(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916699
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】折畳み傘の開閉装置
(51)【国際特許分類】
A45B 25/06 20060101AFI20160422BHJP
A45B 25/14 20060101ALI20160422BHJP
A45B 25/08 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
A45B25/06 B
A45B25/14 A
A45B25/14 B
A45B25/08 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-268857(P2013-268857)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-133129(P2014-133129A)
(43)【公開日】2014年7月24日
【審査請求日】2013年12月26日
(31)【優先権主張番号】201320012250.8
(32)【優先日】2013年1月10日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514000303
【氏名又は名称】陳 傅揚
(73)【特許権者】
【識別番号】598029645
【氏名又は名称】王 勝和
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】陳 傅揚
(72)【発明者】
【氏名】陳 亞明
【審査官】
山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭49−137764(JP,U)
【文献】
特開2004−222848(JP,A)
【文献】
特開平10−179223(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0183257(US,A1)
【文献】
特開2010−051607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 25/06
A45B 25/08
A45B 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともトップパイプと、軸径が前記トップパイプよりも大きいミドルパイプと、を含むそれぞれ軸径が異なる数本の軸パイプを入れ子式に上下伸縮可能に組み合わせてなった中棒を有する傘の前記中棒に設けられており、前記傘が開いている状態である開傘状態と閉じている状態である閉傘状態とに切替られるよう前記中棒の中心軸線に沿う方向である軸線方向に沿って前記中棒を上下摺動可能に取り付けられた下ろくろと、前記下ろくろが前記中棒に対して係止定位されるために前記中棒に設けられた固定部材と、前記下ろくろが前記固定部材に対して係止される状態になる第1の位置と該係止される状態が解除されて前記下ろくろと共に上下摺動可能な状態になる第2の位置とに前記中心軸線を横断する方向である軸径方向沿いに移動するように押圧操作される可動部材と、を備えてなるものであり、
前記下ろくろは、前記トップパイプとの間に隙間が形成されるように前記中棒に外嵌可能な軸径を有する内孔を画成した内周面と前記内周面と背中合わせの外周面とを有する中空状の軸管体であり、前記可動部材が前記軸径方向沿いに移動するように案内されるガイド溝と、前記内周面と前記外周面とを貫通して前記ガイド溝と連通する連通孔と、が設けられ、
前記固定部材は、前記ミドルパイプの上端に外嵌して取り付けられており、前記ミドルパイプの上端面に対応する上端面を前記下ろくろの移動を阻止する面として有する上部と、前記上部の反対側の下部と、前記上部と前記下部とを連結して形成された環状周壁と、からなり、
前記可動部材は、前記軸径方向沿いに滑り移動可能に前記下ろくろに取り付けられており、前記固定部材の上部の上端面に突き当たって係止定位されるウェブ部、及び前記ウェブ部の両端より前記軸径方向に突き出た2つのフランジ部により上面視で前記軸径方向沿いに開放された開口を有するU字形に形成された移動フレームと、前記連通孔を介して2つの前記フランジ部と連結されて取り付けられ、前記ウェブ部が前記軸径方向沿いに前記固定部材の前記上部の前記上端面と突き当たって係止定位される第1の位置から、該第1の位置から離れて前記ガイド溝に沿って前記可動部材が前記下ろくろと一体に移動できる第2の位置に滑り移動可能に押圧操作をするように構成された押圧プレートと、を有し、
前記下ろくろと前記可動部材との間には、前記ウェブ部を常に前記中棒側に押して前記固定部材の前記上端面に当接して前記第1の位置に定位させるための弾性部材が取り付けられ、
前記固定部材は、前記上部、前記下部及び前記環状周壁により前記ミドルパイプが挿入される中空部を画成してなり、前記上部より上向きにタブ状に突き出た突片が前記連通孔に対応すると共に前記下ろくろの前記内周面に突き当たって設けられ、
前記固定部材の上端面は、前記軸線方向に垂直に前記軸径方向に水平状に形成され、
前記突片はその前記軸線方向沿いの幅が、前記連通孔の前記軸線方向沿いの径幅よりも大きく、
前記下ろくろの前記外周面には、前記押圧プレートが前記連通孔の外部に残されて収容可能に、前記連通孔を介して前記下ろくろの内部と連通すると共に前記連通孔よりも径大に形成された溝孔が前記軸径方向に窪んで形成され、
前記弾性部材は、長手方向の互いに相反する2つの端部を有するように長手状に形成され、
前記下ろくろには、前記弾性部材の一端部が固定され、且つ前記ウェブ部が前記第1の位置から離れて前記第2の位置に滑り移動して収容される第1の受け孔が前記下ろくろの前記内周面より前記軸径方向に窪んで形成され、
前記ウェブ部には、前記弾性部材の他端部が固定され、前記弾性部材が収容される第2の受け孔が前記ウェブ部の外周面より窪んで形成されていることを特徴とする折畳み傘の開閉装置。
【請求項2】
前記中棒は更に、前記下ろくろが外嵌する、軸径が前記ミドルパイプよりも大きく前記ミドルパイプに外嵌するボトムパイプを有することを特徴とする請求項1に記載の折畳み傘の開閉装置。
【請求項3】
前記固定部材の前記環状周壁は、前記上部から前記下部に向って前記中棒側に傾斜するように形成された外環面を有することを特徴とする請求項1に記載の折畳み傘の開閉装置。
【請求項4】
前記ウェブ部の前記中棒側の内側には、前記軸線方向に沿って上から下につれて前記中棒側に傾斜して形成された第1の傾斜面部と、前記軸線方向に沿って下から上につれて前記中棒側に傾斜して形成された第2の傾斜面部と、が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の折畳み傘の開閉装置。
【請求項5】
前記固定部材の前記環状周壁は、前記下ろくろの前記内孔の前記内周面に対応する形状及びサイズを有することを特徴とする請求項1に記載の折畳み傘の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳み傘の開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、傘は、所定の軸線方向に沿って入れ子式に上下伸縮可能になっている中棒の上端に上ろくろが固定され、中棒の上ろくろの下側に軸線方向沿いに上下摺動可能な下ろくろが設けられ、中棒の上ろくろ側に軸線方向沿いに延伸された溝孔が設けられ、溝孔には下ろくろの下向きの移動を防止する上はじきが溝孔に浮沈可能な弾性反発力を有するように設けられている。この傘を開傘する場合、指で下ろくろを掴んで中棒の軸線方向の上向きに沿って摺動させ、溝孔を越えると、上はじきが溝孔内に押されて後退した後、直ちに自身の弾性反発力によって弾き出て下ろくろの下向きの移動を阻止するように下ろくろを係止すると同時に、傘が開かれている状態に保持することができる。また、指で上はじきを溝孔内に押し込んで下ろくろを引っ張りながら軸線方向の下向きに移動させて傘を閉じることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾登録実用新案第450041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記傘では、上はじきは、下ろくろの下向きの移動を阻止可能な剛性を有する金属材料をプレス成形してなっているため、傘を開閉するとき、ユーザーの指が下ろくろと溝孔から弾き出た上はじきの間に挟まれて怪我をする恐れがある。そのために、下ろくろに、上はじきを指で上から押すことができるように軟質材料でなった隔離片を設けているが、隔離片は剛性を有する上はじきによって摩損するので、使用につれて損傷する問題点がある。また、中棒に溝孔を設けているので、中棒の強度に影響が及び、傘が開傘状態に保持されている際の安定性が落ちる問題点もある。また、中棒は管径が例えば下から上へと細くなる複数のパイプによって入れ子構造になっていることから、下ろくろが複数のパイプの最も下のものに合わせて嵌設されている。そのため、下ろくろは最も上の細いパイプとの間に大きい隙間を形成してしまうので、下ろくろが中棒に対してガタガタと振動し、傘の傘布、骨組みなどに悪影響を与えて開傘状態に保持することが出来なくなり、壊れ易い問題点もある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、中棒の強度を損なうことなく、傘の使用状態において揺らいだりすることなく傘を安定して開傘・閉傘することができる折畳み傘の開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る折畳み傘の開閉装置は、少なくともトップパイプと、軸径が前記トップパイプよりも大きいミドルパイプと、を含むそれぞれ軸径が異なる数本の軸パイプを入れ子式に上下伸縮可能に組み合わせてなった中棒を有する傘の前記中棒に設けられており、前記傘が開いている状態である開傘状態と閉じている状態である閉傘状態とに切替られるよう前記中棒の中心軸線に沿う方向である軸線方向に沿って前記中棒を上下摺動可能に取り付けられた下ろくろと、前記下ろくろが前記中棒に対して係止定位されるために前記中棒に設けられた固定部材と、前記下ろくろが前記固定部材に対して係止される状態になる第1の位置と該係止される状態が解除されて前記下ろくろと共に上下摺動可能な状態になる第2の位置とに前記中心軸線を横断する方向である軸径方向沿いに移動するように押圧操作される可動部材と、を備えてなるものである。前記下ろくろは、前記トップパイプとの間に隙間が形成されるように前記中棒に外嵌可能な軸径を有する内孔を画成した内周面と前記内周面と背中合わせの外周面とを有する中空状の軸管体であり、前記可動部材が前記軸径方向沿いに移動するように案内されるガイド溝と、前記内周面と前記外周面とを貫通してガイド溝と連通する連通孔と、が設けられ、前記固定部材は、前記ミドルパイプの上端に外嵌して取り付けられており、前記ミドルパイプの上端面に対応する上端面を前記下ろくろの移動を阻止する面として有する上部と、前記上部の反対側の下部と、前記上部と前記下部とを連結して形成された環状周壁と、からなり、前記可動部材は、前記軸径方向沿いに滑り移動可能に前記下ろくろに取り付けられており、前記固定部材の上部の上端面に突き当たって係止定位されるウェブ部、及び前記ウェブ部の両端より前記軸径方向に突き出た2つのフランジ部により上面視で前記軸径方向沿いに開放された開口を有するU字形に形成された移動フレームと、前記連通孔を介して2つの前記フランジ部と連結されて取り付けられ、前記ウェブ部が前記軸径方向沿いに前記固定部材の前記上部の前記上端面と突き当たって係止定位される第1の位置から、該第1の位置から離れて前記ガイド溝に沿って前記可動部材が前記下ろくろと一体に移動できる第2の位置に滑り移動可能に押圧操作をするように構成された押圧プレートと、を有し、前記下ろくろと前記可動部材との間には、前記ウェブ部を常に前記中棒側に押して前記固定部材の前記上端面に当接して前記第1の位置に定位させるための弾性部材が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成された傘の開閉装置は、従来のように中棒に上はじきが浮沈して収容されるための溝孔を設けることがないため、中棒の強度を損なうことなく所定の剛性を保つことができ、使用の安全性を高めることができる。また、下ろくろと中棒との間には可動部材と下ろくろとに連結された弾性部材が設けられているので、下ろくろが中棒に対して上下摺動したりするときや、開傘状態、閉傘状態のときに、下ろくろと中棒との間に隙間があっても、弾性部材によってウェブ部を中棒側に常に押されるように付勢するので、安定して摺動することができ、開傘状態或いは閉傘状態を安定して保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る折畳み傘の開閉装置の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明に係る折畳み傘の開閉装置の一実施形態の一部を分解して示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る折畳み傘の開閉装置の一実施形態が中棒に取り付けられた場合の組立断面図である。
【
図5】本発明に係る折畳み傘の開閉装置の使用状態を説明する図である。
【
図6】本発明に係る折畳み傘の開閉装置の使用状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る折畳み傘の開閉装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(実施形態)
図1は、本発明に係る折畳み傘の開閉装置の一実施形態を示す分解斜視図、
図2は本発明に係る折畳み傘の開閉装置の一実施形態の一部を分解して示す斜視図、
図3は、本発明に係る折畳み傘の開閉装置の一実施形態が中棒に取り付けられた場合の組立断面図、
図4は、
図3の拡大図である。
【0011】
図中、符号100は、軸径がそれぞれ異なる数本の軸パイプ、例えばトップパイプ110、軸径がトップパイプ110よりも大きいミドルパイプ120、軸径がミドルパイプ120よりも大きいボトムパイプ130を入れ子式に上下伸縮可能に組み合わせてなった傘の中棒であり、符号1は、傘の開閉を行うために中棒100に設けられた開閉装置であり、開閉装置1は、下ろくろ20と、固定部材10と、可動部材30と、を備えている。
【0012】
下ろくろ20は、傘が開いている状態である開傘状態と傘が閉じている閉傘状態とに切替られるよう中棒100の中心軸線Lに沿う方向である軸線方向に沿って中棒100を上下摺動可能に中棒100に外嵌されており、中心軸線Lを取り囲んで形成されて数本の軸パイプにおける軸径が最も小さいもの、例えばトップパイプ110との間に隙間が形成されるように、軸径が最も大きいもの、例えばボトムパイプ130に外嵌可能な軸径を有する内孔211を画成した内周面21と内周面21と背中合わせの外周面22とを有する中空状の軸管体である。下ろくろ20には、可動部材30を中心軸線Lを横断する方向である軸径方向沿いに移動させるように案内するガイド溝23と、軸径方向に沿って内周面21と外周面22とを貫通してガイド溝23と連通する連通孔24と、が設けられている。
【0013】
固定部材10は、下ろくろ20を中棒100に対して係脱可能に係止するよう下ろくろ20との間に中棒100の例えばミドルパイプ120の上端にミドルパイプ120を外嵌して取り付けられており、ミドルパイプ120の上端面に対応する上端面13を下ろくろ20の移動を阻止する面として有する上部11と、上部11の反対側の下部12と、上部11と下部12とに連接して形成された環状周壁14と、を有するブラケットフレームとして構成されている。また、固定部材10は、上部11、下部12及び環状周壁14によりミドルパイプ120が挿入される中空部が画成された内周面を有する。上部11の軸径方向の一側より上向きにタブ状に突き出た突片15が設けられ、環状周壁14は、上部11から下部12に向かって径小に形成された外環面141を有する。
【0014】
なお、固定部材10は、中棒100の材質に合わせて作られれば良く、例えば金属を用いて作られても良い。なお、固定部材10はピン部材(図示せず)によって軸径方向沿いに環状周壁14を貫通したピン孔に挿入されてミドルパイプ120の上端部に固定されている。なお、突片15は、連通孔24から外部に抜けられない大きさを有するものであり、例えば突片15はその軸線方向沿いの幅が、連通孔24の軸線方向沿いの径幅よりも大きいと良い。固定部材10の環状周壁14は、下ろくろ20の内孔211の内周面に対応して形成された形状及びサイズを有し、固定部材10の上記中空部を画成した内周面は、ミドルパイプ120の外周面に対応して形成された形状及びサイズを有する。上端面13は、軸線方向に垂直に軸径方向に水平状に形成されている。
【0015】
可動部材30は、軸径方向沿いに滑り移動可能にその一部が下ろくろ20の外側から押圧可能に、その他部が連通孔24を介してガイド溝23に沿って移動可能に下ろくろ20に取り付けられており、下ろくろ20の中棒100に対する定位を保持・解除するよう固定部材10に対して係脱可能に設けられている。可動部材30は、この形態において、下ろくろ20の中棒100に対する定位が解除されたとき下ろくろ20と一体に軸線方向に沿って摺動するように、下ろくろ20と共に中棒100を摺動可能に中棒100の外形に対応して形成された形状を有するように設けられ、固定部材10の上部11の上端面13に突き当たって定位されるウェブ部31aとウェブ部31aの両端より突き出た2つのフランジ部31b、31bとにより上面視で中棒100側に向かって開放された開口を有するU字形の枠に形成された移動フレーム31と、連通孔24に対応して2つのフランジ部31b、31bを連結して設けられ、ウェブ部31aが軸径方向沿いに固定部材10の上部11の上端面13と突き当たって係止定位される第1の位置から、該第1の位置から離れて下ろくろ20と一体に移動できる第2の位置に滑り移動可能に押圧操作をするように構成された押圧プレート32と、を有する。
【0016】
また、下ろくろ20と可動部材30との間には、ウェブ部31aを常に中棒100側に押して固定部材10の上端面13に当接して第1の位置に定位させるための弾性部材40が取り付けられている。弾性部材40は、長手方向の互いに相反する2つの端部を有するように長手状に形成されたものであり、下ろくろ20には、弾性部材40の一端部が固定され、且つウェブ部31aが第1の位置から離れて第2の位置に滑り移動して収容される第1の受け孔26が内周面21より軸径方向に窪んで形成され、ウェブ部31aには、弾性部材40の他端部が固定され、弾性部材40が収容される第2の受け孔312がウェブ部31aの外周面311より窪んで形成されている。
【0017】
下ろくろ20の外周面22には、押圧プレート32を連通孔24の外部に残して収容可能に、連通孔24を介して下ろくろ20の内部と連通すると共に、連通孔24よりも径大に形成された溝孔25が軸径方向に窪んで形成されている。ガイド溝23は、移動フレーム31を滑り移動可能に案内するように連通孔24を介して溝孔25と連通して設けられている。押圧プレート32を押圧操作すると、移動フレーム31が連通孔24を介してガイド溝23に沿って第1の位置から第2の位置に滑り移動すると共に、押圧プレート32が溝孔25に収容される。
【0018】
ウェブ部31aの中棒100側の内側面313には、軸線方向に沿って上から下につれて中棒100側に傾斜して形成された第1の傾斜面部314と、軸線方向に沿って下から上につれて中棒100側に傾斜して形成された第2の傾斜面部315と、が形成されている。
【0019】
次に、以上のように構成された本発明に係る傘の開閉装置の動作及び作用について図面を参照して説明する。
【0020】
図4には、下ろくろ20と可動部材30とが弾性部材40によって固定部材10に対して係止定位された開傘時の状態を示す。
図5に示されているように、傘が開傘状態において、押圧プレート32が押圧操作によって押されると、押圧プレート32が連通孔24に近づいて溝孔25に収容され、移動フレーム31はガイド溝23に沿ってウェブ部31aが固定部材10の上端面13に係止定位された第1の位置からウェブ部31aが第1の受け孔26に収容されて下ろくろ20と共に摺動可能な第2の位置に滑り移動される。そして、ウェブ部31aが上端面13に係止定位された状態が第2の位置に移動されて解除された後も、押圧プレート32が押され続けることで弾性部材40が押されながらウェブ部31aが第1の受け孔26に収容されたまま、可動部材30が下ろくろ20と共に下側に摺動されると、
図6に示されているように固定部材10から離れて閉傘する。可動部材30が下ろくろ20と共に下側に摺動されたとき、第2の傾斜面部315によって固定部材10の上部に引っ掛って留まることなく滑り越えることができる。可動部材30に対する押圧が解除されると、弾性部材40の弾力でウェブ部31aが中棒100側に押され、押圧プレート32が連通孔24から離れて溝孔25から脱離する。中棒100側に押されたウェブ部31aによって下ろくろ20が中棒100に対して係止定位されて閉傘状態を保つことができる。
【0021】
その一方、傘が閉傘状態において、押圧プレート32が押圧操作によって押されると、押圧プレート32が再び連通孔24に近づいて溝孔25に収容され、移動フレーム31はガイド溝23に沿って案内されて、ウェブ部31aが上端面13に係止定位された第1の位置からウェブ部31aが第1の受け孔26に収容されて下ろくろ20と共に摺動可能な第2の位置に滑り移動される。そして、押圧プレート32を押しながら下ろくろ20と共に上向きに摺動させ、第1の傾斜面部314によって外環面141を滑り越えながら、移動フレーム31が上部11の上側に移動される。押圧プレート32への押圧が解除されると、弾性部材40の弾力でウェブ部31aが中棒100側に押され、押圧プレート32が連通孔24から離れて溝孔25から脱離すると共に、ウェブ部31aが固定部材10の上端面13に当接係止される。これによって傘が
図4に示されている開傘状態に定位される。
【0022】
以上により、中棒100に従来のように上はじきが浮沈して収容されるための溝孔を設けることがないため、中棒100の強度は弱めることなく所定の剛性を保つことができ、使用の安全性を高めることができる。
【0023】
また、固定部材10の環状周壁14は下ろくろ20の内孔211の内周面の形に合わせて形成され、固定部材10の内周面はミドルパイプ120の外周面の形に合わせて形成されているので、下ろくろ20が固定部材10に対して隙間が大きく生じることがなくなる。従って下ろくろ20が固定部材10に対してぐらつくことなく安定して定位されることができる。
【0024】
また、突片15は例えば開傘した状態で下ろくろ20の内周面に対して当接するように設けられているので、開傘状態を安定して保つことができる。また、下ろくろ20と中棒100との間には可動部材30と下ろくろ20とに連結された弾性部材40が設けられているので、下ろくろ20が中棒100に対して上下摺動したりするときや、開傘状態、閉傘状態のときに、下ろくろ20と中棒100との間に隙間があっても、弾性部材40によってウェブ部31aを中棒100側に常に押されるように付勢するので、安定して摺動することができ、開傘状態或いは閉傘状態を安定して保つことができる。
【0025】
また、この形態において、たとえ固定部材10が金属材料で作られ、可動部材30が損耗し易い材料、例えばプラスチック材料で作られても、移動フレーム31が固定部材10に対して摺動可能に上端面13に衝突することなく係止されることができるので、可動部材30は長く使用できる。
【0026】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではない。即ち、前記実施形態は、あくまでも本発明の技術的内容を明らかにする意図のものにおいてなされたものであり、本発明はこの実施形態に限定して狭義に解釈されるものではなく、本発明の精神及びクレームに述べられた範囲で、いろいろと変更して実施できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る傘の開閉装置は、折畳み傘の開閉装置として有用である。
【符号の説明】
【0028】
100 中棒 23 ガイド溝
110 トップパイプ 24 連通孔
120 ミドルパイプ 25 溝孔
130 ボトムパイプ 26 第1の受け孔
1 開閉装置 30 可動部材
10 固定部材 31 移動フレーム
11 上部 31a ウェブ部
12 下部 31b フランジ部
13 上端面 311 外周面
14 環状周壁 312 第2の受け孔
141 外環面 313 内側面
15 突片 314 第1の傾斜面部
20 下ろくろ 315 第2の傾斜面部
21 内周面 32 押圧プレート
211 内孔 40 弾性部材
22 外周面