特許第5916522号(P5916522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916522
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】生活イノベーション支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20160422BHJP
【FI】
   G06Q50/30 100
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-127220(P2012-127220)
(22)【出願日】2012年6月4日
(65)【公開番号】特開2013-250938(P2013-250938A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】301032023
【氏名又は名称】株式会社エイブイプランニングセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100112760
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 五雄
(72)【発明者】
【氏名】塚原 勉
【審査官】 松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−229495(JP,A)
【文献】 特開2002−140788(JP,A)
【文献】 特開2005−44089(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0054956(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−50/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の生活のイノベーションを支援する生活イノベーション支援装置であって、
乗降車地点及び乗降車時刻を含むデマンド受付情報に基づいて作成された、少なくとも1台の乗合車両の運行計画を作成する運行計画作成部と;
前記運行計画作成部により作成された運行計画が記憶される運行計画記憶部と;
複数の利用者を構成員とする仲間グループの識別情報に、前記仲間グループの構成員のそれぞれの識別情報が関連付けられるとともに、前記構成員のそれぞれの識別情報に、構成員氏名、連絡方法、及び、対応する構成員に関する前記運行計画の作成に利用されたデマンド受付情報が関連付けて記憶されるグループ構成員情報記憶部と;を備え、
前記運行計画作成部は、前記仲間グループの一の構成員からの前記乗合車両の利用予約の受付に際して、前記グループ構成員情報記憶部を参照し、前記仲間グループの他の構成員のデマンド受付情報に含まれる降車地点及び予定降車時刻を他構成員滞在情報として抽出する抽出部を備え、
前記運行計画作成部は、
前記一の構成員により、前記抽出部により抽出された他構成員滞在情報の一つを特定した、前記特定された他構成員滞在情報内の降車地点における前記特定された他構成員滞在情報に対応する他の構成員との合流を希望する旨の意思の表示があった場合に、前記特定された他構成員滞在情報、並びに、前記一の構成員の希望乗車地点及び希望乗車時刻を新たなデマンド受付情報として、新たな運行計画候補を作成し、
前記作成された新たな運行計画候補の中から前記一の構成員により、一の新たな運行計画候補が選択された場合に、前記選択された一の運行計画候補を新たな運行計画に決定し、前記運行計画記憶部内の運行計画を更新し、
前記新たな運行計画の作成に利用された前記一の構成員の乗降車地点及び乗降車時刻を含むデマンド受付情報を、前記一の構成員に関連付けて、前記グループ構成員情報記憶部内に格納する、
ことを特徴とする生活イノベーション支援装置。
【請求項2】
オペレータ用画像を表示するオペレータ用表示部と;
前記乗合車両の運行地域における複数の施設のそれぞれの識別子に関連付けて、施設位置、施設名称、及び、予め定められた分類による施設カテゴリを関連付けて記憶する施設情報記憶部と;を更に備え、
前記運行計画作成部は、前記施設カテゴリのラベルを円環状に配置した背景画像に、前記抽出部により抽出された他構成員滞在情報における降車地点に対応する施設が属する施設カテゴリのラベルに関連付けて、前記降車地点に対応する施設の施設名称、施設利用者氏名及び降車時刻を示す前景画像を重ねた画像を、前記オペレータ用表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の生活イノベーション支援装置。
【請求項3】
前記グループ構成員情報記憶部には、複数の仲間グループに関するグループ構成員情報が更に記憶され、
コーディネータ用画像を表示するコーディネータ用表示部と;
前記デマンド受付情報及び前記デマンド受付情報の発行者を含む受付履歴情報を記憶するデマンド受付履歴記憶部と;
前記受付履歴情報に基づいて、前記仲間グループのそれぞれについて、乗車地点の頻度分布と、前記施設カテゴリごとの利用頻度分布とを算出し、前記算出の結果を、コーディネート支援情報として、前記コーディネータ用表示部に表示させるコーディネート支援処理部と;を更に備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の生活イノベーション支援装置。
【請求項4】
前記グループ構成員情報記憶部には、前記構成員のそれぞれの識別情報に関連付けられて、グループ構成員間の相互連絡の同意があるか否かを示すフラグ情報が更に記憶され、
前記運行計画作成部は、前記仲間グループの構成員の一人によるデマンド受付情報を新たに利用した運行計画が作成された場合に、前記構成員が属する仲間グループのうちで、前記相互連絡を行う同意がなされている別の構成員へ、前記仲間グループの構成員の一人のデマンド受付情報における降車地点及び降車時刻を通知する相互連絡部を備える、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の請求項1に記載の生活イノベーション支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通が不便となり、外出先も混乱し、生活仲間のまとまりも困難となっている災害復興期のまちや、外出が少なくなっている高齢者が多いまちを対象とする生活イノベーション支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生活イノベーションを支援する技術として、ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を利用し、利用者が行う情報活動の利用者間の連携を行う技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」という)。この従来例の技術では、利用ユーザの嗜好情報に基づいて、当該利用ユーザに紹介すべきユーザである、嗜好が類似する紹介ユーザを決定する。そして、紹介ユーザを利用ユーザに提示することにより、仲間形成を促進するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−157899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来例の技術では、SNSを利用する者が対象であるため、利用者が高度な知識とパソコン等の機器を積極的・能動的に使えることとが必須であり、災害復興のまちに居住する者や高齢者にとっては、従来例の技術による利益を享受ことが困難である。また、仮想的な空間において仲間形成を促進するのみであるので、行えることが限られている等という欠点があり、災害復興期のまちや高齢者の多い地域では、あまり効果は期待できないものであった。
【0005】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであって、交通が不便となり、外出先も混乱し、生活仲間のまとまりも困難となっている災害復興期のまちや、外出が少なくなっている高齢者が多いまちにおいて、市民生活の活動意欲や活動仲間づくりを喚起しながら、生活イノベーションを支援することできる生活イノベーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る生活イノベーション支援装置は、利用者の生活のイノベーションを支援する生活イノベーション支援装置であって、乗降車地点及び乗降車時刻を含むデマンド受付情報に基づいて作成された、少なくとも1台の乗合車両の運行計画を作成する運行計画作成部と;前記運行計画作成部により作成された運行計画が記憶される運行計画記憶部と;複数の利用者を構成員とする仲間グループの識別情報に、前記仲間グループの構成員のそれぞれの識別情報が関連付けられるとともに、前記構成員のそれぞれの識別情報に、構成員氏名、連絡方法、及び、対応する構成員に関する前記運行計画の作成に利用されたデマンド受付情報が関連付けて記憶されるグループ構成員情報記憶部と;を備え、前記運行計画作成部は、前記仲間グループの一の構成員からの前記乗合車両の利用予約の受付に際して、前記グループ構成員情報記憶部を参照し、前記仲間グループの他の構成員のデマンド受付情報に含まれる降車地点及び予定降車時刻を他構成員滞在情報として抽出する抽出部を備え、前記運行計画作成部は、前記一の構成員により、前記抽出部により抽出された他構成員滞在情報の一つを特定した、前記特定された他構成員滞在情報内の降車地点における前記特定された他構成員滞在情報に対応する他の構成員との合流を希望する旨の意思の表示があった場合に、前記特定された他構成員滞在情報、並びに、前記一の構成員の希望乗車地点及び希望乗車時刻を新たなデマンド受付情報として、新たな運行計画候補を作成し、前記作成された新たな運行計画候補の中から前記一の構成員により、一の新たな運行計画候補が選択された場合に、前記選択された一の運行計画候補を新たな運行計画に決定し、前記運行計画記憶部内の運行計画を更新し、前記新たな運行計画の作成に利用された前記一の構成員の乗降車地点及び乗降車時刻を含むデマンド受付情報を、前記一の構成員に関連付けて、前記グループ構成員情報記憶部内に格納する、ことを特徴とする生活イノベーション支援装置である。
【0007】
この生活イノベーション支援装置では、ある仲間グループに属する一の構成員からの乗合車両の利用予約の受付に際して、当該仲間グループの他の構成員のデマンド受付情報に含まれる降車地点及び予定降車時刻を他構成員滞在情報として抽出する。引き続き、一の構成員により、当該抽出された他構成員滞在情報の一つを特定した、当該特定された他構成員滞在情報内の降車地点における当該特定された他構成員滞在情報に対応する他の構成員との合流を希望する旨の意思の表示があった場合に、当該特定された他構成員滞在情報、並びに、一の構成員の希望乗車地点及び希望乗車時刻を新たなデマンド受付情報として、新たな運行計画候補を作成する。そして、作成された新たな運行計画候補の中から一の構成員により、一の新たな運行計画候補が選択された場合に、選択された一の運行計画候補を新たな運行計画に決定し、運行計画記憶部内の運行計画を更新するとともに、当該新たな運行計画の作成に利用された一の構成員の乗降車地点及び乗降車時刻を含むデマンド受付情報を、一の構成員に関連付けて、グループ構成員情報記憶部内に格納する。
【0008】
したがって、本発明の生活イノベーション支援装置によれば、交通が不便となり、外出先も混乱し、生活仲間のまとまりも困難となっている災害復興期のまちや、外出が少なくなっている高齢者が多いまちにおいて、電話装置のような廉価かつ操作が簡単な装置によるデマンドの発行による乗合車両の利用予約という日常的に行われる行為を契機として、市民生活の活動意欲と活動仲間づくりを実際の空間における行動を通して喚起しながら、生活イノベーションを効果的に支援することできる。
【0009】
本発明の生活イノベーション支援装置では、オペレータ用画像を表示するオペレータ用表示部と;前記乗合車両の運行地域における複数の施設のそれぞれの識別子に関連付けて、施設位置、施設名称、及び、予め定められた分類による施設カテゴリを関連付けて記憶する施設情報記憶部と;を更に備え、前記運行計画作成部は、前記施設カテゴリのラベルを円環状に配置した背景画像に、前記抽出部により抽出された他構成員滞在情報における降車地点に対応する施設が属する施設カテゴリのラベルに関連付けて、前記降車地点に対応する施設の施設名称、施設利用者氏名及び降車時刻を示す前景画像を重ねた画像を、前記オペレータ用表示部に表示させる、ようにすることができる。
【0010】
この場合には、生活イノベーション支援装置のオペレータに対して、一の構成員が属する仲間クループの他の構成員の乗合車両の予約状況が、他の構成員の行き先(目的地)の施設カテゴリに関連付けた構造的に判り易い態様でオペレータ用表示部に表示される。このため、オペレータは、他の構成員の目的地を容易に把握でき、迅速にかつ適格に、他の構成員の目的地を、乗合車両の利用予約をしようとしている一の構成員に提示することができる。
【0011】
ここで、前記グループ構成員情報記憶部には、複数の仲間グループに関するグループ構成員情報が更に記憶されるようにしたうえで、コーディネータ用画像を表示するコーディネータ用表示部と;前記デマンド受付情報及び前記デマンド受付情報の発行者を含む受付履歴情報を記憶するデマンド受付履歴記憶部と;前記受付履歴情報に基づいて、前記仲間グループのそれぞれについて、乗車地点の頻度分布と、前記施設カテゴリごとの利用頻度分布とを算出し、前記算出の結果を、コーディネート支援情報として、前記コーディネータ用表示部に表示させるコーディネート支援処理部と;を更に備える、ようにすることができる。
【0012】
この場合には、仲間グループのそれぞれの活動状況が、活動目的に対応する施設カテゴリの利用頻度(すなわち、活動量)、及び、仲間グループの構成員の居住地点の分布が、コーディネータ用表示部に表示される。このため、仲間グループ間における目的地のカテゴリ分布及び乗車地点分布の比較に際して、コーディネータに対して有効なコーディネート支援情報を提供することができる。この結果、コーディネータが、提供された各仲間グループに関する活動の類似性と相違性を分析して、目的地の推薦を行うこと、又は、仲間グループどうしの合同仲間化を勧めることを支援することができる。
【0013】
また、本発明の生活イノベーション支援装置では、前記グループ構成員情報記憶部には、前記構成員のそれぞれの識別情報に関連付けられて、グループ構成員間の相互連絡の同意があるか否かを示すフラグ情報が更に記憶されるようにしたうえで、前記運行計画作成部は、前記仲間グループの構成員の一人によるデマンド受付情報を新たに利用した運行計画が作成された場合に、前記構成員が属する仲間グループのうちで、前記相互連絡を行う同意がなされている別の構成員へ、前記仲間グループの構成員の一人のデマンド受付情報における降車地点及び降車時刻を通知する相互連絡部を備える、ようにすることができる。
【0014】
この場合には、グループ構成員間の相互連絡の同意があることがフラグ情報により示されている構成員に対しては、別の構成員の行動予定を連絡する。このため、仲間グループ内で活動を互いに誘い合う、又は、行動の協調を図ることができる。
【0015】
なお、相互連絡部を備える場合には、自動的に相互連絡がなされる。これに対し、相互連絡の対象を自動抽出し、当該抽出の結果をオペレータ用表示部に表示させるようにし、実際の連絡は、オペレータが電話連絡等により行うようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の生活イノベーション支援装置によれば、交通が不便となり、外出先も混乱し、生活仲間のまとまりも困難となっている災害復興期のまちや、外出が少なくなっている高齢者が多いまちにおいて、市民生活の活動意欲と活動仲間づくりを喚起しながら、生活イノベーションを支援することできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る生活イノベーション支援装置を含む生活イノベーション支援システムの構成を模式的に示す図である。
図2図1の生活イノベーション支援装置、及び、バス車両の車載器の構成を概略的に示すブロック図である。
図3図2の処理制御部の構成を示すブロック図である。
図4図3の記憶部における記憶内容を説明するための図である。
図5図4の施設情報の内容を説明するための図である。
図6図4のグループ構成員情報の内容を説明するための図である。
図7図3の運行計画作成部による処理を説明するためのフローチャートである。
図8】グループ予約情報の表示例を示す図である。
図9】コーディネート支援情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図1図9を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[構成]
図1には、本発明の一実施形態に係る生活イノベーション支援装置110を備える生活イノベーション支援システム100の構成の概略が模式的に示されている。この図1に示されるように、生活イノベーション支援システム100は、生活イノベーション支援装置110と、乗合車両としてのバス車両150j(j=1,…)とを備えている。
【0020】
上記の生活イノベーション支援装置110は、携帯電話機等の利用者の電話機310から、公衆電話網や移動通信網を介して、バス車両150jの利用予約に関するデマンドを受けるようになっている。また、生活イノベーション支援装置110は、仲間グループ内における構成員間における相互連絡情報として、個々の構成員の利用予約状況を電話機310又はパーソナルコンピュータ320へ送るようになっている。ここで、電話機310及びパーソナルコンピュータ320は多数存在するが、図1では、それぞれ1台が代表的に示されている。
【0021】
また、生活イノベーション支援装置110は、バス車両150j(j=1,…)へ、運行指示情報を送るようになっている。そして、バス車両150jは、生活イノベーション支援装置110からの運行指示情報に従って走行するようになっている。
【0022】
なお、以下の説明においては、データ通信機能を有する電話機310及びパーソナルコンピュータ320を総称して、「利用者端末装置310,320」とも呼ぶ。
【0023】
生活イノベーション支援装置110は、図2に示されるように、電話装置111と、入力装置112Oと、オペレータ用表示部としての表示装置113Oと、入力装置112Cと、コーディネータ用表示部としての表示装置113Cとを備えている。また、生活イノベーション支援装置110は、処理制御部115と、バス通信部117と、利用者端末通信部118とを備えている。
【0024】
上記の電話装置111は、利用者の電話機310との間で通話通信を行う。この電話装置111を利用して、生活イノベーション支援装置110のオペレータが、利用者からのバスの利用予約に関するデマンドを受けたり、当該デマンドに対する応答を送ったりするようになっている。ここで、デマンドの内容は、乗降するバス停留所名、乗降人数及び乗車希望時刻等を含んでいる。
【0025】
上記の入力装置112Oは、キーボードやマウス等を備えて構成されている。この入力装置112Oを操作して、オペレータは、利用者からのデマンドの内容や各種指令を処理制御部115へ入力するようになっている。
【0026】
上記の表示装置113Oは、液晶ディスプレイパネル等を備えて構成されている。この表示装置113Oには、操作ガイダンス、入力装置112Oを利用した入力結果、新たに作成された運行計画候補におけるデマンドに対応する乗車可能時刻等が表示されるようになっている。
【0027】
なお、オペレータは、表示装置113Oに表示される入力結果を確認しつつ、入力装置112Oを操作して、利用者からのデマンドの内容を処理制御部115へ入力するようになっている。
【0028】
上記の入力装置112Cは、キーボードやマウス等を備えて構成されている。この入力装置112Cを操作して、コーディネータは、コーディネート支援情報の表示指令等の各種指令を処理制御部115へ入力するようになっている。
【0029】
上記の表示装置113Cは、液晶ディスプレイパネル等を備えて構成されている。この表示装置113Cには、操作ガイダンス、入力装置112Cを利用した入力結果、コーディネート支援情報等が表示されるようになっている。
【0030】
上記の処理制御部115は、生活イノベーション支援装置110全体の動作を制御する。この処理制御部115は、図3に示されるように、施設情報記憶部、グループ構成員情報記憶部、デマンド受付履歴記憶部及び運行計画記憶部としての記憶部210と、運行計画作成部220と、運行制御部230と、コーディネート支援処理部240とを備えている。
【0031】
上記の記憶部210は、ハードディスク装置等を備えて構成されている。この記憶部210には、図4に示されるように、施設情報211、グループ構成員情報212、受付履歴情報213及び運行計画情報214が記憶されている。
【0032】
上記の施設情報211は、バス車両150jの運行地域における複数の施設の情報である。この施設情報211では、図5に示されるように、施設のそれぞれの識別子に、施設位置と、施設名称と、及び、予め定められた分類による施設カテゴリとが関連付けられている。
【0033】
上記のグループ構成員情報212は、仲間グループのそれぞれにおけるグループ構成員の情報である。このグループ構成員情報212では、図6に示されるように、仲間グループ識別子に、グループ名と、複数の構成員識別子とが関連付けられている。そして、構成員識別子のそれぞれに、氏名と、連絡方法と、予約中情報と、相互連絡同意フラグとが関連付けられている。
【0034】
ここで、連絡方法としては、電話番号又は電子メールアドレスが登録される。また、予約中情報は、現時点の運行計画情報214の作成に利用されたデマンド受付情報である。
【0035】
上記の受付履歴情報213は、現時点までの運行計画作成で利用されたデマンド受付情報である。また、上記の運行計画情報214は、現時点における運行計画の情報である。
【0036】
図3に戻り、上記の運行計画作成部220は、新たなデマンドの内容を受けると、新たな運行計画候補を作成する。この運行計画作成部220は、抽出部221と、相互連絡部222とを備えている。
【0037】
上記の抽出部221は、仲間グループの一の構成員からのバス車両150jの利用予約の受付に際して、記憶部210内のグループ構成員情報212における当該一の構成員の予約中情報を参照する。そして、抽出部221は、当該仲間グループの他の構成員のデマンド受付情報に含まれる降車地点及び予定降車時刻を他構成員滞在情報として抽出する。そして、抽出部221は、抽出結果を表示装置113Oに表示させる。
【0038】
上記の相互連絡部222は、仲間グループの構成員の一人によるデマンド受付情報を新たに利用した運行計画が作成された場合に、当該一人の構成員が属する仲間グループの別の構成員の相互連絡同意フラグを参照する。そして、相互連絡部222は、当該一人の構成員が属する仲間グループのうちで、相互連絡を行う同意がなされている構成員へ、当該一人の構成員のデマンド受付情報における降車地点及び降車時刻を通知する。
【0039】
新たな運行計画候補の作成に際して、運行計画作成部220は、一の構成員により、抽出部221により抽出された他構成員滞在情報の一つを特定した、当該特定された他構成員滞在情報における降車地点における他の構成員との合流を希望する旨の意思の表示があった場合に、当該特定された他構成員滞在情報、並びに、当該一の構成員の希望乗車地点及び希望乗車位置を新たなデマンド受付情報として、新たな運行計画候補を作成する。そして、作成された新たな運行計画候補の中から当該一の構成員により、一の新たな運行計画候補が選択された場合に、運行計画作成部220は、当該選択された一の運行計画候補を新たな運行計画に決定する。
【0040】
こうして新たな運行計画が決定されると、運行計画作成部220は、記憶部210内の運行計画情報214を、新たな運行計画の情報に更新する。また、運行計画作成部220は、新たな運行計画の作成に利用された当該一の構成員の乗降車地点及び乗降車時刻を含むデマンド受付情報を、当該一の構成員に関連付けて、グループ構成員情報212内に登録する。
【0041】
また、新たな運行計画が決定されると、運行計画作成部220は、グループ構成員情報212における当該一の構成員が属する仲間グループの他の構成員の相互連絡同意フラグを参照する。そして、運行計画作成部220は、相互連絡同意フラグにより相互連絡を行う同意がなされて別の構成員へ、利用者端末通信部118を介して、当該一の構成員のデマンド受付情報における降車地点及び降車時刻を通知する。
【0042】
さらに、新たな運行計画が決定されると、運行計画作成部220は、当該一の構成員のデマンド受付情報を、予約履歴情報213内に追加登録する。
【0043】
上記の運行制御部230は、記憶部210内の運行計画情報214に基づいて、バス車両150j(j=1,…)に通知すべき運行指示を作成する。そして、運行制御部230は、運行指示情報を、バス通信部117を介して、対応するバス車両150jへ向けて送る。なお、運行制御部230は、所定時間の経過ごとに、運行計画情報214をチェックし、新たな運行計画が作成されていた場合に、運行指示を作成し、バス車両150jのそれぞれに送るようになっている。
【0044】
上記のコーディネート支援処理部240は、コーディネータにより入力装置112Cに入力されたコーディネート支援情報の表示指令を受けると、記憶部210内の受付履歴情報213を参照し、仲間グループのそれぞれについて、乗車地点の頻度分布と、施設カテゴリごとの利用頻度分布とを算出する。そして、コーディネート支援処理部240は、算出結果を、コーディネート支援情報として、表示装置113Cに表示させる。
【0045】
図2に戻り、上記のバス通信部117は、移動通信網を介したバス車両150j(j=1,2,…)との間の通信処理を行う。このバス通信部117を介することにより、処理制御部115における運行制御部230は、運行指示をバス車両150jのそれぞれに通知することができるようになっている。
【0046】
上記の利用者端末通信部118は、移動通信網又は固定通信網を介した利用者端末装置310,320との間の通信処理を行う。この利用者端末通信部118は、運行計画作成部220の相互連絡部222から送られた相互連絡情報を、運行計画作成部220により指定された利用者端末装置へ送る。
【0047】
上記のバス車両150j(j=1,…)のそれぞれには、生活イノベーション支援装置110への現在位置情報及び運転手の報告情報の送信や、生活イノベーション支援装置110からの運行指示に応じた処理を行う車載器が搭載されている。この車載器は、通信部151と、制御装置152と、表示装置153、入力装置154とを備えている。
【0048】
上記の通信部151は、移動体通信網を介した生活イノベーション支援装置110との間の通信制御を行う。この通信部151を利用した通信により、生活イノベーション支援装置110から運行指示を受け、受信した情報を制御装置152に報告する。
【0049】
上記の制御装置152は、車載器全体の動作の制御を行う。この制御装置152は、通信部151から運行指示の内容を受けると、当該運行指示の内容の表示画像データを作成する。そして、制御装置152は、作成された表示画像データを表示装置153へ送る。
【0050】
上記の表示装置153は、液晶ディスプレイパネル等を備えて構成されている。この表示装置153は、制御装置152からの表示画像データに従って、画像表示を行う。また、本実施形態では、入力装置154は、表示装置153の画面上に配置されたタッチパネルとして構成されている。
【0051】
[動作]
次に、上記のように構成された生活イノベーション支援システム100の動作について、運行計画作成処理及びコーディネート支援処理に主に着目して説明する。
【0052】
<運行計画作成処理>
運行計画作成処理においては、図7に示されるように、ステップaにおいて予約電話が入れば、ステップbにおいて、運行計画作成部220が、予約電話を入れた者が仲間会員としての登録されている者かどうかを判定する。ステップbにおいて、登録者であると判定された場合には、ステップcにおいて、運行計画作成部220の抽出部221が、所属グループ名を抽出する。引き続き、ステップdにおいて、抽出部221が、円環状に配置された活動目的のカテゴリのラベル位置に即して、各カテゴリに属する同じグループの会員の同じ日の予約があれば、目的地、氏名、到着予定時刻を表示装置113Oに表示させる。かかるステップdにおける表示例が、図8に示されている。
【0053】
次に、ステップeにおいて、オペレータが予約者と電話応答をしながら、希望に合う仲間が行こうとしている目的地を探し、予約者に提示する。この提示結果に基づいて、ステップfにおいて、予約者が、希望に合うものがあるかどうか判定する。ステップfにおいて、希望に合うものがあると判定された場合には、ステップgにおいて、予約者が、希望に合うものの目的地と到着時刻とを予約希望条件とする。そして、ステップhにおいて、オペレータが、到着時刻予約で予約要求を、運行計画作成部220に対して行う。
【0054】
次いで、ステップiにおいて、運行計画作成部220が、運行計画候補を算出する。引き続き、ステップjにおいて、予約者が、算出された運行計画候補の中に、納得できる運行計画候補の有無を判定する。納得できる運行計画候補があった場合には、ステップkにおいて、オペレータが、予約の確定を行う。
【0055】
次に、ステップlにおいて、運行計画作成部220の相互連絡部222が、仲間への連絡要望があるかどうか判定する。仲間への連絡要望がある場合には、ステップmにおいて、相互連絡部222が、対応するグループに所属する会員で連絡要望がある人に、メールまたは電話で、予約者の氏名、目的地、到着予定時刻を伝達する。なお、予約者が非会員の場合または希望に沿う先行する仲間の予約がない場合には、ステップoにおいて、運行計画作成部220が、乗車時刻予約方式として、運行計画候補を算出する。
【0056】
<コーディネート支援処理>
コーディネート支援処理においては、コーディネータにより入力装置112Cに入力されたコーディネート支援情報の表示指令を受けたコーディネート支援処理240が、記憶部210内の受付履歴情報213を参照し、仲間グループのそれぞれについて、乗車地点の頻度分布と、施設カテゴリごとの利用頻度分布とを算出する。そして、コーディネート支援処理部240は、算出結果を、コーディネート支援情報として、表示装置113Cに表示させる。かかるコーディネート支援情報の表示例が、図9に示されている。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、ある仲間グループに属する一の構成員からのバス車両の利用予約の受付に際して、当該仲間グループの他の構成員のデマンド受付情報に含まれる降車地点及び予定降車時刻を、運行計画作成部220における抽出部221が、他構成員滞在情報として抽出する。引き続き、一の構成員により、当該抽出された他構成員滞在情報の一つを特定し、当該特定された他構成員滞在情報における降車地点における当該特定された他構成員滞在情報に対応する他の構成員との合流を希望する旨の意思の表示がなされた場合に、運行計画作成部220が、当該特定された他構成員滞在情報、並びに、一の構成員の希望乗車地点及び希望乗車位置を新たなデマンド受付情報として、運行計画作成部220が、新たな運行計画候補を作成する。そして、作成された新たな運行計画候補の中から一の構成員により、一の新たな運行計画候補が選択された場合に、選択された一の運行計画候補を新たな運行計画に決定される。
【0058】
したがって、本実施形態によれば、交通が不便となり、外出先も混乱し、生活仲間のまとまりも困難となっている災害復興期のまちや、外出が少なくなっている高齢者が多いまちにおいて、電話装置のような廉価かつ操作が簡単な装置によるデマンドの発行による乗合車両の利用予約という日常的に行われる行為を契機として、市民生活の活動意欲や活動仲間づくりを実際の空間における行動を通して喚起しながら、生活イノベーションを効果的に支援することできる。
【0059】
また、本実施形態では、生活イノベーション支援装置110のオペレータに対して、一の構成員が属する仲間クループの他の構成員のバス車両の予約状況が、他の構成員の行き先(目的地)の施設カテゴリに関連付けた構造的に判り易い態様で表示装置113Oに表示される。このため、オペレータは、他の構成員の目的地を容易に把握でき、迅速にかつ適格に、他の構成員の目的地を、乗合車両の利用予約をしようとしている一の構成員に提示することができる。
【0060】
また、本実施形態では、仲間グループのそれぞれの活動状況が、活動目的に対応する施設カテゴリの利用頻度(すなわち、活動量)、及び、仲間グループの構成員の居住地点の分布が、表示装置113Cに表示される。このため、仲間グループごとの目的地のカテゴリ分布と乗車地点分布の比較に際して、コーディネータに対して有効なコーディネート支援情報を提供することができる。この結果、コーディネータが、提供された各仲間グループに関する活動の類似性及び相違性を分析して、目的地の推薦を行うこと、又は、仲間グループどうしの合同仲間化を勧めることを支援することができる。
【0061】
また、本実施形態では、グループ構成員間の相互連絡の同意があることが相互連絡同意フラグにより示されている構成員に対しては、別の構成員の行動予定を連絡する。このため、仲間グループ内で活動を互いに誘い合う、又は、行動の協調を図ることができる。
【0062】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0063】
例えば、上記の実施形態では、相互連絡部222が、自動的に相互連絡を行うようにした。これに対し、相互連絡の対象を自動抽出し、当該抽出の結果を表示装置113Oに表示させ、オペレータに提示するようにし、実際の連絡は、オペレータが電話連絡等により行うようにしてもよい。
【0064】
また、上記の実施形態では、コーディネータが、提供された各仲間グループに関する活動の類似性及び相違性を分析して、活動提案や仲間造りの提案を行うようにした。これに対し、こうした提案を、プログラムで自動的に行うようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、市民生活の活動意欲と活動仲間づくりを実際の空間における行動を通して喚起しながら、生活イノベーションを支援する生活イノベーション支援装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
100…生活イノベーション支援システム、110…生活イノベーション支援装置、111…電話装置、112O,112C…入力装置、113O…表示装置(オペレータ用表示部)、113C…表示装置(コーディネータ用表示部)、115…処理制御部、117…バス通信部、118…利用者端末通信部、150j…バス車両、151…通信部、152…制御装置、153…表示装置、154…入力装置、210…記憶部(施設情報記憶部、グループ構成員情報記憶部、デマンド受付履歴記憶部、運行計画記憶部)、211…施設情報、212…グループ構成員情報、213…受付履歴情報、214…運行計画情報、220…運行計画作成部、221…抽出部、222…相互連絡部、240…コーディネート支援処理部、310…携帯電話機、320…パーソナルコンピュータ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9