(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属ガラス原料サンプルを加熱するように構成された電気エネルギの供給源であって、該供給源が、前記原料バレルの両端に配置された対電極の少なくとも一方に電気的に接続され、該電極が、該原料サンプルが該原料バレルにロードされる時に該原料サンプルを均一に加熱するのに十分な電気エネルギを放電するように構成される前記電気エネルギの供給源と、
前記原料サンプルに対して成形関係に配置され、加熱された時に該原料サンプルを物品に成形するのに十分な変形力を印加するように構成されたた成形工具と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のRCDF装置。
前記絶縁フィルムは、ポリテトラフルオロエチレン、フェノール樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリイミド、赤色絶縁ワニス、及び紙から構成される前記群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項12に記載のRCDF装置。
前記バレル基板は、低炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金、アルミニウム合金、銅合金、真鍮及び青銅、及びニッケルと、アルミニウムと、銅と、チタンとのような純金属から構成される群から選択された材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のRCDF装置。
RCDFサイクルを使用してバルク金属ガラス原料を加熱かつ成形する方法であって、 バレル基板と絶縁フィルムとを含む原料バレルに配置された金属ガラス原料サンプルにわたって電気エネルギを放電する段階であって、金属ガラスのTgと金属ガラス形成合金のTmの間の処理温度まで該金属ガラス原料サンプルを加熱するために、該絶縁フィルムが、該金属ガラス原料サンプルに隣接するように構成された該基板の内部面上に配置される前記放電する段階と、
変形力を印加して前記加熱された金属ガラス原料サンプルを物品に成形する段階と、
前記金属ガラスの前記Tgよりも低い温度まで前記物品を冷却する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気絶縁性であり、かつ少なくとも1つのRCDFサイクルに耐える損傷許容性を有するRCDF用途のための代替バレルに対する必要性が残っている。RCDF方法における原料バレルの性能に関連付けられる問題は、機械的判断基準から熱的及び電気的判断基準を切り離すことによって克服することができる。これは、機械的弾力性であるバレル基板を使用し、一方で原料と接触するバレル基板の内部面上に絶縁フィルムを配置することによって達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の開示は、金属ガラス物品を形成するRCDF方法に使用するための原料バレルに関する。一部の実施形態において、金属ガラスを成形するためのRCDF装置は、バレル基板と、原料をバレルにロードする時に原料サンプルに隣接するように構成されたバレル基板の内部面上に配置された絶縁フィルムとを含む原料バレルを含む。
【0010】
一部の実施形態において、RCDF装置は、金属ガラス原料サンプルを加熱するように構成された電気エネルギの供給源を含むことができる。電気エネルギの供給源は、原料バレルの両端に配置された対電極の少なくとも一方に電気的に接続することができる。電極は、原料サンプルを原料バレルにロードする時に原料サンプルを均一に加熱するのに十分な電気エネルギを放電するように構成することができる。更に、RCDF装置は、原料に対して成形関係に配置された成形工具を含むことができる。成形工具は、加熱された時に原料サンプルを物品に成形するのに十分な変形力を印加するように構成することができる。一部の実施形態において、成形工具は、結晶化を回避するのに十分な速度で物品を冷却するように構成することができる。
【0011】
様々な実施形態において、原料バレル基板は、少なくとも30MPam
1/2の平面歪み破壊強靭性及び少なくとも30MPaの降伏強度を示すことができる。様々な実施形態において、絶縁フィルムは、基板厚の5%に等しいか又はそれ未満の厚みtを有することができる。一部の実施形態において、絶縁フィルムは、500μmに等しいか又はそれ未満の厚みtを有する場合がある。
【0012】
様々な実施形態において、絶縁フィルムは、少なくとも1x10
5μΩ−cmの電気抵抗率を有することができる。他の実施形態において、絶縁フィルムは、金属ガラス原料サンプルの電気抵抗率よりも少なくとも10
3高い電気抵抗率を有する場合がある。追加の実施形態において、絶縁フィルムは、1000Vよりも高い「誘電破壊電圧」を有することができる。他の実施形態において、フィルムは、少なくとも5kV/mmの誘電強度を有する場合がある。
【0013】
更に別の実施形態において、絶縁フィルムは、0.1s.未満の「熱緩和時間」を有することができる。更に他の実施形態において、フィルムは、0.1mm/s未満の熱拡散率を有することができる。様々な実施形態において、絶縁フィルムは、RCDFサイクル中の壊滅的故障を防止するように機械的、熱的、及び化学的安定性を有することができる。
【0014】
別の実施形態において、バレル基板は、金属を含む。
【0015】
更に別の実施形態において、バレル基板は、低炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金、アルミニウム合金、銅合金、真鍮及び青銅、及びニッケル、アルミニウム、銅、及びチタンのような純金属から構成される群から選択された金属を含む。
【0016】
別の実施形態において、絶縁フィルムは、ポリマーを含む。
【0017】
別の実施形態において、絶縁フィルムは、セルロース系材料を含む。
【0018】
別の実施形態において、絶縁フィルムは、セラミックを含む。
【0019】
更に別の実施形態において、バレル基板は、ポリテトラフルオロエチレン、フェノール樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、Kaptonポリイミドフィルム、赤色絶縁ワニス、及び紙から構成される群から選択された材料を含む。
【0020】
更に別の実施形態において、絶縁フィルムは、独立しており、かつ接着剤によってバレル基板の内部面に接着される。
【0021】
更に別の実施形態において、絶縁フィルムは、湿潤噴霧コーティングによってバレル基板の内部面上に堆積される。
【0022】
更に別の実施形態において、絶縁フィルムは、粉末堆積によってバレル基板の内部面上に堆積される。
【0023】
更に別の実施形態において、絶縁フィルムは、化学蒸着によってバレル基板の内部面上に堆積される。
【0024】
更に別の実施形態において、絶縁フィルムは、物理蒸着によってバレル基板の内部面上に堆積される。
【0025】
更に他の実施形態において、本発明の開示は、RCDFを使用してバルク金属ガラス原料サンプルを加熱かつ成形する方法に関する。本方法は、バレル基板と絶縁フィルムとを含む原料バレルに配置された金属ガラス原料サンプルにわたって原料サンプルを加熱するために処理温度まで電気エネルギを放電する段階を含むことができる。絶縁フィルムは、金属ガラス原料サンプルに隣接するように構成されたバレル基板の内部面上に配置される。処理温度は、金属ガラスのTgと金属ガラス形成合金のTmの間とすることができる。RCDF方法は、変形力を印加して加熱原料サンプルを物品に成形する段階と、Tgよりも低い温度まで物品を冷却する段階とを更に含むことができる。様々な態様において、原料バレルの絶縁フィルムは、RCDF方法中の原料バレルの壊滅的故障を防止するように熱的及び化学的安定性を有する。
【0026】
この説明は、本発明の開示の様々な実施形態として提示されて本発明の開示の範囲の完全な列挙として解釈すべきではない以下の図及びデータグラフを参照してより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の開示は、機械的弾力性であり、かつRCDF技術を使用して金属ガラス物品を形成するのに使用することができる電気的かつ熱的絶縁性フィルムで被覆されたバレル基板を含む原料バレルに関する。本発明の開示は、RCDF処理に原料バレルを使用する方法にも関する。
【0029】
本発明の開示のある一定の態様において、コーティング、障壁コーティング、ライナ、又はフィルムという用語は、障壁基板の表面に接着され、堆積され、結合されたか、又は付加されたか又は取りつけられたいずれかの他の手段による材料の薄層を意味する。他の態様において、これらの用語は、原料サンプルを原料バレルにロードする時にバレル基板の内部面と原料サンプルの外部面の間のインタフェースに配置された材料の薄層を意味する。他の態様において、これらの用語は、原料サンプルを原料バレルにロードする時に原料サンプルに隣接するように構成された材料の薄層を意味する。
【0030】
RCDF技術は、「ジュール」加熱を使用して急速に(例えば、1秒未満、及び一部の実施形態では100ミリ秒未満の加熱時間)金属ガラス原料を均一に加熱し、金属ガラスを軟化させ、かつ工具(例えば、押出ダイ又はモールド)を使用してそれを最終成形物品に成形する方法である。加熱して軟化させた原料に変形力を印加して加熱原料を望ましい形状に変形する。加熱及び成形する段階は、加熱原料が結晶化するのに必要な時間よりも短い時間尺度にわたって実施される。その後に、変形した原料は、ガラス転移温度よりも低い温度まで自然に冷却される。一部の実施形態において、変形した原料は、それをガラス状にして非晶質物品にするために、熱伝導性の金属モールド又はダイと接触させることによってガラス遷移温度よりも低い温度まで冷却される。より具体的には、本方法は、コンデンサに蓄積された電気エネルギ(例えば、50Jから100kJ)の放電を利用して数ミリ秒又はそれ未満の時間尺度で金属ガラスのガラス遷移温度Tgと金属ガラス形成合金の平衡融点Tmとの間にある粘性流に貢献する「処理温度」まで金属ガラスの原料サンプルを均一かつ急速に加熱することができ、以下では急速コンデンサ放電形成(RCDF)と呼ぶ。
【0031】
「射出成形」モードで作動させて、RCDF処理は、原料バレルの中にロードされた金属ガラス原料のサンプルブロック(例えば、ロッド)への電気エネルギの放電から始まる。一部の実施形態において、少なくとも50Jのエネルギが放電される。他の実施形態において、少なくとも100Jのエネルギが放電される。更に他の実施形態において、少なくとも1000J及び更に他の実施形態では10000Jのエネルギが放電される場合がある。一部の実施形態において、100kJ未満のエネルギが放電される場合がある。他の実施形態において、1000J未満のエネルギが放電される場合があり、一方、他の実施形態において、100J未満のエネルギが放電される場合がある。更に別の実施形態において、放電されるエネルギの量は、50Jと100kJの間の範囲である場合がある。
【0032】
非晶質材料が、容易な成形を可能にするのに十分な処理粘性を有するように、電気エネルギの放電を使用して数マイクロ秒から数ミリ秒又はそれ未満の時間尺度で金属ガラスのTgよりも高い「処理温度」まで、より具体的には、金属ガラスのTgと金属ガラス形成合金のTmの間の処理温度までサンプルを急速に加熱することができる。
【0033】
一部の実施形態において、処理粘性は、少なくとも1Pa−sである場合がある。他の実施形態において、処理粘性は、少なくとも10Pa−s又は少なくとも100Pa−sである場合がある。更に他の実施形態において、処理粘性は、10000Pa−s未満又は1000Pa−s未満である場合がある。更に他の実施形態において、処理粘性は、1から10000Pa−sに及ぶ場合がある。その一方、処理温度は、一部の実施形態ではTgよりも少なくとも50℃高い場合がある。他の実施形態において、処理温度は、Tgよりも少なくとも100℃高い場合がある。更に、他の実施形態において、処理温度は、Tmよりも100℃未満低く、又はTgよりも50℃未満低い場合がある。
【0034】
様々な実施形態において、本発明の開示に説明するような金属ガラスのサンプルを成形する機能は、サンプルにわたって急速かつ均一な方式でサンプルを加熱する機能に依存する。加熱が均一でなかった場合に、サンプルは、代わりに局所加熱を受けると考えられ、このような局所加熱は、例えば、部分を互いに接合するか又はスポット溶接し、又はサンプルの特定領域を成形するなどの一部の技術に有用である可能性があるが、このような局所加熱は、サンプルのバルク成形を実施するのに使用されてきておらず、かつ使用することができない。
【0035】
同様に、サンプル加熱が十分に急速でなかった場合(典型的に、500−10
5K/sの程度)、形成されている材料は、その非晶質特性を失うと考えられ(すなわち、その材料は結晶化すると考えられ)、又は成形技術が、優れた加工性(すなわち、結晶化に対する過冷却液体の高い安定性)を有する非晶質材料に限定され、ここでもまた、処理の実用性を低下させる。一部の実施形態において、RCDFを使用すると、金属ガラスは、少なくとも10
3C/sの加熱速度で加熱することができる。他の実施形態において、加熱速度は、少なくとも10
4C/sとすることができる。更に他の実施形態において、加熱速度は、少なくとも10
5C/sとすることができる。更に別の実施形態において、加熱速度は、10
3C/sと10
6C/sの間である場合がある。
【0036】
本発明の開示との関連では、均一に加熱されているサンプルとは、均一に加熱されたサンプルの異なる領域内の温度が20%を超えて変化しないことを意味する。他の実施形態において、均一に加熱されたサンプルの異なる領域内の温度は、10%を超えて変化しない。更に他の実施形態において、均一に加熱されたサンプルの異なる領域内の温度は、5%を超えて変化しない。更に他の実施形態において、均一に加熱されたサンプルの異なる領域内の温度は、1%を超えて変化しない。均一に加熱することにより、金属ガラスは、射出成形により高品質BMG物品に成形することができる。
【0037】
一部の実施形態において、均等に加熱されたサンプルの異なる領域内の温度が20%を超えて変化しないように、サンプルは均等に加熱される。他の実施形態において、均等に加熱されたサンプルの異なる領域内の温度は、10%を超えて変化しない。更に他の実施形態において、均等に加熱されたサンプルの異なる領域内の温度は、5%を超えて変化しない。更に他の実施形態において、均等に加熱されたサンプルの異なる領域内の温度は、1%を超えて変化しない。均一に加熱することにより、金属ガラスは、射出成形により高品質BMG物品に成形することができる。「均等に加熱すること」及び「均一に加熱すること」は、同義的に使用することができる。
【0038】
本発明の開示のRCDF方法の実施形態による例示的なRCDF装置の概略図は、
図1に示されている。図示のように、基本的なRCDF装置は、金属ガラスをロードすることができる空洞を有する原料バレル(8)の両端に配置された電気エネルギの供給源(10)及び少なくとも1対の電極(12)を含む。電極の対を使用して、電気エネルギを原料バレル(8)に配置された金属ガラス原料サンプル(14)に印加する。電気エネルギを使用して、サンプルを処理温度まで均一に加熱する。金属ガラス原料サンプルは、モールド(18)における射出成形によって同時に又は順番に成形されて非晶質物品を形成することができる粘性液体を形成する。
【0039】
図1に概略的に示す一実施形態において、射出成形装置は、RCDF方法を用いて組み込むことができる。このような実施形態において、加熱された非晶質材料の粘性液体は、例えば、機械的にロードされたプランジャを使用してモールド空洞(18)の中に射出され、金属ガラスの最終成形構成要素を形成する。一部の実施形態において、モールドは、室温で保持されるが、他の実施形態において、モールドは、Tgと同じくらい高い温度に保持される。
【0040】
図1に示す方法の例では、原料サンプルは、本明細書に説明するバレルにロードされ、高導電性及び熱伝導性の両方を有する導電材料(銅又は銀のような)で作られた円筒形プランジャによって射出圧力(典型的には、1から100MPa)に予めロードすることができる。ある一定の実施形態において、電極も、プランジャとして作用することができる。金属ガラスサンプルは、電気的に接地されたベース電極上に載っている場合がある。コンデンサの蓄積エネルギは、上述のある一定の判断基準を満たすならば、金属ガラス原料サンプルにわたって放電することができる。一部の実施形態では予めロードすることができるプランジャは、次に、加熱された粘性溶融物をモールド空洞の中に入れる。原料バレル(8)とモールド(18)の間のゲートは原料バレルとの関係でどこにでも置くことができることを当業者は注意されるであろう。一部の実施形態において、例えば、ゲートは、バレル(図示していない実施形態)の中間部分に配置された開口部とすることができ、又は他の実施形態において、ゲートは、バレルの端部に配置することができる。
【0041】
十分なエネルギのパルスを供給するのに適切なあらゆる電気エネルギの供給源を使用することができることは理解しなければならない。例えば、10μsから100マイクロ秒の放電時間を有するコンデンサを使用することができる。また、サンプルにわたって接触するのに適切なあらゆる電極を使用して、電気エネルギを伝達することができる。
【0042】
射出成形モードのようなRCDFのある一定のモードでは、RCDF装置は、原料を収容し、放電中に周囲金属工具から原料を電気絶縁し、かつ原料がその粘性状態に達して変形力が印加されると原料を機械的に閉じ込めるのに使用する原料バレルを含む。一部の実施形態において、原料バレルを使用して、バレルの開口部(すなわち、場合によってはゲートと呼ばれる)を通して、かつ軟化させた原料が最終的に満たすと考えられるモールド空洞をもたらすランナー上に変形原料サンプルを案内することができる。
【0043】
一般的に、原料バレルは、約600℃まで、一部の実施形態では約800℃までの温度で電気絶縁性及び化学的に安定とすることができる。バレルは、このような温度まで十分に機械的一体性を有し、RCDF射出成形処理中に受ける応力に耐えることができる。更に、射出成形の複数のRCDFサイクルに原料バレルを繰返し使用する場合に、サイクルの機械的及び熱的性能がバレルに必要である。具体的には、RCDF射出成形に使用する原料バレルの材料特性は、破壊に抵抗する十分な強靭性と、RCDF処理中に受ける応力に耐える十分な降伏強度と、原料及び電極を周囲の工具から電気絶縁する高抵抗性及び誘電強度と、RCDF処理の持続時間中(0.5s未満)約800℃までの温度で軟化させた金属ガラス原料への露出に耐える熱的及び化学的安定性とを含むことができる。周期的な機械的及び熱的ロードの下でこれらの特性を維持することができるバレルは、恒久的又は半恒久的原料バレルとして使用することができる。これらの特性は、バレルを繰返し使用するための材料の選択に影響を与える。
【0044】
一般的に、使用するバレル材料は、強化セラミックであった。開示するセラミックバレル基板材料の例は、Macor、イットリア安定化ジルコニア、又は微粒子アルミナを含む。セラミックは、電気絶縁性であり、かつ高温まで化学的に非常に安定であり、適正に処理すると、これらは、相当な強靭性及び機械加工性を示すことができる。しかし、セラミックは、一般的に比較的高価な材料であり、これらを強靭にするのに使用する様々な処理は複雑で労働集約的であり、かつ総原価を有意に増加させる。セラミックの機械加工は、一般的に困難で時間集約的であり、かつ高価な工具を必要とする。更に、スプリットバレル設計の要件は、機械加工処理を更に複雑にして総原価を増加させる。従って、たとえ強化セラミックで工具寿命の延長を達成して複数のRCDFサイクルを可能にしても、高い総原価により、セラミックバレルのRCDFサイクル当たりの費用は、依然として多くの用途に対して非常に高くなる可能性がある。
【0045】
一般的に、熱的及び電気的絶縁材料の機械的性能及び損傷許容性は、不足する傾向がある。例えば、セラミック材料は、一般的に脆弱になる傾向があり、一方プラスチックは弱くなる傾向がある。具体的には、多数のRCDFサイクルにわたって、セラミックは、割れ又は砕ける傾向があり、一方プラスチックは、変形して擦られる傾向がある。
【0046】
RCDF方法における原料バレルの性能に関連付けられる問題は、熱的及び電気的判断基準を機械的判断基準から切り離すことによって克服することができる。これは、機械的弾力性で損傷許容性があるバレル基板を使用し、一方で原料と接触するバレル基板の内部面上に熱的及び/又は電気的絶縁フィルムを配置することによって達成することができる。このようにして、原料とのインタフェースにおいて電気及び熱絶縁特性を示し、かつ多数のRCDFサイクルに耐えるような機械的弾力性及び損傷許容性を有するRCDFバレルを構成することができる。
【0047】
バルク機械的要件を電気的及び熱的インタフェース要件から分離することで、原料バレル基板を機械的、電気的、及び熱的要件を満足させる材料だけに限定する代わりに、原料バレル基板の幅広い種類の材料の選択を可能にする。その分離により、バレル基板材料として機械的弾力性材料の使用を可能にし、バレル基板材料は、金属のような電気絶縁性でない場合がある。機械的特性(例えば、強靭性及び降伏強度)及び機械加工性単独の観点から、金属は、原料バレル基板として使用するためのセラミックと比較してその特性を改善している。金属は、損傷を受けにくく、セラミックと比べて従来の機械加工法を使用してより機械加工しやすい。しかし、金属は導電性であり、直接に原料バレルとして使用する時に、電流を伝導して原料サンプルの非常に非効率的かつ不均一な加熱をもたらす可能性がある。更に、金属はまた、高熱伝導性であり、原料バレルと接触している間に原料のかなりの冷却をもたらす可能性がある。
【0048】
このような損傷許容性材料をRCDF技術の原料バレルとして使用し、一方でこれらの潜在的に高い導電特性を克服するために、原料サンプルをバレルにロードする時に原料サンプルに隣接するように構成されるバレル基板の内部面上に電気及び熱絶縁フィルムを配置することにより、バレルを電気及び熱絶縁することができる。
【0049】
様々な実施形態において、絶縁フィルムは、機械的支持が主としてより強力かつより強靭な基板によって受け入れられるように十分に小さい厚みを有する。フィルムは、高電気抵抗率及び高誘電強度を有し、基板にわたってあらゆる電流を防止することができる。フィルムはまた、加熱原料から冷却基板へのあらゆる熱伝達を防止するように低熱拡散率を有することができる。フィルムが高温への露出中に壊滅的に分解しないように、フィルムは、熱的安定性を更に有することができる。
【0050】
本発明の開示はまた、高降伏強度及び高破壊靱性を有するバレル基板と、基板よりもかなり薄い障壁コーティングとに関する。障壁コーティング又はフィルムは、熱及び電気絶縁性であり、高誘電強度、低熱拡散率、及び高作動温度を有することができる。
【0051】
一部の実施形態において、バレル基板は、少なくとも30MPam
1/2の平面歪み破壊強靭性及び少なくとも30MPaの降伏強度を有することができる。他の実施形態において、バレル基板は、少なくとも60MPam
1/2の平面歪み破壊強靭性及び少なくとも100MPaの降伏強度を有する。様々な実施形態において、バレル基板は、以下に限定されるものではないが、低炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金、アルミニウム合金、銅合金、真鍮及び青銅、及びニッケル、アルミニウム、銅、及びチタンのような純金属を含む金属である場合がある。このような合金の降伏強度及び破壊靱性のデータは、表1に列挙されている。(M.F.Ashby及びD.R.H.Jones著「工学材料1:特性、用途、及び設計への導入」、第3版,Elsvier UK,2005 p.110及び178,及びAshby,M.F.著「機械的設計における材料選択」(Pergamon Press,Oxford,1992,p38からのデータ)。表1に示すように、一部のアルミニウム合金を除くほとんどの金属は、上記判断基準を満たす。
【0052】
(表1)
表1.例示的金属合金の降伏強度及び破壊靱性データ
【0053】
一部の実施形態において、絶縁フィルムは、機械的支持が主として基板によって受け入れられるように基板断面厚の5%を超えない断面厚tを有することができる。例えば、一実施形態において、基板断面厚みが1センチメートルである場合に、フィルム断面厚は、500マイクロメートル又はそれ未満とすることができる。他の実施形態において、絶縁フィルムは、基板断面厚の1%に等しいか又はそれ未満の断面厚tを有することができる。更に他の実施形態において、絶縁フィルムは、500マイクロメートルに等しいか又はそれ未満の断面厚tを有することができる。更に他の実施形態において、絶縁フィルムは、200マイクロメートルに等しいか又はそれ未満の断面厚tを有することができる。
【0054】
一部の実施形態において、絶縁フィルムは、電流が主として金属ガラス原料サンプルを通して輸送されるように、電流放電中に原料バレルを電気絶縁性にするために高電気抵抗率を有することができる。金属ガラスは、100−200μΩ−cmの範囲の抵抗率を有する。一部の実施形態において、絶縁フィルムの抵抗率は、金属ガラス原料サンプルの抵抗率よりも少なくとも10
3倍高くすることができる。他の実施形態において、絶縁フィルムの抵抗率は、金属ガラス原料の抵抗率よりも少なくとも10
8倍高くすることができる。更に他の実施形態において、絶縁フィルムは、少なくとも1x10
5μΩ−cmの電気抵抗率を有することができる。更に他の実施形態において、絶縁フィルムは、少なくとも1x10
10μΩ−cmの電気抵抗率を有することができる。
【0055】
金属ガラス原料サンプル及び原料バレルの絶縁フィルムが同じ大きさの並列抵抗器であった場合に、原料サンプルよりも10
3倍少なく伝導する絶縁フィルムは、原料サンプルを通過する印加電流の約99.9%をもたらすことができる。本発明の開示の一部の実施形態において、絶縁フィルムの電気抵抗率は、印加電流の99.9%が原料サンプルを通過するようなものである。他の実施形態において、絶縁フィルムの電気抵抗率は、印加電流の99.999%が原料サンプルを通過するようなものである。更に他の実施形態において、絶縁フィルムの電気抵抗率は、本質的に無視することができる電流(すなわち、<10A、及び一部の実施形態では1A未満)がRCDFサイクル中に絶縁フィルムを横断して流れるようなものである。
【0056】
選択された材料の電気抵抗率は、表2に示されている(www.matweb.comから取ったデータ)。表2に示すように、Kaptonのようなポリイミド、Teflon(デュポンによる)のようなポリテトラフルオロエチレン、HDPE、Voltatex(デュポンによる)のような修飾Alkyd樹脂ワニス、及び紙の全ては、1x10
5μΩ−cmよりも大きい電気抵抗率を有する。
【0057】
(表2)
表2.選択された材料の抵抗率
【0058】
表2に示すように、一部の実施形態において、絶縁障壁フィルムの電気抵抗率は、少なくとも1x10
10μΩ−cm、更に他の実施形態では、少なくとも1x10
15μΩ−cmである場合がある。更に別の実施形態において、電気抵抗率は、1x10
5μΩ−cmから1x10
30μΩ−cmに及んでいる。
【0059】
絶縁フィルムはまた、電流が主として金属ガラス原料サンプルを通して輸送されるように、絶縁フィルムにわたって(すなわち、導電原料サンプルから原料バレルの基板まで)電流放電に抵抗するのに十分に高い誘電強度κを有することができる。絶縁フィルムは、RCDF処理で印加された典型的な電圧の下で電流放電に抵抗することができ、その電圧は、1000V又はそれよりも大きい高い値に達する可能性がある。換言すれば、絶縁フィルムは、1000Vよりも高い誘電破壊電圧を有することができる。「誘電破壊電圧」は、κ・tの積として定義され、ここでκは絶縁フィルム材料の誘電強度であり、tはフィルム厚である。従って、絶縁フィルムは、与えられたフィルム厚tに対して破壊電圧がκt>1000Vになるような誘電強度κを有することができる。一実施形態において、絶縁フィルム厚tが100マイクロメートルである場合に、フィルム材料は、誘電強度κ>1000V/t、すなわち、少なくとも10kV/mmのκを有することができる。別の実施形態において、フィルム厚tが50マイクロメートルである場合に、フィルムは、誘電強度κ>1000V/t、すなわち、少なくとも20kV/mmのκを有することができる。選択された材料の誘電強度は、表3に示されている(www.matweb.comから取ったデータ)。
【0060】
(表3)
表3.選択された材料の誘電強度
【0061】
一部の実施形態において、絶縁フィルムは、少なくとも5kV/mmの誘電強度κを有する場合がある。他の実施形態において、フィルム材料は、少なくとも10kV/mmの誘電強度κを有する場合がある。更に他の実施形態において、絶縁フィルムは、少なくとも50kV/mmの誘電強度κを有する場合がある。本発明の開示の一部の実施形態において、絶縁フィルムの誘電強度及び厚みは、印加電流の99.9%が原料サンプルを通過するようなものである。他の実施形態において、絶縁フィルムの誘電強度及び厚みは、印加電流の99.999%が原料サンプルを通過するようなものである。更に他の実施形態において、絶縁フィルムの誘電強度及び厚みは、フィルムを横切る電流が10Aに等しいか又はそれ未満であるようなものである。更に他の実施形態において、絶縁フィルムの誘電強度及び厚みは、フィルムを横切る電流が1Aに等しいか又はそれ未満であるようなものである。
【0062】
絶縁フィルムはまた、フィルムにわたって起こる(すなわち、加熱原料サンプルから冷却熱伝導性基板まで)熱輸送を無視することができるような熱絶縁性とすることができ、その結果、原料サンプルは、モールドへの射出前に過冷却液体状態で均一な温度を維持する。絶縁フィルムは、RCDF処理において加熱及び成形ステージに関連付けられた時間尺度の下で(例えば、0.1sもの間、及び一部の実施形態では0.5sもの間)熱輸送に抵抗することができるような熱拡散率Dを有することができる。一実施形態において、絶縁フィルム材料は、与えられたフィルム厚tに対して特徴的な熱緩和時間がt
2/D>0.1sである十分に低い熱拡散率Dを有することができる。「熱緩和時間」は、比率t
2/Dとして定義され、ここで、Dはフィルム材料の熱拡散率であり、tはフィルム厚である。フィルム厚tが、例えば、100マイクロメートルである場合に、絶縁フィルム材料は、熱拡散率D<t
2/0.1s、すなわち、0.1mm
2/s未満のDを有することができる。フィルム厚tが、例えば、50マイクロメートルである場合に、絶縁フィルム材料は、熱拡散率D<t
2/0.1s、すなわち、0.25mm
2/s未満のDを有することができる。選択された材料の熱拡散率は、
図4に示されている(www.matweb.comから取ったデータ)。
【0064】
一部の実施形態において、絶縁フィルムは、1mm
2/s未満の熱拡散率Dを有する場合がある。他の実施形態において、絶縁フィルムは、0.2mm
2/s未満の熱拡散率Dを有する場合がある。更に他の実施形態において、絶縁フィルムは、0.1mm
2/s未満の熱拡散率Dを有する場合がある。本発明の開示の一部の実施形態において、絶縁フィルムの熱拡散率及び厚みは、熱緩和時間が、RCDF処理において原料サンプルの成形の加熱に関連付けられた時間よりも大きいようなものである。一部の実施形態において、絶縁フィルムの熱拡散率及び厚みは、熱緩和時間が0.05sよりも大きいようなものである。本発明の開示の他の実施形態において、絶縁フィルムの熱拡散率及び厚みは、熱緩和時間が0.1sよりも大きいようなものである。
【0065】
一部の実施形態において、絶縁フィルムはまた、RCDF処理において電流放電に関連付けられた時間の下で600℃まで、一方、他の実施形態では800℃までの温度で化学的安定性を維持することができる。一部の実施形態において、電流放電時間は、0.5s未満で発生する場合がある。他の実施形態において、電流放電時間は、0.1s未満である場合がある。600℃もの高い又は一部の実施形態では800℃もの高い作動温度を有する材料は、この判断基準を満たすことができる。これに加えて、「壊滅的故障」を受けることなく0.5sの期間に又は他の実施形態では0.1s未満の期間にわたってより低い作動温度を有するが、600℃もの高い又は一部の実施形態では800℃もの高い温度に耐えることができる材料も、この判断基準を満たすことができる。本発明の開示との関連では、高温への露出の結果としての絶縁フィルムの「壊滅的故障」は、それらの形状、機械的一体性、又は電気的及び/又は熱的に絶縁するそれらの機能を化学的に分解又は損失することを意味する。選択された材料の最高使用温度を表5に示している。
【0066】
(表5)
表5.選択された材料の最高使用温度
【0067】
本発明の開示では、絶縁フィルムは、障壁基板の内部面に接着され、堆積され、結合されるか、又はいずれかの他の手段によって付加されるか又は取りつけることができる。一部の実施形態において、絶縁フィルムは、原料サンプルを原料バレルにロードする時に原料サンプルに隣接するように構成することができる。他の実施形態において、絶縁フィルムは、原料サンプルを原料バレルにロードする時にバレル基板の内部と原料サンプルの外部の間のインタフェースに配置するように構成することができる。例えば、絶縁フィルムは、高温接着剤によって基板に接着され、いくつかのRCDFサイクルに続いて劣化した後に置換される独立フィルムである場合がある。別の例では、絶縁フィルムは、湿潤噴霧コーティングによって基板上に堆積させることができ、いくつかのRCDFサイクルに続いて劣化した後に再び堆積される。更に別の実施形態において、障壁コーティングは、粉末堆積、物理蒸着、化学蒸着、又はいずれかの他の適切な薄膜蒸着技術によって堆積させることができる。更に他の実施形態において、障壁コーティングは、原料サンプルの表面に接着され、堆積され、結合されるか、又はいずれかの他の手段によって付加されるか又は取りつけることができる。このような実施形態において、絶縁フィルムは、原料サンプルの外部面に付加されるか又は取りつけることができる。従って、絶縁フィルムは、原料サンプルを原料バレルの中にロードする時に原料サンプルと原料バレルの間に配置するように構成することができる。
【0068】
一部の実施形態において、絶縁フィルムは、ポリマー材料を含むことができる。制限するように意図することなく、一例として、絶縁フィルムは、本発明の開示に説明する実施形態により、ポリテトラフルオロエチレン、フェノール樹脂、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、Kaptonポリイミド、又は物理的、電気的、及び熱的特性を有するいずれかの他の適切なポリマー材料を含むことができる。他の実施形態において、絶縁フィルムは、紙のようなセルロース系材料を含むことができる。更に他の実施形態において、絶縁フィルムは、セラミック塗料又はセラミックコーティングのようなセラミック材料を含むことができる。
【0069】
上記説明は、射出成形のようないくつかの例示的な成形技術の特徴に着目してきたが、本発明の開示のRCDF方法と共に押出又はダイキャステングのような他の成形技術を使用することができることを理解しなければならない。更に、追加の要素をこれらの技術に加えて、最終物品の品質を改善することができる。例えば、上記方法のいずれかによって形成された物品の表面仕上げを改善するために、モールド又はスタンプは、金属ガラスのガラス遷移温度付近又は少し下回るところまで加熱することができ、それによって表面欠陥を防止する。これに加えて、より良好な表面仕上げ又は最終成形部品を有する物品を得るために、上記成形技術のいずれかの圧縮力、及び射出成形技術の場合は圧縮速度を制御して高「ウェーバー数」流れから生じるメルトフロント不安定性を回避し、すなわち、霧化、噴霧、流線、その他を防止することができる。
【0070】
上述のRCDF成形技術及び代替実施形態は、エレクトロニクス、ブラケット、ハウジング、ファスナ、ヒンジ、ハードウエア、腕時計の構成要素、金属構成要素、カメラ及び光学要素、宝石類などのような小さく複雑な最終形状で高性能の金属構成要素の製品に適用することができる。RCDF方法はまた、RCDF加熱及び射出システムと協働して使用される様々なタイプの押出ダイを通してより動的に押し出すことができる小さいシート、配管、パネル、その他を生成するのに使用することができる。
【0071】
本明細書の方法及び装置は、バルク金属ガラス物品を使用する電子デバイスの製作に貴重である可能性がある。様々な実施形態において、金属ガラスは、例えば、デバイスのハウジング又はケーシングの一部のような電子デバイスのハウジング又は他の部品として使用することができる。デバイスは、携帯電話、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、及び/又は携帯式音楽プレーヤのようなあらゆる消費者の電子デバイスを含むことができる。デバイスは、デジタルディスプレイのようなディスプレイ、モニタ、電子書籍リーダ、携帯式ウェブブラウザ、及びコンピュータモニタのような部品とすることができる。デバイスはまた、携帯式DVDプレーヤ、DVDプレーヤ、「ブルーレイ」デスクプレーヤ、ビデオゲーム機、携帯式音楽プレーヤのような音楽プレーヤを含む娯楽デバイスとすることができる。デバイスはまた、イメージ、ビデオ、サウンドのストリーミングの制御のような制御を与えるデバイスの部品とすることができ、デバイスは、電子デバイスの遠隔制御器とすることができる。合金は、ハードドライバタワーハウジング又はケーシング、ラップトップハウジング、ラップトップキーボード、ラップトップトラックパッド、デスクトップキーボード、マウス、及びスピーカのようなコンピュータ又はその付属品の一部とすることができる。金属ガラスはまた、腕時計又は掛け時計のようなデバイスに適用することができる。
【実施例】
【0072】
限定するように意図することなく、以下の実施例は、本発明の開示の様々な態様を示している。材料及び方法の両方に対する多くの修正を本発明の開示の範囲から逸脱することなく実施することができることは当業者には明らかであろう。
【0073】
RCDF射出成形は、Ni
68.17Cr
8.65Nb
16.42B
3.28Si
0.50(原子%で)の非晶質原料サンプルと、75μm厚の両面テープでバレル基板の内部面に接着された125μm厚のKaptonポリイミドフィルムを有するステンレス鋼で作られたバレル基板とを使用して実施された。原料サンプルは、4.82mmの直径、27.99mmの長さを有し、315lbの印加された軸ロードの下で3450j/cm
3の付与エネルギを有する容量放電電流パルスによって加熱された。電流及び力は、5mm直径の銅電極/プランジャロッドによって印加された。原料サンプルは、別の5mm直径の銅静止電極ロッドによって下から支持された。軟化させた原料は、1.5mm×5mmの断面寸法を有する銅ストリップモールド空洞の中にバレルの側面の3mmゲートを通して印加された軸ロードの下に射出され、ここで、充填後にその原料は冷却されて非晶質ストリップを形成した。
【0074】
Kapton裏打ちステンレス鋼バレルで作られた射出成形の写真は、
図2a及び
図2Bに示されている。Kapton裏打ち鋼バレルは、RCDF処理中に直面する条件に十分に耐えている。原料は、モールド空洞の中に流れ込み、モールドとバレルの半分との間にフラッシングを生成している。Kapton裏打ちバレルを使用して作られた成形部品の非晶質性は、示差走査熱量測定(DSC)及びX線回折(XRD)によって検証された。この解析の結果は、
図3A及び
図3Bに示されている。DSCプロットは、成形金属ガラスストリップが完全非晶質原料の走査に非常に類似している走査を示すことを示唆するが、結晶学的ピークは、XRD走査で検出することはできない。
【0075】
いくつかの実施形態を説明したところで、当業者は、本発明の開示の精神から逸脱することなく様々な修正、代替構成、及び均等物を使用することができることを認識するであろう。これに加えて、本明細書に開示した実施形態を不要に曖昧にしないように、いくつかの公知の処理及び要素については説明していない。従って、以上の説明を本発明の範囲を限定するものであると取るべきではない。
【0076】
当業者は、本発明の開示による実施形態が例示的な教示であり、限定ではないことを認めるであろう。従って、以上の説明に含まれる又は添付図面に示されている内容は、限定的な意味ではなく一例として解釈しなければならない。以下の特許請求の範囲は、本明細書に説明する全ての一般的及び具体的特徴、並びに言語上それらの中間に該当する場合がある本方法及びシステムの範囲の全ての説明を網羅するように意図している。