(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
電子部品は、その製造工程の後工程で電気特性が測定され、その良否が判断される。その判断結果は、例えば電子部品の出荷適否に利用される。電気特性の測定では、電子部品に対して端子を介して電流注入、電圧印加又はロジック信号を入力し、電子部品の電圧、電流、抵抗、周波数、又は出力信号の内容等が測定される。
【0003】
電気特性の測定は常温環境下に限らない。百数十度といった高温環境下においても、電気特性を測定する場合がある。電子部品の電気特性は、環境温度によって大きく変わり得るためである。高温環境下での電子部品の電気特性は、チャンバ内等の実際に高温空間に電子部品を置いて測定される場合もあるし、電子部品を高温に加熱し、高温環境下に置かれた電子部品を模擬した温度を電子部品に与えて測定される場合もある。
【0004】
この高温環境下を模擬した温度を電子部品に与えた上でなされる電気特性の測定は、一般的に、電子部品のテストユニットへの搬送と当該搬送中の加熱を含む工程を有する。例えば、水平搬送型ハンドラや自重落下型ハンドラと呼ばれる電気特性テスト装置によって高温環境下に対応する温度を電子部品に与えて電気特性が測定されてきた。
【0005】
水平搬送型ハンドラは、2点間を往復する供給ロボット、回収ロボット、第1シャトル、第2シャトル、コンベア等の多数の搬送機を備え、これら搬送機を乗り換えながら、装置内の各所を巡り、各所で処理を行う装置である(例えば特許文献1参照)。電子部品が連続的に整列して搬送されるわけではなく、また搬送機の乗り換えが必要なため、パワーデバイスの待機時間が存在し、搬送速度には限界がある。但し、搬送速度が遅い分十分な加熱時間を確保できるため、電子部品を精度よく所望温度に加熱することが可能となり、高温環境下での電気特性の測定に優れている。
【0006】
自重落下型のハンドラは、上流側シュートや下流側シュート等の傾斜を有する直線経路をシャトル等を介しながら連接させ、その直線経路の入口と出口に高低差を設けることで、電子部品を直線経路内で自重落下させて下方に存在するテスターに移動させる(例えば特許文献2参照)。自重落下型のハンドラは、電子部品の搬送速度が傾斜角に拘束されてしまうが、直線経路を長く採れるので、その経路内での長い加熱時間の確保が可能であり、高温環境下での電気特性の測定に優れている。
【0007】
一方、電子部品一般にまで分野を拡げると、電気特性テスト装置としては、回転型の搬送ユニットを備えた電気特性テスト装置も多用されている(例えば、特許文献3参照)。回転型の搬送ユニットは、ターレット型ハンドラとも呼ばれ、円盤状又は星型の水平盤の外周に電子部品を保持する吸着ノズル等の保持手段を円周等配位置に取り付け、この水平盤を円周方向に回転させることで、水平盤の外周に電子部品の搬送経路を形成する。
【0008】
この回転型の搬送ユニットを用いた電気特性テスト装置は、搬送経路でのハンドラの動作のほとんどが一方向への間欠回転であるため、駆動機構が比較的単純である。従って、その単純さから、水平搬送型や自重落下型のハンドラ等と比べて、この電気特性テスト装置は、モータの出力次第で、搬送の信頼性を担保したまま、大量の電子部品を同時に高速で搬送できるという大量部品高速搬送のメリットが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、回転型の搬送ユニットを有する電気特性テスト装置では、高速搬送能力は、電子部品を所望温度に到達させる加熱時間の確保を困難にする。一方、当該加熱時間を確保しようとすれば、回転型の搬送ユニットを有する電気特性テスト装置の大量高速搬送能力を低下させてしまい、この電気特性テスト装置をあえて利用する意義を失ってしまう。
【0011】
そこで、回転型の搬送ユニットに電子部品を供給する前に、電子部品を所望温度に加熱することが考えられる。例えば、搬送ユニットの前段である供給ユニットにヒータを組み込んだり、搬送ユニットと供給ユニットとの間にヒータを備える装置を介在させることが考えられる。
【0012】
この場合、搬送ユニットが形成する搬送経路上に配置される電気特性のテストユニットと電子部品を加熱する箇所との間に距離が生じてしまい、その距離を電子部品が移動する間に、電子部品から各種要因で熱が放出され、テストユニットに電子部品が到達したときには、電子部品の温度が所望温度からズレてしまう虞があった。特に、電子部品は、搬送ユニットにおいて吸着チャック等の保持手段に保持されている。この保持手段と電子部品との間に温度差があれば、電子品から保持手段へ熱流出が発生してしまい、電子部品の温度低下の要因となる。
【0013】
本発明は、上記のような問題点を解決するために提案されたもので、回転型の搬送手段を利用した電気特性テスト装置において、高速搬送能力を維持したまま、電子部品を所望の温度にまで加熱した状態で電気特性を測定することのできる電気特性テスト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る電気特性テスト装置は、電子部品を高温にして電気特性を測定する電気特性テスト装置であって、電子部品を高温にして電気特性を測定する電気特性テスト装置であって、電子部品の環状の搬送経路を形成する回転型の搬送手段と、前記搬送経路の直下に設置され、電子部品の電気特性を測定する測定手段と、前記搬送経路の直下に配置され、電子部品に対する処理を施す処理手段と、を備え、前記搬送手段は、円周方向に回転する回転テーブルと、前記回転テーブルの外周に沿って設けられ、電子部品を保持する複数の保持手段と、前記保持手段と前記回転テーブルとの間に介在して、前記保持手段を移動自在とするガイドと、前記回転テーブルによって直下に移動してきた前記保持手段を押圧し、前記保持手段を前記測定手段及び前記処理手段へ向けて前記ガイドに沿って移動させる進退駆動手段と、前記進退駆動手段に設けられ、前記進退駆動手段に接触した前記保持手段を加熱する保持手段用ヒータと、を有すること、を特徴とする。
【0015】
前記搬送手段は、前記回転テーブルと前記保持手段とを繋ぎ、一部が相対的に小断面積となった連結手段を更に備えるようにしてもよい。
【0016】
前記連結手段は、前記回転テーブルと前記保持手段との間に、少なくとも1本以上のバーを有し、前記バーを含み、前記回転テーブルと前記保持手段を繋ぐようにしてもよい。
【0017】
前記連結手段は、前記保持手段と前記ガイドとの間に配置され、前記保持手段と共に移動するようにしてもよい。
【0018】
前記保持手段と前記ガイドとの間に前記保持手段と一対一で設けられ、対応の前記保持手段と前記回転テーブル側とを遮断する内側隔壁板を更に備え、前記内側隔壁板は、前記保持手段と共に移動するようにしてもよい。
【0019】
前記搬送手段を外側から覆う円状の外側隔壁板を更に備え、前記保持手段は、前記回転テーブルの外周囲に複数設けられ、前記複数の保持手段の前記内側隔壁板と前記外側隔壁板とにより前記保持手段に対するドーナツ状のチャンバが形成されるようにしてもよい。
【0020】
前記保持手段と前記回転テーブルとの間に断熱材を更に備えるようにしてもよい。
【0021】
前記断熱材は、前記保持手段と前記ガイドとの間に配置され、前記保持手段と共に移動するようにしてもよい。
【0022】
前記搬送手段による電子部品の搬送前に電子部品を予め加熱する電子部品用ヒータを備えるようにしてもよい。
【0023】
前記搬送手段に電子部品を供給する供給手段を備え、前記電子部品用ヒータは、前記供給手段が有するようにしてもよい。
【0024】
前記測定手段又は前記処理手段の少なくとも一方に電子部品を加熱する第2の電子部品用ヒータを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電子部品と接触する保持手段を高温環境下の温度に合わせて加熱することができ、電子部品から保持手段への熱流出が抑制される。そのため、高温環境下での電気特性の測定の精度が高まる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(本実施形態)
(全体構成)
以下、本実施形態に係る電気特性テスト装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示す電気特性テスト装置1は、高温環境下で電子部品D(
図2参照)の電気特性を検査する。この電気特性テスト装置1は電子部品Dを搬送する搬送ユニット3を備える。搬送ユニット3は、其の外周囲に環状の搬送経路1aを形成している。電子部品Dを搬送経路1aに供給する供給ユニット4と、良品の電気部品Dを収容する収容ユニット8が、搬送ユニット3の外周囲に沿って離間して備えられ、搬送経路1a上に位置する。
【0028】
電気特性を測定するテストユニット2、電子部品Dの向きを変更する90度回転ユニット5、及び良品以外の電子部品Dを分別収納する分類ユニット6が、搬送ユニット3の外周囲に沿って、供給ユニット4と収容ユニット8とを結ぶ搬送経路1a内に備えられる。本実施形態では、4台のテストユニット2が連続配置される。90度回転ユニット5は、テストユニット2の群を搬送方向上流及び下流から挟むように分配され、分類ユニット6は、搬送方向下流側の90度回転ユニット5と収容ユニット8との間に配置される。
【0029】
この電気特性テスト装置1は、供給ユニット4により電子部品Dを搬送経路1aに供給し、搬送ユニット3により電子部品Dを搬送経路1aに沿って移動させ、搬送経路1a上のテストユニット2で電気特性を測定する。搬送経路1a上では、90度回転ユニット5により電子部品Dを処理に適した向きに変更する。電気特性の測定終了後、収容ユニット8により、電気特性等の結果として良品となった電子部品Dを搬送経路1aから離脱させてチューブ10(
図3参照)等に収納し、又は分類ユニット6により、良品以外となった電子部品を搬送経路1aから離脱させて良品の程度に応じて分類及び収納する。
【0030】
この電気特性テスト装置1は、高温環境下での電子部品Dを模擬すべく、テストユニット2への到達前の供給の過程、搬送経路1a内での向き変更等の電気特性テスト以外の他処理の過程、及びテストユニット2による電気特性テストの過程で電子部品Dを随時加熱し、電子部品Dを150℃等の所望の温度に調整する。供給ユニット4、テストユニット2及び90度回転ユニット5は加熱手段を兼ねている。供給ユニット4、テストユニット2及び90度回転ユニット5は、電子部品Dに対する予備加熱、本加熱、保温、又は所望温度への最終調整等の何れかの役割を分担する。尚、役割が重複していても良いし、予備加熱、本加熱、保温及び所望温度への最終調整の全てが必須ではない。
【0031】
搬送ユニット3は、電子部品Dの搬送手段であり、電子部品Dを保持して搬送経路1aを移動する吸着チャック31を備える。吸着チャック31は、搬送中に電子部品Dと接触する。電気特性テスト装置1は、吸着チャック31と電子部品Dとの温度勾配を小さくして、電子部品Dから吸着チャック31への熱流出を抑制すべく、吸着チャック31を随時加熱し、また吸着チャック31から冷却を抑制して、電気特性の測定温度に吸着チャック31を維持している。
【0032】
すなわち、電気特性テスト装置1は、吸着チャック31の保温手段としてドーナツ状のチャンバ7を備えている。吸着チャック31はドーナツ状のチャンバ7で囲まれている。ドーナツ状のチャンバ7は、搬送ユニット3を外側から全周囲包囲する外側隔壁板71と、吸着チャック31よりも搬送ユニット3の内周側に位置する内側隔壁板72とが対向して構成される。
【0033】
図7に示すように、各ユニット2、4、5、6及び8と電子部品Dを授受するために、吸着チャック31を押し込んで各ユニット2、4、5、6及び8へ送る進退駆動装置34を備えている。進退駆動装置34はヒータ345を備え、押し込み時に吸着チャック31を加熱する。更に、搬送ユニット3は吸着チャック31から熱流出し難いように、吸着チャック31との連接箇所に低熱伝導率の断熱部334と伝熱面積の小さい連結部335を備える。
【0034】
この電気特性テスト装置1は、例えば
図2に示す電子部品Dの電気特性を検査する。この電子部品Dは、所謂SIP(Single In−line Package)であり、概略直方体で、種類によっては一側面に偏ってリード端子D1が引出されている。この電子部品Dは、例えばパワーデバイスである。パワーデバイスは、パワートランジスタ、パワーMOSFET、整流ダイオード等の大電力を取り扱う半導体素子である。電子部品Dは、
図3に示すチューブ10に梱包されている。チューブ10は、細長い筒形状を有し、少なくとも一端が開口10aを有し、長手方向に電子部品Dを一列に整列させて収容する。各電子部品Dは、リード端子D1がチューブ10の長手方向と直交して収容される。
【0035】
(供給ユニット)
このような電気特性テスト装置1の各構成を詳述する。まず、
図4に示す供給ユニット4は、チューブ10から電子部品Dを取り出して搬送ユニット3に供給する。この供給ユニット4は、チューブエレベータ41、取出機構42、加熱シフトトレイ43、バッファシュート44及びターナー機構45を一列に連設している。チューブエレベータ41は、チューブ10のコンテナであり、コンテナ内のチューブ10を上昇させ、上部から取出機構42へ1本ずつチューブ10を排出する。
【0036】
取出機構42は、チューブ10を一本ずつ振り上げて開口10aが下端となるように傾斜させることで、電子部品Dをチューブ10の外へ滑落させる。加熱シフトトレイ43は、滑落した電子部品Dを受け止め、1本のチューブ10につき1列ずつ複数列に整列させ、整列中に加熱しつつ、加熱終了の電子部品Dを1列ずつバッファシュート44に滑落させる。バッファシュート44は、加熱シフトトレイ43から滑落した1列の電子部品Dを受け止めて一時的に貯留し、1個ずつターナー機構45へ渡す。ターナー機構45は、バッファシュート44から電子部品Dを1個ずつ拾い上げて搬送ユニット3に渡す。
【0037】
加熱シフトトレイ43の一例を
図5に示す。加熱シフトトレイ43は、複数列のレーン431が平行に並設されたプレート432を有する。プレート432はヒータ433で加熱される。プレート432はヒータ433の熱をレーン431に並ぶ電子部品Dに伝熱する。ヒータ433は、プレート432の底面に設置される。プレート432は、レーン431に並ぶ電子部品Dに伝熱容易なアルミニウム、銅、真鍮等の金属等の熱伝導部材で構成される。
【0038】
各レーン431は、振り上げられたチューブ10と平行である。レーン431は、電子部品Dの大きさに合わせて幅調整される。レーン431の並列数は、供給ユニット4により所望される加熱時間によって調整される。この加熱シフトトレイ43は、レーン431との直交方向にプレート432をシフトするシフト機構434を備える。各レーン431は、シフト機構434により取出機構42に順次合致し、電子部品Dをチューブ10から受け取る。また、各レーン431は、搬送ユニット3の入口に繋がるバッファシュート44に順次合致し、ヒータ433により加熱済みの電子部品Dをバッファシュート44に放出する。
【0039】
(搬送ユニット)
図6乃至8は、搬送ユニット3を示す図である。
図6乃至8に示すように、搬送ユニット3は、回転テーブル32をベースとしてアーム33を介して吸着チャック31を円周等配位置に固定する。また搬送ユニット3は、回転テーブル32の中心から吸着チャック31までの半径を有する円と同心円上の複数角度位置に、ヒータ345が組み込まれ、位置不動の進退駆動装置34を備える。アーム33にはドーナツ状のチャンバ7の片側である内側隔壁板72が嵌め込まれている。アーム33は、回転テーブル32の外縁から吸着チャック31に至るまでにかけて、固定アーム331と昇降ガイド332と昇降アーム333を連接して成る。昇降アーム333は、断熱部334と連結部335を備えている。
【0040】
図6に示すように、回転テーブル32は、円盤形状を有する。回転テーブル32は、円中心でダイレクトドライブモータ(不図示)に軸支され、円周方向に間欠回転する。吸着チャック31は、回転テーブル32の外周囲に円周等配位置で昇降可能に固定される。吸着チャック31は、回転テーブル32が拡がる平面と垂直に延び、回転テーブル32から下方へ垂れ下がっている。
【0041】
吸着チャック31は、内部が中空で下端が開口している。この下端の開口が電子部品Dを吸引する吸着面31aである。中空内部は、コンプレッサから続く空気圧回路(不図示)の入口32aとチューブ(不図示)で連通している。負圧が発生している空気圧回路と入口32aとが連通すると、吸着チャック31にも負圧が発生する。吸着チャック31は、吸着面31aで電子部品Dを吸着し、空気圧回路と入口32aとが断絶すると、吸着チャック31には真空破壊、大気解放又は正圧発生が生じ、電子部品Dを吸着面31aから離脱させる。
【0042】
アーム33は、回転テーブル32の円周縁より外側で吸着チャック31を支持する延長フレームである。吸着チャック31は回転テーブル32にアーム33を介して取り付けられている。アーム33は、回転テーブル32の円中心から半径方向に沿って放射状に延び、回転テーブル32の外周縁から突出している。各アーム33は、同一長分だけ回転テーブル32から突出する。隣接するアーム33の成す角度は、回転テーブル32の1ピッチ当たりの回転角度と同一である。従って、各吸着チャック31は、同一軌跡を辿り、同一ポジションに停止する。供給ユニット4、テストユニット2、90度回転ユニット5、分類ユニット6及び収容ユニット8は、この停止位置の何れかのポジションに配置される。
【0043】
図6及び
図8に示すように、内側隔壁板72はアーム33に嵌め込まれている。内側隔壁板72は、吸着チャック31と一対一で対応し、対応の吸着チャック31への放射熱を搬送ユニット3の内周側から遮断する。この内側隔壁板72は、ステンレス製等の板である。内側隔壁板72は、吸着チャック31の下端近傍から上端近傍まで延びた高さを有する。望ましくは、内側隔壁板72は、吸着チャック31の下端以下を最下端とし、吸着チャック31の上端以上を最上端とする。少なくとも吸着チャック31を概略覆うことができればよい。
【0044】
対応の吸着チャック31を中心に拡がる内側隔壁板72の両翼は、隣接アーム間の半分以上の長さを有し、隣り合う内側隔壁板72は互いに端が重複する。内側隔壁板72の両翼端部は、搬送ユニット3の中心側へ湾曲又は折れ曲がっている。内側隔壁板72全体が搬送ユニット3の曲面に合わせて湾曲していてもよい。
【0045】
図7に示すように、アーム33は、回転テーブル32側から吸着チャック31にかけて、固定アーム331と昇降ガイド332と昇降アーム333とが一列に連接して構成される。固定アーム331は、回転テーブル32に対する固定具であり、回転テーブル32と相対的な高さは不変である。昇降ガイド332は、昇降アーム333を上下にスライドさせることで、昇降アーム333に取り付けられた内側隔壁板72と吸着チャック31を上下にスライドさせる。昇降アーム333は、吸着チャック31にかけて断熱部334と連結部335とを連接して構成され、先端の連結部335で吸着チャック31を支持している。
【0046】
昇降ガイド332は、回転テーブル32の拡がり平面と直交するレールと、レールを摺動可能に把持するスライダを備えている。昇降アーム333は、L字状に屈曲しており、回転テーブル32の拡がり平面と直交する片腕の背面がスライダに固定されている。そして、L字状の他の腕が更に回転テーブル32の半径方向外方へ延びている。吸着チャック31は、昇降アーム333の他の腕の先端に固定されている。内側隔壁板72は昇降アーム333に嵌め込まれている。そのため、吸着チャック31は、昇降ガイド332によって下方のユニット2、4、5及び8に向けて昇降可能となっている。内側隔壁板72は、昇降ガイド333によって吸着チャック31と共に昇降し、吸着チャック31と相対的な高さ不変となる。
【0047】
断熱部334は、アーム33の他所と比べて熱伝導率の低い素材により構成され、吸着チャック31から回転テーブル32側へのアーム33を通じた伝熱経路を遮断する。断熱部334は、例えばウレタン等の樹脂である。尚、昇降アーム333の全てが断熱部であっても、L字状の他の腕の先端側一部分が断熱部334であってもよい。連結部335は、吸着チャック31を支持する。この連結部335は、吸着チャック31から回転テーブル32側への伝熱面積を絞っている。すなわち、この連結部335の断面積は、アーム33の他所よりも小さい。例えば、連結部335はバーである。昇降アーム333の先端面から当該先端面の面積よりも合計断面積が小さい複数本のバーが連結部335として突出し、このバーの先端に吸着チャック31が固定される。実施形態では、連結部335は2行×2列の4本の平行なバーである。
【0048】
進退駆動装置34は、ユニット2、4、5、6及び8が配置されたポジションに配置され、
図7に示すように、これらポジションに位置した吸着チャック31の直上に位置する。進退駆動装置34は、昇降ガイド332により昇降自在な吸着チャック31をユニット2、4、5、6及び8側に押し込む。この進退駆動装置34は、回転モータ341の軸に円筒のカム342を嵌め込み、カム342の円周面にロッド343の上端を当接させて成る。
【0049】
円筒のカム342は、円周面の一部が滑らかな山状に膨出し、円周面に小径範囲342aと大径範囲342bを連続的に繋げて成る。大径範囲342bは、小径範囲342aから最大径まで滑らかに拡径している。ロッド343の下端は、ユニット2、4、5、6及び8が配置されたポジションに停止した吸着チャック31の頭部31aと対面する。小径範囲342aと大径範囲342bの最大径箇所との標高差は、ロッド343が小径範囲342aを従動しているときのロッド343の下端と吸着チャック31の頭部31aとの距離よりも長い。
【0050】
このロッド343は例えばコイル等のヒータ345と接触している。このヒータ345は、ロッド343を加熱している。ヒータ345は、ロッド343の下端に多くの熱を供給するために、ロッド343の下端付近に位置することが望ましい。進退駆動装置34は、ロッド343を下降させ、ロッド343を吸着チャック32の頭部31aに接触させたときに、ロッド343から吸着チャック31へ伝熱し、吸着チャック31を150℃等の高温環境下の温度に調温している。
【0051】
(90度回転ユニット)
図9に示すように、90度回転ユニット5は、吸着チャック31の下方に位置するステージ51と、ステージ51を90度回転させるモータ52を備えている。ステージ51は、上面が平坦で電子部品Dの載置平面となっている。この90度回転ユニット5は、ステージ51の周囲をヒーターブロック53で囲んで成る。ヒーターブロック53は、金属等の熱伝導素材で形成され、ヒータ54と接続されており、加熱されると、ステージ51上の電子部品Dに向けて輻射熱を放出する。
【0052】
(テストユニット)
テストユニット2には、1サイクル毎に電子部品Dが搬送されてくる。但し、テストユニット2は、未測定の電子部品Dが全てのテストユニット2に揃ってから1度に測定処理を行う。すなわち、テストユニット2は、テストユニット2の配置数と同数のサイクル毎に1度の電気特性の測定を行う。
図10に示すように、テストユニット2は、電子部品Dを載置する載置台23と、載置台23の電子部品Dから引出されるリード端子D1に対する通電接触子である上側クランプ測子21と下側クランプ測子22を有する。また、載置台23の近傍には、ヒータ24が配置され、測定中の電子部品Dを載置台23を介して保温している。
【0053】
上側クランプ測子21と下側クランプ測子22はリード端子D1を挟み込む。テストユニット2は、上側クランプ測子21及び下側クランプ測子22を介して電子部品Dに電流注入、電圧印加又はロジック信号の入力を行い、電子部品Dの出力を解析し、各種の許容範囲を示す数値データと比較して、電子部品Dの良品と其れ以外とを判定する。電気特性の測定方式としては、電圧印加と測定を共通の接触子で行うシングルコンタクト方式と、印加と測定を別々の接触子で行うケルビンコンタクト方式とが知られている。
【0054】
(収容ユニット)
収容ユニット8は、
図11に示すように、吸着チャック31の停止位置の直下に滑り台状のスライダ81を備え、スライダ81の終端にチューブ10を保持する。保持手段31が電子部品Dを離脱させると、電子部品Dはスライダ81を滑り降り、下に待ち構えたチューブ10に収容される。
【0055】
(分類ユニット)
分類ユニット6は、
図12に示すように、吸着チャック31の停止位置の直下にシャトルレール61を延ばしている。シャトルレール61の片脇には、シャトルレール61と直交させ、複数本のチューブ10が並列している。チューブ10はシャトルレール61に開口10aを向ける。シャトルレール61には、シャトル62が自走可能に配置されている。シャトル62は上面が平坦な載置面となっている。シャトル62は、吸着チャック31から離脱した電子部品Dを乗せ、電子部品Dの良品の程度に対応したチューブ10の面前まで運搬し、チューブ10に滑落させる。
【0056】
(動作)
この電気特性テスト装置1の動作は次のとおりである。まず、供給ユニット4において、チューブエレベータ41は内部のチューブ10を上昇させ、上部から排出する。取出機構42は、チューブエレベータ41から排出されたチューブ10を傾斜させて開口10aを下方に向け、電子部品Dを加熱シフトトレイ43に向けて次々と滑落させていく。加熱シフトトレイ43は、滑落先に1列の空きレーン431を待機させ、チューブ10から滑落した電子部品Dを空きレーン431に収容していく。
【0057】
図13に示すように、プレート432はヒータ433により加熱されて電子部品Dに伝熱する。プレート432は、シフト機構434によって間欠的にシフトし、電子部品Dを最先に収容したレーン431をバッファシュート44に合致させ、電子部品Dをバッファシュート44に放出する。空き状態となったレーン431は、再び取出機構42から新たなチューブ10の電子部品Dを受領する。すなわち、電子部品Dはレーン431の数に比例した時間だけ継続的に加熱される。これにより、電子部品Dは、電気特性の測定に適した高温環境下又は其の近傍まで本加熱される。
【0058】
バッファシュート44は、加熱シフトトレイ43から放出された1列分の電子部品Dを貯留し、回転テーブル32の間欠回転と同期して1個ずつターナー機構45に渡す。ターナー機構45は、受け取った電子部品Dを回転テーブル32の間欠回転と同期して電子部品Dを回転テーブル32の直下に向ける。回転テーブル32は、1機の吸着チャック31をターナー機構45の直下に移動させ、吸着チャック3の吸着面31bをターナー機構45の電子部品Dと向き合わせる。
【0059】
吸着チャック31には負圧を発生し、吸着チャック31はターナー機構45の電子部品Dを吸着面31bで吸引する。これにより、供給ユニット4で加熱された電子部品Dの搬送ユニット3への供給が完了する。SIPである電子部品Dは、供給ユニット4内で滑落方向に対してリード端子D1を直交方向に向けている。供給ユニット4の設置ポジションでは、リード端子D1が回転テーブル32の接線方向に向いた状態で吸着チャック31に保持される。搬送ユニット3は、回転テーブル32を1ピッチずつ間欠回転させる。吸着チャック31は、電子部品Dを保持しながら、この間欠回転に伴い所定角度ずつ移動しては停止を繰り返しつつ、搬送経路1aを巡る。
【0060】
電子部品Dが最初の90度回転ユニット5に到達すると、吸着チャック31はステージ51に向けて下降し、ステージ51へ電子部品Dを離脱させる。
図14に示すように、90度回転ユニット5は、電子部品Dが載置されたステージ51をモータ52によって90度回転させる。ステージ51の90度回転により、電子部品Dはリード端子D1が回転テーブル32の半径方向外方に向いた姿勢に変化する。
【0061】
電子部品Dの受領から90度回転を経て電子部品Dがステージ51から離れる間、90度回転ユニット5は、ステージ51周りのヒーターブロック53から熱を輻射し、ステージ51上の電子部品Dを加熱する。この加熱は、供給ユニット4の加熱シフトトレイ43によって本加熱に対する保温であり、搬送経路1a中、本加熱した電子部品Dが冷めないようにする。
【0062】
電子部品Dは90度回転ユニット5から再び吸着チャック31に保持されて搬送経路1aに戻る。そして、電子部品Dは、回転テーブル31の所定数の間欠回転の後、テストユニット2の直上に移る。テストユニット2は、全てのテストユニット2の直上に未測定の電子部品Dが並ぶと、一斉に測定処理を開始する。すなわち、4機のテストユニット2を連続させた電気特性テスト装置1の場合、回転テーブル32の4ピッチ分の間欠回転につき1回の測定処理が介在する。
【0063】
測定処理において、上側クランプ測子21と下側クランプ測子22は、回転テーブル32の半径方向内側に向けて延設されている。90度回転ユニット5によって電子部品Dのリード端子D1の向きが上側クランプ測子21と下側クランプ測子22に向けられており、上側クランプ測子21と下側クランプ測子22はリード端子D1を挟み込み可能となっている。
【0064】
図10に示すように、上側クランプ測子21と下側クランプ測子22は、供給ユニット4の加熱シフトトレイ43及び90度回転ユニット5によって加熱された電子部品Dのリード端子D1を挟持して電流注入、電圧印加又はロジック信号を入力する。そして、テストユニット2は、電子部品Dの出力を解析し、電子部品Dの良品又は其れ以外を判定する。判定結果は、分類に備えて電子部品D又は吸着チャック31に関連付けて記憶される。
【0065】
電気特性の測定終了となった電子部品Dは、収納ユニット8に収納される際には、後段の90度回転ユニット5によって回転テーブル32の接線方向にリード端子D1が向くように戻される。そして、電子部品Dは、吸着チャック31に保持されつつ回転テーブル32によって分類ユニット6又は収容ユニット8に搬送される。
【0066】
テストユニット2による判定の結果が良品の場合、搬送ユニット3は、分類ユニット6を通り越し、電子部品Dを収容ユニット8の直上に移動させる。収容ユニット8では、吸着チャック31がスライダ81に電子部品Dを離脱させる。スライダ81は、電子部品Dをチューブ10に向けて滑落させる。これにより、高温環境下での電気特性が測定されて良品となった電子部品Dは、チューブ10に梱包される。
【0067】
テストユニット2による判定の結果が良品以外の場合には、搬送ユニット3は、分類ユニット6の直上に移動させる。分類ユニット6では、吸着チャック31が直下に待機しているシャトル62に電子部品Dを離脱させる。シャトル62は、シャトルレーン61を移動して、電子部品Dに関連付けられた判定結果に対応するチューブ10の面前まで移動し、チューブ10に向けて電子部品Dを滑落させる。これにより、良品以外となった電子部品Dは、良品の程度に対応するチューブ10に梱包される。
【0068】
搬送ユニット3への電子部品Dの供給から収納ユニット8又は分類ユニット6への離脱まで、電子部品Dは吸着チャック31に保持され続けている。吸着チャック31は、供給ユニット4、90度回転ユニット5、テストユニット2、収容ユニット8及び分類ユニット6の設置ポジションで、進退駆動装置34の直下に位置している。
図15に示すように、進退駆動装置34は、回転モータ341を回転させて、ロッド343をカム342の小径範囲342aから大径範囲342bに向けて従動させ、ロッド343を吸着チャック31の頭部31aに当接させる。
【0069】
進退駆動装置34は、ロッド343を更に押し下げ、吸着チャック31を下方に押し込む。吸着チャック31は、ロッド343の押圧により、昇降ガイド332に案内されながら供給ユニット4、90度回転ユニット5、テストユニット2、収容ユニット8及び分類ユニット6に向けて降下する。供給ユニット4、90度回転ユニット5、テストユニット2、収容ユニット8及び分類ユニット6の処理が終了すると、進退駆動装置34は、回転モータ341を回転させて、ロッド343をカム342の大径範囲342bから小径範囲342aに向けて従動させ、ロッド343を上昇させる。吸着チャック31は、ロッド343の後退と共に上昇し、やがてロッド343と吸着チャック31の当接が解除される。
【0070】
ロッド343にはヒータ345が埋設されているため、ロッド343は高温になっている。このロッド343が吸着チャック31の頭部31aに接触すると、吸着チャック31にはロッド343から高熱Hinが流入してくる。吸着チャック31の頭部31aにロッド343が接触してから、吸着チャック31を下降させ、ロッド343が後退して吸着チャック31を元の高さに戻し、ロッド343が吸着チャック31の頭部31aから離れるまで、吸着チャック31にはロッド343からの高熱Hinの流入が続く。そのため、吸着チャック31は150℃等の高熱環境下の温度を維持するように加熱される。
【0071】
更に、
図16に示すように、ロッド343から流入した熱は、吸着チャック31と接触する熱伝導体を通じて回転テーブル32側へ逃げようとする。しかしながら、吸着チャック31は連結部335により支持されている。連結部335は、小断面積であり、吸着チャック31との熱勾配が生じていても熱伝導する面積が小さい。そのため、吸着チャック31からアーム33側へ移動する熱Houtは抑制される。この連結部335は、吸着チャック31と昇降ガイド332を熱的に隔離している。すなわち、吸着チャック31の熱が昇降ガイド332に届き難い。そのため、昇降ガイド332に用いるグリスは耐熱性である必要はない。
【0072】
また、吸着チャック31を保持するアーム33には断熱部334が挟まれている。断熱部334は、連結部335を通じて流出した熱Houtを堰き止める。そのため、吸着チャック31からの熱流出に継続性はない。この断熱部334も吸着チャック31と昇降ガイド332を熱的に隔離している。
【0073】
また、
図17に示すように、内側隔壁板72は昇降アーム333に設けられており、吸着チャック31と共に間欠回転し、吸着チャック31と共に昇降する。内側隔壁板72は、
図17の(a)及び(b)に示すように、吸着チャック31と相対的な高さが絶えず不変となっており、昇降する吸着チャック31の周囲の空気を絶えず外部から隔壁している。すなわち、吸着チャック31は昇降してもドーナツ状のチャンバ7から露出することはなく、ドーナツ状のチャンバ7内に絶えず埋没している。そのため、吸着チャック31と其の周囲の空気の温度差が少なく、吸着チャック31からの熱放射が抑制され、ドーナツ状のチャンバ7内で保温された状態を維持する。
【0074】
このように、電子部品Dを保持する吸着チャック31は、昇降の度に進退駆動装置34によって温度調整を受け、更に連結部335と断熱部334とによって他の熱伝導体への熱流出が抑制され、また吸着チャック31と共に昇降する内側隔壁板72によって常にドーナツ状のチャンバ7内で保温された状態となっている。そのため、電子部品Dと吸着チャック31との間に温度差が生じにくく、電子部品Dから吸着チャック31側へ熱が流出し、電子部品Dの温度が低下してしまうことが抑制されている。
【0075】
(効果)
以上のように、この電子特性テスト装置1は、搬送ユニット3とテストユニット2と90度回転ユニット5とを備える。搬送ユニット3は回転型であり、電子部品Dの環状の搬送経路1aを形成する搬送手段である。テストユニット2は、搬送経路1aの直下に設置され、電子部品Dの電気特性を測定する測定手段である。90度回転ユニット5は、搬送経路1aの直下に配置され、電子部品Dに対する他の処理を施す処理手段である。
【0076】
そして、搬送ユニット3は、円周方向に回転する回転テーブル32と、回転テーブルの外周に沿って設けられ、電子部品Dを保持する複数の吸着チャック31と、吸着チャック31と回転テーブル32との間に介在して、吸着チャック31を移動自在とする昇降ガイド332と、設置位置に到達した吸着チャック31を押圧し、吸着チャック31をテストユニット2及び90度回転ユニット5へ向けて昇降ガイド332に沿って移動させる進退駆動装置34と、進退駆動装置34に設けられ、進退駆動装置34に接触した吸着チャック31を加熱するヒータ345とを有するようにした。
【0077】
これにより、電子部品Dと接触する吸着チャック31を高温環境下の温度に合わせて加熱することができ、電子部品Dから吸着チャック31への熱流出が抑制される。そのため、電子部品Dを加熱する手段を供給ユニット4に組み込み、電子部品Dの加熱箇所と電気特性を測定するテストユニット2との距離が離れていても、電子部品Dの温度低下を抑制することができ、高温環境下での電気特性の測定の精度が高まる。
【0078】
尚、吸着チャック31は、電子部品Dを保持する保持手段の一例であり、保持手段としては、静電吸着方式、ベルヌーイチャック方式、又は電子部品Dを機械的に挟持するチャック機構を配してもよい。このような保持手段であっても、電子部品Dと温度差があれば、電子部品Dから吸熱し、電子部品Dの温度低下の原因となる。また、電気特性以外の他処理を施す処理手段としては、90度回転ユニット5に限られない。搬送経路1a上には、外観検査ユニット及び位置補正ユニット等の電子部品Dに対する他の処理ユニットを設置するようにしてもよい。SIP以外の電子部品Dに対しては90度回転ユニット5を省略することもできる。
【0079】
また、搬送ユニット3は、回転テーブル32と吸着チャック31とを繋ぎ、一部が相対的に小断面積となった連結部335を備えるようにした。この連結部335は、例えば回転テーブル32と吸着チャック31との間に少なくとも1本以上のバーを有し、バーにより回転テーブル32と吸着チャック31とを繋ぐ。この伝熱する面積が小さい連結部335が回転テーブル32と吸着チャック31との間に介在することにより、吸着チャック31から回転テーブル32側への熱流出が抑制され、吸着チャック31の温度低下を抑制できる。そのため、電子部品Dと吸着チャック31との温度差が生じ難くなり、電子部品Dが吸着チャック31によって冷め難くなるため、高温環境下での電気特性の測定の精度が高まる。
【0080】
この連結部335は、吸着チャック31と昇降ガイド332との間に配置され、吸着チャック31と共に移動するようにした。これにより、吸着チャック31の熱が昇降ガイド332に到達するのを抑制でき、昇降ガイド332に用いるグリスが耐熱性である必要がなくなる。そのため、グリスのコストを低減でき、電気特性テスト装置1のコストを削減できる。
【0081】
また、吸着チャック31と昇降ガイド332との間に、吸着チャック31と一対一で設けられ、対応の吸着チャック31と回転テーブル32側とを遮断する内側隔壁板72を更に備えるようにした。この内側隔壁板72は、吸着チャック31と共に移動することになる。これにより、内側隔壁板72は、搬送経路1aを移動し、搬送経路1aと昇降する吸着チャック31を内側隔壁板72よりも外部の空気から遮断することができ、吸着チャック31を保温することができる。そのため、吸着チャック31から周囲の空気への熱放射が抑制され、電子部品Dと吸着チャック31との温度差が生じ難くなり、電子部品Dが吸着チャック31によって冷め難くなるため、高温環境下での電気特性の測定の精度が高まる。
【0082】
搬送ユニット3自体を外側から覆う円状の外側隔壁板71を更に備え、内側隔壁板72と外側隔壁板71とにより吸着チャック31に対するドーナツ状のチャンバ7が形成されるようにすることで、更に吸着チャック31を保温することができ、高温環境下での電気特性の測定の精度が高まる。
【0083】
また、吸着チャック31と回転テーブル32との間に断熱部334を更に備えるようにしてもよい。この断熱部334は、吸着チャック31から回転テーブル32側への熱流出が抑え、吸着チャック31の温度低下を抑制できる。尚、連結部335と断熱部334を両方具備していてもよいし、片方のみでもよい。また連結部335を断熱材で形成するようにしてもよい。吸着チャック31の温度を維持するために必要な精度にあわせて選択すればよい。
【0084】
この断熱部334は、吸着チャック31と昇降ガイド333との間に配置され、吸着チャック31と共に移動するようにした。これにより、吸着チャック31の熱が昇降ガイド333に到達するのを抑制でき、昇降ガイド333に用いるグリスが耐熱性である必要がなくなる。そのため、グリスのコストを低減でき、電気特性テスト装置1のコストを削減できる。
【0085】
尚、本実施形態ではSIPである電子部品Dを例に採り説明したが、リード端子D1が対向両側面から延出するDIP(Dual In−line Package)の電子部品を搬送可能であることはもちろんである。DIPの場合もチューブ10に梱包されたリード端子は上側クランプ測子21及び下側クランプ測子22と延び方向が相違して搬送経路1aを搬送されるから、90度回転ユニット5等の向き変更の変更手段が有効である。すなわち、環状の搬送経路1aの半径方向外方と異なる方向にリード端子D1を向ける電子部品Dには、DIPも含まれる。また、下面、上面又は両面に電極が配置されている電子部品を搬送可能であることももちろんである。
【0086】
更に、チューブ10に電子部品Dを梱包する例を採り説明したが、供給ユニット4及び収容ユニット8とも他種の収容体に対して電子部品Dを取り出し又は収容させるようにしてもよい。他種の収容体としては、キャリアテープ、トレイ又はウェハ等を挙げることができる。キャリアテープ、トレイ及びウェハでは、電子部品Dの滑り落としによる加熱シフトトレイ43への一括供給ができないので、個々に電子部品Dをレーン431に渡す保持手段を設けるようにしてもよい。
【0087】
(他の実施形態)
以上のように本発明の各実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】電子特性テスト装置は搬送ユニットとテストユニットを備える。搬送ユニットは回転テーブルと吸着チャック31と昇降ガイド333と進退駆動装置34とヒータ345を備える。回転テーブルは円周方向に回転し、吸着チャック31は回転テーブルの外周に沿って設けられ、電子部品を保持する。昇降ガイド333は吸着チャック31と回転テーブルとの間に介在して、吸着チャック31を移動自在とする。進退駆動装置34は吸着チャック31を押圧し、吸着チャック31をテストユニット等に昇降ガイド333に沿って移動させる。ヒータ345は進退駆動装置34に設けられ、進退駆動装置34に接触した吸着チャック31を加熱する。