特許第5915980号(P5915980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5915980
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】意匠部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/10 20060101AFI20160422BHJP
   B29C 51/30 20060101ALI20160422BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20160422BHJP
   B44C 1/24 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   B29C51/10
   B29C51/30
   B23K26/36
   B44C1/24 C
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-96283(P2012-96283)
(22)【出願日】2012年4月20日
(65)【公開番号】特開2013-223941(P2013-223941A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年2月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000111616
【氏名又は名称】ハマニ化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】無州 光昭
(72)【発明者】
【氏名】小林 大介
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭43−17823(JP,B1)
【文献】 特開平7−156275(JP,A)
【文献】 特開平10−242340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00−51/46
B29C 51/30
B44C 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製板材の裏面における所定部位を所定形状に切削加工する切削加工工程と、
該切削加工工程を経た樹脂製板材の裏面に対して表面が平滑な成形型を押圧しつつ当該樹脂製板材と成形型との間の空気を吸引して所望形状に成形し、前記所定形状に対応した凹凸を当該樹脂製板材の表面に形成する成形工程と、
を有することを特徴とする意匠部材の製造方法。
【請求項2】
透明又は半透明な樹脂製板材の裏面に不透明な着色層を形成する着色層形成工程を有し、前記切削加工工程は、当該着色層形成工程で形成された着色層の所定部位を所定形状に切削加工することを特徴とする請求項記載の意匠部材の製造方法。
【請求項3】
前記着色層形成工程は、不透明なフィルムを前記樹脂製板材の裏面に接着させて前記着色層とすることを特徴とする請求項記載の意匠部材の製造方法。
【請求項4】
前記切削加工工程は、レーザを所定形状に沿って照射させて切削するレーザ加工にて切削加工することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の意匠部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の内装材等に好適に使用されるカバー等の意匠部材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車の内装材として、従来より、表面に意匠が施されたアクリル板等の樹脂製板材を所望形状に成形して成る意匠部材が提供されている。かかる従来の意匠部材として、例えば特許文献1に開示されているように、デジタル印刷によって柄が付与された印刷シートをアクリル系樹脂シートの表面にラミネートして複合シートを作成し、当該複合シートをプラスチック成形品上に真空吸引して接着して成るものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−305761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の意匠部材においては、複合シートに印刷された柄が透明なアクリル系樹脂シートを透過して意匠を構成するものであるため、柄による意匠だけでは差別化を図るのが困難であるという問題があった。そこで、本出願人は、表面に所定形状の凹凸形状を施して意匠とするものとして差別化を図るとともに、当該凹凸形状を容易かつ精度よく形成させ得るものを鋭意検討するに至った。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、表面に所定形状の凹凸から成る意匠を容易かつ精度よく形成することができる意匠部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項記載の発明は、樹脂製板材の裏面における所定部位を所定形状に切削加工する切削加工工程と、該切削加工工程を経た樹脂製板材の裏面に対して表面が平滑な成形型を押圧しつつ当該樹脂製板材と成形型との間の空気を吸引して所望形状に成形し、前記所定形状に対応した凹凸を当該樹脂製板材の表面に形成する成形工程とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項記載の発明は、請求項記載の意匠部材の製造方法において、透明又は半透明な樹脂製板材の裏面に不透明な着色層を形成する着色層形成工程を有し、前記切削加工工程は、当該着色層形成工程で形成された着色層の所定部位を所定形状に切削加工することを特徴とする。
【0012】
請求項記載の発明は、請求項記載の意匠部材の製造方法において、前記着色層形成工程は、不透明なフィルムを前記樹脂製板材の裏面に接着させて前記着色層とすることを特徴とする。
【0013】
請求項記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の意匠部材の製造方法において、前記切削加工工程は、レーザを所定形状に沿って照射させて切削するレーザ加工にて切削加工することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、樹脂製板材の裏面における所定部位を所定形状に切削加工した後、当該樹脂製板材の裏面に対して表面が平滑な成形型が押圧されつつ当該樹脂製板材と成形型との間の空気が吸引されて所望形状に成形され、所定形状に対応した凹凸が当該樹脂製板材の表面に形成されるので、表面に所定形状の凹凸から成る意匠を容易かつ精度よく形成することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、樹脂製板材は、透明又は半透明な樹脂製板材の裏面に不透明な着色層を形成して成り、当該着色層の所定部位を所定形状に切削加工した後、成形型による成形がなされるので、切削加工により着色層が除去された部位が意匠部材における表面の凹部、着色層が残存した部位が意匠部材における表面の凸部となり、着色層に応じた凹凸を形成させることができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、着色層は、不透明なフィルムを樹脂製板材の裏面に接着させて形成されるので、当該フィルムに所望の模様や文字等の意匠を施すことができ、より容易に任意の意匠を施すことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、切削加工は、レーザを所定形状に沿って照射させて切削するレーザ加工とされたので、少量ロットの意匠の意匠部材であっても容易に対応することができるとともに、より精度良く且つ円滑に所定部位の切削加工を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る意匠部材を示す全体平面図及び正面図
図2図1におけるII−II線断面図
図3】同意匠部材の製造過程(着色層形成工程)を示す模式図
図4】同意匠部材の製造過程(切削加工工程後の状態)を示す模式図
図5図4におけるV−V線断面図
図6】同意匠部材の製造過程(成形工程)を示す模式図
図7】同意匠部材の製造方法を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る意匠部材は、自動車の内装材等の所望部品を覆うカバーから成るもので、図1、2に示すように、樹脂製板材2と、着色層3と、所定部位Aとを有して構成されている。かかる意匠部材1は、下方を開口させた箱形状とされており、その上面に凹凸形状(所定部位Aが凹部に相当)から成る意匠が形成されて成るものとされている。
【0020】
樹脂製板材2は、透明又は半透明な樹脂製部材から成り、本実施形態においてはアクリル板にて構成されている。この樹脂製板材2の表面2aは、所望部品を覆った状態で、外部に臨んだ面C(図2参照)とされるとともに、その裏面2bには、着色層3が形成されている。この着色層3は、不透明なフィルムから成るもので、本実施形態においては、黒色の薄膜状フィルムから成るものである。具体的には、樹脂製板材2の裏面2b全域に亘って接着剤又は溶剤等を塗布しておき、当該裏面2bに対してフィルムを接着させることにより着色層3が形成されている。
【0021】
所定部位Aは、樹脂製板材2の裏面2b側における着色層3を所定形状に切削加工して形成された所定部位A’(図4、5参照)に対応する部位である。本実施形態に係る所定部位Aは、図1、2に示すように、意匠部材1の上面に形成された矩形状(略正方形)から成り、樹脂製板材2の裏面2bにおける着色層3を切削加工した領域(所定部位A’に対応した領域)とされている。なお、本実施形態においては、所定部位Aが3つ並列して形成されており、隣り合う所定部位Aの間の領域が部位Bとされ、当該部位Bが部位B’(図4、5参照)に対応する部位とされている。なお、当該部位B’は、その着色層3が切削加工されておらず黒色のフィルムが残った状態とされている。
【0022】
本実施形態に係る所定部位A’は、樹脂製板材2の裏面2bに対してレーザを所定形状に沿って照射させて着色層3を切削するレーザ加工にて形成されている。具体的には、パソコン(パーソナルコンピュータ)等の端末に所望の所定形状に基づく数値データを入力し、当該数値データに従いレーザ照射手段を動作させ、そのレーザ照射手段から照射されたレーザにて着色層3を所定形状に切削するレーザ加工機を用いることで、所定部位A’に対する切削加工が行われるのである。
【0023】
しかして、所定部位A’に沿ってレーザを照射させ、図4、5に示すように、その所定部位A’内のフィルムを矩形状に切削し、当該矩形状の意匠を得るようになっている。なお、本実施形態においては、図5に示すように、所定部位A’内の着色層3を切削加工する際、同時に所定部位A’内における樹脂製板材2の裏面2bも厚み方向で所定寸法だけ切削加工しているが、レーザ加工を行うレーザ加工機の設定を任意変更して、着色層3のみを切削加工するようにしてもよい。また、本実施形態においては、矩形状に切削加工しているが、任意の意匠に基づく所定形状であれば、何れの形状であってもよい。
【0024】
なお、本実施形態においては、所定部位A’の着色層3を切削加工することにより、当該所定部位A’が透明又は半透明(樹脂製板材2の一部)となっているが、樹脂製板材2の裏面2bにおける当該所定部位A’に対して所望色の着色塗料を塗布するようにしてもよい。この場合、着色塗料は、着色層3の色(黒色)以外であれば、光と透過しない不透明色、或いは光を透過する半透明色の何れであってもよい。
【0025】
ここで、本実施形態においては、図6に示すように、所定部位A’及び部位Bが形成された樹脂製板材2の裏面2bに対して表面が平滑な成形型Kが押圧されつつ当該樹脂製板材2と成形型Kとの間の空気が吸引されて所望形状(図1、2の如き箱形状)に成形され、所定部位A’の所定形状(矩形状)に対応した凹凸が当該樹脂製板材2の表面に形成されて成る。
【0026】
すなわち、成形型Kは、全体形状が所望形状に対応しつつその表面が平滑(所定部位A’及び部位Bに関わらず平滑な表面)とされており、これを樹脂製板材2の裏面2bから押圧することにより、裏面2bにおける所定部位A’以外の部位が表面2a側に押し出されるのである。こうして、樹脂製板材2の表面において、所定部位Aとそれ以外の部位(部位B及び表面C)との間で相対的な高さ寸法が生じることとなり、凹凸が形成されるのである。しかして、所定部位Aが凹部及び部位Bが凸部となり、所定部位Aの所定形状に対応した凹凸が樹脂製板材2の表面2aに形成されることとなる。
【0027】
次に、上記実施形態に係る意匠部材1の製造方法について図7のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、透明又は半透明な樹脂製板材2の裏面2bに不透明な着色層3を形成する着色層形成工程S1が行われる。かかる着色層形成工程S1においては、図3(a)に示すように、所定寸法の樹脂製板材2と、着色層3を構成する黒色のフィルム(不透明なフィルム)とを用意するとともに、樹脂製板材2の裏面2bに所定の接着剤又は溶剤を塗布しておき、同図(b)に示すように、樹脂製板材2の裏面2bにフィルムを密着させた後、接着剤又は溶剤を乾燥、固化させることにより両者を接着させる。
【0028】
次に、着色層形成工程S1で形成された着色層3の所定部位A’を所定形状に切削加工する切削加工工程S2が行われる。かかる切削加工工程S2においては、既述したように、樹脂製板材2の裏面2bにおける所定部位A’を所定形状に切削加工し、その領域内の着色層3を除去する工程である。具体的には、レーザ加工機によるレーザを着色層3の所定部位A’に沿って照射させることにより、図4、5に示すように、所定部位A’の領域内における着色層3を切削して除去するものとされている。なお、所定部位A’の切削は、当該所定部位A’全域に亘って平滑面とされているが、粗く切削加工して曇りガラス状にしてもよい。
【0029】
その後、切削加工工程S2を経た樹脂製板材2の裏面2bに対して表面が平滑な成形型Kを押圧しつつ当該樹脂製板材2と成形型Kとの間の空気を吸引して所望形状に成形し、所定形状に対応した凹凸を当該樹脂製板材2の表面2aに形成する成形工程S3が行われる。具体的には、かかる成形工程S3においては、図6(a)〜(d)に示すように、真空成型機に樹脂製板材2を設置することにより行われる。かかる真空成型機は、同図に示すように、内部に密閉空間が形成される本体部Fと、本体部Fの上部に設置された樹脂製板材2に対して加熱可能なヒータHと、本体部F内部に空気を導入可能なブローバブルVと、所望形状に対応した外輪郭とされた成形型Kと、成形型Kの内部に形成された貫通孔Kaを介して空気を吸引可能な真空手段Dとを有して構成されている。
【0030】
そして、同図(a)に示すように、本体部Fの上部に樹脂製板材2(下方に着色層3を向けた状態)を設置するとともに、ヒータHにて当該樹脂製板材2を加熱することにより軟化させた後、同図(b)に示すように、ブローバルブVを開けて本体部F内に空気を導入して樹脂製板材2を膨らまして変形させる。その後、同図(c)に示すように、成形型Kを上昇させて樹脂製板材2に対して当該成形型Kを押圧させつつ、真空手段Dにて成形型Kの表面と樹脂製板材2の裏面(着色層3)との間の空気を吸引させる(真空成形)。
【0031】
かかる真空成形を経ることにより、成形型Kの外輪郭が樹脂製板材2に精度よく転写されるので、当該樹脂製板材2が所望形状に成形されることとなる。このとき、裏面2bの部位B’(図5参照)が表面2a側に押し出されて凸部から成る部位B(図2参照)が形成されるとともに、裏面2bの所定部位A’(図5参照)に対応する所定部位Aが表面2aにおける凹部となり、樹脂製板材2の表面2aに所定部位Aに沿った凹凸形状が形成されることとなる。
【0032】
そして、樹脂製板材2が冷却して硬化した後、同図(d)に示すように、成形型Kを初期位置まで下降させるとともに、当該樹脂製板材2を本体部Fから取り出せば、図1、2に示す如き、所望形状に成形された(具体的には、下方に開口した箱形状に成形された)樹脂製板材2を得ることができる。なお、成形工程S3後、フランジ部等の余分な部位を切削加工(例えばレーザ加工等)して除去することができる。
【0033】
上記の工程を経て得られた意匠部材1によれば、樹脂製板材2の裏面2bにおける所定部位A’を所定形状に切削加工した後、当該樹脂製板材2の裏面2bに対して表面が平滑な成形型Kが押圧されつつ当該樹脂製板材2と成形型Kとの間の空気が吸引されて所望形状に成形され、所定形状に対応した凹凸が当該樹脂製板材2の表面2aに形成されるので、表面2aに所定形状の凹凸から成る意匠を容易かつ精度よく形成することができる。
【0034】
特に、成形工程S3において、上記の如き真空成形にて成形するので、成形型Kの表面に倣って樹脂製板材2の裏面2b(意匠部材1の内周面)を平滑に成形することができ、カバーする対象部品に対して円滑且つ精度よく覆うことができる。すなわち、意匠部材1の内周面を平滑にしつつ外周面(本実施形態においては上面)に凹凸から成る意匠を施すことができるのである。なお、本実施形態の如く真空成形にて成形することにより、成形型K以外の型を不要とすることができ、1つの型(成形型K)で種々の意匠が付与された意匠部材を製造することができる。
【0035】
また、樹脂製板材2は、透明又は半透明な樹脂製板材の裏面2bに不透明な着色層3を形成して成り、当該着色層3の所定部位A’を所定形状に切削加工した後、成形型Kによる成形がなされるので、切削加工により着色層3が除去された部位が意匠部材1における表面の凹部、着色層3が残存した部位が意匠部材1における表面の凸部となり、着色層3に応じた凹凸を形成させることができる。すなわち、着色層3による着色部位と凹凸形状とを対応させて意匠とすることができるのである。
【0036】
またさらに、本実施形態によれば、切削加工工程S2における切削加工は、レーザを所定形状に沿って照射させて着色層3を切削するレーザ加工とされたので、少量ロットの意匠の意匠部材1であっても容易に対応することができるとともに、より精度良く且つ円滑に所定部位の切削加工を行わせることができる。加えて、着色層3は、不透明なフィルムを樹脂製板材2の裏面2bに接着させて成るので、当該フィルムに所望の模様や文字等の意匠を施すことができ、より容易に任意の意匠を施すことができる。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば樹脂製板材2の裏面2bに不透明な着色層3を形成する着色層形成工程を経ることなく、切削加工工程S2及び成形工程S3を順次施すようにしてもよい。この場合、着色層による意匠を得ることができないものの、所定形状に対応した凹凸を樹脂製板材2の表面2aに形成することができる。
【0038】
また、上記実施形態においては、切削加工工程S2における切削加工がレーザ加工とされているが、着色層の所定部位を所定形状に切削加工する加工方法であれば、切削刃を用いた他の汎用的な切削方法であってもよい。なお、レーザ加工のためのレーザ加工機は、種々の形態のものを使用することができ、レーザ照射手段を作業者が手で持ち、所望形状の所定部位における着色層を手作業にて切削させるものとしてもよい。
【0039】
さらに、上記実施形態に係る着色層は、不透明なフィルムを樹脂製板材の裏面に接着させて成るが、不透明な着色層を形成し得るものであれば、不透明色の塗料を塗布するものとしてもよい。また、着色層の色は、上記実施形態の如く黒色に限定されず、任意の色とすることができる。
【0040】
なお、本実施形態に係る意匠部材は、上記の如く自動車の内装材に適用されるものに限定されず、種々の意匠部材に適用することができる。例えば、携帯電話を覆うカバーや家電製品等のリモコン(リモートコントローラ)等を覆うカバーに適用することができるとともに、表面の凹凸においても、専ら意匠を構成するものの他、所定の機能を有するもの(カバーした部品の方向性を示す凸や点字機能等)としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
樹脂製板材の裏面における所定部位を所定形状に切削加工した後、当該樹脂製板材の裏面に対して表面が平滑な成形型が押圧されつつ当該樹脂製板材と成形型との間の空気が吸引されて所望形状に成形され、所定形状に対応した凹凸が当該樹脂製板材の表面に形成された意匠部材の製造方法であれば、他の機能が付加されたもの等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 意匠部材
2 樹脂製板材
3 着色層
A、A’ 所定部位
B、B’ 部位
K 成形型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7