(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硫酸供給部から供給される200℃以上の硫酸が、レジストに熱応力を付与してレジストにダメージを与える、請求項1から4のいずれか1つに記載のレジスト除去装置。
硫酸供給工程において、供給される200℃以上の硫酸が、レジストに熱応力を付与してレジストにダメージを与える、請求項9から12のいずれか1つに記載のレジスト除去方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方法によれば、プラズマアッシング処理を施すため、プラズマのダメージによって基板が損傷してしまうおそれがある。
【0007】
また、プラズマアッシング後にウェット洗浄を行うことを考慮すると、基板の処理形態としては、処理液を含む処理槽内に複数の基板をまとめて浸漬させて処理するバッチ式が多く利用される。バッチ式によれば基板1枚ごとに使用する処理液量が少なくなる。基板を1枚ごとに処理する枚葉式はバッチ式よりも基板1枚あたりの処理液量が多くなりコストがかかるため、あまり利用されていない。
【0008】
一方で、バッチ式によるプラズマアッシングとSPM洗浄とを組合せた従来のレジスト除去方法によれば、それぞれの工程を1回ずつ行うだけではレジストを十分に除去することができないため、各工程を複数回ずつ行わなければならない場合がある。さらに、バッチ式のSPM洗浄によれば、レジスト中に含まれるメタルなどの不純物を十分に除去することができないため、メタルコンタミネーションが生じるおそれがある。そのため、SPM洗浄後に別途、塩酸と過酸化水素水を混合した処理液によるHPM(hydrochloric acid/hydrogen peroxide mixture)洗浄などを行ってメタル残渣を除去する必要がある。
【0009】
このように、従来のレジスト除去方法によれば、バッチ式を用いることにより、使用する処理液量を枚葉式よりも抑えているものの、所望量のレジストを除去するにあたり多くの工程および長い時間を要する。言い換えれば、使用する処理液量を抑えることと、効率的にレジストの除去を行うことが十分に両立されていなかった。
【0010】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することにあって、基板へのダメージを少なくするとともに、使用する処理液量を抑えつつ効率的にレジストを除去することができるレジスト除去装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
【0012】
本発明の第1態様によれば、基板からレジストを除去するためのレジスト除去装置であって、
所定のイオンが注入され表面に硬化層が形成されたレジストを有する基板を保持する基板保持部と、
硫酸を加熱するヒータを有し、ヒータにより加熱され200℃以上となった、過酸化水素水を含まない硫酸を、基板保持部に保持されている基板へ供給する硫酸供給部と、
硫酸供給部により硫酸が供給された基板に対して、濃度150ppm以上のオゾン水を供給するオゾン水供給部とを備える、レジスト除去装置を提供する。
【0013】
本発明の第2態様によれば、枚葉式である、第1態様に記載のレジスト除去装置を提供する。
【0014】
本発明の第3態様によれば、硫酸供給部は、一部熱分解されている硫酸を供給する、第1態様又は第2態様に記載のレジスト除去装置を提供する。
【0015】
本発明の第4態様によれば、全体のうち1〜20%が熱分解されている硫酸を供給する、第3態様に記載のレジスト除去装置を提供する。
【0016】
本発明の第5態様によれば、硫酸供給部から供給される200℃以上の硫酸が、レジストに熱応力を付与してレジストにダメージを与える、第1態様から第4態様のいずれか1つに記載のレジスト除去装置を提供する。
【0017】
本発明の第6態様によれば、ダメージはクラックである、第5態様に記載のレジスト除去装置を提供する。
【0018】
本発明の第7態様によれば、オゾン水供給部は50℃以上のオゾン水を供給する、第1態様から第6態様のいずれか1つに記載のレジスト除去装置を提供する。
【0019】
本発明の第8態様によれば、基板への硫酸およびオゾン水の供給は、基板保持部により基板が回転された状態にて行う、第1態様から第7態様のいずれか1つに記載のレジスト除去装置を提供する。
【0020】
本発明の第9態様によれば、基板からレジストを除去するためのレジスト除去方法であって、
基板上に形成されたレジストにおいて、イオンの注入により硬化層が形成されたレジスト表面に、過酸化水素水を含まない200℃以上の硫酸を供給する硫酸供給工程と、
硫酸供給工程により硫酸の供給されたレジスト表面に、濃度150ppm以上のオゾン水を供給するオゾン水供給工程とを含む、レジスト除去方法を提供する。
【0021】
本発明の第10態様によれば、枚葉式にて基板の処理を行う、第9態様に記載のレジスト除去方法を提供する。
【0022】
本発明の第11態様によれば、硫酸供給工程において、一部熱分解されている硫酸を供給する、第9態様又は第10態様に記載のレジスト除去方法を提供する。
【0023】
本発明の第12態様によれば、硫酸供給工程において、全体のうち1〜20%が熱分解されている硫酸を供給する、第11態様に記載のレジスト除去方法を提供する。
【0024】
本発明の第13態様によれば、硫酸供給工程において、供給される200℃以上の硫酸が、レジストに熱応力を付与してレジストにダメージを与える、第9態様から第12態様のいずれか1つに記載のレジスト除去方法を提供する。
【0025】
本発明の第14態様によれば、ダメージはクラックである、第13態様に記載のレジスト除去方法を提供する。
【0026】
本発明の第15態様によれば、オゾン水供給工程において、50℃以上のオゾン水を供給する、第9態様から第14態様のいずれか1つに記載のレジスト除去方法を提供する。
【0027】
本発明の第16態様によれば、硫酸供給工程およびオゾン水供給工程において基板は回転されている、第9態様から第15態様のいずれか1つに記載のレジスト除去方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
レジスト除去装置およびその方法において、基板へのダメージを少なくするとともに、使用する処理液量を抑えつつ効率的にレジストを除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明にかかる実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態にかかるレジスト除去装置1の断面図である。レジスト除去装置1は、基板2を保持する基板保持装置3と、硫酸供給部4と、オゾン水供給部5とを備える。
【0032】
基板支持装置3は、ステージ6と、回転台8とを備える。ステージ6は、図示しない搬送機構により搬送されてきた基板2を上面に載置して保持する。回転台8は、ステージ6を支持するとともに、鉛直方向に延びる回転軸7を中心としてステージ6およびステージ6の上に載置された基板2を一体的に回転させる。
図1は、基板支持装置3によって基板2が保持されている状態を示す。
【0033】
硫酸供給部4は、基板支持装置3のステージ6の上方に設けられるとともに、図示しない硫酸供給源に接続され、内部に(過酸化水素水を含まない)硫酸を保有する。硫酸供給部4は、内部に保有する硫酸を、下方に位置されるステージ6上の基板2の表面へ滴下するよう構成される。なお、本実施形態では、硫酸供給部4から供給する硫酸の温度を200℃以上に設定している。
【0034】
オゾン水供給部5は、硫酸供給部4が配置される位置とは異なる位置にてステージ6の上方に設けられるとともに、図示しないオゾン水供給源に接続され、内部にオゾン水を保有する。硫酸供給部4と同様に、オゾン水供給部5は、内部に保有するオゾン水を下方に位置される基板2の表面へ滴下するよう構成される。本実施形態では、オゾン水供給部5から供給するオゾン水の濃度を150ppm以上、温度を50℃以上に設定している。
【0035】
上述した硫酸供給部4およびオゾン水供給部5は、共に基板2の表面沿いの方向(本実施形態では図中左右方向)に移動可能に構成される。
【0036】
なお、上述したレジスト除去装置1における基板保持装置3、硫酸供給部4およびオゾン水供給部5の動作は、同じくレジスト除去装置1に設けられた図示しない制御装置により制御される。
【0037】
次に、本実施形態の処理対象である基板2について、
図2を用いて説明する。
【0038】
図2は、本実施形態で用いられる基板2の製造方法を示す断面図である。本実施形態では、特に高ドーズイオン(例えばヒ素など)が注入される基板2を用いる。
図2(a)にはイオンが注入される前の基板2を示し、
図2(b)にはイオンが注入された後の基板2(本実施形態で用いる基板2)を示す。
【0039】
図2(a)に示すように、イオン注入前の基板2は、その上面にパターン化されたレジスト9が配置される。このような基板2に対して高ドーズイオンを注入すると、隣り合うレジスト9の間に露出される基板2の表面には例えば、導通部分10が形成される。
【0040】
一方で、高ドーズイオンに直接曝されるレジスト9の表面では、イオンとの反応により難剥離性の硬化層11が形成される。
図2(b)に示すように、本実施形態で用いられる基板2は、表面に硬化層11が形成されたレジスト9が配置される。
【0041】
次に、本実施形態にかかるレジスト除去装置1の硫酸供給部4について、
図3を用いて説明する。
【0042】
図3は、本実施形態で用いられる硫酸供給部4の断面図である。
図3に示すように、硫酸が保有される硫酸供給部4内において、中央部に加熱用のヒータ12が配置されている。硫酸供給部4内の硫酸がヒータ12によって加熱されることにより、硫酸供給部4の下流側端部に位置される供給口13から、200℃以上に調整された硫酸が供給される。
【0043】
硫酸供給部4の内部についてさらに詳細に説明すると、硫酸供給部4内では、ヒータ12からの距離によって硫酸の温度が異なる。すなわち、ヒータ12近傍に位置する硫酸は加熱されやすく温度が高くなるのに対して、ヒータ12から離れた位置にある硫酸は加熱されにくく温度が相対的に低くなる。硫酸供給部4内では、200℃以下に加熱された硫酸と、200℃以上に加熱された硫酸とが存在するが、これら異なる温度の硫酸が混合されて供給されることにより、供給口13からは最終的に200℃以上の硫酸が供給される。
【0044】
また、硫酸の熱分解温度は約292℃である。したがって、上述のような構成を有する硫酸供給部4においては、292℃以上の温度にて熱分解された硫酸と、292℃以下の温度にて熱分解されない硫酸とが存在する。最終的には、これら熱分解された硫酸と熱分解されない硫酸とが混合された状態にて供給されることにより、供給口13からは一部熱分解された状態の硫酸が供給される。
【0045】
上述した構成を有する硫酸供給部4によれば、供給口13から、一部熱分解された状態の200℃以上の硫酸が供給されることとなる。
【0046】
次に、本実施形態にかかるレジスト除去装置1を用いたレジスト除去の具体的な手順について説明する。この説明にあたって、レジスト除去の手順を示すフローチャートを
図4に示し、
図4のフローチャートに示すそれぞれの手順を説明するためのレジスト除去装置1の動作を
図5に示す。
【0047】
(基板回転工程)
図4に示すように、まずは基板保持装置3に保持された基板2を回転させる(ステップS1)。具体的には、
図5(a)に示すように、基板保持装置3の回転台8が、回転軸7を中心としてステージ6を回転させることにより、ステージ6とステージ6上に載置された基板2とを一体的に回転させる。
【0048】
(硫酸供給工程)
次に、回転軸7を中心に回転されている基板2に対して、硫酸供給部4から硫酸を供給する(ステップS2)。具体的には、
図5(b)に示すように、硫酸供給部4を基板2の表面沿いの方向に移動制御しながら、硫酸供給部4の供給口13から下方へ、過酸化水素水を含まない硫酸を滴下する。これにより、基板2の表面に硫酸が供給される。回転された状態の基板2へ硫酸を供給することにより、基板2表面の全体に、過酸化水素水を含まない200℃以上の硫酸が供給される。
【0049】
その後、所定時間が経過したときに、硫酸供給部4からの硫酸の供給および硫酸供給部4の移動を停止する。
【0050】
(オゾン水供給工程)
次に、ステップS2により硫酸が供給された基板2に対して、オゾン水供給部5からオゾン水を供給する(ステップS3)。具体的には、ステップS2と同様に、
図5(c)に示すように、オゾン水供給部5を基板2の表面沿いの方向に移動制御しながら、オゾン水供給部5の供給口14から下方へオゾン水を滴下する。これにより、基板2表面の全体に、濃度150ppm以上、温度50℃以上のオゾン水が供給される。
【0051】
その後、所定時間が経過したときに、オゾン水供給部5からのオゾン水の供給およびオゾン水供給部5の移動を停止する。
【0052】
(基板回転停止工程)
最後に、基板2の回転を停止する(ステップS4)。具体的には、回転台8によるステージ6の回転を停止して、基板2の回転を停止させる。
【0053】
上述のようにステップS1−S4を実施することにより、基板2の表面に、過酸化水素水を含まない200℃以上の硫酸を供給した後、濃度150ppm以上のオゾン水が供給される。
【0054】
ここで、上述したステップS1−S4によるレジスト除去の原理について、
図6に示す基板2の断面図を用いて説明する。
【0055】
図6(a)は、硫酸およびオゾン水が供給される前の基板2を示す。
図6(a)に示すように、表面に硬化層11が形成されたレジスト9を有する基板2に対して、ステップS2で説明したように硫酸を供給すると、レジスト9の表面に形成された硬化層11にダメージが与えられる。具体的には、硬化層11上に供給される硫酸が、200℃以上の高温状態にて供給されることにより、硬化層11に対して熱応力を与える。
図6(b)に示すように、熱応力によるダメージの一例であるクラック15が、硬化層11に形成される。クラック15が形成されることにより、硬化層11の下に位置する硬化されていないレジスト9にクラック15を介して溶剤などが到達可能となる。
【0056】
このように硬化層11にクラック15が形成された状態にて、硫酸供給部4からの硫酸の供給を継続すると、クラック15内に硫酸が浸入する。クラック15内に浸入した硫酸がさらに下方に浸透することにより、硬化されていないレジスト9に到達する。
【0057】
ここで、硫酸供給部4から供給される硫酸は、前述したように一部熱分解された状態である。よって、熱分解によって生じるSO
3イオンを含む。このようにSO
3イオンと硫酸とが混合された状態にて硬化されていないレジスト9に供給されると、レジスト9においてSO
3イオンによる酸化反応と硫酸による還元反応とが生じる。これにより、
図6(c)に示すように、レジスト9とその下にある基板2との接着力が大幅に低下される(一部のレジスト9は基板2から剥離される)。なお、硬化層11については、上述したようなSO
3イオンと硫酸の組合せによる酸化還元反応を利用しても、レジスト9からほとんど剥離することができない。
【0058】
次に、このように接着力の低下されたレジスト9を有する基板2に対して、ステップS3で説明したようにオゾン水を供給すると、オゾン水によるレジスト9の剥離作用により、
図6(d)に示すように、レジスト9が硬化層11とともに基板2上から除去される。このようにして基板2からレジスト9を除去する。なお、オゾン水の濃度を150ppm以上と設定し、オゾン水の反応性を高めることにより、安定的かつ早くレジスト9を除去することができる。また、オゾン水の温度を50度以上に設定し、オゾン水の反応性を高めることにより、さらに安定的かつ早くレジスト9を除去することができる。
【0059】
以上、本実施形態にかかるレジスト除去装置1によれば、基板2上に形成されたレジスト9において、イオンの注入により硬化層11が形成されたレジスト9表面に、過酸化水素水を含まない200℃以上の硫酸を供給し、硫酸の供給されたレジスト9表面に、濃度150ppm以上のオゾン水を供給している。このように、いわゆるウェット処理によりレジスト9の除去を行うため、プラズマアッシングなどを用いた際に生じるプラズマによる基板2へのダメージを回避することができる。また、硫酸によりレジスト9と基板2との接着力を低下させた上でオゾン水によりレジスト9の剥離を行っており、このとき硫酸の温度を200℃以上、オゾン水の濃度を150ppm以上とすることで、処理液の反応性を所定以上に保っている。これにより、効率的なレジスト除去を行うとともに、使用する処理液量を抑えることができる。また、濃度150ppm以上のオゾン水を用いてレジスト9を除去することにより、レジスト9に含まれるメタルなどもあわせて除去することができる。すなわち、オゾン水によるレジスト除去処理でいわゆるリンス処理を代替することができるため、HPMなどの洗浄処理を省略することができる。
【0060】
また、本実施形態では、バッチ式ではなく枚葉式にて基板2の処理を行うことにより、バッチ式に比べて基板2上の熱分布を大きくすることができるため、硫酸およびオゾン水の反応性を向上させて、レジスト9の除去力を向上させることができる。このように効率的なレジスト除去を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、一部熱分解された状態の硫酸を供給するため、硫酸の還元反応に加えて硫酸の熱分解により生じたSO
3イオンによる酸化反応を利用することができる。これにより、レジスト9の除去力を向上させることができ、効率的なレジスト除去を行うことができる。なお、硫酸の全体のうち1〜20%以上が熱分解されていることが好ましい。このような比率にて硫酸を供給すれば、酸化還元反応をより有効に利用することができる。
【0062】
また、本実施形態では、基板2に供給する硫酸の温度を200℃以上とすることにより、レジスト9に熱応力を付与してダメージを与えている。これにより、安定的にレジスト9内へ硫酸を浸入させることができ、効率的なレジスト除去を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、50℃以上のオゾン水を供給することにより、オゾン水によるレジスト除去力を向上させることができる。このように効率的なレジストの除去を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、基板2を回転させた状態にて硫酸およびオゾン水の供給を行うことにより、硫酸およびオゾン水を基板2上に均一に供給することができ、レジスト9を基板2上から均一に除去することができる。
【0065】
(実施例)
次に、上述した構成を有するレジスト除去装置1を用いた実施例について、
図7−9を用いて説明する。本実施例は、基板2上に予め複数の測定ポイントを定めた上で、上述したステップS1−S4と同様の工程を基板2に対して実施し、その実施の前後における基板2上のメタルの残渣量について測定を行うものである。
【0066】
図7は、本実施例で用いられる基板2の上面図を示す。本実施例では、直径約300mmの基板2を用いる。
図7に示すように、基板2上には、5点の測定ポイントC−Gが定められている。測定ポイントCは上方視略円形状の基板2の中心に配置されており、残りの測定ポイントD−Gは、中心の測定ポイントCから約70mm離れた位置に互いに略等間隔に配置されている。基板2の種類としては、レジスト除去装置1による処理前に予め強制汚染させた基板、および強制汚染させない基板の2種類を準備した。
【0067】
このように測定ポイントC−Gを定めた上で、前述した2種類の基板2に対してそれぞれレジスト除去装置1による実験を行った(実施例1、2)。実施例1、2では、用いられる基板2の種類のみが異なり、その他実験条件等は共通する。
【0068】
以下に実施例1、2に共通する主要なプロセス条件を示す。
基板の回転速度: 150rpm
硫酸の供給温度: 200℃
硫酸の供給時間: 120秒
硫酸の総供給量: 400mL
オゾン水の供給濃度: 150ppm
オゾン水の供給温度: 70℃
オゾン水の供給時間: 60秒
オゾン水の総供給量: 2000mL
【0069】
図8は実施例1(非強制汚染)の測定結果を示し、
図9は実施例2(強制汚染)の測定結果を示す。
図8、9において、(a)はレジスト除去前、(b)はレジスト除去後のデータを示す。
図8、9に示すように、測定する金属の種類としてはTi、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znの8種類とし、それぞれの金属の種類ごとにメタルの残渣量を表示している(単位:atoms/cm
2)。
【0070】
図8、9に示すように、レジスト除去前のメタル量にかかわらず、レジスト除去装置1を用いてレジスト除去を行った後は、一部のFeおよびMnを除き、5つの測定ポイントC−Gにおけるメタルの残渣量を略0とすることができた。また、一部残存するFeおよびMnについても、半導体製造工程上許容される範囲内に収めることができた。このように、レジスト除去装置1によるレジスト除去方法によれば、メタル残渣量を極めて少なくすることができることがわかる。これは、レジスト除去装置1によるレジスト除去力が大きいことに伴い、レジスト9とともに多くのメタルを除去できるからと考えられる。
【0071】
また、上述した本実施例にかかるレジスト除去装置1によれば、高ドーズイオンであるヒ素を1×10
15atoms/cm
2にて注入した基板2において約54秒でレジスト9を除去することができた。さらに、一部のFeを除くメタルの残渣量を10秒以内に所定量以下とすることができた。
【0072】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、本実施形態では、硫酸およびオゾン水をそれぞれ別の装置(硫酸供給部4およびオゾン水供給部5)から供給する場合について説明したが、このような場合に限らず例えば、同じ装置から硫酸およびオゾン水の両方を供給するようにしても良い。
【0073】
また、本実施形態では、レジスト除去装置1が枚葉式である場合について説明したが、このような場合に限らずバッチ式であっても良い。
【0074】
また、本実施形態では、硫酸供給部4内の中央部にヒータ12を配置する場合について説明したが、このような場合に限らず、その他の場所にヒータ12を配置しても良い。
【0075】
また、本実施形態では、オゾン水の供給温度が50℃以上の場合について説明したが、このような場合に限らず例えば、常温のオゾン水を供給するようにしても良い。
【0076】
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。