特許第5916188号(P5916188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5916188車いすのレッグバーの取付構造及び車いす
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  • 特許5916188-車いすのレッグバーの取付構造及び車いす 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916188
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】車いすのレッグバーの取付構造及び車いす
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/02 20060101AFI20160422BHJP
   A61G 5/08 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   A61G5/02 508
   A61G5/02 503
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-30010(P2012-30010)
(22)【出願日】2012年2月14日
(65)【公開番号】特開2013-165788(P2013-165788A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】504291384
【氏名又は名称】EREVO JAPAN 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161229
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】村井 正
(72)【発明者】
【氏名】劉 京宰
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正之
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−275296(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/007811(WO,A1)
【文献】 特開平11−197189(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0301574(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/02
A61G 5/08
A61G 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に対し略垂直方向に延びる背支柱と該背支柱に接続され前後方向に延びる上部バーと該上部バーに接続され地面に対し略垂直方向に延びる前支柱と前記背支柱に接続され前記上部バーの上方で前後方向に延びるアームレストバーとを有する車いすに用いられるレッグバーの取付構造であって、
上端が前記アームレストバーの中間部に接続され、前記上端から後方側の斜め下方に延びた後、前記上部バーより上方で湾曲し、前方側の斜め下方に延びるとともに、中間部が前記上部バーの外側に固定されているアームレスト支柱と、
前端が前記前支柱に接続され、後端が前記アームレスト支柱の下端部に接続されたレッグバー取付部材と、
該レッグバー取付部材に前方上下方向に回動可能に軸支されたレッグバーと、
前記アームレスト支柱に固定され、前記レッグバーを把持する第1のレッグバー受け具と、
前記前支柱又は前記前支柱に固定されたキャスタパイプに固定され、前記レッグバーを把持する第2のレッグバー受け具と、
を備えたレッグバー取付構造。
【請求項2】
地面に対し略垂直方向に延びる背支柱と、
該背支柱に接続され前後方向に延びる上部バーと、
該上部バーに接続され地面に対し略垂直方向に延びる前支柱と、
前記背支柱に接続され前記上部バーの上方で前後方向に延びるアームレストバーと、
上端が前記アームレストバーの中間部に接続され、前記上端から後方側の斜め下方に延びた後、前記上部バーより上方で湾曲し、前方側の斜め下方に延びるとともに、中間部が前記上部バーの外側に固定されているアームレスト支柱と、
前端が前記前支柱に接続され、後端が前記アームレスト支柱の下端部に接続されたレッグバー取付部材と、
該レッグバー取付部材に前方上下方向に回動可能に軸支されたレッグバーと、
前記アームレスト支柱に固定され、前記レッグバーを把持する第1のレッグバー受け具と、
前記前支柱又は前記前支柱に固定されたキャスタパイプに固定され、前記レッグバーを把持する第2のレッグバー受け具と、
をそれぞれ左右一対備えた車いす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車いすのフットレストを支持するレッグバーの取付構造及びその取付構造を用いた車いすに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フットレストを装備した車いすが一般に普及しており、このフットレストを支持するレッグバーを上に跳ね上げるように折り畳むタイプの車いすが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の車いすでは、レッグバーの取付部分に複雑な形状のブラケットを用いており、コストがかかるという問題があった。このため、より低コストで実現できるレッグバーの取付構造が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7―275296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、レッグバーを上に跳ね上げるように折り畳むレッグバーの取付構造及びそれを用いた車いすを低コストで提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明では、地面に対し略垂直方向に延びる背支柱と背支柱に接続され前後方向に延びる上部バーと上部バーに接続され地面に対し略垂直方向に延びる前支柱と背支柱に接続され上部バーの上方で前後方向に延びるアームレストバーとを有する車いすに用いられるレッグバーの取付構造であって、上端がアームレストバーの中間部に接続され、下端が後方側の斜め下方に延びた後、上部バーより上方で湾曲し、前方側の斜め下方に延びるとともに、中間部が上部バーの外側に固定されているアームレスト支柱と、前端が前支柱に接続され、後端が前記アームレスト支柱に接続されたレッグバー取付部材と、レッグバー取付部材に回動可能に軸支されたレッグバーと、アームレスト支柱に固定され、レッグバーを把持する第1のレッグバー受け具と、前支柱又は前支柱に固定されたキャスタパイプに固定され、レッグバーを把持する第2のレッグバー受け具とを備えている。
【0007】
請求項2に係る発明では、車いすであって、地面に対し略垂直方向に延びる背支柱と、背支柱に接続され前後方向に延びる上部バーと、上部バーに接続され地面に対し略垂直方向に延びる前支柱と、背支柱に接続され上部バーの上方で前後方向に延びるアームレストバーと、上端がアームレストバーの中間部に接続され、下端が後方側の斜め下方に延びた後、上部バーより上方で湾曲し、前方側の斜め下方に延びるとともに、中間部が上部バーの外側に固定されているアームレスト支柱と、前端が前支柱に接続され、後端がアームレスト支柱に接続されたレッグバー取付部材と、レッグバー取付部材に回動可能に軸支されたレッグバーと、アームレスト支柱に固定され、レッグバーを把持する第1のレッグバー受け具と、前支柱又は前支柱に固定されたキャスタパイプに固定され、レッグバーを把持する第2のレッグバー受け具とをそれぞれ左右一対備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レッグバー取付け部材を例えば丸パイプで製作することもでき、非常にコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車いすの側面図である。
図2】車いすの折り畳み時の側面図である。
図3】後側クロスブレースの背面図である。
図4】A−A線の拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明である車いすのレッグバーの取付構造及び車いすを具現化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、既知の車いすと同等の構成に関しては、詳細な説明を省略する。
【0011】
まず、車いす1の構成について、主に図1及び3を参照して説明する。車いす1は、主に、一対の側枠10、一対のブレース取付部20、一対の連結バー30、後側クロスブレース40、前側クロスブレース50、一対の座パイプ60、一対の前輪70、一対の後輪75、座シート65、背シート112、一対のアームレストバー80、一対のアームレスト支柱85、一対のレッグバー90、一対のフットレスト95で構成される。
【0012】
側枠10は、主に背支柱11、上部バー12、下部バー13、前支柱14で構成される。外枠10は、左右一対であるため、以下、特に断りのない限り、片側のみについて説明する。
【0013】
背支柱11は、アルミ合金製の丸パイプからなり、地面に対して略垂直に延びている。背支柱11には、軸受保持部111が配設され、図示しない軸受を介し、後輪75が取り付けられている。左右の背支柱11には、背もたれとして機能する柔軟な背シート112が掛け渡されている。
【0014】
背支柱11の上端には、連接部113を介し、アルミ合金製の丸パイプからなるハンドルバー114が取り付けられている。ハンドルバー114は、連接部113によって、背支柱11に対し、後方に折れ曲げられるようになっている。連接部113は、アームレストバーの接続部よりも若干高い位置に設けられている。ハンドルバー114の上端部は曲折して形成されており、その端部には介助者が把持するための図示しない介助用グリップが取り付けられるようになっている。左右のハンドルバー114には、背もたれとして機能する柔軟な背シート115が掛け渡されている。
【0015】
上部バー12は、アルミ合金製の丸パイプからなり、その後端は、背支柱11に溶接され、前端は前方向に水平に延びた後、下方に湾曲し、地面に対し略垂直方向に延びる前支柱14を形成している。前支柱14の下部の外側には前輪を支えるキャスタパイプ121が溶接により固定されている。上部バー12の上部には、樹脂製の座パイプ受け具122が前方と後方に2個ネジ止め固定されている。なお、本実施形態では、座パイプ受け具122は、上部バー12の上方に取り付けられているが、上部バー12の内側に突出するように設けられていてもよい。
【0016】
下部バー13は、アルミ合金製の丸パイプからなり、中間部が背支柱11の下端に溶接され、前端は前方向に延び、前支柱14の下端部に溶接されている。なお、本実施形態では、このような構成であるが、例えば、下部バー13の後方端が上方に湾曲して背支柱11を構成してもよい。
【0017】
ブレース取付け部20は、アルミ合金製であり、下端が下部バー13に溶接により固定されている。そして、上端が左右側枠10の内側斜め上方に配置されている。本実施形態では左右の下部バー13に対し、それぞれ2個ずつ設けられている。
【0018】
連結バー30は、アルミ合金製の平板部材からなり、くの字形状をしている。車いすを折り畳んだときに上部バー12と干渉しないためである。また、同様の理由で、中間部が円弧状に切り取られている。連結バー30は、外端がピン31によって背支柱11に回動可能に軸支されている。
【0019】
後側クロスブレース40は、第一のブレース部材41、第二のブレース部材42、交差ジョイント部43で構成される。第一のブレース部材41は、アルミ合金製の角パイプで、緩やかなS字形状をしており、中心と上端との間に連結バー30の内端部を回動可能に連結する第一の連結部411を有している。第二のブレース部材42は、アルミ合金製の角パイプで、第一のブレース部材41を反転させた緩やかな逆S字形状をしており、第一のブレース部材41と同様に中心と上端との間に連結バー30の内端部を回動可能に連結する第二の連結部421を有している。第一のブレース部材41と第二のブレース部材42は、それぞれの上端同士及び下端同士が近接する向きに交差し、それぞれの略中央部が交差ジョイント部43によって回動可能に連結されている。第一及び第二の連結部411、421は、第一及び第二のブレース部材41、42の幅方向の中心よりも各ブレース部材の上端と下端とを結んだ直線の方向にずれて配設されている。
【0020】
前側クロスブレース50は、連結バー30を連結しない以外、後側クロスブレース40と同様の構造である。このため、詳細な説明を省略する。
【0021】
第一のブレース部材41の下端には、外パイプ412の後端部が溶接によって固定されている。外パイプ412は、前後方向に延び、前端部が第一のブレース部材41に対応する前側クロスブレース50の第一のブレース部材51の下端に溶接によって固定されている。外パイプ412は、前後のブレース取付部20に両端支持された支軸によって、回動自在に軸支されている。第二のブレース部材42の下端部も第一のブレース部材41の下端部と同様にブレース取付部20に軸支されている。
【0022】
第一の連結部411には、連結バー30の内端部が回動可能に連結されている。第一の連結部411は、車いすの使用時、すなわち、車いす用クロスブレース40が開いているときに、連結バー30が略水平になる位置に配設されている。ここでいう水平とは、ピン31の中心と第一の連結部411の中心の高さがほぼ同じという意味である。第二の連結部421も同様の構成である。
【0023】
座パイプ60は、アルミ合金製の丸パイプからなり、第一のブレース部材41の上端及び第一のブレース部材41に対応する前側クロスブレース50の第一のブレース部材51の上端に前後方向に延びるように溶接により固定されている。第二のブレース部材42の上端及び第二のブレース部材42に対応する前側クロスブレース50の第二のブレース部材52の上端にも前後方向に延びるように座パイプ60が溶接により固定されている。左右の座パイプ60には柔軟な座シート65が貼り渡されている。
【0024】
以下の構成は、左右一対であるため、片側のみについて説明する。アームレストバー80は、アルミ合金製の丸パイプからなり、後端部が上部バー12の上方で背支柱11に溶接により固定されている。前端は、斜め上方に延びた後、湾曲し、ほぼ水平に前方に延びている。アームレストバー80の上部には肘掛け81が取り付けられている。
【0025】
アームレストバー80の中間部には、アルミ合金製の丸パイプからなるアームレスト支柱85の上端が溶接により固定されている。アームレスト支柱85の下端は、後方側の斜め下方に延びた後、上部バー12より上方で湾曲し、前方側の斜め下方に延びている。アームレスト支柱85は、上部バー12の外側で交差し、交差する位置で上部バー12に溶接により固定されている。
【0026】
図4に示すように、アームレスト支柱85の下端部には、レッグバー取付部材91の後端部が溶接により固定されている。レッグバー取付部材91は、アルミ合金製の丸パイプからなり、前端が前支柱14に溶接により固定されている。レッグバー取付部材91には、レッグバー90が前方上下方向に回動可能に取り付けられている。アームレスト支柱85の下部には、レッグバー90を跳ね上げたときに把持するレッグバー受け具92がネジ止めにより固定されている。また、キャスタパイプ121の上部には、レッグバー90を下ろしたときに把持するレッグバー受け具93がネジ止めにより固定されている。レッグバー90の先端には、フットレスト95がレッグバー90に対し、側方上下方向に回動可能に取り付けられている。これらの構成により、極めて低コストにレッグバーを取り付けることができる。
【0027】
−車椅子の折り畳み動作について−
車いす1の使用時、左右の座パイプ60は各座パイプ受け具122の上部に載置されている。車椅子1を折り畳む際は、一旦軽く座シート65の左右中央部を持ち上げる。そうすると、座シート65を介して左右の座パイプ60は、上方へ移動し、各座パイプ受け具122からはずれる。次に、座シート65を下に垂らし、左右の座パイプ60を内側にとじ合わせるように引き上げる。これにより、左右の座パイプ60は、上昇しながら第一及び第二ブレース部材41、42の交差ジョイント部43を支点として内側に折り畳まれる。このとき、第一及び第二ブレース部材41、42の下端部がそれぞれ左右のブレース取付部20に軸支されているため、左右の側枠10の下部も内側に移動する。また、第一及び第二の連結部411、42が、それぞれ左右の連結バー30に連結されているため、左右側枠10の中間部も内側に移動する。これにより、左右の側枠10がほぼ平行状態のまま内側に移動する。
【0028】
左右のハンドルバー114を後方へ折り曲げ、左右のフットレスト95を各レッグバー90側へ跳ね上げた後、各レッグバー90を上方へ跳ね上げれば、図2に示すとおり、さらにコンパクトに折り畳むことができる。
【0029】
車いす1を再び使用状態にする際は、左右の側枠10を少し開き、その後左右の座パイプ60を下に押し付けるようにする。そうすると、各座パイプ60が各座パイプ受け具122に載置され、停止し、着座可能な状態に保持される。
【符号の説明】
【0030】
1:車いす
10:側枠
11:背支柱 111:軸受保持具 112;背シート
113:連設部 114:ハンドルバー 115:背シート
12:上部バー 121:キャスタパイプ 122:座パイプ受け具
13:下部バー
14:前支柱
20:ブレース取付部
30:連結バー 31:ピン
40:後クロスブレース
41:第一のブレース部材 411:第一の連結部 412:外パイプ
42:第二のブレース部材 421:第二の連結部
43:交差ジョイント部
50:前クロスブレース
51:第一のブレース部材 52:第二のブレース部材
60:座パイプ
65:座シート
70:前輪 75:後輪
80:アームレストバー 81:肘掛
85:アームレスト支柱
90:レッグバー
91:レッグバー取付部材
92:レッグバー受け具 93:レッグバー受け具
95:フットレスト
図1
図2
図3
図4