特許第5916710号(P5916710)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5916710熱可塑性及び熱硬化性ポリマー用の難燃剤−安定化剤の組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916710
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】熱可塑性及び熱硬化性ポリマー用の難燃剤−安定化剤の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   C09K 21/12 20060101AFI20160422BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20160422BHJP
   C08K 5/53 20060101ALI20160422BHJP
   C08K 5/101 20060101ALI20160422BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20160422BHJP
   C08K 5/52 20060101ALI20160422BHJP
   C08K 5/5313 20060101ALI20160422BHJP
   C08K 5/5393 20060101ALI20160422BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20160422BHJP
   C09K 21/02 20060101ALI20160422BHJP
   C09K 21/14 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
   C09K21/12
   C08L101/00
   C08K5/53
   C08K5/101
   C08K5/3477
   C08K5/52
   C08K5/5313
   C08K5/5393
   C08K3/00
   C09K21/02
   C09K21/14
【請求項の数】14
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2013-506528(P2013-506528)
(86)(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公表番号】特表2013-529230(P2013-529230A)
(43)【公表日】2013年7月18日
(86)【国際出願番号】EP2011002016
(87)【国際公開番号】WO2011134622
(87)【国際公開日】20111103
【審査請求日】2014年4月18日
(31)【優先権主張番号】102010018681.3
(32)【優先日】2010年4月29日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398056207
【氏名又は名称】クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヘーロルト・ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】バウアー・ハラルド
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−291217(JP,A)
【文献】 特開2005−344113(JP,A)
【文献】 特開2004−018857(JP,A)
【文献】 特開2006−291207(JP,A)
【文献】 特開2000−351828(JP,A)
【文献】 特開平08−059871(JP,A)
【文献】 特表2007−514828(JP,A)
【文献】 特表2007−534685(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0241529(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0272839(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0137297(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0076132(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0051088(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0226404(US,A1)
【文献】 米国特許第06548627(US,B1)
【文献】 国際公開第2005/059018(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/007663(WO,A1)
【文献】 国際公開第2007/064748(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 21/12
C08K 3/00
C08K 5/101
C08K 5/3477
C08K 5/52
C08K 5/53
C08K 5/5313
C08K 5/5393
C08L 101/00
C09K 21/02
C09K 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分Aとして、40〜99重量%の式(I)のホスフィン酸塩及び/またはそのポリマー、
【化1】
[式中、
、Rは、同一かまたは異なり、そして線状、分枝状もしくは環状C−C18アルキルを意味し;
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K及び/またはプロトン化された窒素塩基を意味し;
mは、1〜4を意味し;
nは、1〜4を意味し;
xは、1〜4を意味する]
成分Bとして、1〜60重量%の以下の一般式(III)のホスフィン酸塩、
【化2】
[式中、
は、−C18アリール、C−C18アリールアルキルまたはC−C18アルキルアリールを意味し、及び
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K及び/またはプロトン化された窒素塩基を意味する]
成分Cとして、0〜50重量%の窒素含有相乗剤及び/またはリン/窒素難燃剤、
成分Dとして、0〜10重量%の亜鉛塩及び/または塩基性もしくは両性酸化物、水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、スズ酸塩、混合酸化物−水酸化物、酸化物−水酸化物−炭酸塩、水酸化物−ケイ酸塩、及び/または水酸化物−ホウ酸塩、及び/またはこれらの物質の混合物、
成分Eとして0〜10重量%のホスホナイトまたはホスホナイト/ホスフィット混合物、及び
成分Fとして0〜10重量%の、炭素原子数14〜40の長鎖脂肪酸のエステル及び/または塩、
を含み、ここでこれらの成分の合計は常に100重量%である、
難燃剤−安定化剤の組み合わせ。
【請求項2】
、Rが、同一かまたは異なり、そしてメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert.−ブチル及び/またはn−ペンチルを意味し、そしてRが、フェニル、ナフチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−メチル置換フェニルを意味する、請求項1に記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ。
【請求項3】
75〜95重量%の成分A、及び5〜25重量%の成分Bを含む、請求項1または2に記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ。
【請求項4】
成分Cが、メラミンの縮合生成物、及び/またはメラミンとポリリン酸との反応生成物、及び/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、またはこれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ。
【請求項5】
成分Cが、メレム、メラム、メロン、及び/またはこれらのより高度に縮合された化合物であるか、及び/またはジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート、及び/またはこれらのタイプの混合ポリ塩である、請求項4に記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ。
【請求項6】
成分Cが、式(NH3−yPOもしくは(NHPO(式中、yは1〜3であり、そしてzは1〜10,000である)の窒素含有ホスフェートである、請求項1〜3のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ
【請求項7】
成分Cが、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム及び/またはポリリン酸アンモニウムである、請求項6に記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ
【請求項8】
成分Cが、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントイン、グリコールウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、ジシアンジアミド及び/またはグアニジンである、請求項1〜3のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ。
【請求項9】
成分Dが、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化スズ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ジヒドロタルサイト、ヒドロカルマイト、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化スズ水和物、水酸化マンガン、ホウ酸亜鉛、塩基性ケイ酸亜鉛、及び/またはスズ酸亜鉛である、請求項1〜8のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ
【請求項10】
成分Eが、以下の一般構造式のホスホナイトである、請求項1〜9のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ。
R−[P(OR (IV)
[式中、
Rは、一価もしくは多価の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族有機残基であり、そして
は、次の構造(V)
【化3】
の化合物であるか、両R残基が、次の構造(VI)
【化4】
の橋掛け基を形成し、
ここで、
Aは、直接結合、O、S、C1−18アルキレン(線状もしくは分枝状)、C1−18アルキリデン(線状もしくは分枝状)を意味し、
は、互いに非依存に、C1−12アルキル(線状もしくは分枝状)、C1−12アルコキシ、C5−12シクロアルキルを意味し、そして
nは、0〜5を意味し、
mは、1〜4を意味する]
【請求項11】
成分Fが、炭素原子数14〜40の長鎖脂肪酸と多価アルコールとの反応生成物であるか、及び/または炭素原子数14〜40の長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩及び/または亜鉛塩である、請求項1〜10のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせを含む耐炎性プラスチック成形材料であって、プラスチックが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートの種の熱可塑性ポリマー、及びABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/耐衝撃性ポリスチレン)プラスチックのタイプのブレンドまたはポリマーブレンドである、前記防炎性プラスチック成形材料
【請求項13】
プラスチック成形材料50〜98重量%、及び請求項1〜11のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ2〜50重量%を含む、請求項12に記載の防炎性プラスチック成形材料
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせを含むポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維であって、上記ポリマーが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、及びABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)のタイプのブレンドまたはポリマーブレンド、ポリアミド、ポリエステル及び/またはABSであること、及びポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及び/またはポリマー繊維50〜98重量%、及び請求項1〜11のいずれか一つに記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ2〜50重量%を含む、前記ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性及び熱硬化性ポリマー用の難燃剤−安定化剤の組み合わせ、並びにこのような難燃剤−安定化剤の組み合わせを含むポリマー成形材料及び成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックの加工は、幾つかの例外を除いて、溶融物の状態で行われる。プラスチックは、その化学構造を変化させること無しには、それに伴う構造と状態の変化を耐え抜くことは殆どない。その結果、架橋、酸化、分子量の変化、及びそれ故、物理的及び技術的な性質の変化が起こり得る。加工中のポリマーへの負荷を減少させるために、プラスチックに応じて様々な添加剤が使用される。
【0003】
一般的に、それぞれ課題を担う様々な添加剤が同時に使用される。例えば、プラスチックが化学的ダメージを被ることなく加工に耐え、次いで長期の間、熱、UV光、気候及び酸素(空気)などの外部からの影響に対して安定であるように、酸化防止剤及び安定化剤が使用される。潤滑剤は、流動性を向上するということの他に、高温の機械部材にプラスチック溶融物があまりに強く付着することを防ぎ、加えて、顔料、フィラー及び強化物質の分散剤として働く。
【0004】
難燃剤を使用することによって、溶融物での加工時のプラスチックの安定性に影響を及ぼすことができる。難燃剤は、国際規格によるプラスチックの十分な非燃焼性を保証するために、多量の配量で添加しなければならないことが多い。高温度下での難燃作用に必要なそれらの化学反応性の故に、難燃剤は、プラスチックの加工安定性を損ねる恐れがある。強められたポリマー分解、架橋反応、ガス放出または着色などが起こり得る。
【0005】
例えば、ポリアミドは、一般的に、少量のハロゲン化銅並びに芳香族アミン及び立体障害性フェノール類によって安定化され、この際、高い持続使用温度下での長期間に渡る安定性の達成が強調されている(H.Zweifel(Ed.):“Plastics Additives Handbook”,5th Edition,Carl Hanser Verlag,Muenchen,2000,p.80〜84(非特許文献1))。
【0006】
特に熱可塑性ポリマー用としては、ホスフィン酸の塩(ホスフィネート)が有効な防炎添加剤であることが判明している(DE−A−2252258(特許文献1)及びDE−A−2447727(特許文献2))。ホスフィン酸カルシウム及びホスフィン酸アルミニウムは、ポリエステル中で特に効果的であると記載されており、そしてアルカリ金属塩と比べてポリマー成形材料の材料特性を僅にしか損ねない(EP−A−0699708(特許文献3))。ホスフィネートと特定の窒素含有化合物との相乗コンビネーションは、かなりの種類のポリマーにおいて、ホスフィネート単独の場合よりも難燃剤として効果的である(PCT/EP97/01664(特許文献4)並びにDE−A−19734437(特許文献5)及びDE−A−19737727(特許文献6))。
【0007】
同様に、熱硬化性ポリマーを、特定のホスフィネートを用いて有利に耐炎性に調節することができる。
【0008】
リン含有難燃剤を含むポリマー成形材料は、カルボジイミド類、イソシアネート類及びイソシアヌレート類を用いて安定化することができる(DE−A−19920276(特許文献7))。
【0009】
ポリアミド中にリン含有難燃剤を使用する場合には特に、これまで開示された安定化剤の作用は、中でも加工時に発生する変色や分子量の減少などの効果を阻止するためには、不十分である。
【0010】
DE−A−19614424(特許文献8)は、ポリエステル及びポリアミド中で窒素相乗剤と組み合わせたホスフィネートを記載している。DE−A−19933901(特許文献9)は、ポリエステル及びポリアミド用に、難燃剤としてメラミンポリホスフェートと組み合わせたホスフィネートを開示している。しかし、これらの非常に効果的な難燃剤の使用の際には、特に300℃を超える加工温度では、部分的なポリマーの分解及びポリマーの変色が起こる恐れがある。
【0011】
EP−A−0794189(特許文献10)は、難燃剤として亜ホスホン酸塩を記載している。この亜ホスホン酸は、一般式RHP(O)(OH)から誘導され、ここでRは、炭素原子数1〜12のアルキル基、またはアリール基、またはアルキルアリール基である。好ましい塩は、アルミニウム塩及びカルシウム塩である。しかし、配合量は、ポリエステル中20〜30重量%と比較的多い。
【0012】
US−A−2008/0132619(特許文献11)は、300℃を超えると揮発するホスフィン酸塩を、より揮発性の低いホスフィン酸塩と比べて有効な難燃添加剤として記載している。
【0013】
PCT/US2006/045770(特許文献12)は、ジアルキルホスフィン酸の金属塩とモノアルキルホスフィン酸との混合物を含む非燃焼性熱可塑性ポリマーを記載している。イソブチルホスフィン酸の塩のみが有効であることが実証されている。
【0014】
揮発性が比較的高いホスフィン酸塩を使用する際の不利な点は、射出成形の際に金型付着物が生ずること、湿気が高く暖かい条件での貯蔵の際に侵出物が生ずること、並びにコンパウンド化の際に放出物が発生することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】DE−A−2252258
【特許文献2】DE−A−2447727
【特許文献3】EP−A−0699708
【特許文献4】PCT/EP97/01664
【特許文献5】DE−A−19734437
【特許文献6】DE−A−19737727
【特許文献7】DE−A−19920276
【特許文献8】DE−A−19614424
【特許文献9】DE−A−19933901
【特許文献10】EP−A−0794189
【特許文献11】US−A−2008/0132619
【特許文献12】PCT/US2006/045770
【特許文献13】PCT/WO97/39053
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】H.Zweifel(Ed.):“Plastics Additives Handbook“,5th Edition,Carl Hanser Verlag,Muenchen,2000,p.80〜84
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
それ故、非燃焼性の他にプラスチックに対して安定化作用をも及ぼし、金型付着物を生じさせず、かつプラスチックからの侵出物を発生させない、熱可塑性及び熱硬化性プラスチック用の難燃剤の組み合わせを提供することが本発明の課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0018】
それ故、本発明の対象は、
成分Aとして、40〜99重量%の、次式(1)のホスフィン酸塩及び/または次式(2)のジホスフィン酸塩、及び/またはこれらのポリマー、
【0019】
【化1】
【0020】
[式中、R、Rは、同一かまたは異なり、線状、分枝状もしくは環状のC−C18−アルキル、C−C18−アリール、C−C18−アリールアルキル及び/またはC−C18−アルキルアリールを意味し;
は、線状もしくは分枝状のC−C10−アルキレン、C−C10−アリーレン、C−C18−アルキルアリーレンまたはC−C18−アリールアルキレンを意味し;
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K及び/またはプロトン化された窒素塩基を意味し;
mは、1〜4を意味し;
nは、1〜4を意味し;
xは、1〜4を意味する]
成分Bとして、1〜60重量%の、以下の一般式(III)のホスフィン酸塩、
【0021】
【化2】
【0022】
[式中、
は、線状、分枝状もしくは環状C−C18−アルキル、C−C18−アリール、C−C18−アリールアルキルまたはC−C18−アルキルアリールを意味し、及び
Mは、Mg、Ca、Al、Sb、Sn、Ge、Ti、Zn、Fe、Zr、Ce、Bi、Sr、Mn、Li、Na、K及び/またはプロトン化された窒素塩基を意味する]
成分Cとして、0〜50重量%の、窒素含有相乗剤及び/またはリン/窒素難燃剤、
成分Dとして、0〜10重量%の、亜鉛塩、または塩基性もしくは両性の酸化物、
水酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、スズ酸塩、混合酸化物−水酸化物、酸化物−水酸化物−炭酸塩、水酸化物−ケイ酸塩、または水酸化物−ホウ酸塩、あるいはこれらの物質の混合物、
成分Eとして、0〜10重量%の、ホスホナイト類またはホスホナイト類/ホスフィット類混合物、及び成分Fとして、0〜10重量%の、炭素原子数14〜40の長鎖脂肪酸のエステル及び/または塩を含み、これらの成分の合計は常に100重量%であり、
但し、RがC−C18アルキルを意味する場合には、R及び/またはR基のうちの少なくとも一つは、C−C18−アリール、C−C18−アリールアルキル及び/またはC−C18−アルキルアリールを意味する、
難燃剤−安定化剤の組み合わせである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第一の実施形態(実施形態I)では、好ましくは、R及びRは、同一かまたは異なり、線状、分枝状もしくは環状C−C18−アルキルを意味し、Rは、C−C18−アリール、C−C18−アリールアルキルまたはC−C18−アルキルアリールを意味する。
【0024】
他の実施形態(実施形態II)では、R及び/またはR基のうちの少なくとも一つは、C−C18−アリール、C−C18−アリールアルキル及び/またはC−C18−アルキルアリールを意味し、そしてこの時、Rは排他的にC−C18−アルキルを意味する。
【0025】
他の実施形態(実施形態III)では、R及び/またはR基のうちの少なくとも一つは、C−C18−アリール、C−C18−アリールアルキル及び/またはC−C18−アルキルアリールを意味し、そしてRは、C−C18−アリール、C−C18−アリールアルキルまたはC−C18−アルキルアリールを意味する。
【0026】
実施形態Iにおいて、好ましくは、R及びRは、同一かまたは異なり、そしてメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert.−ブチル及び/またはn−ペンチルを意味し、そしてRは、フェニル、ナフチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−メチル置換フェニルを意味する。
【0027】
実施形態IIでは、特に好ましくは、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert.−ブチルまたはn−ペンチルを意味し、そしてRは、フェニル、ナフチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−メチル置換フェニルを意味するか、あるいはRは、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert.−ブチルまたはn−ペンチルを意味し、そしてRは、フェニル、ナフチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−メチル置換フェニルを意味し、そしてこの時、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert.−ブチルまたはn−ペンチルを意味する。
【0028】
実施形態IIIでは、好ましくは、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert.−ブチルまたはn−ペンチルを意味し、そしてRは、フェニル、ナフチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−メチル置換フェニルを意味するか、あるいはRは、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、tert.−ブチルまたはn−ペンチルを意味し、そしてRは、フェニル、ナフチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−メチル置換フェニルを意味し、そしてこの時、Rは、フェニル、ナフチルまたはモノ−、ジ−もしくはトリ−メチル置換フェニルを意味する。
【0029】
好ましくは、本発明の難燃剤−安定化剤の組み合わせは、75〜95重量%の成分A及び5〜25重量%の成分Bを含む。
【0030】
好ましくは、成分Cは、メラミンの縮合生成物、及び/またはメラミンとポリリン酸との反応生成物、及び/またはメラミンの縮合生成物とポリリン酸との反応生成物、あるいはこれらの混合物である。
【0031】
特に好ましくは、成分Cは、メレム、メラム、メロン及び/またはこれらのより縮合度が高い化合物であるか、及び/またはジメラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メレムポリホスフェート、メラムポリホスフェート、メロンポリホスフェート、及び/またはこれらの混合ポリ塩である。
【0032】
好ましくは、成分Cは、式(NH3−yPOまたは(NHPO(式中、yは1〜3であり、そしてzは1〜10,000である)の窒素含有ホスフェートでもある。
【0033】
特に好ましくは、成分Cは、リン酸水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム及び/またはポリリン酸アンモニウムである。
【0034】
好ましくは、成分Cは、ベンゾグアナミン、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、アラントン、グリコールウリル、メラミン、メラミンシアヌレート、ジシアンジアミド及び/またはグアニジンでもある。
【0035】
好ましい成分Dは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マンガン、酸化スズ、水酸化アルミニウム、ベーマイト、ジヒドタルサイト、ヒドロカルマイト、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化スズ水和物、水酸化マンガン、ホウ酸亜鉛、塩基性ケイ酸亜鉛、及び/またはスズ酸亜鉛である。
【0036】
好ましくは、成分Eは、以下の一般構造式のホスホナイト類である。
【0037】
R−[P(OR (IV)
式中、
Rは、一価または多価の脂肪族、芳香族またはヘテロ芳香族有機基であり、そして
は、以下の構造(V)
【0038】
【化3】
【0039】
の化合物であるか、または二つのR基が、以下の構造(VI)の橋掛け基を形成し、
【0040】
【化4】
【0041】
式中、Aは、直接結合、O、S、C1−18アルキレン(線状もしくは分枝状)、C1−18アルキリデン(線状または分枝状)を意味し、
は、互いに独立して、C1−12アルキル(線状もしくは分枝状)、C1−12アルコキシ、C5−12シクロアルキルを意味し、そして
nは、0〜5を、mは1〜4を意味する。
【0042】
好ましくは、成分Fは、炭素原子数14〜40の長鎖脂肪酸と多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン及び/またはペンタエリトリトールとの反応生成物、及び/または炭素原子数14〜40の長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩及び/または亜鉛塩である。
【0043】
更に本発明は、請求項1〜16の一つまたはそれ以上に記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせを含む防炎性プラスチック成形材料であって、前記プラスチックが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートの種の熱可塑性ポリマー、あるいはABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン−HI)プラスチックの種のブレンドまたはポリマーブレンドであることを特徴とする、前記成形材料にも関する。
【0044】
好ましくは、該防炎性プラスチック成形材料は、プラスチック成形材料50〜98重量%、及び請求項1〜16の一つまたはそれ以上に記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ2〜50重量%を含む。
【0045】
最後に、本発明は更に、請求項1〜16の一つまたはそれ以上に記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせを含む、ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維であって、ポリマーが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、及びABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)の種のブレンドもしくはポリマーブレンド、ポリアミド、ポリエステル及び/またはABSであり、かつポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及び/またはポリマー繊維50〜98重量%、及び請求項1〜16の一つまたはそれ以上に記載の難燃剤−安定化剤の組み合わせ2〜50重量%を含むことを特徴とする、前記ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維にも関する。
【0046】
驚くべきことに、式(I)もしくは(II)のホスフィン酸の特定の塩と、式(III)のホスフィン酸の選択された塩との本発明による組み合わせが、PCT/US2006/045770(特許文献12)に記載のようにモノアルキルホスフィン酸の塩と一緒にジアルキルホスフィン酸の塩を使用する場合と比べて、ポリマーに配合した時に明らかに向上した難燃作用及び明らかに向上した安定性を示すことが見出された。窒素含有相乗剤またはリン/窒素難燃剤の添加によって、難燃作用を更に向上すること、及びポリマーの分解を阻止することができる。更に、金型付着物及び浸出物も観察されない。
【0047】
本発明の組み合わせは、溶融物での加工の際にプラスチックの変色を減らし、そしてより小さな分子量を有する単位へのプラスチックの分解を抑制する。
【0048】
好ましくは、Rは、メチレン、エチレン、n−プロピレン、iso−プロピレン、n−ブチレン、tert.−ブチレン、n−ペンチレン、n−オクチレンもしくはn−ドデシレン; フェニレンまたはナフチレン; メチルフェニレン、エチルフェニレン、tert.−ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレンまたはtert.−ブチルナフチレン; フェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレンまたはフェニルブチレンを意味する。
【0049】
プロトン化された窒素塩基とは、好ましくは、アンモニア、メラミン及びトリエタノールアミンのプロトン化された塩基、特にNHを意味する。
【0050】
式(I)及び(II)の適当なホスフィネートは、PCT/WO97/39053(特許文献13)に記載されている。この特許文献の内容は本明細書中に掲載されたものとする。
【0051】
特に好ましいホスフィネートは、ホスフィン酸アルミニウム、ホスフィン酸カルシウム及びホスフィン酸亜鉛である。
【0052】
多種のポリマー中において、ホスフィン酸単独の場合よりも難燃剤としてより効果的に作用する、上記のホスフィネートと窒素含有化合物との相乗性組み合わせも本発明の範囲に含まれる(DE−A−19614424(特許文献8)、DE−A−19734437(特許文献5)及びDE−A−19737727(特許文献6))。ホスフィネートの難燃作用は、他の難燃剤、好ましくは窒素含有相乗剤またはリン/窒素難燃剤との組み合わせによって向上することができる。
【0053】
好ましくは、窒素含有相乗剤は、次式(XII)〜(XVII)のものまたはこれらの混合物、あるいはトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートと芳香族ポリカルボン酸とのオリゴマー性エステルである。
【0054】
【化5】
【0055】
式中、
〜Rは、水素、C−C−アルキル、C−C16−シクロアルキルまたはC−C16−アルキルシクロアルキル(これらは場合によりヒドロキシ官能基またはC−C−ヒドロキシアルキル官能基で置換されている)、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アシル、C−C−アシルオキシ、C−C12−アリールまたはC−C12−アリールアルキル、−OR、及び−N(R)R並びにこれのN−脂環式もしくはN−芳香族のものを意味し、
は、水素、C−C−アルキル、C−C16−シクロアルキルまたはC−C16−アルキルシクロアルキル(これらは場合によりヒドロキシ官能基またはC−C−ヒドロキシアルキル官能基により置換されている)、C−C−アルケニル、C−C−アルコキシ、C−C−アシル、C−C−アシルオキシまたはC−C12−アリールもしくはC−C12−アリールアルキルを意味し、
〜R13は、Rと同じ基、並びに−O−Rを意味し、
m及びnは、互いに独立して、1、2、3または4を意味し、そしてXは、トリアジン化合物(III)と付加物を形成することができる酸を意味する。
【0056】
成分A、B、C、D、E及びFの以下の組み合わせも本発明の範囲内である:
AB;
ABC、ABD、ABE、ABF;
ABCD、ABCE、ABCF、ABDE、ABDF、ABEF;
ABCDE、ABCDF、ABCEF;
ABCDEF。
【0057】
これには、例えば同じタイプの二種またはそれ以上の異なる成分が含まれる組み合わせ、例えばABCまたはABCDEFなども含まれる。
【0058】
成分A及びB、場合により並びにC、D、E及び/またはFからなる本発明の組み合わせには添加剤を加えてもよく、このような添加剤には、例えば、酸化防止剤、UV吸収剤、光保護剤、金属失活剤、過酸化物破壊性化合物、ポリアミド安定化剤、塩基性共安定化剤、成核剤、フィラー及び強化材、更に別の難燃剤、並びにその他の添加剤の任意の組み合わせなどがある。
【0059】
適当な酸化防止剤は、例えば、アルキル化されたモノフェノール類、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール; 1,2−アルキルチオメチルフェノール類、例えば2,4−ジ−オクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール; ヒドロキノン類及びアルキル化されたヒドロキノン類、例えば2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール; トコフェロール類、例えばα−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール及びこれらの混合物(ビタミンE); 水素化されたチオジフェニルエーテル、例えば2,2’−チオ−ビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオ−ビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3,6−ジ−sec.−アミルフェノール)、4,4’−ビス−(2,6−ジ−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−ジスルフィック; アルキリデン−ビスフェノール類、例えば2,2’−メチレン−ビス−(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール; O−、N−及びS−ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジ−ベンジルエーテル; ヒドロキシベンジル化されたマロネート、例えばジオクタデシル−2,2−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)−マロネート; ヒドロキシベンジル−芳香族類、例えば1,3,5−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−フェノール; トリアジン化合物、例えば2,4−ビス−オクチルメルカプト−6(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン; ベンジルホスホネート類、例えばジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート; アシルアミノフェノール類、4−ヒドロキシラウリン酸アミド、4−ヒドロキシステアリン酸アニリド、N−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−カルバミン酸オクチルエステル; β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル; β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル; β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル; 3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル; β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオン酸のアミド、例えばN,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−トリメチレンジアミン、N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジンである。
【0060】
適当なUV吸収剤及び光保護剤は、例えば2−(2’−ヒドロキシ−フェニル)−ベンゾトリアゾール類、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール;
2−ヒドロキシベンゾフェノン類、例えば4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクトキシ−、4−デシルオキシ−、4−ドデシルオキシ−、4−ベンジルオキシ−、4,2’,4−トリヒドロキシ−、2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−誘導体;
場合により置換された安息香酸のエステル、例えば4−tert−ブチル−フェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニル−サリチレート、ジベンゾイルレゾルシン、ビス−(4−tert−ブチルベンゾイル)−レゾルシン、ベンゾイルレゾルシン、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸−2,4−ジ−tert−ブチルフェニルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸−オクタデシルエステル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸−2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニルエステル; アクリレート類、例えばα−シアン−β,β−ジフェニルアクリル酸−エチルエステルもしくは−イソオクチルエステル、α−カルボメトキシ−ケイ皮酸メチルエステル、α−シアノ−β−メチル−p−メトキシ−ケイ皮酸メチル−エステルもしくは−ブチルエステル、α−カルボメトキシ−p−メトキシ−ケイ皮酸メチルエステル、N−(β−カルボ−メトキシ−β−シアノビニル)−2−メチル−インドリンである。
【0061】
更に、ニッケル化合物、例えば2,2’−チオ−ビス−[4(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]のニッケル錯体、例えば、場合により追加の配位子、例えばn−ブチルアミン、トリエタノールアミンもしくはN−シクロヘキシル−ジエタノールアミンを有する1:1−もしくは1:2−錯体、ニッケルジブチルジチオカルバメート、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスホン酸−モノアルキルエステルのニッケル塩、例えばメチルエチルもしくはエチルエステルのこのようなニッケル塩、ケトキシム類のニッケル錯体、例えば2−ヒドロキシ−4−メチル−フェニル−ウンデシルケトキシムのニッケル錯体、場合により追加の配位子を有する、1−フェニル−4−ラウロイル−5−ヒドロキシ−ピラゾールのニッケル錯体; 立体障害性アミン、例えばビス−(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)−セバケート; シュウ酸ジアミド類、例えば4,4’−ジ−オクチルオキシ−オキサニリド; 2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類、例えば2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン。
【0062】
適当な金属失活剤は、例えばN,N’−ジフェニルシュウ酸ジアミド、N−サリチラール−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス−(サリチロイル)−ヒドラジン、N,N’−ビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)−ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス−(ベンジリデン)−シュウ酸ジヒドラジド、オキサニリド、イソフタル酸−ジヒドラジド、セバシン酸−ビス−フェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチル−アジピン酸−ジヒドラジド、N,N’−ビス−サリチロイル−シュウ酸−ジヒドラジド、N,N’−ビス−サリチロイル−チオプロピオン酸−ジヒドラジドである。
【0063】
適当な過酸化物破壊性化合物は、例えば、β−チオジプロピオン酸のエステル、例えばラウリル−、ステアリル−、ミリスチル−またはトリデシルエステル、メルカプト−ベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩、亜鉛−ジブチル−ジチオカルバメート、ジオクタデシルジスルフィド、ペンタエリトリトール−テトラキス−(β−ドデシルメルカプト)−プロピオネートである。
【0064】
適当なポリアミド安定化剤は、例えば、ヨウ化物及び/またはリン化合物と組み合わせた銅塩、及び二価のマンガンの塩である。
【0065】
適当な塩基性共安定化剤は、メラミン、ポリビニルピロリドン、ジシアンジアミド、トリアリルシアヌレート、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、アミン類、ポリアミド、ポリウレタン、高級脂肪酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、リシノール酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、アンチモンカテコレートまたはスズカテコレートである。
【0066】
適当な成核剤は、例えば4−tert−ブチル安息香酸、アジピン酸及びジフェニル酢酸である。
【0067】
フィラー及び強化材には、例えば炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、アスベスト、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、金属酸化物及び水酸化物、カーボンブラック、グラファイト及び他のものが挙げられる。
【0068】
更に別の難燃剤としては、例えばアリールホスフェート類、ホスホネート類、次亜リン酸の塩、並びに赤リンなどが適している。
【0069】
その他の添加剤には、例えば可塑剤、膨張グラファイト、潤滑剤、乳化剤、顔料、蛍光増白剤、難燃剤、帯電防止剤、及び発泡剤などが挙げられる。
【0070】
これらの追加の添加剤は、難燃剤の添加の前に、それと一緒またはその後にポリマーに加えることができる。この際、これらの添加剤並びに難燃剤の計量添加は、固形物として、溶液または溶融物状態で、並びに固形もしくは液状の混合物の形、あるいはマスターバッチ/濃厚物の形で行うことができる。
【0071】
金属酸化物は、好ましくは、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マンガン及び/または酸化スズである。
【0072】
水酸化物は、好ましくは、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ヒドロタルサイト、ヒドロカルマイト、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、酸化スズ水和物及び/または水酸化マンガンである。
【0073】
成分Dは、好ましくは、ホウ酸亜鉛、塩基性ケイ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ジヒドロタルサイト及び/またはベーマイトである。
【0074】
好ましくは、ホスホナイト類(成分E)において、次の基は以下の意味を有する。
R: C4−18−アルキル(線状もしくは分枝状)、C4−18−アルキレン(線状もしくは分枝状)、C5−12−シクロアルキル、C5−12−シクロアルキレン、C6−24−アリールもしくはC6−24−ヘテロアリール、C6−24−アリーレンもしくはC6−24−ヘテロアリーレン、これらは更に置換されいてもよい;
: 構造(V)または(VI)の化合物、ここで
: 互いに独立してC1−8−アルキル(線状もしくは分枝状)、C1−8−アルコキシ、−シクロヘキシル;
A: 直接結合、O、C1−8−アルキレン(線状もしくは分枝状)、C1−8−アルキリデン(線状もしくは分枝状)、及び
n: 0〜3、及び
m: 1〜3。
【0075】
特に好ましくは、ホスホナイト類(成分E)において、次の基は以下の意味を有する。
【0076】
R: シクロヘキシル、フェニル、フェニレン、ビフェニル及びビフェニレン;
: 構造(V)または(VI)の化合物、ここで
: 互いに独立して、C1−8−アルキル(線状もしくは分枝状)、C1−8−アルコキシ、シクロヘキシル;
A: 直接結合、O、C1−6−アルキリデン(線状もしくは分枝状)、及び
n: 1〜3、及び
m: 1または2。
【0077】
更に、次式(VII)のホスフィット類と組み合わせたホスホナイト類(成分E)の混合物も特許請求される。
【0078】
P(OR (VII)
式中、Rは上記の意味を有する。
【0079】
特に好ましいものは、上記の記載に基づいて、芳香族類またはヘテロ芳香族類、例えばベンゼン、ビフェニルまたはジフェニルエーテルとリン三ハロゲン化物、好ましくは三塩化リンとを、フリーデル−クラフツ触媒、例えば塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化鉄などの存在下にフリーデル−クラフツ反応に付し、次いで構造(V)及び(VI)の基礎となるフェノール類と反応させることによって製造される化合物である。この際、上記の反応シーケンスに従い、過剰のリン三ハロゲン化物と上記のフェノール類とから生じるホスフィット類との混合物も明らかに包含される。
【0080】
これらの化合物群の中で、以下の構造(VIII)及び(IX)が好ましい。
【0081】
【化6】
【0082】
この際、nは0または1であることができ、そしてこれらの混合物は、任意に更に、化合物(X)または(XI)の部分を含むことができる。
【0083】
【化7】
【0084】
成分Fとして適したものは、典型的にはC14〜C40の鎖長を有する、長鎖脂肪族カルボン酸(脂肪酸)のエステルまたは塩である。前記エステルは、上記のカルボン酸と慣用の多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンもしくはペンタエリトリトールとの反応生成物である。上記のカルボン酸の塩としては、中でも、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩あるいはアルミニウム塩及び亜鉛塩が挙げられる。
【0085】
好ましくは、成分Fは、ステアリン酸のエステルまたは塩、例えばグリセリンモノステアレートまたはステアリン酸カルシウムである。
【0086】
好ましくは、成分Fは、モンタンワックス酸とエチレングリコールとの反応生成物でもある。
【0087】
好ましくは、前記反応生成物は、エチレングリコール−モノ−モンタンワックス酸エステル、エチレングリコール−ジモンタンワックス酸エステル、モンタンワックス酸及びエチレングリコールを含む混合物である。
【0088】
好ましくは、成分Fは、モンタンワックス酸とカルシウム塩との反応生成物である。
【0089】
特に好ましくは、前記反応生成物は、1,3−ブタンジオール−モノ−モンタンワックス酸エステル、1,3−ブタンジオール−ジ−モンタンワックス酸エステル、モンタンワックス酸、1,3−ブタンジオール、モンタン酸カルシウム及びカルシウム塩を含む混合物である。
【0090】
該難燃剤−安定化剤の組み合わせ中の成分A、B、場合によっては及びCの量比は、本質的に、意図される使用分野に依存し、そして広い範囲で変えることができる。使用分野に応じて、該難燃剤−安定化剤の組み合わせは、成分Aを50〜94重量%、成分Bを6〜50重量%、及び成分Cを0〜25重量%含む。成分D、E及びFは、互いに独立して、0〜10重量%または0〜3重量%で加えられる。
【0091】
好ましくは、該難燃剤−安定化剤の組み合わせは、50〜80重量%の成分A、20〜50重量%の成分B、0〜20重量%の成分C、0〜5重量%の成分D、0〜2重量%の成分E、及び0〜2重量%の成分Fを含む。
【0092】
特に好ましくは、該難燃剤−安定化剤の組み合わせは、50〜75重量%の成分A、25〜50重量%の成分B及び0〜15重量%の成分C、0〜5重量%の成分D及び0〜1重量%の成分E及び0〜1重量%の成分Fを含む。
【0093】
他の実施形態では、該難燃剤−安定化剤の組み合わせは、50〜98重量%の成分A及び2〜50重量%の成分B、0〜20重量%の成分C、0〜5重量%の成分D、0〜2重量%の成分E及び0〜2重量%の成分Fを含む。
【0094】
更に別の好ましい難燃剤−安定化の組み合わせは、
− 60〜94.9重量%の成分A、5〜25重量%の成分B、0.1〜10重量%の成分C、0〜10重量%の成分D、0〜3重量%の成分E、及び0〜3重量%の成分Fを含むか; または
− 50〜94.6重量%の成分A、5〜25重量%の成分B、0.1〜10重量%の成分C、0.1〜10重量%の成分D、0.1〜3重量%の成分E、及び0.1〜2重量%の成分Fを含むか; または
− 45〜89.7重量%の成分A、10〜30重量%の成分B、0.1〜20重量%の成分C、0〜10重量%の成分D、0.1〜3重量%の成分E、及び0.1〜2重量%の成分Fを含む。
【0095】
特に好ましい本発明の難燃剤−安定化剤の組み合わせは、50〜75重量%のジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、ジフェニルホスフィン酸のアルミニウム塩、メチルエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、メチルフェニルホスフィン酸のアルミニウム塩、ジエチルホスフィン酸の亜鉛塩、メチルエチルホスフィン酸の亜鉛塩、及び/またはジフェニルホスフィン酸の亜鉛塩;
25〜50重量%のモノフェニルホスフィン酸のアルミニウム塩、モノフェニルホスフィン酸の亜鉛塩、及び/またはモノエチルホスフィン酸のアルミニウム塩;
0〜15重量%のメラミンポリホスフェート、メラミンシアヌレート、アンモニウムポリホスフェート及び/またはメラミンピロホスフェート;
0〜5重量%のホウ酸亜鉛、ベーマイト、ヒドロタルサイト、スズ酸亜鉛及び/または水酸化マグネシウム;
0.05〜1重量%のホスホナイト類(例えばHostanox(登録商標)P−EPQ)及び
0.05〜1重量%のモンタン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム及び/またはエチレングリコール−ジモンタンワックス酸エステル;
を含み、但し、モノエチルホスフィン酸のアルミニウム塩と、上記のジアルキルホスフィン酸のうちの一つの塩との同時の存在は除く。
【0096】
本発明の難燃剤−安定化剤の組み合わせは、加えて、カルボジイミド類も含んでよい。
【0097】
更に本発明は、本発明の難燃剤−安定化剤の組み合わせを含む、防炎性プラスチック成形材料にも関する。
【0098】
好ましくは、プラスチックは、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートの種の熱可塑性ポリマー、及びABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPPE/HIPS(ポリフェニレンエーテル/耐衝撃性ポリスチレン)プラスチックのタイプのブレンドまたはポリマーブレンドである。
【0099】
特に好ましくは、プラスチックはポリアミド、ポリエステル、及びPPE/HIPSブレンドである。
【0100】
好ましくは、該難燃剤−安定化剤の組み合わせは、プラスチック成形材料を基準にして2〜50重量%の総量でプラスチック成形材料に使用される。プラスチック成形材料の総量はこの時50〜98重量%である。
【0101】
特に好ましくは、該難燃剤−安定化剤の組み合わせは、プラスチック成形材料を基準にして10〜30重量%の総量でプラスチック成形材料に使用される。プラスチック成形材料の総量はこの時70〜90重量%である。
【0102】
最後に、本発明は、本発明の難燃剤−安定化剤の組み合わせを含むポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維にも関する。
【0103】
該ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維は、ポリマーが、HI(耐衝撃性)ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、並びにABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)またはPC/ABS(ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)のタイプのブレンドまたはポリマーブレンド、ポリアミド、ポリエステル及び/またはABSであることを特徴とする。
【0104】
好ましくは、該ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維は、ポリマー含有量を基準にして難燃剤−安定化剤の組み合わせを2〜50重量%の総量で含む。ポリマー量はこの時50〜98重量%である。
【0105】
特に好ましくは、該ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維は、ポリマー含有量を基準にして難燃剤−安定化剤の組み合わせを10〜30重量%の総量で含む。ポリマー量はこの時70〜90重量%である。
【0106】
特別な実施形態の一つでは、該ポリマー成形体、ポリマーフィルム、ポリマー糸及びポリマー繊維は、成分Aを50〜80重量%、成分Bを20〜50重量%、成分Cを0〜20重量%、成分Dを0〜3重量%、成分Eを0〜3重量%、及び成分Fを0.1〜3重量%含む該難燃剤−安定化剤の組み合わせを、ポリマー含有量を基準にして、2〜30重量%含む。
【0107】
上記の添加剤は、様々なプロセスステップにおいてプラスチックに導入することができる。例えば、ポリアミドまたはポリエステルの場合には、重合/重縮合の開始時に既にまたはその終了時に、あるいは次のコンパウンド化プロセスにおいて、添加剤をポリマー溶融物に混入することが可能である。更に、添加剤を後になって初めて加える加工プロセスもある。これは、特に、顔料−または添加剤マスターバッチの使用時に実施される。更にまた、特に粉末状の添加剤を、乾燥プロセスを経て場合により暖かいポリマー顆粒物上に、ドラムミキサーを使用して混合する手法もある。
【0108】
好ましくは、該難燃剤−安定化剤の組み合わせは、顆粒物、フレーク、細粒物(Feinkorn)、粉末及び/または微粒物(Micronisat)として存在する。
【0109】
好ましくは、該難燃剤−安定化剤の組み合わせは、固形物の物理的混合物として、溶融物混合物として、圧密物として、押出物としてまたはマスターバッチの形で存在する。
【0110】
本発明の難燃剤−安定化剤の組み合わせは、熱可塑性及び熱硬化性ポリマー中に使用することができる。
【0111】
適当なポリエステルは、ジカルボン酸及びそれのエステルとジオールから及び/またはヒドロキシカルボン酸または対応するラクトン類から誘導される。特に好ましくは、テレフタル酸とエチレングリコール、プロパン−1,3−ジオール及びブタン−1,3−ジオールとが使用される。
【0112】
適当なポリエステルは、中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(Celanex(登録商標)2500、Celanex(登録商標)2002、Celanese社; Ultradur(登録商標)、BASF社)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、並びにヒドロキシ末端基を有するポリエーテルから誘導されるブロック−ポリエーテルエステル; 更にポリカーボネートもしくはMBSで変性されたポリエステルである。
【0113】
本発明に従い製造された難燃性ポリエステル成形材料は、好ましくは、ポリエステル成形体に使用される。
【0114】
好ましいポリエステル成形体は、ジカルボン酸成分として主としてテレフタル酸及びジオール成分として主としてエチレングリコールを含む、糸、繊維、フィルム及び成形体である。
【0115】
好ましくは、該難燃性ポリエステルから製造される糸及び繊維中の生ずるリン含有率は、0.1〜18重量%、好ましくは0.5〜15重量%であり、フィルムの場合には0.2〜15重量%、好ましくは0.9〜12重量%である。
【0116】
適当なポリスチレン類は、ポリスチレン、ポリ−(p−メチルスチレン)及び/またはポリ(アルファ−メチルスチレン)である。
【0117】
好ましくは、適当なポリスチレン類は、スチレンもしくはアルファ−メチルスチレンとジエン類もしくはアクリル誘導体とのコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン、スチレン−アクリロニトリル、スチレン−アルキルメタクリレート、スチレン−ブタジエン−アルキルアクリレート及び−メタクリレート、スチレン−無水マレイン酸、スチレン−アクリロニトリル−メチルアクリレート; スチレンコポリマーと他のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーとを含む高耐衝撃性の混合物; 並びにスチレンのブロックコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンまたはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンである。
【0118】
好ましくは、適当なポリスチレン類は、スチレンもしくはアルファ−メチルスチレンのグラフトコポリマー、例えばスチレングラフト−ポリブタジエン、スチレングラフト−ポリブタジエン/スチレンコポリマーまたはポリブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、スチレン及びアクリロニトリル(もしくはメタクリロニトリル)グラフト−ポリブタジエン; スチレン、アクリロニトリル及びメチルメタクリレートグラフト−ポリブタジエン; スチレン及び無水マレイン酸グラフト−ポリブタジエン; スチレン、アクリロニトリル及び無水マレイン酸もしくはマレイン酸イミドグラフト−ポリブタジエン; スチレン及びマレイン酸イミドグラフト−ポリブタジエン、スチレン及びアルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレートグラフト−ポリブタジエン、スチレン及びアクリロニトリルグラフト−エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー、スチレン及びアクリロニトリルグラフト−ポリアルキルアクリレートもしくはポリアルキルメタクリレート、スチレン及びアクリロニトリルグラフト−アクリレート/ブタジエンコポリマー、並びにこれらの混合物、例えばいわゆるABSポリマー、MBSポリマー、ASAポリマーまたはAESポリマーとして知られるものである。
【0119】
好ましくは、ポリマーは、ジアミン類とジカルボン酸類から及び/またはアミノカルボン酸または対応するラクタム類から誘導されるポリアミド及びコポリアミド、例えばポリアミド2.12、ポリアミド4、ポリアミド4.6、ポリアミド6、ポリアミド6.6、ポリアミド6.9、ポリアミド6.10、ポリアミド6.12、ポリアミド6.66、ポリアミド7.7、ポリアミド8.8、ポリアミド9.9、ポリアミド10.9、ポリアミド10.10、ポリアミド11、ポリアミド12などである。これらは、例えば、Nylon(登録商標)(DuPont社)、Ultramid(登録商標)(BASF社)、Akulon(登録商標)K122(DSM社)、Zytel(登録商標)7301(DuPont社); Durethan(登録商標)B29(Bayer社)及びGrillamid(登録商標)(Ems Chemie社)の商標名で知られている。
【0120】
m−キシレン、ジアミン及びアジピン酸を原料とする芳香族ポリアミド; ヘキサメチレンジアミンと、イソ及び/またはテレフタル酸、場合により及び変性剤としてのエラストマーとから製造されるポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−テレフタルアミドもしくはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド、上記のポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマーまたは化学的に結合もしくはグラフトしたエラストマーとのブロックコポリマー、または上記のポリアミドとポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールもしくはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマーも適している。更に、EPDMもしくはABSで変性されたポリアミドまたはコポリアミド、並びに加工中に縮合するポリアミド(“RIM−ポリアミドシステム”)もある。
【0121】
最後に本発明は、難燃性ポリマー成形体の製造方法であって、本発明の難燃性ポリマー成形材料を射出成形(例えばAarburg Allrounderタイプの射出成形機)及びプレス成形、発泡射出成形、ガス内圧射出成形(Gasinnendruck−Spritzgiessen)、ブロー成形、フィルムキャスティング、カレンダリング、ラミネーティングまたはコーティングによって高められた温度下で難燃性ポリマー成形体に加工することを特徴とする前記方法に関する。
【0122】
好ましくは、熱硬化性ポリマーは、飽和もしくは不飽和ジカルボン酸またはそれの無水物と多価アルコールとのコポリエステル及び架橋剤としてのビニル化合物から誘導される不飽和ポリエステル樹脂(UP樹脂)である。UP樹脂は、開始剤(例えば過酸化物類)及び促進剤を用いたラジカル重合によって硬化される。
【0123】
ポリエステル樹脂の製造のための好ましい不飽和ジカルボン酸及び誘導体は、マレイン酸無水物及びフマル酸である。
【0124】
好ましい飽和ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸である。
【0125】
好ましいジオールは、1,2プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコール、エトキシル化もしくはプロポキシル化されたビスフェノールAである。
【0126】
架橋のための好ましいビニル化合物はスチレンである。
【0127】
好ましい硬化系は、過酸化物類及び金属共開始剤、例えばヒドロペルオキシド類及びオクタン酸コバルト及び/またはベンゾイルペルオキシド及び芳香族アミン類、及び/またはUV光及び光増感剤、例えばベンゾインエーテル類である。
【0128】
好ましいヒドロペルオキシド類は、ジ−tert.−ブチルペルオキシド、tert.−ブチルペルオクトエート、tert.−ブチルペルピバレート、tert.−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、tert.−ブチルペルマレイネート、tert.−ブチルペルイソブチレート、ベンゾイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド及びジシクロヘキシルペルオキシドジカーボネートである。
【0129】
好ましくは、開始剤は、全てのコモノマーの質量に基づいて計算して0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%の量で使用される。
【0130】
好ましい金属共開始剤は、コバルト化合物、マンガン化合物、鉄化合物、バナジウム化合物、ニッケル化合物または鉛化合物である。好ましくは、金属共開始剤は、全てのコモノマーの質量に基づいて計算して0.05〜1重量%の量で使用される。
【0131】
好ましい芳香族アミン類は、ジメチルアニリン、ジメチル−p−トルエン、ジエチルアニリン及びフェニルジエタノールアミンである。
【0132】
非燃焼性熱硬化性材料の製造のための一つの方法は、熱硬化性樹脂を、請求項1〜16の一つまたはそれ以上に記載の本発明による難燃剤−安定化剤の組み合わせ、場合により及び他の難燃剤、相乗剤、安定化剤、添加剤及びフィラーまたは強化材と混合し、そして生じた混合物を3〜10barの圧力及び20〜60℃の温度で湿式プレス成形(冷間プレス)することを特徴とする。
【0133】
非燃焼性熱硬化性材料の製造のための更に別の方法の一つは、熱硬化性樹脂を、請求項1〜16の一つまたはそれ以上に記載の本発明の難燃剤−安定化剤の組み合わせ、場合により及び他の難燃剤、相乗剤、安定化剤、添加剤及びフィラーもしくは強化材と混合し、そして生じた混合物を3〜10barの圧力及び80〜150℃の温度で湿式プレス成形(熱間プレス)することを特徴とする。
【0134】
好ましくは、前記ポリマーは、脂肪族、環状脂肪族、ヘテロ環式もしくは芳香族グリシジル化合物から、例えばビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル及びビスフェノール−F−ジ−グリシジルエーテルから誘導される、慣用の硬化剤及び/または促進剤で架橋された架橋エポキシド樹脂である。
【0135】
適当なグリシジル化合物は、ビスフェノール−A−ジグリシジルエステル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエステル、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂及びクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂のポリグリシジルエステル、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸のポリグリシジルエステル、並びにトリメリット酸のポリグリシジルエステル、芳香族アミン及びヘテロ環式窒素塩基のN−グリシジル化合物、並びに多価脂肪族アルコールのジ−及びポリ−グリシジル化合物である。
【0136】
適当な硬化剤は、脂肪族、環状脂肪族、芳香族及びヘテロ環式アミン類またはポリアミン類、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロパン−1,3−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アミノエチルピペラジン、イソホロンジアミン、ポリアミドアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェノールスルホン類、アニリン−ホルムアルデヒド樹脂、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジアミン、m−キシリレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、3−アミノメチル−3,55−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、ポリアミドアミン類、シアングアニジン及びジシアンジアミド、同様に多塩基性酸またはそれの無水物、例えばフタル酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物及びメチルヘキサヒドロフタル酸無水物、並びにフェノール類、例えばフェノール−ノボラック樹脂、クレゾール−ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール−付加物樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ビフェノール変性フェノールアラルキル樹脂、フェノールトリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトール−ノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮合物樹脂、ナフトール−クレゾール共縮合物樹脂、ビフェノール変性フェノール樹脂及びアミノトリアジン変性フェノール樹脂である。どの硬化剤も、単独でまたは互いとの組み合わせで使用することができる。
【0137】
重合の際の架橋のための適当な触媒または促進剤は、第三アミン類、ベンジルジメチルアミン、N−アルキルピリジン類、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、有機酸の金属酸、ルイス酸及びアミン錯体塩である。
【0138】
本発明の調合物は、エポキシド樹脂調合物中に慣用に使用される他の添加剤、例えば顔料、染料及び安定化剤も含んでよい。
【0139】
エポキシド樹脂は、電気もしくは電子部材のポッティングに、及び飽和(Traenk)及び含浸プロセスに適している。電子工業では、エポキシド樹脂は主に非燃焼性にされて、そして回路基板及び絶縁体に使用される。
【0140】
好ましくは、前記ポリマーは、一方ではアルデヒド、そして他方ではフェノール類、尿素またはメラミンから誘導される架橋ポリマー、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂及びメラミン−ホルムアルデヒド樹脂である。好ましくは、前記ポリマーは、置換されたアクリル酸エステルから誘導される架橋可能なアクリル樹脂、例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートから誘導される架橋可能なアクリル樹脂である。
【0141】
好ましくは、前記ポリマーは、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアネート、イソシアヌレート、ポリイソシアネートまたはエポキシド樹脂で架橋された、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂及びアクリレート樹脂である。
【0142】
好ましいポリオール類は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、糖類、分解デンプン、エチレンジアミン、ジアミノトルエン及び/またはアニリンのアルキレンオキシド付加物であり、これらは開始剤として機能する。好ましいオキシアルキル化剤は、好ましくは2〜4個の炭素原子を含み、特に好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシドである。
【0143】
好ましいポリエステル−ポリオールは、ポリアルコール類、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、メチルペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ジグリセロール、グルコース及び/またはソルビトールと、二塩基性酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸及び/またはテレフタル酸との重縮合によって得られる。これらのポリエステルポリオールは、単独でもまたは組み合わせても利用できる。
【0144】
適当なポリイソシアネートは、2個以上のイソシアネート基を有する芳香族、脂肪環式または脂肪族ポリイソシアネート、及びこれらの混合物である。好ましいものは、芳香族ポリイソシアネート、例えばトリルジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリス−4−イソシアナトフェニル)メタン及びポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート; 脂肪環式ポリイソシアネート、例えばメチレンジフェニルジイソシアネート、トリルジイソシアネート; 脂肪族ポリイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、デメリルジイソシアネート、1,1−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン−4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン−異性体混合物、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、Desmodur(登録商標)タイプ(Bayer)及びリジンジイソシアネート、及びこれらの混合物である。
【0145】
適当なポリイソシアネートは、ポリイソシアネートとポリオール、尿素、カルボジイミド及び/またはビウレットとの反応によって得られる変性された生成物である。
【0146】
好ましくは、ポリオールに対するポリイソシアネートの重量比は、ポリオール100重量部当たり、170〜70重量部、好ましくは130〜80重量部である。
【0147】
好ましくは、触媒の重量比は、ポリオール100重量部に基づき0.1〜4重量部、特に好ましくは1〜2重量部である。
【0148】
ポリウレタン用の好ましい発泡剤は、水、炭化水素、ハイドロクロロフルオロカーボン、フッ素系炭化水素などである。ポリウレタン用の発泡剤の量は、ポリオール100重量部に対し、0.1〜1.8重量部、好ましくは0.3〜1.6重量部、特に0.8〜1.6重量部である。
【0149】
好ましくは、該混合物は、ポリアミドまたはポリエステルの成形材料中に使用される。適当なポリアミドは、例えばDE−A−19920276(特許文献7)に記載されている。
【0150】
好ましくは、ポリアミドは、アミノ酸タイプ及び/またはジアミン−ジカルボン酸タイプのポリアミドである。
【0151】
好ましいポリアミドはポリアミド6及び/またはポリアミド66である。
【0152】
好ましくは、ポリアミドは、変性されないか、あるいは着色、充填、未充填、強化、未強化、または他の方法で改質される。
【0153】
好ましくは、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートである。
【0154】
好ましくは、ポリエステルは、変性されないか、あるいは着色、充填、未充填、強化、未強化、または他の方法で改質される。
【0155】
追加的に、カルボジイミド類も含まれ得る。
【実施例】
【0156】
1.使用成分
商業的に入手できるポリマー(顆粒物):
ポリアミド6.6(PA6.6−GV): Ultramid(登録商標)A27(BASF AG,D)
ポリブチレンテレフタレート(PBT): Ultradur(登録商標)B4500(BASF AG,D)
ガラス繊維:
Vetrotex(登録商標)983 EC 10 4.5mm(Saint−Gobain−Vetrotex,D)
Vetrotex(登録商標)952 EC 10 4.5mm(Saint−Gobain−Vetrotex,D)
難燃剤(成分A):
ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩、DEPALと称する。
難燃剤(成分B、本発明):
モノフェニルホスフィン酸のアルミニウム塩(PHEPALと称する)
難燃剤(成分B、比較用)
モノエチルホスフィン酸のアルミニウム塩(EPALと称する)
相乗剤(成分C):
メラミンポリホスフェート(MPPと称する)Melapur(登録商標)200(Ciba SC,CH)
メラミンシアヌレート(MCと称する)Melapur(登録商標)MC50(Ciba SC,CH)
メレム、Delacal(登録商標)420(Delamin Ltd,UK)
成分D:
ホウ酸亜鉛 Firebrake(登録商標)ZB及びFirebrake(登録商標)500、Borax社,USA
ホスホナイト(成分E):
Sandostab(登録商標)P−EPQ,Clariant社,D
ワックス成分(成分F):
Licomont(登録商標)CaV102,Clariant,D(モンタンワックス酸のCa塩)
Licowax(登録商標)E,Clariant社,D(モンタンワックス酸のエステル)
防炎性ポリマー成形材料の製造、加工及び試験
成分A及びB、場合により及びC、D、E及び/またはFを、下記表に記載の比率で混合し、そして二軸スクリュー押出機(タイプLeistritz ZSE 27/44D)の側部供給部を介して、260〜310℃の温度でPA6.6中にまたは250〜275℃の温度でPBT中に配合した。ガラス繊維を、第二の側部供給部を介して加えた。均一化されたポリマーストランドを引き抜き、水浴中で冷却し、次いで造粒した。十分な乾燥の後に、成形材料を、射出成形機(タイプArburg 320 C Allrounder)で250〜300℃の材料温度で試験片に加工し、そしてUL94試験(Underwriter Laboratories)に基づいて非燃焼性に関して試験、分類した。
UL94では、以下の防火クラスが与えられる。
V−0: 10秒より長い後有炎燃焼無し、10回接炎した時の後有炎燃焼時間の合計が50秒以下、燃焼滴下物無し、試料の完全な焼失無し、接炎終了後に30秒を超える試料の後無炎燃焼無し。
V−1: 接炎終了後に30秒を超える後有炎燃焼無し、10回接炎した時に後有炎燃焼時間の合計が250秒以下、接炎終了後に60秒を超える試料の後無炎燃焼無し、他はV−0と同じ規準。
V−2: 燃焼滴下物による綿の点火、他はV−1と同じ規準。
クラス分け不能(nkl): 防火クラスV−2を満たさない。
【0157】
成形材料の流動性を、275℃/2.16kgでメルトボリュームインデックス(MVR)を求めることにより測定した。MVR値の強い上昇は、ポリマーの分解を示す。
【0158】
個々のシリーズの全ての試験は、比較のために同じ条件(温度プログラム、スクリュー形状、射出成形パラメータなど)で行った。
【0159】
処方V1〜V3はポリアミド66GF中での比較例であり、ジエチルホスフィン酸のアルミニウム塩(DEPAL)及び窒素含有相乗剤としてのメラミンポリホスフェート(MPP)(成分C)及び金属酸化物もしくは金属ホウ酸塩(成分D)からなる難燃剤の組み合わせを単独で使用した。
【0160】
本発明の難燃剤混合物をポリアミド66GF中で使用した結果を例B1〜B6に列記する。全ての量は重量%として示し、そして難燃剤の組み合わせ及び添加剤を含めたプラスチック成形材料に対する値である。
【0161】
【表1】
【0162】
上記の例から、DEPAL及びPHEPAL成分からなる本発明の混合物が、DEPAL及びMPPからまたはDEPAL、MPP及びホウ酸亜鉛からなる混合物と比較して、より低いメルトインデックス(少ないポリマー分解)を示し、かつ高温多湿条件下での貯蔵の時に浸出物を示さないことが分かる。
【0163】
DEPAL/EPAL(V3)と比較して、滑らかなポリマーストランドが観察され、そして浸出物ももはや認められない。
【0164】
PA6.6中への難燃剤DEPAL及びMPPの配合は確かにUL94V−Oを与えるものの、成形材料の灰色の変色、侵出物及び高いメルトインデックスを招く(V1)。ホウ酸亜鉛の添加によって、灰色の変色を阻止し、そして侵出物を顕著に減少させることができる(V2)。
【0165】
ここでDEPAL、PHEPAL、場合により窒素相乗剤、ホウ酸塩もしくはハイドロタルサイト、並びに潤滑剤及び安定化剤を含む本発明の難燃剤の組み合わせを使用すると(B1〜B3)、非燃焼性の他に、変色が無く、侵出物が無く、メルトインデックスが低く、及び機械的特性が良好であるという結果となる。低いメルトインデックス(MVR)から、ポリマーの分解が生じなかったことが把握できる。
【0166】
【表2】
【0167】
DEPAL及びMCまたはMC+MPP配合(V4及びV5)は、低い溶液粘度から示されるように明らかなポリマーの分解を招く。機械的値も、難燃性化していないPBTと比べて低い。DEPALとEPAL及び他の添加剤との(本発明ではない)組み合わせによって、確かに、ポリマーの分解がほぼ完全に抑えられ、防火クラスV−0が達成され、かつ機械的値が向上されるものの、明らかな黄変色が観察される。
【0168】
DEPALとPHEPAL、場合によっては及び窒素相乗剤の本発明の組み合わせ(例B7〜B9)では、UL94V−0及び良好な機械的値を達成し、ポリマー分解及び変色はない。