(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
本願の実施の形態1によるMRAMのメモリアレイMAは、
図1に示すように、複数のメモリセルMC、複数のワード線WL、複数のディジット線DL、および複数のビット線BLを含む。複数のメモリセルMCは、複数行複数列(たとえば256行256列)に配置されている。複数のワード線WLは、それぞれ複数行に対応して設けられる。複数のディジット線DLは、それぞれ複数行に対応して設けられる。複数のビット線BLは、それぞれ複数列に対応して設けられる。
【0011】
各メモリセルMCは、
図2に示すように、トンネル磁気抵抗素子TMRおよびアクセストランジスタ(NチャネルMOSトランジスタ)ATRを含む。トンネル磁気抵抗素子TMRおよびアクセストランジスタATRは対応のビット線BLと接地電圧VSSのラインとの間に直列接続され、アクセストランジスタATRのゲートは対応のワード線WLに接続される。トンネル磁気抵抗素子TMRは、記憶データの論理に応じて電気抵抗値が変化する素子である。
【0012】
すなわちトンネル磁気抵抗素子TMRは、
図3に示すように、電極ELとビット線BLの間に積層された固定磁化膜FL、トンネル絶縁膜TBおよび自由磁化膜VLを含む。固定磁化膜FLおよび自由磁化膜VLの各々は、強磁性体膜で構成されている。固定磁化膜FLの磁化方向は一方方向に固定されている。自由磁化膜VLの磁化方向は、一方方向および他方方向のうちのいずれかの方向に書込まれる。固定磁化膜FLおよび自由磁化膜VLの磁化方向が同一である場合はトンネル磁気抵抗素子TMRの抵抗値は比較的小さな値になり、両者の磁化方向が逆である場合はトンネル磁気抵抗素子TMRの電気抵抗値は比較的大きな値になる。トンネル磁気抵抗素子TMRの2段階の抵抗値は、たとえばデータ信号0,1にそれぞれ対応付けられる。
【0013】
データ書込時は、
図3に示すように、ワード線WLが非選択レベルの「L」レベルにされてアクセストランジスタATRが非導通状態にされ、ディジット線DLに電流Imが流されるとともに、ビット線BLに書込電流Iwが流される。自由磁化膜VLの磁化方向は、電流Imおよび書込電流Iwの方向の組合せによって決定される。
【0014】
図4は、データ書込時における電流Imおよび書込電流Iwの方向と磁界方向との関係を示す図である。
図4を参照して、横軸で示される磁界Hxは、ディジット線DLを流れる電流Imによって生じる磁界H(DL)を示している。一方、縦軸に示される磁界Hyは、ビット線BLを流れる書込電流Iwによって生じる磁界H(BL)を示している。
【0015】
自由磁化膜VLに記憶される磁界方向は、磁界H(DL)とH(BL)の和が図中に示されるアステロイド特性線の外側の領域に達する場合においてのみ、新たに書込まれる。すなわち、アステロイド特性線の内側の領域に相当する磁界が印加された場合においては、自由磁化膜VLに記憶される磁界方向は更新されない。したがって、トンネル磁気抵抗素子TMRの記憶データを書込動作によって更新するためには、ディジット線DLとビット線BLとの両方に電流を流す必要がある。ここでは、ディジット線DLには一方方向の電流Imを流し、ビット線BLにはデータ信号の論理(0または1)に応じた方向の書込電流Iwを流すものとする。トンネル磁気抵抗素子TMRに一旦記憶された磁界方向すなわち記憶データは、新たなデータ書込が実行されるまでの間不揮発的に保持される。
【0016】
データ読出時は、
図5に示すように、ワード線WLが選択レベルの「H」レベルにされてアクセストランジスタATRが導通し、ビット線BLからトンネル磁気抵抗素子TMRおよびアクセストランジスタATRを介して接地電圧VSSのラインに電流Isが流れる。この電流Isの値は、トンネル磁気抵抗素子TMRの抵抗値に応じて変化する。したがって、この電流Isの値を検知することにより、トンネル磁気抵抗素子TMRの記憶データを読出すことができる。
【0017】
図6は、このMRAMのデータ書込に関連する部分を示すブロック図である。
図6において、このMRAMは、メモリアレイMAに加え、アドレスバッファ1、IOバッファ2、書込タイミングコントローラ3、行デコーダ4,5、DLドライバ6,7、列デコーダ8,9、書込データコントローラ10,11、およびBLドライバ12,13を備える。
【0018】
アドレスバッファ1は、クロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期して外部アドレス信号ADD0〜ADD12を取り込み、行アドレス信号RA0〜RA7および列アドレス信号CA0〜CA3を生成する。IOバッファ2は、クロック信号CLKの立ち上がりエッジに同期して書込データ信号D0〜D15を取り込み、内部データ信号WD0〜WD15を生成する。
【0019】
書込タイミングコントローラ3は、クロック信号CLKの立ち上がりエッジにおいてチップイネーブル信号ZCEおよびライトイネーブル信号ZWEがともに活性化レベルの「L」レベルにされたことに応じて、ディジット線イネーブル信号DLENおよびビット線イネーブル信号BLENを生成する。
【0020】
行デコーダ4は、ディジット線イネーブル信号DLENおよび行アドレス信号RA0,RA1に基づいて、内部アドレス信号SDW0〜SDW3を生成する。行デコーダ5は、行アドレス信号RA2〜RA7に基づいて、内部アドレス信号ZWBS0〜ZWBS15,MDL0〜MDL63を生成する。メモリアレイMAの256本のディジット線DLは、予め16本ずつグループ化されている。
【0021】
DLドライバ6は、内部アドレス信号ZWBS0〜ZWBS15に従って、16個のディジット線グループのうちのいずれかのディジット線グループを選択し、選択したディジット線グループに属する16本のディジット線DLの各々の一方端に電源電圧VDDを印加する。
【0022】
DLドライバ7は、内部アドレス信号SDW0〜SDW3,MDL0〜MDL63に従って、256本のディジット線DLのうちのいずれかのディジット線DLを選択し、選択したディジット線DLの他方端から接地電圧VSSのラインに参照電圧VREFDLに応じた値の電流Imを流出させる。
【0023】
また、列デコーダ8,9の各々は、列アドレス信号CA0〜CA3に基づいて、ビット線選択信号BLS0〜BLS15を生成する。書込データコントローラ10は、内部データ信号WD0〜WD15およびビット線イネーブル信号BLENに基づいて、書込制御信号WDPL0〜WDPL15,WDNL0〜WDNL15を生成する。書込データコントローラ11は、内部データ信号WD0〜WD15およびビット線イネーブル信号BLENに基づいて、書込制御信号WDPR0〜WDPR15,WDNR0〜WDNR15を生成する。メモリアレイMAの256本のビット線BLは、予め16本ずつグループ化されている。
【0024】
BLドライバ12,13の各々は、ビット線選択信号BLS0〜BLS15に従って、16個のビット線グループの各々において16本のビット線BLのうちのいずれかのビット線BLを選択し、合計16本のビット線BLを選択する。また、BLドライバ12は、書込制御信号WDPL0〜WDPL15,WDNL0〜WDNL15に従って動作し、選択した16本のビット線BLの各々の一方端に電源電圧VDDまたは接地電圧VSSを印加する。また、BLドライバ13は、書込制御信号WDPR0〜WDPR15,WDNR0〜WDNR15に従って動作し、選択した16本のビット線BLの各々の一方端に接地電圧VSSまたは電源電圧VDDを印加する。
【0025】
このようにしてBLドライバ12,13は、書込データ信号D0〜D15の論理レベルに応じた方向(極性)の書込電流Iwをそれぞれ選択した16本のビット線BLに流す。書込電流Iwの値は、参照電圧VREFBLに応じた値に設定される。
【0026】
図7は、DLドライバ6,7の構成を示す回路図である。
図7において、メモリアレイMAの256本のディジット線DLは、予め16本ずつ、16個のディジット線グループDLG0〜DLG15に分割されている。各ディジット線グループDLGに属する16本のディジット線DLの一方端は、ノードN20に共通接続されている。各ディジット線DLには、寄生抵抗が存在する。
【0027】
DLドライバ6は、それぞれ16個のディジット線グループDLG0〜DLG15に対応して設けられた16個のPチャネルMOSトランジスタ20を含む。各PチャネルMOSトランジスタ20のソースは電源電圧VDDを受け、そのドレインは対応するディジット線グループDLGのノードN20に接続されている。16個のディジット線グループDLG0〜DLG15に対応する16個のPチャネルMOSトランジスタ20のゲートは、それぞれ内部アドレス信号ZWBS0〜ZWBS15を受ける。
【0028】
DLドライバ6の16個のPチャネルMOSトランジスタ20のソースに沿って電源電圧VDDのラインL1が設けられている。電源電圧VDDのラインL1に沿って複数のコンデンサC1が配置されており、各コンデンサC1は電源電圧VDDのラインと接地電圧VSSのラインとの間に接続されている。複数のコンデンサC1は、DLドライバ6に供給される電源電圧VDDを安定化させ、また、MRAMの外部電源の出力電流(すなわち電源電圧VDDのラインL1に流れる電流)のピーク値を低減して、ノイズの発生を抑制するために設けられている。
【0029】
また、DLドライバ6は、各ディジット線DLに対応して設けられたコンデンサC2を含む。各コンデンサC2は、対応のディジット線DLと接地電圧VSSのラインとの間に接続され、対応のディジット線DLに流れる電流Imのピーク値を低減するために設けられている。
【0030】
DLドライバ7は、各ディジット線DLに対応して設けられたコンデンサC3およびNチャネルMOSトランジスタ21を含む。また、DLドライバ7は、それぞれ16個のディジット線グループDLG0〜DLG15に対応して設けられた16個のNチャネルMOSトランジスタ22と、論理回路23とを含む。各コンデンサC3は、対応のディジット線DLと接地電圧VSSのラインとの間に接続され、対応のディジット線DLに流れる電流Imのピーク値を低減するために設けられている。
【0031】
256個のNチャネルMOSトランジスタ21のゲートは、それぞれディジット線選択信号DLS0〜DLS255を受ける。各NチャネルMOSトランジスタ21は、対応のディジット線DLの他方端と対応のNチャネルMOSトランジスタ22のドレイン(ノードN21)との間に接続される。各NチャネルMOSトランジスタ21は、対応のディジット線選択信号DLSが活性化レベルの「H」レベルにされた場合は導通し、対応のディジット線選択信号DLSが非活性化レベルの「L」レベルにされた場合は非導通になる。
【0032】
NチャネルMOSトランジスタ22は、ノードN21と接地電圧VSSのラインとの間に接続され、そのゲートは参照電圧VREFDLを受ける。NチャネルMOSトランジスタ22は、ノードN21から接地電圧VSSのラインに、参照電圧VREFDLに応じた値の電流を流出させる定電流素子を構成する。
【0033】
論理回路23は、内部アドレス信号SDW0〜SDW3,MDL0〜MDL63に従って、256個のディジット線選択信号DLS0〜DLS255のうちのいずれか1つを選択し、選択したディジット線選択信号DLSを活性化レベルの「H」レベルにする。
【0034】
次に、DLドライバ6,7の動作について説明する。ここでは、内部アドレス信号SDW0〜SDW3,MDL0〜MDL63により、ディジット線グループDLG0に属する16本のディジット線DLのうちの
図7中の左から2番目のディジット線DLが指定されたものとする。
【0035】
まず、内部アドレス信号ZWBS0が活性化レベルの「L」レベルに立ち下げられ、ディジット線グループDLG0に対応するPチャネルMOSトランジスタ20が導通する。次に、ディジット線選択信号DLS1が活性化レベルの「H」レベルに立ち上げられ、NチャネルMOSトランジスタ21が導通し、そのディジット線DLに電流Imが流れる。このとき、コンデンサC1が設けられているので、外部電源からMRAMに流れる電源電流(すなわち電源電圧VDDのラインL1に流れる電流)のピーク値は低く抑制される。また、コンデンサC2,C3が設けられているので、電流Imのピーク値は低く抑制される。
【0036】
次に、ディジット線選択信号DLS1が非活性化レベルの「L」レベルに立ち下げられ、NチャネルMOSトランジスタ21が非導通にされて電流Imが遮断される。また、内部アドレス信号ZWBS0が非活性化レベルの「H」レベルに立ち上げられ、ディジット線グループDLG0に対応するPチャネルMOSトランジスタ20が非導通になる。
【0037】
なお、コンデンサC1〜C3がない場合は、NチャネルMOSトランジスタ20,21を導通させた時に、外部電源からMRAMに流れる電源電流のピーク値が大きくなり、ノイズが発生する。また、電流Imのピーク値が大きくなり、選択されたディジット線DLに対応する各メモリセルMCが過剰なディスターブを受け、書込特性のマージンが減少してしまう。このため、従来は誤書込の発生確率が高いという問題があった。これに対して本実施の形態1では、電流Imのオーバーシュートは小さいので、書込特性のマージンを高く維持することができ、誤書込の発生確率を低くすることができる。
【0038】
図8は、BLドライバ12,13の構成を示す回路図である。
図8において、メモリアレイMAの256本のビット線BLは、予め16本ずつ、16個のビット線グループBLG0〜BLG15に分割されている。各ビット線BLには、寄生抵抗が存在する。
【0039】
BLドライバ12は、各ビット線グループBLGに対応して設けられたPチャネルMOSトランジスタ40およびNチャネルMOSトランジスタ41,42を含む。BLドライバ12の16個のPチャネルMOSトランジスタ40のソースに沿って電源電圧VDDのラインL2が設けられている。電源電圧VDDのラインL2に沿って複数のコンデンサC4が配置されており、各コンデンサC4は電源電圧VDDのラインL2と接地電圧VSSのラインとの間に接続されている。複数のコンデンサC4は、BLドライバ12に供給される電源電圧VDDを安定化させ、また、MRAMの外部電源の出力電流(すなわち電源電圧VDDのラインL2に流れる電流)のピーク値を低減して、ノイズの発生を抑制するために設けられている。
【0040】
PチャネルMOSトランジスタ40は、電源電圧VDDのラインL2とノードN40との間に接続され、そのゲートは書込制御信号WDPL0を受ける。NチャネルMOSトランジスタ41のドレインはノードN40に接続され、そのゲートは書込制御信号WDNL0を受ける。NチャネルMOSトランジスタ42は、NチャネルMOSトランジスタ41のソースと接地電圧VSSのラインとの間に接続され、そのゲートは参照電圧VREFBLを受ける。NチャネルMOSトランジスタ42は、参照電圧VREFBLに応じた値の電流を流出させる定電流素子を構成する。
【0041】
また、BLドライバ12は、各ビット線BLに対応して設けられたNチャネルMOSトランジスタ43およびコンデンサC5を含む。256個のNチャネルMOSトランジスタ43のゲートは、それぞれビット線選択信号BLS0〜BLS255を受ける。各NチャネルMOSトランジスタ43は、対応のビット線BLの一方端と対応のノードN40との間に接続される。各NチャネルMOSトランジスタ43は、対応のビット線選択信号BLSが活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて導通し、対応のビット線選択信号BLSが非活性化レベルの「L」レベルにされたことに応じて非導通になる。ビット線選択信号BLS0〜BLS255は、列アドレス信号CA0〜CA3から生成される。各コンデンサC5は、対応のビット線BLと接地電圧VSSのラインとの間に接続され、対応のビット線BLに流れる書込電流Iwのピーク値を低減するために設けられている。
【0042】
BLドライバ13は、各ビット線グループBLGに対応して設けられたPチャネルMOSトランジスタ50およびNチャネルMOSトランジスタ51,52を含む。PチャネルMOSトランジスタ50は、電源電圧VDDのラインL2とノードN50との間に接続され、そのゲートは書込制御信号WDPR0を受ける。NチャネルMOSトランジスタ51のドレインはノードN50に接続され、そのゲートは書込制御信号WDNR0を受ける。NチャネルMOSトランジスタ52は、NチャネルMOSトランジスタ51のソースと接地電圧VSSのラインとの間に接続され、そのゲートは参照電圧VREFBLを受ける。NチャネルMOSトランジスタ52は、参照電圧VREFBLに応じた値の電流を流出させる定電流素子を構成する。
【0043】
また、BLドライバ13は、各ビット線BLに対応して設けられたNチャネルMOSトランジスタ53およびコンデンサC6を含む。256個のNチャネルMOSトランジスタ53のゲートは、それぞれビット線選択信号BLS0〜BLS255を受ける。各NチャネルMOSトランジスタ53は、対応のビット線BLの他方端と対応のノードN50との間に接続される。各NチャネルMOSトランジスタ53は、対応のビット線選択信号BLSが活性化レベルの「H」レベルにされたことに応じて導通し、対応のビット線選択信号BLSが非活性化レベルの「L」レベルにされたことに応じて非導通になる。各コンデンサC6は、対応のビット線BLと接地電圧VSSのラインとの間に接続され、対応のビット線BLに流れる書込電流Iwのピーク値を低減するために設けられている。
【0044】
次に、BLドライバ12,13の動作について説明する。ここでは、ビット線グループBLG0に属する16本のビット線BLのうちの
図8中の上から2番目のビット線BLが選択されるものする。また、書込制御信号WDPL0,WDNL0,WDPR0,WDNR0により、そのビット線BLに
図8中の右側から左側に向かって書込電流Iwが流されるものとする。初期状態では、トランジスタ40,41,43,50,51,53は非導通状態にされている。
【0045】
まず、書込制御信号WDNL0が活性化レベルの「H」レベルに立ち上げられるとともに、書込制御信号WDPR0が活性化レベルの「L」レベルに立ち下げられ、トランジスタ41,50が導通する。次いで、ビット線選択信号BLS1が活性化レベルの「H」レベルにされ、ビット線選択信号BLS1に対応するトランジスタ43,53が導通する。
【0046】
これにより、電源電圧VDDのラインからトランジスタ50,53、ビット線BL、トランジスタ43,41,42を介して接地電圧VSSのラインに書込電流Iwが流れる。このとき、コンデンサC4が設けられているので、外部電源からMRAMに流れる電源電流(すなわち電源電圧VDDのラインL2に流れる電流)のピーク値は低く抑制される。また、コンデンサC5,C6が設けられているので、書込電流Iwのピーク値は低く抑制される。所定時間経過後、トランジスタ41,43,50,53が非導通にされて書込電流Iwが遮断される。
【0047】
ビット線BLに
図8中の右側から左側に向けて書込電流Iwを流したことにより、選択されたビット線BLとディジット線DLの交差部のメモリセルMCには、たとえばデータ“1”が書き込まれる。そのメモリセルMCにデータ“0”を書込む場合は、トランジスタ41,50の代わりにトランジスタ40,51を導通させ、そのビット線BLに
図8中の左側から右側に向けて書込電流Iwを流せばよい。
【0048】
なお、コンデンサC4〜C6がない場合は、トランジスタ40,43,53,51,52またはトランジスタ50,53,43,41,42を導通させた時に、外部電源からMRAMに流れる電源電流のピーク値が大きくなり、ノイズが発生する。また、書込電流Iwのピーク値が大きくなり、選択されたビット線BLに対応する各メモリセルMCが過剰なディスターブを受け、書込特性のマージンが減少してしまう。このため、従来は誤書込の発生確率が高いという問題があった。これに対して本実施の形態1では、書込電流Iwのオーバーシュートは小さいので、書込特性のマージンを高く維持することができ、誤書込の発生確率を低くすることができる。
【0049】
上述のように、本実施の形態1では、多数のコンデンサC1〜C6が設けられる。以下、チップ面積を増大させることなく、コンデンサC1〜C6を形成する方法について説明する。一般にMRAMでは、
図9に示すように、メモリアレイMAよりも大面積のメモリマットMMが形成される。メモリマットMMは、メモリアレイMAと同様に、複数のメモリセルMCと、複数のワード線WLと、複数のディジット線DLと、複数のビット線BLとを含む。
【0050】
メモリマットMMの中央部のみが情報を記憶するトンネル磁気抵抗素子TMR(メモリセル)が配置されたメモリアレイMAとして使用される。メモリマットMMのうちのメモリアレイMAの周辺部は、ダミーメモリアレイDMAとされ、情報の記憶のためには使用されない。ダミーメモリアレイDMAには、情報の記憶のために用いられないダミーメモリセル等が配置される。メモリアレイMAの外側にダミーメモリアレイDMAを配置するのは、トンネル磁気抵抗素子TMRを形成する工程で用いられるCMP(Chemical Mechanical Polishing:ケミカルメカニカル研磨)法による平坦化工程で、メモリアレイMAに配置されたトンネル磁気抵抗素子TMRの膜厚が均一になるようにするためである。メタル密度が異なるとCMP法での研磨レートに差が生じ平坦性が悪化する。そのため、メモリアレイMAのまわりにメタル密度が同程度になるようにダミーメモリセル等が配置されたダミーメモリアレイDMAを配置している。また、CMP法ではどうしてもメモリマットMMの周辺部では、トンネル磁気抵抗素子TMRの膜厚が薄く(または厚く)なる。このため、トンネル磁気抵抗素子TMRの膜厚が均一となる中央部のみをメモリアレイMAとして使用する。
【0051】
本実施の形態1では、コンデンサC1〜C6はダミーメモリアレイDMAに形成される。本実施の形態1では、ダミーメモリセル等が配置されるダミーメモリアレイDMAに、コンデンサC1〜C6を配置しているため、コンデンサ配置によるチップサイズの増加を防ぐことが出る。ダミーメモリアレイDMAは、8個の領域A1〜A8に分割される。領域A1は、メモリアレイMAを通るビット線BLの一方端部(
図9では上端部)が形成されている領域である。領域A2は、メモリアレイMAを通るビット線BLの他方端部(
図9では下端部)が形成されている領域である。領域A1,A2には、それぞれコンデンサC5,C6が形成される。
【0052】
領域A3は、メモリアレイMAを通るディジット線DLの一方端部(
図9では左端部)が形成されている領域である。領域A4は、メモリアレイMAを通るディジット線DLの他方端部(
図9では右端部)が形成されている領域である。領域A3,A4には、それぞれコンデンサC2,C3が形成される。領域A5〜A8は、メモリアレイMAを通るビット線BLおよびディジット線DLが通らない領域であり、ダミーメモリアレイDMAの四隅の領域である。領域A5〜A8には、コンデンサC1,C4が形成される。
【0053】
ここで、本実施の形態1の理解を容易にするために、本実施の形態1と関連技術との比較で説明する。まず、関連技術であるMRAMのメモリマットMMの構成について説明する。
図10は、関連技術であるメモリマットMMの要部を示す平面図である。
図11(a)は
図10のXIA−XIA線断面図であり、
図11(b)は
図10のXIB−XIB線断面図である。
図10および
図11(a)(b)に示すように、関連技術であるメモリマットMMでは、メモリアレイMAとダミーメモリアレイDMAは全く同じ構成である。複数のビット線BLが所定のピッチで平行に形成され、その下方に複数のディジット線DLが所定のピッチで平行に配置されている。上方から見ると、ビット線BLとディジット線DLは、互いに直交している。
【0054】
ビット線BLとディジット線DLの各交差部において、ビット線BLとディジット線DLの間に長方形の下部電極EL1が形成され、下部電極EL1の上面の一方端部とビット線BLの間にトンネル磁気抵抗素子TMRが形成されている。下部電極EL1の下面の他方端部は、ビアホールVH1、スルーホールを含む読出配線RL(以下、単に読出配線RLと記載する)、スルーホールTH、コンタクトホールCHを介して下方のアクセストランジスタATRのドレインDに接続されている。アクセストランジスタATRは、シリコン基板SBの表面に形成されている。アクセストランジスタATRのゲートは、ワード線WLを構成している。アクセストランジスタATRのソースSは、接地電圧VSSのライン(図示せず)に接続されている。
【0055】
次に、本実施の形態1のMRAMのメモリマットMMの構成について説明する。
図12(a)はメモリアレイMAの要部を示す平面図であり、
図12(b)はダミーメモリアレイDMAの要部を示す平面図である。
図12(a)(b)は、それぞれメモリアレイMAおよびダミーメモリアレイDMAの単位メモリセル領域(1つのメモリセルMCに相当する領域)を示している。ディジット線DLは図中の上下方向に延在し、ビット線BLは図中の左右方向に延在している。
図13(a)は
図12(a)のXIIIA−XIIIA線断面図であって、
図11(a)のA部に対応する部分の図である。
図13(b)は
図12(b)のXIIIB−XIIIB線断面図であって、
図11(b)のB部に対応する部分の図である。
【0056】
図12(a)(b)および
図13(a)(b)において、メモリアレイMAおよびダミーメモリアレイDMAでは、シリコン基板SBの上方に金属配線層であるディジット線層61が形成され、そのディジット線層61がパターニングされてディジット線DL群および読出配線RL群が形成される。ダミーメモリアレイDMAでは、読出配線RLは常時、接地される。ダミーメモリアレイDMAの読出配線RLを接地する方法としては、ダミーメモリアレイDMAのアクセストランジスタATRを常時導通させてもよいし、読出配線RLに接地電圧VSSを与えるための配線を別途設けてもよい。
【0057】
ディジット線DL群と読出配線RL群の隙間に絶縁膜である酸化膜62が形成され、それらを覆うようにして絶縁膜であるP(plasma)−SiN膜63が形成される。P−SiN膜63の上に絶縁膜である酸化膜64が形成され、酸化膜64の表面に金属配線層である下部電極層65が形成される。下部電極層65は、Ta、TaN、TiまたはTiNなどで形成される。各読出配線RLの上面と下部電極層65の下面との間にビアホールVH1が形成される。ビアホールVH1は、中心部のタングステン埋め込み層と、表面部のバリアメタル層を含む。
【0058】
下部電極層65の上に、トンネル磁気抵抗素子層66と、金属配線層である上部電極層67が積層される。メモリアレイMAではトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67がパターニングされてトンネル磁気抵抗素子TMR群および上部電極EL2群が形成され、ダミーメモリアレイDMAではトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67はパターニングされない。
【0059】
次に、メモリアレイMAおよびダミーメモリアレイDMAにおいて、絶縁膜であるLT(Low Temperature)−SiN膜68が形成される。メモリアレイMAでは下部電極層65およびLT−SiN膜68がパターニングされて下部電極EL1が形成され、ダミーメモリアレイDMAではパターニングされない。
【0060】
次いで、メモリアレイMAおよびダミーメモリアレイDMAにおいて、絶縁膜である酸化膜69が形成される。酸化膜69の上に金属配線層であるビット線層70が形成され、そのビット線層70がパターニングされてビット線BL群が形成される。メモリアレイMAでは各上部電極EL2の上面とビット線BLの下面との間にビアホールVH2が形成され、ダミーメモリアレイDMAではビアホールVH2は形成されない。上部電極層67とビット線層70の間隔は、たとえば50nmである。下部電極層65とビット線層70の間隔は、たとえば130nmである。ビット線BL群の上には、絶縁膜であるLT−SiN膜71と、絶縁膜である酸化膜72が積層される。
【0061】
つまり、本実施の形態1のMRAMでは、メモリアレイMAの構成は従来と同じであるが、ダミーメモリアレイDMAの構成は従来と異なる。メモリアレイMAでは、下部電極層65、トンネル磁気抵抗素子層66、および上部電極層67がパターニングされ、各上部電極EL2がビアホールVH2を介してビット線BLに接続される。これに対して、ダミーメモリアレイDMAでは、下部電極層65、トンネル磁気抵抗素子層66、および上部電極層67がパターニングされず、上部電極層67とビット線BLの間にビアホールVH2は形成されず、読出配線RLは接地される。したがって、ダミーメモリアレイDMAでは、各ディジット線DLと下部電極層65および読出配線RLとの間にコンデンサが形成され、各ビット線BLと上部電極層67との間にコンデンサが形成される。なお、ダミーメモリアレイDMAでは、トンネル磁気抵抗素子層66は所定の抵抗値を有する導電層として使用される。
【0062】
図7〜
図9を参照して、ダミーメモリアレイDMAの領域A1では、各ビット線BLと上部電極層67との間にコンデンサC5が形成される。ダミーメモリアレイDMAの領域A2では、各ビット線BLと上部電極層67との間にコンデンサC6が形成される。ダミーメモリアレイDMAの領域A3では、各ディジット線DLと下部電極層65および読出配線RLとの間にコンデンサC2が形成される。ダミーメモリアレイDMAの領域A4では、各ディジット線DLと下部電極層65および読出配線RLとの間にコンデンサC3が形成される。
【0063】
ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8では、各ディジット線DL(ダミーディジット線)が電源電圧VDDのラインL1またはL2に接続され、各ディジット線DLと下部電極層65および読出配線RLとの間にコンデンサC1またはC4が形成される。ダミーメモリアレイDMAの領域A3,A4,A5〜A8では、各ビット線BL(ダミービット線)が電源電圧VDDのラインL1またはL2に接続され、各ビット線BLと上部電極層67との間にコンデンサC1またはC4が形成される。
【0064】
以上のように、本実施の形態1では、メモリアレイMAの周囲のダミーメモリアレイDMAに電流のピーク値を低減させるためのコンデンサC1〜C6を形成したので、チップ面積を大きくすることなくノイズを低減することができる。
【0065】
なお、酸化膜62,64,69,72を高誘電率材料で形成することにより、コンデンサC1〜C6の容量値を大きくすることができ、ノイズ低減効果を高めることができる。
【0066】
[実施の形態1の変更例]
以下、実施の形態1の種々の変更例について説明する。
図14(a)(b)は、実施の形態1の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図12(a)(b)と対比される図である。
図15(a)は
図14(a)のXVA−XVA線断面図であり、
図15(b)は
図14(b)のXVB−XVB線断面図である。
図14(a)(b)および
図15(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域(1つのメモリセルMCに相当する領域)において、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0067】
図16(a)(b)は、実施の形態1の他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図12(a)(b)と対比される図である。
図17(a)は
図16(a)のXVIIA−XVIIA線断面図であり、
図17(b)は
図16(b)のXVIIB−XVIIB線断面図である。
図16(a)(b)および
図17(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、下部電極層65、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0068】
図18(a)(b)は、実施の形態1のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図12(a)(b)と対比される図である。
図19(a)は
図18(a)のXIXA−XIXA線断面図であり、
図19(b)は
図18(b)のXIXB−XIXB線断面図である。
図18(a)(b)および
図19(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67がトンネル磁気抵抗素子TMRと同程度の大きさにパターニングされていても構わない。この変更例では、ビット線層70と上部電極層68の間にコンデンサが形成されるとともに、ビット線層70と下部電極層65の間にコンデンサが形成される。
【0069】
図20(a)(b)は、実施の形態1のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図18(a)(b)と対比される図である。
図21(a)は
図20(a)のXXIA−XXIA線断面図であり、
図21(b)は
図20(b)のXXIB−XXIB線断面図である。
図20(a)(b)および
図21(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、さらに、下部電極層65が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67は、トンネル磁気抵抗素子TMRと同程度の大きさにパターニングされている。
【0070】
図22(a)(b)は、実施の形態1のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図12(a)(b)と対比される図である。
図23(a)は
図22(a)のXXIIIA−XXIIIA線断面図であり、
図23(b)は
図22(b)のXXIIIB−XXIIIB線断面図である。
図22(a)(b)および
図23(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMA全域において、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去されていても構わない。この変更例では、ビット線層70と下部電極層65の間にコンデンサが形成される。
【0071】
図24(a)(b)は、実施の形態1のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図22(a)(b)と対比される図である。
図25(a)は
図24(a)のXXVA−XXVA線断面図であり、
図25(b)は
図24(b)のXXVB−XXVB線断面図である。
図24(a)(b)および
図25(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去され、下部電極層65が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0072】
図26(a)(b)は、実施の形態1のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図23(a)(b)と対比される図である。
図26(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAのうちの
図9で示した領域A1,A2,A5〜A8では、ディジット線層61がパターニングされていなくても構わない。ただし、この場合は、ディジット線DLと下部電極層65および読出配線RLとの間のコンデンサは無くなる。各ビット線BLと下部電極層65の間のコンデンサは無くならず、使用可能である。
【0073】
図27(a)(b)は、実施の形態1のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図26(a)(b)と対比される図である。
図27(a)(b)に示すように、
図26(a)(b)で示した変更例において、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、下部電極層65が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0074】
[実施の形態2]
図28(a)(b)は、本願の実施の形態2によるMRAMの要部を示す平面図であって、それぞれ
図22(a)(b)と対比される図である。
図29(a)は
図28(a)のXXIXA−XXIXA線断面図であり、
図29(b)は
図28(b)のXXIXB−XXIXB線断面図である。
【0075】
本実施の形態2では、
図28(a)(b)および
図29(a)(b)に示すように、メモリアレイMAの各単位メモリセル領域において、ビアホールVH1が設けられず、上部電極EL2の上にビット線BLが直接形成されている。また、ダミーメモリアレイDMAでは、トンネル磁気抵抗素子層66が除去されている。ダミーメモリアレイDMAでは、下部電極層65とビット線BLの間隔は、たとえば80nmとなり、実施の形態1の130nmよりも小さくなる。したがって、実施の形態1に比べて、ビット線BLと下部電極層65の間のコンデンサの容量値を大きくすることができ、ノイズを効果的に除去することができる。
【0076】
[実施の形態2の変更例]
以下、実施の形態2の種々の変更例について説明する。
図30(a)(b)は、実施の形態2の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図28(a)(b)と対比される図である。
図31(a)は
図30(a)のXXXIA−XXXIA線断面図であり、
図31(b)は
図30(b)のXXXIB−XXXIB線断面図である。
図30(a)(b)および
図31(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域(1つのメモリセルMCに相当する領域)において、下部電極層65およびLT−SiN膜68が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0077】
図32(a)(b)は、実施の形態2の他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図29(a)(b)と対比される図である。
図33(a)は
図32(a)のXXXIIIA−XXXIIIA線断面図であり、
図33(b)は
図32(b)のXXXIIIB−XXXIIIB線断面図である。
図32(a)(b)および
図33(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAのうちの
図9で示した領域A3〜A8では、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67がパターニングされていなくても構わない。ただし、この場合は、ビット線BLと上部電極層67の間のコンデンサは無くなる。各ディジット線DLと下部電極層65および読出配線RLの間のコンデンサは無くならず、使用可能である。
【0078】
図34(a)(b)は、実施の形態2のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図32(a)(b)と対比される図である。
図35(a)は
図34(a)のXXXVA−XXXVA線断面図であり、
図35(b)は
図34(b)のXXXVB−XXXVB線断面図である。
図34(a)(b)および
図35(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0079】
図36(a)(b)は、実施の形態2のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図34(a)(b)と対比される図である。
図37(a)は
図34(a)のXXXVIIA−XXXVIIA線断面図であり、
図37(b)は
図36(b)のXXXVIIB−XXXVIIB線断面図である。
図36(a)(b)および
図37(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、下部電極層65、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0080】
図38(a)(b)は、実施の形態2のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図33(a)(b)と対比される図である。
図39(a)は
図38(a)のXXXIXA−XXXIXA線断面図であり、
図39(b)は
図38(b)のXXXIXB−XXXIXB線断面図である。
図38(a)(b)および
図39(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67がトンネル磁気抵抗素子TMRと同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0081】
図40(a)(b)は、実施の形態2のさらに他の変更例を示す平面図であって、それぞれ
図38(a)(b)と対比される図である。
図41(a)は
図40(a)のXLIA−XLIA線断面図であり、
図41(b)は
図40(b)のXLIB−XLIB線断面図である。
図40(a)(b)および
図41(a)(b)に示すように、ダミーメモリアレイDMAの各単位メモリセル領域において、トンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67がトンネル磁気抵抗素子TMRと同程度の大きさにパターニングされ、下部電極層65が下部電極EL1と同程度の大きさにパターニングされていても構わない。
【0082】
[実施の形態1,2の変更例]
次に、実施の形態1,2の種々の変更例について説明する。
図24(a)(b)および
図25(a)(b)の変更例と、
図30(a)(b)および
図31(a)(b)の変更例とでは、ダミーメモリアレイDMAにおいてトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去されている。これにより、各ビット線BLと各下部電極EL1の間にコンデンサが形成されるとともに、各ディジット線DLと下部電極EL1の間にコンデンサが形成されている。
図9で示したダミーメモリアレイDMAの領域A1〜A8によっては、ビット線層70、下部電極層65、およびディジット線層61のうちの少なくとも1つの層をパターニングしなくても構わない。以下に、
図24(a)(b)および
図25(a)(b)の変更例のさらなる変更例と、
図30(a)(b)および
図31(a)(b)の変更例のさらなる変更例とを示す。
【0083】
図42(a)は、実施の形態1,2の変更例を示す断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A5〜A8をビット線BLと平行な方向に切断した図である。
図42(b)は、
図42(a)のXLIIB−XLIIB線断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A5〜A8をディジット線DLと平行な方向に切断した図である。
図42(c)は、ダミーメモリアレイDMAの領域A5〜A8の各単位メモリセル領域MCA(1つのメモリセルMCに相当する領域)の構成を示す平面図である。この変更例では、
図42(a)〜(c)に示すように、ダミーメモリアレイDMAにおいてトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去されている。
【0084】
ダミーメモリアレイDMAの領域A5〜A8においては、ビット線層70、下部電極層65、およびディジット線層61の各々は、パターニングされていない。下部電極層65とディジット線層61は、ビアホールVH1(図示せず)で接続されており、ディジット線層61は接地されている。酸化膜64,69の各々は、高誘電率の酸化膜で形成されている。この変更例では、ビット線層70は、
図7の電源電圧VDDのラインL1、または
図8の電源電圧VDDのラインL2に接続される。ビット線層70と下部電極層65の間のコンデンサは、
図7のコンデンサC1、または
図8のコンデンサC4となる。
【0085】
図43(a)は、実施の形態1,2の他の変更例を示す断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A3〜A8をビット線BLと平行な方向に切断した図である。
図43(b)は、
図42(a)のXLIIIB−XLIIIB線断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A3〜A8をディジット線DLと平行な方向に切断した図である。
図43(c)は、ダミーメモリアレイDMAの領域A3〜A8の各単位メモリセル領域MCAの構成を示す平面図である。この変更例では、
図43(a)〜(c)に示すように、ダミーメモリアレイDMAにおいてトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去されている。
【0086】
ダミーメモリアレイDMAの領域A3〜A8においては、ビット線層70および下部電極層65はパターニングされず、ディジット線層61のみがパターニングされ、ディジット線層61を用いて複数組のディジット線DLおよび読出配線RLが形成されている。下部電極層65と読出配線RLは、ビアホールVH1(図示せず)で接続されており、読出配線RLは接地されている。酸化膜62,64,69の各々は、高誘電率の酸化膜で形成されている。
【0087】
この変更例では、領域A3〜A8のビット線層70は、
図7の電源電圧VDDのラインL1、または
図8の電源電圧VDDのラインL2に接続される。ビット線層70と下部電極層65の間のコンデンサは、
図7のコンデンサC1、または
図8のコンデンサC4となる。また、ディジット線DLは、実施の形態1と同様に使用される。
【0088】
図44(a)は、実施の形態1,2のさらに他の変更例を示す断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A5〜A8をビット線BLと平行な方向に切断した図である。
図44(b)は、
図44(a)のXLIVB−XLIVB線断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A5〜A8をディジット線DLと平行な方向に切断した図である。
図44(c)は、ダミーメモリアレイDMAの領域A5〜A8の各単位メモリセル領域MCAの構成を示す平面図である。この変更例では、
図44(a)〜(c)に示すように、ダミーメモリアレイDMAにおいてトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去されている。
【0089】
ダミーメモリアレイDMAの領域A5〜A8においては、ビット線層70およびディジット線層61がパターニングされておらず、下部電極層65のみがパターニングされ、下部電極層65を用いて複数の下部電極EL1が形成されている。各下部電極EL1とディジット線層61はビアホールVH1(図示せず)で接続されており、ディジット線層61は接地されている。酸化膜64,69の各々は、高誘電率の酸化膜で形成されている。この変更例では、ビット線層70は、
図7の電源電圧VDDのラインL1、または
図8の電源電圧VDDのラインL2に接続される。ビット線層70と下部電極層65の間のコンデンサは、
図7のコンデンサC1、または
図8のコンデンサC4となる。
【0090】
図45(a)は、実施の形態1,2のさらに他の変更例を示す断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8をビット線BLと平行な方向に切断した図である。
図45(b)は、
図45(a)のXLVB−XLVB線断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8をディジット線DLと平行な方向に切断した図である。
図45(c)は、ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8の各単位メモリセル領域MCAの構成を示す平面図である。この変更例では、
図45(a)〜(c)に示すように、ダミーメモリアレイDMAにおいてトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去されている。
【0091】
ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8においては、下部電極層65およびディジット線層61はパターニングされず、ビット線層70のみがパターニングされ、ビット線層70を用いて複数のビット線BLが形成されている。下部電極層65とディジット線層61は、複数のビアホールVH1(図示せず)で接続されており、ディジット線層61は接地されている。酸化膜64,69,72の各々は、高誘電率の酸化膜で形成されている。
【0092】
この変更例では、領域A5〜A8の各ビット線BLは、
図7の電源電圧VDDのラインL1、または
図8の電源電圧VDDのラインL2に接続される。ビット線層70と下部電極層65の間のコンデンサは、
図7のコンデンサC1、または
図8のコンデンサC4となる。また、領域A1,A2の各ビット線BLは、実施の形態1と同様に使用される。
【0093】
図46(a)は、実施の形態1,2のさらに他の変更例を示す断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A3〜A8をビット線BLと平行な方向に切断した図である。
図46(b)は、
図46(a)のXLVIB−XLVIB線断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A3〜A8をディジット線DLと平行な方向に切断した図である。
図46(c)は、ダミーメモリアレイDMAの領域A3〜A8の各単位メモリセル領域MCAの構成を示す平面図である。この変更例では、
図46(a)〜(c)に示すように、ダミーメモリアレイDMAにおいてトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去されている。
【0094】
ダミーメモリアレイDMAの領域A3〜A8においては、ビット線層70はパターニングされず、下部電極層65およびディジット線層61の各々がパターニングされている。下部電極層65を用いて複数の下部電極EL1が形成され、ディジット線層61を用いて複数組のディジット線DLおよび読出配線RLが形成されている。下部電極層65と読出配線RLは、ビアホールVH1(図示せず)で接続されており、読出配線RLは接地されている。酸化膜62,64,69の各々は、高誘電率の酸化膜で形成されている。
【0095】
この変更例では、領域A3〜A8のビット線層70は、
図7の電源電圧VDDのラインL1、または
図8の電源電圧VDDのラインL2に接続される。ビット線層70と下部電極層65の間のコンデンサは、
図7のコンデンサC1、または
図8のコンデンサC4となる。また、ディジット線DLは、実施の形態1と同様に使用される。
【0096】
図47(a)は、実施の形態1,2のさらに他の変更例を示す断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8をビット線BLと平行な方向に切断した図である。
図47(b)は、
図47(a)のXLVIIB−XLVIIB線断面図であって、ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8をディジット線DLと平行な方向に切断した図である。
図47(c)は、ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8の各単位メモリセル領域MCAの構成を示す平面図である。この変更例では、
図47(a)〜
図47(c)に示すように、ダミーメモリアレイDMAにおいてトンネル磁気抵抗素子層66および上部電極層67が除去されている。
【0097】
ダミーメモリアレイDMAの領域A1,A2,A5〜A8においては、ディジット線層61はパターニングされず、ビット線層70および下部電極層65の各々がパターニングされている。ビット線層70を用いて複数のビット線BLが形成され、下部電極層65を用いて複数の下部電極EL1が形成されている。各下部電極層65とディジット線層61は、ビアホールVH1(図示せず)で接続されており、ディジット線層61は接地されている。酸化膜64,69,72の各々は、高誘電率の酸化膜で形成されている。
【0098】
この変更例では、領域A5〜A8の各ビット線BLは、
図7の電源電圧VDDのラインL1、または
図8の電源電圧VDDのラインL2に接続される。ビット線層70と下部電極層65の間のコンデンサは、
図7のコンデンサC1、または
図8のコンデンサC4となる。また、領域A1,A2の各ビット線BLは、実施の形態1と同様に使用される。
【0099】
[実施の形態3]
図48は、従来のMRAMの問題点を説明するための回路図である。
図48において、MRAMには、メモリアレイMAが設けられており、メモリアレイMAは複数のビット線BLを含む。複数のビット線BLは所定数ずつ複数(ここでは、32個とする)のビット線グループの分割されており、各ビット線グループに対応してドライバ80,81が設けられている。書込動作時には、各ビット線グループにおいて1本のビット線BLが選択され、そのビット線BLが対応のドライバ80,81間に接続される。
図48では、メモリアレイMAにおいて32本のビット線BLが選択され、選択された各ビット線BLが対応のドライバ80,81間に接続されている状態が示されている。選択された各ビット線BLには、書込データ信号の論理レベルに応じた方向の電流が流される。
図48では、選択された32本のビット線BLに同じ方向の電流が流される状態が示されている。
【0100】
各ドライバ80は、内部電源電圧intVCCのラインL10から内部電源電圧intVCCを受ける。内部電源電圧intVCCのラインL10は、外部電源電圧extVCC(3.3V)のラインに接続されている。各ドライバ81は、接地電圧VSSを受ける。書込動作時は、各ビット線BLに4.0mAの電流が流され、外部電源(図示せず)の出力電流のピーク値は32×4.0mA=128.0mAとなる。この電流により、ノイズが発生するという問題がある。
【0101】
図49は、本実施の形態3のMRAMの構成を示す回路図であって、
図48と対比される図である。このMRAMでは、外部電源電圧extVCCのラインと内部電源電圧intVCCのラインL10との間に抵抗素子82が接続され、内部電源電圧intVCCのラインL10と接地電圧VSSのラインとの間にコンデンサ83が接続される。
【0102】
本実施の形態3では、
図49で示したMRAMにおいて動作速度、コンデンサ83の容量値C(μF)、および抵抗素子82の抵抗値(Ω)と、ピーク電流(mA)、内部電源電圧intVCC、およびピーク低減率(%)との関係をシミュレーションした。
図50(a)〜(c)は、シミュレーション結果を示す図である。動作速度は、50MHz(20ns)、80MHz(12.5ns)、100MHz(10ns)の3段階で変えた。コンデンサ83の容量値C(μF)は、1,1.5,2の3段階で変えた。コンデンサ83の容量値C(μF)が1,1.5,2である場合、コンデンサ83の面積(mm2)はそれぞれ0.444,0.666,0.888であった。抵抗素子82の抵抗値(Ω)は、3.5,5,10の3段階で変えた。
【0103】
図50(a)〜(c)に示すように、コンデンサ83の容量値C(μF)を大きくするほど、ピーク電流(mA)を小さくすることができ、ピーク低減率(%)を高めることができた。コンデンサ83の容量値C(μF)を大きくするためには、コンデンサ83の面積を大きくする必要がある。本願では、コンデンサ83をダミーメモリアレイDMAに設けるので、チップ面積を増大させることなくコンデンサ83の容量値を増大させることができる。
【0104】
また、抵抗素子82の抵抗値(Ω)を大きくするほど、ピーク電流(mA)を小さくすることができ、ピーク低減率(%)を高めることができた。ただし、抵抗素子82の抵抗値(Ω)を大きくすると、内部電源電圧intVCCが低下する。なお、抵抗素子82を別途設ける代わりに、内部電源電圧intVCCを供給する配線の断面積を小さくして配線抵抗を高めてもよい。また、動作周波数(MHz)を大きくすると、ピーク低減率が低下したが、100MHzでも高いピーク低減率が得られた。
【0105】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。