(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5916868
(24)【登録日】2016年4月15日
(45)【発行日】2016年5月11日
(54)【発明の名称】液圧式のカプラ
(51)【国際特許分類】
F02M 51/06 20060101AFI20160422BHJP
F02M 61/16 20060101ALI20160422BHJP
【FI】
F02M51/06 J
F02M51/06 U
F02M61/16 J
F02M61/16 Q
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-534995(P2014-534995)
(86)(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公表番号】特表2014-528548(P2014-528548A)
(43)【公表日】2014年10月27日
(86)【国際出願番号】EP2012068832
(87)【国際公開番号】WO2013053594
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2014年4月14日
(31)【優先権主張番号】102011084512.7
(32)【優先日】2011年10月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ディートマー シュミーダー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヤコビ
【審査官】
赤間 充
(56)【参考文献】
【文献】
独国特許出願公開第102004002134(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102004002081(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102009045009(DE,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102007028490(DE,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02199591(EP,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102009026532(DE,A1)
【文献】
特表2005−516155(JP,A)
【文献】
特開2000−329028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 39/00〜71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポット底部(311)及びポット周壁(312)を有するハウジングポット(31)と、
前記ハウジングポット(31)内で軸線方向に移動可能に案内されているプランジャ(33)と、
前記プランジャ(33)と前記ポット底部(311)との間にある、流体で満たされたカプラギャップ(35)と、
前記プランジャ(33)とは反対側の、前記ハウジングポット(31)の外側に配置されている、前記カプラギャップ(35)と連通している調整室(37)を画定するダイアフラム(36)と、
前記ダイアフラム(36)に、軸線方向に向けられたばね力で作用するばねエレメント(40)と、を備えた、
液圧式のカプラであって、
前記ばねエレメント(40)は、前記ハウジングポット(31)に固定されているばね湾曲部材(45)として形成されており、該ばね湾曲部材(45)は、前記ポット底部(311)の領域において、軸線方向の予負荷をかけられて前記ダイアフラム(36)に当接していることを特徴とする、液圧式のカプラ。
【請求項2】
前記ばね湾曲部材(45)は、前記ポット周壁(312)に被さって係合するばね脚部(46,47)と、該ばね脚部(46,47)を互いに結合するばね橋架部(48)とを有し、該ばね橋架部(48)は、中央の領域で前記ダイアフラム(36)に当接していることを特徴とする、請求項1記載の液圧式のカプラ。
【請求項3】
前記ばね橋架部(48)は、凹状に湾曲されていることを特徴とする、請求項2記載の液圧式のカプラ。
【請求項4】
前記ばね湾曲部材(45)の固定は、前記ばね脚部(46,47)を介して前記ポット周壁(312)において行われていることを特徴とする、請求項2又は3記載の液圧式のカプラ。
【請求項5】
前記ばね橋架部(48)とは反対側の、前記ばね脚部(46,47)の脚部端部は、前記ハウジングポット(31)のポット周壁(312)に、素材結合により結合されていることを特徴とする、請求項4記載の液圧式のカプラ。
【請求項6】
前記ばね湾曲部材(45)は、直径方向に配置されている2つのばね脚部(46,47)を有し、該ばね脚部(46,47)及び前記ばね橋架部(48)は、ばね帯材から一体に製造されていることを特徴とする、請求項2から5までのいずれか1項記載の液圧式のカプラ。
【請求項7】
前記ばね帯材は、前記ばね橋架部(48)の領域において曲線部を成して延びていることを特徴とする、請求項6記載の液圧式のカプラ。
【請求項8】
前記曲線部は、前記ばね橋架部(48)が、1つの真っ直ぐな中央の脚部(481)と、該中央の脚部(481)の両端部に続いている、曲げられた2つの外側の脚部(482,483)とを備えたS字形状を有するように成形されており、前記ばね橋架部(48)の中央の脚部(481)の長手方向軸線と、前記2つのばね脚部(46,47)の長手方向軸線とは、前記ばね橋架部(48)に対して、直角に延びている一平面内に位置することを特徴とする、請求項7記載の液圧式のカプラ。
【請求項9】
前記ばね帯材は、高張力ばね鋼から成っていることを特徴とする、請求項6から8までのいずれか1項記載の液圧式のカプラ。
【請求項10】
前記ダイアフラム(36)は、前記ポット底部(311)上に張り渡されていて、前記ダイアフラム(36)のダイアフラム縁部は、前記ポット周壁(312)に素材結合により結合されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の液圧式のカプラ。
【請求項11】
前記ダイアフラム(36)は、前記中央の凸状の隆起部(361)と、該隆起部(361)を取り囲む凹状の環状窪み(362)とを有し、前記ダイアフラム(36)に面した、前記ポット底部(311)の底面は、前記ダイアフラムの形状に適合しており、前記ばね湾曲部材(45)の凹状に湾曲されたばね橋架部(48)は、前記ダイアフラム(36)の凸状の隆起部(361)に形状適合した中央の領域(484)で、前記ダイアフラム(36)に載置されていることを特徴とする、請求項10記載の液圧式のカプラ。
【請求項12】
前記ハウジングポット(31)のポット周壁(312)に、前記カプラギャップ(35)及び前記調整室(37)に連通するための少なくとも1つの半径方向孔(38)が配置されていて、該半径方向孔(38)は、一方で前記調整室(37)に向かって開放していて、かつ他方で前記プランジャ(33)と、前記ハウジングポット(31)のポット周壁(312)との間にある環状ギャップ(42)に向かって開放しており、該環状ギャップ(42)は、前記ポット底部(311)とは反対側の、前記ハウジングポット(31)の端面側において、環状のダイアフラム(41)によって覆われていて、該環状のダイアフラム(41)の外側のダイアフラム縁部は前記ポット周壁(312)に、また、前記ダイアフラム(41)の内側のダイアフラム縁部は前記プランジャ(33)に、夫々流体密に固定されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の液圧式のカプラ。
【請求項13】
前記液圧式のカプラは、燃料噴射弁用の液圧式のカプラであることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の液圧式のカプラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載した、液圧式のカプラ、特に燃料噴射弁用の液圧式のカプラに関する。
【0002】
公知の燃料噴射弁(独国特許出願公開第102004002134号明細書)は、弁ニードルと、圧電式のアクチュエータとの間で軸線方向に挟み込まれている液圧式のカプラを有する。このカプラは、ポット底部とポット周壁とを備えるハウジングポット、及びこのハウジングポット内で軸線方向に摺動可能なプランジャを有する。プランジャとポット底部との間に、流体で満たされたカプラギャップが存在する。プランジャとは反対側にある、ポット底部の外側に、鋼から成る第1のダイアフラムが配置されている。この第1のダイアフラムは、ポット底部と共に、流体で満たされる調整室を画定する。第1のダイアフラムは、ポット底部を覆い、かつ縁部側でポット周壁に溶接により固定されている。調整室は、ポット底部に配置されている絞りエレメントを介して、カプラギャップと連通している。鋼から成る第2のダイアフラムは、ポット底部とは反対側にある、ハウジングポットの端面側において、ポット周壁とプランジャとの間にある環状ギャップを覆う。環状のダイアフラムの外側のダイアフラム縁部は、ポット周壁に溶接により固定されていて、内側のダイアフラム縁部は、溶接によりプランジャに固定されている。調整室に過圧を形成するために、弁ハウジングに支持される圧縮コイルばねが、軸線方向に向けられたばね力で第1のダイアフラムに作用する。圧縮コイルばねと第1のダイアフラムとの間には、圧力分配ディスクが挿入されていて、この圧力分配ディスクは、中央の隆起部で、第1のダイアフラムの中央の領域に当接している。
【0003】
発明の開示
請求項1の特徴を有する、本発明に係るハイドロリック式のカプラ或いは液圧式のカプラの利点は、カプラの弁組付け状態において要求されるカプラの力を達成する際、付加的な軸線方向のばね力により、ダイアフラムの肉厚を小さく保持することができ、ひいてはダイアフラムの低い剛性を得ることができる、という点にある。U字形の弾性湾曲部材或いはばね湾曲部材として、弾性エレメント或いはばねエレメントを形成することにより、ばねエレメントも、低いばね剛性しか有していないので、肉厚を減じることで得られたカプラの剛性減少の補償はない。総じて、カプラの全体剛性は、好ましくは小さく維持されるので、カプラは、異なる熱膨張係数を有する2つの構成部品の、温度に起因した、異なる長さの変化を補償する、という課題を明らかに厳しい公差で果たす。カプラは、上記2つの構成部品の間で軸線方向において挟み込まれている。さらに、圧縮コイルばねとして形成されたばねエレメントに対して、カプラは、むしろ完成構成ユニットを形成し、例えばばねエレメントの特別な個別の組付けなく燃料噴射弁内に組み込むことができるので、実質的な組付けに関する利点が得られる。さらにダイアフラムに作用するばね力は、カプラの組込み前に調節することができる。
【0004】
他の請求項に記載されている手段により、請求項1に記載した液圧式のカプラの有利な変化形及び改良形が可能である。
【0005】
本発明の有利な実施の形態によれば、ばね湾曲部材は、ポット周壁に上方から係合するばね脚部と、これらのばね脚部を互いに結合する弾性橋架部或いはばね橋架部とを有する。このばね橋架部は、中央の領域でダイアフラムに当接している。ばね湾曲部材の固定は、ばね橋架部とは反対側の脚部端部において、ポット周壁との素材結合により結合されている弾性脚部或いはばね脚部により実施されている。ばね橋架部は、凹状に湾曲しているので、中央の当接領域は簡単に実現されている。ばね湾曲部材のこの構造的な態様により、ダイアフラムに作用する所望の軸線方向力は、多かれ少なかれハウジングポットへのばね脚部の広範囲の軸線方向での被せ嵌めにより、ポット周壁へのばね脚部の素材結合による固定前に極めて正確に調節することができる。
【0006】
本発明の有利な実施の形態により、ばね湾曲部材は、ばね橋架部に対して直径上の2つのばね脚部を有し、ばね脚部及びばね橋架部は、弾性帯材或いはばね帯材から抜き加工又は曲げ加工により一体に製造されているので、ばね湾曲部材は、廉価に製造される構成部品である。
【0007】
本発明のさらに別の有利な構成によれば、ばね帯材は、ばね橋架部の領域において曲線部を成して延びている。この構成において好ましくは、曲線部は、ばね橋架部が、1つの真っ直ぐな真ん中の脚部と、この真ん中の脚部の各端部に続く、曲げられた2つの外側の脚部とを備えたS字形状を有し、真ん中の脚部の長手方向軸線と、2つのばね脚部の長手方向軸線とは、ばね橋架部に対して直角に延びる平面に位置するように成形されている。ばね橋架部のこの構造的な態様により、ばね湾曲部からダイアフラムに作用する軸線方向のばね力を、小さな公差で極めて正確に調整することができる。
【0008】
本発明の有利な構成によれば、ばね帯材は高張力ばね鋼から製造されていて、例えばダイアフラムにも使用される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】液圧式のカプラを備えた、燃料噴射弁の縦断面図である。
【
図3】
図2に示した方向IIIから見た、液圧式のカプラのばね湾曲部材の平面図である。
【
図4】
図3に示した線IV−IVに沿った断面図である。
【0010】
本発明を、図示の実施の形態に基づいて、以下の記載において詳細に説明する。
【0011】
流れる媒体、特に流体を、量を測定して配分する一般的な弁の実施の形態として、
図1に縦断面にして記載した燃料噴射弁は、中空円筒状の弁ハウジング11を有する。この弁ハウジング11の一方の端部は、噴射開口又は弁開口13を有するノズルボディ又は弁体12で閉鎖されている。弁開口13は、閉鎖ヘッドを備えた弁ニードルとして形成された、外に向かって開放する弁部材14によって制御される、つまり閉鎖されるか又は解放される。弁部材は、アクチュエータ16によって、弁部材14及び弁体12に支持される戻しばね15の復元力に抗して操作される。この実施の形態において、アクチュエータ16に印加されている電圧に基づき、弁部材14はその閉鎖ヘッドを介して弁開口13を開放する。アクチュエータ16は、電気的に制御可能なピエゾモジュール19を有する。この、ピエゾスタックとも称呼されるピエゾモジュール19は、閉鎖板18と閉鎖体20との間で、ばねとして形成されている中空体21により緊締されている。アクチュエータ16は、この実施の形態においては、カルダン式の支持部(kardanisches Lager)17を介して弁部材14に作用する。この実施の形態において、カルダン式の支持部17は、弁部材14の弁ニードルの閉鎖ヘッドから離れた端部と、アクチュエータ16の閉鎖板18との間に形成されている。
【0012】
弁体12とは反対側にある、弁ハウジング11の端部に、接続部材22が挿入され固定されている。この接続部材22には、流体接続部23と電気的な接続プラグ24とが設けられている。この接続プラグ24によって、アクチュエータ側のコンタクト部材25及びハウジング側のコンタクト部材26を介して、アクチュエータ16のピエゾモジュール19に対する電気的な接続が形成される。2つのコンタクト部材25,26の導電部分が、互いに接触接続し、コンタクト個所において互いにろう接されている。択一的には、2つのコンタクト部材25,26の互いに接触接続している部分は、互いに一体に構成されていてもよい。弁体12及び接続部材22は、管27を介して互いに堅固に結合されていて、戻しばね15、アクチュエータ16及び液圧式のカプラ30が、管27内に収容されている。アクチュエータ16は、液圧式のカプラ30を介して弁ハウジング11に支持され、具体的には弁ハウジング11に堅固に結合されている接続部材22に支持される。
【0013】
図2に、縦断面にして拡大して示した液圧式のカプラ30は、ポット底部311及びポット周壁312を備えたハウジングポット31と、このハウジングポット31内で軸線方向に摺動可能に案内されているプランジャ33とを有する。ハウジングポット31は、接続部材22内に形成されていて、盲孔状の切欠き29内に収容されており、かつ接続部材22にカルダン式に支持されている。カルダン式の支持部は、
図2において符号32で記されている。プランジャ33は、アクチュエータ16に堅固に結合されている。このために、プランジャ33内に、このプランジャ33から突出している中空のピンヘッド341を備えた中央のセンタリングピン34が、不動に挿入、例えば圧入されていて、かつアクチュエータ16の閉鎖体20に、直径において減じられている端部部分で中空のピンヘッド341内に圧入されている、軸線方向に突出しているピン201が設けられている。プランジャ33とハウジングポット31のポット底部311との間には、流体、例えば油で満たされたカプラギャップ35が存在し、プランジャ33とは反対の、ハウジングポット31の外側に、鋼から成る薄肉の第1のダイアフラム36が配置されている。この第1のダイアフラムは、カプラギャップ35と連通している調整室37を、ハウジングポット31の外側において画定する。ダイアフラム36は、このためにポット底部311上に張り渡されていて、そのダイアフラム端部でポット周壁312に取り付けられていて、例えば素材結合によりポット周壁312に結合されている。素材結合は、
図2において溶接シーム39により記号化されている。調整室37における規定された圧力形成のために形状設定において最適化された第1のダイアフラム36は、中央の凸状の隆起部361と、この隆起部361を同心的に取り囲む凹状の環状窪み362とを有する。ポット底部311の、ダイアフラム36に面した底面は、ダイアフラム形状に適合している。ばねエレメント40は、軸線方向に方向付けられたばね力を用いてダイアフラム36に作用するので、付加的な圧力が、流体で満たされた調整室37内に形成される。
【0014】
ポット底部311とは反対側の、ハウジングポット31の端面側に配置された、肉薄の第2のダイアフラム41は、プランジャ33と、ハウジングポット31のポット周壁312との間に存在する環状ギャップ42を流体密にシールする。同様に鋼から成る第2のダイアフラム41は、このために環状に形成されていて、その外側のダイアフラム縁部においてポット周壁312に素材結合により結合されていて、第2のダイアフラム41の内側のダイアフラム縁部においてプランジャ33に素材結合により結合されている。択一的には、内側のダイアフラム縁部における素材結合は、プランジャ33内に圧入されるセンタリングピン34に対して形成することもできる。素材結合による結合は、
図2において溶接シーム43,44により示されている。カプラギャップ35と調整室37との間の連通は、ポット周壁312における少なくとも1つの半径方向孔38により形成されている。
図2の実施の形態において、直径方向に配置されている2つの半径方向孔38が存在する。これらの半径方向孔38は夫々、ハウジングポット31の外側において、第1のダイアフラム36によってシールされている調整室37に通じていて、かつプランジャ33とハウジングポット31のポット周壁312との間の、第2のダイアフラム41によってシールされている環状ギャップ42に通じている。環状ギャップ42は、カプラギャップ35と調整室37との間を流れる流体用の絞りとして作用する。
【0015】
ばねエレメント40は、ばね湾曲部材45として形成されている。この湾曲部材45は、ハウジングポット31に固定されていて、軸線方向の予負荷でダイアフラム36に当接している。ばね湾曲部材45は、複数の、この実施の形態においては全部で2つの、直径方向に配置されたばね脚部46,47と、これらのばね脚部46,47を互いに結合するばね橋架部48とを有する。ばね脚部46,47は、ポット周壁312に当接しているダイアフラム領域をオーバラップし、ばね橋架部48とは反対側の脚部端部は、素材結合によりポット周壁312に固定されている。素材結合は、
図2においてもやはり溶接シーム49により示されている。ばね橋架部48は、ポット底部311を覆っているダイアフラム領域上を張り渡されていて、第1のダイアフラム36に圧着される。ばね橋架部48は、このために凹状に湾曲されていて、つまり橋架縁部から、2つのばね脚部46,47の間の中間室内に突入する湾曲部を有する。この実施の形態において、ばね橋架部48の凹状の湾曲部は、ダイアフラム36の凸状の隆起部361に形状適合している中央の領域484を有する。ばね橋架部48及びばね脚部46,47は、ばね帯材から、打抜き曲げ部材として一部材で形成されている。この実施の形態において、帯材料として、高張力ばね鋼を使用する。ばね橋架部48の領域において、ばね帯材は、曲線部を成して延在する(
図3)。この曲線部は、ばね橋架部48が、1つの真っ直ぐな中央の脚部481と、夫々中央の脚部481の一方の端部に一体に接続している、2つの曲げられた外側の脚部482,483とを備えたS字形状を有し、中央の脚部481の軸線及び2つのばね脚部46,47の軸線は、ばね橋架部48の平面に対して直角を成して延びる一平面に位置するように成形されている。第1のダイアフラム36の凸状の隆起部361に載着している、形状に関して適合した、ばね橋架部48の凹状の湾曲部の中央の領域484は、中央の脚部481に形成されており、ばね脚部46,47は、外側の脚部482,483から直角に折り曲げられている。ばね脚部46,47は、ばね橋架部48が所望の予負荷で第1のダイアフラム36を押圧するように、軸線方向でハウジングポット31に被せ嵌められている。