特許第5916639号(P5916639)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916639
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 7/06 20060101AFI20160422BHJP
   A01C 15/00 20060101ALI20160422BHJP
   A01M 9/00 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   A01C7/06 B
   A01C15/00 G
   A01C15/00 J
   A01M9/00 D
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-8732(P2013-8732)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-138569(P2014-138569A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(72)【発明者】
【氏名】福永 究
(72)【発明者】
【氏名】安田 真
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−074821(JP,A)
【文献】 特開2011−220855(JP,A)
【文献】 特開2005−027605(JP,A)
【文献】 特開2002−084825(JP,A)
【文献】 実開昭60−087507(JP,U)
【文献】 実開平06−033413(JP,U)
【文献】 国際公開第2005/065440(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 3/00−3/08
A01C 7/06
A01C 15/00−23/04
A01M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の後部に、昇降機構を介して昇降作動、及び前後方向に沿うローリング軸心回りでローリング可能な作業装置集合体が連結され、
前記作業装置集合体には、左右方向での散布対象範囲の全幅にわたって粉粒体を圃場に散布可能な複数の粉粒体散布装置と、その複数の粉粒体散布装置に対して駆動力を伝達する動力伝達機構とが備えられ、
前記複数の粉粒体散布装置は、走行機体の進行方向での前方側と後方側とに振り分けて配設されているとともに、前記動力伝達機構の途中に、前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置とのそれぞれに対して駆動力を分配するための動力分岐部が設けられて、前方側の粉粒体散布装置の左右方向での一端部と、後方側の粉粒体散布装置の他端部とのそれぞれに対して、前記動力伝達機構からの動力が分岐入力されるように構成され、かつ、前記動力分岐部が前記作業装置集合体の左右方向での中間部に設けられている作業機。
【請求項2】
前記動力分岐部から左右方向に延出される分岐伝動軸が、平面視で前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置との間に配設されている請求項1記載の作業機。
【請求項3】
前記複数の粉粒体散布装置は、それぞれの粉粒体散布装置から繰り出される粉粒体の繰り出し量を各別に調節するための繰り出し量調節操作具が備えられ、かつ各繰り出し量調節操作具は、前記作業装置集合体の左右方向での同じ一方側の端部に配設されている請求項1又は2記載の作業機。
【請求項4】
前記各繰り出し量調節操作具は、前記複数の粉粒体散布装置のうちで、前記各繰り出し量調節操作具が位置する側における左右方向での最外側に位置する部位よりも中央側寄りに位置するように設けられている請求項3記載の作業機。
【請求項5】
前記動力伝達機構が、前記動力分岐部から左右方向に延出される分岐伝動軸と、前記複数の粉粒体散布装置の各入力用伝動軸と、前記分岐伝動軸から前記各入力用伝動軸へ動力を伝達する連動機構とを備えて構成されているとともに、
前記連動機構は、前記複数の粉粒体散布装置のうちの少なくとも一方の粉粒体散布装置に動力を伝える分岐伝動軸の回転に連動して回転するクランクアームと、前記一方の粉粒体散布装置の入力用伝動軸に回転運動を伝える揺動アームと、前記クランクアームと前記揺動アームとを連結する駆動ロッドとを備えて、前記クランクアームの回転運動を揺動アームの往復揺動運動に変換して入力用伝動軸を駆動するてこクランク機構によって構成され、
前記作業装置集合体には、前記分岐伝動軸の長手方向に沿ってその分岐伝動軸を支持するように配備した第1横長支持部材と、前記入力用伝動軸の長手方向に沿ってその入力用伝動軸を支持するように配備した第2横長支持部材が備えられるとともに、これらの第1横長支持部材と第2横長支持部材とにわたる連結部材を備え、かつ、前記連結部材は、前記駆動ロッドが配設された箇所の近くで、前記駆動ロッドの延出方向に沿って配設されている請求項1〜4のいずれか一項記載の作業機。
【請求項6】
前記作業装置集合体の左右方向で、前記てこクランク機構によって構成される連動機構が設けられた側の端部とは反対側の端部に、前記動力分岐部から左右方向に延出される分岐伝動軸と、前記複数の粉粒体散布装置の入力用伝動軸とを連動する連動機構として、伝動ケースに内装された伝動ギヤ又は伝動チェーンによる回転伝動機構が備えられ、この連動機構が前記伝動ケースごと前記分岐伝動軸及び前記入力用伝動軸に対して着脱可能に構成されている請求項5記載の作業機。
【請求項7】
前記複数の粉粒体散布装置は、それぞれが左右方向での散布対象範囲のうちの一部の領域に対する粉粒体の散布を停止可能な少数条クラッチを備えていて、一方の粉粒体散布装置の少数条クラッチの入り切り操作に連係して、他方の粉粒体散布装置の少数条クラッチも同様に入り切り操作されるように構成されている請求項1〜6のいずれか一項記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の後部に昇降機構を介して昇降作動、及び左右ローリング可能に構成された作業装置集合体が連結され、その作業装置集合体に、左右方向での散布対象範囲の全幅にわたって粉粒体を圃場に散布可能な複数の粉粒体散布装置が備えられた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような複数の粉粒体散布装置を備える作業装置集合体が連結された作業機としては、下記[1]に記載のものが知られている。
[1]走行機体の後部に昇降機構を介して昇降作動、及び左右ローリング可能に構成された作業装置集合体として、前部に播種装置を備え、後部に薬剤の散布装置を備え、走行機体側の動力が入力軸を介して、前記播種装置及び散布装置に伝達されるように構成されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63−45854号公報(明細書第1頁第2欄第8行〜第2頁第3欄第9行、図1図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の技術では、水田作業に際して、走行機体の走行に伴って種籾の播種と薬剤の散布とを同時的に行うことができる点では有用なものである。
しかしながら、この従来構造のものでは、走行機体の走行方向に沿う前後方向軸心を有した入力軸の回転が、ギヤボックス内で左右方向軸心を有した出力スプロケットの回転に変換され、さらにチェンを介して左右向き軸心を有したロール軸及び連結パイプに伝達され、同軸心上に配設された播種装置の複数の繰り出しロールが駆動されるように構成されている。
そして、左右向き軸心を有して回転駆動されるロール軸及び連結パイプの回転は、複数個存在する薬剤散布装置のそれぞれに対して、各別にスプロケット及びチェンを介して個別に個々のロール軸に分岐伝達され、各ロール軸毎に各薬剤散布装置が駆動されるように構成されている。
【0005】
このように構成された構造のものでは、出力スプロケットの動力が伝達される播種装置側のロール軸及び連結パイプに、各播種装置に対する駆動力に加えて、各薬剤散布装置に対する駆動力も加わるものであるため、播種装置側のロール軸及び連結パイプとしては、播種装置を駆動するに足る強度と、各播種装置を駆動するに足る強度も要求されるので、強度的に頑丈で重量も重くなり易いという傾向があった。
【0006】
本発明の目的は、前後で複数個存在する粉粒体散布装置に対する駆動構造を簡素化し、かつ作業装置集合体全体の軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために講じた本発明における作業機の技術手段は、次の点に構成上の特徴、及び作用効果がある。
【0008】
〔解決手段1〕
上記課題を解決するために講じた本発明の技術手段は、走行機体の後部に、昇降機構を介して昇降作動、及び前後方向に沿うローリング軸心回りでローリング可能な作業装置集合体が連結され、前記作業装置集合体には、左右方向での散布対象範囲の全幅にわたって粉粒体を圃場に散布可能な複数の粉粒体散布装置と、その複数の粉粒体散布装置に対して駆動力を伝達する動力伝達機構とが備えられ、前記複数の粉粒体散布装置は、走行機体の進行方向での前方側と後方側とに振り分けて配設されているとともに、前記動力伝達機構の途中に、前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置とのそれぞれに対して駆動力を分配するための動力分岐部が設けられて、前方側の粉粒体散布装置の左右方向での一端部と、後方側の粉粒体散布装置の他端部とのそれぞれに対して、前記動力伝達機構からの動力が分岐入力されるように構成され、かつ、前記動力分岐部が前記作業装置集合体の左右方向での中間部に設けられていることである。
【0009】
〔解決手段1にかかる発明の作用及び効果〕
上記解決手段1にかかる発明によると、前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置とのそれぞれに対する駆動力は、いずれの粉粒体散布装置に対しても入力される前に動力分岐部で分岐され、分岐された後の動力が前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置とに振り分けて入力される。
その結果、分岐された後の動力を伝える駆動系には、前方側の粉粒体散布装置の駆動負荷か、後方側の粉粒体散布装置の駆動負荷かの、いずれか一方への駆動負荷が作用するだけであり、前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置との両方を駆動するに足る高負荷に対応した強度構造を必要としない。
したがって、分岐された後の動力を伝える駆動系の構造として、高強度を得るための重量的にも重い伝動部材やそれを支持するための頑丈な支持構造を必要とせず、作業装置集合体の軽量化を図り易いという利点がある。
【0010】
また、前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置とのそれぞれに対する伝動構造は、動力分岐部が作業装置集合体の左右方向での中間部に設けられ、前方側の粉粒体散布装置の左右方向での一端部と、後方側の粉粒体散布装置の他端部とのそれぞれに対して動力が分岐入力されるように構成されている。このため、前方側の粉粒体散布装置や後方側の粉粒体散布装置のそれぞれが、複数個の繰り出し部分を有する構造のものであっても、一括して端部側から駆動でき、伝動構造の簡素化や保守点検の容易化を図ることができる。しかも、その伝動構造は、作業装置集合体の左右方向での中間部から左右に分配され、左右方向での重量バランスも良好に保ちやすい点でも有利である。
【0011】
〔解決手段2〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記動力分岐部から左右方向に延出される分岐伝動軸が、平面視で前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置との間に配設されていることである。
【0012】
〔解決手段2にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段2にかかる発明によると、前方側の粉粒体散布装置と後方側の粉粒体散布装置との間には、それぞれの粉粒体散布装置が上部に粉粒体の貯留部を備えるものであるが故に、必然的に前後の粉粒体散布装置同士の間に、ある程度の前後方向での空間的余裕が生じる傾向がある。本発明では、この前後方向での必然的に生じる空間を有効利用して、作業装置集合体の前後方向長さを長くすることなく、動力分岐部から左右方向に延出される分岐伝動軸を無理なく配設できる利点がある。
【0013】
〔解決手段3〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記複数の粉粒体散布装置は、それぞれの粉粒体散布装置から繰り出される粉粒体の繰り出し量を各別に調節するための繰り出し量調節操作具が備えられ、かつ各繰り出し量調節操作具は、前記作業装置集合体の左右方向での同じ一方側の端部に配設されているということである。
【0014】
〔解決手段3にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段3にかかる発明によると、前方側と後方側との複数の粉粒体散布装置が、それぞれの粉粒体散布装置から繰り出される粉粒体の繰り出し量を各別に調節するための繰り出し量調節操作具が、作業装置集合体の左右方向での同じ一方側の端部に配設されているので、繰り出し量の調節操作を簡便に行い易い。つまり、一方の粉粒体散布装置での繰り出し量の変更に伴って他方の粉粒体散布装置での繰り出し量を変更したい場合に、作業装置集合体の一端側から他端側へ移動して調節操作を行う必要なく、同じ位置に位置したままでの調節操作を簡単かつ迅速に行えるという利点がある。
【0015】
〔解決手段4〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記各繰り出し量調節操作具は、前記複数の粉粒体散布装置のうちで、前記各繰り出し量調節操作具が位置する側における左右方向での最外側に位置する部位よりも中央側寄りに位置するように設けられているということである。
【0016】
〔解決手段4にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段4にかかる発明によると、各繰り出し量調節操作具を作業装置集合体の左右方向での端部に設けながらも、その各繰り出し量調節操作具が、粉粒体散布装置の左右方向での最外側に位置する部位よりも中央側寄りに位置しているので、他物との接触等を避けながら作業を行いやすいという利点がある。
【0017】
〔解決手段5〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記動力伝達機構が、前記動力分岐部から左右方向に延出される分岐伝動軸と、前記複数の粉粒体散布装置の各入力用伝動軸と、前記分岐伝動軸から前記各入力用伝動軸へ動力を伝達する連動機構とを備えて構成されているとともに、前記連動機構は、前記複数の粉粒体散布装置のうちの少なくとも一方の粉粒体散布装置に動力を伝える分岐伝動軸の回転に連動して回転するクランクアームと、前記一方の粉粒体散布装置の入力用伝動軸に回転運動を伝える揺動アームと、前記クランクアームと前記揺動アームとを連結する駆動ロッドとを備えて、前記クランクアームの回転運動を揺動アームの往復揺動運動に変換して入力用伝動軸を駆動するてこクランク機構によって構成され、前記作業装置集合体には、前記分岐伝動軸の長手方向に沿ってその分岐伝動軸を支持するように配備した第1横長支持部材と、前記入力用伝動軸の長手方向に沿ってその入力用伝動軸を支持するように配備した第2横長支持部材が備えられるとともに、これらの第1横長支持部材と第2横長支持部材とにわたる連結部材を備え、かつ、前記連結部材は、前記駆動ロッドが配設された箇所の近くで、前記駆動ロッドの延出方向に沿って配設されているということである。
【0018】
〔解決手段5にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段5にかかる発明によると、分岐伝動軸から粉粒体散布装置の入力用伝動軸へ動力を伝達する連動機構として、てこクランク機構を採用した場合には、そのてこクランク機構を設けた箇所付近で作業装置集合体に次のような問題を生じる傾向がある。
つまり、作業装置集合体のうちで、分岐伝動軸を支持する第1横長支持部材と入力用伝動軸を支持する第2横長支持部材との一部に、てこクランク機構の往復回動に伴う交番荷重が作用する。このため、第1横長支持部材と第2横長支持部材とを頑強な構造部材で作製したり、交番荷重に対応させて別途補強構造を設けることなどが考えられるが、これでは作業装置集合体の重量増加を招いて好ましくない。
そこで本発明では、第1横長支持部材と第2横長支持部材とを連結するための連結部材を、てこクランク機構の駆動ロッドが配設された箇所の近くで、駆動ロッドの延出方向に沿って配設することにより、特別な補強構造の付加などを要することなく、作業装置集合体の所要強度を確保し得るという利点が得られたものである。
【0019】
〔解決手段6〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記作業装置集合体の左右方向で、前記てこクランク機構によって構成される連動機構が設けられた側の端部とは反対側の端部に、前記動力分岐部から左右方向に延出される分岐伝動軸と、前記複数の粉粒体散布装置の入力用伝動軸とを連動する連動機構として、伝動ケースに内装された伝動ギヤ又は伝動チェーンによる回転伝動機構が備えられ、この連動機構が前記伝動ケースごと前記分岐伝動軸及び前記入力用伝動軸に対して着脱可能に構成されているということである。
【0020】
〔解決手段6にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段6にかかる発明によると、作業装置集合体の左右方向での一端部に存在する連動機構を、分岐伝動軸や入力用伝動軸に対して脱着が容易な伝動ギヤ又は伝動チェーンによる回転伝動機構で構成し、かつ、その連動機構を伝動ケースごと着脱できるようにしたことにより、作業装置集合体の左右方向長さを、連動機構の脱着操作で増減変更することが可能となる。
したがって、例えば、作業装置集合体を運搬車両に乗せて搬送する場合に、連動機構を伝動ケースごと取り外して運搬車両の荷台からはみ出さないようにしたり、載置面積を少なくして少しでも荷台空間を広く利用し得るなどの利点がある。
【0021】
〔解決手段7〕
上記課題を解決するために講じた本発明の他の技術手段は、前記複数の粉粒体散布装置は、それぞれが左右方向での散布対象範囲のうちの一部の領域に対する粉粒体の散布を停止可能な少数条クラッチを備えていて、一方の粉粒体散布装置の少数条クラッチの入り切り操作に連係して、他方の粉粒体散布装置の少数条クラッチも同様に入り切り操作されるように構成されているということである。
【0022】
〔解決手段7にかかる発明の作用及び効果〕
上記の解決手段7にかかる発明によると、一方の粉粒体散布装置の少数条クラッチの入り切り操作に連係して、他方の粉粒体散布装置の少数条クラッチも同様に入り切り操作できるので、双方の粉粒体散布装置の少数条クラッチを個別に操作する手間が不要で、操作の簡便化を図り得る利点がある。また、操作の簡便さのみならず、一方の粉粒体散布装置の少数条クラッチのみを入り切り操作して、関連して作動する他方の粉粒体散布装置の少数条クラッチの入り切り操作を忘れるなどの不具合を回避し得る点でも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】直播機の全体を示す側面図である。
図2】直播機の全体を示す平面図である。
図3】作業装置集合体の台枠フレームを示す斜視図である。
図4】作業装置集合体を示す後面図である。
図5】作業装置集合体の施肥装置部分を示す後面図である。
図6】作業装置集合体を示す左側面図である。
図7】作業装置集合体の伝動系における軸の配置関係を示す断面図である。
図8】作業装置集合体におけるてこクランク機構を示す右側面図である。
図9】作業装置集合体部分における動力伝達系統を示す線図である。
図10】少数条クラッチの連係構造を示す平面図である。
図11】別実施形態における作業装置集合体部分の動力伝達系統を示す線図である。
図12】別実施形態における作業装置集合体部分を示す平面図である。
図13】比較例における作業装置集合体部分の動力伝達系統を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明における作業機の一例である直播機の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔直播機の全体構成〕
図1は、本発明に係る直播機の全体を示す側面図である。図1及び図2に示すように、本発明に係る直播機は、車体フレーム10の前部が左右一対の駆動及び操向操作自在な前車輪11,11で支持され、後部が左右一対の駆動自在な後車輪12,12で支持されることにより、自走式の走行機体1を構成している。そして、この走行機体1の車体フレーム10の後部にリンク機構16を介して作業装置集合体Aが連結されている。
【0025】
走行機体1は、車体前部に原動部13を備え、原動部13に配備されたエンジン14からの駆動力によって前車輪11及び後車輪12を駆動して自走するように構成してある。車体後部には運転座席15を有した運転部が備えられ、運転部に搭乗して運転するように乗用型に構成してある。運転部における運転座席15の後方側には、車体フレーム10の後端よりも後方側へ向けて延出された板状の踏み台17が設けてあるとともに、平面視で走行車体1の横側後端部、及び前記踏み台17の後端縁に沿って金属パイプ製の手摺り18が立設されている。
【0026】
作業装置集合体Aは、リンク機構16が昇降駆動用の油圧シリンダ(図外)によって、車体フレーム10に対して上下に揺動操作されることにより、整地用フロート59が圃場泥土に接地した下降作業状態と、整地用フロート59が圃場泥土から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作される。また、作業装置集合体Aは、リンク機構16の後端部に備えた上下向きの縦リンク部材16aに対して、前後方向に沿うローリング軸心z回りで左右揺動可能に連結されている。
【0027】
〔作業装置集合体〕
作業装置集合体Aについて説明する。
図1及び図2に示すように、作業装置集合体Aは、肥料を散布する施肥装置2と、種籾を散布する播種装置3と、除草剤などの薬剤を散布する薬剤散布装置4とを備え、これらが台枠フレーム5に取り付けられて一体的に固定されているとともに、台枠フレーム5の下部に整地用フロート59が装備されていて、作業装置集合体Aを下降作業状態に下降させて走行機体1を走行させることにより、作業装置集合体Aによって6条の播種作業及び6条の施肥ならびに薬剤散布作業が行なわれるように構成してある。
【0028】
前記施肥装置2は、6条分に相当する施肥作業を行うように、作業装置集合体Aの左右方向でのほぼ全幅に相当する範囲内での六カ所に配設された作溝器25(図4,5参照)から肥料供給を行うように構成されている。
前記播種装置3は、6条分に相当する播種作業を行うように、作業装置集合体Aの左右方向でのほぼ全幅に相当する範囲内での六カ所に配設された種籾案内体32(図4参照)の下端から種籾の落下供給を行うように構成されている。
前記薬剤散布装置4は、図1及び図2に示すように、作業装置集合体Aの後端部上方に配設されていて、作業装置集合体Aの左右方向でのほぼ全幅に相当する範囲わたって除草剤等の薬剤を、装置内部に備えた拡散羽根(図示せず)の回転で圃場へ飛散供給するように構成されている。
【0029】
作業装置集合体Aには、走行機体1の原動部13に配備されたエンジン14からの駆動力が、動力伝達軸19を介して入力されるように構成されている。この駆動力は、作業装置集合体Aに備えた動力伝達機構6を介して、作業装置集合体Aに備えた複数の粉粒体散布装置のうちの、施肥装置2及び播種装置3に対して分岐伝動されるように構成されている。そして、作業装置集合体Aに備えた複数の粉粒体散布装置のうちの薬剤散布装置4は、別途備えた駆動用電動モータ(図示せず)を動力源として、前記施肥装置2及び播種装置3とは別個に駆動されるように構成されている。
【0030】
〔台枠フレーム〕
作業装置集合体Aは、図1及び図3に示すように、リンク機構16を構成する機体上下向きの後部リンク16aの下部に前端側が連結された台枠フレーム5を備え、この台枠フレーム5が、前記ローリング軸心z回りで左右揺動可能に構成されている。
台枠フレーム5は、動力伝達機構6のギヤケース61が連結される取付枠部50と、その取付枠部50に対して一体的に溶接連結された左右方向に長いメインフレーム51と、施肥装置2を支持する左右方向に長い施肥用支持フレーム52と、播種装置3を支持する左右方向に長い播種用支持フレーム53と、薬剤散布装置4を支持するように前後方向に沿い、かつ後端側を上方に向けた薬剤用支持フレーム54とを備えている。
【0031】
前記取付枠部50は、後述する動力入力軸60の枢支ボス部50aを中央部に備え、枢支ボス部50aの後端部には、動力伝達機構6の分岐部となるギヤケース61を連結固定するための取付座50bを一体に形成してある。
また、取付枠部50の上端部には、薬剤散布装置4を支持するための薬剤用支持フレーム54が、取付板54aを介して着脱可能にボルト連結されている。
【0032】
前記メインフレーム51は、断面矩形のパイプ状フレームで構成されている。メインフレーム51の後方側に位置する播種用支持フレーム53も断面矩形のパイプ状フレームで構成され、この播種用支持フレーム53とメインフレーム51とは、左右両端部箇所で前後方向に沿う端部連結フレーム55と、その端部連結フレーム55よりも中央側の三カ所に位置する中間部連結フレーム56とを介して溶接連結され、平面視で梯子状に形成されている。
【0033】
つまり、メインフレーム51と播種用支持フレーム53とにわたって連結される左右両端部箇所の端部連結フレーム55は、それぞれの前端側がメインフレーム51の下面に対して溶接固定されている。この端部連結フレーム55のうち、左側の端部連結フレーム55には、その後端側に後述する回転伝動機構66のチェーンケース66bの取付用ブラケット55aを立設してあり、この取付用ブラケット55aの上部が播種用支持フレーム53の左側端部に溶接固定されることにより連結部材を兼ねるように構成されている。
また、右側の端部連結フレーム55には、その後端側に前記動力分岐部から右方向に延出される分岐伝動軸62の右側端部を支承する軸受を取り付けるための軸支部材55bが立設されている。この軸支部材55bの上部が播種用支持フレーム53の右側端部に溶接固定されることにより連結用ブラケットを兼ねるように構成されている。
【0034】
メインフレーム51と播種用支持フレーム53とは、前記左右両端側の端部連結フレーム55,55よりも中央側箇所においても、左右方向での三カ所が前後方向に沿う中間部連結フレーム56によって溶接固定されている。各中間部連結フレーム56は、その前端側がメインフレーム51の下面に溶接固定され、後端側に立設されている縦杆56aの上部が各中間部連結フレーム56の前面側に溶接固定されている。
尚、各中間部連結フレーム56の後端部には、整地用フロート59の後端部を揺動自在に連結するためのフロート連結体56bが連設されている。
【0035】
施肥用支持フレーム52は、その左右両端部と中央部とに、各連結部材57の上端部がボルト連結されている。そして各連結部材57のうち、左側端部の連結部材57の下端は、左側の端部連結フレーム55の前後方向での中間位置に立設されたブラケット55cにボルト連結されている。
右側端部の連結部材57の下端は、右側の端部連結フレーム55の後端部で軸支部材55bにボルト連結されている。また、中央部の連結部材57の下端は、前記取付枠部50の上面側で、薬剤用支持フレーム54の取付板54aと一体に溶接連結され、薬剤用支持フレーム54とともに取付枠部50の上面側にボルト連結されている。
【0036】
上記のメインフレーム51と播種用支持フレーム53との連結体によって第1横長支持部材が構成され、この第1横長支持部材が、分岐部であるところのギヤケース61から左右方向に向けて延出された分岐伝動軸62の長手方向に沿って配備され、その分岐伝動軸62を支持するように構成されている。
また、施肥用支持フレーム52によって第2横長支持部材が構成され、この第2横長支持部材が、施肥装置2に駆動力を入力するための入力用伝動軸64の長手方向に沿って配備され、その入力用伝動軸64を支持するように構成されている。
そして、これらの第1横長支持部材と第2横長支持部材とが、左右方向での中央部と左右両端部とで連結部材57により連結されることによって、台枠フレーム5が構成されている。
【0037】
第1横長支持部材と第2横長支持部材とを連結する連結部材57のうち、右端部に配設される連結部材57は、上端側は他の連結部材57と同様に施肥用支持フレーム52の後面に連結されているが、下端側は他の連結部材57の下端部よりも後方側に位置するように、前方側のメインフレーム51よりも後方側の播種用支持フレーム53に近い位置に連結固定してある。
これによって右端部に配設される連結部材57は、後述する分岐伝動軸62の右端部に装備されるてこクランク機構63(連動機構に相当する)の駆動ロッド63aに対して、左右方向での近い位置にあり、かつ、後面視でも、側面視でも駆動ロッド63aの延出方向にほぼ沿って位置するように配設された状態となる。
【0038】
図3における施肥用支持フレーム52の左右両側に設けられた前方への突片52a,52aは、作業装置集合体Aが前後方向に沿う動力入力軸60の軸心p1回りでローリング揺動した場合に、その揺動姿勢を水平姿勢に復元させる側へ弾性付勢する引っ張りバネ58の端部を取り付けるための係止部材を構成するものである。
【0039】
前記台枠フレーム5に対して、施肥用支持フレーム52の前部に機体横方向に一列に並ぶ配置で設けた6つの肥料収容部20aを備えた施肥タンク20が支持され、後方側の播種用支持フレーム53の後部に機体横方向に一列に並ぶ配置で設けた6つの種籾収容部30aを備えた播種タンク30が支持されている。そして、播種用支持フレーム53よりもさらに後方側で、かつ上方に向けて延出された薬剤用支持フレーム54の端部に、薬剤散布装置4が取り付けられている。
【0040】
台枠フレーム5の下方には、後方側の揺動支点x周りで前端側を上下揺動自在に配備した整地用フロート59を備えている。整地用フロート59は、左右方向での中央部に備えたセンターフロートと、その左右両側に備えた一対のサイドフロートとの3つのフロートによって構成され、それぞれのフロートが各別に前端側を上下揺動可能に装備されている。
【0041】
〔施肥装置〕
施肥装置2について説明する。
図4乃至図7に示すように、施肥装置2は、台枠フレーム5の前部側に備えた横長の施肥用支持フレーム52に、周知の繰り出しロール(図示せず)を備えた肥料繰り出し部21が連結固定されることにより、台枠フレーム5に対して固定支持されている。
この施肥装置2は、肥料繰り出し部21と、その上方位置に設けた施肥タンク20と、肥料繰り出し部21の下部から機体後方下方向きに延出した肥料供給筒23と、肥料供給筒23の延出端部に蛇腹筒24を介して連通された作溝器25とを備えて構成されている。作溝器25は、播種装置3の後述する種籾案内体32の下端に対して、左右方向で位置ずれした箇所に設けてある。
【0042】
施肥用支持フレーム52には、台枠フレーム5の左右横方向に沿って一列に並ぶ配置で6つの肥料繰り出し部21が連結固定されている。
肥料繰り出し部21では、内部の繰り出しロールを回転駆動する肥料繰り出し軸65を備えており、この肥料繰り出し軸65が、入力用伝動軸64上の三カ所に設けられた少数条クラッチ70を介して動力を伝達されるように構成してある。
【0043】
このように構成された施肥装置2は、分岐伝動軸62から連動機構としての後述するてこクランク機構63(図8参照)を介して駆動力を伝達される施肥用の入力用伝動軸64の回転に伴って、肥料繰り出し軸65が所定量だけ回動し、施肥タンク20内の肥料を所定量だけ肥料供給管23側へ繰り出すように構成されている。
【0044】
この肥料繰り出し部21からの肥料供給量の調節は、作業装置集合体Aの右端部に備えたてこクランク機構63の一部で、後述する揺動アーム63bの揺動角度θを変更することにより、肥料供給量を変更するように構成してある。
したがって、揺動アーム63bの揺動角度θを変更するために駆動ロッド63aとの係合箇所を、揺動アーム63bの長手方向で変更可能な係合部63dが、施肥装置2の肥料繰り出し部21からの肥料供給量を調節するための繰り出し量調節操作具として構成されている。
【0045】
〔播種装置〕
播種装置3について説明する。
図4乃至図7示すように、播種装置3は、台枠フレーム5の後部側に備えた横長の播種用支持フレーム53に、機体横方向に一列に並ぶ配置で6つの播種繰り出し部31が連結固定されている。そして、それらの播種繰り出し部31の上側に、6つの種籾収容部30aを備えた播種タンク30が支持され、各播種繰り出し部31の下側に、水平方向断面で後方側が開放されたチャンネル状断面の種籾案内体32が連設されている。
【0046】
前記播種繰り出し部31は、内部に図示しない周知の繰り出しロールを備えていて、この繰り出しロールが、分岐伝動軸62から駆動力を伝達される播種用の入力用伝動軸67によって一方向に回転駆動されることにより、入力用伝動軸67の所定回転量ごとに所定量の種籾が播種繰り出し部31から間欠的に繰り出し供給されるように構成してある。
この播種繰り出し部31からの種籾の供給量の調節は、作業装置集合体Aの右端部に備えた操作ハンドル69aの回転操作に伴って、入力用伝動軸67の長さ方向に沿って配設された操作軸69を回転操作することにより、繰り出しロールでの一回転当たりの種籾の放出量を変更する周知の繰り出し量調節機構(図示せず)によって行われる。
したがって、操作ハンドル69aが、播種装置3の種籾繰り出し部31から繰り出される種籾の繰り出し量を調節するための繰り出し量調節操作具として構成されている。
【0047】
播種タンク30内には、種籾の一例として、鉄コーティングされた種籾が収容されており、この種籾が播種繰り出し部31の下部に連設されたチャンネル状断面の種籾案内体32の下端部から、下方の泥面に間欠的に落下供給され、点播されるように構成されている。
種籾案内体32は、図5に示すように、左右方向で肥料供給用の作溝器25とは横側方に離れた位置で、機体進行方向では肥料供給用の作溝器25よりも後方側箇所で、かつ整地用フロート59の揺動支点xとほぼ同じ前後方向位置に設けてある。
【0048】
〔薬剤散布装置〕
薬剤散布装置4について説明する。
図1及び図2に示されるように、薬剤散布装置4は、作業装置集合体Aの最後部で、かつ左右方向でのほぼ中央部に位置するように、台枠フレーム5から後方上方に向けて延出された薬剤用支持フレーム54の端部に取り付けられている。
この薬剤散布装置4は、上部に除草剤、あるいは、病虫害防除用の薬剤などを収容する薬剤タンク40を備え、その下部に薬剤タンク40から繰り出される薬剤を図示しない拡散羽根によって左右方向に拡散供給する拡散部41を備えている。
拡散部41の拡散羽根によって跳ねとばされる薬剤は、作業装置集合体Aの左右方向でのほぼ全幅に相当する範囲にわたって飛散するように、飛散供給範囲を設定されている。
【0049】
〔動力伝達機構〕
作業装置集合体Aに備える動力伝達機構6について説明する。
図4図6、及び図9に示すように、走行機体1側のエンジン14の回転動力が、作業装置集合体Aに備える動力伝達機構6の動力入力軸60に伝達されるように構成してある。
つまり、エンジン14の回転動力が伝えられる動力伝達軸19に、ユニバーサルジョイント19aを介して動力入力軸60の前端側が連結されている。
動力入力軸60は、台枠フレーム5の取付枠部50に備えた枢支ボス部50aに枢支されるとともに、取付枠部50に取り付けられたギヤケース61に対して、該動力入力軸60の後端部に備えたベベルギヤ60aを挿入した状態で装備されている。
【0050】
ギヤケース61内では、ベベルギヤ60aに噛合するベベルギヤ62aを備えた分岐伝動軸62が、ギヤケース61から左右両側に延出されている。
つまり、動力入力軸60に伝達された駆動力は、施肥装置2と播種装置3とのそれぞれに対して駆動力を分配するための動力分岐部に相当するギヤケース61内で、施肥装置2側に動力を伝える分岐伝動軸62の右側分岐軸部分62Rと、播種装置3側に動力を伝える分岐伝動軸62の左側分岐軸部分62Lとに分岐伝動される。
この分岐伝動軸62は、図7に示すように、前方上方の施肥装置2と後方側の播種装置3との間に位置する状態で台枠フレーム5に取り付けられている。つまり、図3図6、及び図9に示すように、台枠フレーム5の左側端部に設けられた取付用ブラケット55aに取り付けられた回転伝動機構66に左側端部が支持され、台枠フレーム5の右側端部に設けられた軸支部材55bに装備したベアリング(図示せず)に右側端部を支持されて、平面視で、施肥装置2の入力用伝動軸64と播種装置3の入力用伝動軸67との間に配置されている。
【0051】
分岐伝動軸62のうち、右方向に延出された右側分岐軸部分62Rは、その右端部に連結された連動機構であるところの、てこクランク機構63を介して前方上方の施肥装置2の入力用伝動軸64に駆動力を伝えるように構成されている。入力用伝動軸64に伝えられた動力は、入力用伝動軸64上の三カ所に設けられた少数条クラッチ70を介して肥料繰り出し軸65に伝えられる。肥料繰り出し軸65の回動に伴って、肥料繰り出し部21内の繰り出しロールが所定量だけ回動し、施肥タンク20内の肥料を所定量だけ肥料供給管23側へ繰り出すように構成されている。
【0052】
分岐伝動軸62のうち、左方向に延出された左側分岐軸部分62Lは、その左端部に連結された、回転伝動機構66(連動機構に相当する)を介して後方の播種装置3の入力用伝動軸67に駆動力を伝えるように構成されている。その入力用伝動軸67に伝えられた動力は、入力用伝動軸67上の六カ所に設けられた少数条クラッチ71を介して種籾繰り出し軸68に伝えられる。種籾繰り出し軸68の回動に伴って、種籾繰り出し部31内の繰り出しロールが所定量だけ回動し、播種タンク30内の種籾を所定量だけ種籾案内体32側へ繰り出すように構成されている。
【0053】
前記分岐伝動軸62から施肥装置2の入力用伝動軸64への動力伝達を行うてこクランク機構63が設けられた右側端部とは反対側の左側端部で、分岐伝動軸62から播種装置3の入力用伝動軸67に駆動力を伝える回転伝動機構66は次のように構成されている。
回転伝動機構66は、図7及び図9に示すように、分岐伝動軸62の左端部に設けられた駆動スプロケット62bと、入力用伝動軸67の左端部に設けられた受動スプロケット67aと、これらの駆動スプロケット62bと受動スプロケット67aとにわたって掛張された伝動チェーン66aが、チェーンケース66bに内装された構造によって構成されている。この回転伝動機構66では、駆動スプロケット62bよりも大径の受動スプロケット67aを用いることにより、分岐伝動軸62の回転を減速して入力用伝動軸67に伝達するように構成されている。
【0054】
播種装置3の種籾繰り出し軸68には、少数条クラッチ71の伝動ギヤ71aと噛合する入力ギヤ68a、及び操作軸69の連係ギヤ69bと噛合する連係ギヤ68bを備えている。そして、操作軸69の右端部に備えた操作ハンドル69aの回転操作に伴って連係ギヤ68bを回動操作し、繰り出しロールの周面に備える種籾収容凹部の軸線方向長さを変更して種籾収容凹部の容量を変化させることにより、繰り出しロールでの一回転当たりの種籾の放出量を変更する周知の繰り出し量調節機構を構成している。
【0055】
作業装置集合体Aの右側端部に設けられた前記てこクランク機構63は、図8及び図9に示すように構成されている。つまり、分岐伝動軸62の右端部に、クランク体62c(クランクアームに相当する)を設けてあり、このクランク体62cの、前記分岐伝動軸62の軸心から離れた偏心位置に駆動ロッド63aの一端部を連結してある。
駆動ロッド63aは、その他端部が左右方向に屈曲形成されていて、施肥装置2の入力用伝動軸64に枢支された揺動アーム63bの遊端側に備えた係合部63dに係止されることにより、揺動アーム63bと連結されている。そして、この揺動アーム63bに備えた係合部63dの係合箇所おける駆動ロッド63aの係合位置を、前記入力用伝動軸64の軸心に対する遠近方向で位置変更することにより、クランク体62cの回転に伴う揺動アーム63bの往復揺動の揺動角度θが変更され、施肥装置2の肥料繰り出し部21からの肥料供給量が調節される。
【0056】
上記のクランク体62cと、入力用伝動軸64周りに揺動作動する揺動アーム63bと、そのクランク体62cと揺動アーム63bとを連結する駆動ロッド63aとにより、分岐伝動軸62の回転に伴うクランク体62cの回転運動を揺動アーム63bの往復揺動運動に変換して、施肥装置2の入力用伝動軸64を駆動するてこクランク機構63が構成されている。
【0057】
このてこクランク機構63は、入力用伝動軸64に対して、前記揺動アーム63bとは反対方向に延出された別の短い揺動アーム63cを揺動作動自在に装着させている。これらの揺動アーム63b,63cは、それぞれが係合部63dよりも入力用伝動軸64の軸心の近い箇所で、入力用伝動軸64を挟む両側位置で、操作リンク63e,63eの一端側を相対回動自在に連結してある。操作リンク63e,63eの他端側は、固定支軸22に回動自在に枢支された操作アーム63fに対して回動自在に連結されている。
そして、駆動ロッド63aが連結される長尺の揺動アーム63bと、入力用伝動軸64を挟んで他端側に延出された短尺の揺動アーム63cとは、それぞれがワンウェイクラッチ64a,64aを介して入力用伝動軸64を同回転方向に回転駆動するように設けられている。
したがって、長尺の揺動アーム63bの往行程の揺動で入力用伝動軸64を一方向に回転駆動するとき、短尺の揺動アーム63cは逆転方向へ非駆動状態で回転し、長尺の揺動アーム63bの復行程の揺動では入力用伝動軸64を駆動しないままで戻り、短尺の揺動アーム63cが前記一方向へ揺動して、入力用伝動軸64を回転駆動する。これにより、入力用伝動軸64は、長尺の揺動アーム63bの往行程でも復行程でも回転駆動された状態となる。
【0058】
〔少数条クラッチの連係構造〕
施肥装置2の駆動系に設けた三カ所の少数条クラッチ70と、播種装置3の駆動系に設けた六カ所の少数条クラッチ71とは、次のようにして連係作動するように構成されている。
施肥装置2の駆動系に設けた各少数条クラッチ70は、肥料繰り出し軸65の入力ギヤ65aに常時噛合するように入力用伝動軸64に対する軸線方向移動を制限され、かつ入力用伝動軸64に対して相対回転自在に設けられた伝動ギヤ70aと、入力用伝動軸64に対して相対回転不能で前記伝動ギヤ70aに対して軸線方向で遠近移動自在に設けたシフトギヤ70bとを備えている。
シフトギヤ70bは、伝動ギヤ70aに対して接近した状態で伝動ギヤ70aの側面に形成された係合部に対して係合してクラッチ入り状態となり、伝動ギヤ70aに対して離間した状態で伝動ギヤ70aの側面に形成された係合部との係合が解除されてクラッチ切り状態となるように構成されている。
【0059】
施肥装置2の駆動系に設けた三カ所の少数条クラッチ70の各シフトギヤ70bは、それぞれ各別に作動するシフト部材72によって、入力用伝動軸64の軸線方向に沿ってスライド操作自在に構成されており、そのシフト部材72は、台枠フレーム5の適所に設けた操作レバー73の揺動操作に連動してシフトギヤ70bをスライド操作するように構成されている。
【0060】
播種装置3の駆動系に設けた各少数条クラッチ71は、種籾繰り出し軸68の入力ギヤ68aに常時噛合するように入力用伝動軸67に対する軸線方向移動を制限され、かつ入力用伝動軸67に対して相対回転自在に設けられた伝動ギヤ71aと、入力用伝動軸67に対して相対回転不能で前記伝動ギヤ71aに対して軸線方向で遠近移動自在に設けたシフトギヤ71bとを備えている。
シフトギヤ71bは、伝動ギヤ71aに対して接近した状態で伝動ギヤ71aの側面に形成された係合部に対して係合してクラッチ入り状態となり、伝動ギヤ71aに対して離間した状態で伝動ギヤ71aの側面に形成された係合部との係合が解除されてクラッチ切り状態となるように構成されている。
【0061】
播種装置3の駆動系に設けた六カ所の少数条クラッチ71の各シフトギヤ71bは、それぞれシフト部材74によって、入力用伝動軸67の軸線方向に沿ってスライド操作自在に構成されている。そのシフト部材74は、台枠フレーム5の適所に設けた操作レバー73の揺動操作に連動してシフトギヤ71bをスライド操作するように構成されている。
【0062】
すなわち、入力用伝動軸67上の六カ所に設けられた少数条クラッチ71の各シフトギヤ71bのうち、端部から順に、隣り合うシフトギヤ71bを操作するシフト部材74の対が、連係ロッド75を介して互いに連動連結され、シフト部材74の対が入力用伝動軸67上の三カ所に存在する状態となっている。
そして、連係ロッド75を介して互いに連動連結されたシフト部材74の対は、その一方側のシフト部材74が、連係リンク76を介して、施肥装置2の駆動系に設けた少数条クラッチ70を操作するためのシフト部材72に連結されている。
【0063】
その結果、施肥装置2の駆動系に設けた少数条クラッチ70を操作するための三カ所のシフト部材72と、播種装置3の入力用伝動軸67上の三カ所に存在するシフト部材74の対とが、三本の連係リンク76でそれぞれ連結され、三本の操作レバー73の操作で選択的に操作できるように構成されている。
したがって、三本の操作レバー73のうちの何れか一本を切り操作すると、施肥装置2の駆動系に設けた少数条クラッチ70を操作するための三カ所のシフト部材72のうちの該当する少数条クラッチ70が切り操作される。このとき、該当する少数条クラッチ70は、一本の肥料繰り出し軸65への動力伝達を断ち、二カ所の肥料繰り出し部21が停止される。
【0064】
さらに、切り操作された操作レバー73に連係するシフト部材72と連係リンク76を介して連動連結された播種装置3側のシフト部材74の対も切り側に操作され、停止された二カ所の肥料繰り出し部21と対応する箇所の二カ所の少数条クラッチ71を切り操作して、播種装置3の二カ所の種籾繰り出し部31の作動を停止させる。
このようにして、切り操作された一本の操作レバー73の操作に連係して、その操作レバー73に連結された施肥装置2側の1つの少数条クラッチ70と、その少数条クラッチ70と連係リンク76、及び連係ロッド75を介して連動連結されている播種装置3側の二つの少数条クラッチ71とが切り操作されるように構成されている。
【0065】
〔別実施形態の1〕
実施の形態では、動力伝達機構6の動力入力軸60に伝達された動力を、作業装置集合体Aの左右方向での中央部に設けたギヤケース61から左右両側に向けて分岐伝動するように、左右方向に長い一本の分岐伝動軸62を用いたものであるが、このように構成した構造のものに限られるものではない。
例えば、図11に示すように、作業装置集合体Aの左右方向での中央部に設けたギヤケース61から左右両側に延出される分岐伝動軸62を、右側分岐軸部分62Rと、左側分岐軸部分62Lとが別軸で構成された構造として、右側分岐軸部分62Rのギヤケース61内の端部と、左側分岐軸部分62Lのギヤケース61内の端部とのそれぞれに入力用のベベルギヤ62a,62aを設けて、動力入力軸60のベベルギヤ60aから各別に動力伝達されるように構成してもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0066】
〔別実施形態の2〕
実施の形態では、動力伝達機構6の分岐部としてギヤケース61を用いた構造のものを例示したが、これに限らず適宜任意の分岐構造を採用してもよい。
また、ギヤケース61などの分岐部を設ける位置も、作業装置集合体Aの左右方向での中央位置に限らず、多少左右方向に位置ずれした箇所であってもよく、作業装置集合体Aの左右方向での端部寄り箇所ではなく、中間部であればよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0067】
〔別実施形態の3〕
図12に示すように、作業装置集合体Aとして、10条用等の左右横幅方向に長い構造のものを採用した場合には、分岐伝動軸62と被動側の入力用伝動軸67との連動機構である回転伝動機構66を、分岐伝動軸62や入力用伝動軸67に対して着脱可能に構成して、回転伝動機構66の全体を、分岐伝動軸62や入力用伝動軸67から取り外すことができるように構成してもよい。
このように回転伝動機構66の全体を取り外すことができるように構成することにより、作業装置集合体Aの左右横幅方向を短縮して、運搬用の車両に搭載し易くしたり、格納用のスペースを少なくすることができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0068】
〔別実施形態の4〕
実施の形態では、粉粒体散布装置として、施肥装置2と播種装置3、及び薬剤散布装置4が組み合わせられた構造のものを例示したが、このような構造に限られるものではない。
例えば、施肥装置2と薬剤散布装置4との組み合わせ、播種装置3と薬剤散布装置4との組み合わせ、あるいは走行機体1側のエンジン14からの駆動力が伝達されるように構成した複数種の薬剤散布装置4同士の組み合わせ等、適宜の粉粒体散布装置の組み合わせ構造を採用することができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0069】
〔別実施形態の5〕
実施の形態では、施肥装置2の駆動系に三カ所の少数条クラッチ70を設け、播種装置3の駆動系に六カ所の少数条クラッチ71を設けた構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
すなわち、施肥装置2の駆動系に六カ所の少数条クラッチ70を設け、播種装置3の駆動系に三カ所の少数条クラッチ71を設けたり、施肥装置2の駆動系と播種装置3の駆動系との何れにも、同じ三カ所、もしくは六カ所の少数条クラッチ70,71を設けても良い。
また、施肥装置2の駆動系と播種装置3の駆動系とに設ける少数条クラッチ70,71を、二つずつを対にして入り切り操作するものに限らず、施肥装置2の少数条クラッチ70と播種装置3の少数条クラッチ71の一つずつを対にして一つの操作レバー73で操作できるように構成してもよい。
さらに、施肥装置2の少数条クラッチ70と播種装置3の少数条クラッチ71との連係は、連係リンク76によるものに限らず、操作ワイヤを用いるなどしてもよい。
【0070】
〔比較例〕
図13に示すものは、作業装置集合体Aの左右方向での中央部に設けたギヤケース61から、左右方向での一方側のみの端部に向けて伝動軸80を延出し、その伝動軸80の端部から、てこクランク機構63を用いた連動機構を介して施肥装備2へ駆動力を分岐させるとともに、回転伝動機構66を用いた連動機構66を介して播種装置3へ駆動力を分岐させている。
このように構成された分岐構造を採用した場合には、ギヤケース61から左右方向での一方側へ向けて延出された伝動軸80に、施肥装置2と播種装置3との両方を駆動するための駆動負荷が作用することになる。このため、その伝動軸80としては、施肥装置2と播種装置3との両方の駆動負荷に対応する大径で重いものが要望され、その支持構造も強度の高い大がかりなものとなり易いので、やはり重量増加を招く傾向がある。
このような構造のものに比べて、本発明のものは、分岐伝動軸62やその支持構造を軽量化し易いという点で有利である。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、6条用の粉粒体散布装置を備えた作業装置集合体Aを有する直播機等の作業機の他、5条以下の粉粒体散布装置を備えた作業装置集合体Aを有する作業機、あるいは、8条以上の粉粒体散布装置を備えた作業装置集合体Aを有する作業機であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 走行機体
2 粉粒体散布装置(施肥装置)
3 粉粒体散布装置(播種装置)
6 動力伝達機構
51,53 第1横長支持部材
52 第2横長支持部材
57 連結部材
61 動力分岐部
62 分岐伝動軸
62c クランクアーム
63 連動機構(てこクランク機構)
63a 駆動ロッド
63b 揺動アーム
63d 繰り出し量調節操作具(係合部)
64,67 入力用伝動軸
66 連動機構(回転伝動機構)
66a 伝動チェーン
66b 伝動ケース
69a 繰り出し量調節操作具(操作ハンドル)
70 少数条クラッチ
71 少数条クラッチ
A 作業装置集合体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13