【課題を解決するための手段】
【0015】
〔第1発明〕
そこで上記の課題を解決するために、本願の第1発明に係る釣用レールキットは、
箱状体の開口部分外周にL字型に折返した引掛溝が形成された汎用工具箱に装着する釣用レールキットであって、
クランプと突起部により挟込むことが可能な長方形断面を有する長尺状の板部材をコの字型に折曲げて形成されたレールであって、折曲げられた両端部に細長いスライド溝がそれぞれ開口したコの字レールと、
前記箱状体の引掛溝を利用して同箱状体の右側壁面および左側壁面にそれぞれ押当てられる、前記コの字レールを水平に架け渡すための2つのレール支持具と、
前記箱状体の左右側壁面に押当てたレール支持具を、同箱状体に対して着脱可能に固着させる固着手段と、
前記固着手段により箱状体の左右側壁面に固着されたレール支持具に対して、前記コの字レールの折曲げられた端部を係留するレール留具と、
を具備してなる釣用レールキットであり、
前記2つのレール支持具は各々、
同レール支持具の上端に形成された、前記箱状体の引掛溝に差込まれるツメ部と、
前記コの字レール断面と同一形状かつ同一サイズに開口するとともに前記レール支持具の左右側面部を貫通する孔であって、同コの字レールの折曲げられた端部を挿通するためのレール挿通孔と、
を有し、
当該釣用レールキットは、
前記レール支持具に対するコの字レールの係留位置をレール留具により調節することで、奥行サイズの異なる汎用工具箱の箱状体にも対応してコの字レールを架け渡すことができ、
かつ同レール留具をスライド溝に嵌まらないようにすることで、レール支持具のレール挿通孔からコの字レールを抜取ることができる構成とした。
【0016】
第1発明に係る釣用レールキットではレール支持具を固着手段により汎用工具箱に固着することで、ネジ穴を開ける等の「損傷を汎用工具箱に与えることなく」釣専用のクーラーボックスよりも安価な汎用工具箱に対して釣用アイテム(ロッドホルダ・ドリンクホルダ・フック・小物入れ・餌箱など)を着脱可能に取付けることができる(
図9参照)。
【0017】
なお釣用に作られたクーラーボックス製品では一般的に、使用者が指を引っかけるためのL字型の折返部分(
図4の引掛溝GV)が設けられていない。
そのためクーラーボックスにレールを取付けるには、上述した特許文献1のクーラーボックスにも看取されるようにレールを取付けるための専用の取付部品(レール支持具として機能する同特許文献1の取付スリット50)を設けざるを得ない。
しかしながら、このような構成下ではレールを取外してあるときに、クーラーボックス本体から突き出た取付部品(レール支持具)が周囲の物に当たって邪魔になりかねない。
【0018】
一方で汎用工具箱(
図4の汎用工具箱TB)ではクーラーボックスとは異なり、使用者が指を引っかけるための「L字型の折返部分(同
図4の引掛溝GV)を有する構造の方がむしろ一般的」である。
そこで本願の「釣用レールキット」ではこのような汎用工具箱の実情に着目し、汎用工具箱に設けられているL字型の折返部分(引掛溝GV)に対し、この折返部分に差込むツメ部を有するレール支持具2を汎用工具箱の左右側面に装着し、同支持具2を介してレールを水平に架け渡す構成とした(
図8参照)。
このようにすれば同
図8のように汎用工具箱の箱状体BXに固着されたコの字レール1に、ロッドホルダ・ドリンクホルダ5A(
図9)・フック5B(同
図9)・小物入れ・餌箱などの様々な釣用アイテムを使用者の好みに応じて自由に装着することができる。
【0019】
なお本願の釣用レールキットでは
図5(b)のように、レール支持具2の厚み(
図5(a)のW
2)を「ひさし状に設けられている引掛溝GVの先端部から、汎用工具箱TBの箱状体BXの左右側壁面RW・LWまでの距離W
GVと同一のサイズ」に選定している。
そのためレール支持具2を汎用工具箱TBの左右側壁面RW・LWに装着したときに同支持具2が汎用工具箱TBの周囲にはみ出すことがなく(
図5(b))、コの字レール装着用の取付部品(レール支持具2)が周囲の物に当たることを回避できる。
【0020】
さらに本釣用レールキットでは「汎用工具箱に改造(損傷)を加えることなく、釣り用途に必要なときだけ」コの字レール1(ひいては、当該コの字レール1に取付けられる釣用アイテム)を装着することができる(
図9)。
また釣りを終えたあとはレール支持具2を外すことで元々の汎用工具箱TBの状態(
図4)に戻すことができるため、汎用工具箱として再使用することができる。
【0021】
さらに本願レールキットではコの字レールの位置調節機能により「汎用工具箱の奥行サイズに応じて」奥行方向のレール取付位置(
図8に示すごとく、レール支持具2に対するコの字レール1の係留位置)を自在に調節できる。
そのため非特許文献1のクーラーボックスでは生じ得なかった「使用者の好みの奥行位置に自由にレールを架設」できるという効果が生じる。
【0022】
なお本願レールキットではコの字レール1を設置する場合、レール支持具2の左右両側面を貫くレール挿通孔22からコの字レール1をあらかじめ挿通(差込)しておき、コの字レール1と連結されたレール支持具2を汎用工具箱TBの箱状体BXに対し固着させる(
図7)だけの簡易な取付作業で済む。
そのため屋外環境においても、汎用工具箱に対し、きわめて容易に且つ短時間で釣用アイテムを設営することができる。
また本願レールキットにおいては釣用アイテム(
図9の例では5A・5B)をコの字レール1に対して装着する場合、同レール1を構成する3辺のうち中央レール辺12(左右両端部の各辺と直角をなす真ん中の辺12)に釣用アイテムが装着される。
さらに同レール1は長方形断面の短辺の幅W
12(
図8に示す汎用工具箱の奥行方向における中央レール辺12の幅W
12)が十分に薄いため、種々の釣用アイテム(
図9のドリンクホルダ5A・フック5Bなど)を同釣用アイテム側に設けられたクランプ51と突起部52により挟込んで容易に着脱することができる。
なおコの字レール1の中央レール辺12の短辺幅W
12と、釣用アイテム(
図9の5A・5B)のクランプ51と突起部52間の間隔W
5を同一サイズにすることで、釣用アイテムをコの字レール1に対して安定的に固着できる。
【0023】
またレールを撤去する際も固着手段3の解除操作により、コの字レール1を差込んだままの状態でレール支持具2を汎用工具箱TBから取外すだけでよいため、きわめて短時間で撤去作業も完了可能である。
釣りは屋外で行われる機会が多いため、天候の急変によりゲリラ豪雨のような突然の降雨に見舞われることもある。また魚の生息する水辺(川や海)では増水(潮位の上昇)による河川の氾濫や高波のおそれもあるため、一刻も早く釣場から離れなければ釣り人が危険な状況に陥ることすら考えられる。
このような釣りの特有事情に鑑みると、本レールキットの撤去に要する作業時間が短いことは使用者にとって大きなメリットをもたらすものと考えられる。
【0024】
〔第2発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第2発明に係る釣用レールキットは、第1発明の釣用レールキットであって、
U字形状ないしはY字形状に形成されるとともに、二股に分岐した先端部それぞれに前記ツメ部が形成された前記レール支持具を有する構成とした。
【0025】
汎用工具箱には運搬時に持上げやすくすることを目的として、持手(把持するためのハンドルHL)が回動可能に取付けられたものも多い(
図10)。
第2発明によればレール支持具2の全体形状を「U字形」(
図2(a))ないしは「Y字形」(
図12)の湾曲形状とすることで、持手の根元部分(箱状体BXに対するハンドルHLの取付位置)にぶつかることなくレール支持具2を取付けることが可能となる(
図11)。
【0026】
〔第3発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第3発明に係る釣用レールキットは、第1〜第2発明の釣用レールキットであって、
前記固着手段は、
前記箱状体の開口部分ちかくの垂直方向の断面形状と同一の2段の階段形状もしくはコの字形状からなる金具であって、当該開口部分にぶら下げられる吊金具と、
前記吊金具をレール支持具にネジ止めするための留ネジと、
から成り、
(1)前記箱状体の左右側壁面に押当てたレール支持具と、同箱状体の開口部分からぶら下げた吊金具とを留ネジにより締付けることで、レール支持具が箱状体に固着され、
(2)レール支持具と吊金具を締付けた状態にある留ネジを弛めることで、レール支持具が箱状体から取外し可能となる構成とした。
【0027】
第3発明の釣用レールキットでは「吊金具31と留ネジ33の組合せにより固着手段3」を実現している(
図1ないしは
図13)。
特に吊金具31の形状を、汎用工具箱の箱状体BXの断面形状と一致させる(同一形状である2段の階段形状もしくはコの字形状にする)ことで、留ネジ33により吊金具31とレール支持具2をネジ止めした際に同支持具2のツメ部21が引掛溝GV(L字型の溝部)に拘束されるため、レール支持具2を箱状体BXの左右側壁面に密着した状態で固着することができる(
図6(b)参照)。
【0028】
〔第4発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第4発明に係る釣用レールキットは、第1〜第2発明の釣用レールキットであって、
(1)レール支持具においては、磁石からなる前記固着手段が取付けられており、
(2)前記汎用工具箱の箱状体においては、開口部分外周の引掛溝にレール支持具のツメ部を差込みつつ箱状体の左右側壁面にレール支持具を押当てたときの磁石の位置に、磁性金属材料ないしは磁石が取付けられている構成とした。
【0029】
第4発明によれば
図14(a)・
図14(b)のごとく磁石や磁性金属材料から構成される「磁力を利用した固着手段3A・3B」を採用しているため、レール支持具の取付手法こそ第3発明と異なるものの、汎用工具箱に改変(物理的損傷)を加えることなくレールを取付できる点で上記第3発明と同様の効果を奏することが可能となる。
【0030】
〔第5発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第5発明に係る釣用レールキットは、第1〜第2発明の釣用レールキットであって、
レール支持具には、吸盤からなる前記固着手段が取付けられている構成とした。
【0031】
第5発明では、
図15(a)・
図15(b)のごとく吸盤から構成される「負圧による吸着力を利用した固着手段3C」を採用しており、レール支持具の取付手法こそ第3ないしは第4発明と異なるが、汎用工具箱に改変(物理的損傷)を加えることなくレールを取付できる点では上記第3・第4発明と同様の効果を奏することが可能となる。
【0032】
〔第6発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第6発明に係る釣用レールキットは、第1〜第2発明の釣用レールキットであって、
レール支持具には、両面テープないしは面ファスナからなる前記固着手段が取付けられている構成とした。
【0033】
第6発明については、
図16のように両面テープないしは面ファスナから構成される「粘着力を利用した固着手段3D」を採用している点でレール支持具の取付手法が第3〜第5発明と異なっているが、汎用工具箱に改変を加えることなくレールを取付できる点では上記第3〜第5発明と同様の効果を奏する。
【0034】
〔第7発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第7発明に係る釣用レールキットは、第1〜第2発明の釣用レールキットであって、
前記固着手段は、
前記箱状体の開口部分ちかくの垂直方向の断面形状と同一の2段の階段形状もしくはコの字形状からなる金具であって、先端部にオスコネクタが設けられた吊金具と、
前記レール支持具に一体的に成型されたメスコネクタであって、前記吊金具のオスコネクタが嵌合されるメスコネクタと、
から成り、
(1)前記箱状体の左右側壁面に押当てたレール支持具に成型されているメスコネクタに、同箱状体の開口部分からぶら下げた吊金具のオスコネクタを差込むことで、レール支持具が箱状体に固着され、
(2)メスコネクタに差込まれた状態にあるオスコネクタを同メスコネクタから引抜くことで、レール支持具が箱状体から取外し可能となる構成とした。
【0035】
第7発明の釣用レールキットでは「吊金具3Eのオスコネクタ34と、レール支持具2側に一体成型されたメスコネクタ35の組合せ」により固着手段を実現している(
図17(a)参照)。
これにより上記第3〜第6発明と同様、汎用工具箱に改変を加えることなくレールを取付けることができる。
【0036】
〔第8発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第8発明に係る釣用レールキットは、第1〜第2発明の釣用レールキットであって、
前記固着手段は、
前記箱状体の開口部分ちかくの垂直方向の断面形状と同一の2段の階段形状もしくはコの字形状からなるクリップと、
前記レール支持具に一体的に成型されるとともに同レール支持具の垂直方向に起立した支持板であって、先端部のヒンジ機構により前記クリップが回動可能に取付けられた支持板と、から成り、
前記レール支持具を箱状体の左右側壁面に押当てるとともに前記支持板が引掛溝に当接した状態において前記クリップにより同引掛溝を挟込むことにより、レール支持具が箱状体に固着される構成とした。
【0037】
第8発明の釣用レールキットでは「ヒンジ機構36により回動可能に取付けられたクリップ3G」により固着手段を実現している(
図18(a)参照)。
これにより上記第3〜第7発明と同様、汎用工具箱に改変を加えることなくレールを取付けることができる。
【0038】
〔第9発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第7発明に係る釣用レールキットは、第1〜第8発明の釣用レールキットであって、
前記コの字レールは、複数の長尺状板材を伸縮自在に継ぎ合せて形成されている構成とした。
【0039】
第9発明によればコの字レールの中央レール辺(左右両端部の各辺と直角をなす真ん中の辺)を軸方向に伸縮することにより(
図20)、コの字レール1Aを装着する「汎用工具箱の横幅に応じて」同工具箱に水平に架け渡すコの字レール1Aの長さを自由に変更できる。
【0040】
〔第10発明〕
また上記の課題を解決するために本願の第10発明に係る釣用レールキットは、第1〜第9発明の釣用レールキットであって、
前記コの字レールを構成する3辺のうち中央レール辺には、任意の釣用アイテムをネジ止めするためのアイテム用ネジ穴ないしは細長い溝状のアイテム装着溝の少なくとも一方が形成されており、
前記釣用アイテムは、
同アイテム用ネジ穴または同アイテム装着溝に係合する雄ネジまたは雌ネジが取付けられた頭頂部と、
前記頭頂部に対してヒンジ機構により開閉可能に取付けられた所定機能部と、
同頭頂部に取付けられた雄ネジまたは雌ネジに対して螺合する雌ネジまたは雄ネジを有する締具と、
を備える構成とした。
【0041】
第10発明によればコの字レール1(中央レール辺12)に対して、背面にクランプ51が設けられた釣用アイテム(
図9の例では5A・5B)をクランプ装着するのみならず、アイテム用ネジ穴13・アイテム装着溝14により釣用アイテム(
図21の例では5C・5D)をネジ止め装着することも可能となる。
しかしながら各種の釣用アイテム(
図21の5C・5D)を装着できるようコの字レール1にアイテム用ネジ穴13・アイテム装着溝14を設けたとしても、釣用アイテムがかさばった状態(
図22(a)・
図22(c))ではボルト(雄ネジ53)と締具54(雌ネジ)を締付けて同釣用アイテムを中央レール辺12に装着することは困難となってしまう。
そこで第10発明では「釣用アイテム側にも工夫」を凝らし、釣用アイテム5C・5Dの頭頂部55に対し、所定機能部57(ドリンクホルダ機能を発揮する円筒状の容器保持部57A、フック機能を発揮する湾曲部57B)がヒンジ機構56によって開閉可能に取付けられている(上述の
図22(a)・
図22(c)参照)。
このように釣用アイテム5C・5Dの所定機能部57を折畳むことにより(
図22(b)・
図22(d))、雄ネジ53の締付作業をするときの回転半径を小さくでき、ひいては釣用アイテムをネジ止めする際の作業効率の円滑化が図られる。
なおアイテム用ネジ穴13・アイテム装着溝14はともに釣用アイテムのネジ止め装着が可能であるものの、アイテム用ネジ穴13では
図21において釣用アイテム5C・5Dの装着位置を変更する際に頭頂部55と締具54を完全に取外さなければ位置変更ができない一方、アイテム装着溝14では釣用アイテム5C・5Dの装着位置を変更する際に頭頂部55と締具54を完全に取外さなくても締付を弛めるだけでスライド移動できる点で異なっている。