【実施例】
【0017】
次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0018】
in vivo洗浄試験
ヒトの前腕内側部を用い、ガラス製カップを装着し、界面活性剤溶液を適用し洗浄液状態を再現した。界面活性剤溶液に対し、N−アセチルグルコサミンの有無で、アミノ酸溶出量及びTEWL値を測定した。このとき、アニオン界面活性剤としてラウリン酸カリウムを用いた。アミノ酸溶出量の結果を
図1に示す。また、TEWLの変化量の結果を
図2に示す。いずれの図においても、LKはラウリン酸カリウム、NAGはN−アセチルグルコサミンを表す。アミノ酸溶出量は洗浄液中のアミノ酸量をHPLC(島津製作所製)を用いて測定した。カラムはWakopak Wakosil-PTC(4.0mm×20.0mm)(Wako社製)とし、移動層はPTC-Amino Acids Mobile Phase A、B(WAko社製)とした。TEWLは洗浄試験前後にそれぞれ22℃、RH50%条件下で肌を20分間馴化させた。TEWL測定装置(Courage + Khazaka Electronic GmbH「Tewameter TM210」)を用いて測定し、前後の差(ΔTEWL)を算出した。
【0019】
得られたデータはt−検定を用いデータの有意差検定を行った。有意水準5%にて*(p<0.05)行った。
【0020】
図1、2に示した結果から明らかなように、N−アセチルグルコサミンを共存させることにより、洗浄前後のTEWLの変化を抑制し、洗浄におけるアミノ酸の溶出を抑制していることが分かる。
【0021】
以下に、本発明のN−アセチルグルコサミンを含有する皮膚洗浄料の実施例を示す。組成はwt%で示す。
【0022】
実施例1(ボディシャンプー)
(%)・N−ラウロイル−L−グルタミン酸アルギニン[10/12] 5.0・ラウリン酸アルギニン 10.0・ミリスチン酸アルギニン 2.0・ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン 3.0・ジメチルポリシロキサン(1,000,000 cSt;25℃) 1.0・ジメチルポリシロキサン(100cSt;25℃) 2.0・ジステアリン酸エチレングリコール 1.0・プロピレングリコール 1.0・N−アセチルグルコサミン 1.0・色素・香料 適 量・水 調 整
【0023】
実施例2(洗顔フォーム)
(%)・N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸アルギニン[10/22] 20.0・パルミチン酸アルギン 5.0・ミリスチン酸アルギニン 5.0・モノステアリン酸ポリエチレングリコール 1.0・ポリオキシエチレンセチルエーテル 1.0・新油型モノステアリン酸グリセリン 1.0・グリセリン 5.0・ソルビトール 5.0・ジステアリン酸エチレングリコール 3.0・ポリエチレングリコール 7.0・モモ葉エキス 0.3・l−メントール 0.1・ポリエチレン末 1.0・N−アセチルグルコサミン 1.0・香料 0.5・水 調 整
【0024】
実施例3(ハンドソープ)
(%)・N−ラウロイル−L−グルタミン酸アルギニン[10/20] 5.0・ミリスチン酸カリウム 6.0・パルミチン酸カリウム 2.0・POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 10.0・パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン 0.5
・ラウリルジメチルアミンオキシド 2.0・アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体液 5.0・塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体液 1.0・ジステアリン酸エチレングリコール 1.5・ヒドロキシエチルセルロース 0.3・レモンエキス 0.3・ニンジンエキス 0.1・加水分解シルク液 0.1・グリセリン 5.0・1,3−ブチレングリコール 5.0・N−アセチルグルコサミン 1.0・EDTA 0.1・トリクロサン 0.1・色素・香料 適 量・水
【0025】
(比較例1〜3)
N−アセチルグルコサミンを配合しない以外は、実施例1〜3と同様にして、比較例1〜3のボディシャンプー、洗顔フォーム及びハンドソープを得た。実施例と比較例の洗浄料の使用性の評価を行った。
【0026】
「評価(1):感触評価」
洗浄後の感触の評価を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。
◎…専門パネラー8名以上が、洗浄後の感触が良いと認めた。
○…専門パネラー6人以上8名未満が、洗浄後の感触が良いと認めた。
△…専門パネラー3人以上6名未満が、洗浄後の感触が良いと認めた。
×…専門パネラー3名未満が、洗浄後の感触が良いと認めた。
【0027】
「評価(2):洗浄効果」
洗浄後の洗浄効果感の有無を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。
◎…専門パネラー8名以上が、洗浄後洗浄効果があると認めた。
○…専門パネラー6人以上8名未満が、洗浄後洗浄効果があると認めた。
△…専門パネラー3人以上6名未満が、洗浄後洗浄効果があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、洗浄後の洗浄効果があると認めた。
【0028】
「評価(3):洗浄中の泡立ち」
洗浄中の泡立ちの有無を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。
◎…専門パネラー8名以上が、洗浄中泡立ち良好と認めた。
○…専門パネラー6人以上8名未満が、洗浄中泡立ち良好と認めた。
△…専門パネラー3人以上6名未満が、洗浄中泡立ち良好と認めた。
×…専門パネラー3名未満が、洗浄中泡立ち良好と認めた。
【0029】
N−アセチルグルコサミン配合の実施例1〜3と配合していない比較例1〜3の洗浄料を常法により製造し、上記の評価(1)(2)(3)について評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0030】
(表1)
【0031】
感触の評価は、洗い上がりのさっぱり感、しっとり感、ぱさつき、ツッパリ等の総合評価である。実施例に示す洗浄料では比較例に比べ、使用時の及び使用後に感触が良い結果であった。これは、界面活性剤による皮膚からのアミノ酸溶出量が低く、蛋白変性がなく、かつ洗浄後の皮膚の水分保持量が大きい性質、と考察される。
【0032】
洗浄力と泡立ちに関してはアミノ酸の溶出量は低いことは洗浄力の低下には働いていないもの、また、泡立ちの阻害には働いていないと考えられ、むしろ泡立ちは良好であると考察される。