(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透明な基材シートと、当該基材シートの一方の面に乾燥塗膜の伸び率が10%以下、可視光透過率が90%以上となる導電性インキを用いて形成された複数の主電極領域を有する主電極層と、を少なくとも備えた積層体であって、当該積層体が3次元曲面を有する絞り加工品となっている、3次元曲面形状のタッチ面を有する静電容量方式のタッチパネルにおいて、
さらに前記積層体が、前記3次元曲面内の周縁部に、乾燥塗膜の伸び率が70%以上、可視光透過率が75〜85%となる導電性インキを用いて形成された複数の補助電極領域を有する補助電極層を備えており、
当該補助電極層の前記補助電極領域が、前記主電極層の前記主電極領域のうち前記3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において前記補助電極層と前記主電極層とが導通可能である、
ことを特徴とする3次元曲面タッチパネル。
前記補助電極層を形成する前記導電性インキに含有される導電性物質が、カーボンナノチューブ、又はPEDOTである請求項1又は請求項2のいずれかに記載の3次元曲面タッチパネル。
透明な基材シートと、当該基材シートの一方の面に乾燥塗膜の伸び率が10%以下、可視光透過率が90%以上となる導電性インキを用いて形成された複数の主電極領域を有する第一主電極層と、前記基材シートの他方の面側に乾燥塗膜の伸び率が10%以下、可視光透過率が90%以上となる導電性インキを用いて形成された複数の主電極領域を有する第二主電極層と、を少なくとも備え、前記第一主電極層に含まれる一の主電極領域は前記第二主電極層に含まれる二以上の主電極領域と重畳している積層体であって、当該積層体が3次元曲面を有する絞り加工品となっている、3次元曲面形状のタッチ面を有する静電容量方式のタッチパネルにおいて、
さらに前記積層体が、前記3次元曲面内の周縁部に、乾燥塗膜の伸び率が70%以上、可視光透過率が75〜85%となる導電性インキを用いて形成された複数の補助電極領域を有する第一補助電極層及び第二補助電極層を備えており、
当該第一補助電極層の前記補助電極領域が、前記第一主電極層の前記主電極領域のうち前記3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において前記第一補助電極層と前記第一主電極層とが導通可能であり、
前記第二補助電極層の前記補助電極領域が、前記第二主電極層の前記主電極領域のうち前記3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において前記第二補助電極層と前記第二主電極層とが導通可能である、
ことを特徴とする3次元曲面タッチパネル。
前記第一主電極層及び前記第二主電極層を形成する前記導電性インキに含有される導電性物質が、直線タイプの銀ナノ繊維である請求項6〜8のいずれかに記載の3次元曲面タッチパネル。
前記第一補助電極層及び前記第二補助電極層を形成する前記導電性インキに含有される導電性物質が、カーボンナノチューブ、又はPEDOTである請求項6〜9のいずれかに記載の3次元曲面タッチパネル。
前記第一主電極層と前記第一補助電極層の積層の位置関係、前記第二主電極層と前記第二補助電極層の積層の位置関係を各々入れ替えた請求項6〜11のいずれかに記載した3次元曲面タッチパネル。
3次元曲面を有する樹脂成形品と、当該樹脂成形品の3次元曲面を被覆する請求項1〜12のいずれかに記載の3次元曲面タッチパネルとで構成されたことを特徴とする電子機器筐体。
【背景技術】
【0002】
従来、3次元曲面状のタッチ面を有し背面に光散乱層が設けられている静電容量方式のタッチパネルが知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のタッチパネルにあって、タッチの有無を検出する電極は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SnO
2(Tin Oxide)などの特定金属酸化物で形成される透明な導電性膜からなる。この導電性膜はスパッタリングなどの真空めっきにより成膜される。
【0003】
また、タッチパネルは、通常、タッチ位置を検出するものであり、タッチ面に形成される電極は複数となり、複数の電極を精度よく形成することが必要となる。
【0004】
しかし、曲面基板上に特定金属酸化膜を形成してなる曲面タッチパネルは、真空めっきが必要となることから、その材質はソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、耐熱性ガラスなど真空めっき処理に耐え得る材料に限定される欠点がある。
【0005】
また、従来の曲面タッチパネルの製造方法は真空めっきを行うから、大量生産に適さず、また、タッチパネルを大型化すると製造が困難になる。さらに、タッチパネルが複雑な3次元曲面形状になると、複数の電極を精度良く形成することが困難になる欠点がある。
【0006】
そこで、これらの欠点を解決するために、熱可塑性樹脂製の平板に、導電性インキを用いて複数の電極領域を作成し、これを加温して軟化し成形して作成される3次元曲面タッチパネルが、本出願人において先に提案されている(先願未公開のため公知文献を示すことはできない)。具体的には、3次元曲面形状のタッチ面を有する静電容量方式のタッチパネル10において、熱可塑性樹脂製の平板11を用い(
図19(a)参照)、前記平板11上に導電性物質とバインダーからなる導電性インキを用いて複数の電極領域15a、15b、15cを有する電極層を形成した描画平板13を作成し(
図19(b)参照)、前記描画平板13を加温し、軟化した前記描画平板13を成形して軟化曲面物21とし(
図19(c)参照)、前記軟化曲面物21を冷却又は放冷して曲面形状成形物としたものである(
図19(d)参照)。図中、18a、18b、18cが各々の電極領域15a、15b、15cから個々に延設されているリード線、22は型を示す。
【0007】
本提案によって、3次元曲面タッチパネルとして、選択可能な材料が多くなるという利点がある。また、3次元曲面タッチパネルの製造方法として、大量生産に適し、大型の製品にそのまま適用でき、また、複雑な曲面形状であっても容易に生産できる利点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記改良技術では、平板11の上に電極領域15a、15b、15cを描画するのに用いる導電性インキは、バインダー中に導電性物質を混入したインキである。導電性物質として、例えば、カーボンナノチューブ、銀ナノ繊維、銅ナノ繊維、導電性樹脂高分子であるPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)等が挙げられている。
【0010】
しかしながら、銀ナノ繊維を導電性物質として含む電極層14は、伸び性に乏しいので、加温軟化した描画平板1を成形して軟化曲面物21とすると、絞り加工によって大きく伸ばされる部分、すなわち3次元曲面内の周縁部(
図19d参照)において断線してしまう。その結果、3次元曲面タッチパネルがセンサとして全く反応しないか、反応してもその感度が極めて悪いという問題があった。
【0011】
他方、カーボンナノチューブ又はPEDOTを導電性物質として含む電極層は、銀ナノ繊維を導電性物質として含む電極層と比較して伸び性に優れているので前記した3次元曲面内の周縁部における断線は生じにくいが、透明性で劣るのでタッチ面の透視性が不十分となるという問題があった。
【0012】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、絞り加工時の断線に起因するセンサ機能の不具合が生じず、かつタッチ面の透視性に優れた3次元曲面タッチパネル及びこれを用いた電子機器筐体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下に課題を解決するための手段を述べる。
【0014】
本発明の第1態様は、透明な基材シートと、当該基材シートの一方の面に乾燥塗膜の伸び率が10%以下、可視光透過率が90%以上となる導電性インキを用いて形成された複数の主電極領域を有する主電極層と、を少なくとも備えた積層体であって、当該積層体が加熱軟化後の絞り加工により3次元曲面を有する成形物となっている、3次元曲面形状のタッチ面を有する静電容量方式のタッチパネルにおいて、
さらに前記積層体が、前記3次元曲面内の周縁部に、乾燥塗膜の伸び率が70%以上、可視光透過率が75〜85%となる導電性インキを用いて形成された複数の補助電極領域を有する補助電極層を備えており、
当該補助電極層の前記補助電極領域が、前記主電極層の前記主電極領域のうち前記3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において前記補助電極層と前記主電極層とが導通可能である、
3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0015】
本発明の第2態様は、前記主電極層を形成する前記導電性インキに含有される導電性物質が、直線タイプの銀ナノ繊維である第1態様の3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0016】
本発明の第3態様は、前記補助電極層を形成する前記導電性インキに含有される導電性物質が、カーボンナノチューブ、又はPEDOTである第1態様又は第2態様のいずれかの3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0017】
本発明の第4態様は、前記補助電極層が、前記主電極層上に導電性接着層を介して間接的に積層されている第1〜3態様のいずれかの3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0018】
本発明の第5態様は、前記主電極層と前記補助電極層の積層の位置関係を入れ替えた第1〜4態様のいずれかの3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0019】
本発明の第6態様は、透明な基材シートと、当該基材シートの一方の面に乾燥塗膜の伸び率が10%以下、可視光透過率が90%以上となる導電性インキを用いて形成された複数の主電極領域を有する第一主電極層と、前記基材シートの他方の面側に乾燥塗膜の伸び率が10%以下、可視光透過率が90%以上となる導電性インキを用いて形成された複数の主電極領域を有する第二主電極層と、を少なくとも備え、前記第一主電極層に含まれる一の主電極領域は前記第二主電極層に含まれる二以上の主電極領域と重畳している積層体であって、当該積層体が加熱軟化後の絞り加工により3次元曲面を有する成形物となっている、3次元曲面形状のタッチ面を有する静電容量方式のタッチパネルにおいて、
さらに前記積層体が、前記3次元曲面内の周縁部に、乾燥塗膜の伸び率が70%以上、可視光透過率が75〜85%となる導電性インキを用いて形成された複数の補助電極領域を有する第一補助電極層及び第二補助電極層を備えており、
当該第一補助電極層の前記補助電極領域が、前記第一主電極層の前記主電極領域のうち前記3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において前記第一補助電極層と前記第一主電極層とが導通可能であり、
前記第二補助電極層の前記補助電極領域が、前記第二主電極層の前記主電極領域のうち前記3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において前記第二補助電極層と前記第一主電極層とが導通可能である、
3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0020】
本発明の第7態様は、前記積層体が、前記基材シートの他方の面に貼合された別の透明な基材シートも備え、
前記第二補助電極層が、前記別の基材シートの貼合面とは反対の面に形成されている第6態様の3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0021】
本発明の第8態様は、前記積層体が、前記基材シートの他方の面に貼合された別の透明な基材シートも備え、
前記第二補助電極層が、前記別の基材シートの貼合面に形成されている第6態様の3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0022】
本発明の第9態様は、前記第一主電極層及び前記第二主電極層を形成する前記導電性インキに含有される導電性物質が、直線タイプの銀ナノ繊維である第6〜8態様のいずれかの3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0023】
本発明の第10態様は、前記第一補助電極層及び前記第二補助電極層を形成する前記導電性インキに含有される導電性物質が、カーボンナノチューブ、又はPEDOTである第6〜9態様のいずれかの3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0024】
本発明の第11態様は、前記第一補助電極層が前記第一主電極層上に、前記第二補助電極層が前記第二主電極層上に各々導電性接着層を介して関節的に形成されている第6〜10態様のいずれかの3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0025】
本発明の第12態様は、前記第一主電極層と前記第一補助電極層の積層の位置関係、前記第二主電極層と前記第二補助電極層の積層の位置関係を各々入れ替えた第6〜11態様のいずれかの3次元曲面タッチパネルを提供するものである。
【0026】
本発明の第13態様は、3次元曲面を有する樹脂成形品と、当該樹脂成形品の3次元曲面を被覆する第1〜12態様のいずれかに記載の3次元曲面タッチパネルとで構成されたことを特徴とする電子機器筐体を提供するものである。
【0027】
以上説明した本発明、本発明の好ましい実施態様、これらに含まれる構成要素は可能な限り組み合わせて実施することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、透明な基材シートと、当該基材シートの一方の面に乾燥塗膜の伸び率が10%以下、可視光透過率が90%以上となる導電性インキを用いて形成された複数の主電極領域を有する主電極層と、を少なくとも備えた積層体であって、当該積層体が加熱軟化後の絞り加工により3次元曲面を有する成形物となっている、3次元曲面形状のタッチ面を有する静電容量方式のタッチパネルにおいて、上述したように、さらに前記積層体が、前記3次元曲面内の周縁部に、乾燥塗膜の伸び率が70%以上、可視光透過率が75〜85%となる導電性インキを用いて形成された複数の補助電極領域を有する補助電極層を備えている。
【0029】
この補助電極層の補助電極領域は、前記主電極層の前記主電極領域のうち絞り加工で大きく伸ばされる、前記3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において前記補助電極層と前記主電極層とが導通可能であるように構成されているので、絞り加工で主電極層において仮に断線が生じたとしても、断線が生じていない補助電極層を介することによって、電極領域内等で導電性が維持される。なお、補助電極層は主電極層に比べると透視性の点で劣るが、実用上問題にはならない。何故なら、補助電極層の補助電極領域が形成される3次元曲面内の周縁部は、額縁状の加飾部を有するデザイン設計が為される等、高い透視性が要求されることがないからである。
【0030】
また、主電極層の単層構成ではなく、第一主電極層と第二主電極層の2層で、前記第一主電極層に含まれる一の主電極領域を前記第二主電極層に含まれる二以上の主電極領域と重畳させる構成のタッチパネルの場合も、上記作用により同じ効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施例にかかる3次元曲面タッチパネル及びこれを用いた電子機器筐体をさらに説明する。本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするため、一部の構成要素を誇張して表すなど模式的に表しているものがある。このため、構成要素間の寸法や比率などは実物と異なっている場合がある。また、本発明の実施例に記載した部材や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載のない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。また、符号である数字は部品などを集合的に示す場合があり、個別の部品などを示す場合に当該数字のあとにアルファベットの添字を付けているものがある。
【0033】
《第1実施形態》
図1は本発明に係る3次元曲面タッチパネルの第1実施形態を示す断面説明図であり、
図2は、
図1の3次元曲面タッチパネル10の製造方法の説明図である。
【0034】
図1に示す3次元曲面タッチパネル10は、透明な基材シート12の表面に導電性インキ層からなる複数の主電極領域15有する主電極層14設け、その上に絞り加工によって3次元曲面内の周縁部となる箇所に補助電極領域35を有する補助電極層34を設けた後、これら三層からなる積層体を加熱軟化させた状態での絞り加工で3次元曲面に成形し、冷却又は放冷して曲面形状成形物としたものである。
【0035】
なお、本発明における「主電極領域」は、本出願人において先に提案した曲面タッチパネル(未公開)の「電極領域」と同じものであるが、補助電極領域と区別するために「主」を付加している。また、
【0036】
(基材シート)
基材シート12は透明な熱可塑性樹脂からできていて、加熱により軟化し、冷却により固化するものである。すなわち、室温では固化状態である。熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルエステル系樹脂などが挙げられる。また、基材シート12は共押出品の複合材でもよく、例えば、PMMA/PC/PMMAの2種3層構造フィルムなどを用いることができる。
【0037】
基材シート12の厚さは特に制限はなく、出来上り製品である3次元曲面タッチパネルの寸法、使用する樹脂の性質等を考慮して定めればよい。
【0038】
(主電極領域)
このような基材シート12の表面に透視性に優れた導電性インキを用いて複数の主電極領域15を有する主電極層14が形成される(
図2(a)参照)。
【0039】
主電極層14を形成するのに用いる導電性インキは、乾燥塗膜の伸び率が10%以下、可視光透過率が90%以上となるインキである。したがって、タッチ面の透視性に優れた3次元曲面タッチパネルが得られるものの、絞り加工によって大きく伸ばされる箇所において主電極層14が断線し、単独ではセンサ機能の不具合を生じさせるおそれのあるものである。
【0040】
ここで、本明細書における「伸び率」とは、以下の測定方法によって求められるものである。すなわち、120℃、2分の環境温度下において、幅20mm×長さ160mmの薄い絶縁体上に導電性インキの乾燥塗膜(厚み1μm)を形成した試験片80を用い、これを一対のチャック81、82によりチャック間(引張部)距離30mmで固定し、試験片18の一端を2mm/分の一定速度で荷重をかけて引張試験を実施したとき、試験片80両端の接続部83,84(各々、長さ10mm)に接続されたテスター85を用いて導電性インキの乾燥塗膜(接続部を除く導体の長さ140mm)が伸びることによる電気抵抗の変化を測定して求める(
図5参照)。
【0041】
図6は、
図5の試験結果の一例を示すグラフである。横軸は(式1)で求められる伸び率、縦軸は(式2)で求められる抵抗変化率をそれぞれ表す。
伸び率(%)=w/l×100 ……(式1)
w:伸び量(mm),l:引張部の長さ(mm)
抵抗変化率=(R
w−R
0)/(R
0×l/L
0)+1 ……(式2)
R
0:初期抵抗値(Ω),R
w:w(mm)だけ伸びた時の抵抗値(Ω),
l:引張部の長さ(mm),L
0::接続部を除く導体の長さ(mm)
【0042】
導電性インキの乾燥塗膜は、伸びにより断面積が減るとともに長さが長くなり、その結果抵抗値が増え、抵抗変化率も伸び量が大きくなるにつれ増える。そして、導電性インキの乾燥塗膜が伸びに耐え切れなくなり断線すると、それ以降の抵抗変化率は一気に無限大になる(
図6参照)。この導電性インキの乾燥塗膜が伸びに耐え切れなったときの伸び率が、本明細書における導電性インキ乾燥塗膜の「伸び率」である。例えば、
図6のグラフに示される各サンプル材料の伸び率は、ITO(3%)、銀ナノ繊維(10%)、PEDOT(75%)、CNT(100%以上)である。
【0043】
また、本明細書における可視光線透過率は、JIS R 3106:1998に準拠し、分光光度計により波長380?780nm間の可視光線透過率を測定した。
【0044】
乾燥塗膜の伸びが10%以下、可視光透過率が90%以上となる導電性インキとしては、具体的には、バインダー中に、例えば、直線タイプの銀ナノ繊維(AgNW)を導電性物質として混入したインキである。なお、前記ナノ繊維には、メッシュ状のものを含む。
【0045】
バインダーは、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、EVA系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアセテート系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
【0046】
導電性インキ中の導電性物質とバインダーの混合割合は、バインダー100重量部に対して導電性物質が通常1〜100重量部、好ましくは2〜95重量部である。得られる導電性インキ層の膜厚は通常1nm〜100μm、好ましくは2nm〜50μmである。導電性インキ層の面抵抗の値は通常1〜2000Ω/□、好ましくは5〜1000Ω/□である。
【0047】
基材シート12表面への複数の主電極領域15を有する主電極層14の形成は、グラビア印刷やスクリーン印刷により行なう。
【0048】
また、主電極層14の形成は、フォトリソグラフィーにより行ってもよい。用いるレジストはポジ型、ネガ型どちらでもよい。フォトリソグラフィーの手順の一例は以下の通りである。
(1)複数の主電極領域全面を覆うレジストをコーター又は吹き付けにより塗布する
(2)レジスト上に連続した導電性インキ層を形成する。導電性インキ層はベタ塗りしてもよく、例えば微細な格子模様であってもよい。ベタ塗りはコーターや吹き付けにより行うことができ、微細な格子模様はグラビア印刷やスクリーン印刷などの印刷法で行うことができる。
(3)意図する主電極領域の形状になるように紫外線やレーザー光等でレジストを露光する。
(4)溶剤などでレジストを除去すると同時に、当該レジスト部分上の導電性インキ層をリフトオフする。
フォトリソグラフィーを採用すれば、主電極領域等のパターンを、より一層精密に形成できる。
【0049】
図3は主電極領域15を説明する平面図である。この図において、主電極領域15a、15b、15cは基材シート12の表面に設けられ、各々の主電極領域から個々にリード線18a、18b、18cが延設されている。
【0050】
なお、基材シート12上の主電極領域15及びリード線18は、後の絞り加工による変形やズレ等を見込んでデザインされる。
【0051】
(補助電極領域)
複数の主電極領域15を有する主電極層14が形成された基材シート12について、さらに絞り加工によって3次元曲面内の周縁部となる部分に、伸び性に優れた導電性インキを用いて複数の補助電極領域35を有する補助電極層34が、前記主電極層14上に直接的に形成される(
図2(b)参照)。
【0052】
補助電極層34を形成するのに用いる導電性インキは、乾燥塗膜の伸び率が70%以上、可視光透過率が75〜85%となるとなるインキである。したがって、補助電極領域35の透視性は低下するものの伸び性に優れているため、絞り加工によって大きく伸ばされる箇所、すなわち3次元曲面内の周縁部において補助電極層34は断線しない。したがって、絞り加工によって主電極層14に断線が生じたとしても、当該断線が生じていない補助電極層34を介することによってセンサ機能が維持される。
【0053】
乾燥塗膜の伸び率が70%以上、可視光透過率が75〜85%となるインキとしては、具体的には、バインダー中に、例えば、CNT(カーボンナノチューブ)、導電性樹脂高分子であるPEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)等の導電性物質を混入したインキである。また、これらの導電性物質は、直線タイプよりも伸びしろのある波線タイプの方が、乾燥塗膜の伸び性が向上するため、より好ましい。
【0054】
バインダーは、主電極層14と同様に、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合系樹脂、EVA系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアセテート系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。
【0055】
導電性インキ中の導電性物質とバインダーの混合割合は、主電極層と同様に、バインダー100重量部に対して導電性物質が通常1〜100重量部、好ましくは2〜95重量部である。得られる導電性インキ層の膜厚は通常1nm〜100μm、好ましくは2nm〜50μmである。導電性インキ層の面抵抗の値は通常1〜2000Ω/□、好ましくは5〜1000Ω/□である。
【0056】
主電極層14が形成された基材シート12上への複数の補助電極領域35を有する補助電極層34を形成するには、グラビア印刷やスクリーン印刷により行なう。
【0057】
また、複数の補助電極領域35を有する補助電極層34の形成は、主電極領域15と同様に、フォトリソグラフィーにより行ってもよい。この場合も用いるレジストはポジ型、ネガ型どちらでもよい。フォトリソグラフィーの手順の一例は主電極領域15の説明で述べた通りである。
【0058】
図4は補助電極領域35を説明する平面図である。この図において、補助電極領域35a、35b、35cは、主電極領域15a、15b、15cのうち3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において前記補助電極層と前記主電極層とが直接的に接触して導通可能である。
【0059】
なお、補助電極領域35も、後の絞り加工による変形やズレ等を見込んでデザインされる。
【0060】
(曲面形状への成形)
これら三層からなる積層体45を3次元曲面に成形するには、加熱軟化させた状態で絞り加工を行う(
図2(c)参照)。絞り加工とは、シート状物から円筒、角筒、円錐などのさまざまな形状の3次元曲面を有する、継ぎ目のない成形物を作る加工法である。本発明のような熱可塑性樹脂製の基材シート12を用いた積層体45の絞り加工の方法としては、圧空成形、真空成形、熱プレス成形などが挙げられ、好ましくは圧空成形、真空成形である。また、圧空成形と真空成形の複合でもよい。
【0061】
絞り加工が行われる過程において、最初平面形状だった積層体45がどのようにして3次元曲面を有するように変形するのかを説明すると、まず、所望の形状の3次元曲面を有する金型22の上方に積層体45を配置する。次に、金型22の3次元曲面外において積層体45を挟んで保持する。積層体45を加熱軟化させ、この状態で本出願人による先願に係る
図19(c)の矢印に示すように金型22に向かう力が積層体45に加わると、積層体45が金型22の3次元曲面に沿って変形して、軟化曲面物21ができる。このとき、同じ3次元曲面内でも場所によって伸ばされる量が異なり、3次元曲面内の周縁部はとくに大きく伸ばされる。また、積層体45に加わる力は、圧空成形の場合は圧縮空気であり、真空成形の場合は真空吸引、熱プレス成形の場合は金型22に嵌合する金型による加圧である。
【0062】
軟化曲面物21を放冷して不要な外周部分を切り落として
図1に示す曲面形状成形物である3次元曲面タッチパネル10を得る。
図1に示した例では3次元曲面タッチパネル10は半球形状であり、例えば円形底面の半径は150mm、又底面から頂上部分までの距離200mmとすることができる。
【0063】
(曲面タッチパネルの使用例)
本発明の3次元曲面タッチパネルの使用例を、
図7の曲面タッチパネル付表示装置1を参照して説明する。
【0064】
曲面タッチパネル付表示装置1は、3次元曲面を有する樹脂成形品75及び当該3次元曲面を前面から被覆する前述の3次元曲面タッチパネル10で構成された電子機器筐体76(
図16参照)と、その他に画像投射装置51と、光路ミラー52とを含む。画像記憶装置を兼ねるAVメモリ56は、画像データと音データを記憶している。画像データはAV制御部57により選択的にAVメモリ56から引き出され、画像投射装置51に送信される。
【0065】
AV制御部57はオーディオアンプも兼ねている。AV制御部57はまた、AVメモリ56に記憶された音響や音声の音データを音に変換して、音信号を増幅する。増幅された音信号はスピーカ58a、58bに入力され、スピーカ58a、58bにより音が再生される。
【0066】
光路ミラー52は画像投射装置51から投射された画像を反射して曲面タッチパネル10に向けて出射する。
【0067】
3次元曲面を有する樹脂成形品75は、タッチ面の3次元曲面形状が入力時の圧力によって変形しないようにするものである。樹脂成形品75としては、例えば、素材が乳白色のアクリル樹脂等からなる厚さ5mm〜30mmの射出成形品を用いることができる。3次元曲面タッチパネル10を射出成形用金型内に入れ、3次元曲面タッチパネル10の裏面側より成形用樹脂を射出することにより、樹脂成形品75の成形と同時に3次元曲面タッチパネル10と一体化させる。乳白色のアクリル樹脂等からなる樹脂成形品75は光散乱性を有するので、画像投射装置51から投射された画像光は樹脂成形品75で散乱され、観察者は3次元曲面を有する樹脂成形品75上の画像を視認する。
【0068】
もっとも3次元曲面タッチパネルを用いた電子機器筐体76とは別に投射像のスクリーンを設けたタッチパネル装置に組み込む場合、或いは3次元曲面タッチパネルを用いた電子機器筐体76の裏側面に液晶ディスプレイを配置した場合等には、3次元曲面を有する樹脂成形品75に光散乱性は不要である。
【0069】
3次元曲面タッチパネルに備えた主電極領域のリード線18は、タッチパネル制御部54と結線されている。タッチパネル制御部54は静電容量方式のタッチ検出を実現する装置部分である。タッチパネル制御部54は発振回路、判定回路、信号発信回路を備えている。発振回路は主電極領域の静電容量の値に応じて発振周波数が変化する。判定回路は発振周波数の変化の有無を判定する。信号発信回路は、判定回路が発振周波数の変化を検知した場合にコンピュータ53にタッチ信号を送出する。主電極領域の静電容量の値は、参照電極領域の静電容量の値と比較演算して算出されている。
【0070】
3次元曲面タッチパネル10が人の指等と遊離状態にある時、主電極領域の静電容量の値が一定であり、発振回路は一定発振周波数で発振している。曲面タッチパネル10の主電極領域に人の指が近接あるいは接触すれば主電極領域の静電容量が変化しこれにより発振周波数が変化する。判定回路が当該変化を検知する。そして、信号発信回路がタッチ信号をコンピュータ53に送出すれば、コンピュータ53はタッチ信号を受信して、予め定められているタスクを実行する。予め定められたタスクの一例は、投影画像の切り替え、拡大・縮小、音声の切り替え、音の大小、曲面タッチパネル付表示装置1のオン・オフ等である。
【0071】
コンピュータ53は、以上述べた個々の装置、部品の制御を行うと共に曲面タッチパネル付表示装置1全体の制御等を荷う。
【0072】
曲面タッチパネル付表示装置1はLAN制御部55を備えてもよい。LAN制御部55はLANに接続されている。LAN制御部55は、AVメモリ56中の画像データやオーディオデータの取り込み、入れ替え、コンピュータ53のプログラムの変更、リモートメンテナンス、インターネット放送の再生等を担うことができる。
【0073】
以上説明した上記3次元曲面タッチパネル10は、単一の主電極層を有し、半球形状の経線方向に沿う分割円形状の電極領域を有するものであった。本発明において使用する経線・緯線は、半球状タッチパネル10の頂点を極とし、前記した曲面タッチパネル付表示装置1への取付け部分61を赤道とした場合に定まる経線・緯線を意味している。3次元曲面タッチパネル10をタッチパネル入力装置に組み込んだ場合は、当該個別の電極領域毎に、接触の有無が検知される。
【0074】
《第2実施形態》
本発明にかかる3次元曲面タッチパネルは、第一主電極層14と第二主電極層114を有し、格子状に分割された個別検知領域が実現されるものであってもよい(第二の3次元曲面タッチパネル110)。格子状に分割する一例は、半球形状タッチパネルの経線方向と緯線方向に分割するものである。
【0075】
図8は本発明に係る曲面タッチパネルの第2実施形態を示す断面説明図であり、
図9は
図8の曲面タッチパネルの製造工程説明図である。
【0076】
第一主電極層14における主電極領域のパターンは第1実施形態の3次元曲面タッチパネル10における主電極層のパターンと同一であり、個々の主電極領域15は経線方向に伸びている(
図3参照)。
【0077】
第二主電極層114における主電極領域115のパターンは、主電極領域115a、115b、115cが同心円状に配置され、個々の主電極領域115a、115b、115cからリード線118a、118b、118cが半球の底面側に延設されている(
図10参照)。第二主電極層114にあって、主電極領域は半球形状の緯線方向に伸びている。
【0078】
第一主電極層14と第二主電極層114を重ねるには、
図8に示すように、基材シート12の表面に第一主電極層14を形成し、裏面に第二主電極層114を形成して、格子分割検知領域とすればよい。
【0079】
図9を参照して第二の3次元曲面タッチパネル110の製造方法を概説する。第二の3次元曲面タッチパネル110の製造方法は3次元曲面タッチパネル10の製造方法とほぼ同様であり、ここでは主として相違点のみを説明する。
【0080】
まず、基材シート12の表面に 透視性に優れた導電性インキを用いて複数の第一主電極領域15を有する第一主電極層14を形成し、裏面には透視性に優れた導電性インキを用いて複数の第二主電極領域115を有する第二主電極層114を形成する(
図9(a)参照)。
【0081】
第一主電極層14及び第二主電極領域115の形成方法、使用する透視性に優れた導電性インキは、いずれも第1実施形態で説明した主電極層と同様である。
【0082】
次に、両面に主電極層14,114が形成された基材シート12について、さらに絞り加工によって3次元曲面内の周縁部となる部分に、伸び性に優れた導電性インキを用いて複数の補助電極領域35を有する第一補助電極層34及び第二補助電極層134を、前記第一主電極層14及び第二主電極層114上に直接的に形成し、これら5層からなる積層体145を作成する(
図9(b)参照)。
【0083】
第一補助電極層34及び第二補助電極層134の形成方法、使用する伸び性に優れた導電性インキは、いずれも第1実施形態で説明した補助電極層と同様である。
【0084】
図11は補助電極領域135を説明する平面図である。この図において、補助電極領域135a、135b、135cは、主電極領域115a、115b、115cのうち3次元曲面内の周縁部に存在する部分と各々重複するように形成され、当該重複部分において第二補助電極層134と第二主電極層114とが直接的に接触して導通可能である。
【0085】
次いで、積層体145を加熱軟化させた状態で絞り加工を行なって3次元曲面に成形する(
図9(c)参照)。
【0086】
最後に、軟化曲面物121を放冷して不要な外周部分を切り落として
図8に示す曲面形状成形物である3次元曲面タッチパネル110を得る。
【0087】
以下に、第1実施形態及び第2実施形態の変化例について、さらに説明する。
【0088】
(変化例1)
第2実施形態において、
図8に示す例では単体の樹脂シートからなる基材シート12の表面に第一主電極層14及び第一補助電極層34を形成し、裏面に第二主電極層114及び第二補助電極層134を形成して格子分割検知領域を有する第二の曲面タッチパネル110としたが、格子分割検知領域を有する第二の曲面タッチパネル110はこれに限定されない。例えば、積層体145が、基材シート12の裏面に貼合された別の透明な基材シート112も備え、第二主電極層114が、前記別の基材シート112の貼合面とは反対の面に形成されていてもよい(
図12参照)。
【0089】
この場合、単体の樹脂シート12の両面に電極パターンを形成しなくても、基材シート12及び別の基材シート112に各々、片面のみに電極パターンを形成してから両者を貼り合わせればよいので、ブロッキングの発生を抑えることができ、電極パターンを損なうことがない。具体的には、以下のようにして製造する。
【0090】
まず、一の樹脂シート12aの表面に 透視性に優れた導電性インキを用いて複数の主電極領域を有する第一主電極層14を形成した第一電極シートと、別の樹脂シート112の裏面に透視性に優れた導電性インキを用いて複数の第二主電極領域を有する第二主電極層114を形成したものとを別々に作成する(
図13(a)参照)
【0091】
次に、第一電極シートについて、さらに絞り加工によって3次元曲面内の周縁部となる部分に、第一補助電極層34を第一主電極層14上に直接的に形成し、他方、第二電極シートについて、さらに3次元曲面内の周縁部となる部分に、第二補助電極層134を第二主電極層114上に直接的に形成する(
図13(b)参照)。
【0092】
次いで、別々に作成した両シートを電極面が外側になるように接着層40にて貼り合わせた後(
図13(c)参照)、積層体145を加熱軟化させた状態で絞り加工を行なって3次元曲面に成形する(
図13(d)参照)。
【0093】
最後に、軟化曲面物121を放冷して不要な外周部分を切り落として
図12に示す曲面形状成形物である3次元曲面タッチパネル110を得る。
【0094】
別の透明な樹脂シート112としては、前記基材シート12と同様の材料を用いることができる。また、接着層40としては、透明で密着信頼性のある材料が選ばれ、例えばアクリル酸系感圧粘着剤、UV接着剤、熱可塑接着剤、熱硬化接着剤等がある。
【0095】
(変化例2)
また、格子分割検知領域を有する第二の曲面タッチパネル110は、変化例1以外にも別の積層構成をとることもできる。例えば、積層体145が、基材シート12の裏面に貼合された別の透明な基材シート112も備え、第二主電極層114が、前記別の基材シート112の貼合面に形成されていてもよい(
図14参照)。
【0096】
図13(a)及び(b)と同じ工程を経た後、別々に作成した両シートを電極面がいずれも表側になるように接着層40にて貼り合わせる点において、変化例1と異なる。この場合、第二主電極層114及び第二補助電極層134が露出しないため、電極の導電性を損ないにくい。
【0097】
別の透明な樹脂シート112及び接着層40としては、変化例1と同様の材料を用いることができる。
【0098】
(変化例3)
また、上記各実施形態及びその変家例1,2においては、各種補助電極層が各種主電極層上に直接的に形成されているが、本発明の3次元曲面タッチパネルはこれに限定されない。例えば、各種補助電極層を各種主電極層が形成された基材シートとは別の熱可塑性樹脂製の基材シート上に形成し、これを導電性接着層にて貼付することにより各種主電極層上に各種補助電極層を間接的に形成することもできる。
【0099】
一例として、第1実施形態の3次元曲面タッチパネル10について主電極層14上に補助電極層34を間接的に形成させるように変化させた積層構成を、
図15に示す。
図15においては、一の基材シート12の表面に導電性インキ層からなる複数の主電極領域を有する主電極層14が設けられ、別の基材シート47の裏面の絞り加工によって3次元曲面内の周縁部となる部分に補助電極領域を有する補助電極層34が設けられ、これらが電極形成面どうしを対向させて全面的に貼り合わせられている。なお、主電極層14及び補助電極層34は、異方導電性を有する導電性接着層48によって、相対する電極間でのみ導通可能である。
【0100】
このように各種補助電極層を各種主電極層上に直接的に形成しないことによって、両者間の密着性を向上させることも可能である。とくに、銀ナノ繊維を含有する主電極層14とカーボンナノチューブを含有する補助電極層34との組み合わせの場合には、間に導電性接着層48を介在させる構成が有効である。
【0101】
導電性接着層48としては、接着剤(バインダー)とこのバインダー中に、均一に分散された導電粒子から構成される。バインダー成分としては、接着力はもちろん、隣の電極と導通しない絶縁性を保持し、各信頼性を有する材料であれば、合成ゴム、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等あらゆる樹脂が可能である。導電性粒子は、相対する電極間に安定した通電性を示し、隣接電極に接しない形状及び、分散数であればよく、金属(ニッケルやニッケルに金コートした複合材)、プラスチックやレジンのコアに金属メッキしたもの等が挙げられる。
【0102】
なお、
図15では、貼り合わせに異方導電性を有する導電性接着層48を用いているため、導電性接着層48を全面的に設けているが、異方導電性を有さない導電性接着層を用いる場合には、相対する電極間のみに形成することになる。この場合、異方導電性を有さない導電性接着層の形成領域以外の部分を、絶縁性接着層で接着するのが好ましい。
【0103】
(その他の変化例)
また、本発明の3次元曲面タッチパネル10,110は、加飾部70を有していてもよい。例えば、曲面タッチパネル10,110の操作領域の周囲に枠状の加飾部70を形成する(
図17参照)。こうすることによって、意匠を向上させるとともに、透視性に劣る補助電極領域が目立たなくさせることができる。加飾部70の材質としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などのバインダーとして、適当な色の顔料又は染料を着色剤として含有する着色インキを用い、絞り加工前に直接印刷にて形成することができる。
【0104】
また、従来、タッチパネルは最表面にハードコートフィルムを備えているが、3次元曲面タッチパネルの場合、絞り加工時にハードコートフィルムのハードコート層にクラックが発生するという不具合が発生することがあった。そこで、本発明の3次元曲面タッチパネル10,110は、ハードコートフィルムを用いずに、絞り加工後の最表面にプラズマCVDによるハードコート層を設けるのが好ましい(
図18参照)。プラズマCVDの成膜原料ガスとしては、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、テトラエトキシシラン(TEOS)、ヘキサメチルジシシラン(HMDS)などを用いることができる。プラズマガスは、酸素や窒素を用いる。より具体的な成膜工程は、3次元曲面タッチパネル10,110を容器内のホルダーに設置し、真空排気を実施後、成膜原料ガス、プラズマガスを導入、電力を加え、気化させた後、プラズマを発生させ、SiO
x又はSiN
xのハードコート層を3次元曲面タッチパネル10,110の最表面に形成させる。なお、プラズマCVDによるハードコート層を電極パターン上に直接形成するよりも、絞り加工前に最表面に基材シートと同様の樹脂フィルムを貼合しておき、絞り加工後に当該樹脂フィルム上にプラズマCVDによるハードコート処理を行なう方が、ハードコート層の密着性の点でより好ましい。
【0105】
また、第1実施形態の3次元曲面タッチパネル10の使用例の説明において、3次元曲面を有する樹脂成形品75及び当該3次元曲面を前面から被覆する3次元曲面タッチパネル10で構成された電子機器筐体76(
図16参照)を示したが、3次元曲面を有する樹脂成形品75が3次元曲面タッチパネル10,110の3次元曲面を前面から被覆するように電子機器筐体76を構成こともできる。また、上記使用例の説明において、3次元曲面タッチパネル10を射出成形用金型内に入れ、3次元曲面タッチパネル10の裏面側より成形用樹脂を射出することにより、樹脂成形品75の成形と同時に3次元曲面タッチパネル10と一体化させると説明したが、あらかじめ成形しておいた樹脂成形品75を3次元曲面タッチパネル10,1100と貼合してもよい。さらには、樹脂成形品75は射出成形品に限られず、平板を絞り加工により3次元形状に成形したものでも構わない。また、当該平板の絞り加工を積層体45,145にあらかじめ貼り合わせておき、まとめて絞り加工を行なってもよい。
【0106】
以上、本明細書中の説明において、様々なバリエーションを示したが、それらにおいて主電極層と補助電極層の積層の位置関係を入れ替えてもよい。つまり、第1実施形態を例にとると、基材シート12、主電極層14、補助電極層34の積層順に代えて、基材シート12、補助電極層34、主電極層14の順で積層しても構わない。また、第1実施形態や第2実施形態の説明において「表面」、「裏面」としているところを、各々「裏面」、「表面」に変更した構成にしてもよい。
【0107】
本発明の技術内容および技術的特徴は上記のように開示したが、本発明が属する技術分野における当業者であれば、本発明の教示および開示に基づいて、本発明の技術的思想に違わない様々な置換および付加を行うことは可能である。したがって、本発明の保護範囲は実施例に開示するものに限定されることなく、本発明に違わない様々な置換および付加が含まれるものであるとともに、別紙の特許請求の範囲に含まれるものである。