特許第5916212号(P5916212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916212
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】生体光計測装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20160422BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   A61B10/00 E
   A61B5/14 322
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-64906(P2012-64906)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-192834(P2013-192834A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
(74)【代理人】
【識別番号】100145735
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 尚隆
(72)【発明者】
【氏名】加賀 幹広
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−328933(JP,A)
【文献】 特開2006−230657(JP,A)
【文献】 特開2009−125402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/1455
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近赤外光を照射する光源部と、被検体の複数の測定点における通過光強度を計測し、測定点毎の通過光強度に対応する信号を測定チャンネル毎の測定データとして出力する光計測部と、前記光計測部からの測定データを処理して画像化する信号処理部と、前記信号処理部によって画像化された光トポ画像と画像診断装置によって予め得た前記被検体の形態画像を記憶する記憶部と、前記光トポ画像と前記形態画像の重畳画像を生成する制御部と、前記重畳画像を表示する表示部と、を備えた生体光計測装置であって、前記制御部は、前記形態画像と前記光トポ画像を演算する画像演算部と、前記形態画像の血管領域に重畳される酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度により当該血管に動脈又は静脈の色相を付す色相判定付与部と、を備えたことを特徴とする生体光計測装置。
【請求項2】
前記形態画像は、他の画像診断装置で得られた画像である請求項1記載の生体光計測装置。
【請求項3】
前記他の画像診断装置は、MRI装置、X線CT装置の何れかであることを特徴とする請求項2記載の生体光計測装置。
【請求項4】
前記色相判定付与部は、前記血管領域内の酸素化ヘモグロビン濃度及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の画素数の頻度に基づいて前記血管領域の色相を付すこと特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の生体光計測装置。
【請求項5】
前記色相判定付与部は、前記血管領域を構成する画素の数と前記酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度を示す画素数の比率に基づいて色相を付す判定をすること特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の生体光計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体光計測装置に関するものである。詳細には、磁気共鳴イメージング装置によって得られるMRI画像、X線CT装置によって得られるX線CT画像などの被検体の形態情報と生体光計測画像のヘモグロビン(Hb)濃度分布像(光トポ画像)の重畳表示の改良技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の生体光計測装置は、脳の表皮領域の光トポ画像と磁気共鳴イメージング装置で撮像された3次元のMRI画像に重畳することで、MRI画像が示す脳の表皮領域のどの領域が活性化されたかあるいは不活性に変化したかを診るものであった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-144437号公報
【特許文献2】特開平3-47245号公報
【特許文献3】特開2005-124614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、光トポ画像によって得られる酸素化Hb濃度と脱酸素化Hb濃度として得られる位置情報と血管領域の位置情報との対応づけがされておらず、脳の表皮領域のMRI画像で描出される血管が動脈か静脈かを判定することに配慮されていなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、脳の表皮領域の血管の動脈又は静脈を判定して表示可能とする生体光計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の生体光計測装置は、近赤外光を照射する光源部と、被検体の複数の測定点における通過光強度を計測し、測定点毎の通過光強度に対応する信号を測定チャンネル毎の測定データとして出力する光計測部と、前記光計測部からの測定データを処理して画像化する信号処理部と、前記信号処理部によって画像化された光トポ画像と画像診断装置によって予め得た前記被検体の形態画像を記憶する記憶部と、前記光トポ画像と前記形態画像の重畳画像を生成する制御部と、前記重畳画像を表示する表示部と、を備えた生体光計測装置であって、前記制御部は、前記形態画像と前記光トポ画像を演算する画像演算部と、前記形態画像の血管領域に重畳される酸素化Hb濃度、脱酸素化Hb濃度により当該血管に動脈又は静脈の色相を付す色相判定付与部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、脳の表皮領域の血管の動脈又は静脈を判定して表示可能とする生体光計測装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例で共通で用いる生体光計測装置の構成例を示すブロック図。
図2】実施例1の生体光計測装置の詳細構成例を示すブロック図。
図3図2の動作手順を説明するフローチャート。
図4】実施例2の生体光計測装置の詳細構成例を示すブロック図。
図5図4の動作手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本書では各図において、同一の構成部には同じ番号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
生体光計測装置は、近赤外光を生体内に照射し、生体の表面近傍から反射或いは生体内を通過した光(以下、単に通過光という)を検出し、光の強度に対応する電気信号を発生する装置である。この生体光計測装置は、図1に示される、
生体光計測装置は、近赤外光を照射する光源部10と、通過光を計測して電気信号に変換する光計測部12と、光源部10及び光計測部12の駆動を制御する制御部14とを備えている。
【0011】
光源部10は、所定の波長の光を放射する半導体レーザ16と、半導体レーザ16が発生する光を複数の異なる周波数で変調するための変調器を備えた複数の光モジュール18とを備える、複数の光モジュール18の出力光はそれぞれ光ファイバ20を介して被検体22の所定の計測領域、例えば頭部の複数箇所から照射される。プローブホルダ23は被検体22に取り付けられており、光ファイバ20はプローブホルダ23に固定されている。
【0012】
光源部10は、n個(nは自然数)の光モジュールを備える。光の波長は生体内の注目物質の分光特性によるが、酸素化Hbと脱酸素化Hbの濃度から酸素飽和度や血液量を計測する場合には600nm〜1400nmの波長範囲の光の中から1あるいは複数波長選択して用いる。
【0013】
光計測部12は、計測領域の複数の計測箇所(チャンネル)から検出用光ファイバ26を介して誘導された通過光をそれぞれ光量に対応する電気量に変換するフォトダイオード等の光電変換素子28と、光電変換素子28からの電気信号を入力し、光照射位置に対応した変調信号を選択的に検出するロックインアンプ30と、ロックインアンプ30の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器32とからなる。
【0014】
光源部10は酸素化Hbと脱酸素化Hbの2種類の測定対象に対応して2種類の波長、例えば780nm及び830nmの光を発生するように構成され、これら二波長の光は合成され一つの照射位置から照射される。
【0015】
ロックインアンプ30は光照射位置とこれら二波長に対応した変調信号を選択的に検出する。光照射位置と検出位置との間の点(計測点)の数の2倍のチャンネル数のHb量変化信号が得られる。
【0016】
また、デジタル信号に変換されたHb量変化信号を処理し、酸素化Hb濃度変化、脱酸素化Hb濃度変化、全Hb濃度変化などに色相を付し、酸素化Hb、脱酸素化Hb、全Hb濃度変化の濃度を相互に被検体の二次元画像上にプロットした光トポ画像を作成する信号処理部34と、信号処理部34の処理結果を表示する表示部36と、信号処理部34の処理に必要なデータや処理結果を記憶するための記憶部38と、装置の動作に必要な種々の指令を入力するための入出力部40を備えている。
【0017】
また、信号処理部38は、光計測部12の計測領域の複数のチャンネル毎に示すグラフ等を生成し、表示部36は生成したグラフを表示することもできる。
【0018】
また、記憶部38には、磁気共鳴イメージング装置(MR)101、X線CT装置(CT)103の何れかが接続され、MR101からMRI画像、CT103からX線CT画像の何れかが記憶されるようになっている。
【0019】
MRI画像又はX線CT画像は、血管領域が抽出できるようになっている。たとえば、MRI画像は特許文献2によって開示される方法によって血管領域を抽出する。また、X線CT画像は特許文献3によって開示される方法によって血管領域を抽出する。
【実施例1】
【0020】
実施例1では、例えば画像のうちの被検体のMRI画像を用い、その血管領域の抽出を行い、血管領域を抽出したMRI画像に光トポ画像を重畳し、血管領域上の光トポ画像のうちの酸素化Hb濃度の画素数が多い領域である血管領域を動脈とし、脱酸素化Hb濃度の画素数が多い領域である血管領域を静脈として、例えば動脈の血管領域に赤色、静脈の血管領域に青色の色相を付す例を説明する。
【0021】
ここで実施例1の構成・作用について図2を用いて説明する。
制御部14は、さらに画像演算部141と、色相判定付与部142を有する。
【0022】
記憶部38は、MRI画像(画像A)を記憶する記憶領域381と、光トポ画像(画像B)を記憶する記憶領域386と、画像Aと画像Bの重畳画像(画像C)を記憶する記憶領域38Aを有する。
【0023】
また、特に、画像演算部141では、画像Aの血管領域に対応する画像Cの血管領域に色を付すために、画像Aと画像Cの対応付けが必要であるが、この対応付けは特許文献1によって開示されている画像同士の対応づけを用いる。
【0024】
そして、画像演算部141は、記憶領域381の画像Aと記憶領域386の画像Bを演算して記憶領域38Aの画像Cを求めることになる。
【0025】
演算の過程は、以下のとおりである。
まず、画像演算部141は、特許文献2によって開示されている発明を用いて画像Aの血管領域382、383を抽出する。次に、画像演算部141は、画像Aの血管領域382、383の輪郭線を画像Bに重畳し、該重畳された血管領域382、383のそれぞれに存在する画像Bの色付けされている画素数を計数し、計数された色毎の画素数の頻度を算出し、色相判定付与部142に出力する。
【0026】
色相判定付与部142は、画像演算部141に出力された血管領域382について計数された色毎の画素数の頻度のうちの最も頻度が多かった酸素化Hbの頻度を受けて、血管領域382を動脈と判定し、血管領域382に対応する画像Cの血管領域38Bに赤色を付す。同様に、色相判定付与部142は、画像演算部141に出力された血管領域383について計数された色毎の画素数の頻度のうちの最も頻度が多かった脱酸素化Hbの頻度を受けて、血管領域383を静脈と判定し、血管領域382対応する画像Cの血管領域38Cに青色を付す。
【0027】
つまり、上記では、色相判定付与部142が、前記血管領域内の酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度の画素数の頻度に基づいて前記血管領域の色相を付すことを説明した。
【0028】
色相判定付与部142の色付けの方法は、上記では頻度で説明したが、次に示す方法でもよい。
【0029】
例えば、画像B酸素化Hb濃度を示す画素数に基づいて画素数が基準となる比率より多ければ赤色を画像Cの領域38Bに付し、脱酸素化Hb濃度を示す画素数に基づいて画素数が基準となる比率より多ければ青色を画像Cの領域38Cに付すように判定する。ここで、基準となる比率とは、血管領域を構成する画素数のうち酸素化Hb濃度を示す画素数あるいは脱酸素化Hb濃度を示す画素数が過半数以上である場合をいうこととする。
【0030】
「画素数が多い血管領域」の判定は、次の手動判定と自動判定、半自動判定によって判定される。
【0031】
<手動判定>
画像Bのうちの酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域387、あるいは脱酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域388は、入出力部40に、例えばが60%、70%、80%、90%の酸素化Hb濃度又は脱酸素化Hb濃度の「画素数が多い血管領域である」基準となる比率を入力し、色相判定付与部142は。入出力部40に入力された比率を受けて血管領域の色付けを判定する。
【0032】
<自動判定>
画像Bのうちの酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域387、あるいは脱酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域388は、画素数が多い血管領域の比率が経験値として例えば65%と設定され、その比率は記憶部38に設けられるパラメータ領域38Pに記憶されている。色相判定付与部142は。パラメータ領域38Pに記憶された比率を読み出して血管の色付けを判定する。
【0033】
<半自動設定>
半自動設定は上記手動設定と自動設定の組み合わせである。画像Bのうちの酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域387、あるいは脱酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域388は、画素数が多い領域の比率が経験値として例えば65%と設定され、その比率は記憶部38に設けられるパラメータ領域38Pに記憶されている。また、被検体の脳表の血管の状態によって比率を変える必要があるときは、入出力部40とパラメータ領域38Pを接続して、パラメータ領域38P内の比率の値が変えられるようになっている。色相判定付与部142は比率の値が変えられたパラメータ領域38Pに記憶された比率を読み出して血管の色付けを判定する。また、比率の値が変えられていない場合は、色相判定付与部142は。パラメータ領域38Pに記憶された比率を読み出して血管の色付けを判定する。
【0034】
つまり、上記では、色相判定付与部142が、前記血管領域を構成する画素の数と前記酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度を示す画素数の比率に基づいて色相を付すことを説明した。
【0035】
結果として、画像Cの血管領域38B、血管領域38Cは、赤色を動脈として、青色を静脈として塗り分けられ、脳の表皮領域の血管の動脈又は静脈を判定して表示可能となる。
【0036】
次に実施例1の動作について図3を用いて説明する。
MR101は画像Aを得る(ステップS101)。
制御部14は、記憶部38の記憶領域381に画像Aを記憶させる(ステップS102)。
制御部14は、光トポ画像(画像B)を得る(ステップS103)。
制御部14は、記憶部38の記憶領域386に画像Bを記憶させる(ステップS104)。
制御部14は、記憶領域381から画像Aを、記憶領域386から画像Bをそれぞれ読み出して画像Cを算出する演算を画像演算部141に行わせる(ステップS105)。
【0037】
制御部14は、画像Cに画像Bの酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域387に基づいて赤色を、脱酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域388に基づいて青色を色相判定付与部142に付させ、色相を付した画像Cを表示部36に表示させる(ステップS106)。
【0038】
以上説明したように、実施例1によれば、近赤外光を照射する光源部10と、被検体の複数の測定点における通過光強度を計測し、測定点毎の通過光強度に対応する信号を測定チャンネル毎の測定データとして出力する光計測部12と、前記光計測部からの測定データを処理して画像化する信号処理部34と、前記信号処理部34によって画像化された光トポ画像と画像診断装置によって予め得た前記被検体の形態画像を記憶する記憶部38と、前記光トポ画像と前記形態画像の重畳画像を生成する制御部14と、前記重畳画像を表示する表示部36と、を備えた生体光計測装置であって、前記制御部14は、前記形態画像(画像A)と前記光トポ画像(画像B)を演算する画像演算部141と、前記形態画像の血管領域に重畳される酸素化Hb濃度、脱酸素化Hb濃度により当該血管に動脈又は静脈の色相を付す色相判定付与部142と、を備えたので、血管の動脈又は静脈を判定して表示可能とする生体光計測装置を提供できる。
【0039】
実施例1の特有の効果は、MR101のMRI画像を用いているので、MRI画像での確立された方法(例えば、特許文献2によって開示される血管領域の抽出)が行えるため、光トポ画像の酸素化Hb、脱酸素化Hbが重畳される情報を使えば、被検体の血管の動脈又は静脈の判定を容易にできるようになる。
【実施例2】
【0040】
ここで実施例2について図を用いて説明する。実施例1と異なる点は、造影剤を用いたX線CT画像を用いた点である。
【0041】
つまり、実施例2では、例えば画像のうちの造影剤を注入した被検体のX線CT画像を用い、その造影剤によって高輝度を呈する部分を血管領域として抽出を行い、血管領域を抽出したX線CT画像に光トポ画像を重畳し、血管領域上の光トポ画像のうちの酸素化Hb濃度の画素数が多い領域である血管領域を動脈とし、脱酸素化Hb濃度の画素数が多い領域である血管領域を静脈として、例えば動脈の血管領域に赤色、静脈の血管領域に青色の色相を付す例を説明する。
【0042】
また、画像演算部141の演算の過程では、特許文献3によって開示される発明を用いて画像Aの血管領域382、383を抽出する。これ以外の演算過程、色相判定付与部142は実施例1と同じような構成を有し、それら構成は動作するため、説明を省略する。
【0043】
ここで実施例2の構成・作用について図4を用いて説明する。
制御部14は、画像演算部141と、色相判定付与部142を有する。制御部14の詳細な構成は実施例1と同じであるため説明を省略する。記憶部38は、X線CT画像(画像F)を記憶する記憶領域38Mと、光トポ画像(画像B)を記憶する記憶領域386と、画像Fと画像Bの演算後の画像(画像G)を記憶する記憶領域38Rを有する。
【0044】
つまり、画像演算部141は、画像Fの血管領域38N、38Q上に画像Bの酸素化Hb濃度を示す画素数が多い領域387と脱酸素化Hb濃度を示す画素数が多い領域388が重畳されることとなる。
【0045】
色相判定付与部142は、画像Bのうちのの酸素化Hb濃度を示す画素数が多い領域387に基づいて赤色を血管領域38Sに付し、脱酸素化Hb濃度を示す画素数が多い領域388に基づいて青色を血管領域38Tに付すように判定する。結果として、画像Fと画像Bの演算後の画像である画像Gは、色相判定付与部142によって、赤色が動脈として、青色が静脈として塗り分けられることになる。
「画素数が多い領域」の判定は、実施例1と同じであるので、説明を省略する。
【0046】
次に実施例2の動作について図5を用いて説明する。
CT103は画像Fを得る(ステップS110)。
制御部14は、記憶部38の記憶領域38Mに画像Fを記憶させる(ステップS111)。
ステップS103からステップS105は、実施例1と同じであるため説明を省略する。
制御部14は、画像Fに画像Bの酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域387に基づいて赤色を、脱酸素化Hb濃度を示す画素数が多い血管領域388に基づいて青色を色相判定付与部142に付させ、色相を付した画像Gを表示部36に表示させる(ステップS112)。
【0047】
以上説明したように、実施例2によれば、近赤外光を照射する光源部10と、被検体の複数の測定点における通過光強度を計測し、測定点毎の通過光強度に対応する信号を測定チャンネル毎の測定データとして出力する光計測部12と、前記光計測部からの測定データを処理して画像化する信号処理部34と、前記信号処理部34によって画像化された光トポ画像と画像診断装置によって予め得た前記被検体の形態画像を記憶する記憶部38と、前記光トポ画像と前記形態画像の重畳画像を生成する制御部14と、前記重畳画像を表示する表示部36と、を備えた生体光計測装置であって、前記制御部14は、前記形態画像(画像A)と前記光トポ画像(画像B)を演算する画像演算部141と、前記形態画像の血管領域に重畳される酸素化Hb濃度、脱酸素化Hb濃度により当該血管に動脈又は静脈の色相を付す色相判定付与部142と、を備えたので、血管の動脈又は静脈を判定して表示可能とする生体光計測装置を提供できる。
【0048】
実施例2の特有の効果は、CT103の造影剤を注入した被検体にX線CT画像を用いているので、被検体の骨格情報と対比しながら被検体の血管の動脈又は静脈を判定が可能である。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る生体光計測装置の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0050】
10 光源部、12 光計測部、14 制御部、16 半導体レーザ、18 光モジュール、20 光ファイバ、22 被検体、26 検出用光ファイバ、28 光電変換素子、30 ロックインアンプ、32 A/D変換器、34 信号処理部、36 表示部、38 記憶部、40 入出力部、141 画像演算部、142 色相判定付与部
図1
図2
図3
図4
図5