特許第5916692号(P5916692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5916692組み換えタンパク質、当該組み換えタンパク質を含む医薬組成物、及び前記組み換えタンパク質の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916692
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】組み換えタンパク質、当該組み換えタンパク質を含む医薬組成物、及び前記組み換えタンパク質の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/00 20060101AFI20160422BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20160422BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20160422BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20160422BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20160422BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20160422BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20160422BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20160422BHJP
【FI】
   C07K14/00ZNA
   C12P21/02 C
   A61K37/02
   A61K9/107
   A61K9/06
   A61K9/08
   A61K9/14
   A61K9/12
   A61K9/02
   A61K9/48
   A61K9/20
   A61K9/16
   A61K9/10
   A61K9/70
   A61P3/10
   A61P3/06
   A61P17/14
   A61P25/20
   !C12N15/00 A
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-246135(P2013-246135)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-129346(P2014-129346A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2014年1月14日
(31)【優先権主張番号】101151237
(32)【優先日】2012年12月28日
(33)【優先権主張国】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513300956
【氏名又は名称】簡 宏堅
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】簡 宏堅
【審査官】 松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】 台湾特許出願公開第200811294(TW,A)
【文献】 特表平08−511006(JP,A)
【文献】 D1YUF2,2012年 2月,検索日:2015/03/25,URL,http://www.uniprot.org/uniprot/D1YUF2.txt?version=10
【文献】 Development and Bioproduction of Protein Carrier Containing the Functional Peptide for Anti-stress and Help Sleep in Yarrowia lipolytica,大葉大学修士論文,2011年,検索日2015/03/26,URL,http://ndltd.ncl.edu.tw/cgi-bin/gs32/gsweb.cgi/login?o=dnclcdr&s=id=%22099DYU00061006%22.&searchmode=basic
【文献】 To examine the active components of bitter gourd extractsfor regulating the blood sugar ,中国医薬大学(台湾)修士論文,2009年,検索日2015/03/26,URL,http://ir.cmu.edu.tw/ir/handle/310903500/416
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 14/00
C07K 11/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの置換領域において連続する4〜25の生物活性ペプチドを複製可能である少なくとも3つの置換領域を含むヒトチロシンヒドロキシラーゼ(SEQ ID NO:1)を有し、
前記置換領域は、アミノ酸残基21〜70、81〜130、141〜190、201〜250、261〜310から選択され、
前記生物活性ペプチドは、動物或いは人体内で、特定の生理効果をもたらすことができるペプチドであることを特徴とする組み換えタンパク質。
【請求項2】
前記生物活性ペプチドは、GHK、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、および、SEQ ID NO: 4からなる一群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の組み換えタンパク質。
【請求項3】
それぞれの前記生物活性ペプチド間には、ペプシンの切断位置を有することを特徴とする請求項1記載の組み換えタンパク質。
【請求項4】
それぞれの前記生物活性ペプチド間には、トリプシンの切断位置を有することを特徴とする請求項1記載の組み換えタンパク質。
【請求項5】
それぞれの前記生物活性ペプチド間には、カルボキシペプチダーゼBの切断位置を有することを特徴とする請求項1記載の組み換えタンパク質。
【請求項6】
それぞれの置換領域において連続する4〜25の生物活性ペプチドを複製可能である少なくとも3つの置換領域を含むヒトチロシンヒドロキシラーゼ(SEQ ID NO:1)を有する組み換えタンパク質を含有し、
前記置換領域は、アミノ酸残基21〜70、81〜130、141〜190、201〜250、261〜310から選択され、
前記生物活性ペプチドは、動物或いは人体内で、特定の生理効果をもたらすことができるペプチドである生物活性ペプチドであることを特徴とする医薬組成物。
【請求項7】
前記生物活性ペプチドは、GHK、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、および、SEQ ID NO: 4からなる一群から選ばれることを特徴とする請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
それぞれの前記生物活性ペプチド間には、ペプシンの切断位置を有することを特徴とする請求項6記載の医薬組成物。
【請求項9】
それぞれの前記生物活性ペプチド間には、トリプシンの切断位置を有することを特徴とする請求項6記載の医薬組成物。
【請求項10】
それぞれの前記生物活性ペプチド間には、カルボキシペプチダーゼBの切断位置を有することを特徴とする請求項6記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物の剤形は、乳剤、軟膏剤、ジェル、塗布剤、ペースト状物、油剤、軟化剤、脂肪体剤形、ナノサイズ顆粒、ローション、うがい剤、シャンプー、乳液、スプレー剤、座剤、カプセル、錠剤、粉末、シロップ、顆粒、溶液、懸濁液、貼付剤或いは密封型貼付剤からなる一群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項6記載の医薬組成物。
【請求項12】
(a)それぞれの置換領域において連続する4〜25の生物活性ペプチドを複製可能である少なくとも3つの置換領域、及び、ヒトチロシンヒドロキシラーゼにおける314〜477アミノ酸残基である澱粉吸着領域を有するヒトチロシンヒドロキシラーゼ(SEQ ID NO:1)に対応する核酸塩基配列を提供するステップと、
(b)連続する4〜25の生物活性ペプチドに対応する核酸塩基配列で、前記置換領域に対応する核酸塩基配列を置換するステップと、
(c)前記ステップ(b)で得られた核酸塩基配列に対応するタンパク質を目的組み換えタンパク質とし、当該目的組み換えタンパク質を酵母発現システムに形質転換し、発酵を行うステップと、
(d)澱粉を利用して、前記目的組み換えタンパク質を精製するステップと、
を含み、
前記置換領域は、アミノ酸残基21〜70、81〜130、141〜190、201〜250、261〜310から選択され、
前記生物活性ペプチドは、動物或いは人体内で、特定の生理効果をもたらすことができるペプチドであることを特徴とする組み換えタンパク質の製造方法。
【請求項13】
前記生物活性ペプチドは、GHK、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、および、SEQ ID NO: 4からなる一群から選ばれることを特徴とする請求項12記載の組み換えタンパク質の製造方法。
【請求項14】
前記酵母発現システムでは、アルカン資化性酵母菌を用いることを特徴とする請求項12記載の組み換えタンパク質の製造方法。
【請求項15】
(e)連続する前記生物活性ペプチドの中間位置にある5〜7個のアミノ酸を含む領域をオーバーラップ領域(Overlap region)として選択するステップと、
(f)前記オーバーラップ領域内のアミノ酸に対応する核酸塩基配列と、前記オーバーラップ領域内のアミノ酸と種類が同じである前記オーバーラップ領域外のアミノ酸に対応する核酸塩基配列とが異なるよう、前記オーバーラップ領域内のアミノ酸に対応する核酸塩基配列を設定するステップと、
(g)前記ステップ(f)で設定された核酸塩基配列に基づき、12〜20個の相補的核酸塩基を有する順方向プライマーおよび逆方向プライマーを設計するステップと、
(h)PCR技術を利用して、前記順方向プライマーおよび前記逆方向プライマーから2本の核酸を複製するステップと、
(i)オーバーラップPCR技術を用いて、前記ステップ(h)で得られた2本の前記核酸が重なるよう、2本の前記核酸を直列に連結するステップと、
を更に含むことを特徴とする請求項12記載の組み換えタンパク質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み換えタンパク質に関し、特に生物活性ペプチドを含む組み換えタンパク質、当該組み換えタンパク質を含む医薬組成物、及び、前記組み換えタンパク質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチドの大きさは、アミノ酸とタンパク質の間にある。アミノ酸の分子が最も小さく、タンパク質は最大で、2個或いはそれ以上のアミノ酸が脱水縮合し、若干個のペプチド鎖を形成して、1個のペプチドを組成、多数のペプチドが複数回脱水縮合を行い、1個のタンパク質分子を組成する。逆に、タンパク質は、タンパク質分解酵素により加水分解されると、タンパク質の断片になることができ、そのため、タンパク質は「ポリペプチド」とも呼ばれる。ペプチドはナノサイズほどに小さくなることができ、胃腸、血管及び皮膚全てから、極めて容易に吸収される。
【0003】
ペプチドは、機能上、栄養性ペプチド及び機能性ペプチドに区分される。栄養性ペプチドは、動物或いは人体が必要とするアミノ酸を提供できる。機能性ペプチドは、生物活性ペプチドとも称され、動物或いは人体内で、特定の生理効果をもたらすことができ、且つ応用範囲が非常に広範である。
【0004】
現在、生物活性ペプチドの生産は、異なる食用性タンパク質を利用し、タンパク質分解酵素の加水分解を通して得られる。或いは、5個未満のアミノ酸のショートチェーンペプチドを生産する時に、1個のアミノ酸をもう1個のアミノ酸にくっつける方法で作られる。しかし、これらの方法で生産される生物活性ペプチドの生産量は、とても少く、生産量が不足し、製造コストが高い。そこでこれら生物活性ペプチドを薬品、健康食品、或いは、化粧品製造の原料とする際、一般にメーカーは、コスト及び売値を考慮し、使用する濃度も最も効果的な適用量に達していない。そのため、これら生物活性ペプチドは、人体内で機能性を表すことができず、また予防或いは疾病治療の役割を果たすことができない。
【0005】
実際、これら生物活性ペプチドは、最初の機能性スクリーニング時が最も効果的である。実験から、動物試験上でも同様に、最も優れた機能性が表示されるが、経口投与や人体応用時に、強力な機能性を発揮できないことが知られている。その原因を追求すると、一つは、メーカーが製品中に投入したペプチド濃度が少なすぎることが原因であり、もう一つは、経口投与されたペプチドが人体の消化管中でほとんど破壊されることが原因である。
【0006】
以前、特許文献1で開示したものは、澱粉分解酵素(α−amylase)を担体タンパク質とし、食用菌中で生産し、1フラクションに1個の「VVYP」ペプチドを導入、6フラクションに6個のペプチドを導入するだけで、担体タンパク質のペプチド含有率がとても低く、わずか3%であった。タンパク質の回収精製にNi−NTA方法を用いて回収し、回収過程に重金属のニッケルを含み、ペプチド産物が汚染された。しかも、担体タンパク質中のペプチドの数が少なすぎるため、生産されたペプチド濃度が低く、生産時間が長く、且つ小量しか回収精製できず、毒性もあり、人体への供給に使用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中華民国特許第I315341号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、ペプチド生産量が少なすぎるという問題をいかに解決し、ペプチド濃度を高めるかが、現在ペプチド製造技術における極めて重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主要な目的は、生物活性ペプチドの生産量を高め、生物活性ペプチドの製造コストを効果的に低下する、組み換えタンパク質、当該組み換えタンパク質を含む医薬組成物、及び前記組み換えタンパク質の製造方法を提供することにある。
【0010】
上記目的を達成するため、本発明による組み換えタンパク質は、それぞれの置換領域において連続する4〜25の生物活性ペプチドを複製可能である少なくとも3つの置換領域を含むヒトチロシンヒドロキシラーゼ(SEQ ID NO:1)を有する。置換領域は、アミノ酸残基21〜70、81〜130、141〜190、201〜250、261〜310から選択される。生物活性ペプチドは、動物或いは人体内で、特定の生理効果をもたらすことができるペプチドである。これにより、複数の生物活性ペプチドを一つのタンパク質中に導入し、生物活性ペプチドを豊富に含む組み換えタンパク質を大量生産することで、生物活性ペプチドの生産量を高め、生産コストを低減することができる。
【0011】
生物活性ペプチドは、GHK、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、および、SEQ ID NO: 4からなる一群から選ばれる。
【0012】
それぞれの生物活性ペプチド間に、一つのペプシン(pepsin)、一つのトリプシン(trypsin)、或いは、一つのカルボキシペプチダーゼB(carboxypeptidase B)の切断位置を有する。これにより、生物活性ペプチドの両端を保護し、生物活性ペプチドが、胃または小腸の中で、切断され、吸収されるようにすることができる。
【0013】
本発明による医薬組成物は、それぞれの置換領域において連続する4〜25の生物活性ペプチドを複製可能である少なくとも3つの置換領域を含むヒトチロシンヒドロキシラーゼ(SEQ ID NO:1)を有する組み換えタンパク質を含有する。置換領域は、アミノ酸残基21〜70、81〜130、141〜190、201〜250、261〜310から選択される。生物活性ペプチドは、動物或いは人体内で、特定の生理効果をもたらすことができるペプチドである。
【0014】
医薬組成物が含有する組み換えタンパク質内の所定のアミノ酸配列は、GHK、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、および、SEQ ID NO: 4からなる一群から選ばれる。
【0015】
それぞれの前記生物活性ペプチド間に、一つのペプシン(pepsin)、一つのトリプシン(trypsin)、或いは、一つのカルボキシペプチダーゼB(carboxypeptidase B)の切断位置を有する。これにより、生物活性ペプチドの両端を保護し、生物活性ペプチドが、胃または小腸の中で、切断され、吸収されるようにすることができる。
【0016】
医薬組成物の剤形は、乳剤、軟膏剤、ジェル、塗布剤、ペースト状物、油剤、軟化剤、脂肪体剤形、ナノサイズ顆粒、ローション、うがい剤、シャンプー、乳液、スプレー剤、座剤、カプセル、錠剤、粉末、シロップ、顆粒、溶液、懸濁液、貼付剤或いは密封型貼付剤からなる一群から選ばれるいずれか一種である。
【0017】
本発明による組み換えタンパク質の製造方法は、ステップ(a)〜(d)を含む。ステップ(a)では、それぞれの置換領域において連続する4〜25の生物活性ペプチドを複製可能である少なくとも3つの置換領域、及び、ヒトチロシンヒドロキシラーゼにおける314〜477アミノ酸残基である澱粉吸着領域を有するヒトチロシンヒドロキシラーゼ(SEQ ID NO:1)に対応する核酸塩基配列を提供する。ステップ(b)では、連続する4〜25の生物活性ペプチドに対応する核酸塩基配列で、置換領域に対応する核酸塩基配列を置換する。ステップ(c)では、ステップ(b)で得られた核酸塩基配列に対応するタンパク質を目的組み換えタンパク質とし、当該目的組み換えタンパク質を酵母発現システムに形質転換し、発酵を行う。ステップ(d)では、澱粉を利用して、目的組み換えタンパク質を精製する。置換領域は、アミノ酸残基21〜70、81〜130、141〜190、201〜250、261〜310から選択される。また、生物活性ペプチドは、動物或いは人体内で、特定の生理効果をもたらすことができるペプチドである。これにより、複数の生物活性ペプチドを一つのタンパク質中に導入し、生物活性ペプチドを豊富に含むタンパク質を大量生産することで、生物活性ペプチドの生産量を高め、生産コストを低減することができる。
【0018】
生物活性ペプチドは、GHK、SEQ ID NO: 2、SEQ ID NO: 3、SEQ、および、ID NO: 4からなる一群から選ばれる。
【0019】
目的組み換えタンパク質はヒトチロシンヒドロキシラーゼ(human tyrosine hydroxylase)である。これにより、安全、無毒、食用可能効果を達成することができる。
【0020】
酵母発現システムでは、アルカン資化性酵母菌(Yarrowia lipolytica)を用いる。これにより、安全、無毒、食用可能効果を達成することができる。
【0021】
本発明による組み換えタンパク質の製造方法は、ステップ(e)〜(i)をさらに含む。ステップ(e)では、連続する生物活性ペプチドの中間位置にある5〜7個のアミノ酸を含む領域をオーバーラップ領域(Overlap region)として選択する。ステップ(f)では、オーバーラップ領域内のアミノ酸に対応する核酸塩基配列と、オーバーラップ領域内のアミノ酸と種類が同じであるオーバーラップ領域外のアミノ酸に対応する核酸塩基配列とが異なるよう、オーバーラップ領域内のアミノ酸に対応する核酸塩基配列を設定する。ステップ(g)では、ステップ(f)で設定された核酸塩基配列に基づき、12〜20個の相補的核酸塩基を有する順方向プライマーおよび逆方向プライマーを設計する。ステップ(h)では、PCR技術を利用して、順方向プライマーおよび逆方向プライマーから2本の核酸を複製する。ステップ(i)では、オーバーラップPCR技術を用いて、ステップ(h)で得られた2本の核酸が重なるよう、2本の核酸を直列に連結する。これにより、連続しているアミノ酸配列に対応する核酸塩基配列が同じ配列を有する複数の生物活性ペプチドのアミノ酸配列を複製し、生物活性ペプチドのアミノ酸配列が減少することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による組み換えタンパク質のアミノ酸配列の一部を示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態による組み換えタンパク質のアミノ酸配列を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態による組み換えタンパク質のアミノ酸配列を確定した結果を示す模式図である。
図4】ペプシン(pepsin)における生物活性ペプチド「CDALQEIAR」の切断位置を示す模式図である。
図5】トリプシン(trypsin)とカルボキシペプチダーゼB(carboxypeptide B)における生物活性ペプチド「VVYP」の切断位置を示す模式図である。
図6】トリプシン(trypsin)における生物活性ペプチド「YLGYLEQLLR」の切断位置を示す模式図である。
図7】睡眠促進に用いる「YLGYLEQLLR」組み換えタンパク質と無保護のペプチドに対して、だ液、胃液、腸液により消化処理後、SDS−PAGE 電気泳動をかけた結果を示す模式図である。第1と第2レーンは組み換えタンパク質を示し、第3と4レーンは無保護で裸のペプチドを示し。第2と4レーンはだ液、胃液、腸液の分解を経たものを示す。
図8】本発明の一実施形態による組み換えタンパク質を経口投与されたSDラットの生長曲線を示す模式図である。ラットの体重水準を平均値で表示し、また一元配置の分散分析(ANOVA)にパスしている。Dunnett’s t−testを使用した多重比較方式で、組み換えタンパク質の実験グループと対照グループ間の差異を評価し、全てP>0.05が対照値との比較結果である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に列挙する実施例及び実験例説明し、図面を合わせることで、本発明の技術内容及び特徴を詳細に説明する。
本発明の詳細構造、特徴、組立方法或いは使用方法に関して、後続の詳細説明中で説明する。しかし、本発明の技術分野において、通常の知識を有する者は理解することができ、それらの詳細説明及び本発明を実施し列挙した特定の実施形態或いは実験例は、本発明の説明にだけ用い、また本発明の特許申請の範囲を制限するために用いるものではない。
【0024】
(一実施形態)
(実験一:担体タンパク質のスクリーニング)
まず、ペプチドを担うため提供するタンパク質をふるい分けねばならず、そのタンパク質は人体のタンパク質から選ぶのが最もよい。というのも人体のタンパク質は最も容易で、無毒性で安全、食用可能な酵母菌中で、大量に発現し生産されるからである。さらに前記タンパク質のアミノ酸配列には澱粉吸着の配列フラクションが含まれ、食用等級のトウモロコシ澱粉を回収精製して、組み換えタンパク質の生産に提供される。
【0025】
実験データによると、ヒトチロシンヒドロキシラーゼ(human tyrosine hydroxylase; HTH)は、内毒素がなく、安全で食用可能な酵母菌内で発現可能であり、結果が最高で最も安定し、澱粉で回収精製した1リットルの発酵液を用いて、200グラム以上の組み換えタンパク質を精製することができる。米コウジ菌(Aspergillus oryzae)の澱粉酵素(α−amylase)を担体タンパク質として用いた場合と比較すると、1リットルの発酵液で組み換えタンパク質を25グラムしか精製できなかった。
【0026】
それゆえ本発明の一実施形態による組み換えタンパク質であるヒトチロシンヒドロキシラーゼは、497個のアミノ酸(NCBI登録番号:AAI43612,SEQ ID NO: 1)を含み、N末端の前20個のアミノ酸1〜20及び澱粉吸着の配列フラクション314〜477の計183個のアミノ酸は変更できない。残りの314個のアミノ酸は、21〜70、81〜130、141〜190、201〜250、261〜310等5個のフラクションを包括し、組み換えタンパク質のアミノ酸配列を置換することができる。
【0027】
(実験二:生物活性ペプチドの置換)
担体タンパク質の選択完了後、生物活性ペプチドのアミノ酸配列をタンパク質のアミノ酸配列中に置換する。現在、生物活性ペプチドのアミノ酸数は50個を超えないので、50個前後のアミノ酸を1個の変換フラクションとする。2個の変換フラクションの中間に、既有のアミノ酸配列が10個あり、10個の既有のアミノ酸配列を利用して、変換フラクションを連結する。
【0028】
314個のアミノ酸は5個の変換フラクション及び4個の既有のアミノ酸フラクションに区分することができる。各々の変換フラクションは50個前後のアミノ酸を含み、しかも各々の既有のアミノ酸フラクションには10個の既有のアミノ酸が含まれている。10個のアミノ酸を含む生物活性ペプチドを例にとると、各々の変換可能なフラクションには、連続5個のペプチドが含まれ、5組の変換フラクションを有し、そのペプチドは合計25個ある。そして1個の組み換えタンパク質を生産すると、25個の生物活性ペプチドが含まれ、現有の食用タンパク加水分解製造で得られるペプチドと比較すると、25倍の濃度に増加している。
【0029】
(1.連続多倍数体ペプチドの製造)
連続多倍数体ペプチドは、所定のアミノ酸配列が連続して繰り返しているアミノ酸配列を有するペプチドをいう。連続多倍数体ペプチドを含む変換フラクションの製造は、3個のアミノ酸を含む育毛ペプチド「GHK」を例にとると、各々の変換可能なフラクションに、連続12個のペプチドを含む設定ができる。
【0030】
図1に示すように、連続3個、4個、そして5個を用いる製造を例とると、まずおおよそ中間位置にある5〜7個のアミノ酸を選び、オーバーラップゾーンとする。この5〜7個のアミノ酸に対応する核酸塩基配列は、その他アミノ酸に対応する核酸塩基配列と異なる。且つ前記順方向プライマーと前記逆方向プライマーは、前記オーバーラップゾーンに、約12〜20個の相補の核酸塩基を有する。さらに順方向プライマーが設定する核酸塩基配列を合成製造し、同様に逆方向プライマーが設定する核酸塩基配列を合成製造して、最後にPCR技術を用いて、2本のプライマーをそれぞれ複製する。その後、オーバーラップPCR技術を用いて、2本の核酸が重なるよう、2本の核酸を直列に連結する。これにより、連続3個、連続4個、或いは連続5個のペプチドのアミノ酸配列に対応する核酸塩基配列を有する核酸が形成される。ペプチドの核酸塩基配列を連続何個複製するかに関わらず、最も重要なことは、およそ中間のフラクションの5〜7個のアミノ酸をオーバーラップゾーンとして設定することである。以上の技術で、連続多倍数体ペプチドの核酸塩基配列の複製がとても容易にでき、生物活性ペプチドの数の減少をもたらさない。
【0031】
また睡眠促進ペプチド「YLGYLEQLLR」(SEQ ID NO: 2)の置換を例にとると、上記の製造方法に基づき、連続5個のペプチド配列を設計した後、ペプチドのアミノ酸配列を核酸塩基配列に転換する。オーバーラップ−ポリメラーゼ連鎖反応(overlap−PCR)を利用し、各々の変換フラクションを確立し完成させ、さらにそれぞれの変換フラクションを連結して、5個の変換フラクションと4個の既有のアミノ酸フラクションを完全に連結する。この過程中、各々の変換フラクションを確立後、全てDNAシーケンサーを用いて、核酸塩基配列の正確性を検査する。その後、完全に正確な組み換えタンパク質の核酸塩基配列を酵母菌のエキソサイトーシス遺伝子発現システム中にクローニングし、さらに無毒性で安全、食用可能な酵母菌染色体の5S−rDNA遺伝子上に形質転換すると、発酵生産を行うことができる。
【0032】
図2は睡眠促進ペプチド「YLGYLEQLLR」をヒトチロシンヒドロキシラーゼ中に置換したシーケンス結果を示す。その内、計5個のフラクション、314個のアミノ酸が睡眠促進機能を有する生物活性ペプチド「YLGYLEQLLR」のアミノ酸配列に変換され、また最終のタンパク質産物中に、生物活性ペプチド「YLGYLEQLLR」が五つ一組で5組、合計25個の睡眠促進機能を有する生物活性ペプチド「YLGYLEQLLR」を含んでいる。その他の本方法で生産する生物活性ペプチド、例えば血糖降下に用いる「CDALQEIAR」(SEQ ID NO: 3)とトリアシルグリセロールの降下に用いる「VVYP」(SEQ ID NO: 4)は、そのペプチドのヌクレオチド配列を全て、この方法により、連続多倍数体の生物活性ペプチドを製造することができる。
【0033】
(2.ペプチド保護基の設計)
生物活性ペプチドを含むタンパク質が食べられ、体内に入ると、胃中のペプシン(pepsin)の切断位置は、フェニルアラニン(phenylalanine)のN末端とC末端の内部切断である。図4に示すように、血糖降下に用いるペプチド「CDALQEIAR」(SEQ ID NO: )の頭尾それぞれにFを加え、「FCDALQEIARF」を形成する設計では、ペプシンはFの両端を切断して、多数の「CDALQEIAR」ペプチドを放出する;小腸中のトリプシン(trypsin)の切断位置は、アルギニン(arginine)とリシン(lysine)のC末端の内部切断である。図5に示すように、トリアシルグリセロールの降下に用いる「VVYP」ペプチドの頭尾それぞれにK/Rを加え、「K/R VVYP K/R」を形成する設計では、トリプシンはK/RのC末端を切断して、多数の「VVYP K/R」ペプチドを放出する。そして、小腸中のもう一つの内部切断タンパク酵素であるカルボキシペプチダーゼB(carboxypeptidase B)の切断位置は、プロリン(proline)のC末端の内部切断である;さらに「VVYP R/K」のR/Kを切り取り、「VVYP」ペプチドを放出する;図6のように睡眠促進に用いる「YLGYLEQLLR」ペプチドの連続多倍数体ペプチドのN末端にRを加え、「YLGYLEQLLR・・・・・・」を形成する設計では、トリプシンはRのC末端を切断して、多数の「YLGYLEQLLR」ペプチドを放出する。この上記三種の内部切断タンパク酵素の切断位置が最も正確で最も効果的で、組み換えタンパク質中から、連続多倍数体ペプチドを一つ一つの生物活性ペプチドに切りとる場合、最も信頼でき、体内でそれらペプチドの機能性を完全に放出することができる。
【0034】
(実験三:組み換えタンパク質のトランスジーンと発現)
連続多倍数体ペプチドを担体タンパク質へ置換後、YLEX発現キット(YLEX expression kit、益生生技、台湾)を使用し、さらにそれら組み換えタンパク質の組み換え遺伝子を、酵母菌中へ導入した。酵母菌は、生物安全性を有し、且つ内毒素を発生しないアルカン資化性酵母菌(Yarrowia lipolytica)を使用する。組み換えタンパク質の組み換え遺伝子を、前記酵母菌染色体の5S−rRNA遺伝子上に導入する。
【0035】
実験を経て、82組の組み換えタンパク質の組み換え遺伝子が、82個の酵母菌の5S−RNA遺伝子上に導入されたことが測定された。そこで、1個の酵母菌は基本的に40に82を乗じた3280個の組み換えタンパク質を生産することができ、そして発酵を経た後、実際に1リットルの酵母菌発酵液は最少200グラムの組み換えタンパク質を生産できた。そのうち、完全な組み換えタンパク質に占めるペプチドの割合は60%だったので、200グラムの組み換えタンパク質のうち120グラムがペプチドに属する部分である。
【0036】
我々が生産した睡眠促進組み換えタンパク質は、トリプシンを利用して、ペプチドを切り取り、さらに中性子衝撃質量分析計LC−MS−MSを用いて、ペプチドのアミノ酸配列を確定した。図3に示すように、結果は「YLGYLEQLLR」を表示し、当初の設計に完全に適合している。この一睡眠促進組み換えタンパク質は、当初の設計の睡眠促進組み換えタンパク質のペプチド部分が保護されているため、経口投与後、小腸内に到達して、トリプシンによってペプチドが切りとられるとすぐ、ペプチドは小腸に吸収されて、生物機能性を行使する。
【0037】
その他、本方法で生産した組み換えタンパク質、例えば血糖降下に用いる「CDALQEIAR」とトリアシルグリセロールの降下に用いる「VVYP」は、そのペプチドのアミノ酸配列を全てこの方法で確定することができる。
【0038】
そのため、本実施形態のタンパク質設計と製造方法により、生物活性組み換えタンパク質を生産できることが確定された。実験結果は、1リットルの発酵液が澱粉を用いて吸着精製され、最少200グラム回収できること表示し、且つペプチドが保護され、そして連続多倍数体ペプチドの設定により、十二指腸或いは小腸まで達して吸収される前にようやく、連続多倍数体ペプチドが切断放出され、十二指腸または小腸に吸収されるとともに、その生物活性機能を発現する。食用タンパク質が、タンパク質分解酵素により、放出された無保護で裸のペプチド同様、1日200〜300ミリグラム使用しなければならず、また効果が直ちに表れないのとは異なる。理由は無保護で裸のペプチドは、口中或いは胃中で、甚だしいと小腸中で、タンパク外部切断酵素或いは酸性により、ほとんど破壊されるため、本当に十二指腸或いは小腸中に入って吸収されるものが極めてわずかだからである。これは本発明の製造方法を利用して設計生産した組み換えタンパク質が、前案技術と比較して優れているところである。
【0039】
実験によると、等量の「YLGYLEQLLR」組み換えタンパク質と裸のペプチドが、それぞれだ液で5分間分解された後、続いてすぐに胃液で30分間分解され、さらに腸液で30分間分解された後、SDS−PAGE 電気泳動で展開表示する。図7に示すように、組み換えタンパク質は、だ液分解、続いて胃液分解、さらに腸液分解されてもまだ、ペプチドが存在していることがわかった。しかし、無保護で裸のペプチドは、だ液分解、続いて胃液分解、さらに腸液分解により、ほとんど完全に分解され、電気泳動ゲル上から完全に消失していた。
【0040】
(実験四:生物安全性テスト)
生物安全性テストを経た評価は、組み換えタンパク質が無保護で裸のペプチドに代わり、商品化が可能で効果的な保健食品及びタンパク性薬物となることを促している。そして世界保健機関の指導原則に基づく、急性(単独適用量5000 mg/kg)と亜急性(単独適用量1000 mg/Kg、30日連続投与)の毒性試験設計で、Sprague−Dawley(SD)ラットにペプチドを経口投与して、生化学、造血システム、そして組織病理学に対する影響を観察した。
【0041】
図8は、SDラットに45日組み換えタンパク質を経口投与処理した生長曲線を示す。体重水準を平均値とし、また一元配置の分散分析(ANOVA)テストによる分析を行った。多重比較のDunnett’t−testを使用した検査では、組み換えタンパク質を含むものと対照グループ間に統計学的差異はなかった。
【0042】
且つ表1、表2、表3から、澱粉液化酵素(α−amylase)或いはチロシンヒドロキシラーゼ(tyrosine hydroxylase)を担体タンパク質として生産したペプチドであれ、ラットの使用適用量の探求を固体或いは液体の組み換えタンパク質で行ったかに関わらず、急性(5 g/Kg)と亜急性(1 g/Kg、30日連続投与)の毒性試験では、急性毒性試験中において、いかなる毒性或いは死亡をもたらさず、亜急性毒性試験中における、血液学、免疫学、生化学を利用したパラメーター検査もまた、体内臓器の傷害をもたらさなかった。以上のデータから、本発明で生産した生物活性組み換えタンパク質の運用は、確かに無毒性で副作用がなく、本発明の組み換えタンパク質を医薬組成物とすることができることを表示している。
【0043】
【表1】
表中データはラット15匹/各グループで算出した平均値±標準偏差である。a)亜急性毒性試験は水を与えた対照グループとラット重量に対し毎日1000 mg/kgの組み換えタンパク質を投与した実験グループで、30日行った後の結果である;b)付属亜急性毒性試験は、亜急性毒性試験を30日行った後、組み換えタンパク質の投与を停止し、さらに15日後の結果である。実験グループと対照グループ間の差異はStudent’s t−test統計を用いて評価した。
【0044】
【表2】
表中データはラット15匹/各グループで算出した平均値±標準偏差である。a)亜急性毒性試験は水を与えた対照グループとラット重量に対し毎日1000 mg/kgの組み換えタンパク質を投与した実験グループで、30日行った後の結果である;b)付属亜急性毒性試験は、亜急性毒性試験を30日行った後、組み換えタンパク質の投与を停止し、さらに15日後の結果である。実験グループと対照グループ間の差異はStudent’s t−test統計を用いて評価した。
【0045】
【表3】
表中データは病変のあるラット数を表わし、全てのP>0.05は対照値との対比結果である。
【0046】
(実験五:生物機能性テスト)
本発明の無毒性で安全、食用可能な酵母菌を利用して生産された各種組み換えタンパク質は、テストを経た後、完全に無毒でアレルギー現象がなく、副作用がなく、且つ表4から表7のように、それが良好な生物機能性を有していることがわかった。本発明で生成したトリアシルグリセロールを降下させる組み換えタンパク質はVVYPペプチドを含み、降血糖組み換えタンパク質は「CDALQEIAR」ペプチドを含み、そして睡眠促進組み換えタンパク質は「YLGYLEQLLR」ペプチドを含んでいる。また機能性テストを行い、そのうち、トリアシルグリセロールを降下させるペプチド「VVYP」を17人の治験ボランティアに1ヶ月内服させたところ、トリアシルグリセロールが45.3%減少し、体重が6.3%減少した。
【0047】
【表4】
【0048】
そして降血糖機能を有する生物活性ペプチド「CDALQEIAR」を20人の治験ボランティアに1ヶ月内服させたところ、血糖が35.4%低下し、内服を継続すると血糖を80〜100 mg/dl間に維持でき、水腫患者には水腫に対する利尿作用もあった。
【0049】
【表5】
【0050】
そして睡眠促進機能を有する生物活性ペプチド「YLGYLEQLLR」を25人の治験ボランティアに1ヶ月服用させたところ、入眠遅延の問題を改善し正常にすることができた。同時に睡眠の品質を高め、ぐっすり眠れ、翌日体力が充実し、気持ちが愉快になり、プラス思考で日々の精神的プレッシャーに挑戦できるようになった。
【0051】
【表6】
Wilcoxson rank test検査:**P<0.01,***P<0.005 (vs DO),Alpha levelはBonferroni不等式を使用して調整する。IQR:四分位範囲。
【0052】
【表7】
Wilcoxson rank test検査:*P<0.05 (vs DO),Alpha levelはBonferroni不等式を使用して調整する。IQR:四分位範囲。
【0053】
これから、生物活性ペプチドが生物活性をはっきり出現させるには、効果的な濃度が最も重要なカギであることがわかる。そのためペプチドをタンパク質中に置換すると、両端が保護され、容易に破壊分解されないだけでなく、また一タンパク質分子中に連続多倍数体(例えば25個)のペプチドを配置し、濃度を増すこともできる。しかも遺伝子発現技術、及び多数組(例えば82組)の遺伝子を染色体中へ導入する同時発現を組み合わせると、生産量は驚異的となる。この革新的な組み換えタンパク質テクノロジーにより、ようやく生物活性ペプチドを効果的なタンパク性薬物として促進することができる。
【0054】
以上をまとめると、本発明は生物安全システムの酵母菌を利用し、また内毒素を発生しない医薬品グレードの下、組み換えタンパク質を生産している。端的に言うと、連続多倍数体生物活性ペプチドを1個のタンパク質中に置換し、さらに無毒性で安全、食用可能な酵母菌から、連続多倍数体生物活性ペプチドを豊富に含む高濃度組み換えタンパク質を大量生産して、この組み換えタンパク質を大量に発現できる以外に、また生物活性ペプチドの両端に保護を与え、それを胃中或いは小腸中の定点で切断させ、完全な生物活性ペプチドを十二指腸中或いは小腸中で吸収させて、機能性を行使させることができる。
【0055】
医薬方面での応用は、剤形を乳剤、軟膏剤、ジェル、塗布剤、ペースト状物、油剤、軟化剤、脂肪体剤形、ナノサイズ顆粒、ローション、うがい剤、シャンプー、乳液、スプレー剤、座剤、カプセル、錠剤、粉末、シロップ、顆粒、溶液、懸濁液、貼付剤或いは密封型貼付とすることができる。
【0056】
化粧品、保健品或いは健康食品等方面で応用する際、大量生産した生物活性組み換えタンパク質を、ペプシン、トリプシン、或いはカルボキシペプチダーゼBで加水分解後、液体ペプチドを製造したり、或いは適切な賦形剤、食品添加剤を添加して、製品の付加価値を増し、またその経済効益を高めることができる。
【0057】
これにより、本発明は創意性が極めて良い創作であることが理解でき、既知の者が直面している問題を効果的に解決するだけでなく、さらに効果を大幅に増進し、且つ同じ技術領域中、同じ或いは近似した発明、創作或いは公開使用が見られない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図8
図7