(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916085
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】プランター付水槽装置
(51)【国際特許分類】
A01K 63/00 20060101AFI20160422BHJP
A01G 31/00 20060101ALI20160422BHJP
A01G 9/02 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
A01K63/00 A
A01G31/00 611Z
A01G9/02 103Z
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-284140(P2011-284140)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-132238(P2013-132238A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000193313
【氏名又は名称】水作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】小川 創市
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−228816(JP,A)
【文献】
実開昭48−040391(JP,U)
【文献】
特開2011−177070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/00
A01G 9/00 − 9/02
A01G 31/00 − 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な中空多角筒体よりなる水槽(10)と、この水槽(10)の開放上面に一体に形成される中空円筒状のプランター収容部(20)とを備え、前記水槽(10)と前記プランター収容部(20)の境界に形成される段差(11)の上面はプランターの支持面(12)となっており、前記プランター収容部(20)の内側に、平面視優弧状に形成されるプランター(40)を、前記プランター収容部(20)の前記支持面(12)に、中心周りに移動できるように載せ、前記プランター(40)の中央部およびその一側には、水槽(10)内を外部に連通する中央空間部(43)および側方空間部(44)が形成されることを特徴とする、プランター付水槽装置。
【請求項2】
透明な中空多角筒体よりなる水槽(10)と、この水槽(10)の開放上面に一体に形成される中空円筒状のプランター収容部(20)とを備え、前記水槽(10)と前記プランター収容部(20)の境界に形成される段差(11)の上面はプランターの支持面(12)となっており、前記プランター収容部(20)の内側に、平面視劣弧状に形成される複数プランター(401;403)を、前記プランター収容部(20)の前記支持面(12)に、中心周りに移動できるように載せ、前記プランター(401;403)の中央部には、水槽内(10)を外部に連通する中央空間部(43)が形成されることを特徴とする、プランター付水槽装置。
【請求項3】
前記プランター(40;401)の中央部に形成される中央空間部(43)は、蓋体(50)により閉じられることを特徴とする、前記請求項1または2記載のプランター付水槽装置。
【請求項4】
前記プランター(40)の一側に形成される側方空間部(44)内には、他の劣弧状プランター(402)が設けられることを特徴とする、前記請求項1記載のプランター付水槽装置。
【請求項5】
プランター(40)の一側に形成される側方空間部(44)は、覆い板(52)により閉じられることを特徴とする、前記請求項1記載のプランター付水槽装置。
【請求項6】
前記プランター(40;401;402;403)の上方には、照明具(61)が設けられることを特徴とする、前記請求項1、2、3、4または5記載のプランター付水槽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱帯魚、金魚などの観賞魚や水草を育成するための水槽に、陸上植物を育成するためのプランターを併設したプランター付水槽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、共通の容器に水槽とプランターとを纏めて設備した、プランター付水槽装置は公知である(後記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3802632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プランター付水槽装置では、水槽にあっては、そこに収容される観賞魚や水草などが、また、プランターにあっては、そこに植え込まれる観葉植物、ハーブなどの陸上植物が共に常に最良の状態に保たれて、外観上の景観を良好にすると共にその景観に変化を与えて商品価値を高めることが求められる。そのためには、水槽内の観賞魚、プランターに植込まれる陸上植物を自然の状態で外部から見え易くし、水槽およびプランターのメンテナンスをし易くすることなどが要求されるが、前記特許文献1のものでは、かかる要求を満たすような技術的手段がなされていない。
【0005】
本発明は、斯かる要求を満足させるようにした、新規なプランター付水槽装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、透明な中空多角筒体よりなる水槽と、この水槽の開放上面に一体に形成される中空円筒状のプランター収容部とを備え、
前記水槽と前記プランター収容部の境界に形成される段差の上面はプランターの支持面となっており、前記プランター収容部
の内側に、平面視優弧状に形成されるプランターを、前記プランター収容部
の前記支持面に、中心周りに移動できるように
載せ、
前記プランターの中央部およびその一側には、水槽内を外部に連通する中央空間部および側方空間部が形成されることを特徴としている。
【0007】
上記目的を達成するため、請求項2の発明は、透明な中空多角筒体よりなる水槽と、この水槽の開放上面に一体に形成される中空円筒状のプランター収容部とを備え、
前記水槽と前記プランター収容部の境界に形成される段差の上面はプランターの支持面となっており、前記プランター収容部
の内側に、平面視劣弧状に形成される複数プランターを、前記プランター収容部
の前記支持面に、中心周りに移動できるように
載せ、
前記プランターの中央部には、水槽内を外部に連通する中央空間部が形成されることを特徴としている。
【0008】
上記目的を達成するため、請求項3の発明は、前記請求項1また2記載のものにおいて、前記プランターの中央部に形成される中央空間部は、蓋体により閉じられることを特徴としている。
【0009】
上記目的を達成するため、請求項4の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、前記プランターの一側に形成される側方空間部内には、他の劣弧状プランターが設けられることを特徴としている。
【0010】
上記目的を達成するため、請求項5の発明は、前記請求項1記載のものにおいて、プランターの一側に形成される側方空間部は、覆い板により閉じられることを特徴としている。
【0011】
上記目的を達成するため、請求項6の発明は、前記請求項1、2、3、4または5記載のものにおいて、前記プランターの上方には、照明具が設けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、多角筒体よりなる水槽の開放上面に一体に形成されるプランター収容部内に、平面視優弧状に形成されるプランターを、前記プランター収容部の中心周りに移動できるように設けたので、水槽に対してプランターの位置を変更して景観の異なる水槽装置を楽しむことができる。また、水槽10が八角筒体により形成されることにより、水槽の平らな壁面を通して水槽10内の観賞魚を歪ませることなく、透視することができる。さらに、プランターの中央部およびその一側には、水槽内を外部に連通する中央空間部および側方空間部が形成されるので、水槽の上部にプランターを設けても、前記中央空間部を通して外部の照明を水槽内に及ぼすことができ、さらに、前記側方空間部を通して水槽内のメンテナンスを容易に行なうことができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、中空多角筒体よりなる水槽の開放上面に一体に形成されるプランター収容部内に、平面視劣弧状に形成される複数プランターを、前記プランター収容部の中心周りに移動でき、また水槽に対してプランターの位置を変更し、さらに複数の劣弧状プランターを選択的に交換して、プランターに植え込まれる陸上植物を変更させて、景観の異なる水槽装置を楽しむことができる。また、プランターの中央部には、水槽内を外部に連通する中央空間部が形成されるので、水槽の上部にプランターを設けても、前記中央空間部を通して外部の照明を水槽内に及ぼすことができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、プランターの中央部に形成される中央空間部は、蓋体により閉じられるので、水槽内の水が外部に飛散しないようにすることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、プランターの一側に形成される側方空間部内には、他の劣弧状プランターが設けられるので、プランター収容部の全域に亘ってプランターを設けることができ、陸上植物の絶対量を増やすことができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、プランターの一側に形成される側方空間部は、覆い板により閉じられるので、水槽内の水が外部に飛散しないようにすることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、プランターの上方には、照明具が設けられるので、プランターおよび水槽を直接照射して、プランターと水槽を、それらの内部まで隈なく外部から観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】プランター付き水槽装置の全体斜視図(第1の実施の形態)
【
図2】
図1の2−2線に沿う断面図(第1の実施の形態)
【
図3】
図1の3−3線の沿う断面図(第1の実施の形態)
【
図4】プランター付き水槽装置の分解斜視図(第1の実施の形態)
【
図5】プランター付き水槽装置の使用態様を示す、一部縦断側面図(第1の実施の形態)
【
図6】
図5の6−6線に沿う断面図(第1の実施の形態)
【
図7】プランターに観葉植物を植込む過程を示す図(第1の実施の形態)
【
図8】プランター付き水槽装置の全体斜視図(第2の実施の形態)
【
図9】
図8の9−9線に沿う断面図(第2の実施の形態)
【
図10】
図9の10−10線に沿う拡大断面図(第2の実施の形態)
【
図11】プランター付き水槽装置の全体斜視図(第3の実施の形態)
【
図12】
図11の12−12線に沿う断面図(第3の実施の形態)
【
図13】プランター付き水槽装置の全体斜視図(第4の実施の形態)
【
図14】
図13の14−14線に沿う断面図(第4の実施の形態)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、以下に具体的に説明する。
【0020】
図1〜7は、本発明の第1の実施の形態を示す。
【0021】
図1〜4において、本発明プランター付水槽装置は、アクリル等の硬質の合成樹脂材により一体に形成される水槽10と、プランター収容部20とを備える。
【0022】
水槽10は、透明な上面開放の八角筒体により形成されており、その底部は、底受け部材30に着脱可能に嵌合されて、その支持脚13が、底受け部材30に支持される。八角筒状の水槽10の開放上面には、円筒状のプランター収容部20が一体に連接されており、水槽10とプランター収容部20との境界には段差11が形成され、この段差11の上面に、プランター40の支持面12が形成されている。
【0023】
円筒状のプランター収容部20内には、平面視優弧状(中心角約270°)に形成されるプランター40が、プランター収容部20の中心軸線L−L周りに自由に旋回、移動できるように収容されて、このプランター40の外周面41の下部が、前記支持面12に摺動可能に支持される。プランター40の底壁には、多数の小孔よりなる通水孔42が穿設されており、これらの通水孔42を通して水槽10内に収容された水W(
図5参照)がプランター40内に流通するようにされている。
【0024】
優弧状のプランター40の内方には、中央空間部43が形成されると共
に、プランターの端壁間には、その中央空間部43に連通する側方空間部44(中心角約90°)が形成されている。そして、後に述べるように、プランター収容部20内にプランター40を収容したまま、この側方空間部44を通して水槽10内部のメンテナンスができるようにされる。
【0025】
プランター40の中央部に形成される中央空間部43の上面は、透明な円盤状の蓋体50により開閉可能に閉じられる。また、
図3に示すように、蓋板50の外周部の下面には案内片51が一体に設けられ、この案内片51は、プランター40の内周面に係合して、蓋板50の位置決めがなされる。蓋体50の一側には扇形状の覆い板52が設けられ、この覆い板52に形成した係合溝53内に前記案内片51が係合して、蓋板50に覆い板52が一体に連結されている。蓋板50の中央部には操作孔54が開口されており、この操作孔54に指先を差し込むことで、蓋板50の操作をする。
【0026】
水槽10およびプランター収容部20の外側面には、パイプよりなる支柱60が固定されている。この支柱60は、その下端が底受け部材30の受部31に支持されて、プランター収容部20の上面よりも高く上方に延長されていて、その上端に照明具61が片持状に支持されている。この照明具61は、プランター収容部20の上方を覆うようにされており、笠体62と、その内部に収容される照明灯63としての蛍光灯を備える。そして、蛍光灯63
の点灯によれば、プランター収容部20および水槽10をその上方から直接照射できるようにされている。
【0027】
前記支柱60内には、前記照明具61に接続される電線64、制御機器65、エアポンプ
67などが収容される(
図5参照)。
【0028】
つぎに、
図5〜7を参照して、プランター付き水槽装置の一使用態様について説明する。
【0029】
図5に示すように、前記プランター内には、観葉植物、ハーブなどの陸上植物70が植込まれる。
図7(a)、(b)に示すように、陸上植物70は、その根茎部を、用土を含浸させたスポンジ体71により巻き込んだ後、そのスポンジ体71を、
図7(c)(d)に示すように、プランター40内に植込むようにする。陸上植物70を巻き込んだ複数のスポンジ体71は、
図5、6
に示すように、プランター40内に並んで植え込まれる。陸上植物70を植え込んだプランター40を、プランター収容部20内に収容する。このとき、
図6、矢印に示すように、優弧状のプランター40は、プランター収容部20に対して、その中心軸線L−Lまわりに、旋回、移動できるので、水槽10に対して陸上植物70の位置を変えることでき、水槽装置の形態を適宜に変更して外観上の趣を変えることができ、その商品価値が高められる。そして、優弧状のプランター40は、水槽10に対してどの位置にある場合でも、その側方空間部44を通して、水槽10内のメンテナンスを行なうことができる。
【0030】
図5に示すように、水槽10内に収容される水Wの水面Wlは、プランター収容部20の中間位置まで達するようにする。これにより、水Wはプランター40の底壁の複数の通水孔42からプランター40内に流入させることができる。
【0031】
また、必要に応じて水槽10には、砂利73を敷き詰めたり、濾過器74やヒーター75を収容したりする。
【0032】
プランター40の中央空間部43およびその側方空間部44は、蓋体50および覆い板52により閉じられる。これにより、水槽10内の水Wが外部に飛散するのを防止することができる。
【0033】
照明灯63を点灯すれば、その照明を、プランター40の中央部の透明な蓋体50を通して水槽10内の奥まで及ぼすことができ、容器Vの上部にプランター40を設けたにも拘らず、水槽10内を明るく照らすことができる。
【0034】
また、水槽10が八角筒体により形成されることにより、水槽10の平らな壁面を通して水槽10内の観賞魚を歪ませることなく、透視することができる。
【0035】
つぎに、
図8〜10を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0036】
この第2の実施形態は、プランターの構造が、第1の実施形態と相違しており、前記第1の実施形態と同じものには同じ符合が付される。
【0037】
この第2の実施形態では、平面視劣弧状の3個のプランター401・・(
合計中心角約270°)を備えており、これらのプランター401・・は、それぞれプランター収容部20内に移動可能に収容される。
図10に示すように、各プランター401には、その外周部の上縁に、一対のフック47,47が一体に形成され、これらのフック47,47をプランター収容部20の外周部の上縁に係合、保持する。これにより、各プランター401の落下を防止するようにしている。
【0038】
しかして、この第2の実施形態によれば、3個のプランター401・・を個々に交換することができ、陸上植物の交換を容易に行なうことができる。
【0039】
つぎに、
図11、12を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0040】
この第3の実施形態は、プランターの側部空間部に他のプランターを設けると共に蓋体を省略した点で、第1の実施形態と相違しており、前記第1の実施形態と同じものには同じ符合が付される。
【0041】
この第3の実施形態では、優弧状のプランター40の側方空間部44に、他の劣弧状のプランター402が収容される。他のプランター402の外周部の上縁に、一対のフック47,47が一体に形成され、これらのフック47,47をプランター収容部20の外周部の上縁に係合、保持する。また、プランター40の中央空間部43は、蓋体を省略して閉じないようにする。
【0042】
しかして、この第3の実施形態によれば、優弧状のプランター40および劣弧状の他のプランター402の何れにも陸上植物70を植込むことで、陸上植物70の絶対量を増やすことができ、また、プランター40の中央空間部43を閉じなくても、水槽10内の水Wの外部への飛散を抑えることができる。
【0043】
つぎに、
図13、14を参照して、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0044】
この第4の実施形態は、プランター収容部20内に収容されるプランターが、第1の実施形態と相違しており、前記第1の実施形態と同じものには同じ符合が付される。
【0045】
この第4の実施形態では、円筒状のプランター収容部20内の全域に、4個の劣弧状プランター403・・・が収容される。各プランター403・・・外周部の上縁に、一対のフック47,47が一体に形成され、これらのフック47,47をプランター収容部20の外周部の上縁に係合、保持する。また、プランター40の中央空間部43は、蓋体を省略して閉じないようにする。
【0046】
しかして、この第4の実施形態によれば、4個のプランター403・・・の何れにも陸上植物を植込むことで、陸上植物の絶対量を増やすことができ、また、プランター40の中央空間部43を閉じなくても、水槽10内の水Wの外部への飛散を抑えることができる。
【0047】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はその実施の形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施の形態が可能である。たとえば、前記実施の形態では、水槽は八角筒体に形成されるが、これを他の多角筒体に形成してもよい。また、前記第2、第4実施の形態では、プランター収容部内には、4個の劣弧状プランターが収容されるが、そこには3個あるいは4個以上の劣弧状プランターを収容してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10・・・・水槽
11・・・・段差
12・・・・支持面
20・・・・プランター収容部
40・・・・プランター(優弧状プランター)
43・・・・中央空間部
44・・・・側方空間部
50・・・・蓋体
52・・・・覆い板
62・・・・照明具
401・・・プランター(劣弧状プランター)
402・・・プランター(他のプランター)
403・・・プランター(劣弧状プランター)