特許第5916729号(P5916729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916729
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】患者支持装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/05 20060101AFI20160422BHJP
【FI】
   A61G7/05
【請求項の数】10
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2013-527221(P2013-527221)
(86)(22)【出願日】2011年8月30日
(65)【公表番号】特表2014-506802(P2014-506802A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】US2011049745
(87)【国際公開番号】WO2012030829
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2013年8月16日
(31)【優先権主張番号】61/379,251
(32)【優先日】2010年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/409,365
(32)【優先日】2010年11月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】315005923
【氏名又は名称】ハントレー テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ストロー グレン
(72)【発明者】
【氏名】ブルザリク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】リナ シーザー
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−224982(JP,A)
【文献】 再公表特許第2009/072253(JP,A1)
【文献】 特開2005−218731(JP,A)
【文献】 特開平10−000140(JP,A)
【文献】 特開昭58−122380(JP,A)
【文献】 特開2002−45404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ上の膨張可能ゾーンを有するマットレスと、
それぞれが、第一の流体送り出し能力を有し、かつ該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの対応する1つに結合されている、2つ上の一次流体供給源と、
該2つ以上の一次流体供給源の該第一の流体送り出し能力よりも大きい第二の流体送り出し能力を有し、該2つ上の膨張可能ゾーンに結合されている、二次流体供給源と、
該2つ上の一次流体供給源および該二次流体供給源に結合された制御装置であって、該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの少なくとも1つにおける圧力が下限しきい値圧力よりも低い場合に、該二次流体供給源をアクティブ化して流体を該2つ上の膨張可能ゾーンに提供するように構成されているとともに、該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの対応する膨張可能ゾーンに特異的である標的圧力より低い場合に、一次流体供給源それぞれをアクティブ化して流体を該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの対応する膨張可能ゾーンに提供するように構成されている、該制御装置と
2つ上の逆弁であって、該2つ上の逆弁のそれぞれを通過して二次流体供給源から離れる方向に流体が流れることを許容し、かつ該2つ上の逆弁のそれぞれを通過して該二次流体供給源に向かう方向に流体が流れることをぐように、該二次流体供給源と、マットレスの2つ上の膨張可能ゾーンの各1つとの間にそれぞれ配置された、該2つ上の逆弁と
を備える、患者支持装置。
【請求項2】
マットレスが2つ上の層を含み、該2つ上の層のうちの第一の層が2つ上の膨張可能ゾーンを含み、かつ、
2つ上の一次流体供給源が、該第一の層における該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの別々の膨張可能ゾーンに流体を提供するように構成されており、かつ
第二の流体供給源が、第二の層に流体を提供するように構成されている、
請求項1記載の患者支持装置。
【請求項3】
二次流体供給源と、2つ上の層のうちの第一の層における2つ上の膨張可能ゾーンとの間に、作動可能な弁(152a, 152b, 152c, 152d)をさらに備える患者支持装置であって、該二次流体供給源は、該2つ以上の膨張可能ゾーンのすべてがそれぞれの下限しきい値圧力まで高くなるまで、下限しきい値圧力未満である膨張可能ゾーンに流体を供給するように、該2つ上の膨張可能ゾーンにおける圧力が前記下限しきい値圧力に達するか、またはそれを超える場合に、該作動可能な弁(152a, 152b, 152c, 152d)を閉じるように前記制御装置が構成されている、請求項2記載の患者支持装置。
【請求項4】
マットレスの2つ上の膨張可能ゾーンにおける圧力を計測するように構成された2つ上のセンサをさらに含む患者支持装置であって、
制御装置が、該2つ上のセンサから、該マットレスの該2つ上の膨張可能ゾーンにおける該圧力を示す信号を受信するように構成されている、
請求項1記載の患者支持装置。
【請求項5】
制御装置が、マットレスの2つ上の膨張可能ゾーンそれぞれにおける圧力が下限しきい値圧力に達した場合に二次流体供給源を非アクティブ化するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の患者支持装置。
【請求項6】
シート部分、および降下位置と上昇位置との間で該シート部分に対して枢動するように構成されたバック部分を有するフレームと、
水平線に対する該フレームの該バック部分の角度を検出するように構成されたセンサと
をさらに含む患者支持装置であって、
マットレスが該フレームの少なくとも一部の上方に支持され、
2つ上の膨張可能ゾーンのうちの少なくとも1つが、該フレームの該シート部分上に配置されているとともに、該2つ以上の膨張可能ゾーンのうちの少なくとも1つが、該フレームの該バック部分上に配置されている
請求項1〜5のいずれか一項記載の患者支持装置。
【請求項7】
制御装置が、バック部分の角度がしきい値角度を超える場合に、該フレームの該シート部分の上方に支持される、該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの少なくとも1つを隔離するように構成されている、請求項6記載の患者支持装置。
【請求項8】
制御装置が、バック部分の角度がしきい値角度を超える場合に、該フレームの該シート部分の上方に支持される、該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの少なくとも1つに対応する一次流体供給源をアクティブ化して該シート部分における圧力を高めるように構成されている、請求項6〜7のいずれか一項記載の患者支持装置。
【請求項9】
それぞれが、第一の流体送り出し能力を有し、かつマットレスの2つ上の膨張可能ゾーンのうちの異なる1つに結合するように構成された、2つ上の一次流体供給源と、
該マットレスの該2つ上の膨張可能ゾーンそれぞれに結合されるように構成された、該2つ以上の一次流体供給源の該流体送り出し能力よりも大きい第二の流体送り出し能力を有する二次流体供給源と、
該2つ上の一次流体供給源および該二次流体供給源に結合された制御装置であって、該2つ以上の一次流体供給源および該二次流体供給源がマットレスの該2つ上の膨張可能ゾーンに結合される場合、該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの少なくとも1つにおける圧力が下限しきい値圧力よりも低い場合に、該二次流体供給源をアクティブ化して流体を該2つ上の膨張可能ゾーンに提供するように構成されているとともに、該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの対応する膨張可能ゾーンに特異的である標的圧力より低い場合に、該2つ以上の一次流体供給源それぞれをアクティブ化して流体を該2つ上の膨張可能ゾーンのうちの対応する膨張可能ゾーンに提供するように構成されている、該制御装置と
2つ以上の逆止弁であって、該2つ以上の逆止弁のそれぞれを通過して二次流体供給源から離れる方向に流体が流れることを許容し、かつ該2つ以上の逆止弁のそれぞれを通過して該二次流体供給源に向かう方向に流体が流れることを防ぐように、該二次流体供給源と、マットレスの2つ以上の膨張可能ゾーンの各1つとの間にそれぞれ配置された、該2つ以上の逆止弁と
を含む、2つ上の膨張可能ゾーンを有するマットレス用の制御ユニットであって、
該2つ上の一次流体供給源が、第一の層における2つ上の膨張可能ゾーンのうちの別々の膨張可能ゾーンに流体を提供するように構成され、かつ
該二次流体供給源が、第二の層に流体を提供するように構成される
ように、2つ上の層のうちの第一の層が2つ上の膨張可能ゾーンを含む、該2つ上の層を有するマットレスに結合されるように構成されている、前記制御ユニット。
【請求項10】
二次流体供給源と、2つ上の層のうちの第一の層における2つ上の膨張可能ゾーンとの間に、作動可能な弁(152a, 152b, 152c, 152d)をさらに含む制御ユニットであって、
該二次流体供給源は、該2つ以上の膨張可能ゾーンのすべてがそれぞれの下限しきい値圧力まで高くなるまで、下限しきい値圧力未満である該2つ以上の膨張可能ゾーンに流体を供給するように、該2つ上の膨張可能ゾーンにおける圧力が前記下限しきい値圧力に達するか、またはそれを超える場合に、制御装置が、該作動可能な弁(152a, 152b, 152c, 152d)を閉じるように構成されている、
請求項9記載の制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、いずれもその全体が本明細書に組み入れられる(1)2010年9月1日出願の米国特許仮出願第61/379,251号、および(2)2010年11月2日出願の米国特許仮出願第61/409,365号の優先権を主張する。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は概して、ベッドおよび患者支持面に関し、より具体的には、ただし非限定的に、1つまたは複数の膨張可能チャンバを有するマットレスを有する患者支持部に関する。
【背景技術】
【0003】
2. 関連技術の説明
患者を支持するための様々な装置が当技術分野において公知である。例えば、一部の病院および他のベッドは、複数の膨張可能チャンバ(例えば横向きのチャンバ)を有するマットレスを備える。いくつかのそのような支持装置は、それぞれが他のセクションの1つまたは複数に対して枢動可能であってもよいバックセクション、シートセクションおよびレッグセクションを含む有関節フレームを有する。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、患者支持装置、制御ユニットおよび方法の態様を含む。
【0005】
本患者支持装置のいくつかの態様は、2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを有するマットレスと、それぞれが、第一の容量を有し、かつ2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンのうちの対応する1つに結合されている、2つまたはそれ以上の一次流体供給源と、各一次流体供給源の第一の容量よりも大きい第二の容量を有し、かつ2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンに結合されている二次流体供給源と、2つまたはそれ以上の一次流体供給源および二次流体供給源に結合された制御装置であって、2つまたはそれ以上のゾーンのうちの少なくとも1つにおける圧力が下限しきい値圧力よりも低い場合に、二次流体供給源をアクティブ化して流体を2つまたはそれ以上のゾーンに提供するように構成されている、該制御装置とを含む。
【0006】
いくつかの態様において、マットレスは2つまたはそれ以上の層を含み、該2つまたはそれ以上の層のうちの第一の層が2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを含み、かつ2つまたはそれ以上の一次流体供給源が、第一の層における2つまたはそれ以上のゾーンのうちの別々のゾーンに流体を提供するように構成されており、かつ第二の流体供給源が、第二の層に流体を提供するように構成されている。いくつかの態様はさらに、二次流体供給源と、2つまたはそれ以上の層のうちの第一の層における2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンとの間に、作動可能な弁を含み、ここで、制御装置は、2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンにおける圧力がしきい値圧力に達するか、またはそれを超える場合に、作動可能な弁を閉じるように構成されている。
【0007】
本患者支持装置のいくつかの態様はさらに、マットレスの2つまたはそれ以上のゾーンにおける圧力を計測するように構成された2つまたはそれ以上のセンサを含み、ここで、制御装置は、2つまたはそれ以上のセンサから、マットレスの2つまたはそれ以上のゾーンにおける圧力を示す信号を受信するように構成されている。
【0008】
本患者支持装置のいくつかの態様はさらに、逆止め弁が、2つまたはそれ以上の逆止め弁を通過して二次流体供給源から離れる方向に流体が流れることを許容し、かつ2つまたはそれ以上の逆止め弁を通過して二次流体供給源に向かう方向に流体が流れることを実質的に防ぐように、二次流体供給源と、マットレスの2つまたはそれ以上のゾーンとの間に配置された、2つまたはそれ以上の逆止め弁を備える。
【0009】
本患者支持装置のいくつかの態様において、制御装置は、マットレスの2つまたはそれ以上のゾーンそれぞれにおける圧力が下限しきい値圧力に達した場合に二次流体供給源を非アクティブ化するように構成されている。いくつかの態様において、制御装置は、対応するゾーンにおける圧力が標的圧よりも低い場合に一次流体供給源それぞれをアクティブ化して流体を対応するゾーンに提供するように構成されている。
【0010】
本患者支持装置のいくつかの態様はさらに、シート部分、および降下位置と上昇位置との間で枢動するように構成されたバック部分を有するフレームと、フレームのバック部分の角度を検出するように構成されたセンサとを含み、ここで、マットレスがフレームの少なくとも一部の上方に支持され、2つまたはそれ以上のゾーンのうちの少なくとも1つが、フレームのシート部分に対応するシートゾーンである。いくつかの態様において、制御装置は、バック部分の角度がしきい値角度を超える場合にシートゾーンを隔離するように構成されている。いくつかの態様において、制御装置は、バック部分の角度がしきい値角度を超える場合に、シートゾーンに対応する一次流体供給源をアクティブ化してシートゾーンにおける圧力を高めるように構成されている。
【0011】
2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを有するマットレス用の本制御ユニットのいくつかの態様において、制御ユニットは、それぞれが、第一の容量を有し、かつマットレスの2つまたはそれ以上のゾーンのうちの異なる1つに結合するように構成された2つまたはそれ以上の一次流体供給源と、マットレスの2つまたはそれ以上のゾーンそれぞれに結合されるように構成された、各一次流体供給源の第一の容量よりも大きい第二の容量を有する二次流体供給源と、2つまたはそれ以上の一次流体供給源および二次流体供給源に結合された制御装置とを含み、ここで、制御装置は、一次流体供給源および二次流体供給源がマットレスの2つまたはそれ以上のゾーンに結合される場合、2つまたはそれ以上のゾーンのうちの少なくとも1つにおける圧力が下限しきい値圧力よりも低い場合に、制御装置が二次流体供給源をアクティブ化して流体を2つまたはそれ以上のゾーンに提供するように構成されている。
【0012】
いくつかの態様において、制御ユニットは、2つまたはそれ以上の層を有するマットレスに結合されるように構成されており、ここで、2つまたはそれ以上の層のうちの第一の層が2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを含み、2つまたはそれ以上の一次流体供給源が、第一の層における2つまたはそれ以上のゾーンのうちの別々のゾーンに流体を提供するように構成されており、かつ二次流体供給源が第二の層に流体を提供するように構成されている。いくつかの態様はさらに、二次流体供給源と、2つまたはそれ以上の層のうちの第一の層における2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンとの間に、作動可能な弁を含み、ここで、制御装置は、2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンにおける圧力がしきい値圧力に達するか、またはそれを超える場合に、作動可能な弁を閉じるように構成されている。
【0013】
マルチチャンバ膨張可能マットレスにおける空気圧を制御する本方法のいくつかの態様において、方法は、患者支持部の枢動可能なバックセクションの角度が変化中であることを検出すること、およびバックセクションの角度の変化が終了するまでマットレスの1つまたは複数の(例えばすべての)シートチャンバを隔離することを含む。
【0014】
本方法のいくつかの態様はさらに、バックセクションの角度を示す信号を受信すること、およびバックセクションの角度がしきい値角度を超える場合に1つまたは複数の(例えばすべての)シートチャンバ中の圧力を調節することを含む。いくつかの態様において、圧力を調節することは、1つまたは複数の流体供給源をアクティブ化して1つまたは複数のシートチャンバ中の圧力を高めることを含む。いくつかの態様において、圧力を調節することは、1つまたは複数のシートチャンバから流体を放出して1つまたは複数のシートチャンバ中の圧力を下げることを含む。いくつかの態様において、シートチャンバ中の圧力は、バックセクションの角度に対応する標的圧力レベルまで調節される。いくつかの態様において、標的圧力レベルは、それぞれがバックセクションの異なる角度範囲に対応する複数の所定の圧力の中から選択される。いくつかの態様において、複数の所定の圧力それぞれは、対応する角度範囲の大きさとともに増大する。いくつかの態様において、第一の所定の圧力は15〜30度の角度範囲に対応し、第二の所定の圧力は30〜45度の角度範囲に対応し、第三の所定の圧力は45度を超える角度の範囲に対応する。
【0015】
本患者支持装置のいくつかの態様は、シート部分、および降下位置と上昇位置との間で枢動するように構成されたバック部分を有するフレームと、1つまたは複数のバックチャンバおよび1つまたは複数のシートチャンバを有するエアマットレスと、1つまたは複数のシートチャンバに結合された流体供給源と、フレームのバック部分の角度が調節されているかどうかを検出するように構成されたセンサと、センサに結合され、かつ、センサがフレームのバック部分が調節中であることを検出した場合にバック部分の調節が終了するまで制御装置が1つまたは複数のシートチャンバを隔離するように構成された、制御装置とを含む。いくつかの態様はさらに、1つまたは複数のシートチャンバを1つまたは複数のバックチャンバから隔離するように構成された1つまたは複数の弁を含み、ここで、制御装置は1つまたは複数の弁に結合され、制御装置はさらに、バック部分の角度が調節中であることをセンサが検出した場合に1つまたは複数の弁をアクティブ化して1つまたは複数のシートチャンバを1つまたは複数のバックチャンバから隔離するように構成されている。
【0016】
本患者支持装置のいくつかの態様は、ヘッドエンド、フットエンドおよびヘッドエンドとフットエンドとの間のマットレス領域を有する、結合部分を含むフレームと、フレームに結合され、フレームのマットレス領域に面する周縁を有し、流体供給源および制御装置の少なくとも1つを支持するハウジングと、第一の側、第二の側および第二の側から延びるリップを有する境界部材とを含み、ここで、境界部材は、境界部材の第一の側がマットレス領域に面し、境界部材の第二の側がハウジングに面し、および境界部材のリップがハウジングの上部周縁の上に延びるように、フレームの結合部分に取り外し可能に結合されるよう構成されている。いくつかの態様において、マットレスがマットレス領域において支持される場合に、境界部材がマットレスの上部境界の少なくとも一部分の上方に延びるように、境界部材は、フレームに取り外し可能に結合されるよう構成されている。いくつかの態様において、境界部材はフットボードを含む。いくつかの態様において、境界部材はサイドレールを含む。
【0017】
本装置およびキットのいずれかの任意の態様は、記載されたステップ、要素および/または特徴のいずれかからなる、または実質的になる(それを含む(comprise)/含む(include)/含む(contain)/有するではなく)ことができる。したがって、請求項のいずれにおいても、「からなる」または「から本質的になる」という語句は、所与の請求項の範囲を非限定的な連結動詞を使用した場合の範囲から変更するために、上述した非限定的な連結動詞の任意のものに代えて用いることができる。
【0018】
[本発明1001]
2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを有するマットレスと、
それぞれが、第一の容量を有し、かつ該2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンのうちの対応する1つに結合されている、2つまたはそれ以上の一次流体供給源と、
各一次流体供給源の該第一の容量よりも大きい第二の容量を有し、該2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンに結合されている、二次流体供給源と、
該2つまたはそれ以上の一次流体供給源および該二次流体供給源に結合された制御装置であって、該2つまたはそれ以上のゾーンのうちの少なくとも1つにおける圧力が下限しきい値圧力よりも低い場合に、該二次流体供給源をアクティブ化して流体を該2つまたはそれ以上のゾーンに提供するように構成されている、該制御装置と
を備える、患者支持装置。
[本発明1002]
マットレスが2つまたはそれ以上の層を含み、該2つまたはそれ以上の層のうちの第一の層が2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを含み、かつ、
2つまたはそれ以上の一次流体供給源が、該第一の層における該2つまたはそれ以上のゾーンのうちの別々のゾーンに流体を提供するように構成されており、かつ
第二の流体供給源が、第二の層に流体を提供するように構成されている、
本発明1001の患者支持装置。
[本発明1003]
二次流体供給源と、2つまたはそれ以上の層のうちの第一の層における2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンとの間に、作動可能な弁をさらに備える患者支持装置であって、該2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンにおける圧力がしきい値圧力に達するか、またはそれを超える場合に、該作動可能な弁を閉じるように制御装置が構成されている、本発明1002の患者支持装置。
[本発明1004]
マットレスの2つまたはそれ以上のゾーンにおける圧力を計測するように構成された2つまたはそれ以上のセンサをさらに含む患者支持装置であって、
制御装置が、該2つまたはそれ以上のセンサから、該マットレスの該2つまたはそれ以上のゾーンにおける該圧力を示す信号を受信するように構成されている、
本発明1001の患者支持装置。
[本発明1005]
2つまたはそれ以上の逆止め弁が、該2つまたはそれ以上の逆止め弁を通過して二次流体供給源から離れる方向に流体が流れることを許容し、かつ該2つまたはそれ以上の逆止め弁を通過して該二次流体供給源に向かう方向に流体が流れることを実質的に防ぐように、該二次流体供給源と、マットレスの2つまたはそれ以上のゾーンとの間に配置された、2つまたはそれ以上の逆止め弁をさらに備える、本発明1001〜1004のいずれかの患者支持装置。
[本発明1006]
制御装置が、マットレスの2つまたはそれ以上のゾーンそれぞれにおける圧力が下限しきい値圧力に達した場合に二次流体供給源を非アクティブ化するように構成されている、本発明1001〜1005のいずれかの患者支持装置。
[本発明1007]
制御装置が、対応するゾーンにおける圧力が標的圧よりも低い場合に一次流体供給源それぞれをアクティブ化して流体を該対応するゾーンに提供するように構成されている、本発明1006の患者支持装置。
[本発明1008]
シート部分、および降下位置と上昇位置との間で枢動するように構成されたバック部分を有するフレームと、
該フレームの該バック部分の角度を検出するように構成されたセンサと
をさらに含む患者支持装置であって、
マットレスが該フレームの少なくとも一部の上方に支持され、
2つまたはそれ以上のゾーンのうちの少なくとも1つが、該フレームの該シート部分に対応するシートゾーンである、
本発明1001〜1007のいずれかの患者支持装置。
[本発明1009]
制御装置が、バック部分の角度がしきい値角度を超える場合にシートゾーンを隔離するように構成されている、本発明1008の患者支持装置。
[本発明1010]
制御装置が、バック部分の角度がしきい値角度を超える場合に、シートゾーンに対応する一次流体供給源をアクティブ化して該シートゾーンにおける圧力を高めるように構成されている、本発明1008〜1009のいずれかの患者支持装置。
[本発明1011]
それぞれが、第一の容量を有し、かつマットレスの2つまたはそれ以上のゾーンのうちの異なる1つに結合するように構成された、2つまたはそれ以上の一次流体供給源と、
該マットレスの該2つまたはそれ以上のゾーンそれぞれに結合されるように構成された、各一次流体供給源の該第一の容量よりも大きい第二の容量を有する二次流体供給源と、
該2つまたはそれ以上の一次流体供給源および該二次流体供給源に結合された制御装置と
を含む制御ユニットであって、
該一次流体供給源および該二次流体供給源がマットレスの該2つまたはそれ以上のゾーンに結合される場合、該2つまたはそれ以上のゾーンのうちの少なくとも1つにおける圧力が下限しきい値圧力よりも低い場合に、該制御装置が該二次流体供給源をアクティブ化して流体を該2つまたはそれ以上のゾーンに提供するよう、該制御装置が構成されている、
2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを有するマットレス用の制御ユニット。
[本発明1012]
2つまたはそれ以上の一次流体供給源が、第一の層における2つまたはそれ以上のゾーンのうちの別々のゾーンに流体を提供するように構成され、かつ
二次流体供給源が第二の層に流体を提供するように構成される
ように、2つまたはそれ以上の層のうちの第一の層が2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを含む、2つまたはそれ以上の層を有するマットレスに結合されるように構成された、本発明1011の制御ユニット。
[本発明1013]
二次流体供給源と、2つまたはそれ以上の層のうちの第一の層における2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンとの間に、作動可能な弁をさらに含む制御ユニットであって、
該2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンにおける圧力がしきい値圧力に達するか、またはそれを超える場合に、制御装置が、該作動可能な弁を閉じるように構成されている、
本発明1012の制御ユニット。
[本発明1014]
患者支持部の枢動可能なバックセクションの角度が変化中であることを検出すること、および
該バックセクションの角度の変化が終了するまでマットレスの1つまたは複数のシートチャンバを隔離すること
を含む、マルチチャンバ膨張可能マットレスにおける空気圧を制御する方法。
[本発明1015]
バックセクションの角度を示す信号を受信すること、および
該バックセクションの角度がしきい値角度を超える場合に1つまたは複数のシートチャンバ中の圧力を調節すること
をさらに含む、本発明1014の方法。
[本発明1016]
圧力を調節することが、
1つまたは複数の流体供給源をアクティブ化して1つまたは複数のシートチャンバ中の圧力を高めること
を含む、本発明1015の方法。
[本発明1017]
圧力を調節することが、
1つまたは複数のシートチャンバから流体を放出して該1つまたは複数のシートチャンバ中の圧力を下げること
を含む、本発明1015の方法。
[本発明1018]
シートチャンバ中の圧力が、バックセクションの角度に対応する標的圧力レベルまで調節される、本発明1015〜1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
標的圧力レベルが、それぞれがバックセクションの異なる角度範囲に対応する複数の所定の圧力の中から選択される、本発明1018の方法。
[本発明1020]
複数の所定の圧力それぞれが、対応する角度範囲の大きさとともに増大する、本発明1019の方法。
[本発明1021]
第一の所定の圧力が15〜30度の角度範囲に対応し、
第二の所定の圧力が30〜45度の角度範囲に対応し、および
第三の所定の圧力が45度を超える角度の範囲に対応する、
本発明1020の方法。
[本発明1022]
シート部分、および降下位置と上昇位置との間で枢動するように構成されたバック部分を有するフレームと、
1つまたは複数のバックチャンバおよび1つまたは複数のシートチャンバを有するエアマットレスと、
1つまたは複数のシートチャンバに結合された流体供給源と、
フレームのバック部分の角度が調節されているかどうかを検出するように構成されたセンサと、
該センサに結合され、かつ、該センサが該フレームの該バック部分が調節中であることを検出した場合に該バック部分の調節が終了するまで制御装置が該1つまたは複数のシートチャンバを隔離するよう構成された、該制御装置と
を備える、患者支持装置。
[本発明1023]
1つまたは複数のシートチャンバを1つまたは複数のバックチャンバから隔離するように構成された1つまたは複数の弁をさらに含む装置であって、
制御装置が該1つまたは複数の弁に結合され、かつ、制御装置がさらに、バック部分の角度が調節中であることをセンサが検出した場合に該1つまたは複数の弁をアクティブ化して該1つまたは複数のシートチャンバを該1つまたは複数のバックチャンバから隔離するように構成されている、
本発明1022の装置。
[本発明1024]
ヘッドエンド、フットエンドおよび該ヘッドエンドと該フットエンドとの間のマットレス領域を有する、結合部分を含むフレームと、
該フレームに結合され、かつ該フレームの該マットレス領域に面する周縁を有し、流体供給源および制御装置の少なくとも1つを支持するハウジングと、
第一の側、第二の側および該第二の側から延びるリップを有する境界部材と
を備える患者支持装置であって、
該境界部材の該第一の側が該マットレス領域に面し、該境界部材の該第二の側が該ハウジングに面し、かつ該境界部材の該リップが該ハウジングの上部周縁の上に延びるように、該境界部材が、該フレームの該結合部分に取り外し可能に結合されるよう構成されている、
患者支持装置。
[本発明1025]
マットレスがマットレス領域において支持される場合に、境界部材が該マットレスの上部境界の少なくとも一部分の上方に延びるように、該境界部材が、フレームに取り外し可能に結合されるよう構成されている、本発明1024の患者支持装置。
[本発明1026]
境界部材がフットボードを含む、本発明1024〜1025のいずれかの患者支持装置。
[本発明1027]
境界部材がサイドレールを含む、本発明1024〜1025のいずれかの患者支持装置。
上記態様および他の態様に関連する詳細が以下に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下の図面は例を示すものであり、限定を示すものではない。簡潔かつ明瞭に示すため、所与の構造の各特徴が、その構造が見えるすべての図面の中に常に表示されるわけではない。同一の参照番号が必ずしも同一の構造を示すわけではない。むしろ、非同一な参照番号が示してもよいような類似した特徴または類似した機能性を有する特徴を示すために同じ参照番号が使用される場合もある。図面は原寸に比例して描かれている(別段記されない限り)。すなわち、示される要素のサイズは、少なくとも図示される態様に関しては、互いに対して正確である。
【0020】
図1】本制御ユニットおよび方法の特定の態様が実現され得る患者支持装置の例の斜視図を示す。
図2A】ハウジングおよび取り外し可能な境界部材を備える本装置の1つの態様の斜視図を示す。
図2B】ハウジングおよび取り外し可能な境界部材を備える本装置の1つの態様の斜視図を示す。
図2C図2Aおよび2Bの装置の一部分の拡大断面図を示す。
図3】本患者支持装置の1つの態様のブロック図を示す。
図4図4A〜4Cは、図3の装置との使用に適したマルチチャンバ膨張可能マットレスを支持する有関節フレームの側面図をいくつかの配置において示す。
図5】本方法のいくつかの態様のフローチャートを示す。
図6A】本方法のもう1つの態様のフローチャートを示す。
図6B】本方法のもう1つの態様のフローチャートを示す。
図6C】本方法のもう1つの態様のフローチャートを示す。
図7】本患者支持装置のもう1つの態様のブロック図を示す。
図8図8A〜8Cは、図7の装置との使用に適したマルチチャンバ膨張可能マットレスを支持する有関節フレームの側面図をいくつかの配置において示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
例示的な態様の説明
「結合されている」という語句は、必ずしも直接的でなく、かつ必ずしも機械的でなく接続されていることと定義される。「結合されている」2つの物品は互いとで一体であってもよい。名詞の単数形は、そうではないことを本開示が明示的に要求しない限り、1つまたは複数を指すものと定義される。「実質的に」という語句は、当業者によって理解されるように、指定されたことの大部分、ただし必ずしも全部ではない(かつ、指定されたものを含む、例えば実質的に90度は90度を含み、実質的に平行は平行を含む)と定義される。
【0022】
「含む(comprise)」(およびその任意の活用形)、「有する」(およびその任意の活用形)、「含む(include)」(およびその任意の活用形)および「含む(contain)」(およびその任意の活用形)という語句は、非限定的な連結動詞である。その結果、1つまたは複数の要素を「含む(comprise)」、「有する」、「含む(include)」または「含む(contain)」装置またはキットは、それら1つまたは複数の要素を所有するが、それらの要素のみを有することに限定されない。同様に、1つまたは複数のステップを「含む(comprise)」、「有する」、「含む(include)」または「含む(contain)」方法は、それら1つまたは複数のステップを所有するが、それら1つまたは複数のステップのみを有することに限定されない。
【0023】
さらに、ある特定の様式で構成されている装置またはシステムは、少なくともその様式で構成されているが、具体的に記載される様式とは違う他の様式で構成されることもできる。
【0024】
ここで、図面、特に図1を参照すると、本特徴が個々に、または任意の適当な組み合わせで実現され得る患者支持装置またはベッドが参照番号10によって図示され、指定されている。図示する態様において、装置10は、ヘッドエンド18、フットエンド22、およびヘッドエンド18とフットエンド22との間のマットレス領域26を有するフレーム14を備える。図示するように、マットレス領域26は、マットレス30を支持するように構成されている(そして、支持するように図示されている)。図示する態様において、マットレス30は、2つまたはそれ以上のゾーン(例えばヘッドゾーン、ショルダーゾーン、ボディゾーン、レッグゾーンなど)を含み、各ゾーンが1つまたは複数の膨張可能チャンバ34を含む。
【0025】
図2Aおよび2Bは、ハウジング38および取り外し可能な境界部材42を備える本装置10aの1つの態様の一部分の斜視図を示す。図示する態様において、フレーム14(例えばフレーム14のフットエンド22)は結合部分46を含む。図示する態様において、ハウジング38は、フレーム14(例えばフットエンド22)に結合され、フレーム14のマットレス領域26に面する周縁50を有している。以下さらに説明するように、ハウジング38は、流体供給源(例えば図3の120a)および/または制御装置(図3の136)の少なくとも1つを支持および/または収容することができる。図示する態様において、境界部材42は、第一の側54、第二の側58および第二の側58から延びるリップ62を含む。図示するように、境界部材42は、境界部材42の第一の側54がマットレス領域26に面し、境界部材42の第二の側58がハウジング38に面し、かつ境界部材42のリップ62がハウジング38の上部周縁50の上に延びるように、フレーム14の結合部分46に取り外し可能に結合されるよう構成されている(図2Cに詳細に示すように)。
【0026】
図示する態様において、境界部材42は、結合部分46中の対応する形状の開口の中に受けられるように構成された結合部分66(例えば円柱形部分)を含み、境界部材42を上方70に上げる、または引くことによって境界部材42をフレーム14から取り外すことができ(図2Bに部分的に示すように)、結合部分66を結合部分46と整合させ、かつ境界部材42を下方向74に下げることによって境界部材42をフレーム14に結合することができるようになっている。
【0027】
図示する態様において、マットレス30がマットレス領域26において支持される場合に、境界部材(例えば、境界部材42の最上面)がマットレスの上部境界の少なくとも一部分(例えば頂部)の上に延びるように、境界部材42は、フレーム14に取り外し可能に結合されるよう構成されている。図示する態様において、境界部材42はフットボードを含む(例えば、フレーム14のフットエンド22に結合されている)。他の態様において、境界部材はサイドレールを含むことができる。
【0028】
図3は、本患者支持装置10の1つの態様のブロック図を示す。図示する態様において、装置10は、制御ユニット100、および2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーンを有するマットレス30を備える。より具体的には、マットレス30は、ヘッドゾーン104、ショルダーゾーン108、ボディゾーン112およびレッグゾーン116を含む。図示する態様において、制御ユニット100は、それぞれが、第一の容量を有し、2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーン104、108、112、116の対応する1つに結合された2つまたはそれ以上(例えば4つ)の一次流体供給源120a、120b、120c、120dを含む。例えば、図示するように、一次流体供給源120aはヘッドゾーン104に結合され、一次流体供給源120bはショルダーゾーン108に結合され、一次流体供給源120cはボディゾーン112に結合され、一次流体供給源120dはレッグゾーン116に結合されている。図示する態様において、一次流体供給源は互いに実質的に類似している(例えば、それぞれが、同じ製造者からの同じモデルのポンプであってもよいし、同じ流量、ヘッドレーティングまたは他の容量を有してもよい)。例えば、適当なエアポンプおよび/またはコンプレッサのいくつかの態様がThomas Division of Gardner Denver Thomas(Sheboygan, Wisconsin, USA)から市販されている。図示する態様において、一次流体供給源120a、120b、120c、120dは、特定の患者支持装置において使用される標準ポンプまたはコンプレッサ、例えばKinetic Concepts Inc.(San Antonio, Texas, USA)から市販されているようなものである。
【0029】
図示する態様において、装置10(例えば制御ユニット100)はまた、各一次流体供給源120a、120b、120c、120dの第一の容量よりも大きい第二の容量を有する二次流体供給源124を備える。流体供給源容量は、流量(例えば毎分リットル(L/m)、毎分立方フィート(cfmまたはft3/min)、毎分立方インチ(in3/min)、毎分立方センチメートル(cm3/min))、圧力および/または任意の他の適当な流体送り出し能力の指標として計測および/または格付けされてもよい。図示する態様において、二次流体供給源および一次流体供給源は共通のハウジング(例えば、図2A〜2Cのハウジング38)を共用する。他の態様において、一次流体供給源および二次流体供給源は、別々のハウジング中に配置または収容されてもよいし、および/または2つまたはそれ以上の二次流体供給源を含んでもよい。図示する態様において、二次流体供給源124は、例えば管材128およびT継手132を介して、2つまたはそれ以上の膨張可能ゾーン(ヘッドゾーン104、ショルダーゾーン108、ボディゾーン112、レッグゾーン116)(のそれぞれ)に結合されている。二次流体供給源124はエアコンプレッサまたはポンプであることができる。いくつかの態様において、二次流体供給源124は、一次流体供給源の任意の個々の1つの対応する容量よりも大きい(例えば、その125、150、200、400、500、600、700、800、900、1000またはより大きな百分率のいずれかに、等しい、それよりも大きい、またはそれらの間の)容量(例えば最大流量、ヘッドレーティングなど)を有することができる。適当な二次流体供給源の一例が、Thomas Division of Gardner Denver Thomas(Sheboygan, Wisconsin, USA)から市販されている6025シリーズポンプである。
【0030】
図示する態様において、装置10(例えば制御ユニット100)はまた、一次流体供給源120a、120b、120c、120dおよび二次流体供給源124に結合された制御装置136を備える。より具体的には、図示する態様において、制御装置136は、ゾーン104〜116の少なくとも1つ(例えばすべて)における圧力が下限しきい値圧力(例えば、ゾーンにおける予想最低作動圧力)よりも低い場合に、二次流体供給源124をアクティブ化して流体をマットレス30のゾーンに提供するように構成されている。例えば、いくつかの態様において、各ゾーンは、8〜20インチ水柱(インチH2O)の圧力で作動すると予想され得る。ゾーンの1つまたは複数における圧力が8インチH2Oの下限しきい値圧力であるか、または下限しきい値圧力未満の場合に、制御装置136は二次流体供給源124をアクティブ化して、少なくとも下限しきい値圧力未満であるゾーンに流体を提供する(例えば、少なくとも、すべてのゾーンがそれぞれの下限しきい値圧力よりも高くなるまで)ように構成されることができる。例えば、いくつかの態様においては、少なくともすべてのゾーンがしきい値圧力よりも高くなるまで、しきい値圧力よりも高い任意のゾーンに関して弁152a、152b、152c、152dの1つまたは複数が閉じられてもよい。いくつかの態様においては、ゾーンの下限しきい値圧力は同一であってもよい。他の態様において、例えば、本方法の様々な態様に関して本開示に記載されるように(例えば図5および6A〜6Cを参照)、異なるゾーンが異なるしきい値圧力を有してもよい。制御装置136は、本開示に記載される機能の任意の1つまたは組み合わせに関して記載されるように機能するようプログラムまたは他のやり方で構成されることができる、任意の適当な構造または装置を含むことができる。例えば、制御装置136は、1つまたは複数のマイクロコントローラ、プロセッサ、CPU、フィールドプロセッシングゲートアレイ(FPGA)および/またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。制御装置136は、本制御装置、装置および/または制御ユニットの様々な態様内に含まれる記憶機能のために、適宜、揮発性および/または不揮発性メモリを含んでもよい。
【0031】
図示する態様において、装置10(例えば制御ユニット100)は、マットレス30のゾーンにおける圧力を計測するように構成されたセンサ140a、140b、140c、140dを備える。より具体的には、図示するように、センサ140aは、ヘッドゾーン104における圧力を計測するように構成され、センサ140bは、ショルダーゾーン108における圧力を計測するように構成され、センサ140cは、ボディゾーン112における圧力を計測するように構成され、およびセンサ140dは、フットゾーン116における圧力を計測するように構成されている。図示する態様において、例えば、ゾーンのいずれか1つ(および/またはすべて)における圧力が各ゾーンの下限しきい値にあるのか、それよりも低いのか、それよりも高いのかを制御装置136が決定することができるよう、制御装置136は、マットレス30のゾーンにおける圧力を示す信号をセンサから受信するように構成されている。
【0032】
図示する態様において、制御装置136は、マットレス30の各ゾーンにおける圧力が下限しきい値圧力に達したか、またはそれを超えたとき(例えば、下限しきい値圧力を増分量(例えば1、2、3またはより多くのインチH2O)超えたとき)二次流体供給源124を非アクティブ化するように構成されている。いくつかの態様において、制御装置136はまた、対応するゾーンにおける圧力が標的圧力(例えば、すべてのゾーンの標的圧力または特定のゾーンに特異的である標的圧力)よりも低い場合に、一次流体供給源120a、120b、120c、120dそれぞれをアクティブ化して流体を対応するゾーン(104、108、112、116)に提供するように構成されている。
【0033】
図示する態様において、装置10(例えば制御ユニット100)は、逆止め弁が、逆止め弁を通過して二次流体供給源124から離れる方向に流体(例えば空気)が流れることを許容し、かつ逆止め弁を通過して二次流体供給源124に向かう方向に流体が流れることを実質的に防ぐように、二次流体供給源124と、マットレス30のゾーン104、108、112、116との間に配置された、逆止め弁144a、144b、144c、144dを備える。そのようなものとして、図示する態様において、装置10(例えば制御ユニット100)は、二次流体供給源が、流体をシステムに加えることはできるが、流体をシステムから除去することも、システムから逃げるのを許容することもできないように構成されている。
【0034】
いくつかの態様において、逆止め弁は、二次流体供給源が、より低い圧力にあるゾーンに流体を供給したのち、より高い圧力のゾーンに流体を供給するように構成されている。例えば、逆止め弁は、ゾーン104が5インチH2Oにあり、ゾーン108、112および116が7インチH2Oにある場合、ゾーン104が7インチH2Oに達する(例えば圧力が4つのゾーンすべてで等しくなる)まで、二次流体供給源124からの流体(例えば空気)がゾーン104に供給され、ゾーン104が7インチH2Oに達したところで、4つのゾーンすべてが4つのゾーンの間の最低しきい値圧力に達するまで、流体が4つのゾーンすべてに実質的に等しく加えられるように構成されることができる。例えば、ゾーン104が8インチH2Oの最低しきい値圧力を有し、ゾーン108、112、116それぞれが10インチH2Oの最低しきい値圧力を有する場合、4つのゾーンすべてが8インチH2Oに達するまで、4つのゾーンすべてが二次流体供給源からの流体を実質的に一定の速度で受ける。いくつかの態様において、制御装置136は、その後、二次流体供給源124を非アクティブ化し、最低しきい値圧力に達するまで一次流体供給源120b、120c、120dが流体をゾーン108、112、116に供給することを可能にするように構成されている。他の態様において、制御装置136は、ゾーン104を隔離し(例えば以下さらに詳細に説明するように弁などを介して)、ゾーン108、112、116がそれぞれの最低しきい値圧力に達するまで流体を二次流体供給源124から供給し続けるように構成されている。
【0035】
いくつかの態様において、制御ユニット100は装置10から取り外し可能である。例えば、いくつかの態様において、一次流体供給源は、接続インターフェイス(例えばマニホルド、コネクタなど)148を介してマットレス30のゾーンに取り外し可能に結合されるように構成されている。例えば、制御ユニット100がハウジング38中に配置されている、またはそれによって支持されている場合、マットレス30は、装置10から取り外す、および/または交換することができるように制御ユニット100に取り外し可能に結合されてもよい。そのような態様において、二次流体供給源は、マットレスの各ゾーンにも結合されるように構成されることができる。例えば、図3に示すように、二次流体供給源124は、管材128およびT継手132(例えばハウジング138内)を介して、一次流体供給源120a、120b、120c、120dに結合されることができる。そのような態様において、一次流体供給源および二次流体供給源がマットレスのゾーンに結合される場合に、2つまたはそれ以上のゾーンのうちの少なくとも1つにおける圧力が下限しきい値圧力未満であるならば、制御装置が二次流体供給源をアクティブ化して流体を2つまたはそれ以上のゾーンに提供するように、制御装置136は、構成されることができる。
【0036】
制御ユニット100は、例えば、CPRを実行するための高速ガス抜き機構を備えた患者支持装置との、またはその中での使用に適し得る。当技術分野において公知のシステムを用いると、エアマットレスのCPRガス抜きののち、マットレスを予想最低作動圧力(例えば、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30またはより大きなインチH2Oのいずれかよりも大きい、それに等しい、またはそれらの間)まで再び膨らませるのに最大30分を要することがある。しかし、二次流体供給源124を有する制御ユニット100は、マットレスを、CPR後のガス抜きまたは完全にガス抜きされた状態から予想最低作動圧力まで、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10分のいずれかに満たない、それに等しい、またはその間の期間で膨らませて、患者を快適かつ安全に支持された状態に戻すために要する時間の量を有意に減らすように構成されることができる。さらには、制御ユニット100は、漏れを修復することができるまでゾーン中に機能的圧力および/または膨張を維持することができる高容量二次流体供給源を提供することにより、ゾーンにおける穿刺または漏れのバックアップを提供するように構成されている。
【0037】
図示する態様において、装置10(例えば制御ユニット100)は、図示するように制御ユニット100がマットレス30に結合される場合にマットレス30の個々のゾーンを隔離することができるように構成された弁152a、152b、152c、152dを備える。より具体的には、図示する態様において、弁152aは、弁152aが閉じられるならば、ゾーン104が隔離されてセンサ140aがゾーン104における圧力を検出することができるように流体供給源120aとセンサ140aとの間に配置される。弁152b、152c、152dはそれぞれゾーン108、112、116に関して同様に構成されている。したがって、弁152a、152b、152cおよび/または152dを閉じてマットレスの個々のゾーンを隔離して空気がゾーンから逃げることを防ぐことができる。例えば、あるゾーン(例えば患者のシートの下の)における圧力が高まっている、または高まると予想されるならば(例えば患者が上体を起こす、またはベッドのバックの傾斜が上げられるならば)、弁152cを閉じてゾーン112におけるたるみを防ぐ、または減らすことができる。
【0038】
図4A〜4Cは、本装置(例えば10)および/または本方法の特定の態様との、またはその中での使用に適したフレーム14およびマットレス30の例の側面図を示す。図示する態様において、フレーム14は、シート部分156および下降位置(例えば図4A)と上昇位置(例えば図4C)との間で枢動する(例えばシート部分156に対して)ように構成されたバック部分(またはファウラ)160を含む。図示する態様において、フレーム14はさらに、枢動する(例えばシート部分156に対して)ように構成されたレッグ部分164を含む。図3を参照して上述したように、マットレス30は、2つまたはそれ以上のゾーンを有するエアマットレスである。ゾーン104、108、112および116それぞれは1つまたは複数の膨張可能チャンバ34を含み、マットレス30は1つまたは複数のバックチャンバ(ショルダーゾーン108中)および1つまたは複数のシートチャンバ(ボディゾーン112中)を含むようになっている。いくつかの態様において、1つまたは複数のシートチャンバは、ボディゾーン112と同じ範囲に延びるシートゾーン内にあるか、またはシートゾーンは、ボディゾーン112中(および/またはショルダーゾーン108中)のチャンバのサブセット168を含んでもよい。図3Bおよび3Cに示すように、フレーム14は、ファウラ160の角度(例えばファウラ角FAまたはFA)172を、図4Aに示すような下限(例えば0°)と上限(例えば75°)との間で変えることができるよう、バック部分160(またはファウラ160)をシート部分に対して枢動させることができるように構成されている。4つのゾーンを有するマットレス30が記載されているが、マットレス30の他の態様は任意の適当な数(例えば2、3、5、6、7、8、9またはより多く)のゾーンを含んでもよい。
【0039】
患者がマットレス30の上に横たわるとき図4Bおよび4Cに示すように角度172が増す場合、患者の上体の重さがマットレス30のシートゾーン(例えばボディゾーン112)に徐々に移されて、より大きな力が患者の尻または臀部によってマットレスのシートゾーンに加わるようになるおそれがある。バック部分160がフラットである場合(図4Aのように)に存在するものと同じ標的圧力を制御装置132がボディゾーン112に関して維持する場合、増大した力がマットレスのシートゾーンを圧縮させ、患者にとって不快な状態を生じさせるおそれがある。
【0040】
図5は、患者の不快感を打ち消すまたは防止するための本方法200の1つのフローチャートを示す。図示する態様において、方法200は、バック部分またはファウラ160のファウラ角(例えば172)が検出されるステップ204を含む。図示する態様において、方法200はさらに、バック部分の角度の調節が終了するまでマットレス30のシートゾーン(例えばボディゾーン112中のチャンバ)が隔離される(例えばステップ208の前に)ステップ208を含む。図示する態様において、方法200はさらに、角度(172)がしきい値角度を超える場合に、マットレスのシートゾーンの圧力がバック部分160の角度(172)に従って調節されるステップ212を含む。本開示に使用される「隔離する」とは、隔離されたゾーンまたはチャンバから流体が逃げることを防ぐことを含む。シートゾーンを隔離しなければ、空気が逃げて、シートゾーンを角度172の増大前の圧力に戻すことにより、加えられた重さを補償する。
【0041】
本装置および制御ユニットのいくつかの態様は、方法200の1つまたは複数の態様を実現するように構成されている。例えば、装置10(図3の)のいくつかの態様はフレーム14を備える。いくつかの態様はさらに、患者支持部の枢動可能なバック部分の角度が変化中であるかどうか(例えば、バック部分160の角度が調節中であるかどうか)を検出するように構成されたセンサ(図示しないが、例えば、制御装置132に結合された加速度計または任意の他の適当なセンサ)を含む。いくつかの態様において、制御装置132は、角度172の変化が終了するまで(例えば、瞬間的に、または所定の期間、例えば、少なくとも0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1またはより多くの秒、これらに等しい期間、またはこれらのうちの任意のものの間の期間)、マットレス30のシートゾーン(例えばシートゾーンにおけるチャンバ)を隔離する(例えば弁152cを閉じて空気が逃げるのを防ぐことによる)ように構成されている。そのような態様において、このセンサおよび/または別のセンサ(図示しないが、例えば電子角位置センサ)は、フレーム14のバック部分またはファウラ160の角度を検出する(例えば、角度172の調節が終了したのち)ように構成されることができる。いくつかの態様において、制御装置132は、角度172がしきい値角度を超える場合に、バック部分またはファウラ160の角度172に従ってシートゾーン(チャンバ)における圧力を調節するように構成されている。例えば、しきい値角度は、バック部分160の標準角が患者にとって快適であると予想される最大角、例えば5、10または15度であってもよい。制御装置132は、ファウラ160の角度172がしきい値角度を超える場合に、弁152cを開いて流体をシートゾーンから放出することにより、および/または一次流体供給源120c(シートゾーン(例えばボディゾーン112)に対応する)をアクティブ化してシートゾーンにおける圧力を高めることにより、シートゾーンにおける圧力を調節することができる。
【0042】
本方法のいくつかの態様は、患者支持部の枢動可能なバックセクション160の角度172が変化中であることを検出すること、およびバックセクション160の角度172の変化が終了するまでマットレス30の1つまたは複数のシートチャンバを隔離する(例えば弁152aを閉じることによる)ことを含む。いくつかの態様はさらに、バックセクションの角度を示す信号を受信すること、およびバックセクションの角度172がしきい値角度(例えば15度)を超える場合に、1つまたは複数のシートチャンバ(例えばボディゾーン112中のチャンバ34)中の圧力を調節することを含む。圧力の調節は、例えば、1つまたは複数の流体供給源(例えば120b)をアクティブ化して1つまたは複数のシートチャンバ中の圧力を高めること、および/または1つまたは複数のシートチャンバから流体(例えば空気)を放出して1つまたは複数のシートチャンバ中の圧力を下げることを含むことができる。
【0043】
図6A〜6Cを参照して以下さらに詳細に説明するように、いくつかの態様において、シートチャンバ中の圧力は、バックセクションの角度に対応する標的圧力レベルまで調節される。いくつかの態様において、標的圧力レベルは、それぞれがバックセクションの異なる角度範囲に対応する複数の所定の圧力の中から選択される(例えば、複数の所定の圧力それぞれが、対応する角度範囲の大きさとともに増大してもよい)。例えば、いくつかの態様において、第一の所定の圧力は15〜30度の角度範囲に対応し、第二の所定の角度範囲は30〜45度の角度範囲に対応し、および第三の所定の圧力は45度を超える角度範囲に対応する。本態様は、4つのプリセットされたファウラ角範囲(<15、15〜30、30〜45および>45度)で説明されるが、他の態様は、任意の適当な数、例えば2、3、5、6、7、8、9、10またはより多くのプリセットされたファウラ角範囲を含んでもよい。例えば、他の態様は、<10、10〜20、20〜30、30〜40、40〜50および>50度のプリセットされたファウラ角範囲を含んでもよい。いくつかの態様においては、例えば、ステップ344から直接図6Bのステップ376に飛ぶことにより、任意のプリセットされたファウラ角範囲がなくてもよい(例えば、制御装置は、ファウラ角が入る範囲をはじめに決定することなく、任意の個々の角度に関して所望の圧力を計算するように構成されることができる)。
【0044】
図6A〜6Cは、制御ユニット100によって本方法を実現する制御スキームまたは方法の1つの態様300のより詳細なフローチャートを示す。簡潔に示すために、図6A〜6Cにおけるいくつかの値は、表1に記載される略号によって指定される。
【0045】
(表1)図6A〜6Cのフローチャートの略号
【0046】
方法300は、フレーム14を備える装置10との、またはその中での使用に関して実現されてもよく、それに関して説明される。図示する態様において、制御装置132は、制御装置132が起動されるステップ304から始まり、PA、PB、PH、PS、PLおよびMに関する初期値が得られる、または読まれる(制御装置132に結合された、またはそれと一体のパワーダウンまたは不揮発性メモリから)ステップ308に進む。Mは無次元係数であり、その計算は以下に説明される。次に、制御装置132は任意選択のステップ316に進み、そこで、標準圧力フィードバックループがマットレス30のゾーンにおける圧力を検出および/または調節し始める。例えば、316で始まる標準圧力フィードバックループは、ファクトリーフィードバックループ(例えば、バックセクション角度に基づく本制御システムまたは方法が既存のベッドに加えられる場合、ベッド製造者によって含められてもよいようなもの)を含んでもよい。図示する態様において、次に、制御装置132はステップ320に進み、そこで、バック部分またはファウラ160(例えば角度172)が調節または配置変更されているかどうかを、制御装置132がチェックして決定する。バック部分160が調節されていないならば、制御装置132はステップ324に進み、そこで、装置が、マットレス30のゾーンの標的圧力が自動的に調節される自動調節モードにあるかどうかを、制御装置132がチェックする。制御ユニット100が自動調節モードにある場合、方法300は、PA=PBR、すなわちボディゾーン112において検出された圧力にセットされ、現在のPA、PH、PSおよびPLがメモリに記憶されるステップ328に進み、そして方法300は、ポイント332に進む。
【0047】
逆に、制御ユニット100が自動調節モードにない場合、制御装置132は、ステップ324からステップ336に進み、そこで、制御ユニット100が手動調節のために構成されているかどうか(例えば、制御装置が、ユーザによって選択されてもよいような手動調節モードにあるかどうか)を、制御装置132がチェックする。制御ユニットが手動調節モードにない場合、制御装置132はステップ312に戻る。制御ユニット100が手動調節モードにある場合、制御装置132はステップ340に進み、そこで、制御装置132は、センサ140a、140b、140c、140dからPBR、PHR、PSRおよびPLRを読み、ポイント332に進む。ポイント332から、制御装置132はステップ344に進み、そこで制御装置132がバック部分160の角度172(FA)をチェックする。制御装置132はステップ348に進み、そこで、制御装置132は、角度172が15度未満であるかどうかをチェックする。角度172が15度未満である場合、制御装置132はステップ352に進み、そこで、PA=PBRにセットされ、パワーダウンメモリに記憶される。次に、制御装置132はステップ356に進み、そこで、FA=15度にセットされ、次にステップ360に進み、そこで、式(1)からMが計算される。
M=0.0095P0+0.0852 (1)
次に、制御装置132はポイント364に進む。
【0048】
ステップ348において、角度172が15度以上であるならば、制御装置132はステップ368に進み、そこで、角度172が15〜30度の間であるかどうかが決定される。角度172が15〜30度の間である場合、制御装置132は、FA=22.5度にセットされるステップ372に進み、次にポイント376に進む。ステップ368において、角度172が15〜30度の間ではない場合、制御装置132はステップ380に進み、そこで、角度172が30〜45度の間であるかどうかが決定される。角度172が30〜45度の間である場合、制御装置132は、FA=37.5度にセットされるステップ384に進み、次にポイント376に進む。ステップ380において、角度172が30〜45度の間ではない場合、制御装置132は、FA=52.5度にセットされるステップ388に進み、次にポイント376に進む。他の態様において、角度の範囲は、任意の適当な数およびサイズ(例えばそれぞれ10度の5つの範囲、それぞれ5度の10の範囲など)を含むことができる。
【0049】
ポイント376から、制御装置132はステップ392に進み、そこで式(2)からP0が計算される。
P0=(PBR+1.967−0.0852・FA)/(0.874+0.0095・FA) (2)
次に、制御装置132はステップ396に進み、そこで式(1)からMが計算される。次に、制御装置132は、式(3)からPAが計算されるステップ400に進み、次にポイント364に進む。
PA=M・FA+P0 (3)
【0050】
ポイント364から、制御装置132はステップ404に進み、そこで式(4)からPBが計算される。
PB=M・FA+P0 (4)
次に、制御装置132は、PBがパワーダウンメモリに記憶されるステップ408、メモリからPHが取得されるステップ412、メモリからPSが取得されるステップ416およびメモリからPLが取得されるステップ416ならびにポイント424に進む。制御装置132は、圧力がメモリから得られる、またはメモリに対してチェックされるとき、マットレス30の様々なゾーンにおける圧力を更新または維持するように構成されることができる。
【0051】
式(1)、(2)、(3)および(4)は、様々なゾーンおよびファウラ角(角度172)の様々な段階における様々な計測または検出圧力(例えばPBR、PHR、PSR、PLR)、所望または標的圧力(PA、PB、PH、PS、PL)および予想または推定圧力(例えばP0)の間の関係を近似するために実験的に導かれたものである。式(1)、(2)、(3)および(4)中の定数は、ファウラ角172を増大させるとき、閉鎖または隔離されたボディゾーン(112)における圧力を計測することによって導かれたものである。例えば式(1)は、15度よりも大きい角度172の値のデータの線形近似を反映する。同じデータのY軸切片または交点は、妥当な近似がPBR=M*FA+Bによって求められるようなB=0.874P0−1.9674によって画定される直線を明らかにした。これらの式を式(1)と合わせると式(2)が得られる。この導出は例として提供され、他の態様においては、様々な他の式および/または定数を使用して、例えば様々な値のファウラ角172に関して、様々なゾーン(例えばボディゾーン112)において計測された圧力を様々なゾーン(例えばシートゾーン112)中の標的圧力と相関させることができる。
【0052】
ポイント424から、制御装置132はポイント312に戻り、方法を再び一巡し始める。ステップ320において、バック部分160が配置変更中である(例えば角度172が変化中、または調節中である)と決定される場合、制御装置132はポイント428に進み、次にステップ432に進み、そこでシートゾーン(例えばボディゾーン112)が隔離される(例えば弁152cを閉じることによる)。次に、制御装置132はステップ436に進み、そこで、制御装置132はバック部分160の調節が終了したかどうかをチェックする。バック部分160がまだ調節中である場合、制御装置132はポイント440、ポイント428に進み、ステップ432に戻り、少なくともステップ436においてバック部分160の移動が終了したと決定されるまで、マットレス30のボディゾーンが隔離されたままであるようにする。ひとたびバック部分160の調節が終了したならば、制御装置132はステップ444に進んで新たなFAを決定する。ステップ444から、制御装置132はステップ448に進み、そこで、新たなFAが15度未満であるかどうかが決定される。新たなFAが15度未満である場合、制御装置132はステップ452に進み、そこでFA=15度にセットされる。新たなFAが15度よりも大きい場合、制御装置132はステップ448からステップ456に進み、そこで新たなFAが15〜30度の間であるかどうかが決定される。新たなFAが15〜30度の間である場合、制御装置132はステップ460に進み、そこでFA=22.5度にセットされる。新たなFAが15〜30度の間ではない場合、制御装置132はステップ456からステップ464に進み、そこでFAが30〜45度の間であるかどうかが決定される。新たなFAが30〜45度の間である場合、制御装置132はステップ468に進み、そこでFA=37.5度にセットされる。新たなFAが30〜45度の間ではない場合、制御装置132はステップ472に進み、そこでFA=52.5度にセットされる。ひとたび新たなFAがセットされたならば、制御装置132はポイント476に進み、次にポイント364に進む。ポイント364から、制御装置132は、上記のようにステップ404〜420を通過し、ポイント424に達する。同じく上記のように、制御装置132は、ポイント424から、サイクルの始まりのポイント312に戻る。
【0053】
他の態様において、制御装置132は、調節ステップののちバック部分160の角度を決定し、角度またはその角度が含まれる範囲(例えば15〜30度)に対応する所定の圧力値を得るように構成されることができる。例えば、所定の圧力値は、制御ユニット100中のパワーダウンまたは不揮発性メモリ中のルックアップテーブルまたは任意の他の適当なデータ構造に記憶したり、それから取得したりすることができる。他の態様において、制御装置は、角度またはその角度が含まれる範囲(例えば15〜30度)に対応する所定の圧力係数を得、フラット配置(図4A)圧力PBまたはPBRをその対応する圧力係数で乗じるように構成されることができる。例えば、ボディゾーン112における圧力PBまたはPBRが10インチH2Oの圧力に調節され、かつ1.2の圧力係数が18度の角度172に対応する場合、18度の角度の場合にボディゾーン112に関して計算されるPAは12インチH2Oになるであろう。
【0054】
次に図7および8A〜8Cを参照すると、図7は、本患者支持装置のもう1つの態様10aのブロック図を示し、図8A〜8Cは、本装置(例えば10)および/または本方法の特定の態様との、またはその中での使用に適したフレーム14の例およびマットレス30aの代替態様の側面図を示す。装置10aは装置10に類似しており、したがって、ここでは主に違いを説明する。装置10aは、2つまたはそれ以上のゾーンを有するエアマットレスである(図示するように)という点でマットレス30に類似したマットレス30aを備える。各ゾーン104、108、112および116は1つまたは複数の膨張可能チャンバ34を含み、マットレス30が1つまたは複数のバックチャンバ(ショルダーゾーン108中)および1つまたは複数のシートチャンバ(ボディゾーン112中)を含むようになっている。しかし、図示する態様において、マットレス30aは、各チャンバ(またはブラダもしくはセグメント)34が、上チャンバ34aおよび上チャンバ34aからは別個である(内部で流体的に連絡しない)下チャンバ34bを含むように構成されている。このようにして、マットレス30aは、上層(上チャンバ34aを含む)および下層(下チャンバ34bを含む)を含む。そのようなものとして、図示する態様において、上チャンバ34aは、ゾーン104、108、112および116に分割されているものとして説明することができ、下チャンバ34bは、連続的な下ゾーンとして説明することができる。他の態様において、下チャンバ34bは、2つまたはそれ以上のゾーンに分割されることもできる。
【0055】
マットレス30aとで機能するために、装置10aは、さらなるセンサ140e、さらなる逆止め弁144eならびにさらなる弁152eおよび152fを備えるように構成されている。図示する態様において、装置10aは、装置10に関して上述したように上チャンバ34a(それぞれヘッドセクション104、ショルダーゾーン108、ボディゾーン112およびレッグゾーン116において)が流体供給源120a、120b、120c、120dに結合され、下チャンバ34b(ゾーン104、108、112および116すべてにおいて)が流体供給源124に結合されるように構成されている。より具体的に、下チャンバ34bは、マニホルドなど(図示せず)を介して互いと流体的に連絡し、すべてが、管材128および適切な継手を介して流体供給源124に結合されている。センサ140eは、下チャンバ34b内の圧力を感知するように構成されている。逆止め弁144eは、下チャンバ34bから逆止め弁144eを通って流体供給源124に向かう流体(空気)の逆流を防ぐ(少なくともマットレス34bが制御ユニット100に結合されているとき)ように構成されている。弁152aが閉じられる場合、下チャンバ34eが隔離されて、センサ140eがチャンバ34e中の圧力を検出することができ、弁152eが開かれる場合、流体(例えば空気)を下チャンバ34bから放出するか、または逃がすことができるように、弁152eは、流体供給源124とセンサ140eとの間に配置されている。さらには、装置10a(制御ユニット100a)は、逆止め弁144a、144b、144c、144d(ならびにヘッドゾーン104、ショルダーゾーン108、ボディゾーン112およびレッグゾーン116)を流体供給源124から隔離するために閉じることができ、または流体を流体供給源124から逆止め弁144a、144b、144c、144d(ならびにヘッドゾーン104、ショルダーゾーン108、ボディゾーン112およびレッグゾーン116)に流れさせるために開くことができる弁152fを備えるように構成されている。
【0056】
図示する態様において、装置10a(例えば制御ユニット100a)は、上チャンバ34aに関しても装置10(例えば制御ユニット100)と同様に機能するように構成されている。換言すると、装置10に関して上述したように、流体供給源120aは、ヘッドゾーン104内にある上チャンバ34aに流体を提供するように構成され、流体供給源120bは、ショルダーゾーン108内にある上チャンバ34aに流体を提供するように構成され、流体供給源120cは、ボディゾーン112内にある上チャンバ34aに流体を提供するように構成され、流体供給源120dは、レッグゾーン116内にある上チャンバ34aに流体を提供するように構成されている。同様に、装置10に関して上述したように、弁152fが開く場合、流体供給源124は、流体をゾーン104、108、112および116に提供するように構成されている。
【0057】
しかしながら、流体供給源124がマットレス30aの全長にかけて(ヘッドゾーン104、ショルダーゾーン108、ボディゾーン112およびレッグゾーン116において)流体を下チャンバ34bに提供するようにも構成されるように、装置10aは、構成されている。図示する態様において、制御ユニット100a(例えば制御装置136)は、上記のように、制御ユニット100aがアクティブ化されてマットレス30aをしぼんだ状態から膨らませるとき、上チャンバ34aおよび下チャンバ34bすべてが最低作動圧力まで満たされるまで弁152fが開いたままになるように構成されている。しかし、上記のように流体供給源124を非アクティブ化するのではなく、制御ユニット100a(例えば制御装置136)は、流体供給源120a〜120dが上チャンバ34a中の圧力を調整し、流体供給源124が下チャンバ34b中の圧力を調整することができるように、弁152fを閉じるように構成されている。例えば、ひとたび弁152fが閉じたならば、流体供給源124は、下チャンバ34bが所望の作動圧力に達するまで下チャンバ34bに圧力を送り続けることができ、作動圧力に達した時点で、流体供給源124を非アクティブ化または停止することができる。逆止め弁144eは、ひとたび流体供給源124が非アクティブ化されたならば、下チャンバ34b中にさらなる流体が必要とされないとしても、流体供給源124をアクティブ化して低めの圧力(下チャンバ34b中の圧力に対して)の流体を上チャンバ34aに提供する(1つまたは複数の逆止め弁144a〜144dを介して)ことができるように、流体の逃げ出しを防ぐように構成されている。下チャンバ34bの所望の作動圧力が低下するならば、弁152eを開いて流体を排出し、それによって圧力を下げることができる。逆に、下チャンバ34bの所望の作動圧力が上昇する場合、流体供給源124をアクティブ化して(下チャンバ34b中の所望の作動圧力が上チャンバ34aのいずれかの中の所望の作動圧力よりも高い場合、弁152fを閉じた状態で)さらなる流体を下チャンバ34bに提供することができる。
【0058】
本装置およびキットの様々な例示的態様は、開示された特定の形態に限定されることを意図したものではない。それどころか、特許請求の範囲に入るすべての変形および代替を含む。例えば、図示されたもの以外の態様が、図示された態様の特徴のいくつかまたはすべてを含んでもよい。
【0059】
特許請求の範囲は、「するための手段」または「するためのステップ」という語句を使用して手段+機能またはステップ+機能限定が所与の請求項において明示的に述べられない限り、そのような限定を含むことを意図せず、そのような限定を含むものと解釈されるべきではない。
【0060】
上記利益および利点は、1つの態様に関してもよいし、いくつかの態様に関してもよいことが理解されよう。さらに、別段指定されない限り、「ある」物品の参照がその物品の1つまたは複数を指すということが理解されよう。本明細書に記載される方法のステップは、あらゆる適宜、適当な順序で実施されてもよいし、同時に実施されてもよい。
【0061】
適宜、上記例のいずれかの局面を、記載された他の例のいずれかの局面と合わせて、匹敵しうる、または異なる性質を有し、同じまたは異なる問題に対処するさらなる例を形成してもよい。上記態様の説明は、例として記したものであり、当業者によって様々な変更が加えられてもよいということが理解されよう。上記詳細な説明、例およびデータは、例示的な態様の構造および使用の完全な説明を提供する。ある程度の具体性をもって、または1つまたは複数の個々の態様を参照して様々な態様が記載されたが、当業者は、本発明の範囲を逸脱することなく、開示された態様に対して数多くの変更を加えることもできる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8