特許第5916100号(P5916100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本クロージャー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5916100-キャップ整列供給装置 図000002
  • 特許5916100-キャップ整列供給装置 図000003
  • 特許5916100-キャップ整列供給装置 図000004
  • 特許5916100-キャップ整列供給装置 図000005
  • 特許5916100-キャップ整列供給装置 図000006
  • 特許5916100-キャップ整列供給装置 図000007
  • 特許5916100-キャップ整列供給装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916100
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】キャップ整列供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20160422BHJP
   B67B 3/064 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   B65G47/14 102A
   B67B3/064
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-50304(P2012-50304)
(22)【出願日】2012年3月7日
(65)【公開番号】特開2013-184776(P2013-184776A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092200
【弁理士】
【氏名又は名称】大城 重信
(74)【代理人】
【識別番号】100110515
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 益男
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 善弘
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2799765(JP,B2)
【文献】 特開2007−106546(JP,A)
【文献】 特開2001−198530(JP,A)
【文献】 特開平08−225142(JP,A)
【文献】 特開平07−257798(JP,A)
【文献】 特開平10−181868(JP,A)
【文献】 米国特許第5186305(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/00−47/20
B67B 1/00− 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のキャップを載置する受面を有し回転駆動される回転円板と、該回転円板の外側に設けられ一部にキャップ出口部を有する円筒状のキャップ側面ガイドと、前記回転円板の外周側の上方位置に設けられたリング状の上方ガイドとを有するキャップ整列供給装置であって、
前記回転円板の受面が、表面の摩擦係数の異なる外周受面と内周受面とからなり、
前記外周受面の半径方向の幅が、前記キャップの直径以上であり、
前記外周受面の表面の摩擦係数が、前記内周受面の表面の摩擦係数より大きく、
前記上方ガイドの半径方向の幅が、前記外周受面の半径方向の幅より大きいことを特徴とするキャップ整列供給装置。
【請求項2】
前記回転円板が、アルミニウムで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ整列供給装置。
【請求項3】
前記外周受面が、前記回転円板の表面を硬質クロムめっきしたものであり、
前記内周受面が、前記回転円板の表面をフッ素樹脂コーティングしたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャップ整列供給装置。
【請求項4】
前記硬質クロムめっきの表面が、鏡面であることを特徴とする請求項3に記載のキャップ整列供給装置。
【請求項5】
前記フッ素樹脂コーティングの表面が、粗面であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のキャップ整列供給装置。
【請求項6】
前記キャップ側面ガイドに沿って前記外周受面上を移動するキャップの上方には、前記キャップの表裏を判別する表裏検出手段が設けられ、
前記キャップ側面ガイドに沿って前記外周受面上を移動するキャップの側方には、前記表裏検出手段の検出結果を受けて前記キャップ側面ガイドに沿って前記外周受面上を移動するキャップを選択的に内周受面上に押し出す排除手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のキャップ整列供給装置。
【請求項7】
前記表裏検出手段が、前記上方ガイドに設けられた近接センサを有することを特徴とする請求項6に記載のキャップ整列供給装置。
【請求項8】
前記排除手段が、前記キャップ側面ガイドの円筒状の壁から内周側に気体を噴出可能な排除ノズルを有し、
該排除ノズルが、気体の噴出によりキャップを選択的に外周受面上から内周受面上に押し出すことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のキャップ整列供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のキャップの表裏を高速に揃えて供給するのに最適なキャップ整列供給装置に関する
【背景技術】
【0002】
従来、容器のキャップをキャッパーに表裏を揃えて供給するためのキャップ整列供給装置は、種々の形式のものが知られている。
例えば、多数のキャップを載置する受面を有し回転駆動される回転円板と、該回転円板の外側に設けられ、一部にキャップ出口部を有する円筒状のキャップ側面ガイドと、前記回転円板の外周側の上方位置に設けられたリング状の上方ガイドとを有し、回転円板上から摩擦力により力を受けることにより接線方向に加速され、遠心力によって回転円板上を滑ってキャップ側面ガイド側に整列し、さらに摩擦力によりキャップ側面ガイドに沿って移動してキャップ出口部から排出されることで、容器のキャップを高速に供給可能なキャップ整列供給装置が公知である(例えば、特許文献1等参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2799765号公報(全頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されたような公知のキャップ整列供給装置においては、回転円板の摩擦係数が供給されるキャップの連続性、供給速度に大きく影響する。
例えば、摩擦係数が小さいと、キャップが回転円板上を滑りやすくなるため、遠心力によるキャップ側面ガイド側への整列が確実に行われるが、キャップ側面ガイドに沿った移動速度を向上させることができず、キャップ出口部から排出されるキャップの連続性は担保できるものの供給速度を向上することができない。
逆に、摩擦係数が大きいと、キャップが回転円板上を滑りにくくなり、遠心力によるキャップ側面ガイド側への整列が不確実となり、キャップ出口部から排出される個々のキャップの排出速度は向上するものの、キャップ出口部から排出されるキャップの連続性が確保できず断続的な供給となり、トータルではキャップの供給能力の向上が阻害される。
【0005】
そこで本発明は、前述したような公知のキャップ整列供給装置の課題を解決することを目的とするものであって、簡単な構成で、排出されるキャップの連続性は担保しつつ排出速度を向上してトータルではキャップの供給能力を高めることを可能とし、また、高速で排出されるキャップの確実な表裏整列を可能とするキャップ整列供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本請求項1に係る発明は、多数のキャップを載置する受面を有し回転駆動される回転円板と、該回転円板の外側に設けられ一部にキャップ出口部を有する円筒状のキャップ側面ガイドと、前記回転円板の外周側の上方位置に設けられたリング状の上方ガイドとを有するキャップ整列供給装置であって、前記回転円板の受面が、表面の摩擦係数の異なる外周受面と内周受面とからなり、前記外周受面の半径方向の幅が、前記キャップの直径以上であり、前記外周受面の表面の摩擦係数が、前記内周受面の表面の摩擦係数より大きく、前記上方ガイドの半径方向の幅が、前記外周受面の半径方向の幅より大きいことにより、前記課題を解決するものである。
【0007】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたキャップ整列供給装置の構成に加えて、前記回転円板が、アルミニウムで形成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたキャップ整列供給装置の構成に加えて、前記外周受面が、前記回転円板の表面を硬質クロムめっきしたものであり、前記内周受面が、前記回転円板の表面をフッ素樹脂コーティングしたものであることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項4に係る発明は、請求項3に記載されたキャップ整列供給装置の構成に加えて、前記硬質クロムめっきの表面が、鏡面であることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項5に係る発明は、請求項3または請求項4に記載されたキャップ整列供給装置の構成に加えて、前記フッ素樹脂コーティングの表面が、粗面であることにより、前記課題を解決するものである。
【0008】
本請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5に記載されたキャップ整列供給装置の構成に加えて、前記キャップ側面ガイドに沿って前記外周受面上を移動するキャップの上方には、前記キャップの表裏を判別する表裏検出手段が設けられ、前記キャップ側面ガイドに沿って前記外周受面上を移動するキャップの側方には、前記表裏検出手段の検出結果を受けて前記キャップ側面ガイドに沿って前記外周受面上を移動するキャップを選択的に内周受面上に押し出す排除手段が設けられていることにより、前記課題を解決するものである。
本請求項7に係る発明は、請求項6に記載されたキャップ整列供給装置の構成に加えて、前記表裏検出手段が、前記上方ガイドに設けられた近接センサを有することにより、前記課題を解決するものである。
本請求項8に係る発明は、請求項6または請求項7に記載されたキャップ整列供給装置の構成に加えて、前記排除手段が、前記キャップ側面ガイドの円筒状の壁から内周側に気体を噴出可能な排除ノズルを有し、該排除ノズルが、気体の噴出によりキャップを選択的に外周受面上から内周受面上に押し出すことにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0009】
本請求項1に係る発明のキャップ整列供給装置によれば、内周受面の摩擦係数が低いことで、キャップが回転円板上を滑りやすくなり遠心力によるキャップ側面ガイド側への整列が確実に行われるとともに、外周受面がキャップの直径以上であり摩擦係数が高いことで、キャップ側面ガイドに沿って整列したキャップの移動速度を確実に向上させることができるため、高速かつ連続的にキャップをキャップ出口部から排出することが可能となり、キャップの供給能力を高めることができる。
また、1枚の回転円板の表面の摩擦係数を内周と外周で異なるものとしているため、簡単な構成であり、従来のキャップ整列供給装置と比較して大型化、複雑化することもなく、組立やメンテナンスの工数が増加することもない。
さらに、外周受面の半径方向の幅をキャップの直径以上としているため、摩擦係数の高い外周受面のグリップ力を無駄なくキャップに伝えることができる。
なお、キャップの直径がキャップの高さより大きい場合、回転円板と上方ガイドとの間隔を、キャップの高さより大きく、キャップの高さの1.5倍より小さく、かつ、キャップの直径より小さく設定することで、上方ガイドによって、直径方向が垂直となる姿勢のキャップの外周部への移動を阻止するとともに、キャップのガタつきを小さくして外周受面での詰まりをなくし、キャップの排出を円滑に行うことが可能となる。
【0010】
また、上方ガイドの半径方向の幅が外周受面の半径方向の幅より大きいことによって、キャップと上方ガイドが接触する位置を、摩擦係数の低い、すなわち滑りやすい内周受面上とすることができるため、キャップの内周受面から外周受面への移動を安定して行うことができる。
このため、キャップ側面ガイド側へのキャップの整列がより確実に行われる。
本請求項2に記載の構成によれば、回転円板をより軽量とすることができ、高速回転が可能となりキャップの供給能力をより向上させることができる。
また、加工、表面処理の容易な素材であるため、容易に摩擦係数の異なる表面を設けることができる。
本請求項3に記載の構成によれば、外周受面および内周受面の摩擦係数をそれぞれ最適に調整することが可能で、かつ、耐久性が高く、キャップに与える損傷も低減することが可能となる。
本請求項4に記載の構成によれば、外周受面の摩擦係数を大きくしつつ、耐久性をより向上することができる。
本請求項5に記載の構成によれば、内周受面の摩擦係数を小さくしつつ、耐久性をより向上することができる。
粗面をサンドブラスト加工で形成すれば、内周受面を均一に粗面化でき、均一に摩擦係数を小さくすることができる。
【0011】
本請求項6に記載の構成によれば、表裏逆に整列したキャップが内周受面側に押し出され再び姿勢を変えて外周受面側に移動することができるため、押し出されたキャップを回収する設備、機構が不要となり構成を簡略化することが可能となる。
また、内周受面の摩擦係数が小さいためキャップの押し出し時の抵抗が小さく確実に押し出すことが可能であり、かつ、押し出し速度が大きくなるため押し出し後の姿勢変化も生じやすく、再び外周受面側に移動する際に、表裏が正しくなる確率も向上する。
本請求項7に記載の構成によれば、高速に移動するキャップの表裏を確実に判定することが可能となる。
本請求項8に記載の構成によれば、可動部が少なく動作の応答性も高いため、表裏検出手段と近接して配置することが可能となり、表裏逆に整列したキャップをより確実に押し出すことが可能となる。
また、圧力を変化させることで押し出し速度の制御を容易に行うことができ、扱うキャップを変更しても容易に最適な条件に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の1実施形態であるキャップ整列供給装置の概略斜視図(参考写真)。
図2】本発明の1実施形態であるキャップ整列供給装置の一部断面側面図。
図3】本発明の1実施形態であるキャップ整列供給装置の平面図。
図4】本発明の1実施形態であるキャップ整列供給装置の回転円板の平面説明図。
図5】表裏検出手段の説明図。
図6】排除手段の一部断面側面図。
図7】表裏検出手段および排除手段の動作説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、図1乃至図4に示すように、多数のキャップCを載置する受面112を有し回転駆動される回転円板110と、該回転円板110の外側に設けられ円筒状の壁が一部欠損したキャップ出口部121を有するキャップ側面ガイド120と、回転円板110の外周側の上方位置に設けられたリング状の上方ガイド130とを有するキャップ整列供給装置100であって、回転円板110の受面112が、表面の摩擦係数の異なる外周受面113と内周受面114とからなり、外周受面113の半径方向の幅aが、キャップCの直径d以上であり、外周受面113の表面の摩擦係数が、内周受面114の表面の摩擦係数より大きいものであって、簡単な構成で、排出されるキャップCの連続性は担保しつつ排出速度を向上してトータルではキャップCの供給能力を高めることを可能とし、また、高速で排出されるキャップCの確実な表裏整列を可能とするものであれば、具体的な実施形態はいかなるものであっても良い。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の1実施形態であるキャップ整列供給装置100の構成について、図面に基づいて具体的に説明する。
キャップ整列供給装置100は、図1乃至図4に示すように、基台101上に設けられた保持板102の外周部にキャップ側面ガイド120が固定され、該保持板102に回転円板110が回転可能に保持され、キャップ側面ガイド120の上端の内周側に、上方ガイド固定手段131を介してリング状の上方ガイド130が固定されて構成されている。
回転円板110は、図2に示すように、保持板102の中央部に設けられた駆動軸受117に回転可能に支持される駆動軸115に固定されるとともに、該駆動軸115は、保持板102の下方に設けられた駆動モータ116によって回転駆動される。
キャップ側面ガイド120は、図3に示すように、円筒状の壁が一部欠損したキャップ出口部121を有し、該キャップ出口部121には整列されたキャップCが排出される整列排出部123が連接されている。
【0015】
また、本実施形態においては、図2に示すように、キャップ側面ガイド120の内周にキャップCの側面と当接する側面当接レール122が設けられており、キャップ側面ガイド120とキャップCとの摩擦抵抗を低減している。
上方ガイド130の内周側には、上方に立設するように飛散防止壁103が設けられるとともに、該飛散防止壁103の上端には、内周側を覆うように上蓋部材104が設けられ、回転円板110上に投入されたキャップCが上方から外部に飛散するのを防止している。
なお、上蓋部材104は、開閉可能な構造であり、内部が目視できる材質であるのが望ましい。
また、図1の参考写真に示すように、上蓋部材104は、キャップCを投入する手段が連結可能となっていると、大量のキャップを自動供給することができて好ましい。
【0016】
上方ガイド130には、表裏検出手段を構成する近接センサ141が設けられるとともに、キャップ側面ガイド120には、排除手段を構成する排除ノズル142が設けられている。
さらに、本実施形態においては、図3に示すように、上方ガイド130の内周側下方のキャップ出口部121に対応する位置には、出口部カバー133が設けられ、上方ガイド130の内周側下方の排除ノズル142に対応する位置には、排除部カバー132が設けられ、ともに、当該位置におけるキャップCの外周方向への移動を阻止するように構成されている。
【0017】
回転円板110の上面のキャップCに接線方向の駆動力を与える受面112は、図2および図4に示すように、表面の摩擦係数の異なる外周受面113と内周受面114とからなり、外周受面113が内周受面114より摩擦係数が大きくなるように設定されている。
なお、本実施形態では、受面112の中心部には中央コーン部111が設けられ、キャップCが重力で外周側に移動可能として、接線速度の低い中心付近に滞留しないように構成されている。
本実施形態では、回転円板110は軽量なアルミニウムで形成されるとともに、外周受面113は回転円板110の表面を硬質クロムめっきした後、鏡面加工されたものであり、内周受面114は回転円板110の表面にフッ素樹脂コーティングした後、サンドブラスト加工により粗面化されたものである。
このことで、外周受面113が内周受面114より摩擦係数が大きくなるとともに、いずれの表面も摩擦係数が均一であり、かつ、キャップCとの接触や衝突による表面の損傷や摩耗が少なく、また、キャップCに損傷や摩耗を与えることも極めて少ない。
【0018】
外周受面113の半径方向の幅aは、キャップCの直径d以上に設定されており、上方ガイド130の半径方向の幅bより小さく設定されている。
なお、本実施形態では、キャップ側面ガイド120の内周に側面当接レール122が設けられているため、図2に示すように、外周受面113の半径方向の幅aは、側面当接レール122がキャップCと接する位置と内周受面114最外周との半径方向の幅で設定され、上方ガイド130の半径方向の幅bは、側面当接レール122がキャップCと接する位置と上方ガイド130内周との半径方向の幅で設定される。
【0019】
表裏検出手段を構成する近接センサ141は、図5に示すように、上方ガイド130の上部に設けられており、上方ガイド130の上下方向に設けられた検出孔134の下方をキャップCが通過したことを検知し、その検知時間および検知パターンから図示しない制御手段によってキャップCの表裏を判断する。
すなわち、キャップCの天面壁が下方に位置し、側壁の開口端が上方に位置した正常状態と、逆の不適正状態とを判別することになる。
排除手段を構成する排除ノズル142は、図6に示すように、キャップ側面ガイド120の側面当接レール122の下部から、内周方向に気体を噴出可能に設けられており、電磁弁143によって、気体の噴出、停止が制御される。
近接センサ141による検知の結果、キャップCの表裏が逆(すなわち、キャップCの天面壁が上方に位置し、側壁の開口端が下方に位置した不適正状態)の場合、図示しない制御手段によって電磁弁143が操作されて排除ノズル142から気体が噴出され、キャップCは、噴出された気体の圧力で内周側に押し出される。
【0020】
以上のように構成された本発明の1実施形態であるキャップ整列供給装置100の構成および動作について説明する。
回転円板110は、図7に示す矢印方向に回転しており、上蓋部材104を開け、あるいは上蓋部材104に連結された投入手段から、回転円板110の内周受面114上に適宜の数量のキャップCが投入される。
この時、中心付近の中央コーン部111上に投入されたキャップCは、その傾斜によって回転円板110の内周受面114の上に移動する。
なお、図7に記載された、符号105は、キャップCを自動投入する場合の投入量の制御に用いるため、複数のキャップCの高さ方向の重なりを検知するホッパ容量検出センサである。
【0021】
内周受面114上のキャップCは、回転円板110から接線方向の力を受けるが、内周受面114の摩擦係数が低いため、回転円板110とともに回転方向の運動を行うことなく、滑って(いわゆる遠心力が働き)外周方向に移動する。
この時、キャップCは様々な姿勢で外周方向に移動するが、上方ガイド130と回転円板110との間隔を、キャップCの高さよりやや大きく、キャップCの高さの1.5倍より小さく、かつ、キャップCの直径よりも小さく設定することで、図5に示すような、表および裏向きの姿勢のキャップCのみが上方ガイド130の下方を通過して、回転円板110の外周受面113上に移動し、詰まることなくキャップ出口部121の方向に移動することができる。
表および裏向きの姿勢以外のキャップCや、他のキャップCの上に重なったキャップCは、上方ガイド130と接触して内周受面114側に戻されてその姿勢が変化する。
【0022】
表および裏向きの姿勢のキャップCは、キャップ側面ガイド120の側面当接レール122に当接する位置まで外周受面113上を移動し、外周受面113によって接線方向の力を受け、キャップ側面ガイド120の側面当接レール122に沿って回転円板110の回転方向に移動する。
外周受面113上を移動するキャップCは回転方向に移動すればよいため、外周受面113は内周受面114より表面の摩擦係数を大きく設定されており、キャップCは外周受面113から力を受けて、より高速に回転方向に移動する。
上記の動作で複数のキャップCが外周受面113上に整列した状態で回転方向に移動して、キャップ側面ガイド120のキャップ出口部121に向かう。
【0023】
キャップ出口部121の近傍には、表裏検出手段を構成する近接センサ141と排除手段を構成する排除ノズル142が設けられており、近接センサ141により通過するキャップCの表裏が逆と判断された場合、電磁弁143が操作されて排除ノズル142から気体が噴出されて内周受面114側に押し出される。
本実施形態では、近接センサ141および排除ノズル142が2対設けられて、排除ミスを防止している。
図7に示す近接センサ141と排除ノズル142の円周上の角度θは、排除ノズル142の応答性を高めることで小さく設定可能であり、この角度θが小さいほどキャップCの通過速度の変動による排除ミスを低減することが可能となる。
また、図3に示すように、それぞれの排除ノズル142の内周側には、排除部カバー132が設けられており、排除されるキャップCが押し出された際に内周受面114上のキャップCと衝突して排除ミスが発生することを防止するとともに、内周受面114から直接排除ノズル142の方向に移動するキャップCの侵入を防止している。
【0024】
2対の近接センサ141および排除ノズル142によって排除されなかった表裏の正しいキャップCのみが、キャップ出口部121に達し、キャップ出口部121に連接された整列排出部123を通過して外部に排出され、当該キャップCは、次の工程に供給される。
キャップ出口部121の内周側には出口部カバー133が設けられ、内周受面114から直接キャップ出口部121の方向に移動するキャップCの侵入を防止している。
また、出口部カバー133と排除部カバー132は、少なくとも後流の排除ノズル142の位置からキャップ出口部121までの間で、内周受面114上を外周受面113側に移動するキャップを全て内周受面114側に排除するように、その形状、サイズ、角度、配置等が設定されている。
このことで、キャップCが近接センサ141および排除ノズル142を通過せず、表裏の判定がなされないまま外部に排出されることを防止できる。
なお、図7に記載された、符号106は、キャップ整列供給装置100の動作異常の判定に用いるため、整列排出部123におけるキャップCの通過を検知するキャップ供給検出センサである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のキャップ整列供給装置は、特に樹脂製の容器のキャップを、表裏を揃えて高速に供給するために好適であるが、同様の形状のキャップであればいかなる材質のキャップでも応用可能である。
また、キャップと類似の物品で表裏整列して供給する必要がある部材であれば、キャップに限定されず、いかなる部材の整列供給に使用しても良い。
【符号の説明】
【0026】
100 ・・・ キャップ整列供給装置
101 ・・・ 基台
102 ・・・ 保持板
103 ・・・ 飛散防止壁
104 ・・・ 上蓋部材
105 ・・・ ホッパ容量検出センサ
106 ・・・ キャップ供給検出センサ
110 ・・・ 回転円板
111 ・・・ 中央コーン部
112 ・・・ 受面
113 ・・・ 外周受面
114 ・・・ 内周受面
115 ・・・ 駆動軸
116 ・・・ 駆動モータ
117 ・・・ 駆動軸受
120 ・・・ キャップ側面ガイド
121 ・・・ キャップ出口部
122 ・・・ 側面当接レール
123 ・・・ 整列排出部
130 ・・・ 上方ガイド
131 ・・・ 上方ガイド固定手段
132 ・・・ 排除部カバー
133 ・・・ 出口部カバー
134 ・・・ 検出孔
141 ・・・ 表裏検出手段(近接センサ)
142 ・・・ 排除手段(排除ノズル)
143 ・・・ 電磁弁
C ・・・ キャップ
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図1