【実施例】
【0050】
次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0051】
[実施例1]
血液中の細胞に対して、CD45に対する免疫染色と、Her−2 FISHプローブ(Her−2遺伝子と特異的に結合する核酸プローブ)及びCEP17 FISHプローブ(CEP17と特異的に結合する核酸プローブ)を用いたFISHを行った。
<細胞試料の調製>
胃癌患者由来の血液(BD Vacutainer CPT単核球分離採血管、製品コード:♯362753、ベクトン・ディッキンソン社製)8mLに対して、2500rpmで30分間、比重遠心分離処理を行い、血漿画分と単核球層と赤血球層とに分離した後、血漿画分を除去して単核球層を回収した。回収された単核球層にEDTA含有PBSを加えて15mLとした後、2000rpmで10分間の遠心分離処理を行った後、沈殿した細胞をドルフィンチューブに移し、さらに2500rpmで3分間の遠心分離処理(swing arm、Eppendorf社製)を行った。上清を除去した後、沈殿した細胞にMACS(登録商標) buffer(ミルテニーバイオテク社製)を添加して60μLの細胞懸濁液とした。
調製された細胞懸濁液に、20μLのCD45 マイクロビーズ(CD45−MB、ミルテニーバイオテク社製)と20μLのCD61 マイクロビーズ(CD61−MB、ミルテニーバイオテク社製)とを添加し、4℃で15分間インキュベートした。当該細胞懸濁液中の非結合性のマイクロビーズを1mLのMACS(登録商標) bufferを用いて洗浄した後、マイクロビーズで標識された細胞を500μLのMACS(登録商標) bufferに懸濁させた。その後、当該懸濁液の入っているドルフィンチューブをAutoMACS(登録商標、ミルテニーバイオテク社製)に装着し、“Depletes”プログラムを実施し、N1フラクション(CD45−MBとCD61−MBのいずれとも結合していない細胞群)をドルフィンチューブ2本に回収した。この2本のドルフィンチューブに対して2000rpmで10分間の遠心分離処理を行った後、沈殿の細胞を1本のチューブにまとめ、再度2000rpmで10分間の遠心分離処理を行い、上清を除去したものを細胞試料とした。
【0052】
<細胞表面抗原に対する免疫染色及び界面活性剤処理>
調製された細胞試料に、50μLのCD45−biotin希釈液を添加し、室温で10分間インキュベートした。CD45−biotin希釈液は、CD45−biotin(ベクトン・ディッキンソン社製)をMACS(登録商標) bufferを用いて10分の1に希釈した溶液である。その後、1.5mLのMACS(登録商標) bufferで細胞を洗浄した後、当該細胞に50μLのStreptavidin−Qdot(登録商標)605(SA−Q605)希釈液を添加して室温で15分間インキュベートした。その後、1.5mLのMACS(登録商標) bufferで細胞を洗浄した。
【0053】
<クロスリンク処理>
次いで、細胞懸濁液に5μLの50mM BS3溶液を添加してただちにピペッティングした後、室温で15分間インキュベートした。その後さらに1μLの1M トリスバッファーを添加して、室温で10分間インキュベートした。その後、1.5mLのEDTA含有PBSで2回細胞を洗浄した
【0054】
<固定化処理>
洗浄後の細胞を、50μLのIS−A(Dako Instruction ReagentA(ホルマリン含有固定液)、Dako社製)に懸濁させて室温で15分間インキュベートした。その後、当該細胞を、1.5mLのMACS(登録商標) bufferで洗浄した。
【0055】
<細胞内抗原に対する免疫染色及び界面活性剤処理>
洗浄後の細胞懸濁液に、Cytokeratin−AF647希釈液を添加して室温で15分間インキュベートした。Cytokeratin−AF647希釈液は、Cytokeratin−Alexa647(Abcam社製、クローンAE1/AE3にAlexa fluor 647を共有結合させた抗体、280μg/mL)をIS−Bを用いて25分の1に希釈した溶液である。染色後の細胞を、1.5mLのMACS(登録商標) bufferで洗浄した後、さらに1mLのPBSで洗浄した。その後、当該細胞を50μLの塩化カリウム溶液(0.075M)に懸濁させ、室温で15分間インキュベートした後、遠心分離処理により、20μLの塩化カリウム溶液を残して上清を除去した。得られた細胞懸濁液を、5枚のMASコートスライド(松浪硝子社製)に、1スライド当たり1スポット滴下し、風乾させた。
【0056】
<タンパク質分解酵素処理>
細胞を載せたMASスライドに、ペプシン溶液を添加した後、室温で2分間インキュベートした。当該スライドからペプシン溶液を除去し、PBSを添加して室温で3分間インキュベートした後、風乾させた。なお、ペプシン溶液は、ペプシン(SIGMA社製)を10mM塩酸溶液で希釈して100μg/mLに調整したものである。
【0057】
<エタノール処理>
タンパク質分解酵素処理後のMASスライドを、70%エタノール溶液に1分間浸漬させた後、85%エタノール溶液に1分間浸漬させ、さらに100%エタノール溶液に1分間浸漬させた後、風乾させた。その後さらに、45℃のブロックヒータ上で、ドライヤーに5分間当てて乾燥させた。
【0058】
<FISH>
乾燥後のMASスライドに、1スポット当たり2μLのHer−2 FISHプローブ(Her−2−SpecrtrumOrange、Vysis社製)及びCEP17 FISHプローブ(CEP17−SpectrumGreen、Vysis社製)の原液を添加し、さらにカバーガラスを載せ、ペーパーボンドでシールした。このMASスライドを85℃で3分間、その後37℃で18時間インキュベートした。終了後、ボンドをはがして、MASスライドをハイブリダイゼーション後洗浄液(2×SSC、0.3% NP40)に浸漬させて75℃で5分間インキュベーションした。当該MASスライドを、2×SSCでリンスした後、余分な水分を取り除いた。
【0059】
<核染色>
MASスライドに、1スポット当たり2μLのDAPI溶液を添加した後、トップコートでシールした。
【0060】
<蛍光シグナルの測定>
シール後のMASスライドのスポット中の蛍光シグナルを、共焦点レーザ走査型顕微鏡FV−1000(オリンパス社製)を使用して測定し、三次元画像を構築した。
図1及び2に、Cytokeratin陽性細胞を含む一視野について再構築された三次元画像より作成した二次元画像を、それぞれ示す。
図1及び2中、(A)は核(DAPI)染色画像であり、(B)はCEP17 FISHプローブのシグナル画像であり、(C)はHer−2 FISHプローブのシグナル画像であり、(D)はCytokeratin−Alexa647の染色画像であり、(E)は(A)〜(D)を重ね合わせた画像である。
【0061】
この結果、
図1中のCytokeratin陽性細胞(
図1(E)中の点線で囲まれた細胞)では、CEP17のシグナル数と、Her−2のシグナル数とは等しく、当該Cytokeratin陽性細胞のHer−2遺伝子は正常であることが判定できた。一方で、
図2中のCytokeratin陽性細胞(Cytokeratin−Alexa647により染色された細胞)のうち、右上の細胞(
図2(E)中の点線で囲まれた細胞)では、CEP17シグナル(
図2(E)中の白抜きの矢頭で示されたシグナル)の総数が4であるのに対して、Her−2シグナル(
図2(E)中の塗り潰された矢頭で示されたシグナル)の総数は8であり、Her−2/CEP17比が2であった。つまり、
図2(E)中の点線で囲まれた細胞は、Her−2遺伝子が増幅されている遺伝子異常細胞であることが確認できた。これらの結果から、本発明の遺伝子異常細胞の解析方法により、癌患者由来の血液中に含まれているCytokeratin陽性細胞のうちの一部では、Her−2遺伝子が増幅されていることが解析できること、すなわち、本発明の遺伝子異常細胞の解析方法により、癌患者由来の血液中のCTCを解析し得ることが明らかである。
【0062】
図3には、本実施例により蛍光シグナルが観察されたある細胞について再構築された三次元画像より作成した二次元画像を示す。
図3(A)及び(B)は、視点のわずかに異なる二次元画像である。また、
図3(A)及び(B)は、核(DAPI)染色画像、Her−2 FISHプローブのシグナル画像を重ね合わせた画像であり、Her−2 FISHプローブのシグナルを矢印で示す。
図3(A)及び(B)中の点線で囲まれた細胞のHer−2 FISHプローブのシグナルは、
図3(A)の二次元画像では1つのシグナルとして検出されたが、
図3(B)の二次元画像では2つの別個のシグナルとして検出された。このように、本発明の遺伝子異常細胞の解析方法では、特定の二次元画像においては、Z軸方向に重なっているために1のシグナルとして検出されてしまう複数のシグナルを、再構築された三次元画像を少し回転させることにより、容易に個別に分離して検出することができる。
【0063】
[実施例2]
本発明の遺伝子異常細胞の解析方法により、内視鏡生検細胞に対して、CD45に対する免疫染色と、Her−2 FISHプローブ及びCEP17 FISHプローブを用いたFISHを行った。
<細胞試料の調製>
胃癌患者から採取された内視鏡生検(約1mg)を、0.25mLのDMEM培地に懸濁させた後、コラゲナーゼ及びディスパーゼを添加し、37℃60分間酵素処理を行った。その後、当該懸濁液に対して、2000rpmで10分間の遠心分離処理を行った後、沈殿した細胞(単核球)をドルフィンチューブに移し、さらに2500rpmで3分間の遠心分離処理(swing arm、Eppendorf社製)を行った。上清を除去した後、沈殿した細胞にMACS(登録商標) buffer(ミルテニーバイオテク社製)を添加して60μLの細胞懸濁液とした。
実施例1と同様にして、調製された細胞懸濁液から、CD45 マイクロビーズ及びCD235a マイクロビーズを用いて血球成分を磁気分離により除去することにより、細胞試料を調製した。
【0064】
調製された細胞試料に対して、実施例1と同様にして、順次、細胞表面抗原に対する免疫染色及び界面活性剤処理、クロスリンク処理、固定化処理、Cytokeratin−AF647を用いた免疫染色及び界面活性剤処理、タンパク質分解酵素処理、エタノール処理、FISH、及び核染色を行った後、染色された細胞の蛍光シグナルを測定し、三次元画像を構築した。
図4に、Cytokeratin陽性細胞を含む一視野について再構築された三次元画像より作成した二次元画像を示す。
図4中、(A)は核(DAPI)染色画像であり、(B)はCEP17 FISHプローブのシグナル画像であり、(C)はHer−2 FISHプローブのシグナル画像であり、(D)はCytokeratin−Alexa647の染色画像であり、(E)は(A)〜(D)を重ね合わせた画像である。この結果、
図4中のCytokeratin陽性細胞では、CEP17のシグナル数と、Her−2のシグナル数とはほぼ等しく、当該Cytokeratin陽性細胞のHer−2遺伝子は正常であることが判定できた。
【0065】
[実施例3]
本発明の遺伝子異常細胞の解析方法により、末梢血に腫瘍細胞株を添加したものを細胞試料とし、当該細胞試料中のHer−2遺伝子増幅細胞を解析した。腫瘍細胞株として、乳癌由来の培養細胞株であるSKBr3細胞を用いた。なお、SKBr3細胞は、常法により培養されたものを用いた。
<細胞試料の調製>
まず、健常者から採取された7.5mLの末梢血に、5,000個のSKBr3細胞を添加した。実施例1と同様にして、この末梢血から単核球層を回収し、さらに洗浄した後、MACS(登録商標) bufferを添加して60μLの細胞懸濁液を調製した。
調製された細胞懸濁液に、20μLのCD45 マイクロビーズ(CD45−MB、ミルテニーバイオテク社製)と20μLのCD235a マイクロビーズ(CD235a−MB、ミルテニーバイオテク社製)とを添加し、4℃で15分間インキュベートした。当該細胞懸濁液中の非結合性のマイクロビーズを1mLのMACS(登録商標) bufferを用いて洗浄した後、マイクロビーズで標識された細胞を500μLのMACS(登録商標) bufferに懸濁させた。その後、当該懸濁液が入っているドルフィンチューブをAutoMACS(登録商標、ミルテニーバイオテク社製)“Depletes”に装着し、“Depletes”プログラムを実施し、N1フラクション(CD45−MBとCD235a−MBのいずれとも結合していない細胞群)をドルフィンチューブ2本に回収した。この2本のドルフィンチューブに対して2000rpmで10分間の遠心分離処理を行った後、沈殿の細胞を1本のチューブにまとめ、再度2000rpmで10分間の遠心分離処理を行い、上清を除去したものを細胞試料とした。
【0066】
<細胞表面抗原に対する免疫染色>
調製された細胞試料に、50μLの実施例1で用いたCD45−biotin希釈液を添加し、室温で10分間インキュベートした。1.5mLのMACS(登録商標) bufferで細胞を洗浄した後、当該細胞に50μLのStreptavidin−Qdot(登録商標)605(SA−Q605)希釈液を添加して室温で15分間インキュベートした。なお、SA−Q605希釈液は、SA−Q605(Invitrogen社製)をMACS(登録商標) bufferを用いて100分の1に希釈した溶液である。その後、1.5mLのEDTA含有PBSで2回細胞を洗浄した。
【0067】
<固定化処理>
浸透化処理後の細胞を、50μLのIS−A(Dako Instruction ReagentA(ホルマリン含有固定液)、Dako社製)に懸濁させて室温で15分間インキュベートした。その後、当該細胞を、1.5mLのMACS(登録商標) bufferで洗浄した。
【0068】
<細胞内抗原に対する免疫染色>
洗浄後の細胞懸濁液に、実施例1で用いたCytokeratin−AF647希釈液を添加して室温で15分間インキュベートした。染色後の細胞を1.5mLのMACS(登録商標) bufferで洗浄した後、さらに1mLのPBSで洗浄した。その後、当該細胞を50μLの塩化カリウム溶液(0.075M)に懸濁させ、室温で15分間インキュベートした後、遠心分離処理により、20μLの塩化カリウム溶液を残して上清を除去した。得られた細胞懸濁液を、5枚のMASコートスライド(松浪硝子社製)に、1スライド当たり1スポット滴下し、風乾させた。
【0069】
<タンパク質分解酵素処理>
細胞を載せたMASスライドに、実施例1で用いたペプシン溶液を添加した後、室温で2分間インキュベートした。当該スライドからペプシン溶液を除去し、PBSを添加して室温で3分間インキュベートした後、風乾させた。
【0070】
<エタノール処理>
タンパク質分解酵素処理後のMASスライドを、70%エタノール溶液に1分間浸漬させた後、85%エタノール溶液に1分間浸漬させ、さらに100%エタノール溶液に1分間浸漬させた後、風乾させた。その後さらに、45℃のブロックヒータ上で、ドライヤーに5分間当てて乾燥させた。
【0071】
<FISH及び核染色>
乾燥後のMASスライドに対して、実施例1と同様にしてFISHを行った後、DAPI溶液を添加し、トップコートでシールした。
【0072】
<蛍光シグナルの測定>
シール後のMASスライドのスポット中の蛍光シグナルを、共焦点レーザ走査型顕微鏡FV−1000(オリンパス社製)を使用して測定し、三次元画像を構築した。
図5に、Cytokeratin陽性細胞を含む一視野について再構築された三次元画像より作成した二次元画像を示す。
図5中、(A)は核(DAPI)染色画像であり、(B)はCD45−biotin/Streptavidin−Qdotの染色画像であり、(C)はCytokeratin−Alexa647の染色画像であり、(D)はCEP17 FISHプローブのシグナル画像であり、(E)はHer−2 FISHプローブのシグナル画像であり、(F)は(A)〜(E)を重ね合わせた画像である。
【0073】
この結果、
図5(B)及び(C)からも明らかであるように、細胞試料に含まれている細胞全体に占めるCytokeratin陽性細胞の割合が非常に高く、CD45 マイクロビーズ及びCD235a マイクロビーズを用いた磁気分離処理により、Cytokeratin陽性細胞が効率よく濃縮されていた。また、
図5中のCytokeratin陽性/CD45陰性細胞では、CEP17のシグナル数と、Her−2のシグナル数の比が平均で3.5であり、当該Cytokeratin陽性細胞のHer−2遺伝子は増幅していることが判定できた。
【0074】
[参考例1]
実施例1と同様にして、血液中のCTCを解析するための細胞試料を調製し、免疫染色により、当該細胞試料中に含まれている上皮系細胞を検出した。
まず、実施例1と同様にして、胃癌患者由来の血液(BD Vacutainer CPT単核球分離採血管、製品コード:♯362753、ベクトン・ディッキンソン社製)8mLから単核球層を回収し、さらに洗浄した後、MACS(登録商標) bufferを添加して60μLの細胞懸濁液を調製した。
実施例1と同様にして、調製された細胞懸濁液から、CD45 マイクロビーズ及びCD61 マイクロビーズを用いて白血球成分を磁気分離により除去することにより、細胞試料を調製した。
【0075】
次いで、調製された細胞試料に、25μLのEpCAM−Alexa Fluor488希釈液と25μLのCD45−biotin希釈液を添加し、室温で10分間インキュベートした。EpCAM−Alexa Fluor488希釈液は、EpCAM−Alexa Fluor488(BioLegend社製)をMACS(登録商標) bufferを用いて20分の1に希釈した溶液である。CD45−biotin希釈液は、CD45−biotin(ベクトン・ディッキンソン社製)をMACS(登録商標) bufferを用いて5分の1に希釈した溶液である。その後、1.5mLのMACS(登録商標) bufferで細胞を洗浄した後、当該細胞に50μLのStreptavidin−Qdot(登録商標)605(SA−Q605)希釈液を添加して室温で15分間インキュベートした。その後、1.5mLのMACS(登録商標) bufferで細胞を洗浄した。
【0076】
浸透化処理後の細胞に対して、実施例3と同様にして、順次、固定化処理、Cytokeratin−AF647を用いた免疫染色、タンパク質分解酵素処理、及びエタノール処理を行った。その後、核染色を行うために、乾燥後のMASスライドに対して、1スポット当たり2μLのDAPI溶液を添加した後、トップコートでシールした。
【0077】
シール後のMASスライドのスポット中の蛍光シグナルを、共焦点レーザ走査型顕微鏡FV−1000(オリンパス社製)を使用して測定した。
図6に、Cytokeratin陽性細胞を含む一視野の再構築された三次元画像より作成した二次元画像を示す。
図6中、(A)は核(DAPI)染色画像であり、(B)はCD45−biotin/Streptavidin−Qdotの染色画像であり、(C)はEpCAM−Alexa Fluor488の染色画像であり、(D)はCytokeratin−Alexa647の染色画像であり、(E)は(A)〜(D)を重ね合わせた画像である。
【0078】
図6(C)及び
図6(D)から明らかであるように、Cytokeratin陽性細胞ごとにEpCAM抗原の発現は著しく異なっており、EpCAM陽性細胞とEpCAM陰性細胞の両方が含まれている。例えば、
図6(E)中、破線で囲まれた領域中の細胞は、Cytokeratin陽性であり、かつEpCAM陽性である。一方で、実線で囲まれたCytokeratin陽性であるが、EpCAMはほとんど発現していない。このため、非特許文献1に記載されている方法のように、血液から回収された単核球層からEpCAM陽性細胞を選択的に回収した場合には、EpCAM陰性のCTCが解析対象から除かれてしまい、血液検体中のCTCを正確に検出することが困難である。よって、本発明の遺伝子異常細胞の解析方法では、血液検体中のCTCを解析する場合に細胞試料中のCTC存在比率を高めるためには、血液から回収された単核球層から、上皮系細胞の細胞表面抗原を利用して上皮系細胞を選択的に回収するのではなく、血球細胞の細胞表面抗原を利用して血球細胞を分離除去することが好ましい。