって、改質触媒を収容する収容部と、原料ガスを上記収容部に流入させる入口部と、燃料ガスを上記収容部から流出させる出口部とを有し、上記燃焼部の上方に配置される上記改質器と、上記燃焼部で生成された燃焼ガスを外部に排出するための排出口と、を有し、燃焼ガスが上記改質器の出口部側に偏って流れ上記排出口に至るよう構成されたことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、燃焼部で生成された燃焼ガスを改質器の出口部側に偏って流すことで、燃焼ガスによって改質器の入口部側が過度に加熱されることを抑制することができる。したがって、過度の加熱による入口部側の改質触媒の劣化や、炭素析出を防止することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記改質器の上方であって且つ上記入口部よりも出口部寄りに上記排出口を設けている。
このように構成された本発明においては、燃焼ガスは排出口を指向して流れるため、簡易な構成により、燃焼ガスを改質器の出口部側に偏らせて流し、燃焼ガスによって改質器の入口部側が過度に加熱されることを抑制することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記改質器の上面近傍に上記排出口を設けている。
改質器の上面から上方に大きく離れた位置に排出口を設けると、燃焼部のうち改質器の入口部寄りの部分で生成される燃焼ガスが、強く上方を指向して(大きな上向きの流速成分をもって)流れるようになる。したがって、改質器の入口部側に燃焼ガスが流れ易くなり、過度に加熱されてしまうおそれがある。
本発明によれば、改質器の上面近傍に排出口を設けたことで、燃焼部のうち改質器の入口部寄りの部分で生成される燃焼ガスが入口部側に流れ、改質器の入口部側が過度に加熱されることを抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記排出口は、水平方向の寸法に対し上下方向の寸法が小さく形成されている。
排出口の上下方向の寸法が大きいと、燃焼部のうち改質器の入口部寄りの部分で生成される燃焼ガスが、強く上方を指向して流れるようになる。したがって、改質器の入口部側に燃焼ガスが流れ易くなり、入口部側が過度に加熱されてしまうおそれがある。
本発明によれば、排出口は、水平方向の寸法に対し上下方向の寸法を小さく形成することで、燃焼部のうち改質器の入口部寄りの部分で生成される燃焼ガスが入口部側に流れ、改質器の入口部側が過度に加熱されることを抑制することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記排出口はその法線方向が略水平となるよう開設されている。
このように構成された本発明においては、排出口に向けて水平方向に流れる気流を燃焼部の上方に亘って形成することができるため、より効率的に燃焼ガスを改質器の出口部側に偏らせて流し、燃焼ガスによって改質器の入口部側が過度に加熱されることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の燃料電池装置によれば、コンパクトに構成しながらも、燃焼ガスによって改質器の入口部側が過度に加熱されることを抑制することができる燃料電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による燃料電池装置である固体電解質形燃料電池(以下「燃料電池装置」又は「SOFC」と言う。)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるSOFCを示す全体構成図である。この
図1に示すように、本発明の一実施形態によるSOFC1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
【0018】
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材(図示せず)を介して密封空間8が形成されている。この密閉空間8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(空気)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。
この燃料電池セル集合体12は、10個の燃料電池セルスタック14を備え、この燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16(
図5参照)から構成されている。このように、燃料電池セル集合体12は、160本の燃料電池セルユニット16を有し、これらの燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
【0019】
燃料電池モジュール2の密封空間8の上述した発電室10の上方には、燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の酸化剤ガス(空気)とが燃焼し、燃焼ガス(排気ガス)を生成するようになっている。
また、この燃焼室18の上方には、燃料ガス(原料ガス)を改質する改質器20が配置され、上述した燃焼ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。さらに、この改質器20の上方には、詳細は後述する、燃焼ガスの熱により外部から導入される酸化剤ガス(発電用空気)を加熱する熱交換器22が配置されている。
【0020】
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料ガスを遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される酸化剤ガスである空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44(モータで駆動される「空気ブロア」等)及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
【0021】
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
【0022】
次に、
図2乃至
図4、
図6、
図7により、本発明の実施形態によるSOFCの燃料電池モジュール2の内部構造を説明する。
図2は本発明の一実施形態による燃料電池装置のハウジング6が取り外された状態の燃料電池モジュール2を示す斜視図であり、
図3は本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュール2を
図2のA方向から見た断面図であり、
図4は本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュール2を
図2のB方向から見た断面図であり、
図6は本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを
図2のB方向から見た概略図であり、
図7は本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールを
図2のA方向から見た概略図である。
【0023】
先ず、
図2乃至
図4に示すように、燃料電池モジュール2の燃料電池セル集合体12は、ケーシング56により、全体が覆われている。ここで、燃料電池セル集合体12は、B方向よりA方向の方が長いほぼ直方体形状であり、
図4に示すように、上面12a、下面12b、
図2のA方向に沿って延びる長辺側面12cと、
図3に示すように、
図2のB方向に沿って延びる短辺側面12dを備えている。
【0024】
次に、燃料電池モジュール2内の密封空間8内の最下方部分には、蒸発混合器58が燃料電池セル集合体12の長辺側面12cに沿って設けられている。この蒸発混合器58は、燃焼ガスにより加熱して、水を水蒸気にすると共に、この水蒸気と、被改質ガスである燃料ガス(都市ガス)と酸化剤ガスである空気とを混合するためのものである。この蒸発混合器58の一端側には、
図2、
図4に示すように、被改質ガス供給管60と、水供給管62が接続され、被改質ガス供給管60は、燃料流量調整ユニット38及び改質用空気流量調整ユニット44から、被改質ガス(燃料ガス)及び改質用空気を導入するようになっている。
【0025】
蒸発混合器58の他端側には、
図4に示すように、燃料供給管64の下端が接続され、この燃料供給管64の上端は、改質器20の上流端に接続され、この燃料供給管64により、燃料ガスが蒸発混合器58から改質器20へ供給されるようになっている。また、改質器20の下流端には燃料供給管66の上端が接続され、この燃料供給管66の下端側66aは、燃料ガスタンク68内に進入して、水平方向に延びている。
【0026】
燃料ガスタンク68は、
図3及び
図4に示すように、燃料電池セル集合体12の真下に設けられている。また、燃料ガスタンク68内に挿入された燃料供給管66の下端側66aの外周には、長手方向(A方向)に沿って複数の小穴(図示せず)が形成されており、改質器20で改質された燃料ガスが、燃料ガスタンク68内に長手方向に均一に供給されるようになっている。燃料ガスタンク68に供給された燃料ガスは、後述するように、燃料電池セルユニット16の内側にある燃料ガス流路88(
図5参照)内に供給され、燃料電池セルユニット16内を上昇して、燃焼室18に至るようになっている。
【0027】
改質器20は、
図3及び
図4に示すように燃料電池セル集合体12の上部に設けられており、蒸発混合器58、燃料ガスタンク68とそれぞれ燃料供給管64、66を介して接続、固定されている。改質器20の内部は、
図4に示すように入口部20aおよび出口部20bにおいてそれぞれ設けられた仕切り板P1、P2にて区画された収容部21に改質触媒RCが充填されている。蒸発混合器58で水が蒸発して生成された水蒸気と混合された燃料ガスは、燃料供給管64内を上昇して改質器入口部20aから収容部21内に流入する。燃料ガスは改質触媒RCによって水素リッチなガスに改質された後、改質器出口部20bから流出し、燃料供給管66内を下降して燃料ガスタンク68に至るようになっている。
【0028】
次に、発電用空気を燃料電池モジュール2へ供給するための構造を説明する。先ず、
図2乃至4に示すように、改質器20の上方に、燃料電池モジュール2の燃料電池セル集合体12の上面12a及び短辺側面12d(
図2及び
図4の右側短辺側面)に沿って、上述した熱交換器22が設けられている。熱交換器22には、詳細は後述する複数の燃焼ガス配管70と、この燃焼ガス配管70の周囲に形成された発電用空気流路72が設けられている。
【0029】
なお、本実施形態においては、熱交換器22は、燃料電池セル集合体12の上面12a及び右側の短辺側面12dに沿って設けるようにしているが、これに限らず、熱交換器22を、右側の短辺側面12dのみに沿って設けても良いし、右側及び左側の両方の短辺側面12dのみに沿って設けても良いし、さらに、上面12a及び両側の短辺側面12dに沿って設けるようにしても良い。
【0030】
熱交換器22の短辺側面12dに沿って設けられた部分の下端の一端側には、
図2に示すように、発電用空気導入管74の導入口74aが取り付けられており、この発電用空気導入管74により、発電用空気流量調整ユニット45から、発電用空気が、熱交換器22内に導入されるようになっている。
【0031】
また、
図4に示すように、熱交換器22の上側の他端側には、発電用空気流路72の出口ポート72aが形成され、さらに、
図3に示すように、燃料電池モジュール2のケーシング56の幅方向(B方向:短辺側面方向)の両側の外側には、発電用空気供給路76が形成され、上述した発電用空気流路72の出口ポート72aから、発電用空気が供給されるようになっている。この発電用空気供給路76は、燃料電池セル集合体12の長手方向(長辺側面12c方向)に沿って形成され、さらに、その下方側であり且つ燃料電池セル集合体12の下方側に対応する位置に、発電室10内の燃料電池セル集合体12の各燃料電池セルユニット16に向けて発電用空気を吹き出すための複数の吹出口78が、長手方向に沿って、等間隔に、形成されている。これらの吹出口78から吹き出された発電用空気は、各燃料電池セルユニット16の外側に沿って、下方から上方へ流れるようになっている。
【0032】
次に、燃料ガスと発電用空気(酸化剤ガス)が燃焼して生成される燃焼ガスを排出するための構造を説明する。上述したように、熱交換器22内には、燃焼室18で燃料ガスと発電用空気(酸化剤ガス)が燃焼して生成された燃焼ガスを排出するための複数の燃焼ガス配管70が設けられている。
図4に示すように、燃焼ガス配管70の上流端側にはマニホールド102が設けられており、排出口101から流入する燃焼ガスを各燃焼ガス配管70に分配している。後述するように、排出口101は改質器20の上方に開口しており、矩形形状となっている。燃焼ガス配管70の下流端側には、燃料電池セル集合体12の下方に位置し長手方向に延びる燃焼ガス排出室80が形成され、燃焼ガス配管70の下端側と燃焼ガス排出室80が接続されている。なお、この燃焼ガス排出室80内に、上述した蒸発混合器58が配置され、この蒸発混合器58内の燃料ガスが、高温の燃焼ガスにより、長手方向に沿って、加熱されるようになっている。さらに、燃焼ガス排出室80の下面には、燃焼ガス排出管82が接続され、燃焼ガスが外部に排出されるようになっている。
【0033】
次に
図5により燃料電池セルユニット16について説明する。
図5は、本発明の一実施形態によるSOFCの燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図5に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の上下方向端部にそれぞれ接続された内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内側(内部)に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
【0034】
燃料電池セル16の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路98が形成されている。
【0035】
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
【0036】
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
【0037】
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
【0038】
次に、
図2に示すように、熱交換器22内には、複数の燃焼ガス配管70は、流路抵抗を小さくするために、ほぼ直線状に延びるように配置されている。さらに、これらの燃焼ガス配管70が直線状に延びる方向に対して直角方向に延びる複数(具体的には7枚)のガイド板100が取り付けられている。これらのガイド板100は、燃焼ガス配管70の長手方向に沿って、ほぼ等間隔に、千鳥状に配置されている。これらのガイド板100は、燃焼ガス配管70を支持する支持部材としても機能している。これらのガイド板100を設けることにより、発電用空気流路72は、蛇行した流路となり、発電用空気は、燃焼ガス配管70と複数回交差して流れるようになっている。
【0039】
次に、
図7及び
図8により、排出口101、及び、燃焼室18から排出口101に向かう燃焼ガス流れの詳細について説明する。
図8は、本発明の一実施形態による燃料電池装置の燃料電池モジュールの燃焼ガス流れを
図2のB方向から見た概略図および比較例である。
【0040】
本発明の一実施形態である
図8(a)に示すように、排出口101aは改質器20の出口部20b側寄りの上面近傍に設けられている。燃焼室18で生成された燃焼ガスが、排出口101aに向かって流れるようになっている。
【0041】
上述したように、熱交換器22の燃焼ガス配管70の上流端側にはマニホールド102が設けられ、燃焼室18で生成された燃焼ガスが、燃焼室18より低圧のマニホールド102の排出口101に向かって、流れるようになっている。ここで、マニホールド102は改質器20の出口部側20b寄りに設けられている。
【0042】
さらに、排出口101aは、その法線方向Vaが略水平となるよう開設されている。排出口101aの形状は
図7に示すように、水平方向の寸法Wに対して、上下方向の寸法Hが小さい矩形状に形成されている。
【0043】
このような構成により、燃焼ガスは矢印Aaのように改質器20の出口部20b側に偏って流れ、排出口101aに至るため、燃焼ガスによって改質器20の入口部20a側が過度に加熱されることを抑制することができる。したがって、それに伴う炭素析出や、改質器20の入口部20a側の改質触媒RCの劣化を防止することができる。
【0044】
図8(b)に示す比較例では、排出口101bは改質器20の上面から上方に比較的大きく離して設けられている。このような構成では、燃焼室18で生成された燃焼ガスは矢印Abのように上方への指向性が高まり、燃焼ガスの流れの偏りが鈍化されて改質器20の入口部20a側が過度に加熱されてしまうおそれがある。
これに対し、
図8(a)に示した本発明の一実施形態では、排出口101aを改質器20の上面近傍に設けることで燃焼ガスの上方への指向性を弱め、燃焼ガスが改質器20の出口部20b側に大きく偏って流れることで、改質器20の入口部20a側が過度に加熱されることを効果的に抑制することができる。
【0045】
また、
図8(c)に示す比較例では、排出口101cは上下方向の寸法が比較的大きく形成されている。このような構成では、燃焼室18で生成された燃焼ガスは矢印Acのように上方への指向性が高まり、燃焼ガスの流れの偏りが鈍化されて改質器20の入口部20a側が過度に加熱されてしまうおそれがある。
これに対し、
図8(a)に示した本発明の一実施形態では、排出口101aの形状は、水平方向の寸法Wに対して、上下方向の寸法Hが小さい矩形状とすることで(
図7参照)、燃焼ガスの上方への指向性を弱め、燃焼ガスが改質器20の出口部20b側に大きく偏って流れることで、改質器20の入口部20a側が過度に加熱されることを効果的に抑制することができる。
【0046】
さらに、
図8(d)に示す比較例では、排出口101dはその法線方向Vdが鉛直方向となるよう開設されている。このような構成では、燃焼室18で生成された燃焼ガスは、水平方向に流れた後、流れる方向を上方に変えて排出口101dから排出されることとなるため、スムーズな排出が困難になる。したがって、燃焼ガスは矢印Adのように上方への指向性が高まり、燃焼ガスの流れの偏りが鈍化されて改質器20の入口部20a側が過度に加熱されてしまうおそれがある。
これに対し、
図8(a)に示した本発明の一実施形態では、排出口101aはその法線方向Vaが略水平方向となるよう開設されている。これにより、燃焼ガスは水平方向への指向性が高まり、排出口101dからスムーズに排出されるため、燃焼ガスが改質器20の出口部20b側に大きく偏って流れることで、改質器20の入口部20a側が過度に加熱されることを効果的に抑制することができる。
【0047】
上述した本実施形態による燃料電池装置においては、燃料電池セル集合体12の燃料電池セル84の外側に供給される外部ガスは、発電用空気(酸化剤ガス)であり、一方、燃料電池セル84の内部を流れる内部ガスは、燃料ガスとしている。しかしながら、本実施形態は、これに限定されず、外部ガスとして、燃料ガスを使用し、一方、燃料電池セル84の内部を流れる内部ガスとして、発電用空気(酸化剤ガス)を使用するようにしても良い。
【0048】
また、上述した本実施形態による燃料電池装置においては、燃料電池セル84は内部に単一の燃料ガス流路88を有する円筒状としたが、本実施形態は、これに限定されず、内部に複数の燃料ガス流路又は発電用空気を流通させる流路を有する形状としても良い。