(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の二次電池によると、筐体と二次電池との間に、圧力が加わると電気抵抗が減少する過電流保護素子を配置して、二次電池の膨張を検知している。また、上記特許文献2には外装材に押圧されて通電する機械式スイッチが、上記特許文献3には歪みゲージが、各々、二次電池の膨張を検知するセンサとして開示されている。
【0006】
しかし、外装材がラミネートフィルムからなる場合のように、外装材が低剛性の場合には、内部からの力が分散しやすく、外装材の外部に配置された部材を押圧する力は小さい。このため、従来のセンサでは、外装材の膨張を正確に検知することは難しい。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、外装材の膨張を、簡単な構成で低コストに検知することができ、安全性に優れた蓄電デバイスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の蓄電デバイスは、蓄電要素と、該蓄電要素が収容される外装材と、該外装材の膨張面に配置される変形センサと、を備え、該変形センサは、エラストマーまたは樹脂からなる母材と該母材中に30vol%以上の充填率で充填されている導電性フィラーとを有し、該外装材の膨張に伴い曲げ変形するセンサ膜と、該センサ膜に接続される少なくとも一対の電極と、を備え、該センサ膜には、該導電性フィラー同士の接触により三次元的な導電パスが形成されており、該センサ膜の自然状態からの変形量が増加するに従って電気抵抗が増加し、該センサ膜の曲げ変形に伴う電気抵抗の変化により、該外装材の膨張を検知することを特徴とする。
【0009】
本発明の蓄電デバイスにおける蓄電要素には、二次電池、キャパシタ等を構成する正極、負極の積層体、および電解質等が含まれる。また、膨張面は、外装材の内側でガスが発生した場合に、ガス圧により外側へ膨らむ面である。
【0010】
本発明の蓄電デバイスにおける変形センサは、エラストマーまたは樹脂を母材とするセンサ膜を備える。このため、変形センサは、加工性に優れ、形状設計の自由度が高い。よって、外装材の膨張面の形状に沿って、変形センサを配置することができる。これにより、外装材の膨張を、より正確に検知することができる。また、センサ膜は、外装材の膨張面に配置される。センサ膜は、膨張面の変位により曲げ変形する。つまり、センサ膜には、外装材の膨張による変位が、直接入力される。したがって、例えば膨張の初期段階のように、外装材の変位が小さい場合でも、外装材の膨張を検知しやすい。
【0011】
センサ膜における導電性フィラーの充填率は、センサ膜の体積を100vol%とした場合の値である。導電性フィラーが30vol%以上の高充填率で充填されているため、自然状態(変形されていない状態)におけるセンサ膜には、導電性フィラー同士の接触により、三次元的な導電パスが形成されている。センサ膜が変形すると、導電性フィラー同士が反発し合い、導電性フィラーの接触状態が変化する。そして、導電性フィラー同士の接触が断絶することにより、導電パスが切断されて、電気抵抗が増加する。センサ膜が自然状態に復元すると、導電性フィラーの接触状態が回復し、電気抵抗は減少する。
【0012】
このように、本発明の蓄電デバイスによると、センサ膜の曲げ変形に伴う電気抵抗の変化により、外装材の膨張を検知することができる。したがって、蓄電デバイスの安全性が向上する。また、外装材の膨張挙動を利用して、充放電を制御することにより、蓄電デバイスの高寿命化を図ることができる。なお、本発明の蓄電デバイスにおいて、センサ膜は、必ずしも自然状態で配置される必要はない。例えば、予め曲げ変形された状態で配置されていてもよい。また、外装材の膨張に伴うセンサ膜の曲げ変形には、自然状態から曲げられる場合と、曲がった状態から自然状態に復元する場合の両方を含む。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記センサ膜は、前記外装材の前記膨張面の一端から他端に亘って配置される構成とするとよい。
【0014】
本構成によると、センサ膜が、膨張面の一端から他端に亘って配置される。このため、外装材の膨張を漏れなく検知しやすい。また、本構成によると、変形センサを膨張面に配置すればよい。このため、蓄電デバイスの製造が容易である。また、変形センサをシート状に形成することにより、膨張面に変形センサを配置しても、蓄電デバイスが大型化することはない。よって、蓄電デバイスを複数積層させてモジュール化した場合においても、省スペース化が可能である。
【0015】
本構成において、センサ膜は、膨張面の一部に配置されていても、全面を覆うように配置されていてもよい。また、膨張面の中央付近は膨張しやすい。つまり、膨張面の中央付近では、外装材の変位が大きくなる。このため、センサ膜を膨張面の一部に配置する場合には、膨張面の中央付近を覆うように配置することが望ましい。
【0016】
(3)好ましくは、上記(1)の構成において、前記変形センサは、前記センサ膜が配置される基材を備え、該センサ膜が前記外装材の前記膨張面側になるよう配置され、さらに、該基材側に配置され、該外装材が膨張するに従って該外装材との間で該センサ膜を押圧することにより該センサ膜の曲げ変形量を増加させる変形入力部材を備える構成とするとよい。
【0017】
本構成において、変形センサのセンサ膜の少なくとも一部は、外装材と変形入力部材との間に介装される。外装材が膨張すると、センサ膜は、変形入力部材に押し当てられて、曲げ変形する。つまり、本構成では、主に変形入力部材との当接により、センサ膜が曲げ変形する。したがって、外装材の膨張のみにより曲げ変形する場合と比較して、センサ膜の曲げ変形量は、大きくなる。これにより、外装材の変位に対する電気抵抗の増加が大きくなる。つまり、変形センサの感度が高くなる。したがって、膨張面の変位が小さい場合であっても、外装材の膨張を検知することができる。
【0018】
上述したように、膨張面の中央付近は膨張しやすい。このため、センサ膜を膨張面の中央付近を覆うように配置すると、変形入力部材からの押圧力が、よりセンサ膜に加わりやすくなる。これにより、センサ膜の曲げ変形量は、大きくなる。したがって、変形センサの感度を、より高めることができる。
【0019】
変形入力部材は、外装材に直接配置してもよく、別部材に配置してもよい。例えば、蓄電デバイスが、さらに筐体を備える場合には、変形入力部材を当該筐体に配置してもよい。また、外装材の膨張前の状態において、変形入力部材と変形センサとは、接していてもよく、接していなくてもよい。外装材の膨張前の状態において、変形入力部材と変形センサとが接している場合には、外装材の初期の膨張を、より検知しやすい。
【0020】
(4)好ましくは、上記(3)の構成において、前記変形入力部材は、前記変形センサと当接する曲面部を有する棒部材または紐部材であり、該棒部材または紐部材は、該変形センサと交差するように配置される構成とするとよい。
【0021】
本構成によると、変形入力部材として、棒部材または紐部材を用いる。棒部材または紐部材は、変形センサと交差するように配置される。これにより、簡単な構成で、センサ膜に対して、曲げ変形を確実に入力することができる。
【0022】
(5)好ましくは、上記(1)の構成において、前記外装材の前記膨張面は、凹部を有し、前記センサ膜は、該凹部に沿って曲げ変形された状態で配置される構成とするとよい。
【0023】
本構成によると、外装材の膨張面の凹部に、センサ膜が曲げ変形された状態で配置される。外装材が膨張すると、凹部は平らな状態へ近づくように変位する。これにより、センサ膜は、曲げ変形される前の自然状態に復元される。この過程におけるセンサ膜の電気抵抗の変化により、外装材の膨張が検知される。また、本構成によると、変形センサを膨張面の凹部に配置すればよい。このため、蓄電デバイスの製造が容易である。このように、本構成によると、膨張面の凹部を利用して、簡単かつ低コストに、外装材の膨張を検知することができる。また、変形センサは、膨張面の凹部に配置されるため、蓄電デバイスをコンパクトに構成することができる。よって、蓄電デバイスを複数積層させてモジュール化した場合においても、省スペース化が可能である。
【0024】
例えば、外装材としてラミネートフィルムを用いた場合には、蓄電要素をラミネートフィルムで覆った後に、真空引きする。これにより、ラミネートフィルムが、蓄電要素の形状に沿って密着する。したがって、例えば、蓄電要素の一部に予め凹部を形成しておくことにより、外装材の膨張面に、簡単に凹部を形成することができる。
【0025】
(6)好ましくは、上記(1)の構成において、前記外装材は、フィルム部材からなり、該外装材の前記膨張面は、該フィルム部材の端部同士が貼着された封止部を有し、前記センサ膜は、該膨張面およびそれに続く該封止部に配置され、該外装材の膨張により該封止部が起立するに従って、該センサ膜が曲げ変形される構成とするとよい。
【0026】
外装材がラミネートフィルム等のフィルム部材からなる場合には、フィルム部材の一端と他端とを熱融着等により貼着して、封止することができる。本構成においては、フィルム部材の端部同士が貼着されてなる封止部を利用して、外装材の膨張を検知する。すなわち、センサ膜は、膨張面およびそれに続く封止部に配置される。換言すると、センサ膜は、膨張面と封止部とを跨いで配置される。外装材が膨張すると、封止部は起立する。これにより、センサ膜が曲げられる。この過程におけるセンサ膜の電気抵抗の変化により、外装材の膨張が検知される。また、本構成によると、センサ膜の一部が封止部に重なるように、変形センサを配置すればよい。このため、蓄電デバイスの製造が容易である。このように、本構成によると、封止部を利用して、簡単かつ低コストに、外装材の膨張を検知することができる。また、変形センサは、膨張面の封止部に配置される。このため、変形センサを配置しても、蓄電デバイスが大型化することはない。よって、蓄電デバイスを複数積層させてモジュール化した場合においても、省スペース化が可能である。
【0027】
(7)好ましくは、上記(1)の構成において、さ
らに、前記蓄電要素、前記外装材、および前記変形センサが収容される筐体を備え、該変形センサの一端は該筐体に取り付けられ、他端は該外装材の前記膨張面に取り付けられる構成とするとよい。
【0028】
本構成においては、変形センサが、筐体と外装材との間に橋渡しされるように配置される。外装材が膨張すると、筐体と外装材との隙間が小さくなる。これにより、変形センサのセンサ膜が曲げられる。この過程におけるセンサ膜の電気抵抗の変化により、外装材の膨張が検知される。このように、本構成によると、筐体を利用して、簡単かつ低コストに、外装材の膨張を検知することができる。
【0029】
(8)好ましくは、上記(1)ないし(7)のいずれかの構成において、前記センサ膜の前記母材は樹脂であり、該センサ膜には、曲げ変形した時に前記導電パスが切断される方向に、予めクラックが形成されている構成とするとよい。
【0030】
本構成のセンサ膜は、樹脂中に導電性フィラーが充填されてなる。上記(1)において説明した通り、センサ膜においては、導電性フィラー同士の接触により三次元的な導電パスが形成されおり、自然状態からの変形量が増加するに従って電気抵抗が増加する。これに加えて、本構成のセンサ膜には、曲げ変形した時に導電パスが切断される方向に、予めクラックが形成されている。
図12に、センサ膜におけるクラックの一部近傍を拡大した模式図を示す。なお、
図12は、本構成のセンサ膜を説明するための模式図である。よって、
図12は、クラックの形状、クラックの延在方向、導電性フィラーの形状等を何等限定するものではない。
図12中、(a)は曲げ変形前の自然状態を、(b)は曲げ変形後の状態を、各々示す。
【0031】
図12(a)に示すように、センサ膜800は、母材の樹脂801と導電性フィラー802とクラック803とを有している。センサ膜800には、導電性フィラー802同士の接触により、導電パスPが形成されている。クラック803は、
図12中、左右方向(伸張方向)と交差する方向に形成されている。センサ膜800が曲げ変形され、左右方向に伸張されると、
図12(b)に示すように、クラック803が開口する。これにより、導電性フィラー802同士の接触が断絶されて、導電パスPが切断される。その結果、電気抵抗が増加する。センサ膜800が元の状態(
図12(a)の自然状態)に復元すると、クラック803も元の状態に戻る。
【0032】
このように、本構成のセンサ膜においては、曲げ変形した際、樹脂の弾性変形を待たずに、導電パスが切断される(ただし、樹脂の弾性変形により導電パスが切断される場合を除外するものではない)。したがって、応答遅れが生じにくい。また、主にクラックの開口により導電パスが切断されるため、樹脂の弾性変形のみに依存して導電パスが切断される場合と比較して、小さな変形についても精度良く検知することができる。したがって、膨張面の変位が小さい場合であっても、外装材の膨張を検知することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明のよると、外装材の膨張を、簡単な構成で低コストに検知することができ、安全性に優れた蓄電デバイスを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の蓄電デバイスの実施形態について説明する。
【0036】
<第一実施形態> [蓄電デバイスの構成] まず、本実施形態の蓄電デバイスの構成について説明する。
図1に、本実施形態の蓄電デバイスの斜視図を示す。
図2に、ガス発生時における、
図1のII−II断面図を示す。なお、
図1においては、変形センサの最上面に配置されているカバーフィルムを省略すると共に、電極を透過して示す。
図1、
図2に示すように、蓄電デバイス1は、蓄電要素10と、外装材20と、変形センサ30と、を備えている。
【0037】
蓄電要素10は、直方体状を呈しており、複数のセルが積層された電極積層体(図略)を備えている。各々のセルは、セパレータを介して対向配置されている正極および負極と、集電板と、を有している。電解液は、正極および負極に含浸されている。
【0038】
外装材20は、ラミネートフィルムからなる。ラミネートフィルムは、アルミニウム箔と、その両側に積層されている一対の樹脂フィルムと、を有する。外装材20は、蓄電要素10の外周面を被覆している。外装材20の上面21は、本発明における膨張面に含まれる。
【0039】
変形センサ30は、外装材20の上面21に配置されている。変形センサ30は、基材31と、センサ膜32と、一対の電極33a、33bと、配線34a、34bと、カバーフィルム35と、を備えている。
【0040】
基材31は、ポリイミド製であって、L字形の帯状を呈している。基材31は、センサ部310と、配線部311と、を有する。センサ部310は、外装材20の上面21の左端から右端に亘って配置されている。センサ部310は、上面21の中央付近を覆うように配置されている。
【0041】
センサ膜32は、左右方向に延びる帯状を呈している。センサ膜32は、基材31のセンサ部310上面に配置されている。センサ膜32は、外装材20の上面21の左端から右端に亘って配置されている。センサ膜32は、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)に、カーボンビーズ(導電性フィラー)が充填されてなる。カーボンビーズの充填率は、センサ膜32の体積を100vol%とした場合の約45vol%である。
【0042】
一対の電極33a、33bは、各々、薄片状を呈している。一対の電極33a、33bは、各々、基材31とセンサ膜32との間に介装されている。電極33aは、センサ膜32の左端に配置されている。電極33aには、配線34aの一端が接続されている。電極33bは、センサ膜32の右端に配置されている。電極33bには、配線34bの一端が接続されている。
【0043】
配線34a、34bは、基材31のセンサ部310および配線部311の上面に配置されている。配線34a、34bの他端は、各々、図示しない制御ユニットに接続されている。
【0044】
カバーフィルム35は、アクリルゴム製であって、基材31と同様に、L字形の帯状を呈している。カバーフィルム35は、基材31、センサ膜32、および配線34a、34bを、上方から被覆している。
【0045】
[蓄電デバイスの動き] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の動きについて説明する。
図2中、白抜き矢印で示すように、蓄電要素10においてガスが発生すると、外装材20の上面21は、上方に膨出する。すると、変形センサ30も、上面21と共に下方から押し上げられる。これにより、センサ膜32は、上方に撓むように曲げ変形する。
【0046】
図1に示す曲げ変形前の自然状態において、センサ膜32には、カーボンビーズ同士の接触により、多数の導電パスが形成されている。したがって、電極33a、33b間において検出されるセンサ膜32の電気抵抗は、比較的小さい。これに対して、
図2に示すセンサ膜32の曲げ変形後の状態においては、カーボンビーズ同士の接触状態が変化することにより、導電パスが切断される。これにより、電極33a、33b間において検出されるセンサ膜32の電気抵抗は、曲げ変形前の自然状態における電気抵抗よりも、大きくなる。このように、蓄電デバイス1においては、出力された電気抵抗の増加により、外装材20の膨張が検知される。
【0047】
[作用効果] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の作用効果について説明する。本実施形態の蓄電デバイス1によると、変形センサ30を構成する基材31、センサ膜32、カバーフィルム35は、いずれも柔軟である。このため、外装材20の上面21の形状に沿うように、変形センサ30を配置することができる。これにより、外装材20の膨張を、正確に検知することができる。また、センサ膜32には、外装材20の上面21の変位が、基材31を介して直接入力される。したがって、例えば膨張の初期段階のように、上面21の変位が小さい場合でも、外装材20の膨張を検知しやすい。
【0048】
また、センサ膜32は、外装材20の上面21の左端から右端に亘って配置されている。このため、外装材20の膨張を漏れなく検知しやすい。さらに、センサ膜32は、上面21の中央付近を覆うように配置されている。上面21の中央付近は、膨張しやすい。つまり、上面21の中央付近の変位は、四辺付近の変位と比較して大きい。このため、外装材20の膨張を検知しやすい。
【0049】
また、外装材20の上面21に変形センサ30を貼着して、蓄電デバイス1を容易に製造することができる。また、変形センサ30は、シート状を呈している。このため、蓄電デバイス1を、コンパクトに構成することができる。よって、蓄電デバイス1を複数積層させてモジュール化した場合においても、省スペース化が可能である。
【0050】
本実施形態の蓄電デバイス1によると、センサ膜32の曲げ変形に伴う電気抵抗の増加により、外装材20の膨張を検知することができる。したがって、蓄電デバイス1の安全性は高い。また、外装材20の膨張挙動を利用して、充放電を制御することにより、蓄電デバイス1の高寿命化を図ることができる。また、以下に示すように、センサ回路を、蓄電要素10の充電回路に組み込むことにより、外装材20の膨張が規定値を超えた場合に充電を遮断する保護回路を、別途設ける必要はない。
図11に、充電回路の一例を示す。
【0051】
図11に示すように、センサ膜32の電気抵抗R
xと、基準抵抗R
0との比較により、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)のON/OFFを制御する。これにより、例えば、センサ膜32の電気抵抗R
xが、基準抵抗R
0よりも大きくなった場合、すなわち、外装材20が大きく膨張した場合には、IGBTをOFFにして、蓄電要素10への充電を遮断することができる。
【0052】
<第二実施形態> 本実施形態の蓄電デバイスと、第一実施形態の蓄電デバイスと、の主な相違点は、変形センサの構成、および変形入力部材を配置した点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。[蓄電デバイスの構成] まず、本実施形態の蓄電デバイスの構成について説明する。
図3に、本実施形態の蓄電デバイスの分解斜視図を示す。
図4に、同蓄電デバイスの断面図を示す。
図5に、
図4の領域V内の拡大図を示す。
図3は、
図1と対応している。よって、
図3中、
図1と対応する部材については、同じ符号で示す。また、
図3においては、変形センサの電極、センサ膜、および配線を透過して示す。また、
図5においては、説明の便宜上、クラックC1を誇張して示す。
図3〜
図5に示すように、蓄電デバイス1は、デバイス本体40と、筐体41と、棒部材42と、を備えている。デバイス本体40は、蓄電要素1
0と、外装材20と、変形センサ50と、を備えている。
【0053】
変形センサ50は、外装材20の上面21に配置されている。変形センサ50は、基材51と、センサ膜52と、一対の電極53a、53bと、配線54a、54bと、を備えている。
【0054】
基材51は、ポリイミド製であって、L字形の帯状を呈している。基材51は、センサ部510と、配線部511と、を有する。センサ部510は、外装材20の上面21の左端から右端に亘って配置されている。センサ部510は、上面21の中央付近を覆うように配置されている。
【0055】
センサ膜52は、左右方向に延びる短冊状を呈している。センサ膜52は、センサ部510の下面中央付近に配置されている。すなわち、センサ膜52は、基材51と、外装材20の上面21と、の間に介装されている。センサ膜52は、外装材20の上面21に接着されている。
【0056】
センサ膜52は、エポキシ樹脂に、カーボンビーズが充填されてなる。カーボンビーズの充填率は、センサ膜52の体積を100vol%とした場合の約45vol%である。変形前の自然状態において、センサ膜52には、カーボンビーズ同士の接触により、多数の導電パスが形成されている。また、
図5に模式的に示すように、センサ膜52には、予め複数のクラックC1が形成されている。クラックC1は、センサ膜52が曲げ変形した時に導電パスが切断されるように、形成されている。すなわち、クラックC1は、センサ膜52の厚さ方向(上下方向)に延びるように、形成されている。
【0057】
ここで、センサ膜52の製造方法を説明する。まず、エポキシ樹脂の硬化前樹脂と、硬化剤と、カーボンビーズと、を混合して、センサ塗料を調製する。次に、基材51の表面に、センサ塗料を塗布する。そして、センサ塗料の塗膜が内側になるように基材51を湾曲させて、その状態で加熱して、塗膜を硬化させる。その後、基材51を、湾曲した状態から、元の平面状態に戻す。この際、硬化した塗膜(センサ膜)に、クラックC1が形成される。
【0058】
一対の電極53a、53bは、各々、薄片状を呈している。一対の電極53a、53bは、各々、基材51とセンサ膜52との間に介装されている。電極53aは、センサ膜52の左端に配置されている。電極53aには、配線54aの一端が接続されている。電極53bは、センサ膜52の右端に配置されている。電極53bには、配線54bの一端が接続されている。
【0059】
配線54a、54bは、基材51のセンサ部510および配線部511の下面に配置されている。配線54a、54bの他端は、各々、図示しない制御ユニットに接続されている。
【0060】
筐体41は、本体部43と、蓋部44と、一対の緩衝材45a、45bと、を備えている。本体部43は、箱状を呈している。本体部43には、デバイス本体40が、一対の緩衝材45a、45bと共に収容されている。緩衝材45aは、熱可塑性ゴム製であり、直方体状を呈している。緩衝材45aには、支持凹部450aが形成されている。支持凹部450aには、デバイス本体40の左端が収容されている。同様に、緩衝材45bも、熱可塑性ゴム製であり、直方体状を呈している。緩衝材45bには、支持凹部450bが形成されている。支持凹部450bには、デバイス本体40の右端が収容されている。蓋部44は、本体部43の上方開口を覆うように配置される。蓋部44の下面には、前後方向に延びる取付部440が配置されている。
【0061】
棒部材42は、前後方向に延びる円柱状を呈している。棒部材42は、蓋部44の取付部440に固定されている。棒部材42は、曲面部420を有する。曲面部420は、変形センサ50の基材51上面に当接している。棒部材42は、変形センサ50の一対の電極53a、53b同士を結ぶ線と、略直交するように配置されている。換言すると、棒部材42は、センサ膜52と略直交するように、配置されている。
【0062】
[蓄電デバイスの動き] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の動きについて説明する。
図5に拡大して示すように、蓄電要素10においてガスが発生すると、外装材20の上面21は、上方に膨出する。すると、変形センサ50も、上面21と共に下方から押し上げられる。この際、センサ膜52は、棒部材42から押圧され、棒部材42の曲面部420に沿って、下方に撓むように曲げ変形する。
【0063】
センサ膜52が曲がると、センサ膜52内のクラックC1が開口する。これにより、導電パスが切断される。加えて、カーボンビーズ同士の接触状態が変化することにより、導電パスが切断される。その結果、電極53a、53b間において検出されるセンサ膜52の電気抵抗は、曲げ変形前の状態における電気抵抗よりも、大きくなる。このように、蓄電デバイス1においては、出力された電気抵抗の増加により、外装材20の膨張が検知される。
【0064】
[作用効果] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の作用効果について説明する。本実施形態の蓄電デバイス1は、第一実施形態の蓄電デバイス1と共通する部分については、第一実施形態と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態の蓄電デバイス1によると、主に棒部材42との当接により、センサ膜52が曲げ変形する。したがって、外装材20の膨張のみにより曲げ変形する場合と比較して、センサ膜52の曲げ変形量は、大きくなる。これにより、外装材20の変位に対する電気抵抗の増加が大きくなる。すなわち、棒部材42を配置するという比較的簡単な構成で、変形センサ50の感度を、高めることができる。したがって、本実施形態の蓄電デバイス1によると、上面21の変位が小さい場合であっても、外装材20の膨張を検知することができる。
【0065】
また、外装材20の膨張前の状態において、棒部材42と変形センサ50とは当接している。これにより、外装材20の膨張の初期段階で、センサ膜52の曲げ変形が開始される。したがって、外装材20の初期の膨張についても、検知することができる。また、棒部材42は、センサ膜52と略直交するように配置されている。このため、センサ膜52が曲げ変形しやすい。
【0066】
また、センサ膜52には、クラックC1が形成されている。センサ膜52が曲げ変形すると、クラックC1が開口する。これにより、導電パスが切断されて、センサ膜52の電気抵抗が、速やかに増加する。したがって、応答遅れが小さい。また、主にクラックC1の開口により導電パスが切断されるため、エポキシ樹脂の弾性変形のみに依存して導電パスが切断される場合と比較して、小さな変形についても精度良く検知することができる。したがって、上面21の変位が小さい場合であっても、外装材20の膨張を検知することができる。
【0067】
<第三実施形態> 本実施形態の蓄電デバイスと、第一実施形態の蓄電デバイスと、の主な相違点は、変形センサの構成、および配置形態である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。[蓄電デバイスの構成] まず、本実施形態の蓄電デバイスの構成について説明する。
図6に、本実施形態の蓄電デバイスの斜視図を示す。
図7に、
図6のVII−VII断面図を示す。
図6は、
図1と対応している。よって、
図6中、
図1と対応する部材については、同じ符号で示す。また、
図6においては、変形センサの電極、センサ膜、および配線を透過して示す。
図6、
図7に示すように、蓄電デバイス1は、蓄電要素10と、外装材20と、変形センサ50と、を備えている。
【0068】
外装材20の上面21の前端部中央付近には、凹部22が形成されている。凹部22は、断面台形状を呈している。変形センサ50は、基材51と、センサ膜52と、一対の電極53a、53bと、配線54a、54bと、を備えている。変形センサ50の構成は、上記第二実施形態と同じである。よって、ここでは説明を割愛する。
【0069】
変形センサ50における基材51の配線部511は、外装材20の上面21の右端に沿って、配置されている。一方、基材51のセンサ部510は、上面21の前端に沿って、配置されている。センサ部510の中央付近は、凹部22の形状に沿うように曲げられて、配置されている。センサ部510の下面中央付近には、センサ膜52が配置されている。センサ膜52は、凹部22の形状に沿って曲げ変形された状態で配置されている。
【0070】
ここで、変形センサ50の配置方法を説明する。まず、凹部22の形状と略同じ形状の切り欠き部を、蓄電要素10の上面の前端中央付近に形成する。次に、蓄電要素10を外装材20で被覆する。その後、外装材20の上面の前端および右端に沿って、変形センサ50を接着する。続いて、外装材20の内部の空気を、真空引きして抜く。すると、外装材20が、蓄電要素10の外周面に密着する。その結果、蓄電要素10の切り欠き部に沿うように、外装材20の上面21に、凹部22が形成される。同時に、外装材20と共に、センサ部510の中央付近も、凹部22の形状に沿うように変形する。この際、センサ膜52には、引張歪みが入力される。そして、センサ膜52は、凹部22の形状に沿って曲げ変形された状態で配置される。
【0071】
[蓄電デバイスの動き] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の動きについて説明する。蓄電要素10においてガスが発生すると、外装材20の上面21は、上方に膨出する。この際、凹部22の底面も、上方に膨出する。これにより、変形センサ50は、凹部22と共に下方から押し上げられ、平らな状態(自然状態)に近づいていく。つまり、センサ膜52は、曲げ変形される前の自然状態に戻ろうとする。
【0072】
ガス発生前の、センサ膜52の曲げ変形状態においては、クラックC1の開口、およびカーボンビーズ同士の接触状態の変化により、導電パスの一部が切断されている。したがって、電極53a、53b間において検出されるセンサ膜52の電気抵抗は、比較的大きい。これに対して、ガス発生後の、センサ膜52が自然状態に復元する過程においては、クラックC1が閉口し、カーボンビーズ同士の接触状態が回復することにより、導電パスが形成される。これにより、電極53a、53b間において検出されるセンサ膜52の電気抵抗は、曲げ変形状態における電気抵抗よりも、小さくなる。このように、蓄電デバイス1においては、出力された電気抵抗の減少により、外装材20の膨張の初期段階が検知される。
【0073】
[作用効果] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の作用効果について説明する。本実施形態の蓄電デバイス1は、第一、第二実施形態の蓄電デバイス1と共通する部分については、第一、第二実施形態と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態の蓄電デバイス1によると、センサ膜52が、曲げ変形状態から自然状態へ復元する過程における電気抵抗の減少により、外装材20の膨張の初期段階を検知することができる。よって、ガス発生開始時の挙動を検知するのに好適である。また、外装材20の上面21の凹部22を利用して、簡単かつ低コストに、外装材20の膨張を検知することができる。また、センサ膜52は、凹部22に配置されるため、蓄電デバイス1を、コンパクトに構成することができる。よって、蓄電デバイス1を複数積層させてモジュール化した場合においても、省スペース化が可能である。
【0074】
<第四実施形態> 本実施形態の蓄電デバイスと、第一実施形態の蓄電デバイスと、の主な相違点は、変形センサの構成、および配置形態である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。[蓄電デバイスの構成] まず、本実施形態の蓄電デバイスの構成について説明する。
図8に、本実施形態の蓄電デバイスの断面図を示す。
図9に、ガス発生時における同蓄電デバイスの断面図を示す。
図8、
図9に示すように、蓄電デバイス1は、蓄電要素10と、外装材20と、変形センサ50と、を備えている。
【0075】
外装材20は、ラミネートフィルムからなる。外装材20の上面21には、前後方向に延びる封止部23が配置されている。封止部23は、蓄電要素10の上面において重なり合う外装材
20の一端と他端とが、熱融着されてなる。封止部23は、右方に倒れた状態で配置されている。封止部23と外装材20の上面21とは、固定されていない。
【0076】
変形センサ50は、基材51と、センサ膜52と、一対の電極53a、53bと、配線(図略)と、を備えている。基材51は、ポリイミド製であって、帯状を呈している。基材51は、外装材20の上面21の左端から、封止部23に重なるように配置されている。
【0077】
センサ膜52は、左右方向に延びる短冊状を呈している。センサ膜52は、外装材20の上面21中央付近から、封止部23に重なるように配置されている。センサ膜52は、基材51と、外装材20と、の間に介装されている。センサ膜52の構成および製造方法は、上記第二実施形態と同じである。よって、ここでは説明を割愛する。
【0078】
一対の電極53a、53bは、各々、薄片状を呈している。一対の電極53a、53bは、各々、基材51とセンサ膜52との間に介装されている。電極53aは、センサ膜52の左端に配置されている。電極53bは、センサ膜52の右端に配置されている。電極53a、53bには、各々、配線の一端が接続されている。
【0079】
[蓄電デバイスの動き] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の動きについて説明する。
図9中、白抜き矢印で示すように、蓄電要素10においてガスが発生すると、外装材20の上面21は、上方に膨出する。すると、倒れていた封止部23が起立する。封止部23が起立すると、変形センサ50のうち、封止部23に重ねられていた部位が起立する。つまり、センサ膜52が、曲げ変形する。
【0080】
センサ膜52が曲がると、センサ膜52内のクラックC1が開口する。これにより、導電パスが切断される。加えて、カーボンビーズ同士の接触状態が変化することにより、導電パスが切断される。その結果、電極53a、53b間において検出されるセンサ膜52の電気抵抗は、曲げ変形前の状態における電気抵抗よりも、大きくなる。このように、蓄電デバイス1においては、出力された電気抵抗の増加により、外装材20の膨張が検知される。
【0081】
[作用効果] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の作用効果について説明する。本実施形態の蓄電デバイス1は、第一、第二実施形態の蓄電デバイス1と共通する部分については、第一、第二実施形態と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態の蓄電デバイス1においては、センサ膜52の一部が封止部23に重なるように、変形センサ50を配置すればよい。このため、蓄電デバイス1の製造が容易である。このように、本実施形態の蓄電デバイス1によると、外装材20の封止部23を利用して、簡単かつ低コストに、外装材20の膨張を検知することができる。また、変形センサ50は、外装材20の上面21および封止部23に配置される。このため、蓄電デバイス1を、コンパクトに構成することができる。よって、蓄電デバイス1を複数積層させてモジュール化した場合においても、省スペース化が可能である。
【0082】
<第五実施形態> 本実施形態の蓄電デバイスと、第二実施形態の蓄電デバイスと、の主な相違点は、変形センサの配置形態、および変形入力部材を配置しない点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。[蓄電デバイスの構成] まず、本実施形態の蓄電デバイスの構成について説明する。
図10に、本実施形態の蓄電デバイスの断面図を示す。
図10は、
図4と対応している。よって、
図10中、
図4と対応する部材については、同じ符号で示す。
図10に示すように、蓄電デバイス1は、デバイス本体40と筐体41とを備えている。デバイス本体40は、蓄電要素10と、外装材20と、変形センサ50と、を備えている。
【0083】
変形センサ50は、外装材20と筐体41の蓋部44との間に介装されている。変形センサ50は、基材51と、センサ膜52と、一対の電極53a、53bと、配線(図略)と、カバーフィルム55と、を備えている。
【0084】
基材51は、ポリイミド製であって、断面C字形の短冊状を呈している。基材51の上端は筐体41の蓋部44に固定されている。また、基材51の下端は外装材20の上面21に固定されている。
【0085】
センサ膜52は、上下方向に延びる短冊状を呈している。センサ膜52は、基材51の左面に配置されている。センサ膜52の構成および製造方法は、上記第二実施形態と同じである。よって、ここでは説明を割愛する。
【0086】
一対の電極53a、53bは、各々、薄片状を呈している。一対の電極53a、53bは、各々、基材51とセンサ膜52との間に介装されている。電極53aは、センサ膜52の上端に配置されている。電極53bは、センサ膜52の下端に配置されている。電極53a、53bには、各々、配線の一端が接続されている。
【0087】
カバーフィルム55は、アクリルゴム製であって、上下方向に延びる短冊状を呈している。カバーフィルム55は、センサ膜52を、左方から被覆している。
【0088】
[蓄電デバイスの動き] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の動きについて説明する。蓄電要素10においてガスが発生すると、外装材20の上面21は、上方に膨出する。これにより、上面21と、筐体41の蓋部44と、の間の距離が短くなる。ここで、変形センサ50の下端は、上面21に固定されているため、上面21の膨出と共に、左方に撓むように曲げ変形する。 センサ膜52が曲がると、センサ膜52内のクラックC1が開口する。これにより、導電パスが切断される。加えて、カーボンビーズ同士の接触状態が変化することにより、導電パスが切断される。その結果、電極53a、53b間において検出されるセンサ膜52の電気抵抗は、曲げ変形前の状態における電気抵抗よりも、大きくなる。このように、蓄電デバイス1においては、出力された電気抵抗の増加により、外装材20の膨張が検知される。
【0089】
[作用効果] 次に、本実施形態の蓄電デバイス1の作用効果について説明する。本実施形態の蓄電デバイス1は、第一、第二実施形態の蓄電デバイス1と共通する部分については、第一、第二実施形態と同様の作用効果を奏する。また、本実施形態の蓄電デバイス1においては、筐体41を利用して、簡単かつ低コストに、外装材20の膨張を検知することができる。
【0090】
<その他> 以上、本発明の蓄電デバイスの実施形態について説明した。しかしながら、本発明の蓄電デバイスの実施形態は上記形態に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0091】
例えば、変形センサの形状、構成については、上記実施形態に限定されない。第一実施形態では、センサ膜の母材に、EPDMを使用した。しかし、母材のエラストマーの種類は特に限定されない。例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
【0092】
また、第二〜第五実施形態では、センサ膜の母材に、エポキシ樹脂を使用した。しかし、母材の樹脂の種類は特に限定されない。例えば、熱硬化樹脂としては、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド等が挙げられる。また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
【0093】
母材に充填される導電性フィラーは、導電性を有する粒子であればよい。例えば、炭素材料、金属等の微粒子が挙げられる。これらのうち、一種を単独で、あるいは二種以上を併せて用いることができる。なお、導電パスの形成のため、母材中における導電性フィラーの充填状態を、最密充填状態に近づけるという観点から、導電性フィラーとしては、球状の粒子を採用するとよい。また、電極の数、形状、配置場所等についても、適宜設定すればよい。
【0094】
第二〜第五実施形態では、センサ膜にクラックを形成した。クラックを形成する方法は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、凹凸を有する基材の表面に、センサ塗料を印刷して硬化させてもよい。こうすると、塗膜の硬化時に凹凸の角部分に応力が集中して、クラックを形成することができる。硬化後、さらにセンサ膜を曲げ加工すると、クラックを増加させて、樹脂中に分散させることができる。
【0095】
また、第一、第五実施形態では、センサ膜の表面を覆うように、カバーフィルムを配置した。しかし、カバーフィルムは必ずしも必要ではない。
【0096】
第一実施形態では、変形センサを、外装材の上面(膨張面)の左端から右端に亘って配置した。しかし、変形センサを配置する場所は、特に限定されない。例えば、センサ膜が膨張面の全体を覆うように、変形センサを配置してもよい。
【0097】
第二実施形態では、変形入力部材として、円柱状の棒部材を使用した。しかし、変形入力部材の形状、配置形態等については、特に限定されない。変形入力部材については、筐体に固定してもよく、外装材の膨張面に直接配置してもよい。例えば、デバイス本体(蓄電要素+外装材+変形センサ)を紐部材で縛り、当該紐部材を変形入力部材として使用してもよい。また、第2実施形態では、変形入力部材をセンサ膜と略直行するように配置した。しかし、変形入力部材のセンサ膜に対する配置方向については、特に限定されない。変形入力部材をセンサ膜に対して交差して配置すればよく、例えば、変形入力部材をセンサ膜に対して斜めに配置してもよい。なお、センサ膜を曲げ変形させるという観点から、変形入力部材は、変形センサと当接する曲面部を有することが望ましい。
【0098】
第三実施形態では、外装材の膨張面の凹部に、センサ膜を配置した。この場合、凹部の形状、数、配置する場所等については、特に限定されない。また、第三実施形態では、センサ膜を、基材の下面に配置した。すなわち、センサ膜を、曲げ変形によりクラックの一部が開口した状態で、配置した。しかし、センサ膜の初期状態におけるクラック開口の有無は、特に限定されない。例えば、上記第三実施形態の変形センサを、上下反対にして(基材の上面にセンサ膜が配置されるように)、配置してもよい。
【0099】
上記実施形態では、外装材として、ラミネートフィルムを使用した。しかし、外装材の材質は、特に限定されない。例えば、外装材が金属製のケースでもよい。また、上記実施形態では、センサ膜を一対の電極間を結ぶ帯状や短冊状とした。しかし、センサ膜の形状については、特に限定されない。センサ膜の初期抵抗値が所望の設定値となるようにセンサ膜の形状を適宜設定すればよく、例えば、センサ膜を一対の電極間を任意の直線や曲線で結ぶ形状としてもよい。
【実施例】
【0100】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0101】
<第一の応答実験> 上記第一実施形態と同様の形態の蓄電デバイスモデルを作製し、外装材を膨張させて、外装材の膨らみ量に対する変形センサの応答性を評価した。蓄電デバイスモデルの大きさは、縦(左右方向長さ)260mm、横(前後方向長さ)230mm、厚さ(上下方向長さ)48mmである。また、センサ膜の大きさは、縦260mm、横5mmである。
図13に、変形センサの電気抵抗および外装材の膨らみ量の経時変化を示す。
図13においては、変形センサの抵抗増加率を太線で示し、外装材の膨らみ量を細線で示す。
図13の縦軸の抵抗増加率は、次式(1)により算出される。また、膨らみ量は、蓄電デバイスモデルの中央付
近における厚さ方向の変位を、レーザー変位計で測定した。抵抗増加率(−)=ΔR/R
0=(R−R
0)/R
0・・・(1)[R
0:外装材膨張前の初期電気抵抗値、R:外装材膨張後に測定された電気抵抗値]
図13に示すように、外装材の膨らみ量が増加するに従って、変形センサの電気抵抗が増加した。変形センサの電気抵抗の変化は、外装材の膨張、収縮挙動と略一致した。
【0102】
<第二の応答実験> 筐体を用いない点以外は、上記第二実施形態と同様の形態の蓄電デバイスモデルを作製し、外装材を膨張させて、外装材の膨らみ量に対する変形センサの応答性を評価した。棒部材については、別途支持部材で支持して、変形センサに当接させた。棒部材の直径は、9mmである。デバイス本体の大きさは、第一応答実験のモデルと同じである。また、センサ膜の大きさは、縦30mm、横5mmである。外装材の膨らみ量は、棒部材の左方側のデバイス本体の厚さ方向の変位を、レーザー変位計で測定した。
図14に、変形センサの電気抵抗および外装材の膨らみ量の経時変化を示す。
図14においては、変形センサの抵抗変化率を太線で示し、外装材の膨らみ量を細線で示す。
図14の縦軸の抵抗変化率は、次式(2)により算出される。抵抗変化率(−)=R/R
0・・・(2)
図14に示すように、外装材の膨らみ量が増加するに従って、変形センサの電気抵抗が増加した。変形センサの電気抵抗の変化は、外装材の膨張、収縮挙動と略一致した。
【0103】
<第三の応答実験> 上記第三実施形態と同様の蓄電デバイスモデルを作製し、外装材を膨張させて、凹部底面の変位量に対する変形センサの応答性を評価した。蓄電デバイスモデルの大きさは、第一応答実験と同じである。また、凹部の大きさは、断面の台形形状において、上底40mm、下底20mm、高さ5mmである。また、凹部に配置する前のセンサ膜の大きさは、縦60mm、横5mmである。凹部底面の変位量は、凹部底面の上下方向の変位を、レーザー変位計で測定した。
図15に、変形センサの電気抵抗および凹部底面の変位量の経時変化を示す。
図15においては、変形センサの抵抗変化率を太線で示し、凹部底面の変位量を細線で示す。
図15の縦軸の抵抗変化率は、前式(2)により算出される。
【0104】
図15に示すように、外装材の膨張と共に凹部底面が上方に変位し始めると、変形センサの電気抵抗は急激に減少した。このように、本形態の蓄電デバイスによると、ガス発生直後の外装材の膨張を、精度良く検知することができる。