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特許5916259復調参照信号を生成し送信するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916259
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】復調参照信号を生成し送信するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 11/00 20060101AFI20160422BHJP
   H04J 13/12 20110101ALI20160422BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20160422BHJP
【FI】
   H04J11/00 Z
   H04J13/12
   H04W72/04 136
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-551535(P2014-551535)
(86)(22)【出願日】2012年1月13日
(65)【公表番号】特表2015-509320(P2015-509320A)
(43)【公表日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】EP2012050506
(87)【国際公開番号】WO2013104425
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2014年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】ブラニスラフ・ポポヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイジュン・スン
【審査官】 羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/085195(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0044693(US,A1)
【文献】 NEC Group,Benefits of TDM-like structure for E-PDCCH control channel[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯67 R1-113872,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/R1-113872.zip>,2011年11月 9日
【文献】 Huawei, HiSilicon,ePDCCH multiplexing with PDSCH[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯67 R1-113654,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/R1-113654.zip>,2011年11月 8日
【文献】 Huawei, HiSilicon,Considerations on the ePDCCH design[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯67 R1-113655,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/R1-113655.zip>,2011年11月 8日
【文献】 3GPP TS 36.211,2011年 9月,V10.3.0,P.80-85
【文献】 Nokia, Nokia Siemens Networks,Search space design for TDM based E-PDCCH[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯67 R1-114331,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/R1-114331.zip>,2011年11月 8日
【文献】 ETRI,DM RS sequence setting for downlink CoMP[online], 3GPP TSG-RAN WG1♯67 R1-113957,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_67/Docs/R1-113957.zip>,2011年11月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 11/00
H04J 13/12
H04W 72/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおける通信に適合された送信ノードにおける方法であって、前記無線通信システムは情報を送信するための時間周波数リソース要素(RE)を使用するために適合され、前記方法は、
受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)に関連付けられた少なくとも1つの第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を生成するステップと、
受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)に関連付けられた少なくとも1つの第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を生成するステップと、
前記受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を関連付けられた前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)とともに送信するステップと、
前記受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を関連付けられた前記第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)とともに送信するステップと、
を含み、
前記第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)は、第1のシンボル・シーケンスを使用することによって生成され、前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)は、第2のシンボル・シーケンスを使用することによって生成され、前記第1のシンボル・シーケンスは、前記第2のシンボル・シーケンスと異なる、方法。
【請求項2】
前記受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)および前記受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を別々の物理リソース・ブロック(PRB)に動的に割り当てるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)は、送信アンテナ・ポートpでのデータ・チャネル信号(PDSCH)の送信に使用される物理リソース・ブロック(PRB)内部の固定位置で時間周波数リソース要素(RE)を変調するために第1のシンボル・シーケンス{a(k)}、k=0,1,...,L−1を使用することによって生成され、
前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)は、送信アンテナ・ポートpでの受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)の送信に使用される物理リソース・ブロック(PRB)内部の固定位置で時間周波数リソース要素(RE)を変調するために第2のシンボル・シーケンス{bu、p(k)}、k=0,1,...,L−1を使用することによって生成され、前記第2のシンボル・シーケンス{bu、p(k)}は、前記無線通信システムにおける1つまたは複数の受信ノードに割り当てることができる1組のU個のシーケンスからのu番目のシーケンスである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のシンボル・シーケンス{a(k)}、k=0,1,...,L−1はa(k)=wp(k)q(nPRB、k)、k=0,1,...,11として定義され、q(nPRB、k)は、3PP LTE標準に従う物理リソース・ブロック(PRB)スクランブリング・シーケンスである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のシンボル・シーケンス{bu、p(k)}、k=0,1,...,L−1はシンボルごとに、bu、p(k)=a(k)s(k)、k=0,1,...,L−1となるように前記第1のシンボル・シーケンス{a(k)}、k=0,1,...,L−1と受信器固有の署名シーケンス{s(k)}、k=0,1,...,L−1を乗ずることによって得られ、前記受信器固有の署名シーケンス{s(k)}は、前記無線通信システムにおける1つまたは複数の受信ノードに割り当てることができる1組のU個の署名シーケンスからのu番目のシーケンスである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記受信器固有の署名シーケンス{s(k)}は、+1または−1の値を有する要素を含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
U>1であり、前記受信器固有の署名シーケンス{s(k)}はお互いに直交する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記受信器固有の署名シーケンス{s(k)}は、行の順序を任意に変えられるアダマール行列Hの列であり、
【数1】
である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記受信器固有の署名シーケンス{s(k)}は、行の順序を任意に変えられるL×L次元の行列
【数2】
の列であり、AはL/2×L/2の直交行列である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
Aは離散フーリエ変換(DFT)行列である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
Aは4相直交行列である、請求項に記載の方法。
【請求項12】
無線通信システムにおける通信に適合された受信ノードにおける方法であって、前記無線通信システムは情報を送信するための時間周波数リソース要素を使用するために適合され、前記方法は、
請求項1に従って生成された少なくとも1つの受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)および関連する第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を受信するステップと、
請求項1に従って生成された少なくとも1つの受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)および関連する第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を受信するステップと、
関連付けられた前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を用いることによって前記受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調するステップと、
前記受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調する前記ステップから導出した情報を用いて前記受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を復調するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)に割り当てられた物理リソース・ブロック(PRB)を特定するために、所与の時間周波数検索空間内部の全ての物理リソース・ブロック(PRB)における前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を検索するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記無線通信システムは複数のアンテナ・ポート送信を使用し、前記検索するステップはさらに、前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)の送信に使用される全てのアンテナ・ポートを検索するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検索するステップは、
i)前記所与の時間周波数検索空間を検索することによって1組の受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)物理リソース・ブロック(PRB)の対の候補の集合を特定するステップと、
ii)候補に対するCRCチェックが、前記候補が正確であると仮定して肯定的である場合には、前記集合における候補に対してCRCチェックを復調し実施するステップと、
を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
ステップii)が肯定的なCRCチェックの結果とならない場合には、前記所与の時間周波数検索空間における残りの受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)物理リソース・ブロック(PRB)の対に対してブラインド検出を実施するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1乃至16の何れか1項に従う方法をコンピュータに実行させるコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータ・プログラムはコンピュータ可読媒体に含まれ、前記コンピュータ可読媒体は、ROM(Read−Only Memory)、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュ・メモリ、EEPROM(Electrically EPROM)およびハード・ディスク・ドライブのグループのうち1つまたは複数から成る、コンピュータ・プログラム。
【請求項18】
無線通信システムにおける通信に適合された送信装置であって、前記無線通信システムは情報を送信するための時間周波数リソース要素(RE)を使用するために適合され、前記送信装置は、
受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)に関連付けられた少なくとも1つの第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を生成し、
受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)に関連付けられた少なくとも1つの第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を生成し、
前記受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を関連付けられた前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)とともに送信し、
前記受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を関連付けられた前記第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)とともに送信する
ように構成され、
前記第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)は、第1のシンボル・シーケンスを使用することによって生成され、前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)は、第2のシンボル・シーケンスを使用することによって生成され、前記第1のシンボル・シーケンスは、前記第2のシンボル・シーケンスと異なる、送信装置。
【請求項19】
無線通信システムにおける通信に適合された受信装置であって、前記無線通信システムは情報を送信するための時間周波数リソース要素を使用するために適合され、前記受信装置は、
請求項18に記載の送信装置により生成された少なくとも1つの受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)および関連する第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を受信し、
請求項18に記載の送信装置により生成された少なくとも1つの受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)および関連する第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を受信し、
関連付けられた前記第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を用いて前記受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調し、
前記受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調するステップから導出した情報を使用して前記受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を復調する、
ように構成された、受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復調参照信号を生成し送信するための方法、および、受信ノードにおける対応する方法に関する。さらに、本発明はまた、送信装置、受信装置、コンピュータ・プログラム、およびそれらのコンピュータ・プログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムでは、ダウンリンク(DL)とは同期信号と情報を基地局(例えばeNB)からモバイル・ユーザ(例えばUE)への送信を意味する。アップリンク(UL)では、送信方向は反対である。
【0003】
LTEセルラ通信システムのDLは直交周波数分割多重(OFDM)送信に基づき、情報送信に対する時間リソース単位と周波数リソース単位の両方を使用する。OFDM信号は、サブキャリアと呼ばれる1組の複雑な正弦曲線から構成され、それらの周波数は基本(最小の非零の)サブキャリア周波数の連続的な整数の倍数である。夫々の複雑な正弦曲線は一定数の情報ビットを伝搬する変調シンボルにより重み付けされる。時間領域では、OFDMシンボル期間は、アクティブ部分と巡回プレフィックス部分から成る。アクティブ部分の期間は、基本サブキャリア周波数の逆数である。巡回プレフィックス(CP)は、各OFDMシンボルの先頭に追加した信号であり、アクティブなOFDMシンボル波形の最後の部分から構成される
【0004】
DL LTE情報送信の最小の時間周波数リソース単位はリソース要素(RE)と呼ばれ、OFDMシンボル内の単一の複雑な正弦曲線周波数を占める。様々なUEへの送信をスケジュールするために、REは物理リソース・ブロック(PRB)と呼ばれるより大きな単位にグループ化される。PRBはサブフレームの半分(「スロット」と呼ばれる)、即ち、時間領域内の(通常の巡回プレフィックス長である)
【0005】
【数1】
【0006】
個の連続するOFDMシンボルと、周波数領域内の(合計で180KHzを占める)
【0007】
【数2】
【0008】
個の連続するサブキャリア周波数を占める。
【0009】
【数3】
【0010】
物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)は、別の信号を介してeNBからUEに送信されるユーザ指定情報を受信し復調するのに必要な情報を含む信号として定義され、これは物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)と呼ばれる。PDCCHは、ダウンリンク・サブフレームと呼ばれる、1msの各UE固有の基本送信時間間隔の先頭にある少数のOFDMシンボルを占める制御チャネル領域で送信される。このサブフレームは、単一のUEに割り当てることができる最小の時間リソースである。各制御チャネル領域内のOFDMシンボルの数は、各DLサブフレーム内の物理制御フォーマット・インジケータ・チャネル(PCFICH)により示されるように1から3の値をとる。
【0011】
PDCCHにより運ばれるダウンリンク制御情報(DCI)は、時間周波数リソース割当て、使用される変調符号化方式(MCS)等のような、関連するPDSCHまたは物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)を復調するのに必要な情報を含む。DCI送信での誤り検出は、巡回冗長検査(CRC)を介して提供される。CRCビットは、DCI情報ビットから計算され、DCIに取り付けられる。
【0012】
PDCCH信号を復調するために、UEは伝播チャネルを推定する必要がある。このチャネル推定は、特別に割り当てられたREを介して送信された参照信号(RS)から取得される。RSは所謂アンテナ・ポート(AP)を定義するためにも使用される。APは対応する別々のアンテナ・システムへのベースバンド入力である。アンテナ・システムは、所望の電磁放射パターンを一緒に生成する1つまたは複数のアンテナ要素に接続されたRFチェーンから成る。複数の送信アンテナ・ポートおよび複数の受信アンテナ・ポートがある場合には、当該送信は多入力多出力(MIMO)送信として通常は分類される。各送信アンテナ・ポートと各受信アンテナ・ポートの間の対応する伝播経路が一体となってMIMO伝播チャネルを定義する。LTE DLで、様々なRSが様々なアンテナ・ポートで送信され、したがって、様々なRSがUEでMIMO伝播チャネル内の別々の伝播経路を識別することができる。このように各RSが一意なAPを定義する。
【0013】
高々8個のDMRSアンテナ・ポート{7、8、9、10,11、12、13、14}がLTE Rel−10における高々8個の空間層のPDSCH送信をサポートするように定義される。PDSCHは、図2に示すようにDMRSにより定義されたアンテナ・ポートに直接マップされる。図2は、AP7とAP8を介したランク2の送信の場合を示す。図1では、APと物理アンテナの間のマッピングは実装に依存し、したがって標準では規定されていない。
【0014】
LTEには3種類のDL参照信号がある。即ち、
a)基地局により全てのUEにブロードキャストされる共通参照信号(CRS)
b)UE固有のチャネル状態情報参照信号(CSI−RS)
c)UE固有の復調参照信号(DMRS)
である。
【0015】
最初の2種類のRSは、チャネル品質インジケータ(CQI)を計算するためにUE内で使用される。当該パラメータは、どのUEが後続の送信に対してスケジュールされるべきかを決定するのを支援するために基地局にフィードバックされる。3番目の種類のRS、即ち、DMRSは、DMRSと同じPRBにおけるPDSCHで送信されるデータを変調するために使用される。しかし、PDSCHの一部の送信モードでは、DMRSは送信されず、CRSはこれらの送信モードでPDSCHを復調するのに使用されるにすぎないことに留意されたい。加えて、CRSはPDCCH信号の復調に使用される参照信号にすぎない。
【0016】
RSの全ては、REの特定の時間周波数パターンと、その要素が当該REを変調する変調シーケンスとの一意な組合せにより特徴付けられる。図2Aおよび2Bに示すように、PRB対におけるDMRSの2つの可能な時間周波数パターンがある。図2Aおよび2Bによれば、DMRS変調シーケンス{a(k)}、k=0,1,...,11を3×4のDMRS変調行列A
【0017】
【数4】
【0018】
で表すことができる。スケジュールされたPRB対の各々におけるDMRS変調シーケンス{a(k)}は、シンボルごとにそのアンテナ・ポート(AP)のシーケンス{w(k)}をPRBスクランブリング・シーケンス{q(nPRB、k)}に乗じることによって得られる。即ち、
【0019】
【数5】
【0020】
である。当該APシーケンスは、スロット上でまたはサブフレーム上で直交する共通の時間周波数パターンを共有するDMRSを生成するのに使用される。APシーケンス{w(k)}を行列W
【0021】
【数6】
【0022】
の列を連結することで定義することができる。ここで、(行列(1)と同様に)各行は、同一のサブキャリア周波数でのREの変調シンボルを含む。行列(3)のシンボルは以下の表1で与えられる。
【0023】
【表1】
【0024】
(3)で与えられるAPシーケンス{w(k)}の構造は、所与のサブキャリア周波数において、伝播チャネルがサブフレームにわたって一定であると考えられることを示唆する。なぜならば、そのケースでのみ、同一の時間周波数位置を占める様々なAPを受信器における相関によって直交的に分離できるからである。かかる相関は、DMRS REを平均して受信器での付加雑音が抑制されて、サブフレーム内の所与のサブキャリア周波数での単一のチャネル係数が生成されることを示唆する。
【0025】
さらに、PRB対における全てのサブキャリア周波数にわたるDMRSの平均化すら可能である。なぜならば、LTE標準では、基地局でのアンテナ・ポート7乃至14の専用プリコーディングが少なくとも1つのPRB帯域幅の全てのサブキャリア周波数にわたって一定でなければならないと規定されているからである。このように、幾つかのアンテナ・ポートのプリコーディングが基地局の送信器で行われた場合でも、プリコーディング係数が全ての推定された伝播チャネル係数に含まれるので、UEの受信器は観測されたアンテナ・ポートのPRB対における1つの伝播チャネル係数しか見ることができない。
【0026】
PRBスクランブリング・シーケンス{q(nPRB、k)}は、全帯域幅のDMRSに割り当てられた全てのREに{r(m)}をマッピングした後に、観測されたPRBに入る長く複雑な(4相)疑似ランダムシーケンス
【0027】
【数7】
【0028】
の12シンボルの長いセグメントをとることによって生成される。
【0029】
APシーケンスと同様に、PRBスクランブリング・シーケンス{q(nPRB、k)}を行列Q(nPRB
【0030】
【数8】
【0031】
の列を連結することにより定義することができる。ここで、(行列(1)と同様に)各行は同じサブキャリア周波数でのREの変調シンボルを含む。(4)から、PRBスクランブリング・シーケンス{q(nPRB、k)}を
【0032】
【数9】
【0033】
と定義することができる。ここで、
【0034】
【数10】
【0035】
はxを超えない最大の整数を表す。
【0036】
PRBスクランブリング・シーケンスは、2つの可能な値を有しうるセルIDとUE固有のパラメータに依存する。当該値を各サブフレームの先頭の基地局により独立に設定することができる。当該パラメータはPDCCH経由でUEに送信される。全てのUE固有のDMRSポート(7乃至14)は共通のPRBスクランブリング・シーケンスを有する。当該共通のPRBスクランブリング・シーケンスは、サブフレームごとに変化してもよく、基地局のスケジューラの決定に応じて、全部で2つの可能なバージョンのうち1つを有する。
【0037】
LTE PDCCHの制御チャネルは、システムにおいてユーザの数が大幅に増大することが予測される将来の開発シナリオでは不十分であるかもしれないことが広く認識されている。さらに、将来のシステムにおける送信オーバヘッドを減少させるために、CRSが削除され、PDCCHの復調が実現可能でないようになるかもしれない。PDCCHの容量を増大させ送信オーバヘッドを減らす方法を発見する際の主な方向性は、基地局により個々のUEに対して動的にスケジュールされると想定されているUE固有の制御チャネル、所謂e−PDCCHを、PDSCH上のUE固有の情報内容を送信するために定期的に実施されるのと同様な方法で導入することである。
【0038】
同様なアプローチが、中継ノードの動作の定義に関してLTE Rel−10で既に採用されている。中継ノード(RN)は、ダウンリンクとアップリンクの両方において、そのタスクが基地局のカバレッジを拡張することである補完的な送受信設備として定義される。ダウンリンクでは、RNが所謂中継物理ダウンリンク制御チャネル(R−PDCCH)を介して制御情報を基地局から受信する。R−PDCCHは、関連するPDSCHをRNで復調するのに必要な情報またはRNからのPUSCH送信に必要な情報を運搬する。R−PDCCHの時間周波数リソースは根本的にPDCCHのリソースとは異なる。即ち、R−PDCCH PRBは、時間と周波数の両方でスケジュールされPDSCH PRBと多重化される。
【0039】
前述のCRSまたはDMRS参照信号の何れかを用いてR−PDCCHを変調することができる。参照信号のタイプはeNBで構成され、PDSCHで送信されるデータを介してRNの上位レイヤのソフトウェアに送信される。eNBと固定RNの間のチャネルは時間領域で非常に低速に変化するので、R−PDCCHに対してスケジュールされたPRBは非常に長期間にわたって最適なままであり、したがって、RNの上位レイヤのソフトウェアに送信することができる。これは、リソース割当て情報がPDSCHでデータ・ビットを介して送信され、RNの上位レイヤのソフトウェアにより解釈され実行されることを意味する。
【0040】
同様なアプローチをe−PDCCHの設計に使用して、e−PDCCHがUE固有の特別にスケジュールされたPRBを通じて送信されるようにすることができる。しかし、eNBとUEの間のチャネルは時間と周波数の両方においてeNBと固定RNの間のチャネルよりもかなり高速に変化するので、e−PDCCHに対してスケジュールされたPRBは短期間でしか動作することができない。これは、所望のUEに対してPRBを比較的頻繁に示すべきであることを意味する。e−PDCCHが最終的にはPDCCHを置き換えると想定され、UEの上位レイヤに頻繁にリソース割当てを伝えることでPDSCHの容量が消費されるはずであるので、スケジュールされたe−PDCCHリソースの割当てに関する情報はUEに送信されないとさらに仮定する。
【0041】
したがって、スタンド・アロンで独立にスケジュールされたe−PDCCHを設計する際の主な問題は、夫々の新たにスケジュールされたe−PDCCH送信に動的に割り当てられる時間周波数リソースをUEにおいてどのように検出するかである。ここで、当該割り当てられたe−PDCCHリソースを周波数領域に局所化または分散化することができる。
【0042】
直接的な解決策は、UEでブラインド復号化を使用することである。この場合、UEは、所与の時間周波数とアンテナ・ポート検索空間においてPRB対の全ての可能な周波数位置でそのe−PDCCHを検出しようとする。ブラインド検出は、想定されるe−PDCCH REを復調して、送信器で計算されたCRC(cyclic redundancy check)を追加した制御チャネル情報ビットを取得し、次いでこれらの復調したCRCビットを、復調した制御チャネル情報ビットからUEによって計算された「再構築された」CRCビットと比較することから成る。復調されたCRCビットと再構築されたCRCビットが同一である場合には、e−PDCCHが発見され上手く復号化されたとみなす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0043】
かかる解決策は、必要な動作の数という点で実装上非常に複雑である。例えば、システムの帯域幅の中に高々100個のPRB対があり1または2または4の何れかのサイズのPRB対を有するe−PDCCHを仮定すると、e−PDCCHが1つのアンテナ・ポートを介して送信された場合、アンテナ・ポートでの可能な最大検出回数は
【0044】
【数11】
【0045】
ほどの大きさになる。ここで、
【0046】
【数12】
【0047】
である。さらに、4個のアンテナ・ポートを候補アンテナ・ポートとみなす場合には、全ての候補アンテナ・ポートでの可能な最大検出回数の総数は上記数の4倍となる。
【0048】
このように、UE固有の制御情報を送信するために基地局により動的に割り当てられ使用される時間周波数リソースをUEにおいて効率的に検出できるようにする、ダウンリンク送信方法をどのように設計するかは未解決な問題である。
【0049】
先行技術の解決策によれば、e−PDCCHの周波数位置はPDCCH領域で送信される新たなDCIフォーマットにより示される。UEは先ずPDCCH領域においてブラインド検出を行って新たなDCIフォーマットを発見し、次いで、当該新たなDCIフォーマット検出の状態に従ってe−PDCCHがデータ領域に存在するかどうかを判定する。したがって、e−PDCCHの検出は実際には、PDCCH領域における新たなDCIフォーマットの検出に依存する。この設計は階層的であり、図3に示されている。明らかに、当該解決策では、(PDCCHを介した)スケジュールされたe−PDCCH時間周波数リソースの明示的な送信に依存しており、したがって、上述の仮定のもとでの問題を解決しない。
【0050】
別の先行技術の解決策によれば、上位層の信号送信によりe−PDCCH時間周波数リソースを示す準静的な構成方法が提案されている。しかし、上位レイヤの信号送信による準静的な構成は通常はかなり長い送信時間の遅延をもたらすので、時間変化する高速フェーディング・チャネルに適合するのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0051】
上記の課題に鑑み、本発明は、先行技術の解決策の欠点と問題を軽減または解決する解決策を提供することを目的とする。
【0052】
本発明の第1の態様によれば、上述の目的は、無線通信システムにおける通信に適合された送信ノードにおける方法であって、当該無線通信システムは情報を送信するための時間周波数リソース要素(RE)を使用するために適合され、当該方法は、受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)に関連付けられた少なくとも1つの第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を生成するステップと、受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)に関連付けられた少なくとも1つの第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を生成するステップと、当該受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を関連付けられた当該第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)とともに送信するステップと、当該受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を関連付けられた当該第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)とともに送信するステップと、を含む方法によって実現される。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、上述の目的は、無線通信システムにおける通信に適合された受信ノードにおける方法であって、当該無線通信システムは情報を送信するための時間周波数リソース要素を使用するために適合され、当該方法は、上述の方法に従って生成された少なくとも1つの受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)と関連する第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を受信するステップと、上述の方法に従って生成された少なくとも1つの受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)と関連する第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を受信するステップと、関連付けられた当該第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を用いることによって当該受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調するステップと、当該受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調するステップから導出した情報を用いて当該受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を復調するステップとを含む、方法によって実現される。
【0054】
送信ノードと受信ノードにおける方法の様々な実施形態はそれぞれ添付の特許請求の範囲の従属請求項で定義される。上述の方法はコンピュータで実行してもよく、適切なコンピュータ・プログラムとコンピュータ・プログラム製品に具備される。
【0055】
本発明の第3の態様によれば、上述の目的は、無線通信システムにおける通信に適合された送信装置であって、当該無線通信システムは情報を送信するための時間周波数リソース要素(RE)を使用するために適合され、当該送信装置は、受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)に関連付けられた少なくとも1つの第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を生成し、受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)に関連付けられた少なくとも1つの第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を生成し、当該受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を関連付けられた当該第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)とともに送信し、当該受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を関連付けられた当該第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)とともに送信するように構成された送信装置によって実現される。
【0056】
本発明の第4の態様によれば、上述の目的は、無線通信システムにおける通信に適合された受信装置であって、当該無線通信システムは情報を送信するための時間周波数リソース要素を使用するために適合され、当該受信装置は、上述の送信装置により生成された少なくとも1つの受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)と関連する第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を受信し、上述の送信装置により生成された少なくとも1つの受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)と関連する第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を受信し、関連付けられた当該第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を用いて当該受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調し、当該受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調するステップから導出した情報を使用して当該受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を復調するように構成された受信装置によって実現される。
【0057】
本発明では、別々の即ち異なるDMRSを導入することによってDMRSの曖昧さの問題を解決する解決策を提供する。これは特に、制御信号とデータ信号を様々なPRBへ動的に割り当てることを使用するシステムに当てはまる。それにより、システム内のモバイル・ユーザは関連するe−PDCCH信号の高速な検出を実施することができる。
【0058】
本発明のさらなる適用と利点は以下の詳細な説明から明らかになろう。添付図面は本発明の様々な実施形態を明確にし、説明しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】様々なアンテナ・ポートのマッピングを示す図である。
図2A】PRB対におけるDMRSの可能な時間周波数パターンを示す図である。
図2B】PRB対におけるDMRSの可能な時間周波数パターンを示す図である。
図3】PDCCHで運搬される制御情報からのe−PDCCHの動的なリソース割当ての指示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
前述の目的および他の目的を達成するために、本発明は送信ノードにおける方法と受信ノードにおける対応する方法に関する。本発明に従う送信ノードにおける方法は、受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)に関連付けられた少なくとも1つの第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を生成するステップと、受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)に関連付けられた少なくとも1つの第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を生成するステップと、当該受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を関連付けられた当該第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)とともに送信するステップと、当該受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を関連付けられた当該第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)とともに送信するステップとを含む。この状況での「とともに」とは「同時に」を意味するとして解釈すべきである。
【0061】
本発明に従う受信ノードにおける方法は、上述の方法に従って生成された少なくとも1つの受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)および関連する第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を受信するステップと、上述の方法に従って生成された少なくとも1つの受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)および関連する第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を受信するステップと、当該関連する第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を用いて受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調するステップと、受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を復調するステップから導出した情報を用いて受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)を復調するステップと、を含む。
【0062】
本発明の1実施形態によれば、送信ノードにおける方法はさらに、受信器固有のデータ・チャネル信号(PDSCH)および受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)を別々のPRBに動的に割り当てるステップを含む。
【0063】
本発明のさらに別の実施形態によれば、送信ノードにおける方法は、送信アンテナ・ポートpでのデータ・チャネル信号(PDSCH)の送信に使用される物理リソース・ブロック内部の固定位置で時間周波数リソース要素を変調するために第1のシンボル・シーケンス{a(k)}、k=0,1,...,L−1を使用することによって第1の受信器固有の復調参照信号(PDSCH−DMRS)を生成するステップと、送信アンテナ・ポートpでのe−PDCCHの送信に使用される物理リソース・ブロック内部の固定位置で時間周波数リソース要素を変調するために第2のシンボル・シーケンス{bu、p(k)}、k=0,1,...,L−1を使用することによって第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を生成するステップとを含む。当該第2のシンボル・シーケンス{bu、p(k)}は、上記無線通信システムにおける(UEのような)1つまたは複数の受信ノードに割り当てることができる1組のU個のシーケンスからのu番目のシーケンスである。
【0064】
DMRSを対応するe−PDCCHまたはPDSCH信号と同じPRBで送信する際、所与の時間周波数検索空間における全てのPRB、および、DMRSの送信に使用できる全ての可能なアンテナ・ポートにおいて、受信器固有のDMRS変調シーケンスを受信器で検索すると、e−PDCCH信号またはPDSCH信号の何れかの送信に割り当てられたPRBを特定することができる。この場合の主な問題は、検出されたPRBがe−PDCCH信号またはPDSCH信号に割り当てられるかどうかを受信器が判定できないことである。なぜならば、現在のLTEシステムにおいては任意のUE固有のDMRS変調シーケンスがこれらの信号の両方に対して同一であるからである。
【0065】
DMRSの曖昧さを解決するために、本発明では、別々の即ち異なるDMRSをe−PDCCHおよびPDSCHに対してそれぞれ導入し、両方がUE固有であり両方が同一の時間周波数のREを利用しているが異なるDMRS変調シーケンスを利用しているようにする。e−PDCCH固有のDMRS変調シーケンスにより、UEはe−PDCCHに割り当てられた検出されたPRBを曖昧なく特定することができる。
【0066】
e−PDCCH DMRSの検索の複雑さを軽減し、レガシーUE、即ち、以前のバージョンのLTE標準との互換性を維持するために、式(1)で記述した既存のLTE DMRS変調シーケンスs{a(k)}をPDSCHに割り当て、e−PDCCH−DMRS変調シーケンスを新たな変調シーケンス{bu、p(k)}とするのが有利である。これは、a(k)=w(k)q(nPRB、k)、k=0,1,...,11であることを意味し、3GPP LTE標準によればq(nPRB、k)はPRBスクランブリング・シーケンスである。
【0067】
シンボルごとにPDSCH−DMRS変調シーケンス{a(k)}、k=0,1,...,L−1をUE固有のe−PDDCH署名シーケンス{s(k)}、k=0,1,...,L−1に乗ずることによってe−PDCCH−DMRS変調シーケンス{bu、p(k)}、k=0,1,...,L−1を得るのが好ましい。即ち、
u、p(k)=a(k)s(k)、k=0,1,...,L−1 (6)
である。ここで、インデックスuは、システム内の1つまたは複数の受信ノードに割り当てることができる1組のU個の署名シーケンスのうちu番目のシーケンスのラベルである。本発明の別の実施形態によれば、当該インデックスuを1つまたは複数の受信器に暗黙的または明示的に送信してもよい。
【0068】
署名シーケンスL内のシンボルの数は12である。即ち、最新バージョンのLTE標準(Rel.10)に従うPRB対におけるDMRS−REの数に等しい。しかし、PRB対において他の何らかのL個のDMRS−REでe−PDCCH−DMRS変調シーケンスを上記のように構築することが分かり易い。e−PDCCH署名シーケンスを行列Sにより次のように表すこともできる。
【0069】
【数13】
【0070】
幾つかの開発シナリオでは、基地局が、サブフレーム内で一体的にスケジュールされたPRBに様々な周波数位置を割り当てると決定するかもしれない。そのケースでも、L個のシンボルの単一のUE固有のe−PDCCH署名シーケンスをそのような各PRB対に割り当てて、当該シンボルがe−PDCCH署名行列(7)で記述したようにe−PDCCH DMRS REにマップされるようにすることができる。
【0071】
e−PDCCH−DMRS変調シーケンスを非常に単純に生成できUE受信器において単純な検索手続きが可能である実施形態によれば、e−PDCCH署名シーケンスは2つの値、即ち、+1と−1から構成されるアルファベットを有するバイナリ・シーケンスであってもよい。
【0072】
別の実施形態によれば、複数のUEに対応して、送信ノード(例えば、基地局または中継ノード)が複数のe−PDCCH信号およびPDSCH信号を1組の共通のアンテナ・ポート上で同時に送信する。即ち、U>1の場合である。
【0073】
対応するPDSCH−DMRS変調シーケンスにおいて全てのUEが(基地局のスケジューラの決定に応じて)同一のスクランブリング・シーケンスを共有する場合には、同一のe−PDCCH署名シーケンスを全てのUE固有のe−PDCCH送信において用いることによって、関与するUEの各々が、対応するe−PDDCH信号が自分自身のものであるかどうかまたは他の何らかのUEに属するかどうかを判断することが不可能となる。このUEの曖昧さを、以下の開示で説明するように、複数のUE固有の直交e−PDCCH署名シーケンスにより最適化することができる。例えば、長さが12の11個の直交バイナリe−PDCCH署名シーケンスから成る集合は12×12のアダマール行列Hの列2乃至12により与えられる。ここで、
【0074】
【数14】
【0075】
である。(8)の先頭の列、即ち、+1のみから成るベクトルを透過「PDSCH署名シーケンス」と解することができる。これは、署名シーケンス(8)を用いて生成されたe−PDCCH−DMRS変調シーケンスの各々が、対応するPDSCH−DMRS変調シーケンスと直交することを意味する。Hの行が入れ替えられた場合にHの列が直交したままであることは容易に分かる。しかし、幾つかの開発シナリオでは、e−PDCCH署名シーケンスもLより小さい幾つかのシンボルにわたって直交するのが有利かもしれない。例えば、高速で移動するUEまたはサブフレーム内で一体となってスケジュールされたPRBに割り当てられた別々の周波数位置を有するUEには、各スロットにおいて独立してe−PDCCH検出を実施する利益があるかもしれない。この場合、他のUE固有のe−PDCCH署名シーケンスからの干渉は、全てのe−PDCCH署名がL個のシンボルとL/2個のシンボルの両方にわたって直交する場合に最小化されるはずである。かかるe−PDCCH署名を、例えば、
【0076】
【数15】
【0077】
として構造化できるL×Lの直交行列から取得することができる。ここで、AはL/2×L/2の直交行列である。例えば、直交行列Aを6×6のDFT行列として定義することができる。即ち、
【0078】
【数16】
【0079】
である。ここで、
【0080】
【数17】
【0081】
である。Aを(9)に挿入すると、
【0082】
【数18】
【0083】
で与えられる12×12の行列Gが得られる。対応する長さ12の直交e−PDCCH署名シーケンスは、6個のシンボルから成るインターバルにわたって直交し、6個のシンボルから成るインターバルにわたって「PDSCH署名シーケンス」と直交し、行列Gの列2乃至6または列8乃至12の何れかにより与えられる。
【0084】
(9)の別の興味深い特殊なケースは、例えば、
【0085】
【数19】
【0086】
のような4相の6×6の直交行列A=A、1=1,...,4の何れかを用いることによって得られる。例えば、Aを(9)に挿入すると、長さ12の対応する直交e−PDCCH署名シーケンスは、6個のシンボルから成るインターバルにわたって直交し、6個のインターバルにわたって「PDSCH署名シーケンス」と直交し、
【0087】
【数20】
【0088】
で与えられる12×12の行列Gの列2乃至6および8乃至12で与えられる。
【0089】
直交e−PDCCH署名シーケンスに(1組のU個の署名シーケンスから)インデックスu=0,1,...,L−2でラベルを付けることができ、したがって、特定のuの値を特定のUEに割り当てることにより、UE固有のe−PDCCH署名シーケンスが得られる。特定のUEへのe−PDCCH署名シーケンスの割当てを、例えば、LTE標準におけるRNTI(Radio Network Temporary Identifier)として知られる、ネットワーク内の幾つかのUE識別番号の関数としてインデックスuを標準において指定することによって行うことができる。当該識別番号は、接続がいったん確立されると基地局により各UEに送信される。他の選択肢は、後続のスケジューリング間隔で使用される(PDSCHを介した)上位層シグナリングによってインデックスuをUEに送信することである。したがって、インデックスuまたはその均等物の暗黙的な信号送信と明示的な信号送信の両方を当該システムにより実施してもよい。
【0090】
受信ノードにおける方法に関して、本発明の1実施形態に従う上述の方法はさらに、受信器固有のチャネル制御信号(e−PDCCH)に割り当てられたPRBを特定するために、所与の時間周波数検索空間内部の全てのPRBにおける第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)を検索するステップを含む。当該検索は、複数のアンテナ・ポートが当該送信で使用される場合には、第2の受信器固有の復調参照信号(e−PDCCH−DMRS)の送信に使用される全てのアンテナ・ポートで検索が実施されるのが好ましい。
【0091】
さらに別の実施形態によれば、当該検索ステップはさらに、
i)UE固有のDMRS変調シーケンスとe−PDCCH固有のDMRS変調シーケンスに関する所与の時間周波数検索空間を検索することによって、1組の候補e−PDCCH PRBを特定するステップと、
ii)候補に対するCRCチェックが、当該候補が正確であると仮定して肯定的である場合には、当該1組の候補に属する候補に対してCRCチェックを復調し実施するステップと、
を含む。
【0092】
さらに、当該検索が、
iii)上のステップii)が肯定的なCRCチェックの結果とならない場合には、当該所与の時間周波数検索空間における残りのe−PDCCH PRBの対に対してブラインド検出を実施するステップを含んでもよい。
【0093】
したがって、換言すれば、複数のe−PDCCH署名シーケンスが存在する場合には、対応する追加の検出統計値を網羅するようにe−PDCCH検索アルゴリズムを適合させるべきである。加えて、当該検索アルゴリズムを幾つかの反復において実施することができる。1回目の反復では、UEは1組の候補、即ち、潜在的なe−PDCCH PRB対を、そのe−PDCCH−DMRS変調シーケンスを所与の時間周波数検索空間全体にわたって検索することによって特定することができる。2回目の反復では、UEは各候補e−PDCCH PRB対を1つずつ復調してCRCチェックを行う。選択した候補e−PDCCH PRB対のCRCチェックが肯定的である場合には、e−PDCCHの検出と復号化が成功したとみなす。そうでない場合には、UEは当該組の別の候補e−PDCCH PRB対に進む。候補e−PDCCH PRB対のうちどれもCRCチェックに成功しない場合には、UEは、時間周波数検索空間における残りのPRB対に対してe−PDCCHブラインド検出を実施すべきである。
【0094】
1時点に1つのUEだけがスケジュールされる場合には、同じe−PDCCH署名を複数のUEで共有することができる。その場合、受信ノードでのe−PDCCH検索手続きの基本的な実装として以下のステップを含めてもよい。即ち、
1)サブフレーム内の全ての受信したOFDMシンボルを、対応する変調シンボルを有するサブキャリアに分解するステップと、
2)分解した受信信号において、検索されていない周波数領域でPRB対を選択するステップと、
3)特定のDMRSポートを想定するステップと、
4)想定したDMRSポートに割り当てたREを、対応するPDSCH−DMRS変調シーケンスの複素共役で再復調するステップであって、再復調したREは第1の伝播チャネルの推定値を表すステップと、
5)第1の伝播チャネル推定値をe−PDCCH署名シーケンスの複素共役で再復調して、第2の伝播チャネル推定値を取得するステップと、
6)第1の伝播チャネル推定値の全てのサンプルを合計し、当該合計値の(二乗)絶対値を求めて、第1の検出統計値を得るステップと、
7)第2の伝播チャネル推定値のサンプル全てを合計し、当該合計値の(二乗)絶対値を求めて、第2の検出統計値を得るステップと、
8)最大検出統計値を求めるステップと、
9)当該最大検出統計値を推定雑音レベル閾値と比較して、観測されたPRB対がDMRS送信を含むかどうかを判定するステップと、
10)観測されたPRBがDMRS送信を含む場合には、最大検出統計値に対応するPRB提携(PDSCHまたはe−PDCCH)を選択し、そうでない場合には、ステップ2から手続きを繰り返すステップと、
11)観測されたPRB対がPDSCH PRB対であった場合には、ステップ2から手続きを繰り返すステップ
である。
【0095】
様々なUE固有のe−PDCCH署名が所与のUEのPRB対の様々な周波数位置に割り当てられるケースに上述の検索手続きを容易に適合させることができる。しかし、単一の共通なUE固有のe−PDCCH署名が所与のUEのPRB対の任意の周波数位置に割り当てられる場合には、当該検索手続きはより簡潔である。
【0096】
上述の検索手続きは、基地局側でのアンテナ・ポート7乃至14の独占的なプリコーディングが少なくとも1つのPRB帯域幅の全てのサブキャリア周波数にわたって一定でなければならないとLTE標準が規定するという上述の事実に基づく。その結果、PRB対におけるチャネル推定値のサンプルを合計する場合には、共通のプリコーディング係数を合計値から差し引いて、当該係数が検出統計値の比較結果に影響を及ぼさないようにすることができる。同じ理由から、e−PDCCH検出の性能は伝播チャネルがPRB対にわたって一定である場合には最適となる。
【0097】
さらに、上述の検索手続きにおいて、REを対応するPDSCH−DMRS変調シーケンスの複素共役で再復調するステップは、前述のようにUE固有のスクランブリング・シーケンスを含む。既存のLTE送信モードでのスクランブリング・シーケンスのUE固有のパラメータはPDCCHを介してUEに送信され、CRSにより復調される。しかし、PDCCHもCRSも存在しないことが想定されている。これは、UEが両方のバージョンのスクランブリング・シーケンスを用いてe−PDCCHを検索しなければならないか、または、後続のスケジューリング間隔で使用すべき(PDSCHを介した)上位層シグナリングによりUE固有のスクランブリング・シーケンスのパラメータをUEに送信しなければならないか、の何れかであることを意味する。
【0098】
さらに、当業者に理解されるように、本発明に従う方法をコンピュータ・プログラムで実装してもよい。当該プログラムは、コード手段を有し、当該コード手段を実行したとき、コンピュータが当該方法の諸ステップを実行する。当該コンピュータ・プログラムはコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ可読媒体の中に含まれる。当該コンピュータ可読媒体は、ROM(Read−Only Memory)、PROM(Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュ・メモリ、EEPROM(Electrically Erasable PROM)、またはハード・ディスク・ドライブのような、本質的に任意のメモリから構成されてもよい。
【0099】
本発明はさらに、以上の方法に対応する送信装置と受信装置に関する。当該送信装置と受信装置を、上述の方法の様々な実施形態に従って適宜修正できることに留意されたい。当該装置は、上述の機能を提供するための適切な手段を備える。これらの手段は、例えば、処理手段、送信手段、受信手段、メモリ手段、バッファ手段、アンテナ手段等であってもよい。
【0100】
最後に、本発明は上述の実施形態に限定されず、添付の独立請求項の範囲内にある全ての実施形態に関連しそれらを組み込むものであることは理解される。
図1
図2A
図2B
図3