(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916857
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/02 20060101AFI20160422BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
F16K31/02 A
F16K27/02
【請求項の数】18
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-520555(P2014-520555)
(86)(22)【出願日】2012年7月3日
(65)【公表番号】特表2014-522950(P2014-522950A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2012002788
(87)【国際公開番号】WO2013013760
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2014年8月4日
(31)【優先権主張番号】11006003.5
(32)【優先日】2011年7月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508294228
【氏名又は名称】フェスト アーゲー ウント コー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マイケル マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルトゥル ハンネス
(72)【発明者】
【氏名】ディックホフ アンドレアス
【審査官】
柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−144802(JP,A)
【文献】
特開平8−178105(JP,A)
【文献】
特開平9−79408(JP,A)
【文献】
特開2002−195434(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/012838(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/02
F16K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体作動負荷の流体供給に影響を与えるバルブ装置であって、前記バルブ装置は、バルブシャフトが、バルブカートリッジを収容するように形成されたバルブハウジングを有するバルブモジュールを備え、さらに前記バルブシャフトに位置する前記バルブカートリッジを備え、前記バルブシャフトの夫々は、そこに収容された前記バルブカートリッジと共に、割り当てられた入口ポートに流体連通接続された圧力チャンバを画定し、前記バルブカートリッジの夫々は、2つの電気的に選択可能なバルブ手段を含み、前記バルブ手段は、前記圧力チャンバとそれぞれの前記バルブ手段に割り当てられた出口ポートとの間の自由流れ断面に影響を与えるように設計されているバルブ装置。
【請求項2】
前記バルブカートリッジにおける前記バルブ手段は、関連する前記出口ポートへのそれぞれの自由流れ断面に影響を与えるために、共通の動作面において遮断位置と解除位置との間で移動可能である請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記バルブ手段は、前記遮断位置と前記解除位置との間で回動可能である請求項2に記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記バルブハウジング上に形成された操作ポートであって、流体作動負荷への流体連通接続のために設計された操作ポートが、第1のバルブカートリッジの出口ポート及び第2のバルブカートリッジの出口ポートに流体連通接続されており、前記操作ポートにおいて前記第1又は第2のバルブカートリッジの前記圧力チャンバへの流体連通接続を確立する請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記バルブ手段の夫々は、前記バルブカートリッジ上に位置する第1の端部領域と、第2の端部領域であって、自由に移動可能であり、前記遮断位置においてバルブシートと封止接触し、前記解放位置において前記バルブシートを開放するように設計された第2の端部領域と、を有し、前記バルブシートが、前記圧力チャンバ内で終端し、前記出口ポートに接続された出口通路の終端オリフィスとして設計されている請求項2又は3に記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記バルブ手段は、圧電曲げ変換器として設計されている請求項5に記載のバルブ装置。
【請求項7】
前記曲げ変換器が、前記第1の端部領域から距離をおいて、調整手段であって、前記バルブカートリッジ上で支持され、前記動作面における前記曲げ変換器の自由可動端部領域の位置を設定するために設計された調整手段上にある請求項6に記載のバルブ装置。
【請求項8】
前記調整手段は、前記曲げ変換器の前記自由可動端部領域の位置を調整するために、調整され得る曲率を、前記動作面において有する請求項7に記載のバルブ装置。
【請求項9】
前記曲率は、エネルギービームによる局所的なエネルギー供給によって、調整される請求項8に記載のバルブ装置。
【請求項10】
前記動作面において前記調整手段に作用する押圧力を付与するばね手段が、前記曲げ変換器に割り当てられている請求項6〜9のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項11】
前記出口ポートが、前記バルブカートリッジの端面に配置されている請求項1〜10のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項12】
前記バルブカートリッジの端面に隣接して、連続的なシール部材が、前記バルブシャフトにおける前記バルブカートリッジの封止収容用に形成されている請求項1〜11のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項13】
接触装置であって、電気的に選択可能な前記バルブ手段と、バスシステムにおけるバスサブスクライバとしての構成のために設計された選択回路と、の間の電気的接続用に設計された接触装置が、前記バルブカートリッジの端面上に位置する請求項1〜12のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項14】
前記バルブカートリッジの夫々2つが流体接続されて、2つの3/3ウェイバルブを形成する請求項1〜13のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項15】
メインバルブモジュールが、少なくとも1つのメインバルブを有し、前記メインバルブが、バルブチャンバに移動可能に収容されるバルブ部材と、前記バルブ部材に結合されると共に移動可能にパイロットチャンバに収容されるアクチュエータと、を備え、前記バルブ部材によって前記バルブチャンバ内の自由流れ断面を調整するために、前記パイロットチャンバは、前記バルブモジュールの操作ポートに接続され、前記アクチュエータ及びそれに結合される前記バルブ部材の位置が、前記パイロットチャンバに加えられる圧力に応じて調整可能である請求項1〜14のいずれか一項に記載のバルブ装置。
【請求項16】
前記バルブチャンバ内の前記バルブ部材の位置を決定するためのばね力を提供するために、ばね装置が、前記バルブ部材及び前記アクチュエータの少なくとも一方に割り当てられている請求項15に記載のバルブ装置。
【請求項17】
1つのバルブモジュール及び1つのメインバルブモジュールが夫々、バルブディスクであって、隣接するバルブディスクとラインアップ軸に沿って整列され得るバルブディスクを形成し、前記隣接する2つのバルブディスクは互いに、前記バルブディスクが有する複数の外表面の内の最大外表面で接触し、前記ラインアップ軸は、前記最大外表面に交差し、前記ラインアップ軸に沿って延びる少なくとも1つの凹部が、前記バルブディスクを通過して流体通路を形成する請求項15又は16に記載のバルブ装置。
【請求項18】
電子選択回路及び電子制御ユニットの少なくとも一方への、バルブモジュール及びメインバルブモジュールの少なくとも一方の電気的接続用に設計された少なくとも1つの接触手段が、バルブディスクの狭側面で突出している請求項17に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、流体作動負荷の流体供給に影響を与えるバルブ装置に関する。
DE 10 2009 017 877 A1から、積層方向に並ぶ複数のバルブモジュールを含むバルブ装置が知られている。バルブモジュールの各々は、供給路凹部及び/又は通気路凹部を備えた板状の通路体を有すると共に、各々は、4つの2/2ウェイバルブを含み、4つの2/2ウェイバルブの各々は、第1及び第2の流体ポートを有する。4つの2/2ウェイバルブは、フルブリッジ構成で相互接続される。4つの2/2ウェイバルブは、取り付け面に平行な断面平面において長方形の断面を有し、主断面は、少なくとも実質的に積層方向に垂直である。また、バルブモジュールの2/2ウェイバルブの主断面の次元は、互いに同軸上に配向される。
【0002】
本発明は、簡単な構造を有しながら、流体作動負荷に最小の遅延で流体を供給することができるバルブ装置を提供するという課題に基づくものである。
上記で言及したタイプのバルブ装置の場合、この問題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0003】
問題解決において、バルブ装置は、バルブシャフトがバルブカートリッジを収容するように形成されたバルブハウジングを有するバルブモジュールを備えると共に、さらにバルブシャフトに位置するバルブカートリッジを含み、バルブシャフトの夫々は、そこに収容されたバルブカートリッジと共に、割り当てられた入口ポートに流体連通するように接続される圧力チャンバを画定し、バルブカートリッジの夫々は、2つの電気的に選択可能なバルブ手段を含み、バルブ手段は、圧力チャンバとそれぞれのバルブ手段に割り当てられた出口ポートとの間の自由流れ断面に影響を与えるように設計されている。
【0004】
図示の実施形態では、バルブハウジング内の凹部として設計されたバルブシャフトの夫々が、1つのバルブカートリッジを収容するように設計され、少なくとも実質的にバルブカートリッジの外部形状に対応する形状を有している。バルブ装置のバルブカートリッジの全てが同一の外部形状を有していることが好ましく、これにより、バルブモジュールのバルブシャフトそれぞれへの装着用に、バルブカートリッジを自由に選択することができる。バルブカートリッジが、主要寸法の軸に沿って、一定の断面、特には矩形の断面を有していると、特に有利である。このようにして、バルブカートリッジを対応する形状のバルブシャフトに挿入することができる。バルブカートリッジは、それぞれがバルブシャフトと共に、圧力チャンバを画定するように設計されている。図示の実施形態のように、圧力チャンバは、実質的に矩形体積に設計することができ、圧力チャンバの隣接する側壁は、バルブシャフトによって表される。圧力チャンバの少なくとも一方の端面は、装着されたバルブカートリッジによって表されるのが好ましい。これにより、耐圧カートリッジハウジングを必要としないので、バルブカートリッジを単純な構造にできる。それどころか、必要とされる圧力チャンバがバルブモジュールとバルブカートリッジとの組み合わせによって形成されるように、バルブカートリッジがバルブシャフトを封止するなら、それで十分である。本発明によれば、圧力チャンバは、流体源又は流体出口への流体連通接続のために設計された入口ポートを有する。この場合、入口ポートは、圧力チャンバに加圧流体を供給するため又は圧力チャンバから加圧流体を排出するためのいずれにも使用され得る。
【0005】
圧力チャンバには、さらに、アクチュエータ等の流体作動負荷への流体連通接続のための2つの出口ポートが割り当てられている。2つの出口ポートの夫々には、圧力チャンバと割り当てられた出口ポートとの間の自由流れ断面に影響を与えるように設計された電気的に選択可能なバルブ手段が割り当てられている。バルブ手段を用いて、圧力チャンバと出口ポートとの間の自由流れ断面を、遮断位置と解放位置との間で調整し、切り替えることができるのが好ましい。圧力チャンバと出口ポートとの間の連通接続は、遮断位置において切断され、解放位置では完全に開放される。
【0006】
バルブ手段は、制御ユニットによって提供される電気制御信号によって選択され、制御ユニットは、図示の例のように、バルブ装置の又はバルブモジュールの一部であってもよいし、あるいはバルブ装置とは別に提供されてもよい。制御信号は、DC若しくはAC電圧、又はパルス幅変調された電気信号であってもよい。
【0007】
本発明の有利な更なる展開は、従属請求項に記載されている。
バルブカートリッジのバルブ手段が、関連する出口ポートへのそれぞれの自由流れ断面に影響を与えるように、遮断位置と解除位置との間で、共通の動作面において移動可能、特には回動可能であれば好都合である。2つのバルブ手段が移動可能に配置されることにより、バルブカートリッジの特にコンパクトな設計が達成され得る。2つのバルブ手段が遮断位置と解放位置の間で直線運動を行う場合、2つのバルブ手段の移動軸は、共通の動作面において互いに平行に配向されるのが好ましい。2つのバルブ手段が遮断位置と解放位置の間で回動運動を行う場合は、両方の回動面が共通の動作面内に配置される。
【0008】
本発明の更なる展開では、バルブハウジング上に形成され、流体作動負荷への流体連通接続のために設計された操作ポートが、第1のバルブカートリッジの出力ポートに、及び第2のバルブカートリッジの出口ポートに流体連通するように接続され、操作ポートにおいて、第1又は第2のバルブカートリッジの圧力チャンバへの流体連通接続を任意に確立する。これに関連して、例えば、第1のバルブシャフトとそこに収容されたバルブカートリッジの組み合わせによって規定される第1の圧力チャンバは、第1の流体圧力レベルに設定され、第2の、対応して設計された圧力チャンバは、第2の流体圧力レベルに設定されてよい。第1の圧力チャンバの出口ポートを第2の圧力チャンバの出口ポートに結合することによって、第1又は第2の圧力レベルは、各出口ポートに割り当てられたバルブ手段の適切な選択によって、操作ポートにおいて任意に利用可能にされ得る。各バルブカートリッジが2つのバルブ手段及び2つの出口ポートを有するため、有利には、2つの操作ポートは2つのバルブカートリッジと共に2つの圧力レベルで選択され得る。
【0009】
バルブ手段の夫々は、バルブカートリッジ上に位置する第1の端部領域と、第2の端部領域であって、自由に移動可能、特には回動可能であり、遮断位置においてバルブシートと封止接触し、解放位置においてバルブシートを開放するように設計された第2の端部領域とを有し、バルブシートが、圧力チャンバ内で終端し、出口ポートに接続された出口通路の終端オリフィスとして設計されるのが好ましい。バルブ手段のそのような構成では、所望の回動運動は、図示の実施形態では舌状であるバルブ手段の湾曲により得られる。バルブ手段の自由可動端部領域は、曲率半径の変更によって、バルブシートに近づけられたりバルブシートから遠ざけられたりされ得る一方、しっかりと固定された端部領域は、静止した状態のままである。この曲率変化は、特に、印加された電気制御信号によって影響され得る内部機械的応力をバルブ手段に導入することによって達成することができる。
【0010】
本発明の更なる変形例では、バルブ手段は、圧電曲げ変換器として設計される。バルブ手段は、弾性的に屈曲可能な基板材料の複合体、例えば、金属片であって、それに圧電材料のコーティングが加えられたものであるのが好ましい。曲げ変換器の回動運動は、圧電材料のコーティングに電圧を印加することによって、好ましくは圧電材料のコーティングが収縮して、バルブ手段に所望の内部機械的応力を導入することで開始される。その結果、バルブ手段は曲率半径を変化させ、バルブ手段の片持ち配置による自由端の回動運動が起きる。これによっては、それぞれのバルブ手段の回動運動を、提供される電気制御信号によって精密に調整することができる。バルブ手段の回動運動、ひいては自由流れ断面が、必要に応じて提供されると共に、接続された流体作動負荷の流体需要に一致するように、制御信号は、制御ループの一部であるのが好ましい。
【0011】
第1の端部領域からは距離をおいて、曲げ変換器は、調整手段であって、バルブカートリッジ上において支持され、動作面における曲げ変換器の自由可動端領域の好ましい位置を設定するために設計された調整手段上にあるのが好ましい。調整手段を用いることで、例えば、曲げ変換器の製造公差及び/又はバルブカートリッジ内への装着に関連する公差を、補償することができる。後日、製造公差を補償するための機会を提供することにより、曲げ変換器の製造要件及びバルブカートリッジ内への装着に関連する要件を、費用対効果のレベルに制限することができる。調整手段は、動作面において曲げ変換器に力を導入するように設計され、その力は、調整手段の反対側に位置する面に対して垂直に、特には曲げ変換器の最大表面に垂直に、配向されるのが好ましく、且つ、その力は、調整手段から曲げ変換器の方向に向けられているのが好ましい。曲げ変換器の固定点から距離をおいて作用するこの力は、予め定めることが可能な好ましい位置が採用されるように、曲げ変換器の曲率に影響を与えることができる。
【0012】
本発明の更なる展開において、調整手段は、曲げ変換器の自由可動端部の好ましい位置を調整するために、特にはエネルギービームによる局所的なエネルギー供給によって、調整され得る曲率を、動作面において有している。図示された実施形態の調整手段は、材料片、特には金属片であり、バルブカートリッジのハウジング上及び曲げ変換器上に支持され、それゆえに力をハウジングから曲げ変換器に導入することを可能にする。少なくとも調整手段の一部分は、湾曲しており、その曲率は、曲げ変換器に作用する力を調整するために、調整手段の塑性変形によって変更され得る。この塑性変形は、例えば、調整手段に直接力を導入することによって、あるいは、特にはエネルギービームを用いた、局所加熱によって得られる。局所加熱は、内部材料応力の変化、したがって、所望の曲率変化を引き起こすことができる。
【0013】
動作面内において調整手段に作用する押圧力を付与するばね手段が、曲げ変換器に割り当てられていると好都合である。ばね手段は、曲げ変換器を調整手段にしっかりと接触させることを確実にし、その結果、バルブカートリッジの位置及び動作状態に関係なく、曲げ変換器を常に好ましい位置に維持することができる。ばね手段は、板ばねの形態、特には金属片として設計され、バルブカートリッジのハウジングに支持されるのが好ましい。特に好ましい変形例において、ばね手段は、調節手段の反対側にある曲げ変換器の表面に当接する。
【0014】
出口ポートがバルブカートリッジの前端面に配置されている、及び/又は、バルブカートリッジの後端面に隣接して、連続的な特にはゴム弾性のシール部材が、バルブシャフトにおけるバルブカートリッジの封止収容用に形成されていると有利である。これは、バルブモジュールへのバルブカートリッジの装着を容易にする。図示の実施形態では、バルブカートリッジの前端面に設けられた出口ポートが、バルブシャフトの前壁に配置され、流体がこの領域でバルブカートリッジとバルブモジュールと間の圧力チャンバから脱出することはできないが、もっぱら出口ポートを介しては排出されるように、シールを形成する。取り付け軸に沿う挿入によってバルブカートリッジを装着するために設計されたバルブシャフトは、取り付け軸に沿ったバルブカートリッジの断面に一致した断面を取り付け軸に沿って有している。バルブカートリッジ及びバルブシャフトの断面は、取り付け軸に沿って一定であることが好ましいが、別例として段差があってもよい。いずれの場合においても、圧力チャンバは、好ましくは、バルブカートリッジの端壁によって出口ポートから距離をおいた端領域で画定され、連続的なシール要素によって封止され且つバルブシャフトに配置され得る。
【0015】
本発明の更なる変形例では、電気的に選択可能なバルブ手段と、バスシステムにおけるバスサブスクライバとしての構成のために特に設計された選択回路との間の電気的接続用に設計された接触装置が、バルブカートリッジの後端面上に位置する。図示した実施形態によれば、この接触装置は、その上に取り付けられた接触面としての導電路を備えたプリント回路基板、又は、導電性領域が射出成形処理でプラスチック部品に加えられるMID(成形回路部品)技術におけるプラスチック部品、あるいは、バルブカートリッジの端面から突出した金属ピンであってもよい。接触装置は、バルブカートリッジにおける2つのバルブ手段に確実に電源を供給する。バルブカートリッジに設けられたセンサ手段にもまた、妥当な場合、接触装置を介して電気エネルギーが供給され得て、センサ信号に対するスキャンがなされ得る。選択回路は、バルブカートリッジの後端領域に直接配置することができるか、又は、いくつかのバルブ装置の選択を提供できるのが好ましい。選択回路は、バスシステム、例えば、上位制御ユニット又は機械コントローラと選択回路との間のデータ伝送が予め定めることが可能なバスプロトコルに従って提供されるフィールドバスシステム、のバスサブスクライバとして構成できるのが好ましい。
【0016】
バルブカートリッジの夫々2つは、流体接続されて2つの3/3ウェイバルブを形成するのが好ましい。このようにして、最小限の建設的な労力でバルブカートリッジ及びバルブモジュールについて有利な機能を得ることができる。2つの3/3ウェイバルブを提供するために必要とされるのは、バルブモジュールと共にそれぞれのバルブカートリッジによって画定される2つの圧力チャンバだけである。バルブ手段に関しては、バルブカートリッジは、均一な構造を有し、これは、同様に、簡単な構造かつ費用効果的な製造をもたらす。
【0017】
バルブ装置は、好ましくは、少なくとも1つの流体的に選択可能なメインバルブを有するメインバルブモジュールを備え、メインバルブは、バルブチャンバに収容されるバルブ部材と、バルブ部材に結合されると共に移動可能にパイロットチャンバに収容されるアクチュエータと、を備え、バルブ部材によってバルブチャンバ内の自由流れ断面を調整するために、パイロットチャンバは、バルブモジュールの操作ポートに接続され、アクチュエータ及びそれに結合されるバルブ部材の位置は、パイロットチャンバに加えられる圧力に応じて調整可能である。バルブ装置のこの構成では、バルブモジュールは、関連するメインバルブの流体選択のために使用され、同様に、関連するメインバルブは、それぞれのバルブチャンバを通じた自由流れ断面に影響を与えるように設計されている。メインバルブのバルブ部材は、バルブチャンバを通じた自由流れ断面の完全な遮断又は自由流れ断面の部分的又は完全な開口のいずれかを行うために、バルブチャンバに対して遮断位置と解放位置の間で移動可能であるのが好ましい。メインバルブのバルブ部材は、特にはメインバルブに一体化された、アクチュエータに結合されており、アクチュエータは、バルブ部材を移動させるために、バルブ部材に力を導入する目的を果たす。導入される力は、アクチュエータが移動可能に収容されたパイロットチャンバに操作ポートを介してバルブ装置によって提供される流体により、提供される。アクチュエータは、利用可能な流体の圧力に応じてバルブ部材に力を導入する作動ピストンの形に設計されるのが好ましい。
【0018】
バルブチャンバ内でのバルブ部材の好ましい位置を決定するためのばね力を提供するために、ばね装置が、バルブ部材及び/又はアクチュエータに割り当てられていると好都合である。この場合、好ましい位置からバルブ部材の移動が望まれる場合には、加圧流体をパイロットチャンバで利用可能にするだけでよい。
【0019】
本発明の更なる変形例において、1つのバルブモジュール及び1つのメインバルブモジュールが夫々、バルブディスクであって、その最大外表面で、隣接するバルブディスクとラインアップ軸に沿って整列され得るバルブディスクを形成し、ラインアップ軸に沿って延びる少なくとも1つの凹部が、バルブディスクを通過して流体通路を形成する。これは、単純な手段によって組み立てられる複数のバルブディスクが、流体の中央供給及び/又は排出がラインアップ軸に沿って延びる少なくとも1つの流体通路を介して行われるコンパクトなバルブアセンブリを形成することを可能にする。バルブディスクは、矩形であって、互いに隣接する狭側面が、最大の面として形成され且つ互いに対向する側面よりも幅が小さいのが好ましい。その側面の辺の長さは、例えば、互いに垂直に配向された4つの狭側面の幅よりも5〜10倍大きくてもよい。
【0020】
バルブモジュール及び/又はメインバルブモジュールの電子選択回路及び/又は電子制御ユニットへの電気的接続用に設計された少なくとも1つの接触手段が、バルブディスクの狭側面で突出していると有利である。各バルブディスクの狭側面上に接触手段を配置することにより、電子制御ユニットとバルブ手段との間の信号伝送のために設けられた選択回路は、バルブ装置の第1の実施形態において、バルブディスクの外側に形成され得るが、それにもかかわらず、短いパスに沿って直接それぞれのバルブ手段にアクセスできる。その結果、電気的に選択可能なバルブ手段と選択回路との間において、構造的な分離が有利に得られ、選択回路を、故障した場合に、迅速に交換することができる、又は、それぞれのバルブディスクの機能を、選択回路を置換することによって変更することができる、及び/又は、装置を異なる制御ユニットの異なる要件に適合させることができる。バルブ装置の第2の実施形態において、選択回路は、バルブディスクに統合され、接触手段を介して電子制御ユニットに接続される。この場合、バルブディスクに統合される選択回路は、接触手段を介して制御ユニットに直接電気的に接触させることができるので、制御ユニットと選択回路との間の長い電気伝送路は不要である。一般的に言えば、接触手段を横方向に突出させる結果として、バルブ手段と制御ユニットとの間の電気的な接続点の数は、既知のバルブ装置であって、電気信号伝送がバルブディスク用のラインアップ軸に沿って行われ、信号がバルブディスクの各々を通ってループする必要がある、既知のバルブ装置よりも著しく低い。このことが、信頼性と制御ユニットとバルブ手段との間の信号伝送の速度にプラスの効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の有利な実施形態を図面に示す。
【
図3】バルブハウジングとそこに収容されるバルブカートリッジの斜視断面図である。
【
図5】バルブハウジングとそこに収容されるバルブカートリッジの切断上面図である。
【
図6】バルブカートリッジの底部の分解斜視図である。
【
図10】複数のバルブカートリッジから組み立てられたバルブモジュールの空気圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、詳細には示されていないバルブ装置の一部として提供されることができるバルブディスク1を示している。バルブディスク1は、バルブモジュール2と、これに接続されたメインバルブモジュール3とを備える。その構造は後でより詳細に説明されるが、バルブモジュール2は、図示の実施形態では矩形であるバルブハウジング4を備える。バルブハウジング4の狭側面5、6の短辺の長さは、矩形の側面7のいずれか一方の辺の長さよりもかなり短い。バルブディスク1は、選択された斜視図であるために
図1に表示されているのは1つだけであるが、2つの対向する側面7を有する。側面7は、いくつかのバルブディスク1を並べる(ラインアップする)ことによってバルブ装置を作成可能であるように、図示しない隣接するバルブディスクの側面に面接触するために設けられる。
【0023】
同様にその構造は後でより詳細に説明されるが、メインバルブモジュール3は、図示の実施形態では矩形であるメインバルブハウジング8を備える。狭側面9、10の短辺の長さは、バルブハウジング4の狭側面5、6の短辺の長さに一致する。バルブハウジング4の横方向の狭側面5及び9に対して直角に、タブ型コネクタ11、12として設計された接触手段が突出し、タブ型コネクタ11はバルブモジュール2に電気的に割り当てられ、タブ型コネクタ12はメインバルブモジュール3に電気的に割り当てられる。メインバルブハウジング8は、いくつかの凹部15、16、17、18、19、20を有し、そのうちのいくつかは、図示しないバルブ装置のバルブディスク1のいくつか又は全てを通過する流体通路を形成するために、ラインアップ軸21に沿ってメインバルブハウジング8を完全に通過する。図示の実施形態では、凹部15〜20によって形成された流体通路は、バルブモジュール2及び/若しくはメインバルブモジュール3に対して加圧流体を提供するために、又は、バルブモジュール2若しくはメインバルブモジュール3から流体を排出するために使用される。
【0024】
バルブモジュール2は、バルブモジュール2とメインバルブモジュール3との間に位置する接続部23上に形成された弾性係止タブ22によってメインバルブモジュール3に連結される。係止タブ22は、バルブモジュール2及びメインバルブモジュール3上の係止突起25、28に整合する凹部24であって、係止突起25、28との正結合用に設計された凹部24を有する。メインバルブモジュール3をバルブモジュール2に機械的に結合するのに加え、後でより詳細に説明されるように、接続部23はまた、メインバルブモジュール3のセンサ手段を詳細には図示しない選択回路に電気的に結合し、この目的のために必要なタブ型コネクタ12を提供する。接続部23は、一体的な係止タブ22を有する射出成形プラスチック部品として設計されるのが好ましい。特に好ましい実施形態では、接続部21の電気接続部は、MID(成形回路部品)技術を用いて生成される、すなわち、射出成形によって接続部23に生成される。
【0025】
メインバルブモジュール3から離れたバルブモジュール2の狭側面6上に、更なる接続部29が配置されており、接続部29は、図示されない選択回路にバルブハウジング4内に収容されたバルブ手段を電気的に結合するために設けられ、この目的のために必要なタブ型コネクタ11を提供する。接続部29は、バルブハウジング4での係止を実現する係止タブ30を有しており、この目的のために、バルブハウジング4には、適切に設計された係止突起31が設けられる。接続部29は、一体的な係止タブ30を有する射出成形プラスチック部品として設計されるのが好ましい。特に好ましい実施形態では、接続部29の電気接続部は、MID(成形回路部品)技術を用いて生成される、すなわち、射出成形により接続部29に生成される。
【0026】
図2の断面図は、より詳細にバルブモジュール2及びメインバルブモジュール3の構成を示す。図示の実施形態では、4つのバルブカートリッジ32が、バルブハウジング4のバルブシャフト33内に収容される。バルブハウジング4及びそこに収容されるバルブカートリッジ32は、
図5〜
図9を参照して以下でより詳細に説明される。
【0027】
図示された実施形態のメインバルブハウジング8において、4つのメインバルブ体34が摺動自在にバルブ凹部35内に収容される。メインバルブハウジング8及びそこに収容されるメインバルブ体34は、
図11を参照して以下に詳細に説明される。
【0028】
図3は、必要に応じてバルブカートリッジ32A、32B、32C及び32Dとして識別されることができるバルブカートリッジ32が、図示の実施形態では矩形であることを示している。その結果、バルブカートリッジ32を、装着軸36に沿って挿入することによって、必要に応じてバルブシャフト33A、33B、33C及び33Dとして識別され、
図2に見ることができるバルブシャフト33に装着することができる。バルブシャフト32は、装着軸36に沿ってバルブハウジング4を通過し、接続部23との接触用に設けられた狭側面6で
図5に見られるエンドプレート37によって封止される。エンドプレート37は、射出成形部品として特に製造されるバルブハウジング4と一体化されるのが好ましい。
【0029】
図5に示されているバルブハウジング4の前方の狭側面6には、必要に応じて分配通路40A、40B、40C及び40Dと識別されることができ、詳細には示されていないエンドプレート37の開口部に流体連通するように接続された、複数の溝状凹型分配通路40が設けられている。同様に、これらの開口部の各々は、それぞれの分配通路40とバルブシャフト33のうちの1つとの間の流体連通接続を確立する。
【0030】
図示の実施形態では、分配通路40A及び40Bが、最初にバルブカートリッジ32の影響を考慮することなく、バルブシャフト33A及び33Bに流体連通するように接続される。さらに、分配通路40C及び40Dは、最初にバルブカートリッジ32の影響を考慮することなく、バルブシャフト33C及び33Dに流体連通するように接続される。
【0031】
図4は、ヘッダプレート39を示しており、ヘッダプレート39は、
図3によれば、バルブハウジング4の前方の狭側面6上に取り付けられ得て、図示された実施形態では、必要に応じて操作ポート41A、41B、41C及び41Dとして識別することができる4つの操作ポート41と供給ポート42とを有する。ヘッダプレート39は、バルブハウジング4の前方の狭側面6に取り付けられてシールを形成することができ、それにより分配通路40と関連する操作ポート41との間の流体連通接続を確実なものとする。同様に、流体連通接続は、供給ポート42とエンドプレート37に形成された供給シャフト43との間に設けられる。図示の実施形態では、流体連通接続は、供給シャフト43とバルブシャフト33B及び33Cとの間に設けられる。
【0032】
図示しない実施形態では、分配通路は、操作ポート及び供給ポートと共にヘッダプレートに形成される。このように、バルブハウジングのエンドプレートは、例えば、開口部と供給シャフトだけを特色として、単純化することができる。
【0033】
図5では、図示された実施形態の供給シャフト43が、供給ポート42から始まって、どのように2つのバルブシャフト33B及び33C内で終端しているかを見ることができる。
図5は、さらに前端領域を備えるエンドプレート37に対してどのようにバルブカートリッジ32が当接しているかを示す。図示の実施形態では、バルブモジュール2のバルブカートリッジ32のバルブ手段は、おそらく、以下でより詳細に説明される好ましいバルブ位置(通常開−通常閉)を除けば、同じ構成であるため、原理的には、好ましい任意の方法で相互に交換され得る。図示した実施形態のバルブカートリッジ32の各々は、前端面に、バルブカートリッジ32の前端面から円筒状のエンドピースのように突出する2つの出口ポート44、45を有している。出口ポート44、45の夫々には、例えばOリングのような、連続的な、好ましくは環状の、特にゴム弾性のシール手段47を設けることができる。バルブカートリッジ32及びバルブハウジング4の図示の実施形態では、2つの円筒状の凹部48、49が、それぞれのバルブシャフト33と対向するエンドプレート37の内表面50上に形成される。円筒状の凹部48、49は、関連する出口ポート44、45を封止収容するために使用され、同様に、
図5の詳細に特にはっきりと見ることができる開口部53に流体連通するように接続される。
【0034】
図7及び
図8に詳細に示すバルブカートリッジ32において、出口ポート44、45はノズルブロック54上に一体的に形成される。特に、
図7に詳細に示されているノズルブロック54は、2つの出口通路55、56を有しており、出口通路55、56は、特に
図8に示すように、出口ポート44、45からバルブカートリッジ32の後端に向かうセクションに延び、そして反対方向において直角によじれ、互いに背を向ける接触面57、58で終端する。出口通路55、56の終端開口59、60は、それぞれの接触面57、58から突出し、図示した実施形態では、球状断片の形状を有するバルブシート61、62に形成されるのが好ましい。
【0035】
図5で認識することができるバルブカートリッジ32の更なる構成要素については、
図6〜
図8の説明においてより詳細に説明する。図示の実施形態では、バルブカートリッジ32は、好ましくは同一形状の2個のハーフシェル63とそこに収容される2つの個別の構成要素とを含み、これは後でより詳細に説明される。
【0036】
図6は、図示しない装着軸36に直角に配向される断面平面において実質的にU字型の断面を有するハーフシェル63の一方を示す。バルブカートリッジ32の製造においては、調整手段として設計される支持要素65が、最初の工程でハーフシェル63内に配置され得る。図示の実施形態では、支持要素65は、板金製の、特にはばね鋼製の折り曲げ部である。支持要素65は、略矩形の輪郭を有し、支持要素65の材料の厚さは、支持要素65の最大表面よりも大幅に小さい。中央部において、図示された実施形態の支持要素65は、2つの切り欠き66、67を有しており、切り欠き66、67は、図示しないミラー軸に対して鏡面対称であるのが好ましく、これによって2つの支持ウェブ68、69が露出している。これらの支持ウェブ68、69は、同じ方向に湾曲し、ハーフシェル63に対向する支持要素65の最大表面を越えて突出している。ハーフシェル63には、受容シャフト70が形成されており、受容シャフト70は、支持要素65の形状に一致し、それゆえ本発明の場合は矩形である。受容シャフト70において、支持要素65は、支持ウェブ68、69のみが下部ハーフシェル63の内面72を越えて突出するように収容され得る。受容シャフト70の領域では、さらに凹部71が、以下でより詳細に説明するように支持手段65を調整するために、ハーフシェル63を通過する。
【0037】
支持手段65が受容シャフト70に装着された後、圧電曲げ変換器75として設計されたバルブ手段が、次の組立工程においてハーフシェル63内に配置され得る。曲げ変換器75は、好ましくは金属製である基板76と、例えば積層処理で基板76に付される圧電材料のコーティング77とを備える。動作面80において曲げ変換器75の曲げ動作をもたらすために、後端では、曲げ変換器75が、コーティング77に電圧を提供するように設計された接続回路基板78に機械的及び電気的に結合される。後端とは対照的に、ハーフシェル63内への設置後、自由に動作可能なままの曲げ変換器75の先端では、図示の実施形態において円柱断片の形状を有するシール79が、下部ハーフシェル63から離れた表面に取り付けられる、特には接着される。シール79は、ゴム弾性材料から作られるのが好ましい。
【0038】
コーティング77は、電圧が印加されると収縮するように設計されるのが好ましい。曲げ変換器75に対するノズルブロック54の配置を考慮すると、コーティング77がハーフシェル63から離れた基板76の表面に付される場合、電圧が印加されるとすぐに曲率がそれに応じて増大する。それゆえに、この方法で装着される曲げ変換器75は、通常開(NO)のバルブ手段である。通常閉のバルブ手段については、曲げ変換器75を、コーティング77がハーフシェル63に対向するように、鏡面対称に設置するだけでよい。
【0039】
曲げ変換器75がハーフシェル63内に配置された後、板ばね81は、曲げ変換器75上に配置される。板ばね81は、曲げ変換器75の最大表面上に位置するように設けられた、前部押さえ82と2つの後部押さえ83、84とを備える。板ばね81は、さらに、2つの係止タブ85、86を備え、係止タブ85、86は、横方向に互いに反対方向に突出すると共に、下部ハーフシェル63における板ばね81の非正ラッチ用に設計されている。この目的のために、ハーフシェル63には、その横方向の脚部に、組立処理において係止タブ85、86と係合するための溝87、88が設けられており、その結果、係止タブ85、86は、下部ハーフシェル63の材料にラッチされる。板ばね81を設置することにより、シール79を支持する曲げ変換器75の先端領域が、前部押さえ82を介した力の導入によって予め定めることが可能な位置に運ばれる一方、曲げ変換器75の後端領域は、下部ハーフシェル63上に配置される。このようにして製造されたバルブカートリッジアセンブリ89は、
図7に示すように、図示した実施形態と同一の第2のバルブカートリッジアセンブリ89と共に取り付けられる。この処理では、ノズルブロック54及び接点ブロック90は、2つのバルブカートリッジアセンブリ89の間に設置される。接点ブロック90は、プラグスタッド92に電気的に接続されるいくつかの導電路91を有している。そして、2つのバルブカートリッジアセンブリ89は、好ましくは接着力によって、特には溶接又は接着処理において互いに接続される。次に、接続回路基板78と接点ブロック90の関連する導電路91との間の電気接続が、例えば、この目的のために設けられた開口部93を用いて接続回路基板78との熱伝導接触が可能な弓状はんだ付け装置を使用して、はんだ付け処理で確立される。最終工程では、ゴム弾性材料からなりバルブカートリッジ32の断面に整合するシール94及び形状的に安定したシールホルダ95が、バルブカートリッジ32の接点ブロック90の後端領域上に押し込まれる。シールホルダ95は、シールホルダ95が圧入により確実に接点ブロック90上に位置するように設計された自由断面を備えた凹部96を有する。加えて、あるいは代替として、ハーフシェル63及びシールホルダ90は、接着力によって、例えば、溶接又は接着によって、連結され得る。
【0040】
続く工程では、組み立てられたバルブカートリッジ32の機能が試験され得る。この処理では、プラグスタッド92に対する電圧印加によって、曲げ変換器75が、板ばね81によって大きく決定付けられる中立位置から作用位置に動かされる。曲げ変換器75の調整は、機能テストの前及び/又は後に行うことができる。これは、例えば、支持要素65の表面に凹部71を介してレーザビームを向け、これにより、支持要素65の塑性曲率変化を引き起こすことによって行われ得る。この曲率の変化は、支持要素65によって曲げ変換器75に導入される支持力を変化させるので、曲げ変換器75の好ましい中立位置を調整することができる。
【0041】
組み立てられたバルブカートリッジ32が、関連するバルブシャフト33に挿入されると、円筒形凹部48、49における出口ポート44、45の封止接触と、バルブカートリッジ32の外面上及びバルブシャフト33の内面上におけるシール94の封止接触とにより、
図10に概略的に示されるように、封止された圧力チャンバ97が規定される。
【0042】
図2及び
図10に示されるバルブモジュール2の実施形態では、供給ポート42と2つの内部に配置されたバルブシャフト33B及び33Cとの間が接続される。その結果、各圧力チャンバ97B及び97Cは、供給ポート42で提供される加圧流体で満され得て、空気圧利用時には、バルブカートリッジ32B及び32Cのバルブ手段75が、換気バルブとして使用される。
【0043】
外側に位置する圧力チャンバ97A及び97Dの夫々は、エンドプレート37から離れた端部領域に、
図10に図示される排出通路100を有し、排出通路100は、流体が関連する圧力チャンバ97A及び97Dから環境に排出されることを可能にする。空気圧利用時には、バルブカートリッジ32A及び32Dのバルブ手段75は、ベンティング(venting)バルブとして使用される。
【0044】
図9は、組み立てられたバルブカートリッジ32の概観を提供するもので、出口ポート44、45には、関連するシール手段47がすでに設けられ、シール94及びシールホルダ95は、バルブカートリッジ32の後端に押し込まれて位置している。
【0045】
一例として、
図10は、バルブカートリッジ32のための有利な空気圧式相互接続構成を示している。バルブカートリッジ32A、32B、32C及び32Dのそれぞれが、2つの曲げ変換器75を含み、各曲げ変換器75が正確に出口ポート44A、44B、44C、44D、45A、45B、45C、45Dのうちの1つに割り当てられるので、圧力を、第1又は第2の圧力レベルで操作ポート41A、41B、41C及び41Dに任意に印加することができる。図示の実施形態では、バルブカートリッジ32の各々において、第1の曲げ変換器75−gであって関連する出口ポート44又は45に対して閉の中立位置(NC−通常閉)を採用する第1の曲げ変換器75−gと、第2曲げ変換器75−oであって関連する出口ポート44又は45に対して開の中立位置(NO−通常開)を採用する第2曲げ変換器75−oと、が設けられる。
【0046】
図10に示す例では、出口ポート45A、44B、44C及び45Dは、曲げ変換器75が中立位置にあるときに開いており、出口ポート44A、45B、45C及び44Dは、曲げ変換器が中立位置にあるときに閉じている。
図10に従う構成は、バルブカートリッジ32A及び32Dが、ベンティングバルブとして使用され、それぞれの操作ポート41から加圧流体を排出するように設計されることを規定しているので、操作ポート41B及び41Dは、バルブディスク1に対する周囲圧力に特に対応し得るベンティング圧にさらされる。対照的に、供給ポート42に提供された供給圧力は、操作ポート41A及び41Cに印加される。この目的のために、関連するバルブカートリッジ32B及び32Cの曲げ変換器75は、供給ポート42、出口ポート44B及び44C、関連する操作ポート41A及び41Cの間の連通接続が中立位置において確保されるように設計される。図示しない作用位置において、操作ポート41のいずれかに割り当てられた曲げ変換器75が切り替えられ、その結果、例えば、操作ポート41A、41Cの一方又は両方は、換気位置からベンティング位置に、及び/又は、操作ポート41B、41Dの一方又は両方は、ベンティング位置から換気位置に動かされ得る。
【0047】
図11に従うメインバルブ101の断面図は、図示の実施形態では2つの部分で設計されたメインバルブ体34であって、摺動可能にメインバルブハウジング8のバルブ凹部35内に収容されたメインバルブ体34を示す。メインバルブ体34は、互いに恒久的に連結されたバルブ部材102とアクチュエータ103とを備える。この目的のために、ねじ部104がアクチュエータ103上に設けられ、対応するねじ付き止まり穴105が、バルブ部材102に形成されている。メインバルブ体34が摺動可能にバルブインサート106に案内され、同様に、バルブインサート106は、バルブ凹部35に位置し、環状バルブシート107を備える。メインバルブ体34がバルブシート107によって画定される流路108を通じた自由流れ断面に影響を与えるために使用されるように、連続した環状のシールワッシャ109であって、バルブシート107に封止接触し、ひいては中立位置で流路108を遮断するように設計されたシールワッシャ109が、バルブ部材102とアクチュエータ103との間に設けられる。図示された実施形態のバルブ部材102及びアクチュエータ103の両方は、リップシール110、111によってバルブインサート106に対して封止され、その結果、バルブインサート106及びメインバルブハウジング8と共に、圧力チャンバ112を規定する。凹部113を介して、圧力チャンバ112は、
図2に従う凹部15〜20の一群の第1凹部に接続される。凹部114を介して、圧力チャンバ112は、さらに
図2に従う凹部15〜20の一群の第2凹部に接続される。バルブ部材102とバルブシート107との間の相互作用により、流路108に沿った凹部113及び凹部114の間の流体連通接続が、任意に確立又は遮断され得る。
【0048】
本発明の場合にはメインバルブ102の中立位置における流路108の遮断を規定する圧縮ばね115は、アクチュエータ103から離れた端部領域のバルブ部材102に割り当てられる。流路108の開口は、メインバルブ101の中心軸116に沿ったバルブ部材2及びそれに結合されたアクチュエータ103の並進相対運動を必要とし、この処理においては、圧縮ばね115の戻り力を克服しなければならない。この目的のために、アクチュエータ103は、バルブインサート106及びエンドプレート117によって規定されるパイロットチャンバ118内に収容される。エンドプレート117には、操作通路119が形成され、それを通じて流体はパイロットチャンバ118に供給され得て、そこから排出され得る。圧力チャンバ112及びパイロットチャンバ118の間の有利なシールのために、シール膜120が、バルブインサート106とエンドプレート117との間に挿入される。圧力がパイロットチャンバ118に印加されると、アクチュエータ103とそこに結合されたバルブ部材102とが偏向され、それによってバルブシート107からシーリングワッシャー109が離され、圧力チャンバ112を介して流路108が開かれる。このために必要な加圧流体は、例えば、バルブモジュール2の操作ポート41のいずれかによって利用可能とすることができる。