【発明の効果】
【0014】
好ましい実施態様では、多回投与、使用者選択可能デバイスの中に含まれるインスリンなどの基本薬物化合物(master drug compound)は、第2の薬剤の単回投与量を含む単回使用、使用者交換可能モジュール及び単回投与インターフェイスによって使用することが可能である。1番目のデバイスに連結した場合に、第2の化合物は1番目の化合物の投与時にアクティブ化/送達される。本開示は2つの可能な薬物組み合わせとしてインスリン、インスリンアナログ又はインスリン誘導体、及びGLP−1又はGLP−1を特に記載するが、鎮痛薬、ホルモン、βアゴニスト又はコルチコステロイドなどの他の薬物若しくは薬物組み合わせ、又はいずれの上記薬物の組み合わせも本開示で使用することが可能である。
【0015】
用語「インスリン」は、ヒトインスリン又はヒトインスリンアナログ若しくは誘導体を含む、インスリン、インスリンアナログ、インスリン誘導体又はその混合物を意味するものとする。インスリンアナログの例は、限定されるものではなく、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリン、ここでB28位置のプロリンはAsp、Lys、Leu、Val又はAlaによって置換されてよく、そしてここでB29位置においてLysはProによって置換されてよい;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン又はDes(B30)ヒトインスリンである。インスリン誘導体の例は、限定されるものではなく、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイル−ヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−Y−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0016】
本明細書で使用される用語「GLP−1」は、限定されるものではなく、エキセナチド(エキセンジン−4(1−39)、配列H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2)のペプチド、エキセンジン−3、リラグルチド、又はAVE0010(H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Ser−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−Lys−NH
2)を含む、GLP−1、GLP−1アナログ、又はその混合物を意味するものとする。
【0017】
βアゴニストの例は、限定されるものではなく、サルブタモール、レボサルブタモール、テルブタリン、ピルブテロール、プロカテロール、メタプロテレノール、フェノテロール、メシル酸ビトルテロール、サルメテロール、ホルモテロール、バンブテロール、クレンブテロール、インダカテロールである。
【0018】
ホルモンは、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、例えば脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0019】
1つの態様によれば、薬用モジュールで用いるリザーバが提供される。薬用モジュールは、好ましくは解除可能に薬物送達デバイスに取り付けられる。リザーバは可撓性ハウジングを含んでよい。あるいは、リザーバは少なくとも1つの可撓性セクションを有するハウジングを含んでよい。この場合に、ハウジングはより小さい可撓性又は剛性のセクションを含んでもよい。少なくとも部分的に可撓性のハウジングは内部チャンバを画成し得る。リザーバのハウジングは近位端及び遠位端を含んでよい。リザーバは末端キャップを含んでよい。末端キャップはハウジングより小さい可撓性で、特にハウジングの可撓性セクションより小さい可撓性であり得る。末端キャップは剛性であり得る。特に、末端キャップは、ハウジングの少なくとも1つの可撓性セクションを製作するために用いられる材料よりも剛性の材料を用いて構成される。末端キャップはハウジングの近位端に位置してよい。従って、内部チャンバの、好ましくは内部チャンバの近位端は末端キャップで密閉されてよい。リザーバは弁を含んでよい。リザーバ及び弁は一体的に形成され得る。弁はハウジングの少なくとも1つの可撓性セクションに配置されてよい。特に弁周囲部位は可撓性であり得る。弁は可撓性の弁であってよい。弁は可撓性ハウジングの遠位端に適宜位置している。
【0020】
可撓性の又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングは、医療グレードのシリコン、熱可塑性エラストマー、又は類似の材料を用いて製作し得るが、ただし構成材料はリザーバに含まれる薬剤と親和性がある。
【0021】
更なる態様は薬用モジュールに関する。薬用モジュールは、好ましくは解除可能に薬物送達デバイスに取り付けられる。該薬物送達デバイスは、第1の薬剤の少なくとも1つの用量、好ましくは複数の用量を保持する一次リザーバを含んでよい。薬用モジュールは第2の薬剤、好ましくは第2の薬剤の単回用量を含んでよい。第2の薬剤は既述のリザーバの内部チャンバに保持され得る。薬用モジュールは薬用ニードルであってよい。薬用モジュールは第1又は遠位ニードルカニューレを含んでよい。薬用モジュールは第2又は近位ニードルカニューレを含んでよい。薬用モジュールのリザーバは、第1と第2のニードルカニューレ間で軸方向に配置されてよい。ニードルカニューレはリザーバとの流体連通を確立するために構成され得る。遠位ニードルカニューレの遠位端は注射部位に適用されるように構成され得る。遠位ニードルカニューレの近位端は、リザーバ、特にリザーバの遠位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するために構成され得る。近位ニードルカニューレの遠位端は、リザーバ、特にリザーバの近位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するために構成され得る。近位ニードルの近位端は、一次リザーバ、特に一次リザーバの遠位端に配置されるシール又はセプタムを穿孔するために構成され得る。薬用モジュール、特に薬用モジュールのリザーバは、特に流体連通が2番目のリザーバと少なくとも1つの第1及び第2のニードルカニューレとの間で確立される前に、薬用モジュールがデバイスに取り付けられるとき、第2の薬剤でプレフィルドされてよい。薬物送達デバイス、特に一次リザーバは、モジュールがデバイスに取り付けられる前に第1の薬剤で少なくとも部分的に満たされてよい。
【0022】
薬物送達デバイスは、薬用モジュールがデバイスに取り付けられる前に、又は薬用モジュールがデバイスから取り外された後に、第1の薬剤の用量を設定し投与するのに好適であり得る。従って、デバイスは単独型デバイスを形成し、例えば薬用モジュールの不存在下でも動作するように構成され得る。このために、ニードルカニューレは、好ましくは取り外し可能にデバイスの遠位端に取り付けられてよい。
【0023】
薬用モジュールはハウジングを含んでよい。ハウジングは遠位端及び近位端を有してよい。ハウジングは薬物送達デバイスへの取り付けのために構成され得る。ハウジング、好ましくは、ハウジングの遠位端はコネクタを有してよい。コネクタは薬物送達デバイスへの取り付けのために構成され得る。既述のリザーバはハウジングの一部分に適宜配置されてよい。薬用モジュールはガード、特にニードルガードを含んでよい。ニードルガードはハウジングに操作可能に連結し得る。ニードルガードは、薬用モジュールの一部分に配置されたニードルカニューレに対して保護するように適合され配置されてよい。ニードルガードは注射部位に適用中に軸方向において動くように構成され得る。ニードルガードは、薬用モジュールの可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングを係合するように構成され得る。
【0024】
リザーバの剛性末端キャップは、第2の薬剤と内部チャンバの外側間に液体シールを備えてよい。剛性末端キャップは弁を含んでよい。該弁はチェック又はダック弁を含んでよい。逆止又はダック弁は内部チャンバと、そして特に第2の薬剤と流体連通し得る。
【0025】
リザーバの遠位端に配置し得る弁はスリット弁、即ちラクダの背型弁であってよい。スリット弁は内部チャンバ、そして特に内部チャンバに保持された第2の薬剤と流体連通し得る。注射中、特に既述のニードルガードが軸方向、特に近位方向に動くとき、例えばニードルガードが後退するとき、このスリット弁は、少なくとも部分的に可撓性のハウジング及びニードルガードの機械的協動に因り開放位置へと押し付けられ、例えば圧搾される(squeezed)。特に、弁の圧搾(squeezing)は、弁が配置されるハウジングの可撓性セクションによって可能にされ得る。特に、ニードルガードの後退時には、ニードルガード及びハウジングの機械的協動、特にニードルガード及びハウジングの可撓性セクションの機械的協動は、リザーバの遠位端に配置されたスリット弁を開くように圧搾し得て、次いで内部チャンバから第2の薬剤が流れ出すことを可能にする。遠位配置弁が開くと、リザーバ内の水圧は近位配置弁の遠位部分、即ち剛性末端キャップの弁で低下する。剛性末端キャップの近位側及び剛性末端キャップの近位部分に加えられた第1の薬剤の圧力は、剛性末端キャップの弁を強制的に開かせ、第1の薬剤の設定用量がリザーバの内部チャンバに流入することを可能にし、次いで第2の薬剤を送り出して強制的に排出させる。
【0026】
実施態様によれば、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングは好ましくは半径方向の突出部を含む。突出部は可撓性ハウジング外面に配置されてよい。好ましくは半径方向の突出部は弁に操作可能に連結され得る。リザーバの可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの、特に突出部の機械的協動、及びニードルガードはリザーバの弁の開口を可能にし得る。
【0027】
実施態様によれば、リザーバはバイパスチャンネルを含む。バイパスチャンネルは薬用モジュールのリザーバをバイパスする流体経路を含んでよい。バイパスチャンネルは可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの近位端を遠位端に連結し得る。バイパスチャンネルは好ましくは可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの一体部分として形成される。しかしながら、バイパスチャンネルは適宜内部チャンバと流体連通しているわけではない。バイパスチャンネルは弁を含んでよい。弁はバイパスチャンネルの遠位端に配置されてよい。あるいは、弁はバイパスチャンネルの近位端に配置されてよい。弁は、ハウジングの少なくとも1つの可撓性セクション又は更なる可撓性セクションに配置されてよい。好ましくは、弁は上述のように、好ましくは内部チャンバの遠位端に配置されたスリット弁に設計において類似しているスリット弁である。バイパスチャンネルの近位端はキャップで密閉されていなくてよい。従って、バイパスチャンネルは、薬用モジュールが注射器具に取り付けられる場合に、一次リザーバに保持された第1の薬剤の流体流に対して開放されていてよい。突出部はバイパスチャンネルの外側面に位置してよい。突出部はバイパス弁に操作可能に連結され得る。突出部は、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの既述突出部よりも薬用モジュールの遠位端に近接して配置されてよい。突出部は、薬用モジュールが薬物送達デバイスに連結される場合に、ニードルガードと機械的協動をするように、好ましくは係合するように構成され得る。本係合はバイパスチャンネルのスリット弁を開かせ得る。この弁の位置で、ニードルガードは伸長した例えば遠位位置において、そしてモジュールは薬物送達デバイスに取り付けられ、薬用モジュールは第1の薬剤でプライミングすることができる。特に、第1の薬剤は、開かれたバイパス弁に因りバイパスチャンネルを通して流れ得る。内部チャンバの遠位端に配置された末端キャップ弁及びスリット弁は閉じられるので、第1の薬剤は、モジュールのプライミングのために、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの内部チャンバを通して流れることが防止される。
【0028】
注射のために、ニードルガードはモジュールハウジングへ後退し得て、例えばニードルガードは近位方向に動き得る。従って、ニードルガードはバイパスチャンネルで突出部をもはや係合し得ず、従ってバイパススリット弁を閉鎖することが可能となる。ニードルガードが更に後退するときに、好ましくは軸方向に、特に近位方向に配置される可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングで、それは他の突出部と機械的協働をして特に係合し得て、薬用モジュールが上述のようにデバイスに取り付けられる場合には、ニードルガードが係合する突出部から相殺される。従って、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの遠位端における内部チャンバ弁は開かれ得る。一次リザーバ及び薬用モジュールのリザーバの流体連通、それ故に可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジング中に含まれる第2の薬剤の投与が上述のように可能となり得る。
【0029】
特に、後退中、例えば近位方向における動き中に、ニードルガードは、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの外側に位置する前記突出部を係合し得る。本係合は突出部に力を及ぼし得て、順に可撓性ハウジングが撓み又は変形するようにし得て、それ故に可撓性ハウジングの遠位端に好ましくは配置されるスリット弁を開く。突出物からのガードの係合解除は力を除き得る。従って、ニードルガード及び突出部の係合解除後に、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングは弁を閉鎖させることによりその元の形状に戻し得る。
【0030】
実施態様によれば、リザーバの内部チャンバは、第2の薬剤で、好ましくは第2の薬剤の単回用量でプレフィルドされる。第2の薬剤はGLP−1又はインスリンとGLP−1のプレミックスなどの液状製剤であってよい。
【0031】
既述リザーバを保持する薬用モジュールは上述のハウジングを含む。ハウジングは複数部材を含むことができる。好ましくは、ハウジングは、薬用モジュールにおいて安定に取り付けられ、そしてニードルガード後退中に内部チャンバと流体連通しているように構成された2つのニードルカニューレを含む。薬用モジュールが先ず薬物送達デバイスに取り付けられるとき、薬用モジュール中のニードルガードは遠位に強制又は付勢され得て、リザーバの可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの突出部、例えば可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの遠位端により近接して配置された突出部、例えばバイパスチャンネルの外面に配置された突出部の1つを係合させる。従って、流体バイパスチャンネルの底部又は遠位端のバイパススリット弁は開かれ得る。本流体流路又はチャンネルは、第1の/1番目の薬剤の送達/プライミングにおいて送達デバイスのプライミング機能に使用し得る。本バイパスは、1番目の薬剤が、内部チャンバ内に含まれる薬剤との相互作用なしに投与インターフェイスに流れることができるように、デザインされた多数の手段によって達成することができる。好ましくは、バイパスは、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの一部として、例えば、第1の薬剤が近位ニードルカニューレを通して一次リザーバからバイパスへ流入し、次いでスリット弁を通してそして最後に遠位又は注射針から流出するように、リザーバの外壁を流れ下る管又は導管として構成される。
【0032】
ニードルガードの設計は本発明に決定的なものではないが、これは好ましくはハウジングに操作可能に連結され、そして注射部位への適用中に軸方向に動くように構成される。ニードルガードは第2の薬剤に対してスリット弁の開口を調節するように機能し得る。ニードルガードの後退は、使用者が注射しているシステムを「識別する(tell)」特徴的な機能であり得る。ガードはまた、内側ハウジングに取り付けられる注射針のこれ以上の使用を防止し得るガードロックを含んでよい。ガードロックの設計は本開示に決定的なものではないが、しかしながら、好ましい方法は、モジュール内に含まれる回転スリーブ又は可動若しくは滑りロックの使用を含む。可動ロックの設計は、ニードルガードが近位方向において軸方向に動く場合にそれが可動ロックを係合し(持ち上げ)、そして次にガードが方向を反転させる(遠位方向に動く)とき、可動ロックをそれによって運ぶように構成されたものであり得る。ガードがその逆方向の動きを終了した時点で、可動ロックはガードに係合したままの間に薬用モジュールの非可動部分に固定又はロックされるようになる。これはガードがいずれの方向においても更なる軸方向運動をしないようにし得る。他のロック機構も使用することができ、そしてまたデバイスの単回、二回又は多回使用も可能であり得る。
【0033】
更なる態様は薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは既述の薬用モジュールを含んでよい。薬物送達デバイスは一次リザーバ、例えばカートリッジを含んでよい。一次リザーバは、更なる薬剤の少なくとも1つの用量、好ましくは複数の用量を保持し得る。
【0034】
ニードルガードが初めて後退する前に、使用者は、一次リザーバ中に保持された更なる、例えば第1の薬剤だけを用いて、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングの内部に保持された第2の薬剤を投与することなしに薬物送達デバイスをプライミングすることができる。特に、薬用モジュールがデバイスに連結され、そしてニードルガードが遠位方向に伸びるとき、バイパス弁及びニードルガードは、バイパス弁が第1の薬剤を投与するために開くように機械的協動をし得る。プライミング後、使用者がまだ第1の薬剤を設定していない場合、使用者は、単回用量セッターを用いて薬物送達デバイスの一次リザーバに含まれる第1の薬剤の用量を設定し得る。使用者が用量ボタンを起動するとき、一次リザーバからの第1の薬剤の設定用量は、遠位方向に動くようにし得て、そして単回投与インターフェイス、好ましくは中空注射針を通して薬用モジュールに含まれるリザーバから、第2の薬剤の非使用者設定用量(例えば単回用量)の実質的にすべてを同時に行わせ得る。送達手順の完了時に、実質的にすべての第2の薬剤が、並びに第1の薬剤の選択用量が単回投与インターフェイスを通して排出される。「実質的にすべて」とは少なくとも約80%の第2の薬剤が薬物送達デバイスから排出され、好ましくは少なくとも約90%が排出されることを意味する。注射の完了時に、ニードルガードは、第1の薬剤だけの最後の第2、又は更なる多回注射を可能にするために、薬用モジュールが使用者アクティブ化アンロック又はガードロックオーバオライド機構(override features)を有さなければ、既述のロック機構を通して第2の送達又は挿入を防止し得る。
【0035】
不連続ユニット又は混合ユニットのような化合物の組み合わせは、一体ニードルを介して本体に送達され得る。これは、使用者の視点から見て、標準針を使用する現在利用できる注射器具に非常に厳密に適合する方法で、達成し得る併用薬物注射方式を提供し得る。
【0036】
好ましい実施態様によれば、薬用モジュールに用いるリザーバが提供され、内部チャンバを画成する可撓性ハウジングを含み、そして近位端及び遠位端、近位端に位置する剛性末端キャップ及び遠位端に位置する弁を有する。
【0037】
好ましい実施態様によれば、薬用モジュールに用いるリザーバが提供され、ここで薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付けられる。リザーバは、少なくとも1つの可撓性セクションを含むハウジング、内部チャンバを画成しそして近位端及び遠位端を有するハウジングを含む。リザーバは更に、近位端に位置する剛性末端キャップ及び可撓性セクションに位置する弁を含む。
【0038】
好ましい実施態様によれば、薬用モジュールは既述のリザーバを含んで提供される。薬用モジュールは薬物送達デバイスに取り付けられ、薬物送達デバイスは第1の薬物の一次リザーバを含み、そして薬用モジュールは、リザーバの可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングによって画成される内部チャンバに保持される第2の薬剤を含む。
【0039】
好ましい実施態様によれば、薬物送達デバイスに取り付けられる薬用モジュールが提供される。薬用モジュールは近位端及び遠位端を有するハウジングを含み、ここでは近位端は薬物送達デバイスに取り付け用に構成されるコネクタを有する。薬用モジュールはハウジングの一部分にリザーバを含み、リザーバは単回用量の薬剤を含み、可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングは内部チャンバを画成し、そして近位端及び遠位端、近位端に位置する剛性末端キャップ及び遠位端に位置するスリット弁を有する。薬用モジュールは、ハウジングに操作可能に連結され、そして注射部位に適用中に軸方向に動き、及び弁を開けるために可撓性又は少なくとも部分的に可撓性のハウジングを係合するように構成される、ニードルガードを含む。
【0040】
本開示の薬用モジュールは、適切な適合性インターフェイスを備えたいずれの薬物送達デバイスとともに使用するために設計することができる。しかしながら、専用の又はコード化機構(coded features)の利用を通して1つの限定された1番目の薬物送達デバイス(又はデバイス群)にその使用を制限するように、薬用モジュールを設計することが好ましいといえる。場合によっては、薬用モジュールは1つの薬物送達デバイスに専用であること、一方でデバイスへの標準薬物投与インターフェイスの取り付けも可能にすることを保証することは有利となり得る。これは使用者がモジュールを取り付ける場合に併用療法を送達することを許容し得て、しかし、限定されるものではないが、1番目の化合物の用量分割又は補充などの状況において標準薬物投与インターフェイスを通して1番目の化合物の送達をも独立して許容し得る。
【0041】
薬用モジュールは、必要な場合、特に調節期間が特定の薬物で必要になる場合に、投与計画を特注する(tailor)ことが適宜可能となる。薬用モジュールは、限定されるものではないが、患者に調節を容易にする特定の順序で供給された薬用モジュールを使用するように指示することができるように、機構又はグラフィックス、付番等の美的設計などの顕著な識別機構による調節レベルの数で供給することができる。あるいは、処方医師は患者に「レベル1」調節薬用モジュールの数を提供してよく、次いでこれらが終了した場合、医師は次のレベルを処方することができる。この調節プログラムの主たる利点は1番目のデバイスが終始変わらないことである。
【0042】
好ましい実施態様では、1番目の薬物送達デバイスは1回以上使用され、従って多回使用性である。しかしながら、薬物送達デバイスは単回使用使い捨てデバイスであってもよい。そのようなデバイスは1番目の薬物化合物の交換可能なリザーバを有しても有さなくてもよいが、本開示は両方のケースに対して同等に適用可能である。また既に標準薬物送達デバイスを用いている患者に対してオンオフ追加薬物として処方することができる、種々の状況に対して一連の異なる薬用モジュールを有することも可能である。患者が既使用の薬用モジュールを再使用しようとするならば、薬物投与又は挿入後に起動し得るロッキングニードルガードはこの状況を患者に警告することができる。使用者に警告する他の手段は下記の幾つか(又は全部)を含んでよい:
一度、モジュールが使用され取り外されたら、1番目の薬物送達デバイスへの薬用モジュールの再取り付けの物理的阻止。
一度、それが使用されたら、薬物投与インターフェイスを通した以後の液体流の物理的/水圧的阻止。
1番目の薬物送達デバイスの用量セッター及び/又は用量ボタンの物理的ロック。
視覚的警告(一度、挿入及び/又は流体流が生じたら、モジュールに関する指示窓内の例えば色及び/又は匂い及び/又は警告文章/表示物(indicia)の変化)。
触覚フィードバック(使用後のモジュールハブの外面における触覚特性の有無)。
【0043】
本実施態様の更なる特徴は、両方の薬剤が1つの注射針を介してそして1つの注射工程において送達されることであってよい。これは2つの別個の注射剤を投与するのと比較して、使用者工程低減の観点から使用者に簡便な利点を提供する。この利便性はまた、特に注射を嫌がり又は認知的若しくは機敏性困難な使用者に、処方された療法のコンプライアンス改善をもたらす。
【0044】
本開示はまた、別々の1番目の包装に保存された2つの薬剤を送達する方法をも網羅する。薬剤はいずれも液体であってよく、又はあるいは1つ又はそれ以上の薬剤は粉末、懸濁液又はスラリーであってよい。1つの実施態様では、薬用モジュールは、それが薬用モジュールを通して注射されるように、1番目の薬剤に溶解又は同伴される粉末薬剤を充填することができる。
【0045】
本開示の種々の態様のこれら並びに他の利点は、添付図面を適切に参照して下記の詳細な説明を読むことにより当業者に明らかになるものである。
【0046】
本発明の範囲は請求項の内容によって規定される。本発明は特定の実施態様に限定されるものではなく、種々の実施態様のいずれものエレメントの組み合わせを含む。その上、本発明は請求項のいずれもの組み合わせ及び請求項により開示されるいずれかの機構の組み合わせを含む。
【0047】
代表的な実施態様は以下において図面を参照して本明細書に記載される: